説明

第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマー、及びその製造方法

【課題】カチオン系薬剤との相溶性が良好で、流水下でも毛髪表面に対する密着性に優れ、毛髪に滑らかな手触り感及びハリ・コシ感を付与することができるポリウレタン系樹脂及びその製造方法を提供する。
【解決手段】(A)ポリイソシアネート化合物、(B)ポリオール化合物、及び(C)ヒドロキシル基を2以上有する第3級アミン化合物に対応する構成単位を含み、前記成分(C)由来の第3級アミン部位が第4級アンモニウムイオン化されたウレタン系ポリマーのイソシアネート末端に、成分(D)エステル変性アミノ基含有アルコキシシランが結合してウレア結合を形成した構造を有する第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カチオン性親水基を有するシリル化ウレタン系ポリマー、該ポリマーを水に分散させて得られる水性分散液、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リンス、コンディショナー等には、毛髪にハリ・コシ感、及び良好な手触り感を付与する目的で、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルクロリドエーテル、ビニルピロリドンなどの各種高分子成分が配合されてきた。しかし、満足できる効果を得ることができなかった。
【0003】
一方、特許文献1には、カチオン性基を有するウレタン系ポリマーをリンス、コンディショナー等に配合すると、毛髪にハリ・コシ感、優れた手触り感を付与すると共に、優れた風合い、耐フレーキング性を付与することができると記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、整髪剤のベース樹脂としてアニオン性基を有するウレタン系ポリマーを使用すると、良好なセット力を有しつつ、毛髪に優れた風合い及び耐フレーキング性を付与することができることが記載されている。更に、特許文献3には、アニオン性基を有するウレタン系ポリマーの末端に反応性シラノール基を導入したものを整髪剤に配合し毛髪に適用すると、適用後、速やかに毛髪表面に皮膜を形成して優れたセット力を発揮することができ、毛髪にべたつきのない自然な風合いを付与することができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−285043号公報
【特許文献2】特開平06−321741号公報
【特許文献3】特開2006−213706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、本発明者等は、上記ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルクロリドエーテル、ビニルピロリドンなどの各種高分子成分やカチオン性基を有するウレタン系ポリマーは、リンス、コンディショナー等に使用しても、水で濯いだ際にほとんどが洗い流されてしまい毛髪表面に残存し難いため、毛髪に十分なハリ・コシ感を付与することができないこと、毛髪表面に残存し易くするためには、毛髪表面に対する密着性を向上させる必要があることを見出した。
【0007】
また、上記アニオン性基を有するウレタン系ポリマーの末端に反応性シラノール基を導入したものは、毛髪表面に対する密着性に優れることが期待されたが、リンス、コンディショナー等に配合して使用する場合は皮膜を形成することができず、毛髪表面に対する密着性を発揮することができないため、水で濯いだ際にほとんどが洗い流されてしまい毛髪に十分なハリ・コシ感を付与することができないこと、及び、リンス、コンディショナー等に含有するカチオン系薬剤(例えば、カチオン系界面活性剤)との相溶性が低く、リンス、コンディショナー等に配合することが難しいことを見出した。
【0008】
従って、本発明の目的は、カチオン系薬剤との相溶性が良好で、流水下でも毛髪表面に対する密着性に優れ、すなわち水で濯いでも洗い流されることなく毛髪表面に有効量が残存して、毛髪に滑らかな手触り感、及びハリ・コシ感を付与することができるポリウレタン系樹脂及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、毛髪に滑らかな手触り感、及びハリ・コシ感に加え、しっとり感及び/又はサラサラ感を付与することができるポリウレタン系樹脂及びその製造方法を提供することにある。
更に本発明の他の目的は、前記ポリウレタン系樹脂を水に分散させてなる水性分散液を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、カチオン性親水基を有するウレタン系ポリマー鎖末端に反応性シラノール基を導入して得られたポリマーは、アニオン性を呈する毛髪表面に吸着しやすく、吸着した前記ポリマー同士が互いにシロキサン結合して架橋構造を形成するためか、流水下でも毛髪表面に優れた密着性を発揮することができること、カチオン系薬剤との相溶性に優れ、リンス、コンディショナー等にも配合することができること、及びリンス、コンディショナー等に配合して毛髪に適用すると、水で濯いでも洗い流されることなく、毛髪に滑らかな手触り感、及び十分なハリ・コシ感を付与することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0010】
すなわち、本発明は、下記成分(A)、成分(B)、及び成分(C)に対応する構成単位を含み、前記成分(C)由来の第3級アミン部位が第4級アンモニウムイオン化されたウレタン系ポリマーのイソシアネート末端に、下記成分(D)が結合してウレア結合を形成した構造を有する第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーを提供する。
成分(A):ポリイソシアネート化合物
成分(B):ポリオール化合物
成分(C):ヒドロキシル基を2以上有する第3級アミン化合物
成分(D):下記式(d1)、(d2)又は(d3)
【化1】

(式中、R1、R2は、同一又は異なって、アルキル基を示し、R3、R4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよいアルキレン基又は置換基を有していてもよいアリーレン基を示す。R5はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、R6は水素原子又は−COOR6'を示し、R6'はアルキル基を示す。また、mは1〜3の整数である。mが1である場合、2個のR2は同一であってもよく、異なっていてもよい。mが2以上の整数である場合、2個以上のR1O−基は同一であってもよく、異なっていてもよい)
で表されるエステル変性アミノ基含有アルコキシシラン
【0011】
成分(B)としては、3価以上の多価アルコールのポリアルキレンオキシド付加物又は該付加物の末端水酸基が封止された誘導体を含むことが好ましく、特に、下記式(b)
【化2】

(式中、n1は10〜40の整数を示す)
で表される化合物を含むことが好ましい。
【0012】
本発明は、また、前記第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーにおける成分(D)由来の末端アルコキシシリル基に、下記式(e1)又は(e2)
【化3】

(式(e1)中、R7、R8、R9、R10は、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。m’は1又は2である。n2は1以上の整数である。
式(e2)中、R11は(OR7)又はR8を示し、R12は有機基を示す。n3は1以上の整数である。R7、R8、m’は前記に同じ)
で表される化合物(E)を反応させて得られるシリコーン鎖を有する第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーを提供する。
【0013】
本発明は、さらに、前記第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーを水に分散させてなる水性分散液を提供する。
【0014】
本発明は、さらにまた、前記第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーの製造法であって、少なくとも下記工程(1)、(2)、(3)を有する第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーの製造方法を提供する。
工程(1):下記成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を反応させてウレタン系ポリマーを合成する工程
工程(2):成分(C)由来の第3級アミン部位を第4級アンモニウムイオン化する工程
工程(3):ウレタン系ポリマーのイソシアネート末端に、下記成分(D)を反応させる工程
成分(A):ポリイソシアネート化合物
成分(B):ポリオール化合物
成分(C):ヒドロキシル基を2以上有する第3級アミン化合物
成分(D):下記式(d1)、(d2)又は(d3)で表されるエステル変性アミノ基含有アルコキシシラン
【化4】

【0015】
成分(B)としては、3価以上の多価アルコールのポリアルキレンオキシド付加物又は該付加物の末端水酸基が封止された誘導体を含むことが好ましく、特に、下記式(b)
【化5】

