説明

竹燃料供給システム、竹燃料供給システムで実行される方法

【課題】竹を燃料として用いる小規模ユーザが二酸化炭素排出権取引を利用できるようにする。
【解決手段】竹燃料を製造する複数の製造者、製造者から竹燃料を受取る1人の管理者、管理者から竹燃料を受取る複数のユーザが、竹燃料の配送に共通する多数の容器を用いる。容器はそれぞれ2次元バーコードなどの識別子を備えており、互いに区別できる。製造者と管理者は竹燃料を入れた容器の発送の際に、ユーザは竹燃料を入れた容器の受け取りの際に、自分達が管理するバーコードリーダを用いて、容器に付された識別子が持つ識別子情報を読み取りこれを管理装置に送る。管理装置は、どの製造者がどの程度の竹燃料を製造し、どのユーザがどの程度の竹燃料を使用したかということを示すデータを記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンニュートラルな燃料の利用を実現するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の弊害が叫ばれて久しい昨今、重油等の化石燃料ではなく、カーボンニュートラルなバイオマス燃料に注目が集まっている。植物に由来するバイオマス燃料を燃焼させたときに排出される二酸化炭素は、その植物が光合成により植物内に固定した空気中の二酸化炭素に由来するため、バイオマス燃料を燃焼させた場合には理論上、空気中の二酸化炭素量は上昇しない。それを燃焼させても理論上空気中の二酸化炭素量を上昇させることがないこのような燃料はカーボンニュートラルな燃料と呼ばれており、その実用化が待たれている。
【0003】
カーボンニュートラルなバイオマス燃料としては、近年ことに有名になっているバイオエタノールを初めとして様々なものが提案されている。その中で、本願出願人は、竹に目を付けた。
竹は、世界中の広い地域に生育している。しかも、竹は、その生長が極めて早い。それにも関わらず竹は、建材や日用雑貨の材料として一部利用がなされているもののその大部分は何らの有効利用がなされておらず、そのためその調達に要するコストが、原油などの化石燃料に比べると殆どただといえるほど安価である。
このような事情に鑑みれば、竹を燃料とすることは、新たなカーボンニュートラルな燃料の利用の途を開くことになると同時に、竹の有効利用をも図ることにも繋がるため、非常に好ましい。
【0004】
ところで、竹を燃料として用いること自体は既に提案されている。しかしながら、その実用化は十分に実現できてはいない。
竹を燃料として用いる技術を机上の空論ではなく現実のものとして実現するために越えなくてはならない問題の一つにコストの問題がある。それは、端的にいえば、竹を燃料として用いる場合に必要なコストが化石燃料を利用する場合のコストよりも低くなければならないということである。ユーザが燃料としての竹を調達するコストよりも化石燃料を調達するのに要するコストが低ければ、或いは竹を燃料として用いるに必要な設備投資に多額のコストが必要なのであれば、竹を燃料として用いる技術の普及はありえない。
【0005】
竹を燃料として用いるに必要な設備投資のコストを小さくするための方策として、竹をチップ状にすることが行われている。そのようなチップ状の竹は、従来からある固形燃料用の炉で燃焼させることができるため、設備投資に要するコストを小さくするに有用である。また、チップ状にした竹は、ハンドリング性能にも優れるので、輸送、保管のコストの面でも優れる。
もっとも、竹をチップ状に加工することは燃料の価格を押し上げることにつながる。また、チップ状の竹はそれを燃料として用いるために多くの場合乾燥させることが必要となり、これも燃料の価格に不利な影響を与える。これに、チップ状の竹の保管、輸送に要するコストなども存在し、それらのいずれもが既に構築された巨大なインフラを用いることのできる化石燃料よりも不利だという現状がある。
このような様々なコスト要因を様々な努力により小さくし、化石燃料よりもコスト的に有利であるという状況を作り出さない限り、竹の調達に要するコストが如何に安価だとはいえ、竹を燃料として用いる技術を実用化するのは難しい。
【0006】
以上が従来までの、燃料として竹を用いる場合の一般的な考え方である。
しかしながら、本願出願人は、このような一般的な考え方と一線を画する新たな着想を得た。竹を燃料として用いる場合、それがカーボンニュートラルな燃料であるが故に、二酸化炭素排出権との関係で有利な取り扱いを受けられる可能性がある。そのような場合、現在実現に向けた動きが加速している二酸化炭素排出権取引を利用して資金を調達することにより、結果として、竹を燃料として利用する場合のコスト低減を実現できる可能性があるという着想を本願出願人は得た。
