竹筋入りのコンクリート二次成形品、およびそのコンクリート二次成形品の成形方法
【課題】本発明は竹筋入りのコンクリート二次成形品、およびそのコンクリート二次成形品の成形方法に関し、竹筋を用心筋として使用することによりコンクリート二次成形品の強度を補強し、また竹筋とコンクリートとの付着性を良好にする。
【解決手段】高流動コンクリート2の内部に、竹筋1が、竹を縦割して所望幅W、所望長さL1にてコンクリート二次成形品Aの長尺方向Xに所望間隔K1にて配筋されるか、竹の表皮部分を所望幅W、所望厚さTにてコンクリート二次成形品の長尺方向に所望長さL1、所望間隔K1にて配筋される主筋1Aと、主筋の上面に竹を縦割して所望幅W、所望長さL2にてコンクリート二次成形品の短尺方向Yに所望間隔K2に配筋されるか、または、竹の表皮部分を所望幅W、所望厚さTにてコンクリート二次成形品の短尺方向に所望長さL2、所望間隔K2にて配筋されて主筋に結合手段3により結合される短尺筋1Bと、により構成される用心筋4を配筋している。
【解決手段】高流動コンクリート2の内部に、竹筋1が、竹を縦割して所望幅W、所望長さL1にてコンクリート二次成形品Aの長尺方向Xに所望間隔K1にて配筋されるか、竹の表皮部分を所望幅W、所望厚さTにてコンクリート二次成形品の長尺方向に所望長さL1、所望間隔K1にて配筋される主筋1Aと、主筋の上面に竹を縦割して所望幅W、所望長さL2にてコンクリート二次成形品の短尺方向Yに所望間隔K2に配筋されるか、または、竹の表皮部分を所望幅W、所望厚さTにてコンクリート二次成形品の短尺方向に所望長さL2、所望間隔K2にて配筋されて主筋に結合手段3により結合される短尺筋1Bと、により構成される用心筋4を配筋している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は竹筋入りのコンクリート二次成形品、およびそのコンクリート二次成形品の成形方法に関し、竹筋を用心筋として使用することによりコンクリート二次成形品の強度を補強し、また竹筋とコンクリートとの付着性を良好にしようとする。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば建築物、または建築物の躯体や外装材の下地材として使用される建築用竹製躯体には、竹材を複数枚接着剤を介して積層することにより躯体を形成したものがある。すなわち、この建築用竹製躯体は、複数枚の竹材同士を接着剤を用いて積層するか、または複数枚の竹材と木材とを接着剤を介して接着するものであった。そして、この建築用竹製躯体は、例えば木造建築物における柱、土台、梁等の躯体として、檜、杉、松、ひば、桐、ツゲ、ラワン、シナ等の原木を加工した天然素材や、それらの集成材を用いた場合には、森林保護や環境保護の観点から、伐採による資源の枯渇が大きな問題になっていたのに対して竹材がもつ強度を活かし、充分な材料供給をはかろうとするものである。このように、竹材が持つ強度は充分に知られているところである(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−131393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の上記従来の建築用竹製躯体は、例えば建築物、または建築物の躯体や外装材の下地材として使用されるものであり、竹材が持つ強度と、充分な材料供給性を活かし、竹材同士、または竹材と木材とを接着剤を介して複数枚接着して積層するものであった。従って、特許文献1に記載の上記従来の建築用竹製躯体は、建築用資材としてその用途が限られて使用されるものであり、その構造は集成材としての意味合いが強調されたものと言える。
【0005】
そして、特許文献1に記載の従来の建築用竹製躯体は、例えば建築用外装材として竹材を戸外において用いた場合には雨水により腐食したり天日や風により繊維が劣化してワレや解れを生じ、強度が低下し、耐用年数が損なわれることがあった。また、戸内において基礎材や土台に用いた場合には、特に水周り個所において、同様に水により腐食し、強度が低下し、耐用年数が損なわれることがあった。
【0006】
また、土木分野において、コンクリートにより成形されるコンクリート二次製品、例えば暗渠ブロック、側溝ブロック、および水路ブロックの下面に敷設するコンクリート基礎板ブロック、または、コンクリート擁壁ブロック、コンクリート護岸ブロック、コンクリート植生ブロックには、引っ張りまたは圧縮等の強度を発揮するために、前記コンクリート二次製品の内部に構造材として鉄筋を配筋することは知られているが、構造材としての鉄筋よりも強度はやや劣るが、想定される耐用年数を満たすために、充分な引っ張りと圧縮とを備える用心筋(この明細書において、用心筋とは、コンクリート二次成形品の成形時、またはコンクリ−ト二次成形品を敷設する施工時に構造上、無筋でもかまわず、構造的に不測の衝撃や荷重が加わった場合に、強度を発揮してコンクリート二次成形品の全面的な破壊や折損を免れて竹筋が繋がったまま破損されることなく作業員の安全性を確保できる程度の強度を発揮する補強筋をいうものとする)として竹筋を用いることについては、未だ知られていない。
【0007】
土木分野において、用いられる前述のようなコンクリート二次製品として竹材を用心筋として用いる場合には、コンクリートに対して用心筋としての竹材が異質であるので、型枠内に打設されるコンクリートは竹材に対して付着性が悪く、竹材とコンクリートとの間に空隙が生じて分離し易くなるため、コンクリートが用心筋としての竹材に対してずれ動き易い。
【0008】
しかも、コンクリートに対して用心筋としての竹材が異質であるので、コンクリートと竹材との膨張率が異なり、竹材とコンクリートとの間に空隙が生じ易くなるため、コンクリートが用心筋としての竹材に対してずれ動き易くなり、竹材の強度を用心筋として充分に活かしきれないという問題があった。
【0009】
また、コンクリート二次製品を成形する場合に、通常コンクリートは、主材としてセメントを骨材、水等に混合してミキサーにより混練して成形するが、コンクリートの内部には空気が内包されるので、前記コンクリート混練物を型枠内に打設するのに、加振機により振動を加えることにより空気抜きを行い、締め固めを行っているが、充分に空気抜きが行えず、鉄筋や用心筋の周囲に気泡が凝集し、鉄筋や用心筋と、コンクリートとの間に前述のような空隙が生ずるため、コンクリート二次製品の強度を損ねるという問題があった。
【0010】
本発明は上記従来の欠点を解決し、コンクリートと用心筋としての竹筋との付着性が良好であり、充分な強度を保証し得る竹筋入りのコンクリート二次成形品、およびそのコンクリート二次成形品の成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題に鑑みなされ、請求項1に記載の発明は、
竹を繊維方向に所望幅に縦割して所望長さに切断された竹筋をコンクリート内に配筋してコンクリートを養生・固化させて形成される竹筋入りのコンクリート二次成形品において、
前記コンクリートが、高流動コンクリートであり、
前記高流動コンクリートの内部に、前記竹筋が、前記竹を縦割して所望幅、所望長さにて前記コンクリート二次成形品の長尺方向に所望間隔にて配筋されるか、または、前記竹の表皮部分を所望幅、所望厚さにて前記コンクリート二次成形品の長尺方向に所望長さ、所望間隔にて配筋される主筋と、
前記主筋の上面又は下面に前記竹を縦割して所望幅、所望長さにてコンクリート二次成形品の短尺方向に所望間隔に配筋されるか、または、竹の表皮部分を所望幅、所望厚さにて前記コンクリート二次成形品の前記短尺方向に配筋されて前記主筋に結合手段により結合される短尺筋と、により構成される用心筋を配筋している、
ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記竹筋の前記短尺筋は、表皮側が上側又は下側に配筋され、前記主筋は前記短尺筋の下面又は上面に表皮側が縦に配列され、前記主筋および前記短尺筋は前記コンクリート二次成形品の厚みの中心軸線より下方に配筋されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1において、前記竹筋の前記主筋および前記短尺筋は、前記竹の表皮部分を所望幅、所望厚さにて使用され、前記短尺筋は表皮側を上側又は下側に配筋されるとともに、前記主筋は前記短尺筋の下面又は上面に表皮側を上側又は下側に配筋され、前記主筋および前記短尺筋は前記コンクリート二次成形品の厚みの中心軸線より下方に配筋されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項において、前記竹筋が、孟宗竹または真竹の何れか、或いは、孟宗竹および真竹の何れかにより形成されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項において、前記結合手段が、前記竹筋相互を金属線条材により結束するか、または、前記竹筋相互を接着剤により接着することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項において、前記コンクリート二次成形品が、暗渠ブロック、側溝ブロック、および水路ブロックの下面に敷設するコンクリート基礎板ブロック、または、コンクリート擁壁ブロック、コンクリート護岸ブロック、コンクリート植生ブロック、魚巣ブロック、擬石ブロック、もしくは、建築物の天井板、室内用化粧壁材、建築用ルーバの何れかに構成されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項7に記載の発明は、竹を繊維方向に所望幅に縦割するか、または竹の表皮部分を繊維方向に所望厚さに割って所望長さに切断することにより型枠内に長尺方向に所望間隔にて配筋される主筋と、前記竹を繊維方向に所望幅に縦割するか、または竹の表皮部分を繊維方向に所望厚さに割って所望長さに切断して短尺方向に前記主筋の上面又は下面に結合手段により結合することにより配筋される短尺筋と、により構成される用心筋を型枠内に配筋し、そして、
前記型枠内に高流動コンクリートを打設することにより形成される
ことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項8に記載の発明は、請求項7において、前記用心筋は、浮き上がり防止手段により上方から押圧力されて浮き上がりが防止されることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項9に記載の発明は、請求項8において、前記浮き上がり防止手段が、前記型枠にヒンジを介して起倒可能に設けられる平面T字形、または平面コ字形の保持枠と、該保持枠の下面に前記主筋を上方から押圧可能に設けられた複数個の押圧部と、により構成されていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項10に記載の発明は、請求項7において、前記短尺筋は、表皮側が上側又は下側に配筋され、前記主筋は、前記短尺筋の下面又は上面に表皮側が縦に配列され、前記主筋および前記短尺筋は、前記コンクリート二次成形品の厚みの中心軸線より下方に配筋されていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の請求項11に記載の発明は、請求項7〜10の何れか1項において、前記竹筋が、孟宗竹または真竹の何れか、或いは孟宗竹および真竹の何れかにより形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、竹を繊維方向に所望幅に縦割して所望長さに切断された竹筋をコンクリート内に配筋してコンクリートを養生・固化させて形成される竹筋入りのコンクリート二次成形品において、前記コンクリートが、高流動コンクリートであり、前記高流動コンクリートの内部に、前記竹筋が、前記竹を縦割して所望幅、所望長さにて前記コンクリート二次成形品の長尺方向に所望間隔にて配筋されるか、または、前記竹の表皮部分を所望幅、所望厚さにて前記コンクリート二次成形品の長尺方向に所望長さ、所望間隔にて配筋される主筋と、前記主筋の上面又は下面に前記竹を縦割して所望幅、所望長さにてコンクリート二次成形品の短尺方向に所望間隔に配筋されるか、または、竹の表皮部分を所望幅、所望厚さにて前記コンクリート二次成形品の前記短尺方向に配筋されて前記主筋に結合手段により結合される短尺筋と、により構成される用心筋を配筋しているので、従来、コンクリート二次製品をコンクリートを打設して成形するのに加振機により振動を加えて締め固めるのとは異なり、高流動コンクリートの高流動性により高流動コンクリートと用心筋としての竹筋とは付着性が良好になって空隙を生ずることなく、密接するため、高流動コンクリートの固化後は外力により竹筋と高流動コンクリートとが分離されず、高流動コンクリートが用心筋としての竹筋に対してずれ動かない。しかも、高流動コンクリートと、用心筋としての竹筋とは異質であり、高流動コンクリートと竹筋との膨張率が異なるとしても、前述のように高流動コンクリートは流動性が良いので、竹筋と高流動コンクリートとの間に空隙が生じにくく、高流動コンクリートが用心筋としての竹筋に対してずれ動きにくいため、竹筋の強度を用心筋として充分に活かせるから、コンクリート二次成形h品は充分な強度が保証される。