で表される化合物を含むことが好ましい。
【0016】
また、本発明に係る第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーの製造方法としては、上記工程(1)、(2)、(3)に、更に、成分(D)由来の末端アルコキシシリル基に、下記式(e1)又は(e2)
【化6】

(式(e1)中、R7、R8、R9、R10は、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。m’は1又は2である。n2は1以上の整数である。
式(e2)中、R11は(OR7)又はR8を示し、R12は有機基を示す。n3は1以上の整数である。R7、R8、m’は前記に同じ)
で表される化合物(E)を反応させる工程(4)を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーは親水基としてカチオン性基を有するため、カチオン性薬剤に対する相溶性に優れる。また、本発明に係る第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーはカチオン性基を有するためアニオン性を呈する毛髪表面に吸着しやすく、且つ、末端に反応性シラノール基を有するため、このシラノール基が反応することにより、流水下でも毛髪表面に対して優れた密着性を発揮することができる。そのため、水で濯いでも洗い流されることがなく、毛髪に密着して滑らかな手触り感、及びハリ・コシ感を付与することができる。本発明に係る第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーは、リンス、コンディショナー等の毛髪化粧料に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマー]
本発明に係る第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーは、下記成分(A)、成分(B)、及び成分(C)に対応する構成単位を含み、前記成分(C)由来の第3級アミン部位が第4級アンモニウムイオン化されたウレタン系ポリマーのイソシアネート末端に、下記成分(D)が結合してウレア結合を形成した構造を有する。
成分(A):ポリイソシアネート化合物
成分(B):ポリオール化合物
成分(C):ヒドロキシル基を2以上有する第3級アミン化合物
成分(D):下記式(d1)、(d2)又は(d3)
【化7】

(式中、R1、R2は、同一又は異なって、アルキル基を示し、R3、R4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよいアルキレン基又は置換基を有していてもよいアリーレン基を示す。R5はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、R6は水素原子又は−COOR6'を示し、R6'はアルキル基を示す。また、mは1〜3の整数である。mが1である場合、2個のR2は同一であってもよく、異なっていてもよい。mが2以上の整数である場合、2個以上のR1O−基は同一であってもよく、異なっていてもよい)
で表されるエステル変性アミノ基含有アルコキシシラン
【0019】
上記第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーは、少なくとも下記工程(1)、(2)、(3)を経て合成することができる。
工程(1):上記成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を反応させてウレタン系ポリマーを合成する工程
工程(2):成分(C)由来の第3級アミン部位を第4級アンモニウムイオン化する工程
工程(3):ウレタン系ポリマーのイソシアネート末端に、上記成分(D)を反応させる工程
【0020】
[成分(A):ポリイソシアネート化合物]
成分(A)は、分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物であればよく、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート等を挙げることができる。
【0021】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネ−ト、1,3−ペンタメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンジイソシアネ−ト等の脂肪族ジイソシアネート等を挙げることができる。
【0022】
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート等を挙げることができる。
【0023】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネ−ト、p−フェニレンジイソシアネ−ト、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,4−ジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,5−ジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルエ−テルジイソシアネ−ト、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネ−ト、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネ−ト、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシネ−ト、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネ−ト、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネ−ト等の芳香族ジイソシアネート等を挙げることができる。
【0024】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−キシリレンジイソシアネ−ト、1,4−キシリレンジイソシアネ−ト、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン等の芳香脂肪族ジイソシアネート等を挙げることができる。
【0025】
また、前記脂肪族ポリイソシアネ−ト、脂環式ポリイソシアネ−ト、芳香族ポリイソシアネ−ト、芳香脂肪族ポリイソシアネ−トによる二量体や三量体、反応生成物又は重合物(例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの二量体や三量体、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート等)等も挙げることができる。
【0026】
本発明における成分(A)としては、なかでも、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、1,3−キシリレンジイソシアネ−ト、1,4−キシリレンジイソシアネ−ト、ノルボルナンジイソシアネート、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン等を好適に用いることができる。これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。また、脂肪族ポリイソシアネートを使用すると変色の少ない樹脂を得ることが出来る。
【0027】
[成分(B):ポリオール化合物]
成分(B)としては、ヒドロキシル基を2以上有する化合物であればよく、例えば、多価アルコール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリアクリルポリオール、3価以上の多価アルコールのポリアルキレンオキシド付加物又はその末端水酸基が封止された誘導体、ヒマシ油等を挙げることができる。本発明における成分(B)としては、なかでも、製造時の取り扱いが比較的容易なことから、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、3価以上の多価アルコールのポリアルキレンオキシド付加物又はその末端水酸基が封止された誘導体から選択される化合物が好ましい
【0028】
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)等のポリアルキレングリコール;エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体等の複数のアルキレンオキシドを含む(アルキレンオキサイド−他のアルキレンオキサイド)共重合体等を挙げることができる。本発明においては、商品名「PTMG2000」(三菱化学(株)製)等の市販品を使用してもよい。
【0029】
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物;環状エステル(ラクトン)の開環重合物;多価アルコール、多価カルボン酸及び環状エステルの3種類の成分による反応物等を用いることができる。これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0030】
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−テトラメチレンジオール、1,3−テトラメチレンジオール、2−メチル−1,3−トリメチレンジオール、1,5−ペンタメチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレンジオール、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタメチレンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジオール類(1,4−シクロヘキサンジオール等)、ビスフェノール類(ビスフェノールA等)、糖アルコール類(キシリトールやソルビトール等)等を挙げることができる。多価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸等を挙げることができる。また、環状エステルとしては、例えば、プロピオラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等を挙げることができる。
【0031】
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、多価アルコールとホスゲンとの反応物;環状炭酸エステルの開環重合物等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。多価アルコールとホスゲンとの反応に使用する多価アルコールとしては、前記多価アルコールの例と同様の例を挙げることができる。また、前記環状炭酸エステルとしては、例えば、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ヘキサメチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート等を挙げることができる。なお、本発明においてポリカーボネートポリオールとは、分子内にカーボネート結合を有し、末端がヒドロキシル基である化合物であればよく、カーボネート結合とともにエステル結合を有していてもよい。
【0032】
前記3価以上の多価アルコールのポリアルキレンオキシド付加物又はその末端水酸基が封止された誘導体としては、3価以上の多価アルコールが有するヒドロキシル基の1つに、ポリアルキレンオキシドが付加して得られる化合物又は該付加物の末端水酸基がメチル、エチル基等のアルキル基やアセチル、ベンゾイル基等のアシル基で封止された誘導体を挙げることができる。
【0033】
前記3価以上の多価アルコールとしては、例えば、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール、キシリトール、ソルビトール等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。本発明においては、なかでもトリメチロールプロパン、トリメチロールエタンが好ましい。
【0034】
また、前記ポリアルキレンオキシドとしては、単一のアルキレンオキシドを含むアルキレンオキシド重合体、複数のアルキレンオキシドを含む(アルキレンオキサイド−他のアルキレンオキサイド)共重合体を挙げることができる。そして、前記アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド,1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、トリメチルエチレンオキシド、テトラメチレンオキシド、テトラメチルエチレンオキシド、ブタジエンモノオキシド、オクチレンオキシド等の炭素数2〜8のアルキレンオキシドの他、ジペンタンエチレンオキシド、ジヘキサンエチレンオキシド等の脂肪族エポキシド;トリメチレンオキシド、テトラメチレンオキシド、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、オクチレンオキシド等の脂環エポキシド;スチレンオキシド、1,1−ジフェニルエチレンオキシド等の芳香族エポキシド等を挙げることができる。本発明におけるポリアルキレンオキシドとしては、なかでも、水分散安定性の点でエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の炭素数2〜4のアルキレンオキシドを含むことが好ましく、特にエチレンオキシドを含むことが好ましい。
【0035】
本発明における3価以上の多価アルコールのポリアルキレンオキシド付加物又はその末端水酸基が封止された誘導体としては、例えば、トリメチロールプロパンモノ(ポリエチレンオキシドメチルエーテル)、トリメチロールプロパンモノ(ポリエチレンオキシドエチルエーテル)等のトリメチロールプロパンモノ(ポリアルキレンオキシドアルキルエーテル);ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシアルキレンソルビタンモノ脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリルモノラウレート、ポリオキシエチレングリセリルモノステアレート等のポリオキシエチレングリセリルモノ脂肪酸エステル;トリメチロールプロパンモノ(ポリエチレンオキシドメチルエーテル)等のトリメチロールプロパンモノ(ポリアルキレンオキシドアルキルエーテル等を挙げることができる。
【0036】
本発明においては、なかでも、トリメチロールプロパンモノ(ポリアルキレンオキシドアルキルエーテル)が好ましく、特に、下記式(b)
【化8】