【0007】
ところで、二酸化炭素排出権取引は現在のところ、国家、地方自治体、大企業等の非常に大量の二酸化炭素の排出が予定された者しか対象としていない。
しかしながら、竹を燃料として用いる者として想定されているのは現在のところ、農家や中小企業の小規模ユーザであるため、二酸化炭素排出権取引を利用して資金を調達することにより竹を燃料として利用する場合のコスト低減を図るという上述の目論見は、必ずしも容易には達成されない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、竹を燃料として用いる小規模ユーザが二酸化炭素排出権取引を利用できるようにすることにより、竹を燃料として用いる技術を実用化できるようにすることをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するための本発明は、以下のようなものである。
本願発明は、竹を材料とする竹燃料を製造する複数の製造者、前記竹燃料を燃料として用いる複数のユーザ、前記製造者から受取った竹燃料を前記ユーザに受け渡す管理者が共通して用いるものであり、前記竹燃料をその中に収納する容器と、前記容器に付されたものであり、それが付された容器を他の容器から識別するための情報を持った識別子と、前記製造者から前記管理者に受け渡される容器に付された前記識別子が持つ前記情報を当該容器が前記製造者から前記管理者に受け渡される度に読取る、前記製造者のそれぞれが管理する第1読取り手段と、前記管理者から前記ユーザに受け渡される容器に付された前記識別子が持つ前記情報を当該容器が前記管理者から前記ユーザに受け渡される度に読取る、前記管理者が管理する第2読取り手段と、前記管理者から前記ユーザに受け渡された容器に付された前記識別子が持つ前記情報を当該容器が前記管理者から前記ユーザに受け渡される度に読取る、前記ユーザのそれぞれが管理する第3読取り手段と、前記第1読取り手段、前記第2読取り手段、及び前記第3読取り手段が読取った前記情報を、それを読取った前記第1読取り手段、前記第2読取り手段、及び前記第3読取り手段を管理する製造者、管理者、又はユーザを特定する情報とともに前記第1読取り手段、前記第2読取り手段、及び前記第3読取り手段から受取り、記録媒体に記録する記録手段と、を備えている竹燃料供給システムである。
【0010】
この竹燃料供給システムで扱われる竹燃料は、カーボンニュートラルな燃料である。上述したように、カーボンニュートラルな竹燃料は、それまで使用されていた化石燃料からの置換が行なわれた場合、二酸化炭素の排出量が少なくなったものとして扱われる可能性がある。そのような場合、化石燃料に代えて竹燃料を用いるようにしたことで二酸化炭素の排出量がどれだけ減ったかということを、客観性を保ちつつ正確に把握することができれば、減った分の二酸化炭素の排出量に対応した二酸化炭素排出権を、第三者に販売することが可能となる。
本願発明では、二酸化炭素の排出量がどれだけ減ったかということの客観的で正確な把握を、竹を材料とする竹燃料を製造する複数の製造者、前記竹燃料を燃料として用いる複数のユーザ、前記製造者から受取った竹燃料を前記ユーザに受け渡す管理者という竹燃料に関連する三者の間でどのように竹燃料が移動したかということを、移動した竹燃料の分量も含めて把握することにより実現することにしている。より具体的には、本願発明では、製造者が管理する第1読取り手段と、管理者が管理する第2読取り手段と、ユーザが管理する第3読取り手段と、容器に付された識別子と、を用いることにより、竹燃料に関連する三者の間でどのように竹燃料が移動したかということを把握する。第3読取り手段によって識別子から読取られた情報は、その識別子に付された竹燃料がユーザによって用いられたことを保証する(これは、竹燃料を用いることによりどれだけ二酸化炭素の排出量が減らせたかということを把握するために寄与する。)。また、第2読取り手段によって識別子から読取られた情報は、管理者を通った竹燃料の量を、第1読取り手段によって識別子から読取られた情報は、どの製造者がどれだけの竹燃料を製造したかということを、それぞれ保証するものであり、第3読取り手段によって識別子から読取られた情報から把握されるどのユーザがどれだけの竹燃料を用いたかという情報の客観性、正確性を担保するに寄与する。
本願発明では、このような情報を記録手段によって記録媒体に記録することにより、化石燃料に代えて竹燃料を用いるようにしたことで二酸化炭素の排出量がどれだけ減ったかということを、客観性を保ちつつ正確に把握することができるようにするのである。
これは、更なる以下の利点をもたらす。