【0023】
また、本発明の請求項2に記載の発明によれば、請求項1において、前記竹筋の前記短尺筋は、表皮側が上側又は下側に配筋され、前記主筋は前記短尺筋の下面又は上面に表皮側が縦に配列され、前記主筋および前記短尺筋は前記コンクリート二次成形品の厚みの中心軸線より下方に配筋されているので、用心筋として用いられる竹筋よりなる主筋と、この主筋に交差して上面または下面に配筋される短尺筋との、個々のそりによる変形は相互に相殺されて最小限になり、主筋及び短尺筋による用心筋としての竹筋の強度は充分に発揮される。この時、表皮側が上側又は下側に配筋されている短尺筋に対して主筋は、表皮側が縦に配筋されるから、大きくそり易い主筋により生ずるそりはコンクリート二次成形品の厚み方向に直交する方向に働いて厚み方向に生ずるそりは少ないため、コンクリート二次製品がひび割れたり、亀裂が生じにくく、高い強度になる。
【0024】
また、本発明の請求項3に記載の発明によれば、請求項1において、前記竹筋の前記主筋および前記短尺筋は、前記竹の表皮部分を所望幅、所望厚さにて使用され、前記短尺筋は表皮側を上側又は下側に配筋されるとともに、前記主筋は前記短尺筋の下面又は上面に表皮側を上側又は下側に配筋され、前記主筋および前記短尺筋は前記コンクリート二次成形品の厚みの中心軸線より下方に配筋されているので、竹筋よりなる主筋と、この主筋に交差して上面または下面に配筋される短尺筋とは、繊維による引っ張り強度が最も高い竹の表皮部分を所望幅、所望厚さにて使用し、前記主筋は表皮側を上側または下側に配筋されるとともに、前記短尺筋は前記主筋の上面または下面に表皮側を上側または下側に配筋することにより、主筋と短尺筋とは、厚み方向において個々のそりによる変形が相互に相殺されて最小限とし、主筋及び短尺筋による用心筋としての強度は充分に発揮される。
【0025】
また、本発明の請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3の何れか1項において、前記竹筋が、孟宗竹または真竹の何れか、或いは、孟宗竹および真竹の何れかにより形成されるので、孟宗竹または真竹の何れか、或いは、孟宗竹および真竹の何れかをコンクリート二次成形品の主筋や短尺筋としての竹筋に対して間隙を生ずることなく、密接し、高流動コンクリートの付着性が良好になるため、コンクリート二次成形品の強度は高くなる。
【0026】
また、本発明の請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4の何れか1項において、前記結合手段が、前記竹筋相互を金属線条材により結束するか、または、前記竹筋相互を接着剤により接着するので、コンクリート二次成形品を高流動コンクリートを用いて成形する場合に、用心筋として竹筋よりなる主筋と、短尺筋とを金属線条材により結束するか、または、前記竹筋相互を接着剤により接着することにより容易かつ確実に結合することができ、施工性は優れる。
【0027】
また、本発明の請求項6に記載の発明によれば、請求項1〜5の何れか1項において、前記コンクリート二次成形品が、暗渠ブロック、側溝ブロック、および水路ブロックの下面に敷設するコンクリート基礎板ブロック、または、コンクリート擁壁ブロック、コンクリート護岸ブロック、コンクリート植生ブロック、魚巣ブロック、擬石ブロック、もしくは、建築物の天井板、室内用化粧壁材、建築用ルーバの何れかに構成されるので、高流動コンクリートの高流動性により高流動コンクリートと用心筋としての竹筋とは付着性が良好になって空隙を生ずることなく、密接するため、高流動コンクリートの固化後は竹筋と高流動コンクリートとが分離されず、高流動コンクリートが用心筋としての竹筋に対してずれ動かない。しかも、高流動コンクリートと、用心筋としての竹筋とは異質であり、高流動コンクリートと竹筋との膨張率が異なるとしても、前述のように高流動コンクリートは流動性が良いので、竹筋と高流動コンクリートとの間に空隙が生じにくく、高流動コンクリートが用心筋としての竹筋に対してずれ動きにくいため、竹筋の強度を用心筋として充分に活かせるから、コンクリート二次成形品は充分な強度が保証される。
【0028】
また、本発明の請求項7に記載の発明によれば、竹を繊維方向に所望幅に縦割するか、または竹の表皮部分を繊維方向に所望厚さに割って所望長さに切断することにより型枠内に長尺方向に所望間隔にて配筋される主筋と、前記竹を繊維方向に所望幅に縦割するか、または竹の表皮部分を繊維方向に所望厚さに割って所望長さに切断して短尺方向に前記主筋の上面又は下面に結合手段により結合することにより配筋される短尺筋と、により構成される用心筋を型枠内に配筋し、そして、前記型枠内に高流動コンクリートを打設することにより形成されるので、従来のコンクリート二次製品を成形するのに加振機により振動を加えるのとは異なり、高流動コンクリートの高流動性により高流動コンクリートと用心筋としての竹筋との付着性が良好になって空隙を生ずることなく、密接するため、高流動コンクリートの固化後は外力を受けても竹筋と高流動コンクリートとが分離されず、高流動コンクリートが用心筋としての竹筋に対してずれ動かない。しかも、高流動コンクリートに対して用心筋としての竹筋が異質であり、高流動コンクリートと竹筋との膨張率が異なるとしても、竹筋と高流動コンクリートとの間に空隙が生じにくく、高流動コンクリートが用心筋としての竹筋に対してずれ動きにくいため、竹筋の強度を用心筋として充分に活かして充分な強度が保証される。また、設備は加振機が不用で小規模で済み、成形は容易かつ迅速に行える。
【0029】
また、本発明の請求項8に記載の発明によれば、請求項7において、前記用心筋は、浮き上がり防止手段により上方から押圧力されて浮き上がりが防止されるので、用心筋として用いられる竹筋よりなる主筋と、この主筋に交差して上面または下面に配筋される短尺筋との、個々のそりによる変形は浮き上がり防止手段により上方から押圧力されて浮き上がりが防止されるため、高流動コンクリート内に用心筋よりなる竹筋は適当位置に平均に配筋され、主筋及び短尺筋による用心筋としての竹筋の強度は充分に発揮される。
【0030】
また、本発明の請求項9に記載の発明によれば、請求項8において、前記浮き上がり防止手段が、前記型枠にヒンジを介して起倒可能に設けられる平面T字形、または平面コ字形の保持枠と、該保持枠の下面に前記用心筋を上方から押圧可能に設けられた複数個の押圧部と、により構成されているので、用心筋として用いられる竹筋よりなる主筋と、この主筋に交差して配筋される短尺筋との、個々のそりによる変形は型枠の上面に伏倒された保持枠の下面に設けられた押圧部に押圧されることにより防止され、高流動コンクリート内に用心筋よりなる竹筋は適当位置に平均に配筋され、主筋及び短尺筋による用心筋としての竹筋の強度は充分に発揮される。
【0031】
また、本発明の請求項10に記載の発明によれば、請求項7において、前記短尺筋は、表皮側が上側又は下側に配筋され、前記主筋は、前記短尺筋の下面又は上面に表皮側が縦に配列され、前記主筋および前記短尺筋は、前記コンクリート二次成形品の厚みの中心軸線より下方に配筋されているので、用心筋として用いられる竹筋よりなる主筋と、この主筋に交差して配筋される短尺筋との、個々のそりによる変形は相互に相殺されて最小限になり、主筋及び短尺筋による用心筋としての竹筋の強度は充分に発揮される。この時、表皮側が上側又は下側に配筋されている短尺筋に対して主筋は、表皮側が縦に配筋されるから、大きくそり易い主筋により生ずるそりはコンクリート二次成形品の厚み方向に直交する方向に働くため、コンクリート二次製品がひび割れたり、亀裂が生じにくく、高い強度になる。
【0032】
また、本発明の請求項11に記載の発明によれば、請求項7〜10の何れか1項において、前記竹筋が、孟宗竹または真竹の何れか、或いは孟宗竹および真竹の何れかにより形成されるので、孟宗竹または真竹の何れか、或いは、孟宗竹および真竹の何れかをコンクリート二次成形品の主筋や短尺筋としての竹筋に対して間隙を生ずることなく、密接し、高流動コンクリートの付着性が良好になるため、コンクリート二次成形品の強度は高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は本発明の竹筋入りのコンクリート二次成形品の実施形態1を示す平面図である。
【図2】図2は同じく長尺方向の断面図である。
【図3】図3は同じく背面図である。
【図4】図4は同じく使用状態を示す斜視図である。
【図5】図5は同じく成形時を示す拡大斜視図である。
【図6】図6は同じく本実施形態1を構成する用心筋を示す平面図である。
【図7】図7は同じく図6の円P内を示す拡大図である。
【図8】図8は同じく本実施形態1を構成する竹筋を形成するのに、竹を縦割りしている状態を示す部分切欠き斜視図である。
【図9】図9は本実施形態1のコンクリート二次成形品の断面をマイクロスコープにより撮影した写真であり、倍率が25倍にて撮影したものである。
【図10】図10は同じく本実施形態1のコンクリート二次成形品の断面をマイクロスコープにより撮影した写真であり、倍率が25倍にて撮影したものである。
【図11】図11は同じく本実施形態1のコンクリート二次成形品の断面をマイクロスコープにより撮影した写真であり、倍率が100倍にて撮影したものである。
【図12】図12は同じく本実施形態1のコンクリート二次成形品の断面をマイクロスコープにより撮影した写真であり、倍率が100倍にて撮影したものである。
【図13】図13は本発明の本実施形態1のコンクリート二次成形品の断面をマイクロスコープにより撮影した写真であり、倍率が175倍にて撮影したものである。
【図14】図14は同じく比較例として従来のコンクリート二次成形品の断面をマイクロスコープにより撮影した写真であり、倍率が25倍にて撮影したものである。
【図15】図15は同じく比較例として従来のコンクリート二次成形品の断面をマイクロスコープにより撮影した写真であり、倍率が25倍にて撮影したものである。
【図16】図16は同じく比較例として従来のコンクリート二次成形品の断面をマイクロスコープにより撮影した写真であり、倍率が100倍にて撮影したものである。
【図17】図17は同じく比較例として従来のコンクリート二次成形品の断面をマイクロスコープにより撮影した写真であり、倍率が100倍にて撮影したものである。
【図18】図18は同じく比較例として従来のコンクリート二次成形品の断面をマイクロスコープにより撮影した写真であり、倍率が175倍にて撮影したものである。
【図19】図19は同じく本発明の竹筋入りのコンクリート二次成形品の実施形態2を示す長尺方向の断面図である。
【図20】図20は同じく拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面に従って本発明の実施の最良の形態により、本発明の詳細を説明する。
【0035】
<本実施形態1>
本実施形態1は、図4に示すように、コンクリート二次成形品Aとして暗渠ブロック、または、図には示さないが、側溝ブロック、および水路ブロックの下面に敷設するコンクリート基礎板ブロックBを成形する場合を好適例として説明する。
【0036】
そして、本実施形態1では、竹を繊維方向に所望幅Wに縦割して所望長さLに切断された竹筋1をコンクリートC内に配筋してコンクリートCを養生・固化させて形成される竹筋入りのコンクリート二次成形品Aにおいて、前記コンクリートCが、高流動コンクリート2であり、前記高流動コンクリート2の内部に、前記竹筋1が、前記竹を縦割して所望幅W、所望長さL1にて前記コンクリート二次成形品Aの長尺方向Xに所望間隔K1にて配筋される主筋1Aと、前記主筋1Aの上面に前記竹を縦割して所望幅W、所望長さL2にてコンクリート二次成形品Aの短尺方向Yに所望間隔K2に配筋されて前記主筋1Aに結合手段3により結合される短尺筋1Bと、により構成される用心筋4を配筋している。
【0037】