(式中、n1は10〜40の整数を示す)
で表される化合物が好ましい。本発明においては、商品名「YmerN120」(Perstorp社製)等の市販品を使用してもよい。
【0037】
本発明における成分(B)の数平均分子量としては、例えば、500〜5000程度が好ましく、なかでも800〜3000程度が好ましい。数平均分子量が500を下回ると、毛髪に滑らかな手触り感、及びハリ・コシ感を付与する効果が低下する傾向がある。一方、数平均分子量が5000を上回ると、水分散性が低下する傾向がある。
【0038】
本発明における成分(B)としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、3価以上の多価アルコールのポリアルキレンオキシド付加物又はその末端水酸基が封止された誘導体から選択される1以上の化合物を含むことが好ましく、特に、ウレタン系ポリマーにペンダント型のノニオン側鎖(親水基)を導入することにより、空気中の湿気を毛髪中に取り込みやすくなり、毛髪に滑らかな手触り感、及びハリ・コシ感に加えてしっとり感を付与することができる点で、少なくとも3価以上の多価アルコールのポリアルキレンオキシド付加物又はその末端水酸基が封止された誘導体(特に、上記式(b)で表される化合物)を含むことが好ましい。
【0039】
成分(B)中の3価以上の多価アルコールのポリアルキレンオキシド付加物又は該付加物の末端水酸基が封止された誘導体の割合としては、例えば5〜100質量%、好ましくは5〜50質量%である。3価以上の多価アルコールのポリアルキレンオキシド付加物又は該付加物の末端水酸基が封止された誘導体を上記範囲内で使用すると、毛髪表面に対するより高い密着性を得ると共に、しっとりとした手触り感触を得ることができる。
【0040】
[成分(C):ヒドロキシル基を2以上有する第3級アミン化合物]
成分(C)としては、カチオン化し得る第3級アミンと2以上のヒドロキシル基を有していればよく、例えば、トリエタノールアミン、トリ−n−プロパノールアミン、トリ−iso−プロパノールアミン等のトリアルカノールアミン;N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン等のN−炭化水素基置換−ジアルカノールアミン等を挙げることができる。
【0041】
本発明における成分(C)としては、なかでも、N−炭化水素基置換−N,N−ジアルカノールアミンが好ましく、特にN−メチル−N,N−ジエタノールアミン、N−エチル−N,N−ジエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジプロパノールアミンが好ましい。
【0042】
[成分(D):エステル変性アミノ基含有アルコキシシラン]
本発明における成分(D)は、上記式(d1)、(d2)又は(d3)で表される。式中、R1、R2は、同一又は異なって、アルキル基を示し、R3、R4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよいアルキレン基又は置換基を有していてもよいアリーレン基を示す。R5はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、R6は水素原子又は−COOR6'を示し、R6'はアルキル基を示す。また、mは1〜3の整数である。mが1である場合、2個のR2は同一であってもよく、異なっていてもよい。mが2以上の整数である場合、2個以上のR1O−基は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0043】
上記式(d1)、(d2)、(d3)中のR1、R2は、同一又は異なってアルキル基を示す。前記アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、s−ペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、s−ヘキシル、t−ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル基等を挙げることができる。本発明のR1、R2におけるアルキル基としては、なかでも炭素数1〜6程度のアルキル基(特に安全性の点で、エチル基)が好ましい。
【0044】
上記式(d1)、(d2)、(d3)中のR3、R4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよいアルキレン基又は置換基を有していてもよいアリーレン基を示す。前記アルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、デカメチレン、テトラデカメチレン基等を挙げることができる。本発明のR3、R4におけるアルキレン基としては、なかでも炭素数1〜10のアルキレン基が好ましい。前記アリーレン基としては、例えば、フェニレン、ナフチレン、アントリレン基等を挙げることができる。本発明のR3、R4におけるアリーレン基としては、なかでも炭素数1〜10のアリーレン基が好ましい。
【0045】
また、R3、R4が有していてもよい置換基としては、例えば、フェニル基等のアリール基;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基等を挙げることができる。また、該置換基は、さらに他の置換基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、シクロアルキルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アシル基、アミノ基等)を有していてもよい。
【0046】
上記式(d1)、(d2)、(d3)中のR5は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。前記アルキル基としては、上記R1、R2におけるアルキル基の例と同様の例を挙げることができる。本発明のR5におけるアルキル基としては、なかでも炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。前記シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基等の炭素数3〜20の単環、多環又は縮合環式のシクロアルキル基等を挙げることができる。前記アリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリル、ビフェニル基等の炭素数3〜20のアリール基等を挙げることができる。前記アラルキル基としては、例えば、前記アリール基で置換された前記アルキル基等を挙げることができる。
【0047】
上記式(d1)、(d2)、(d3)中のR6は、水素原子又は−COOR6'を示し、R6'はアルキル基を示す。R6'におけるアルキル基としては、上記R1、R2におけるアルキル基の例と同様の例を挙げることができ、なかでも炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。
【0048】
上記式(d1)、(d2)、(d3)で表されるエステル変性アミノ基含有アルコキシシランは、例えば、下記式(d1,2-1)
【化9】

(式中、R1、R2、R3、R4、mは前記に同じ)
で表される第1級及び第2級アミノ基含有アルコキシシラン化合物、又は下記式(d3-1)
【化10】

(式中、R1、R2、R3、mは前記に同じ)
で表される第1級アミノ基含有アルコキシシラン化合物における第1級又は第2級アミノ基の窒素原子に、下記式(1)
【化11】