まず、複数のユーザが排出を減らした二酸化炭素の全量をまとめて管理できるようになり、複数のユーザが排出を減らした二酸化炭素の量をまとめて可視化することができるので、ユーザそれぞれがたとえ小規模であったとしても、二酸化炭素排出権取引を実現することが可能となる。
次に、どの製造者がどれだけの竹燃料を製造したかということが明らかになるので、各製造者の竹燃料の製造に対する寄与度(例えば、各製造者が製造した竹燃料の量)に応じて、二酸化炭素排出権取引によって得られた利益の合理的な分配が可能となる。
以上のような理由で、本願発明によれば、従来から障害となっていた竹燃料を用いるためのコストの問題を解決できるので、竹燃料を用いる技術を実用化できるようになる。
【0011】
上述の識別子は、各容器を区別するための情報を持たせることができるようなものであればどのようなものでもよい。
例えば、識別子はバーコード(1次元バーコードでも2次元バーコードでもよい。)であってもよい。識別子は、また、ICチップであってもよい。第1読取り手段、第2読取り手段、第3読取り手段はいずれも、識別子の種類に応じて適当に選択することができる。
【0012】
製造者は、竹燃料を製造するすべての工程を担当する場合もある。しかし、製造者は、竹燃料を製造する工程の一部のみを担当する場合もある。前記製造者が、前記竹燃料を製造する異なった工程を担当する複数の者を含む場合、前記第1読取り手段は、異なった工程を担当する複数の製造者のそれぞれが管理するように複数とされているとともに、ある製造者から他の製造者に前記竹燃料が入った前記容器が受け渡される度に、当該ある製造者が管理する第1読取り手段が、当該容器に付されている前記識別子の情報を読取るようにされていてもよい。
このようにすることで、各製造者の竹燃料の製造に対する寄与度をより詳細に把握できるようになる。
各製造者が竹燃料を製造する工程の一部のみを担当する場合、前記製造者は、竹のチップ化の工程を担当する者、竹の乾燥を担当する者を少なくとも含んでいるものとすることができる。
【0013】
本願発明の作用効果は、例えば以下の方法によっても得ることができる。
その方法は、竹を材料とする竹燃料を製造する複数の製造者、前記竹燃料を燃料として用いる複数のユーザ、前記製造者から受取った竹燃料を前記ユーザに受け渡す管理者が共通して用いるものであり、前記竹燃料をその中に収納する容器と、前記容器に付されたものであり、それが付された容器を他の容器から識別するための情報を持った識別子と、前記製造者から前記管理者に受け渡される容器に付された前記識別子が持つ前記情報を当該容器が前記製造者から前記管理者に受け渡される度に読取る、前記製造者のそれぞれが管理する第1読取り手段と、前記管理者から前記ユーザに受け渡される容器に付された前記識別子が持つ前記情報を当該容器が前記管理者から前記ユーザに受け渡される度に読取る、前記管理者が管理する第2読取り手段と、前記管理者から前記ユーザに受け渡された容器に付された前記識別子が持つ前記情報を当該容器が前記管理者から前記ユーザに受け渡される度に読取る、前記ユーザのそれぞれが管理する第3読取り手段と、を含んでおり、これらとの組合わせにより竹燃料供給システムをなすコンピュータにより実行される方法である。
この方法は、コンピュータが実行する、前記第1読取り手段、前記第2読取り手段、及び前記第3読取り手段が読取った前記情報を、それを読取った前記第1読取り手段、前記第2読取り手段、及び前記第3読取り手段を管理する製造者、管理者、又はユーザを特定する情報とともに前記第1読取り手段、前記第2読取り手段、及び前記第3読取り手段から受取る過程、前記第1読取り手段、前記第2読取り手段、及び前記第3読取り手段が読取った前記情報を、それを読取った前記第1読取り手段、前記第2読取り手段、及び前記第3読取り手段を管理する製造者、管理者、又はユーザを特定する情報とともに記録媒体に記録する過程、を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明による竹燃料供給システムの好ましい一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0015】
この実施形態の竹燃料供給システムには、図1に示したように、竹を素材とする竹燃料を取扱う者、3者が登場する。第1は、竹を材料とする竹燃料を製造する複数の製造者1であり、第2は、竹燃料を製造者1から受け渡される管理者2であり、第3は、竹燃料を管理者2から受け渡されその竹燃料を燃料として使用するユーザ3である。
図1に示される矢印は、竹燃料の移動経路を示す。