前記竹筋1に用いる竹は多量に、しかも品質が一定であり、強度が大きく、安価に入手できるもの、代表的には孟宗竹、真竹が用いられるが、これに限定される趣旨ではない。本実施形態では、竹筋1に用いる竹として、例えば材齢3〜5年の孟宗竹、真竹のうちから、孟宗竹としては直径φが8〜20cm、また真竹としては直径φが5〜15cmであり、長さLが10〜20mのものを自然乾燥し、この竹を縦割して幅Wが約1.5cmにしたものを成形すべきコンクリ−ト二次成形品Aの長尺方向Xの長さに合わせて所望長さL1に切断して用いる。すなわち、図1乃至3、および図5、図6に示すようにコンクリート二次成形品Aとして、前記コンクリート基礎板ブロックBを成形する本実施形態1では、このコンクリート基礎板ブロックBの大きさは大小様々であるが、例えばコンクリート二次成形品Aの長尺方向Xに配筋する主筋1Aとして約2000mmの長さL1に切断されたものが、主筋1Aとしてコンクリート二次成形品Aの長尺方向Xに所望間隔K1にて配筋されるように型枠5内に配筋される。また、前記材齢の竹を竹筋1として用いた場合に、孟宗竹では、引張り応力度最小値が、239・3N/mm2であり、引張り応力度平均値が、410.7N/mm2が得られた。また、真竹では、引張り応力度最小値が、114.0N/mm2であり、引張り応力度平均値が、328.3N/mm2が得られた。
【0038】
また、前記短尺筋1Bは、前述のように竹を縦割して幅Wが約1.5cmにしたものをコンクリート二次成形品Aの長尺方向Xに交差する短尺方向Yに配筋されるように約720mmの長さL2に切断されたものが、コンクリート二次成形品Aの短尺方向Yに所望間隔K2にて配筋される。
【0039】
そして、前記竹筋1の前記短尺筋1Bは、本実施形態1では、表皮側が型枠5内において例えば図5において上側に配筋され、また、前記主筋1Aは前記短尺筋1Bの下面に表皮側が縦に配列され、前記主筋1Aおよび前記短尺筋1Bは前記コンクリート二次成形品Aの厚みTの中心軸線Iより下方に配筋されている。このように、竹筋1の前記短尺筋1Bは、表皮側が型枠5内において上側に配筋され、前記主筋1Aは前記短尺筋1Bの下面に表皮側が縦に配列され、前記主筋1Aおよび前記短尺筋1Bを前記コンクリート二次成形品Aの厚みTの中心軸線Iより下方に配筋するのは、用心筋4として用いられる竹筋1よりなる主筋1Aと、この主筋1Aに交差して上面に配筋される短尺筋1Bとの、個々のそりによる変形は相互に相殺させるようにしてそりを最小限に維持し、主筋1A及び短尺筋1Bによる用心筋4としての竹筋1の強度を充分に発揮させるためである。この時、表皮側が上側又は下側に配筋されている短尺筋1Bに対して主筋1Aは、表皮側が縦に配筋されるから、大きくそり易い主筋1Aにより生ずるそりはコンクリート二次成形品Aの厚み方向に直交する方向に働くため、コンクリート二次成形品Aがひび割れたり、亀裂が生じにくく、高い強度になる。
【0040】
また、前記結合手段3が、前記竹筋1,1相互、すなわち、図示するように本実施形態1では、主筋1Aと短尺筋1Bとを金属線条材6により結束するか、または、図には示さないが、前記竹筋1,1相互を接着剤により接着する。前記金属線条材6の捲数、捲回方向は上記説明に制限されない。
【0041】
前記高流動コンクリート2は、1m3当たりの配合比が、下記[表1]に示されるような組成のものが使用される。
【0042】
【表1】
【0043】
上記[表1]より、本実施形態1に使用される高流動コンクリート2は、1m3当たりの配合比が、例えば粗骨材を600〜1000:細骨材を600〜1000:普通セメントを200〜400:炭酸カルシウムを100〜300:混和剤を3〜15(kg)の配合により構成されているので、上記組成により配合された高流動コンクリート2は、主筋1Aおよび短尺筋1Bの用心筋4としての竹筋1に対して高流動に型枠5内に打設され、間隙を生ずることなく、密接し、付着性が良好にして強度を高くするためである。上記[表1]による高流動コンクリート2による配合比は好適例であり、これに限定されるものではなく、要は竹筋1に対して高流動に型枠5内に打設され、間隙を生ずることなく、密接し、良好な付着性と高い強度を発揮する範囲の配合比であれば自由に設定される。
【0044】
図5において、7は浮き上がり防止手段であり、この浮き上がり防止手段7により前記用心筋4、例えば図では主筋1Aは、上方から押圧されてそりに伴う浮き上がりが防止されるようになっている。前記浮き上がり防止手段7が、図5に示すように前記型枠5にヒンジ8,8を介して起倒可能に設けられる平面T字形、または図には示さないが平面コ字形の保持枠9と、該保持枠9の下面に前記竹筋1、例えば前記主筋1Aを上方から押圧可能に設けられた複数個の押圧部10,10と、により構成されている。なお、図には示さないが、浮き上がり防止手段7の押圧部10,10により竹筋1の浮き上がりを防止するための押圧力を附与するには、例えば前記ヒンジ8,8の枢軸部と同軸に装着したねじりばねの附勢力により下方への附勢力を附与するか、または図には示さないシリンダの駆動により下方への附勢力を得るか、さらには重錘による附勢力により押圧部10,10の押圧力を得ることができる。
【0045】
11はコンクリート二次成形品Aとして暗渠ブロック、側溝ブロック、および水路ブロックを沈降することなく、安定に連続して敷設し、固定するために、暗渠ブロック、側溝ブロック、および水路ブロックの下面と、コンクリート基礎板ブロックBの上面との間に塗布された接着剤としての敷モルタルである。また、12は不陸調整砂、13は割栗石や砕石等の基礎材である。
【0046】
本実施形態1の竹筋入りのコンクリート二次成形品Aは以上の構成からなり、以下このコンクリート二次成形品Aの作用を成形方法とともに説明する。
【0047】
本実施形態1では、竹筋入りのコンクリート二次成形品Aとして、図4に示すように、暗渠ブロック、側溝ブロック、および水路ブロックの下面に敷設するコンクリート基礎板ブロックBを成形するには、先ず、図8に示すように、竹を乾燥させて繊維方向に所望幅W、本実施形態1では1.5cmに縦割して所望長さL1、例えば2000mmに切断して型枠5内に長尺方向Xに所望間隔K1にて配筋される主筋1Aと、前記竹を繊維方向に所望幅W、本実施形態1では約1.5cmに縦割して、所望長さL2、本実施形態1では、約720mmに切断されて短尺方向Yに前記主筋1Aの上面に配筋されて結合手段3により結合される短尺筋1Bと、により構成される用心筋4を型枠5内に配筋する。なお、竹の繊維方向の上記縦割寸法、主筋1Aと、短尺筋1Bの切断長さL1,L2、配筋の間隔寸法、設置個数は例示であり、上記説明に制限されない。
【0048】
この際、前記竹筋1,1相互、すなわち、図示するように本実施形態1では、主筋1Aと短尺筋1Bとは、結合手段3としての金属線条材6により結束するか、または、図には示さないが、前記竹筋1,1相互は接着剤により接着されるので、コンクリート二次成形品Aを高流動コンクリート2を用いて成形する場合に、用心筋4として竹筋1よりなる主筋1Aと、短尺筋1Bとの相互がずれ動くことなく、位置決めがなされ、容易かつ確実に結合することができ、コンクリート二次成形品Aの成形は容易かつ確実になる。
【0049】
また、浮き上がり防止手段7が、図5に示すように型枠5にヒンジ8,8を介して起倒可能に設けられ、この浮き上がり防止手段7は平面T字形、または図には示さないが平面コ字形の保持枠9と、該保持枠9の下面に前記主筋1Aを上方から押圧可能に設けられた複数個の押圧部10,10と、により構成されているので、用心筋4として用いられる竹筋1よりなる主筋1Aと、この主筋1Aに交差して上面に配筋される短尺筋1Bとの、個々のそりによる変形は型枠5の上面に伏倒された保持枠9の下面に設けられた押圧部10,10にて押圧されることにより防止される。このため、高流動コンクリート2内に用心筋4としての竹筋1は適当位置に平均に配筋されるので、主筋1A及び短尺筋1Bよりなる用心筋4としての竹筋1の強度は充分に発揮される。なお、上記説明の浮き上がり防止手段7は、代表的例示であり、型枠5内に竹筋1を配筋後には、型枠5の上方に配置されて上方から押圧部10,10による押圧力を竹筋1に附与し、そして、後述の剥型時には、浮き上がり防止手段7は型枠5の上方から退避されて上方からの押圧部10,10による竹筋1に対する押圧力を解除する構成のものであれば如何様なものでもよい。また、浮き上がり防止手段7の保持枠9の大きさは、型枠5内に配筋される竹筋1の配列に合わせて自由に設定され、また、押圧部10,10の増減変更が自由に行える。
【0050】
次いで、前記型枠5内に高流動コンクリート2を打設する。
【0051】
この高流動コンクリート2は、例えば1m3当たりの配合比が、上記[表1]に示されるように、1m3当たりの配合比が、例えば粗骨材を600〜1000:細骨材を600〜1000:普通セメントを200〜400:炭酸カルシウムを100〜300:混和剤を3〜15(kg)の配合により構成されているので、上記組成により配合された高流動コンクリート2は、高流動により迅速かつ円滑に隈無く、細部まで型枠5内に広がり、主筋1Aおよび短尺筋1Bからなる用心筋4としての竹筋1の周囲に空隙を生ずることなく、密接し、付着性が良好になるため、成形されるコンクリート二次成形品Aの強度は高くなる。
【0052】
この際、従来方法では、コンクリート二次製品を成形するのに、普通コンクリートを加振機により振動を加えて打設しているのとは異なり、本実施形態1では、前述のように高流動コンクリート2の高流動性により高流動コンクリート2と用心筋4としての竹筋1との付着性が良好になって空隙を生ずることなく、高流動コンクリート2と竹筋1とは密接するため、高流動コンクリート2の固化後は外力を受けても竹筋1と高流動コンクリート2とが分離されず、高流動コンクリート2が用心筋4としての竹筋1に対してずれ動かない。しかも、高流動コンクリート2に対して用心筋4としての竹筋1は異質であり、高流動コンクリート2と竹筋1との膨張率が異なるとしても、竹筋1と高流動コンクリート2との間に空隙が生じにくく、高流動コンクリート2が用心筋4としての竹筋1に対してずれ動きにくいため、竹筋1の強度を用心筋4として充分に活かして充分な強度が保証される。また、本実施形態1の成形方法によりコンクリート二次成形品Aを成形する場合に、設備は加振機が不用になるため、小規模で済み、成形は容易かつ迅速に行えるとともに、成形コストは安価になる。
【0053】
その後、高流動コンクリート2が養生・固化されてから、剥型を行うことによりコンクリート二次成形品Aとして図4に示すような暗渠ブロック、側溝ブロック、および水路ブロックの下面に敷設するコンクリート基礎板ブロックBは成形され、使用の途に供される。
【0054】
そして、本実施形態1では、表皮側が上側に配筋されている短尺筋1Bに対して主筋1Aは、表皮側が縦に配筋されるから、大きくそり易い主筋1Aにより生ずるそりはコンクリート二次成形品Aの厚み方向に直交する方向に働くため、コンクリート二次成形品Aがひび割れたり、亀裂が生じにくく、高い強度になる。
【0055】
このようにして、コンクリート二次成形品Aとしてのコンクリ−ト基礎ブロックBは成形されるが、このコンクリ−ト二次成形品Aの断面組織を調べるのに、図9乃至図13に示すようなコンクリート二次成形品Aの断面をマイクロスコープにより撮影した写真を得た。また、図14乃至図18に示すものは、比較例として普通コンクリートを加振機により振動を加えて竹筋1を同様構造に配筋した型枠内に打設するという従来方法により成形されたコンクリ−ト二次成形品の断面組織をマイクロスコープにより撮影した写真である。この時、撮影に使用したマイクロスコープは、KEYENCE社製デジタルマイクロスコープVH−8000Cである。
【0056】
このうち、図9と図10に示される本実施形態1、および図14と図15に示される従来のものは、マイクロスコープの倍率を25倍にしてコンクリート二次成形品の断面組織の撮影が行われたものである。また、図11と図12に示される本実施形態1、および図16と図17に示される従来のものは、マイクロスコープの倍率を100倍にしてコンクリート二次成形品の断面組織の撮影が行われたものであり、さらに、図13に示す本実施形態1、および図18に示す従来のものは、マイクロスコープの倍率を175倍にしてコンクリート二次成形品の断面組織の撮影を行ったものである。
【0057】
そして、本実施形態1のコンクリート二次成形品Aでは、図9乃至図13に示すように、竹筋1と高流動コンクリート2との間の竹筋1の周囲に黒く表された空隙が見えず、竹筋1に対して高流動コンクリート2が隈無く、細部まで行き渡り、付着性が良好であることが伺える。
【0058】