(式中、R5、R6は前記に同じ)
で表される不飽和カルボン酸エステルの不飽和結合(炭素−炭素二重結合)をマイケル付加反応することにより合成することができる。前記マイケル付加反応は、溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。また、反応に際し加熱や加圧を行ってもよい。
【0049】
式(d1,2-1)で表される第1級及び第2級アミノ基含有アルコキシシラン化合物としては、例えば、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のN−(アミノアルキル)アミノアルキルトリアルコキシシラン;N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等のN−(アミノアルキル)アミノアルキルアルキルジアルコキシシラン等を挙げることができる。本発明においては、商品名「KBE602」、「KBM602」、「KBE603」「KBM603」(以上、信越化学工業(株)製)等の市販品を使用してもよい。
【0050】
式(d3-1)で表される第1級アミノ基含有アルコキシシラン化合物としては、例えば、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、3−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、3−アミノプロピルトリブトキシシラン等のアミノアルキルトリアルコキシシラン;2−アミノエチルメチルジメトキシシラン、2−アミノエチルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジプロポキシシラン等の(アミノアルキル)アルキルジアルコキシシランやこれらに対応するアミノアルキルジアルキル(モノ)アルコキシシラン等を挙げることができる。本発明においては、商品名「KBE902」、「KBM902」、「KBE903」、「KBM903」(以上、信越化学工業(株)製)等の市販品を使用してもよい。
【0051】
上記式(1)で表される不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、3−ブチルシクロヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、グリシジルアクリレート、等を挙げることができる。本発明における式(1)で表される不飽和カルボン酸エステルとしては、なかでも、n−ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましい。
【0052】
[工程(1):ウレタン系ポリマーの合成]
ウレタン系ポリマーは、上記成分(A)、(B)、(C)を、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物からウレタン系ポリマーを調製する公知乃至慣用の方法に準じて反応させることにより合成することができる。ウレタン系ポリマー合成には、反応促進のために重合触媒を用いてもよい。
【0053】
前記重合触媒としては、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応に用いられる公知乃至慣用の重合触媒(硬化触媒)を用いることができ、例えば、アミン化合物等の塩基性化合物を挙げることができる。アミン化合物等の塩基性化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類;テトラメチルアンモニウムクロライド、ベンザルコニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩類;三共エアプロダクツ社製の商品名「DABCO」シリーズや「DABCO BL」シリーズ、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)等の複数の窒素原子を含む直鎖状或いは環状の第三級アミン又は第四級アンモニウム塩等を挙げることができる。
【0054】
また、反応は溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル等を挙げることができる。反応時の雰囲気は特に制限されず、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等から選択される。反応温度は、反応成分の種類等に応じて適宜選択でき、例えば、20〜150℃、好ましくは20〜100℃程度である。反応は常圧下で行ってもよく、減圧下又は加圧下で行ってもよい。反応時間は、成分の反応性に応じて適宜選択でき、例えば、2〜20時間、好ましくは3〜10時間程度である。
【0055】
成分(A)、成分(B)、成分(C)の使用量としては、特に制限されることがなく求める諸物性に応じて適宜調整することができ、例えば、成分(A)におけるイソシアネート基/成分(B)及び成分(C)におけるヒドロキシル基(NCO/OH基)(当量比)が、1より大きく1.5以下(好ましくは1より大きく1.3以下、さらに好ましくは1より大きく1.2以下)となるような範囲である。該NCO/OH基の比が大きすぎると(例えば、1.5(当量比)を越えると)、分散性が低下する傾向がある。一方、該NCO/OH基の比が小さすぎると(例えば、1以下(当量比)であると)、シリル基導入が十分に行えず、密着性が低下する傾向がある。
【0056】
さらに、成分(C)は、ウレタン系ポリマー中のカチオン化し得る第3級アミンの含有量が、2〜90質量%(好ましくは2〜50質量%、さらに好ましくは5〜20質量%)となるような割合で含まれていることが好ましい。該カチオン化し得る第3級アミンの含有量が上記範囲を上回ると、粘度が高くなりすぎ、使用しづらくなる傾向がある。一方、該カチオン化し得る第3級アミンの含有量が上記範囲を下回ると、分散安定性が低下する傾向がある。
【0057】
ウレタン系ポリマーの末端イソシアネート基含有量としては、例えば、0.3〜7.0重量%程度が好ましい。末端イソシアネート基含有量が7.0重量%を上回ると、水分散が困難となる傾向がある。一方、末端イソシアネート基含有量が0.3重量%を下回ると、合成時の粘度が高くなりすぎて、合成が困難となる傾向がある。
【0058】
[工程(2):第3級アミン部位の第4級アンモニウムイオン化]
上記工程(1)を経て得られたウレタン系ポリマーにおける成分(C)由来の第3級アミン部位を第4級アンモニウムイオン化(カチオン化)することにより、第4級アンモニウム基含有ウレタン系ポリマーを合成することができる。
【0059】
第3級アミンの窒素原子をカチオン化する方法としては、例えば、上記工程(1)を経て得られたウレタン系ポリマーにアルキル化剤(第4級化剤)を反応させて、成分(C)由来の第3級アミン部位に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル等の炭素数1〜20のアルキル基;ビニル、イソプロペニル、アリル、メタリル、3−ブテニル、2−メチル−1−ブテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−3−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル基等の炭素数2〜20のアルケニル基;ベンジル、2−フェニルエチル基等の炭素数7〜11のアラルキル基等を導入する方法等を挙げることができる。
【0060】
前記アルキル化剤(第4級化剤)としては、例えば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等の硫酸エステル;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、ベンジルクロリド、ベンジルブロミド等のハロゲン化物等を挙げることができる。
【0061】
上記アルキル化剤の使用量としては、適宜調整することができ、ウレタン系ポリマー中の第3級アミン部位(第3級アミノ基)1モルに対して、例えば、30モル%以上(好ましくは50〜120モル%、さらに好ましくは80〜100モル%)となるような範囲内である。アルキル化剤の使用量が上記範囲を上回ると、反応時の熱上昇が激しくなりすぎ、合成が困難になる傾向がある。一方、アルキル化剤の使用量が上記範囲を下回ると、毛髪表面等に対する密着力が低下する傾向がある。
【0062】
また、上記カチオン化反応は溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル等を挙げることができる。反応時の雰囲気は特に制限されず、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等から選択される。反応温度は、反応成分の種類等に応じて適宜選択でき、例えば、0〜100℃、好ましくは20〜80℃程度である。反応は常圧下で行ってもよく、減圧下又は加圧下で行ってもよい。反応時間は、反応率に応じて適宜選択でき、例えば、10分〜5時間、好ましくは30分〜3時間程度である。
【0063】
[工程(3):シリル化]
上記工程(2)で得られた第4級アンモニウム基含有ウレタン系ポリマーのイソシアネート末端に、上記成分(D)を付加させることにより(シリル化反応)、第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーを合成することができる。尚、工程(3)の処理は上記工程(2)の処理を施す前に行ってもよい。その場合は、上記工程(1)で得られたウレタン系ポリマーのイソシアネート末端に、上記成分(D)を付加させることにより、シリル化ウレタン系ポリマーを合成し、その後、工程(2)において第3級アミン部位の窒素原子を第4級アンモニウムイオン化することにより、第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーを合成することができる。以下、工程(2)−工程(3)の方法について記載するが、工程(3)−工程(2)の場合も同様である。
【0064】
上記シリル化反応は、上記工程(2)で得られた第4級アンモニウム基含有ウレタン系ポリマーと成分(D)を混合し、必要に応じて加熱することにより行うことができる。該シリル化反応により、前記第4級アンモニウム基含有ウレタン系ポリマーの末端のイソシアネート基がエステル変性アルコキシシリル化されて、第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーが得られる。シリル化反応に際しては、必要に応じて重合触媒を使用してもよい。また、この反応は、溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。
【0065】
成分(D)は、第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマー中のケイ素原子の含有量が0.05〜10質量%(好ましくは0.05〜5質量%、さらに好ましくは0.05〜2質量%)となるような割合で付加することが好ましい。該ケイ素含有量が上記範囲を上回ると、保存安定性が低下する傾向があり、一方、該ケイ素含有量が上記範囲を下回ると、毛髪表面に対する密着性が低下する傾向がある。
【0066】
シリル化反応時の雰囲気は特に制限されず、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等から選択される。反応温度は、反応成分の種類等に応じて適宜選択でき、例えば、20〜100℃、好ましくは40〜80℃程度である。反応は常圧下で行ってもよく、減圧下又は加圧下で行ってもよい。反応時間は、適宜選択でき、例えば、10分〜3時間、好ましくは20分〜2時間程度である。
【0067】
[工程(4):シリコーン鎖付加]
上記工程(1)〜(3)を経て得られた、第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーには、上記成分(D)由来の末端アルコキシシリル基に、更に、加水分解性珪素原子含有基を有する化合物を反応させて、前記第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーにシリコーン鎖を付加する工程を設けてもよい(工程(4))。そのようにして得られたシリコーン鎖を有する第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーは摩擦を低減する作用を有し、毛髪に滑らかな手触り感、及びハリ・コシ感に加えてすべり性(サラサラ感)を付与することができる。
【0068】
加水分解性珪素原子含有基を有する化合物としては、加水分解性珪素原子含有基を分子中に少なくとも1つ有する化合物であれば特に制限されない。加水分解性珪素原子含有基としては、例えば、アルコキシシリル基、ヒドロシリル基、ハロゲン化シリル基(例えば、塩素化シリル基、ブロモ化シリル基、ヨウ素化シリル基、フッ素化シリル基等)等の加水分解性シリル基等を挙げることができる。なお、加水分解性シリル基において、珪素原子に結合している基又は原子(アルコキシ基、水素原子、ハロゲン原子等)は、1つの珪素原子に、通常、1〜3個(好ましくは2又は3個)結合しており、同一の基(特にアルコキシ基)や原子が結合していてもよく、異なる基や原子が2種以上組み合わせられて結合していてもよい。
【0069】
本発明における加水分解性シリル基としては、アルコキシシリル基やヒドロシリル基が好ましく、特にアルコキシシリル基が好ましい。アルコキシシリル基を分子中に少なくとも1つ有する化合物としては、特に、下記式(e1)又は(e2)
【化12】