必ずしもこの限りではないが管理者2は1人(或いは1社又は1団体)である。他方、製造者1とユーザ3はそれぞれ、複数人(或いは複数社又は複数団体)存在する。この実施形態では、製造者1には、竹燃料を製造するすべての工程を担当する製造者1−1と、竹燃料を製造する工程の一部ずつを担当する製造者1−2A、1−2Bが含まれる。この実施形態における竹燃料は、伐採した竹をチップ化し、それを乾燥させるという公知の方法によって製造されるが、製造者1−2Aは伐採した竹をチップ化する工程を、製造者1−2Bはチップ化した竹を乾燥する工程をそれぞれ担当する。製造者1−2Aは、自分の担当する工程を終えた竹燃料を、製造者1−2Bへ受渡し、製造者1−2Bは、自分の担当する工程を終えた竹燃料を、管理者2へ受け渡す。
【0016】
製造者1−2Aから製造者1−2Bへ、製造者1(製造者1−1又は製造者1−2B)から管理者2へ、管理者2からユーザ3への竹燃料の受渡しには、共通して同じ容器300が用いられる。この容器300は、竹燃料をその内部に収納した状態で配送することができるようなものであればどのようなものでも構わないが、例えば樹脂製のシートにより構成された公知の袋を容器300に採用することができる(図2)。
容器300には、各容器300を他の容器300から識別するための識別子310が含まれている。識別子310は、各容器300を他の容器300から識別するための情報(識別子情報)を持たせることができるようなものであればどのようなものでもよく、例えば公知のICチップにより構成することができるが、この実施形態ではバーコード、特に容器300の外側面に印刷された二次元バーコードにより構成されている。
【0017】
製造者1(製造者1−1、製造者1−2A、製造者1−2B)、管理者2、ユーザ3は、容器300に付された識別子310が持つ識別子情報を読取るための器具を備えている。この実施形態におけるその器具は、図示を省略するがバーコードリーダである。バーコードリーダは、公知のものでよい。
製造者1(製造者1−1、製造者1−2A、製造者1−2B)、管理者2、ユーザ3が有するバーコードリーダはともに、容器300に付された識別子310が持つ識別子情報を読取った場合、当該識別子情報を後述する管理装置に送信することができるようになっている。識別子情報の送信は、どのような手段によって行なわれるようになっていてもよいが、この実施形態では、インターネットを介してこれを実現することとしている。それを可能とするため、バーコードリーダは、インターネットに接続可能な図示を省略の汎用のパーソナルコンピュータに接続できるようになっている。もっともバーコードリーダは、パーソナルコンピュータに接続できるようになっている必要は必ずしもなく、例えばそれが識別子情報を記録する着脱可能な記録媒体を備えているのであれば、この記録媒体に記録された識別子情報をパーソナルコンピュータに読込ませることにより、パーソナルコンピュータから管理装置への識別子情報の送信を実現することができる。
製造者1(製造者1−1、製造者1−2A、製造者1−2B)、管理者2、ユーザ3が有するバーコードリーダはともに、識別子310から読取った識別子情報を管理装置に送信する場合には、当該情報に加えて、その識別子情報を識別子310から読取ったバーコードリーダを管理する製造者1(製造者1−1、製造者1−2A、製造者1−2B)、管理者2、又はユーザ3を特定するための情報である特定情報をも管理装置に送信するようになっている。かかる特定情報は、例えば、各バーコードリーダの中に含まれているメモリに記録された各バーコードリーダにユニークな情報とすることができる。管理装置が各バーコードリーダが有する特定情報とその特定情報を有するバーコードリーダを管理する者の対応関係を把握していれば、各バーコードリーダにユニークな特定情報は各バーコードリーダを管理する者を特定する情報となる。特定情報は、或いは、バーコードリーダに備え付けられた公知のテンキー等の操作によって、そのバーコードリーダを管理する者が入力により生成したものであってもよい。この場合の特定情報は、管理装置の管理者等に管理される、バーコードリーダを管理する製造者1(製造者1−1、製造者1−2A、製造者1−2B)、管理者2、ユーザ3のそれぞれにユニークな公知のIDとすることが可能である。いずれにしても、各バーコードリーダは、識別子情報に加えて特定情報をもパーソナルコンピュータに送り、パーソナルコンピュータにそれを管理装置に送信させるようになっている。
【0018】
管理装置は、コンピュータ、この実施形態では汎用のパーソナルコンピュータによって構成されている。必ずしもそうである必要はないが、管理装置は、管理者2の管理下に置かれている。
管理装置のハードウエア構成を図3に示す。