これに対して従来のコンクリート二次成形品には、図14乃至図18に示すように、竹筋と普通コンクリートとの間の竹筋の周囲に黒い空隙が見える。このうち、図16では、竹筋の周囲の空隙が表面的ではなく、奥が深いことが分かる。また、図17では、幅が0.1mm程度の空隙が断片的に存在していることが確認できる。また、図18では、一見全面的に竹筋に普通コンクリートが密着しているように見えるが、普通コンクリートには、竹筋との界面に0.1mm以下の点状の空隙が連続して存在していることが分かる。
【0059】
そして、図11に表された本実施形態1のコンクリート二次成形品Aの断面組織を見ると、竹筋1は比較的平滑な外周面に形成されたものが使用され、竹筋1と高流動コンクリート2との間の竹筋1の周囲には黒く表された空隙が見えない。また、図12に表されたコンクリート二次成形品Aの断面組織を見ると、竹筋1の外表面は0.1mm以下の微細な凹凸形状に形成されたものが使用されているが、竹筋1の周囲には黒く表された空隙が見えずに、高流動コンクリート2が細部にまで隈無く詰まっている。さらに、図13に示されるコンクリート二次成形品Aの断面組織では、竹筋1の周囲に黒く表された空隙が見えずに、高流動コンクリート2が竹筋1の繊維間に存在する凹部内へと組織の細部にまで隈無く充填されていることが一層はっきりわかる。
【0060】
これは、高流動コンクリート2、例えば上記[表1]のように、1m3当たりの配合比が、例えば粗骨材を600〜1000:細骨材を600〜1000:普通セメントを200〜400:炭酸カルシウムを100〜300:混和剤を3〜15(kg)の配合により構成されたものは、高流動性が発揮されるので、従来方法では、コンクリート二次製品を成形するのに、普通コンクリートを加振機により振動を加えるのとは異なり、本実施形態1では、高流動コンクリート2を型枠5内に打設するだけで、竹筋1の繊維間に存在する凹部内へと組織の細部にまで隈無く拡散されて充填されて行くためと考えられる。そして、竹筋1の周囲に黒く見える空隙を存在することなく、高流動コンクリート2と用心筋4としての竹筋1との付着性が良好になり、密接して竹筋1と高流動コンクリート2とが一体化し、コンクリート二次成形品A自体の強度は高くなる。
【0061】
因みに、断面の高さ、幅、長さがそれぞれ100×100×900(mm)の高流動コンクリート2の内部に、幅と厚さとが15×6(mm)の竹筋1,1を金属線条材6により結束して2本配筋したNo1〜No4の4個の供試体につき、スパン700(mm)により2点集中荷重による曲げ試験を行い、荷重と両側面における竹筋1,1の滑り込み量を変位計によりひび割れモーメントと破壊モーメントの実測値と計算値との平均値をまとめた結果、下記[表2]を得るとともに、竹筋1,1の滑り込み時の荷重等を整理することにより下記[表3]を得た。
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
試験の結果、ひび割れは上記[表2]の計算値の72%程度で生じた。一方、破壊は実測値の方が計算値よりも7%程度大きくなった。そして、破壊形式は曲げ付着破壊であった。曲げ引張破壊は生じなかったが、供試体の破壊が、計算の引張破壊モーメントよりも大きくなったことは特筆される。
【0065】
上記[表3]から、滑り込み時のせん断応力度は、1.02N/mm2であり、また、この時の付着応力度は1.19/mm2であった。このことは、許容応力度法では、設計基準強度が40N/mm2の場合には、許容せん断応力度は0.55N/mm2となっていて、本実施形態1の竹筋入りのコンクリート二次成形品Aの安全度は約2倍程度に達する。また、許容付着応力度は鉄筋(普通丸鋼)程度であると考えると許容付着応力度は1.0N/mm2であり、安全度は約1.2倍程度と試算され、高い強度が発揮される。
【0066】
<実施形態2>
図19、および図20に示すものは、本発明の竹筋入りのコンクリート二次成形品Aを建築物としての天井板A1に適用した場合の実施形態2を示す。この実施形態2では、前記高流動コンクリート2の内部に、前記竹筋1が、前記竹の表皮部分20を所望幅W、所望厚さtにてコンクリート二次成形品Aの長尺方向Xに所望長さL1、所望間隔K1にて配筋される主筋1Aと、前記主筋1Aの下面に前記竹の表皮部分20を所望幅W、所望厚さtにてコンクリート二次成形品Aの短尺方向Yに所望長さL2、所望間隔K2にて配筋されて前記主筋1Aに結合手段3により結合される短尺筋1Bと、により構成される用心筋4を型枠5内に配筋している点が前記実施形態1とは異なる。
【0067】
また、前記竹筋1の前記主筋1Aおよび前記短尺筋1Bは、前述のように前記竹の表皮部分20を所望幅W、所望厚さtにて使用され、前記主筋1Aは表皮側を上側に配筋されるとともに、前記短尺筋1Bは前記主筋1Aの下面に表皮側を下側に配筋され、前記主筋1Aおよび前記短尺筋1Bは前記コンクリート二次成形品Aの厚みTの中心軸線Iより下方に配筋されている。
【0068】
そして、コンクリート二次成形品Aを成形するのには、本実施形態2では、竹の表皮部分20を繊維方向に所望幅W、所望厚さtにて割って所望長さL1に切断されて長尺方向Xに所望間隔K1にて配筋される主筋1Aと、前記竹の表皮部分20を繊維方向に所望幅W、所望厚さtにて割り所望長さL2に切断されて短尺方向Yに配筋されて前記主筋1Aの下面に結合手段3により結合される短尺筋1Bと、により構成される用心筋4を型枠5内に配筋し、そして、前記型枠5内に高流動コンクリート2を打設することにより形成される点で構成が異なるほかは、前記実施形態1と同様の構成である。
【0069】
このように、本発明の実施形態2では、竹筋1よりなる主筋1Aと、この主筋1Aに交差して下面に配筋される短尺筋1Bとは、繊維による引っ張り強度が最も高い竹の表皮部分20を所望幅W、所望厚さtにて使用し、前記主筋1Aは表皮側を上側に配筋されるとともに、前記短尺筋1Bは前記主筋1Aの下面に表皮側を下側に配筋することにより、主筋1Aと短尺筋1Bとは、個々のそりによる変形が相互に相殺されて最小限とし、主筋1A及び短尺筋1Bによる用心筋4としての強度は充分に発揮されるという、効果を奏するほかは、前記実施形態1と同様の効果がある。
【0070】
このように、上記実施形態1、および実施形態2では、コンクリート二次成形品の構造材として鉄筋のような鋼材を配筋することにより炭酸ガスを排出して地球の温暖化を招来する場合に比較してコンクリート二次成形品Aの製造、および成形にはコンクリート二次成形品Aに、多量に、しかも品質が一定であり、強度が大きく、安価に自然界から採取できる竹を竹筋1として用心筋4に用いるので、自然環境を破壊することないとともに、竹林から間伐材を採取して利用することができる等の竹林の環境整備に有益である。
【0071】
なお、上記説明は、実施形態1では、前記コンクリート二次成形品Aが、土木分野で使用される暗渠ブロック、側溝ブロック、および水路ブロックの下面に敷設するコンクリート基礎板ブロックBに適用した場合につき代表的に説明したが、これに限ることなく、図には示さないが、このほかに、コンクリート擁壁ブロック、コンクリート護岸ブロック、コンクリート植生ブロック、魚巣ブロック、擬石ブロックが挙げられ、また、実施形態2ではコンクリート二次成形品Aが建築物についての天井板A1を適用する場合を代表的に説明したが、本発明はこれに限ることなく、建築分野で使用される室内用化粧壁材、窓の外部に多数が取付けられる建築用ルーバにも適用でき用途は広範に及ぶ。
【0072】
また、上記実施形態1では、長尺方向Xに配筋される主筋1Aは下側に配筋されるとともに、この主筋1Aに交差して短尺筋1Bを上側に配筋した場合につき説明し、また、実施形態2では主筋1Aを上側に配筋されるとともに、この主筋1Aの下側に短尺筋1Bを交差して配筋している場合を代表的に説明しているが、これは例示であり、主筋1A又は短尺筋1Bの設置個所が、上側又は下側の何れかであっても良く、要はコンクリート二次成形品A内に竹筋1を配筋する場合に主筋1Aまたは短尺筋1Bの影響によるそりを最小限にし、竹筋1に対する高流動性コンクリート2の付着性に優れ、竹筋1が用心筋4として充分に強度を発揮する配列であれば如何なる配列でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、コンクリートと用心筋としての竹筋との付着性が良好であり、充分な強度を保証し得る。
【符号の説明】
【0074】
1 竹筋
1A 主筋
1B 短尺筋
2 高流動コンクリート
3 結合手段
4 用心筋
5 型枠
7 浮き上がり防止手段
8 ヒンジ
9 保持枠
10 押圧部
A コンクリート二次成形品
K1 間隔
K2 間隔
L 長さ
L1 長さ
L2 長さ
T 厚さ
W 幅
【技術分野】
【0001】
本発明は竹筋入りのコンクリート二次成形品、およびそのコンクリート二次成形品の成形方法に関し、竹筋を用心筋として使用することによりコンクリート二次成形品の強度を補強し、また竹筋とコンクリートとの付着性を良好にしようとする。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば建築物、または建築物の躯体や外装材の下地材として使用される建築用竹製躯体には、竹材を複数枚接着剤を介して積層することにより躯体を形成したものがある。すなわち、この建築用竹製躯体は、複数枚の竹材同士を接着剤を用いて積層するか、または複数枚の竹材と木材とを接着剤を介して接着するものであった。そして、この建築用竹製躯体は、例えば木造建築物における柱、土台、梁等の躯体として、檜、杉、松、ひば、桐、ツゲ、ラワン、シナ等の原木を加工した天然素材や、それらの集成材を用いた場合には、森林保護や環境保護の観点から、伐採による資源の枯渇が大きな問題になっていたのに対して竹材がもつ強度を活かし、充分な材料供給をはかろうとするものである。このように、竹材が持つ強度は充分に知られているところである(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−131393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の上記従来の建築用竹製躯体は、例えば建築物、または建築物の躯体や外装材の下地材として使用されるものであり、竹材が持つ強度と、充分な材料供給性を活かし、竹材同士、または竹材と木材とを接着剤を介して複数枚接着して積層するものであった。従って、特許文献1に記載の上記従来の建築用竹製躯体は、建築用資材としてその用途が限られて使用されるものであり、その構造は集成材としての意味合いが強調されたものと言える。
【0005】
そして、特許文献1に記載の従来の建築用竹製躯体は、例えば建築用外装材として竹材を戸外において用いた場合には雨水により腐食したり天日や風により繊維が劣化してワレや解れを生じ、強度が低下し、耐用年数が損なわれることがあった。また、戸内において基礎材や土台に用いた場合には、特に水周り個所において、同様に水により腐食し、強度が低下し、耐用年数が損なわれることがあった。
【0006】
また、土木分野において、コンクリートにより成形されるコンクリート二次製品、例えば暗渠ブロック、側溝ブロック、および水路ブロックの下面に敷設するコンクリート基礎板ブロック、または、コンクリート擁壁ブロック、コンクリート護岸ブロック、コンクリート植生ブロックには、引っ張りまたは圧縮等の強度を発揮するために、前記コンクリート二次製品の内部に構造材として鉄筋を配筋することは知られているが、構造材としての鉄筋よりも強度はやや劣るが、想定される耐用年数を満たすために、充分な引っ張りと圧縮とを備える用心筋(この明細書において、用心筋とは、コンクリート二次成形品の成形時、またはコンクリ−ト二次成形品を敷設する施工時に構造上、無筋でもかまわず、構造的に不測の衝撃や荷重が加わった場合に、強度を発揮してコンクリート二次成形品の全面的な破壊や折損を免れて竹筋が繋がったまま破損されることなく作業員の安全性を確保できる程度の強度を発揮する補強筋をいうものとする)として竹筋を用いることについては、未だ知られていない。
【0007】
土木分野において、用いられる前述のようなコンクリート二次製品として竹材を用心筋として用いる場合には、コンクリートに対して用心筋としての竹材が異質であるので、型枠内に打設されるコンクリートは竹材に対して付着性が悪く、竹材とコンクリートとの間に空隙が生じて分離し易くなるため、コンクリートが用心筋としての竹材に対してずれ動き易い。
【0008】
しかも、コンクリートに対して用心筋としての竹材が異質であるので、コンクリートと竹材との膨張率が異なり、竹材とコンクリートとの間に空隙が生じ易くなるため、コンクリートが用心筋としての竹材に対してずれ動き易くなり、竹材の強度を用心筋として充分に活かしきれないという問題があった。
【0009】