で表されている化合物(E)を好適に用いることができる。
【0070】
式(e1)中、R7、R8、R9、R10は、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。m’は1又は2である。n2は1以上の整数である。また、式(e2)中、R11は(OR7)又はR8を示し、R12は有機基を示す。n3は1以上の整数である。R7、R8、m’は前記に同じ。
【0071】
7、R8、R9、R10におけるアルキル基としては、上記R1、R2におけるアルキル基の例と同様の例を挙げることができ、なかでも炭素数1〜10(さらに好ましくは1〜6、特に1〜4)のアルキル基が好ましい。
【0072】
また、R7、R8のアルキル基は置換基を有していてもよい。また、該置換基等を介して、R7、R8のアルキル基は、他のアルキル基(例えば、他の珪素原子に結合しているR7、R8のアルキル基等)と結合して環(芳香族性環や非芳香族性環)を形成していてもよい。さらにまた、R7、R8は、それぞれ、同一又は異なる珪素原子に結合しているR7、R8と結合していてもよい。
【0073】
m’は1又は2であり、好ましくは2である。なお、m’が2の場合は、R8が存在せず、式(e1)中の珪素原子に2つの(OR7)基が結合していることを意味している。n2は1以上の整数である。前記式(e1)で表される化合物は、n2が1の場合は、単量体であることを意味しており、n2が2以上の整数の場合は、オリゴマー又はポリマー等の多量体であることを意味している。
【0074】
前記式(e1)で表される化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;メトキシトリエトキシシラン等のアルコキシトリアルコキシシラン;ジメトキシジエトキシシラン等のジアルコキシジアルコキシシラン等の単量体の化合物;ポリテトラメトキシシラン、ポリテトラエトキシシラン、ポリテトラプロポキシシラン、ポリテトライソプロポキシシラン、ポリテトラブトキシシラン等のポリテトラアルコキシシラン;ポリ(メトキシエトキシシラン)等のポリ(アルコキシアルコキシシラン);ポリ(メトキシシラン)、ポリ(エトキシシラン)、ポリ(プロポキシシラン)、ポリ(イソプロポキシシラン)、ポリ(ブトキシシラン)等のポリ(アルコキシシラン);ポリ(メトキシメチルシラン)、ポリ(メトキシエチルシラン)、ポリ(エトキシメチルシラン)等のポリ(アルコキシアルキルシラン)等の多量体の化合物等が挙げられる。
【0075】
一方、前記式(e2)において、R11はOR7又はR8であり、R7、R8、m’は、式(e1)におけるR7、R8、m’と同じである。また、同一の珪素原子に結合している複数のOR7やR8は、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0076】
また、R12の有機基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基や、該アルキル基の主鎖中に炭素原子以外の原子(酸素原子、窒素原子、硫黄原子等)を有するヘテロ原子含有基等が挙げられ、これらの置換基を有していてもよいアルキル基やヘテロ原子含有基は、1価又は多価のいずれの形態を有していてもよい。R12の有機基としては、例えば、ビニル基、メルカプト基の他、ビニル−アルキル基、ビニル−(アルキル)−アリール基、ビニル−(アルキル)−シクロアルキル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基(ビニル−カルボニルオキシアルキル基)、(メタ)アクリロイルオキシアリール基、メルカプト−アルキル基、メルカプト−(アルキル)−アリール基、メルカプト−(アルキル)−シクロアルキル基等を挙げることができる。
【0077】
n3は1以上の整数であり、好ましくは1〜4の整数(さらに好ましくは1又は2、特に好ましくは1)である。なお、n3が2以上の整数である場合、R12の有機基に、2つ以上の加水分解性珪素原子含有基が結合していることを意味している。
【0078】
前記式(e2)で表される化合物のうち、R12がアルキル基である化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシランや、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、イソプロピルジメトキシメチルシラン、イソプロピルジエトキシメチルシラン等のジアルキルジアルコキシシランの他、これらに対応するトリアルキルアルコキシシラン等を挙げることができる。
【0079】
また、R12が置換基(例えば、グリシドキシ基、イソシアネート基、アミノ基等)を有するアルキル基である化合物としては、前記R12がアルキル基である化合物として具体的に例示されたものに対応する化合物等を挙げることができる。
【0080】
前記式(e2)で表される化合物のうち、R12がビニル基である化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルトリアルコキシシラン;ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン等の(ビニル)アルキルジアルコキシシランや、これらに対応する(ビニル)ジアルキル(モノ)アルコキシシラン等を挙げることができる。
【0081】
前記式(e2)で表される化合物のうち、R12が(メタ)アクリロイルオキシアルキル基である化合物としては、例えば、3−(メタ)アクリロキシプロピル−トリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピル−トリエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシアルキル−トリアルコキシシラン;3−(メタ)アクリロキシプロピル−メチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピル−メチルジエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシアルキル−アルキルジアルコキシシランや、これらに対応する(メタ)アクリロキシアルキル−ジアルキル(モノ)アルコキシシラン等を挙げることができる。
【0082】
前記式(e2)で表される化合物のうち、R12がメルカプト−アルキル基である化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトアルキルトリアルコキシシラン;3−メルカプトプロピルメチルジプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジイソプロポキシシラン等の(メルカプトアルキル)アルキルジアルコキシシランや、これらに対応する(メルカプトアルキル)ジアルキル(モノ)アルコキシシラン等を挙げることができる。
【0083】
本発明における化合物(E)としては、すべり性(サラサラ感)に加え、滑らかな手触り感をより重視する場合は、ジアルコキシシリル基を有する化合物を使用することが好ましく、すべり性(サラサラ感)に加え、ハリ・コシ感をより重視する場合は、トリアルコキシシリル基を有する化合物を使用することが好ましい。
【0084】
このようなジアルコキシシリル基を有する化合物としては、なかでも、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、イソプロピルジメトキシメチルシラン、イソプロピルジエトキシメチルシラン等のジアルキルジアルコキシシラン;ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン等の(ビニル)アルキルジアルコキシシラン;3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシアルキル−アルキルジアルコキシシラン等を好適に用いることができる。
【0085】
また、トリアルコキシシリル基を有する化合物としては、なかでも、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルトリアルコキシシラン;3−(メタ)アクリロキシプロピル−トリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピル−トリエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシアルキル−トリアルコキシシラン等を好適に用いることができる。
【0086】
化合物(E)の使用量としては、例えば、第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマー中のシリル基1モルに対して1〜50モル(好ましくは5〜40モル、さらに好ましくは5〜20モル)となるような割合で使用することが好ましい。化合物(E)の使用量が上記範囲を上回ると、保存安定性が低下する傾向があり、一方、化合物(E)の使用量が上記範囲を下回ると、すべり性(サラサラ感)を付与することが困難となる傾向がある。
【0087】
シリコーン鎖付加反応時の雰囲気は特に制限されず、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等から選択される。反応温度は、反応成分の種類等に応じて適宜選択でき、例えば20〜100℃、好ましくは40〜80℃程度である。反応は常圧下で行ってもよく、減圧下又は加圧下で行ってもよい。反応時間は、適宜選択でき、例えば、1〜20時間、好ましくは1〜5時間程度である。
【0088】
上記工程(4)を施すことにより、第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーにおける上記成分(D)由来の末端アルコキシシリル基に、上記式(e1)又は(e2)で表される化合物(E)由来のシリコーン鎖を付加することができる。そのようにして得られたシリコーン鎖を有する第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーは、毛髪表面等に対して更に優れた密着性を発揮することができ、すべり性(サラサラ感)を付与することができる。
【0089】
[水性分散液]
上記工程(1)〜(3)又は(4)を経て得られた第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーは、水に分散させることにより水性分散液を形成することができる。