管理装置は、図3に示したように、CPU(central processing unit)101、ROM(read only memory)102、RAM(random access memory)103、インタフェイス104、HDD(hard disc drive)105、及びこれらを接続するバス106を備えてなる。
CPU101は演算装置であり、所定のプログラム、データにしたがって、様々な処理を実行するものである。CPU101が実行する処理については後述する。
ROM102は、情報を固定的に記録する記録媒体である。この実施形態では、CPU101が後述する処理を実行するために必要とするプログラム及びデータがROM102に記録されている。
RAM103は、揮発性の記録媒体であり、CPU101が後述の処理を行う際に必要な作業領域を提供するものである。
HDD105は、情報を記録する記録媒体である。上述したプログラムは、ROM102ではなく、HDD105に記録されていてもよい。また、プログラムは、管理装置となるパーソナルコンピュータの出荷時から、管理装置に組込まれている必要はなく、後から管理装置にインストールされたものであっても構わない。かかるプログラムのインストールは、プログラムを記録した、DVD等の記録媒体を用いて行われてもよいし、ネットワーク配信を経て行われてもよい。
インタフェイス104は、図3に示されたハードウエア構成と外部とを繋ぐものであり、ハードウエア構成の外部に対する窓口となる。この実施形態のインタフェイス104は、インターネットと接続できるように構成されている。インタフェイス104は、インターネットを介して、上述したバーコードリーダから、識別子情報と特定情報とを受取ることができるようになっている。
バス106は、CPU101、ROM102、RAM103、インタフェイス104、及びHDD105を互いに接続するものである。
【0019】
上述のプログラムが実行されることにより、管理装置の内部には、図4に示すような機能ブロックが形成される。
管理装置の内部には、入力部111、制御部112、第1記録部113、第2記録部114が生成される。
【0020】
入力部111は、インターネットから情報を受付けるものである。より詳細には、入力部111は、バーコードリーダが読取った識別子情報とそれに付属された特定情報を、インターネットからインタフェイス104を介して受取るようになっている。入力部111は受取った情報を制御部112に送るようになっている。
制御部112は、識別子情報と特定情報とを入力部111から受取り、それら識別子情報と特定情報に基づく情報を第2記録部114に記録する。第2記録部114に記録される情報の内容は後述する。
第1記録部113には、特定情報とバーコードリーダを管理する者の対応関係を示す情報が記録されている。バーコードリーダを管理する者についての情報は、バーコードリーダを管理する者が製造者1であるか、管理者2であるか、ユーザ3であるか、その者が製造者1である場合には、竹燃料を製造するためのすべての工程を実行する者か、或いは竹燃料を製造するためのどの工程のみを実行する者か、という情報も記録している。第1記録部111に記録されている情報の一例を図5に示す。図5における「役割」の欄に記載されているのが、バーコードリーダを管理する者が製造者1であるか、管理者2であるか、ユーザ3であるか、その者が製造者1である場合には、竹燃料を製造するためのすべての工程を実行する者か、或いは竹燃料を製造するどの工程を実行する者かという情報である。
制御部112は、第2記録部114に情報を記録する場合、第1記録部113に記録されている情報を利用する。制御部112が第1記録部113に記録される情報をどのように利用するかについては後述する。
【0021】
次に、竹燃料供給システムで実行される処理について説明する。
まず、製造者1が竹燃料を製造する。
竹燃料を製造するすべての工程を実行する製造者1−1は、竹燃料を製造するためのすべての工程を自分で実行することにより竹燃料を製造する。製造した竹燃料は、上述した容器300に収納される。
製造者1−1は、竹燃料を収納した容器300を管理者2に受け渡す。製造者1−1は、竹燃料を収納した容器300を管理者2に受け渡す際(例えば、容器300を発送する際)に、容器300に付されている識別子310が持つ識別子情報を自分が管理するバーコードリーダで読取る。識別子情報は、上述したように特定情報と併せて、バーコードリーダから、パーソナルコンピュータ、インターネットを介して管理装置に送られる。