また、コンクリート二次製品を成形する場合に、通常コンクリートは、主材としてセメントを骨材、水等に混合してミキサーにより混練して成形するが、コンクリートの内部には空気が内包されるので、前記コンクリート混練物を型枠内に打設するのに、加振機により振動を加えることにより空気抜きを行い、締め固めを行っているが、充分に空気抜きが行えず、鉄筋や用心筋の周囲に気泡が凝集し、鉄筋や用心筋と、コンクリートとの間に前述のような空隙が生ずるため、コンクリート二次製品の強度を損ねるという問題があった。
【0010】
本発明は上記従来の欠点を解決し、コンクリートと用心筋としての竹筋との付着性が良好であり、充分な強度を保証し得る竹筋入りのコンクリート二次成形品、およびそのコンクリート二次成形品の成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題に鑑みなされ、請求項1に記載の発明は、
竹を繊維方向に所望幅に縦割して所望長さに切断された竹筋をコンクリート内に配筋してコンクリートを養生・固化させて形成される竹筋入りのコンクリート二次成形品において、
前記コンクリートが、高流動コンクリートであり、
前記高流動コンクリートの内部に、前記竹筋が、前記竹を縦割して所望幅、所望長さにて前記コンクリート二次成形品の長尺方向に所望間隔にて配筋されるか、または、前記竹の表皮部分を所望幅、所望厚さにて前記コンクリート二次成形品の長尺方向に所望長さ、所望間隔にて配筋される主筋と、
前記主筋の上面又は下面に前記竹を縦割して所望幅、所望長さにてコンクリート二次成形品の短尺方向に所望間隔に配筋されるか、または、竹の表皮部分を所望幅、所望厚さにて前記コンクリート二次成形品の前記短尺方向に配筋されて前記主筋に結合手段により結合される短尺筋と、により構成される用心筋を配筋している、
ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記竹筋の前記短尺筋は、表皮側が上側又は下側に配筋され、前記主筋は前記短尺筋の下面又は上面に表皮側が縦に配列され、前記主筋および前記短尺筋は前記コンクリート二次成形品の厚みの中心軸線より下方に配筋されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1において、前記竹筋の前記主筋および前記短尺筋は、前記竹の表皮部分を所望幅、所望厚さにて使用され、前記短尺筋は表皮側を上側又は下側に配筋されるとともに、前記主筋は前記短尺筋の下面又は上面に表皮側を上側又は下側に配筋され、前記主筋および前記短尺筋は前記コンクリート二次成形品の厚みの中心軸線より下方に配筋されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項において、前記竹筋が、孟宗竹または真竹の何れか、或いは、孟宗竹および真竹の何れかにより形成されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項において、前記結合手段が、前記竹筋相互を金属線条材により結束するか、または、前記竹筋相互を接着剤により接着することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項において、前記コンクリート二次成形品が、暗渠ブロック、側溝ブロック、および水路ブロックの下面に敷設するコンクリート基礎板ブロック、または、コンクリート擁壁ブロック、コンクリート護岸ブロック、コンクリート植生ブロック、魚巣ブロック、擬石ブロック、もしくは、建築物の天井板、室内用化粧壁材、建築用ルーバの何れかに構成されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項7に記載の発明は、竹を繊維方向に所望幅に縦割するか、または竹の表皮部分を繊維方向に所望厚さに割って所望長さに切断することにより型枠内に長尺方向に所望間隔にて配筋される主筋と、前記竹を繊維方向に所望幅に縦割するか、または竹の表皮部分を繊維方向に所望厚さに割って所望長さに切断して短尺方向に前記主筋の上面又は下面に結合手段により結合することにより配筋される短尺筋と、により構成される用心筋を型枠内に配筋し、そして、
前記型枠内に高流動コンクリートを打設することにより形成される
ことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項8に記載の発明は、請求項7において、前記用心筋は、浮き上がり防止手段により上方から押圧力されて浮き上がりが防止されることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項9に記載の発明は、請求項8において、前記浮き上がり防止手段が、前記型枠にヒンジを介して起倒可能に設けられる平面T字形、または平面コ字形の保持枠と、該保持枠の下面に前記主筋を上方から押圧可能に設けられた複数個の押圧部と、により構成されていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項10に記載の発明は、請求項7において、前記短尺筋は、表皮側が上側又は下側に配筋され、前記主筋は、前記短尺筋の下面又は上面に表皮側が縦に配列され、前記主筋および前記短尺筋は、前記コンクリート二次成形品の厚みの中心軸線より下方に配筋されていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の請求項11に記載の発明は、請求項7〜10の何れか1項において、前記竹筋が、孟宗竹または真竹の何れか、或いは孟宗竹および真竹の何れかにより形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、竹を繊維方向に所望幅に縦割して所望長さに切断された竹筋をコンクリート内に配筋してコンクリートを養生・固化させて形成される竹筋入りのコンクリート二次成形品において、前記コンクリートが、高流動コンクリートであり、前記高流動コンクリートの内部に、前記竹筋が、前記竹を縦割して所望幅、所望長さにて前記コンクリート二次成形品の長尺方向に所望間隔にて配筋されるか、または、前記竹の表皮部分を所望幅、所望厚さにて前記コンクリート二次成形品の長尺方向に所望長さ、所望間隔にて配筋される主筋と、前記主筋の上面又は下面に前記竹を縦割して所望幅、所望長さにてコンクリート二次成形品の短尺方向に所望間隔に配筋されるか、または、竹の表皮部分を所望幅、所望厚さにて前記コンクリート二次成形品の前記短尺方向に配筋されて前記主筋に結合手段により結合される短尺筋と、により構成される用心筋を配筋しているので、従来、コンクリート二次製品をコンクリートを打設して成形するのに加振機により振動を加えて締め固めるのとは異なり、高流動コンクリートの高流動性により高流動コンクリートと用心筋としての竹筋とは付着性が良好になって空隙を生ずることなく、密接するため、高流動コンクリートの固化後は外力により竹筋と高流動コンクリートとが分離されず、高流動コンクリートが用心筋としての竹筋に対してずれ動かない。しかも、高流動コンクリートと、用心筋としての竹筋とは異質であり、高流動コンクリートと竹筋との膨張率が異なるとしても、前述のように高流動コンクリートは流動性が良いので、竹筋と高流動コンクリートとの間に空隙が生じにくく、高流動コンクリートが用心筋としての竹筋に対してずれ動きにくいため、竹筋の強度を用心筋として充分に活かせるから、コンクリート二次成形h品は充分な強度が保証される。
【0023】
また、本発明の請求項2に記載の発明によれば、請求項1において、前記竹筋の前記短尺筋は、表皮側が上側又は下側に配筋され、前記主筋は前記短尺筋の下面又は上面に表皮側が縦に配列され、前記主筋および前記短尺筋は前記コンクリート二次成形品の厚みの中心軸線より下方に配筋されているので、用心筋として用いられる竹筋よりなる主筋と、この主筋に交差して上面または下面に配筋される短尺筋との、個々のそりによる変形は相互に相殺されて最小限になり、主筋及び短尺筋による用心筋としての竹筋の強度は充分に発揮される。この時、表皮側が上側又は下側に配筋されている短尺筋に対して主筋は、表皮側が縦に配筋されるから、大きくそり易い主筋により生ずるそりはコンクリート二次成形品の厚み方向に直交する方向に働いて厚み方向に生ずるそりは少ないため、コンクリート二次製品がひび割れたり、亀裂が生じにくく、高い強度になる。
【0024】
また、本発明の請求項3に記載の発明によれば、請求項1において、前記竹筋の前記主筋および前記短尺筋は、前記竹の表皮部分を所望幅、所望厚さにて使用され、前記短尺筋は表皮側を上側又は下側に配筋されるとともに、前記主筋は前記短尺筋の下面又は上面に表皮側を上側又は下側に配筋され、前記主筋および前記短尺筋は前記コンクリート二次成形品の厚みの中心軸線より下方に配筋されているので、竹筋よりなる主筋と、この主筋に交差して上面または下面に配筋される短尺筋とは、繊維による引っ張り強度が最も高い竹の表皮部分を所望幅、所望厚さにて使用し、前記主筋は表皮側を上側または下側に配筋されるとともに、前記短尺筋は前記主筋の上面または下面に表皮側を上側または下側に配筋することにより、主筋と短尺筋とは、厚み方向において個々のそりによる変形が相互に相殺されて最小限とし、主筋及び短尺筋による用心筋としての強度は充分に発揮される。
【0025】
また、本発明の請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3の何れか1項において、前記竹筋が、孟宗竹または真竹の何れか、或いは、孟宗竹および真竹の何れかにより形成されるので、孟宗竹または真竹の何れか、或いは、孟宗竹および真竹の何れかをコンクリート二次成形品の主筋や短尺筋としての竹筋に対して間隙を生ずることなく、密接し、高流動コンクリートの付着性が良好になるため、コンクリート二次成形品の強度は高くなる。
【0026】
また、本発明の請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4の何れか1項において、前記結合手段が、前記竹筋相互を金属線条材により結束するか、または、前記竹筋相互を接着剤により接着するので、コンクリート二次成形品を高流動コンクリートを用いて成形する場合に、用心筋として竹筋よりなる主筋と、短尺筋とを金属線条材により結束するか、または、前記竹筋相互を接着剤により接着することにより容易かつ確実に結合することができ、施工性は優れる。
【0027】
また、本発明の請求項6に記載の発明によれば、請求項1〜5の何れか1項において、前記コンクリート二次成形品が、暗渠ブロック、側溝ブロック、および水路ブロックの下面に敷設するコンクリート基礎板ブロック、または、コンクリート擁壁ブロック、コンクリート護岸ブロック、コンクリート植生ブロック、魚巣ブロック、擬石ブロック、もしくは、建築物の天井板、室内用化粧壁材、建築用ルーバの何れかに構成されるので、高流動コンクリートの高流動性により高流動コンクリートと用心筋としての竹筋とは付着性が良好になって空隙を生ずることなく、密接するため、高流動コンクリートの固化後は竹筋と高流動コンクリートとが分離されず、高流動コンクリートが用心筋としての竹筋に対してずれ動かない。しかも、高流動コンクリートと、用心筋としての竹筋とは異質であり、高流動コンクリートと竹筋との膨張率が異なるとしても、前述のように高流動コンクリートは流動性が良いので、竹筋と高流動コンクリートとの間に空隙が生じにくく、高流動コンクリートが用心筋としての竹筋に対してずれ動きにくいため、竹筋の強度を用心筋として充分に活かせるから、コンクリート二次成形品は充分な強度が保証される。
【0028】
また、本発明の請求項7に記載の発明によれば、竹を繊維方向に所望幅に縦割するか、または竹の表皮部分を繊維方向に所望厚さに割って所望長さに切断することにより型枠内に長尺方向に所望間隔にて配筋される主筋と、前記竹を繊維方向に所望幅に縦割するか、または竹の表皮部分を繊維方向に所望厚さに割って所望長さに切断して短尺方向に前記主筋の上面又は下面に結合手段により結合することにより配筋される短尺筋と、により構成される用心筋を型枠内に配筋し、そして、前記型枠内に高流動コンクリートを打設することにより形成されるので、従来のコンクリート二次製品を成形するのに加振機により振動を加えるのとは異なり、高流動コンクリートの高流動性により高流動コンクリートと用心筋としての竹筋との付着性が良好になって空隙を生ずることなく、密接するため、高流動コンクリートの固化後は外力を受けても竹筋と高流動コンクリートとが分離されず、高流動コンクリートが用心筋としての竹筋に対してずれ動かない。しかも、高流動コンクリートに対して用心筋としての竹筋が異質であり、高流動コンクリートと竹筋との膨張率が異なるとしても、竹筋と高流動コンクリートとの間に空隙が生じにくく、高流動コンクリートが用心筋としての竹筋に対してずれ動きにくいため、竹筋の強度を用心筋として充分に活かして充分な強度が保証される。また、設備は加振機が不用で小規模で済み、成形は容易かつ迅速に行える。