【0090】
水としては、特に制限されることがなく、例えば、脱イオン水、イオン交換水、純水等を用いることができる。水に分散させる方法としては、例えば、上記第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーと水とを混合して(望ましくは、激しい撹拌等を行って)調製することができる。
【0091】
第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーと水との混合割合(前者/後者、質量部)としては、適宜調整することができ、例えば1/99〜50/50程度、好ましくは5/95〜40/60程度である。水の混合割合が上記範囲を下回ると、粘度が高くなり過ぎたり、保存安定性が低下したりする傾向があり、一方、水の混合割合が上記範囲を上回ると、乾燥に時間がかかってしまう傾向がある。
【0092】
また、本発明に係る水性分散液には、上記第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーと水以外にも、本発明の効果を損なわない範囲内で、他の添加物を含んでいてもよい。他の添加物としては、例えば、一般的に、化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる公知の成分を挙げることができ、例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ類、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類、シリコーン成分、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン等)、消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等)、美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、コウジ酸等)、各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等より抽出された成分等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等)、血行促進剤(例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、酢酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等)、抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等)の他、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸及びその誘導体、チオタウリン、ヒポタウリン、甘草、カリン、イチヤクソウ等の各種生薬抽出物等の薬剤等を挙げることができる。
【0093】
本発明に係る水性分散液は、上記第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーを含有するため、毛髪に適用することにより、適用後は水で洗い流しても、毛髪に滑らかな手触り感、及びハリ・コシ感を付与する効果を発揮することができる。また、カチオン系薬剤(例えば、カチオン系界面活性剤)との相溶性に優れ、これらを含有する毛髪化粧料(例えば、リンス、コンディショナー等)にも容易に配合することができる。そのため、例えば、シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント、ヘアパック等の毛髪化粧料(特に、リンス、コンディショナー)に好適に使用することができる。その他、インクジェット紙インク受理剤、ガラス繊維収束剤、接着剤等にも利用することができる。
【実施例】
【0094】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を表す。
【0095】
調製例1(エステル変性アミノ基含有アルコキシシラン化合物Aの合成)
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(商品名「KBE903」、信越化学工業(株)製):221.4部に対して、ラウリルアクリレート:240.4部の割合で混合し、50℃で7日間反応させて、エステル変性アミノ基含有アルコキシシラン(化合物A)を得た。
【0096】
調製例2(エステル変性アミノ基含有アルコキシシラン化合物Bの合成)
N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(商品名「KBE603」、信越化学工業(株)製):264.5部に対して、2−エチルヘキシルアクリレート:368.6部の割合で混合し、50℃で7日間反応させて、アミノ基含有アルコキシシラン(化合物B)を得た。
【0097】
実施例1
窒素導入管、温度計、コンデンサー及び撹拌装置の付いた4つ口フラスコに、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量1941.2、商品名「PTMG2000」、三菱化学(株)製)75部、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン(MDA)25部、イソホロンジイソシアネート(IPDI)59.5部、及びメチルエチルケトン(MEK)50部、触媒として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)0.1部を配合し、80〜85℃の温度で、窒素雰囲気下、5時間反応を行い、第3級アミンを含有するウレタン系ポリマーを含む反応混合物を得た。
【0098】
このウレタン系ポリマーを含む反応混合物にメチルエチルケトン(MEK)150部を加えて50℃に冷却し、第4級化剤としてジメチル硫酸 25.2部を加え、50〜60℃で30分〜1時間かけて第3級アミン部位の第4級アンモニウムイオン化を行い、第4級アンモニウム基含有ウレタン系ポリマーを製造した。
【0099】
この第4級アンモニウム基含有ウレタン系ポリマーの反応混合物に、調製例1で得られた化合物A 17.5部を配合して混合した後、65〜75℃の温度で窒素雰囲気下1時間反応を行い、第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーを含む反応混合物(1)を得た。
【0100】
次に、第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーを含む反応混合物(1)を40℃まで冷却した後、高速撹拌下、脱イオン水 1000部を加えた。その後、減圧下、45〜50℃で溶剤を留去して水性分散液(1)を得た。
【0101】
実施例2
窒素導入管、温度計、コンデンサー及び撹拌装置の付いた4つ口フラスコに、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量1941.2、商品名「PTMG2000」、三菱化学(株)製)75部、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン(MDA)25部、イソホロンジイソシアネート(IPDI)67.2部、1,4−ブタンジオール 3部、及びメチルエチルケトン(MEK)100部、触媒として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)0.1部を配合し、80〜85℃の温度で、窒素雰囲気下、5時間反応を行い、第3級アミンを含有するウレタン系ポリマーを含む反応混合物を得た。
【0102】
このウレタン系ポリマーを含む反応混合物にメチルエチルケトン(MEK)150部を加えて50℃に冷却し、第4級化剤としてジメチル硫酸 25.2部を加え、50〜60℃で30分〜1時間かけて第3級アミン部位の第4級アンモニウムイオン化を行い、第4級アンモニウム基含有ウレタン系ポリマーを製造した。
【0103】
この第4級アンモニウム基含有ウレタン系ポリマーの反応混合物に、調製例1で得られた化合物A 9.4部を配合して混合した後、65〜75℃の温度で窒素雰囲気下1時間反応を行い、第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーを含む反応混合物(2)を得た。
【0104】
次に、第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーを含む反応混合物(2)を40℃まで冷却した後、高速撹拌下、あらかじめイソホロンジアミン1.4部溶解しておいた脱イオン水 1000部を加えた。その後、減圧下、45〜50℃で溶剤を留去して水性分散液(2)を得た。
【0105】
実施例3
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量:1941.2、商品名「PTMG2000」、三菱化学(株)製)75部に代えて、1,6−ヘキサンポリカーボネートジオール(数平均分子量1961.5、商品名「ETERNACOL UH−200」、宇部興産(株)製)を75部使用した点、イソホロンジイソシアネート(IPDI)の使用量を59.5部から59.4部に変更した点以外は、実施例1と同様にして、水性分散液(3)を得た。
【0106】
実施例4
調製例1で得られた化合物A 17.5部に代えて、調製例2で得られた化合物B 24.0部を使用した点以外は、実施例1と同様にして、水性分散液(4)を得た。
【0107】
実施例5
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量:1941.2、商品名「PTMG2000」、三菱化学(株)製)75部に代えて、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量:1941.2、商品名「PTMG2000」、三菱化学(株)製)65部と、下記式(2)で表される化合物(商品名「YmerN120」、数平均分子量:1089.3、Perstorp社製)を10部使用した点、イソホロンジイソシアネート(IPDI)の使用量を59.5部から60.4部に変更した点、及び調製例1で得られた化合物Aの使用量を17.5部から17.6部に変更した点以外は、実施例1と同様にして、水性分散液(5)を得た。
【化13】