竹燃料を製造する工程の一部のみを実行する製造者1−2A、1−2Bのうち製造者1−2Bは、竹チップを乾燥する工程を終えた後、製造者1−1の場合と同様に、竹燃料を収納した容器300を管理者2に受け渡す。製造者1−2Bは、竹燃料を収納した容器300を管理者2に受け渡す際(例えば、容器300を発送する際)に、容器300に付されている識別子310が持つ識別子情報を自分が管理するバーコードリーダで読取る。識別子情報は、上述したように特定情報と併せて、バーコードリーダから、パーソナルコンピュータ、インターネットを介して管理装置に送られる。
竹燃料を製造する工程の一部のみを実行する製造者1−2A、1−2Bのうち製造者1−2Aは、竹をチップ化する工程を終えた後、竹燃料を収納した容器300を下流の製造者1である製造者1−2Bに受け渡す。製造者1−2Aは、竹燃料を収納した容器300を製造者1−2Bに受け渡す際(例えば、容器300を発送する際)に、容器300に付されている識別子310が持つ識別子情報を自分が管理するバーコードリーダで読取る。識別子情報は、上述したように特定情報と併せて、バーコードリーダから、パーソナルコンピュータ、インターネットを介して管理装置に送られる。
【0022】
このようにして、製造者1が製造した竹燃料は、製造者1−1又は製造者1−2Bから、管理者2に受け渡される。
管理者2は、竹燃料を収納した容器300を必要に応じて、例えばユーザ3からの注文に応じてユーザ3のいずれかに受け渡す。
管理者2は、竹燃料を収納した容器300をユーザ3に受け渡す際(例えば、容器300を発送する際)に、容器300に付されている識別子310が持つ識別子情報を自分が管理するバーコードリーダで読取る。識別子情報は、上述したように特定情報と併せて、バーコードリーダから、パーソナルコンピュータ、インターネットを介して管理装置に送られる。
【0023】
ユーザ3は、管理者2から竹燃料を収納した容器300を受け渡される。容器300を受け渡されたユーザは、その受け渡しと同時かその後に、容器300に付されている識別子310が持つ識別子情報を自分が管理するバーコードリーダで読取る。識別子情報は、上述したように特定情報と併せて、バーコードリーダから、パーソナルコンピュータ、インターネットを介して管理装置に送られる。
【0024】
以上のようにして、製造者1、管理者2又はユーザ3が管理するバーコードリーダから識別子情報と特定情報が管理装置に送られる。
いずれの場合も、管理装置は、そのインタフェイス104で識別子情報と特定情報とを受け取る。識別子情報と特定情報とは、入力部111から制御部112に送られる。
識別子情報と特定情報とを受取ると制御部112は、第1記録部113にアクセスし、受取った特定情報に対応付けられたバーコードリーダを管理する者を特定する。例えば、特定情報が「111AB」である場合、制御部112は、その特定情報に対応付けられたバーコードリーダを管理する者を「○○株式会社」と、特定情報が「434AM」である場合、制御部112は、その特定情報に対応付けられたバーコードリーダを管理する者を「管理組合(この実施形態で言う管理者2である。)」と、それぞれ特定する。
かかる特定を行なった後、制御部112は、第2記録部114に対してデータの書込を行なう。この実施形態では、第2記録部114には、図6に示したようなデータと、図7に示したようなデータの2種類のデータが記録されることになる。
【0025】
図6に示したデータは、各製造者1、管理者2、各ユーザ3毎に、それらが管理するバーコードリーダで読込まれた識別子情報と、当該識別子情報がバーコードリーダで読込まれた日時とを記録したものである。
なお、識別子情報がバーコードリーダで読込まれた時間についての情報は、バーコードリーダ或いはバーコードリーダをインターネットに接続するための上述したパーソナルコンピュータが識別子情報と特定情報に更に付属させることにより識別子情報とともに第2記録部114に記録されるようにしても構わないが、この実施形態では、バーコードリーダが識別子情報を読取ってから管理装置が当該識別子情報を受取るまでにかかる時間が長くないことを考慮し、管理装置が識別子情報を受取った日時をバーコードリーダが識別子情報を読取った日時であるとみなすことにしている。なお、パーソナルコンピュータにより構成される管理装置がそれが備える時計機能を用いてそのような処理を実現できることは、当業者には説明の必要がないであろう。
【0026】
各製造者1は、竹燃料を収納した容器300を管理者2に受け渡す際に(ただし、製造者1−2Aにおいては容器300を製造者1−2Bに受け渡す際に)、容器300に付されている識別子310が持つ識別子情報を自分が管理するバーコードリーダで読取る。したがって、ある製造者1について記録された識別子情報は、その製造者1が管理者2又は他の製造者1に対して受け渡した(出荷した)容器300を特定する情報となる。したがって、図6に示されるデータは、製造者1に関していえば、竹燃料の製造において、各製造者1がどの程度貢献したかということを示すものとなる。