【0029】
また、本発明の請求項8に記載の発明によれば、請求項7において、前記用心筋は、浮き上がり防止手段により上方から押圧力されて浮き上がりが防止されるので、用心筋として用いられる竹筋よりなる主筋と、この主筋に交差して上面または下面に配筋される短尺筋との、個々のそりによる変形は浮き上がり防止手段により上方から押圧力されて浮き上がりが防止されるため、高流動コンクリート内に用心筋よりなる竹筋は適当位置に平均に配筋され、主筋及び短尺筋による用心筋としての竹筋の強度は充分に発揮される。
【0030】
また、本発明の請求項9に記載の発明によれば、請求項8において、前記浮き上がり防止手段が、前記型枠にヒンジを介して起倒可能に設けられる平面T字形、または平面コ字形の保持枠と、該保持枠の下面に前記用心筋を上方から押圧可能に設けられた複数個の押圧部と、により構成されているので、用心筋として用いられる竹筋よりなる主筋と、この主筋に交差して配筋される短尺筋との、個々のそりによる変形は型枠の上面に伏倒された保持枠の下面に設けられた押圧部に押圧されることにより防止され、高流動コンクリート内に用心筋よりなる竹筋は適当位置に平均に配筋され、主筋及び短尺筋による用心筋としての竹筋の強度は充分に発揮される。
【0031】
また、本発明の請求項10に記載の発明によれば、請求項7において、前記短尺筋は、表皮側が上側又は下側に配筋され、前記主筋は、前記短尺筋の下面又は上面に表皮側が縦に配列され、前記主筋および前記短尺筋は、前記コンクリート二次成形品の厚みの中心軸線より下方に配筋されているので、用心筋として用いられる竹筋よりなる主筋と、この主筋に交差して配筋される短尺筋との、個々のそりによる変形は相互に相殺されて最小限になり、主筋及び短尺筋による用心筋としての竹筋の強度は充分に発揮される。この時、表皮側が上側又は下側に配筋されている短尺筋に対して主筋は、表皮側が縦に配筋されるから、大きくそり易い主筋により生ずるそりはコンクリート二次成形品の厚み方向に直交する方向に働くため、コンクリート二次製品がひび割れたり、亀裂が生じにくく、高い強度になる。
【0032】
また、本発明の請求項11に記載の発明によれば、請求項7〜10の何れか1項において、前記竹筋が、孟宗竹または真竹の何れか、或いは孟宗竹および真竹の何れかにより形成されるので、孟宗竹または真竹の何れか、或いは、孟宗竹および真竹の何れかをコンクリート二次成形品の主筋や短尺筋としての竹筋に対して間隙を生ずることなく、密接し、高流動コンクリートの付着性が良好になるため、コンクリート二次成形品の強度は高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は本発明の竹筋入りのコンクリート二次成形品の実施形態1を示す平面図である。
【図2】図2は同じく長尺方向の断面図である。
【図3】図3は同じく背面図である。
【図4】図4は同じく使用状態を示す斜視図である。
【図5】図5は同じく成形時を示す拡大斜視図である。
【図6】図6は同じく本実施形態1を構成する用心筋を示す平面図である。
【図7】図7は同じく図6の円P内を示す拡大図である。
【図8】図8は同じく本実施形態1を構成する竹筋を形成するのに、竹を縦割りしている状態を示す部分切欠き斜視図である。
【図9】図9は本実施形態1のコンクリート二次成形品の断面をマイクロスコープにより撮影した写真であり、倍率が25倍にて撮影したものである。
【図10】図10は同じく本実施形態1のコンクリート二次成形品の断面をマイクロスコープにより撮影した写真であり、倍率が25倍にて撮影したものである。
【図11】図11は同じく本実施形態1のコンクリート二次成形品の断面をマイクロスコープにより撮影した写真であり、倍率が100倍にて撮影したものである。
【図12】図12は同じく本実施形態1のコンクリート二次成形品の断面をマイクロスコープにより撮影した写真であり、倍率が100倍にて撮影したものである。
【図13】図13は本発明の本実施形態1のコンクリート二次成形品の断面をマイクロスコープにより撮影した写真であり、倍率が175倍にて撮影したものである。
【図14】図14は同じく比較例として従来のコンクリート二次成形品の断面をマイクロスコープにより撮影した写真であり、倍率が25倍にて撮影したものである。
【図15】図15は同じく比較例として従来のコンクリート二次成形品の断面をマイクロスコープにより撮影した写真であり、倍率が25倍にて撮影したものである。
【図16】図16は同じく比較例として従来のコンクリート二次成形品の断面をマイクロスコープにより撮影した写真であり、倍率が100倍にて撮影したものである。
【図17】図17は同じく比較例として従来のコンクリート二次成形品の断面をマイクロスコープにより撮影した写真であり、倍率が100倍にて撮影したものである。
【図18】図18は同じく比較例として従来のコンクリート二次成形品の断面をマイクロスコープにより撮影した写真であり、倍率が175倍にて撮影したものである。
【図19】図19は同じく本発明の竹筋入りのコンクリート二次成形品の実施形態2を示す長尺方向の断面図である。
【図20】図20は同じく拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面に従って本発明の実施の最良の形態により、本発明の詳細を説明する。
【0035】
<本実施形態1>
本実施形態1は、図4に示すように、コンクリート二次成形品Aとして暗渠ブロック、または、図には示さないが、側溝ブロック、および水路ブロックの下面に敷設するコンクリート基礎板ブロックBを成形する場合を好適例として説明する。
【0036】
そして、本実施形態1では、竹を繊維方向に所望幅Wに縦割して所望長さLに切断された竹筋1をコンクリートC内に配筋してコンクリートCを養生・固化させて形成される竹筋入りのコンクリート二次成形品Aにおいて、前記コンクリートCが、高流動コンクリート2であり、前記高流動コンクリート2の内部に、前記竹筋1が、前記竹を縦割して所望幅W、所望長さL1にて前記コンクリート二次成形品Aの長尺方向Xに所望間隔K1にて配筋される主筋1Aと、前記主筋1Aの上面に前記竹を縦割して所望幅W、所望長さL2にてコンクリート二次成形品Aの短尺方向Yに所望間隔K2に配筋されて前記主筋1Aに結合手段3により結合される短尺筋1Bと、により構成される用心筋4を配筋している。
【0037】
前記竹筋1に用いる竹は多量に、しかも品質が一定であり、強度が大きく、安価に入手できるもの、代表的には孟宗竹、真竹が用いられるが、これに限定される趣旨ではない。本実施形態では、竹筋1に用いる竹として、例えば材齢3〜5年の孟宗竹、真竹のうちから、孟宗竹としては直径φが8〜20cm、また真竹としては直径φが5〜15cmであり、長さLが10〜20mのものを自然乾燥し、この竹を縦割して幅Wが約1.5cmにしたものを成形すべきコンクリ−ト二次成形品Aの長尺方向Xの長さに合わせて所望長さL1に切断して用いる。すなわち、図1乃至3、および図5、図6に示すようにコンクリート二次成形品Aとして、前記コンクリート基礎板ブロックBを成形する本実施形態1では、このコンクリート基礎板ブロックBの大きさは大小様々であるが、例えばコンクリート二次成形品Aの長尺方向Xに配筋する主筋1Aとして約2000mmの長さL1に切断されたものが、主筋1Aとしてコンクリート二次成形品Aの長尺方向Xに所望間隔K1にて配筋されるように型枠5内に配筋される。また、前記材齢の竹を竹筋1として用いた場合に、孟宗竹では、引張り応力度最小値が、239・3N/mm2であり、引張り応力度平均値が、410.7N/mm2が得られた。また、真竹では、引張り応力度最小値が、114.0N/mm2であり、引張り応力度平均値が、328.3N/mm2が得られた。
【0038】
また、前記短尺筋1Bは、前述のように竹を縦割して幅Wが約1.5cmにしたものをコンクリート二次成形品Aの長尺方向Xに交差する短尺方向Yに配筋されるように約720mmの長さL2に切断されたものが、コンクリート二次成形品Aの短尺方向Yに所望間隔K2にて配筋される。
【0039】
そして、前記竹筋1の前記短尺筋1Bは、本実施形態1では、表皮側が型枠5内において例えば図5において上側に配筋され、また、前記主筋1Aは前記短尺筋1Bの下面に表皮側が縦に配列され、前記主筋1Aおよび前記短尺筋1Bは前記コンクリート二次成形品Aの厚みTの中心軸線Iより下方に配筋されている。このように、竹筋1の前記短尺筋1Bは、表皮側が型枠5内において上側に配筋され、前記主筋1Aは前記短尺筋1Bの下面に表皮側が縦に配列され、前記主筋1Aおよび前記短尺筋1Bを前記コンクリート二次成形品Aの厚みTの中心軸線Iより下方に配筋するのは、用心筋4として用いられる竹筋1よりなる主筋1Aと、この主筋1Aに交差して上面に配筋される短尺筋1Bとの、個々のそりによる変形は相互に相殺させるようにしてそりを最小限に維持し、主筋1A及び短尺筋1Bによる用心筋4としての竹筋1の強度を充分に発揮させるためである。この時、表皮側が上側又は下側に配筋されている短尺筋1Bに対して主筋1Aは、表皮側が縦に配筋されるから、大きくそり易い主筋1Aにより生ずるそりはコンクリート二次成形品Aの厚み方向に直交する方向に働くため、コンクリート二次成形品Aがひび割れたり、亀裂が生じにくく、高い強度になる。
【0040】
また、前記結合手段3が、前記竹筋1,1相互、すなわち、図示するように本実施形態1では、主筋1Aと短尺筋1Bとを金属線条材6により結束するか、または、図には示さないが、前記竹筋1,1相互を接着剤により接着する。前記金属線条材6の捲数、捲回方向は上記説明に制限されない。
【0041】
前記高流動コンクリート2は、1m3当たりの配合比が、下記[表1]に示されるような組成のものが使用される。
【0042】
【表1】
【0043】
上記[表1]より、本実施形態1に使用される高流動コンクリート2は、1m3当たりの配合比が、例えば粗骨材を600〜1000:細骨材を600〜1000:普通セメントを200〜400:炭酸カルシウムを100〜300:混和剤を3〜15(kg)の配合により構成されているので、上記組成により配合された高流動コンクリート2は、主筋1Aおよび短尺筋1Bの用心筋4としての竹筋1に対して高流動に型枠5内に打設され、間隙を生ずることなく、密接し、付着性が良好にして強度を高くするためである。上記[表1]による高流動コンクリート2による配合比は好適例であり、これに限定されるものではなく、要は竹筋1に対して高流動に型枠5内に打設され、間隙を生ずることなく、密接し、良好な付着性と高い強度を発揮する範囲の配合比であれば自由に設定される。
【0044】
図5において、7は浮き上がり防止手段であり、この浮き上がり防止手段7により前記用心筋4、例えば図では主筋1Aは、上方から押圧されてそりに伴う浮き上がりが防止されるようになっている。前記浮き上がり防止手段7が、図5に示すように前記型枠5にヒンジ8,8を介して起倒可能に設けられる平面T字形、または図には示さないが平面コ字形の保持枠9と、該保持枠9の下面に前記竹筋1、例えば前記主筋1Aを上方から押圧可能に設けられた複数個の押圧部10,10と、により構成されている。なお、図には示さないが、浮き上がり防止手段7の押圧部10,10により竹筋1の浮き上がりを防止するための押圧力を附与するには、例えば前記ヒンジ8,8の枢軸部と同軸に装着したねじりばねの附勢力により下方への附勢力を附与するか、または図には示さないシリンダの駆動により下方への附勢力を得るか、さらには重錘による附勢力により押圧部10,10の押圧力を得ることができる。
【0045】
11はコンクリート二次成形品Aとして暗渠ブロック、側溝ブロック、および水路ブロックを沈降することなく、安定に連続して敷設し、固定するために、暗渠ブロック、側溝ブロック、および水路ブロックの下面と、コンクリート基礎板ブロックBの上面との間に塗布された接着剤としての敷モルタルである。また、12は不陸調整砂、13は割栗石や砕石等の基礎材である。
【0046】
本実施形態1の竹筋入りのコンクリート二次成形品Aは以上の構成からなり、以下このコンクリート二次成形品Aの作用を成形方法とともに説明する。
【0047】