【0108】
実施例6
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量:1941.2、商品名「PTMG2000」、三菱化学(株)製)75部に代えて、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量:1941.2、商品名「PTMG2000」、三菱化学(株)製)50部と、上記式(2)で表される化合物(商品名「YmerN120」、数平均分子量:1089.3、Perstorp社製)を25部使用した点、イソホロンジイソシアネート(IPDI)の使用量を59.5部から61.8部に変更した点、及び調製例1で得られた化合物Aの使用量を17.5部から17.8部に変更した点以外は、実施例1と同様にして、第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーを含む反応混合物(6)を得た。
【0109】
次に、第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーを含む反応混合物(6)を40℃まで冷却した後、高速撹拌下、脱イオン水 1000部を加えた。その後、減圧下、45〜50℃で溶剤を留去して水性分散液(6)を得た。
【0110】
実施例7
実施例1で得られた第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーを含む水性分散液(1)に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBE−503」、信越化学工業(株)製)30.3部、脱イオン水 1000部を添加し、窒素雰囲気下、65〜75℃の温度で窒素雰囲気下3時間反応を行い、シリコーン鎖を付加した第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーを含む水性分散液(7)を得た。
【0111】
実施例8
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBE−503」、信越化学工業(株)製)使用量を30.3部から60.7部に変更した以外は実施例7と同様にして水性分散液(8)を得た。
【0112】
実施例9
実施例6で得られた第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーを含む水性分散液(6)に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBE−503」、信越化学工業(株)製)61.4部、脱イオン水 1000部を添加し、窒素雰囲気下、65〜75℃の温度で窒素雰囲気下3時間反応を行い、シリコーン鎖を付加した第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーを含む水性分散液(9)を得た。
【0113】
比較例1
調製例1で得られた化合物A 17.5部に代えてジブチルアミン 4.9部を使用した点以外は実施例1と同様にして、水性分散液(10)を得た。
【0114】
比較例2
窒素導入管、温度計、コンデンサー及び撹拌装置の付いた4つ口フラスコに、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量1941.2、商品名「PTMG2000」、三菱化学(株)製)75部、ジメチロールブタン酸 10部、1,4−ブタンジオール 4.5部、イソホロンジイソシアネート(IPDI)41.6部、及びメチルエチルケトン(MEK)50部、触媒として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)0.1部を配合し、80〜85℃の温度で、窒素雰囲気下、5時間反応を行い、カルボキシル基を含有するウレタン系ポリマーを含む反応混合物を得た。
【0115】
このカルボキシル基を含有するウレタン系ポリマーの反応混合物に、調製例1で得られた化合物A 14.4部を配合して混合した後、65〜75℃の温度で窒素雰囲気下1時間反応を行い、カルボキシル基含有性シリル化ウレタン系ポリマーを含む反応混合物を得た。
【0116】
次に、カルボキシル基含有性シリル化ウレタン系ポリマーを含む反応混合物を40℃まで冷却した後、高速撹拌下、NaOH 1.4部、トリエタノールアミン 5.1部、イソホロンジアミン 2.13部、脱イオン水 375部を加えた。その後、減圧下、45〜50℃で溶剤を留去して水性分散液(11)を得た。
【0117】
評価
実施例及び比較例で得られた水性分散液(1)〜(11)について、下記方法により評価した。
【0118】
[コンディショナーへの配合評価]
次に示す配合比でコンディショナーを作製した。
水性分散液(樹脂分換算) 0.5質量部
精製水 89.3質量部
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.7質量部
グリセリン 3.0質量部
シリコーン油 3.0質量部
流動パラフィン 1.0質量部
セチルアルコール 1.5質量部
ステアリルアルコール 1.0質量部
【0119】
70℃温度下で、精製水に水性分散液(1)〜(11)、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、グリセリンを加え撹拌した(混合液(1))。別の容器に、シリコーン油、流動パラフィン、セチルアルコール、及びステアリルアルコールを70℃温度下で加熱融解して混合した(混合液(2))。混合液(2)を混合液(1)に加え、ホモミキサーで撹拌して乳化し、更に撹拌しながら室温まで冷却してコンディショナー(1)〜(11)を調製した。得られたコンディショナーについて下記基準により配合安定性を評価した。
評価基準
○:ダマが発生しない。
×:ダマが発生する。
【0120】
[使用感評価]
黒色未処理毛(長さ:15cm、重さ:2g)を市販のシャンプー(商品名「TSUBAKI」、(株)資生堂製)で洗浄後、上記方法により得られたコンディショナーを1g塗布し、30分間ラップに包んで室温で放置した後、流水で濯ぎ、乾燥した(コンディショナー処理)。前記コンディショナー処理を10回繰り返し施したものについて、5名の女性専門パネラーによる官能試験を行い、下記の基準で毛髪のハリ・コシ感、しっとり感、サラサラ感を評価した。なお、評価点基準において点数が高いほど使用感が良好となっている。
【0121】
(毛髪のハリ・コシ感)
コンディショナー処理後の毛髪について、手で触れることにより、仕上がりの毛髪のハリコシ感を下記4段階で評価した。
4点:ハリ・コシ感が十分ある。
3点:ハリ・コシ感がある。
2点:ハリ・コシ感があまりない。
1点:ハリ・コシ感が全くない。
【0122】
(毛髪のしっとり感)
コンディショナー処理後の毛髪について、手で触れることにより、毛髪のしっとり感を下記4段階で評価した。
4点:非常にしっとりしている。
3点:しっとりしている。
2点:良くも悪くもない。
1点:ぱさついている。
【0123】
(毛髪のサラサラ感(すべり性))
コンディショナー処理後の毛髪について、手で触れることにより、毛髪のサラサラ感を下記4段階で評価した。
4点:非常にさらっとしている。
3点:さらっとしている。
2点:良くも悪くもない。
1点:ごわごわしている。
【0124】
上記結果を下記表にまとめて示す。
【表1】