管理者2は、竹燃料を収納した容器300をユーザ3に受け渡す際に、容器300に付されている識別子310が持つ識別子情報を自分が管理するバーコードリーダで読取る。したがって、管理者2について記録された識別子情報は、管理者2がユーザ3に対して受け渡した(出荷した)容器300を特定する情報となる。したがって、図6に示されるデータは、管理者2に関していえば、この実施形態の竹燃料供給システムの全体でどの程度の竹燃料が製造或いは使用されたかということの目安を示すものとなる。
各ユーザ3は、竹燃料を収納した容器300を管理者2から受け渡されるのと同時かその後に、容器300に付されている識別子310が持つ識別子情報を自分が管理するバーコードリーダで読取る。したがって、あるユーザ3について記録された識別子情報は、各ユーザ3が管理者2から受け渡された容器300を特定する情報となる。したがって、図6に示されるデータは、ユーザ3に関していえば、各ユーザ3がどの程度の竹燃料を管理者2から受取ったか、ひいてはどの程度の竹燃料を使用したかということを示すものとなる。しかもこの情報は、管理者2について記録された識別子情報との照合により、その正確性がより強く担保されることになる各容器300に入れることのできる竹燃料の量が決まっているのであり、また、竹燃料一単位を用いることで二酸化炭素の排出量をどの程度減らせるかということが、例えば権威のある機関などにより明らかにされているのであれば、各ユーザ3毎に記録された識別子情報から、各ユーザ3が従来の化石燃料に代えて竹燃料を用いることで排出を減らした二酸化炭素の量を明らかにするのは容易である。各ユーザ3が排出を減らした二酸化炭素の量が判れば、全ユーザ3の中で各ユーザ3が二酸化炭素の排出を減らすのに果たした貢献度を明らかにすることができる。他方、管理装置において各ユーザ3が受取った容器300の総数を算出することがもちろん可能である。各ユーザ3が受取った容器300の総数が判れば、この実施形態の竹燃料供給システムを用いているユーザ3が排出を減らした二酸化炭素の総量も明らかになる。これが明らかになれば、この竹燃料供給システムを用いている全員で排出を減らすことによって作ることができるようにされた二酸化炭素排出権のボリュームが明らかになる。
【0027】
図7に示したデータは、各識別子情報毎に、その識別子情報を読取ったバーコードリーダを管理する者と、その識別子情報が読取られた時間とを記録したものである。識別子情報がバーコードリーダで読込まれた時間についての情報の取り扱いは、図6に示したデータにおける場合と同様とすることができる。
【0028】
図7に示したデータによれば、各識別子情報の付された容器300が、製造者1、管理者2、ユーザ3の間でどのように移動したかということについての追跡が可能となる。このようなデータは、竹燃料の製造から使用までの一貫した管理を実現するものであり、図6に示したデータによって作ることができる二酸化炭素排出権の正当性を裏付けるものとなる。
なお、図7に示したデータでは、管理装置に送られて来た識別子情報と一緒に送られて来た特定情報が、その識別子情報を読取ったバーコードリーダを管理する者がユーザ3であることを示すものである場合には、それが明らかになるようなものとするようになっている(図7では、バーコードリーダを管理する者がユーザ3であった場合には、(ユーザ)という書込がなされるようになっている。)。図7に示したデータをこのようなものとすることで、ユーザ3が使用し終わった容器300が特定されるので、使用し終わった容器300を製造者1に渡して容器300の繰返しの使用を行なう場合における混乱を防ぐことができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態による竹燃料供給システムに参加する者を概念的に示す図。
【図2】本発明の一実施形態による竹燃料供給システムで使用される容器を示す斜視図。
【図3】本発明の一実施形態による竹燃料供給システムで使用される管理装置のハードウエア構成を示す図。
【図4】本発明の一実施形態による竹燃料供給システムで使用される管理装置の中に生成される機能ブロックを示すブロック図。
【図5】図4に示した第1記録部に記録されたデータの一例を概念的に示す図。
【図6】図4に示した第2記録部に記録されるデータの一例を概念的に示す図。
【図7】図4に示した第2記録部に記録されるデータの他の一例を概念的に示す図。
【符号の説明】
【0030】
1 製造者
2 管理者
3 ユーザ
112 制御部
113 第1記録部
114 第2記録部
300 容器