本実施形態1では、竹筋入りのコンクリート二次成形品Aとして、図4に示すように、暗渠ブロック、側溝ブロック、および水路ブロックの下面に敷設するコンクリート基礎板ブロックBを成形するには、先ず、図8に示すように、竹を乾燥させて繊維方向に所望幅W、本実施形態1では1.5cmに縦割して所望長さL1、例えば2000mmに切断して型枠5内に長尺方向Xに所望間隔K1にて配筋される主筋1Aと、前記竹を繊維方向に所望幅W、本実施形態1では約1.5cmに縦割して、所望長さL2、本実施形態1では、約720mmに切断されて短尺方向Yに前記主筋1Aの上面に配筋されて結合手段3により結合される短尺筋1Bと、により構成される用心筋4を型枠5内に配筋する。なお、竹の繊維方向の上記縦割寸法、主筋1Aと、短尺筋1Bの切断長さL1,L2、配筋の間隔寸法、設置個数は例示であり、上記説明に制限されない。
【0048】
この際、前記竹筋1,1相互、すなわち、図示するように本実施形態1では、主筋1Aと短尺筋1Bとは、結合手段3としての金属線条材6により結束するか、または、図には示さないが、前記竹筋1,1相互は接着剤により接着されるので、コンクリート二次成形品Aを高流動コンクリート2を用いて成形する場合に、用心筋4として竹筋1よりなる主筋1Aと、短尺筋1Bとの相互がずれ動くことなく、位置決めがなされ、容易かつ確実に結合することができ、コンクリート二次成形品Aの成形は容易かつ確実になる。
【0049】
また、浮き上がり防止手段7が、図5に示すように型枠5にヒンジ8,8を介して起倒可能に設けられ、この浮き上がり防止手段7は平面T字形、または図には示さないが平面コ字形の保持枠9と、該保持枠9の下面に前記主筋1Aを上方から押圧可能に設けられた複数個の押圧部10,10と、により構成されているので、用心筋4として用いられる竹筋1よりなる主筋1Aと、この主筋1Aに交差して上面に配筋される短尺筋1Bとの、個々のそりによる変形は型枠5の上面に伏倒された保持枠9の下面に設けられた押圧部10,10にて押圧されることにより防止される。このため、高流動コンクリート2内に用心筋4としての竹筋1は適当位置に平均に配筋されるので、主筋1A及び短尺筋1Bよりなる用心筋4としての竹筋1の強度は充分に発揮される。なお、上記説明の浮き上がり防止手段7は、代表的例示であり、型枠5内に竹筋1を配筋後には、型枠5の上方に配置されて上方から押圧部10,10による押圧力を竹筋1に附与し、そして、後述の剥型時には、浮き上がり防止手段7は型枠5の上方から退避されて上方からの押圧部10,10による竹筋1に対する押圧力を解除する構成のものであれば如何様なものでもよい。また、浮き上がり防止手段7の保持枠9の大きさは、型枠5内に配筋される竹筋1の配列に合わせて自由に設定され、また、押圧部10,10の増減変更が自由に行える。
【0050】
次いで、前記型枠5内に高流動コンクリート2を打設する。
【0051】
この高流動コンクリート2は、例えば1m3当たりの配合比が、上記[表1]に示されるように、1m3当たりの配合比が、例えば粗骨材を600〜1000:細骨材を600〜1000:普通セメントを200〜400:炭酸カルシウムを100〜300:混和剤を3〜15(kg)の配合により構成されているので、上記組成により配合された高流動コンクリート2は、高流動により迅速かつ円滑に隈無く、細部まで型枠5内に広がり、主筋1Aおよび短尺筋1Bからなる用心筋4としての竹筋1の周囲に空隙を生ずることなく、密接し、付着性が良好になるため、成形されるコンクリート二次成形品Aの強度は高くなる。
【0052】
この際、従来方法では、コンクリート二次製品を成形するのに、普通コンクリートを加振機により振動を加えて打設しているのとは異なり、本実施形態1では、前述のように高流動コンクリート2の高流動性により高流動コンクリート2と用心筋4としての竹筋1との付着性が良好になって空隙を生ずることなく、高流動コンクリート2と竹筋1とは密接するため、高流動コンクリート2の固化後は外力を受けても竹筋1と高流動コンクリート2とが分離されず、高流動コンクリート2が用心筋4としての竹筋1に対してずれ動かない。しかも、高流動コンクリート2に対して用心筋4としての竹筋1は異質であり、高流動コンクリート2と竹筋1との膨張率が異なるとしても、竹筋1と高流動コンクリート2との間に空隙が生じにくく、高流動コンクリート2が用心筋4としての竹筋1に対してずれ動きにくいため、竹筋1の強度を用心筋4として充分に活かして充分な強度が保証される。また、本実施形態1の成形方法によりコンクリート二次成形品Aを成形する場合に、設備は加振機が不用になるため、小規模で済み、成形は容易かつ迅速に行えるとともに、成形コストは安価になる。
【0053】
その後、高流動コンクリート2が養生・固化されてから、剥型を行うことによりコンクリート二次成形品Aとして図4に示すような暗渠ブロック、側溝ブロック、および水路ブロックの下面に敷設するコンクリート基礎板ブロックBは成形され、使用の途に供される。
【0054】
そして、本実施形態1では、表皮側が上側に配筋されている短尺筋1Bに対して主筋1Aは、表皮側が縦に配筋されるから、大きくそり易い主筋1Aにより生ずるそりはコンクリート二次成形品Aの厚み方向に直交する方向に働くため、コンクリート二次成形品Aがひび割れたり、亀裂が生じにくく、高い強度になる。
【0055】
このようにして、コンクリート二次成形品Aとしてのコンクリ−ト基礎ブロックBは成形されるが、このコンクリ−ト二次成形品Aの断面組織を調べるのに、図9乃至図13に示すようなコンクリート二次成形品Aの断面をマイクロスコープにより撮影した写真を得た。また、図14乃至図18に示すものは、比較例として普通コンクリートを加振機により振動を加えて竹筋1を同様構造に配筋した型枠内に打設するという従来方法により成形されたコンクリ−ト二次成形品の断面組織をマイクロスコープにより撮影した写真である。この時、撮影に使用したマイクロスコープは、KEYENCE社製デジタルマイクロスコープVH−8000Cである。
【0056】
このうち、図9と図10に示される本実施形態1、および図14と図15に示される従来のものは、マイクロスコープの倍率を25倍にしてコンクリート二次成形品の断面組織の撮影が行われたものである。また、図11と図12に示される本実施形態1、および図16と図17に示される従来のものは、マイクロスコープの倍率を100倍にしてコンクリート二次成形品の断面組織の撮影が行われたものであり、さらに、図13に示す本実施形態1、および図18に示す従来のものは、マイクロスコープの倍率を175倍にしてコンクリート二次成形品の断面組織の撮影を行ったものである。
【0057】
そして、本実施形態1のコンクリート二次成形品Aでは、図9乃至図13に示すように、竹筋1と高流動コンクリート2との間の竹筋1の周囲に黒く表された空隙が見えず、竹筋1に対して高流動コンクリート2が隈無く、細部まで行き渡り、付着性が良好であることが伺える。
【0058】
これに対して従来のコンクリート二次成形品には、図14乃至図18に示すように、竹筋と普通コンクリートとの間の竹筋の周囲に黒い空隙が見える。このうち、図16では、竹筋の周囲の空隙が表面的ではなく、奥が深いことが分かる。また、図17では、幅が0.1mm程度の空隙が断片的に存在していることが確認できる。また、図18では、一見全面的に竹筋に普通コンクリートが密着しているように見えるが、普通コンクリートには、竹筋との界面に0.1mm以下の点状の空隙が連続して存在していることが分かる。
【0059】
そして、図11に表された本実施形態1のコンクリート二次成形品Aの断面組織を見ると、竹筋1は比較的平滑な外周面に形成されたものが使用され、竹筋1と高流動コンクリート2との間の竹筋1の周囲には黒く表された空隙が見えない。また、図12に表されたコンクリート二次成形品Aの断面組織を見ると、竹筋1の外表面は0.1mm以下の微細な凹凸形状に形成されたものが使用されているが、竹筋1の周囲には黒く表された空隙が見えずに、高流動コンクリート2が細部にまで隈無く詰まっている。さらに、図13に示されるコンクリート二次成形品Aの断面組織では、竹筋1の周囲に黒く表された空隙が見えずに、高流動コンクリート2が竹筋1の繊維間に存在する凹部内へと組織の細部にまで隈無く充填されていることが一層はっきりわかる。
【0060】
これは、高流動コンクリート2、例えば上記[表1]のように、1m3当たりの配合比が、例えば粗骨材を600〜1000:細骨材を600〜1000:普通セメントを200〜400:炭酸カルシウムを100〜300:混和剤を3〜15(kg)の配合により構成されたものは、高流動性が発揮されるので、従来方法では、コンクリート二次製品を成形するのに、普通コンクリートを加振機により振動を加えるのとは異なり、本実施形態1では、高流動コンクリート2を型枠5内に打設するだけで、竹筋1の繊維間に存在する凹部内へと組織の細部にまで隈無く拡散されて充填されて行くためと考えられる。そして、竹筋1の周囲に黒く見える空隙を存在することなく、高流動コンクリート2と用心筋4としての竹筋1との付着性が良好になり、密接して竹筋1と高流動コンクリート2とが一体化し、コンクリート二次成形品A自体の強度は高くなる。
【0061】
因みに、断面の高さ、幅、長さがそれぞれ100×100×900(mm)の高流動コンクリート2の内部に、幅と厚さとが15×6(mm)の竹筋1,1を金属線条材6により結束して2本配筋したNo1〜No4の4個の供試体につき、スパン700(mm)により2点集中荷重による曲げ試験を行い、荷重と両側面における竹筋1,1の滑り込み量を変位計によりひび割れモーメントと破壊モーメントの実測値と計算値との平均値をまとめた結果、下記[表2]を得るとともに、竹筋1,1の滑り込み時の荷重等を整理することにより下記[表3]を得た。
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
試験の結果、ひび割れは上記[表2]の計算値の72%程度で生じた。一方、破壊は実測値の方が計算値よりも7%程度大きくなった。そして、破壊形式は曲げ付着破壊であった。曲げ引張破壊は生じなかったが、供試体の破壊が、計算の引張破壊モーメントよりも大きくなったことは特筆される。
【0065】
上記[表3]から、滑り込み時のせん断応力度は、1.02N/mm2であり、また、この時の付着応力度は1.19/mm2であった。このことは、許容応力度法では、設計基準強度が40N/mm2の場合には、許容せん断応力度は0.55N/mm2となっていて、本実施形態1の竹筋入りのコンクリート二次成形品Aの安全度は約2倍程度に達する。また、許容付着応力度は鉄筋(普通丸鋼)程度であると考えると許容付着応力度は1.0N/mm2であり、安全度は約1.2倍程度と試算され、高い強度が発揮される。
【0066】
<実施形態2>
図19、および図20に示すものは、本発明の竹筋入りのコンクリート二次成形品Aを建築物としての天井板A1に適用した場合の実施形態2を示す。この実施形態2では、前記高流動コンクリート2の内部に、前記竹筋1が、前記竹の表皮部分20を所望幅W、所望厚さtにてコンクリート二次成形品Aの長尺方向Xに所望長さL1、所望間隔K1にて配筋される主筋1Aと、前記主筋1Aの下面に前記竹の表皮部分20を所望幅W、所望厚さtにてコンクリート二次成形品Aの短尺方向Yに所望長さL2、所望間隔K2にて配筋されて前記主筋1Aに結合手段3により結合される短尺筋1Bと、により構成される用心筋4を型枠5内に配筋している点が前記実施形態1とは異なる。
【0067】
また、前記竹筋1の前記主筋1Aおよび前記短尺筋1Bは、前述のように前記竹の表皮部分20を所望幅W、所望厚さtにて使用され、前記主筋1Aは表皮側を上側に配筋されるとともに、前記短尺筋1Bは前記主筋1Aの下面に表皮側を下側に配筋され、前記主筋1Aおよび前記短尺筋1Bは前記コンクリート二次成形品Aの厚みTの中心軸線Iより下方に配筋されている。
【0068】
そして、コンクリート二次成形品Aを成形するのには、本実施形態2では、竹の表皮部分20を繊維方向に所望幅W、所望厚さtにて割って所望長さL1に切断されて長尺方向Xに所望間隔K1にて配筋される主筋1Aと、前記竹の表皮部分20を繊維方向に所望幅W、所望厚さtにて割り所望長さL2に切断されて短尺方向Yに配筋されて前記主筋1Aの下面に結合手段3により結合される短尺筋1Bと、により構成される用心筋4を型枠5内に配筋し、そして、前記型枠5内に高流動コンクリート2を打設することにより形成される点で構成が異なるほかは、前記実施形態1と同様の構成である。
【0069】
このように、本発明の実施形態2では、竹筋1よりなる主筋1Aと、この主筋1Aに交差して下面に配筋される短尺筋1Bとは、繊維による引っ張り強度が最も高い竹の表皮部分20を所望幅W、所望厚さtにて使用し、前記主筋1Aは表皮側を上側に配筋されるとともに、前記短尺筋1Bは前記主筋1Aの下面に表皮側を下側に配筋することにより、主筋1Aと短尺筋1Bとは、個々のそりによる変形が相互に相殺されて最小限とし、主筋1A及び短尺筋1Bによる用心筋4としての強度は充分に発揮されるという、効果を奏するほかは、前記実施形態1と同様の効果がある。
【0070】