表1中の略語の説明
PTMG2000:ポリテトラメチレンエーテルグリコール、数平均分子量:1941.2、商品名「PTMG2000」、三菱化学(株)製
UH200:1,6−ヘキサンポリカーボネートジオール、数平均分子量:1961.5、商品名「ETERNACOL UH−200」、宇部興産(株)製
YmerN120:上記式(2)で表される化合物、数平均分子量:1089.3、商品名「YmerN120」、Perstorp社製
IPDI:イソホロンジイソシアネート
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
MDA:N−メチル−N,N−ジエタノールアミン
MEK:メチルエチルケトン
KBE−503:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、商品名「KBE−503」、信越化学工業(株)製

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、成分(B)、及び成分(C)に対応する構成単位を含み、前記成分(C)由来の第3級アミン部位が第4級アンモニウムイオン化されたウレタン系ポリマーのイソシアネート末端に、下記成分(D)が結合してウレア結合を形成した構造を有する第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマー。
成分(A):ポリイソシアネート化合物
成分(B):ポリオール化合物
成分(C):ヒドロキシル基を2以上有する第3級アミン化合物
成分(D):下記式(d1)、(d2)又は(d3)
【化1】

(式中、R1、R2は、同一又は異なって、アルキル基を示し、R3、R4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよいアルキレン基又は置換基を有していてもよいアリーレン基を示す。R5はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、R6は水素原子又は−COOR6'を示し、R6'はアルキル基を示す。また、mは1〜3の整数である。mが1である場合、2個のR2は同一であってもよく、異なっていてもよい。mが2以上の整数である場合、2個以上のR1O−基は同一であってもよく、異なっていてもよい)
で表されるエステル変性アミノ基含有アルコキシシラン
【請求項2】
成分(B)が3価以上の多価アルコールのポリアルキレンオキシド付加物又は該付加物の末端水酸基が封止された誘導体を含むことを特徴とする請求項1に記載の第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマー。
【請求項3】
成分(B)が下記式(b)
【化2】

(式中、n1は10〜40の整数を示す)
で表される化合物を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマー。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかの項に記載の第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーにおける成分(D)由来の末端アルコキシシリル基に、下記式(e1)又は(e2)
【化3】

(式(e1)中、R7、R8、R9、R10は、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。m’は1又は2である。n2は1以上の整数である。
式(e2)中、R11は(OR7)又はR8を示し、R12は有機基を示す。n3は1以上の整数である。R7、R8、m’は前記に同じ)
で表される化合物(E)を反応させて得られるシリコーン鎖を有する第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマー。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかの項に記載の第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーを水に分散させてなる水性分散液。
【請求項6】
請求項1〜4の何れかの項に記載の第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーの製造法であって、少なくとも下記工程(1)、(2)、(3)を有する第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーの製造方法。
工程(1):下記成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を反応させてウレタン系ポリマーを合成する工程
工程(2):成分(C)由来の第3級アミン部位を第4級アンモニウムイオン化する工程
工程(3):ウレタン系ポリマーのイソシアネート末端に、下記成分(D)を反応させる工程
成分(A):ポリイソシアネート化合物
成分(B):ポリオール化合物
成分(C):ヒドロキシル基を2以上有する第3級アミン化合物
成分(D):下記式(d1)、(d2)又は(d3)
【化4】

(式中、R1、R2は、同一又は異なって、アルキル基を示し、R3、R4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよいアルキレン基又は置換基を有していてもよいアリーレン基を示す。R5はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、R6は水素原子又は−COOR6'を示し、R6'はアルキル基を示す。また、mは1〜3の整数である。mが1である場合、2個のR2は同一であってもよく、異なっていてもよい。mが2以上の整数である場合、2個以上のR1O−基は同一であってもよく、異なっていてもよい)
で表されるエステル変性アミノ基含有アルコキシシラン
【請求項7】
成分(B)が3価以上の多価アルコールのポリアルキレンオキシド付加物又は該付加物の末端水酸基が封止された誘導体を含むことを特徴とする請求項6に記載の第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーの製造方法。
【請求項8】
成分(B)が下記式(b)
【化5】

(式中、n1は10〜40の整数を示す)
で表される化合物を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーの製造方法。
【請求項9】
更に、成分(D)由来の末端アルコキシシリル基に、下記式(e1)又は(e2)
【化6】

(式(e1)中、R7、R8、R9、R10は、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。m’は1又は2である。n2は1以上の整数である。
式(e2)中、R11は(OR7)又はR8を示し、R12は有機基を示す。n3は1以上の整数である。R7、R8、m’は前記に同じ)
で表される化合物(E)を反応させる工程(4)を有する請求項6〜8の何れかの項に記載の第4級アンモニウム基含有シリル化ウレタン系ポリマーの製造方法。

【公開番号】特開2012−57110(P2012−57110A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203817(P2010−203817)
【出願日】平成22年9月11日(2010.9.11)
【出願人】(000105648)コニシ株式会社 (217)
【Fターム(参考)】