310 識別子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹を材料とする竹燃料を製造する複数の製造者、前記竹燃料を燃料として用いる複数のユーザ、前記製造者から受取った竹燃料を前記ユーザに受け渡す管理者が共通して用いるものであり、前記竹燃料をその中に収納する容器と、
前記容器に付されたものであり、それが付された容器を他の容器から識別するための情報を持った識別子と、
前記製造者から前記管理者に受け渡される容器に付された前記識別子が持つ前記情報を当該容器が前記製造者から前記管理者に受け渡される度に読取る、前記製造者のそれぞれが管理する第1読取り手段と、
前記管理者から前記ユーザに受け渡される容器に付された前記識別子が持つ前記情報を当該容器が前記管理者から前記ユーザに受け渡される度に読取る、前記管理者が管理する第2読取り手段と、
前記管理者から前記ユーザに受け渡された容器に付された前記識別子が持つ前記情報を当該容器が前記管理者から前記ユーザに受け渡される度に読取る、前記ユーザのそれぞれが管理する第3読取り手段と、
前記第1読取り手段、前記第2読取り手段、及び前記第3読取り手段が読取った前記情報を、それを読取った前記第1読取り手段、前記第2読取り手段、及び前記第3読取り手段を管理する製造者、管理者、又はユーザを特定する情報とともに前記第1読取り手段、前記第2読取り手段、及び前記第3読取り手段から受取り、記録媒体に記録する記録手段と、
を備えている竹燃料供給システム。
【請求項2】
前記識別子がバーコードである、
請求項1記載の竹燃料供給システム。
【請求項3】
前記製造者が、前記竹燃料を製造する異なった工程を担当する複数の者を含む場合、
前記第1読取り手段は、異なった工程を担当する複数の製造者のそれぞれが管理するように複数とされているとともに、
ある製造者から他の製造者に前記竹燃料が入った前記容器が受け渡される度に、当該ある製造者が管理する第1読取り手段が、当該容器に付されている前記識別子の情報を読取るようにされている、
請求項1又は2記載の竹燃料供給システム。
【請求項4】
前記製造者は、竹のチップ化の工程を担当する者、竹の乾燥を担当する者を少なくとも含む、
請求項3記載の竹燃料供給システム。
【請求項5】
竹を材料とする竹燃料を製造する複数の製造者、前記竹燃料を燃料として用いる複数のユーザ、前記製造者から受取った竹燃料を前記ユーザに受け渡す管理者が共通して用いるものであり、前記竹燃料をその中に収納する容器と、
前記容器に付されたものであり、それが付された容器を他の容器から識別するための情報を持った識別子と、
前記製造者から前記管理者に受け渡される容器に付された前記識別子が持つ前記情報を当該容器が前記製造者から前記管理者に受け渡される度に読取る、前記製造者のそれぞれが管理する第1読取り手段と、
前記管理者から前記ユーザに受け渡される容器に付された前記識別子が持つ前記情報を当該容器が前記管理者から前記ユーザに受け渡される度に読取る、前記管理者が管理する第2読取り手段と、
前記管理者から前記ユーザに受け渡された容器に付された前記識別子が持つ前記情報を当該容器が前記管理者から前記ユーザに受け渡される度に読取る、前記ユーザのそれぞれが管理する第3読取り手段と、
を含んでおり、これらとの組合わせにより竹燃料供給システムをなすコンピュータにより実行される方法であって、
前記コンピュータが実行する、
前記第1読取り手段、前記第2読取り手段、及び前記第3読取り手段が読取った前記情報を、それを読取った前記第1読取り手段、前記第2読取り手段、及び前記第3読取り手段を管理する製造者、管理者、又はユーザを特定する情報とともに前記第1読取り手段、前記第2読取り手段、及び前記第3読取り手段から受取る過程、
前記第1読取り手段、前記第2読取り手段、及び前記第3読取り手段が読取った前記情報を、それを読取った前記第1読取り手段、前記第2読取り手段、及び前記第3読取り手段を管理する製造者、管理者、又はユーザを特定する情報とともに記録媒体に記録する過程、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−55321(P2010−55321A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218704(P2008−218704)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000204192)太陽工業株式会社 (174)
【出願人】(508260289)有限会社 エリア環境技術研究所 (1)
【出願人】(504059544)株式会社トータル環境 (12)