このように、上記実施形態1、および実施形態2では、コンクリート二次成形品の構造材として鉄筋のような鋼材を配筋することにより炭酸ガスを排出して地球の温暖化を招来する場合に比較してコンクリート二次成形品Aの製造、および成形にはコンクリート二次成形品Aに、多量に、しかも品質が一定であり、強度が大きく、安価に自然界から採取できる竹を竹筋1として用心筋4に用いるので、自然環境を破壊することないとともに、竹林から間伐材を採取して利用することができる等の竹林の環境整備に有益である。
【0071】
なお、上記説明は、実施形態1では、前記コンクリート二次成形品Aが、土木分野で使用される暗渠ブロック、側溝ブロック、および水路ブロックの下面に敷設するコンクリート基礎板ブロックBに適用した場合につき代表的に説明したが、これに限ることなく、図には示さないが、このほかに、コンクリート擁壁ブロック、コンクリート護岸ブロック、コンクリート植生ブロック、魚巣ブロック、擬石ブロックが挙げられ、また、実施形態2ではコンクリート二次成形品Aが建築物についての天井板A1を適用する場合を代表的に説明したが、本発明はこれに限ることなく、建築分野で使用される室内用化粧壁材、窓の外部に多数が取付けられる建築用ルーバにも適用でき用途は広範に及ぶ。
【0072】
また、上記実施形態1では、長尺方向Xに配筋される主筋1Aは下側に配筋されるとともに、この主筋1Aに交差して短尺筋1Bを上側に配筋した場合につき説明し、また、実施形態2では主筋1Aを上側に配筋されるとともに、この主筋1Aの下側に短尺筋1Bを交差して配筋している場合を代表的に説明しているが、これは例示であり、主筋1A又は短尺筋1Bの設置個所が、上側又は下側の何れかであっても良く、要はコンクリート二次成形品A内に竹筋1を配筋する場合に主筋1Aまたは短尺筋1Bの影響によるそりを最小限にし、竹筋1に対する高流動性コンクリート2の付着性に優れ、竹筋1が用心筋4として充分に強度を発揮する配列であれば如何なる配列でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、コンクリートと用心筋としての竹筋との付着性が良好であり、充分な強度を保証し得る。
【符号の説明】
【0074】
1 竹筋
1A 主筋
1B 短尺筋
2 高流動コンクリート
3 結合手段
4 用心筋
5 型枠
7 浮き上がり防止手段
8 ヒンジ
9 保持枠
10 押圧部
A コンクリート二次成形品
K1 間隔
K2 間隔
L 長さ
L1 長さ
L2 長さ
T 厚さ
W 幅
【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹を繊維方向に所望幅に縦割して所望長さに切断された竹筋をコンクリート内に配筋してコンクリートを養生・固化させて形成される竹筋入りのコンクリート二次成形品において、
前記コンクリートが、高流動コンクリートであり、
前記高流動コンクリートの内部に、前記竹筋が、前記竹を縦割して所望幅、所望長さにて前記コンクリート二次成形品の長尺方向に所望間隔にて配筋されるか、または、前記竹の表皮部分を所望幅、所望厚さにて前記コンクリート二次成形品の長尺方向に所望長さ、所望間隔にて配筋される主筋と、
前記主筋の上面又は下面に前記竹を縦割して所望幅、所望長さにてコンクリート二次成形品の短尺方向に所望間隔に配筋されるか、または、竹の表皮部分を所望幅、所望厚さにて前記コンクリート二次成形品の前記短尺方向に配筋されて前記主筋に結合手段により結合される短尺筋と、により構成される用心筋を配筋している、
ことを特徴とする竹筋入りのコンクリート二次成形品。
【請求項2】
前記竹筋の前記短尺筋は、表皮側が上側に配筋され、前記主筋は前記短尺筋の下面に表皮側が縦に配列され、前記主筋および前記短尺筋は前記コンクリート二次成形品の厚みの中心軸線より下方に配筋されていることを特徴とする請求項1に記載の竹筋入りのコンクリート二次成形品。
【請求項3】
前記竹筋の前記主筋および前記短尺筋は、前記竹の表皮部分を所望幅、所望厚さにて使用され、前記短尺筋は表皮側を上側又は下側に配筋されるとともに、前記主筋は前記短尺筋の下面又は上面に表皮側を上側又は下側に配筋され、前記主筋および前記短尺筋は前記コンクリート二次成形品の厚みの中心軸線より下方に配筋されていることを特徴とする請求項1に記載の竹筋入りのコンクリート二次成形品。
【請求項4】
前記竹筋が、孟宗竹または真竹の何れか、或いは、孟宗竹および真竹の何れかにより形成されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の竹筋入りのコンクリート二次成形品。
【請求項5】
前記結合手段が、前記竹筋相互を金属線条材により結束するか、または、前記竹筋相互を接着剤により接着することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の竹筋入りのコンクリート二次成形品。
【請求項6】
前記コンクリート二次成形品が、暗渠ブロック、側溝ブロック、および水路ブロックの下面に敷設するコンクリート基礎板ブロック、または、コンクリート擁壁ブロック、コンクリート護岸ブロック、コンクリート植生ブロック、魚巣ブロック、擬石ブロック、もしくは、建築物の天井板、室内用化粧壁材、建築用ルーバの何れかに構成されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の竹筋入りのコンクリート二次成形品。
【請求項7】
竹を繊維方向に所望幅に縦割するか、または竹の表皮部分を繊維方向に所望厚さに割って所望長さに切断することにより型枠内に長尺方向に所望間隔にて配筋される主筋と、前記竹を繊維方向に所望幅に縦割するか、または竹の表皮部分を繊維方向に所望厚さに割って所望長さに切断して短尺方向に前記主筋の上面又は下面に結合手段により結合することにより配筋される短尺筋と、により構成される用心筋を型枠内に配筋し、そして、
前記型枠内に高流動コンクリートを打設することにより形成される
ことを特徴とする竹筋入りのコンクリート二次成形品の成形方法。
【請求項8】
前記用心筋は、浮き上がり防止手段により上方から押圧力されて浮き上がりが防止されることを特徴とする請求項7に記載の竹筋入りのコンクリート二次成形品の成形方法。
【請求項9】
前記浮き上がり防止手段が、前記型枠にヒンジを介して起倒可能に設けられる平面T字形、または平面コ字形の保持枠と、該保持枠の下面に前記主筋を上方から押圧可能に設けられた複数個の押圧部と、により構成されていることを特徴とする請求項8に記載の竹筋入りのコンクリート二次成形品の成形方法。
【請求項10】
前記短尺筋は、表皮側が上側又は下側に配筋され、前記主筋は、前記短尺筋の下面又は上面に表皮側が縦に配列され、前記主筋および前記短尺筋は、前記コンクリート二次成形品の厚みの中心軸線より下方に配筋されていることを特徴とする請求項7に記載の竹筋入りのコンクリート二次成形品の成形方法。
【請求項11】
前記竹筋が、孟宗竹または真竹の何れか、或いは孟宗竹および真竹の何れかにより形成されることを特徴とする請求項7〜10の何れか1項に記載の竹筋入りのコンクリート二次成形品の成形方法。
【請求項1】
竹を繊維方向に所望幅に縦割して所望長さに切断された竹筋をコンクリート内に配筋してコンクリートを養生・固化させて形成される竹筋入りのコンクリート二次成形品において、
前記コンクリートが、高流動コンクリートであり、
前記高流動コンクリートの内部に、前記竹筋が、前記竹を縦割して所望幅、所望長さにて前記コンクリート二次成形品の長尺方向に所望間隔にて配筋されるか、または、前記竹の表皮部分を所望幅、所望厚さにて前記コンクリート二次成形品の長尺方向に所望長さ、所望間隔にて配筋される主筋と、
前記主筋の上面又は下面に前記竹を縦割して所望幅、所望長さにてコンクリート二次成形品の短尺方向に所望間隔に配筋されるか、または、竹の表皮部分を所望幅、所望厚さにて前記コンクリート二次成形品の前記短尺方向に配筋されて前記主筋に結合手段により結合される短尺筋と、により構成される用心筋を配筋している、
ことを特徴とする竹筋入りのコンクリート二次成形品。
【請求項2】
前記竹筋の前記短尺筋は、表皮側が上側に配筋され、前記主筋は前記短尺筋の下面に表皮側が縦に配列され、前記主筋および前記短尺筋は前記コンクリート二次成形品の厚みの中心軸線より下方に配筋されていることを特徴とする請求項1に記載の竹筋入りのコンクリート二次成形品。
【請求項3】
前記竹筋の前記主筋および前記短尺筋は、前記竹の表皮部分を所望幅、所望厚さにて使用され、前記短尺筋は表皮側を上側又は下側に配筋されるとともに、前記主筋は前記短尺筋の下面又は上面に表皮側を上側又は下側に配筋され、前記主筋および前記短尺筋は前記コンクリート二次成形品の厚みの中心軸線より下方に配筋されていることを特徴とする請求項1に記載の竹筋入りのコンクリート二次成形品。
【請求項4】
前記竹筋が、孟宗竹または真竹の何れか、或いは、孟宗竹および真竹の何れかにより形成されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の竹筋入りのコンクリート二次成形品。
【請求項5】
前記結合手段が、前記竹筋相互を金属線条材により結束するか、または、前記竹筋相互を接着剤により接着することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の竹筋入りのコンクリート二次成形品。
【請求項6】
前記コンクリート二次成形品が、暗渠ブロック、側溝ブロック、および水路ブロックの下面に敷設するコンクリート基礎板ブロック、または、コンクリート擁壁ブロック、コンクリート護岸ブロック、コンクリート植生ブロック、魚巣ブロック、擬石ブロック、もしくは、建築物の天井板、室内用化粧壁材、建築用ルーバの何れかに構成されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の竹筋入りのコンクリート二次成形品。
【請求項7】
竹を繊維方向に所望幅に縦割するか、または竹の表皮部分を繊維方向に所望厚さに割って所望長さに切断することにより型枠内に長尺方向に所望間隔にて配筋される主筋と、前記竹を繊維方向に所望幅に縦割するか、または竹の表皮部分を繊維方向に所望厚さに割って所望長さに切断して短尺方向に前記主筋の上面又は下面に結合手段により結合することにより配筋される短尺筋と、により構成される用心筋を型枠内に配筋し、そして、
前記型枠内に高流動コンクリートを打設することにより形成される
ことを特徴とする竹筋入りのコンクリート二次成形品の成形方法。
【請求項8】
前記用心筋は、浮き上がり防止手段により上方から押圧力されて浮き上がりが防止されることを特徴とする請求項7に記載の竹筋入りのコンクリート二次成形品の成形方法。
【請求項9】
前記浮き上がり防止手段が、前記型枠にヒンジを介して起倒可能に設けられる平面T字形、または平面コ字形の保持枠と、該保持枠の下面に前記主筋を上方から押圧可能に設けられた複数個の押圧部と、により構成されていることを特徴とする請求項8に記載の竹筋入りのコンクリート二次成形品の成形方法。
【請求項10】
前記短尺筋は、表皮側が上側又は下側に配筋され、前記主筋は、前記短尺筋の下面又は上面に表皮側が縦に配列され、前記主筋および前記短尺筋は、前記コンクリート二次成形品の厚みの中心軸線より下方に配筋されていることを特徴とする請求項7に記載の竹筋入りのコンクリート二次成形品の成形方法。
【請求項11】
前記竹筋が、孟宗竹または真竹の何れか、或いは孟宗竹および真竹の何れかにより形成されることを特徴とする請求項7〜10の何れか1項に記載の竹筋入りのコンクリート二次成形品の成形方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図19】
【図20】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図19】
【図20】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−196345(P2010−196345A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41872(P2009−41872)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(591077678)インフラテック株式会社 (17)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(591077678)インフラテック株式会社 (17)
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