説明

筆記具の軸筒

【課題】軸筒本体1に外軸2を外嵌し、更に、軸筒本体1に頭冠3を取り付けた筆記具の軸筒において、軸筒本体1、外軸2及び頭冠3を細径に構成できる筆記具の軸筒を提供する。
【解決手段】軸筒本体1に外軸2を外嵌し、軸筒本体1のキー溝1Cに外軸2の内方突起2Aを係合してキー溝1Cの前縁に外軸2の内方突起2Aを当接する。更に、軸筒本体1の係止穴1Bに頭冠3の係止突起3Dを嵌め込み、軸筒本体1のキー溝1C前縁と頭冠3により外軸2を挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸筒本体に外軸を外嵌し、更に、軸筒本体に頭冠を取り付けた筆記具の軸筒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内鞘に鞘を外嵌し、この内鞘を胴に螺合し、胴と内鞘により鞘を挟持する筆記具が知られている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2005−119053号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した筆記具は、胴と内鞘を螺合して構成されており、高級感が得られる反面、胴および鞘が太くなってしまうものであった。
本発明は、上記課題を解消する筆記具の軸筒を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、軸筒本体と、軸筒本体に外嵌される外軸と、軸筒本体に取り付けられる頭冠とからなり、軸筒本体に係止穴と後端から前方に伸びたキー溝を構成し、外軸の内面に内方突起を形成し、この前部細径部に係止突起を形成し、前記軸筒本体の後方より先ず外軸を外嵌し、軸筒本体のキー溝に外軸の内方突起を係合してキー溝の前縁に外軸の内方突起を当接し、更に、外軸の後方より頭冠の前部細径部を挿入し、頭冠の係止突起を軸筒本体の係止穴に嵌め込み、軸筒本体のキー溝前縁と頭冠により外軸を挟持し、軸筒本体に外軸及び頭冠を取り付けたことを第1の要旨とする。
【0005】
また、軸筒本体と、軸筒本体に外嵌される外軸と、軸筒本体に取り付けられる頭冠とからなり、軸筒本体に係止穴と後端から前方に伸びたキー溝を構成し、外軸の内面に内方突起を形成するとともに軸筒本体の後端から前方に伸びたキー溝を形成し、頭冠に前部細径部を形成し、この前部細径部に互いに対向して開口窓を形成し、かつ、前部細径部の2つの開口窓の間に位置する一方の片に係止突起を形成するとともに他方の片に隆起した前部キーを形成し、前部細径部よりやや太径の中間部に隆起した後部キーを形成し、前記軸筒本体の後方より先ず外軸を外嵌し、軸筒本体のキー溝に外軸の内方突起を係合してキー溝の前縁に外軸の内方突起を当接し、更に、外軸の後方より前記頭冠の前部細径部及び中間部を挿入し、頭冠の中間部に形成された後部キーを外軸のキー溝に係合させるとともに、頭冠の前部細径部に形成された係止突起を軸筒本体の係止穴に嵌め込み、軸筒本体のキー溝前縁と頭冠により外軸を挟持するとともに、軸筒本体、外軸及び頭冠を回動不能に取り付けたことを第2の要旨とする。
【0006】
更に、外軸を透明性を有した合成樹脂で構成したことを第3の要旨とする。
【0007】
更にまた、軸筒本体の把持部に軟質材からなるグリップを外嵌したことを第4の要旨とする。
【0008】
更にまた、頭冠にクリップを一体に形成したことを第5の要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の筆記具の軸筒は、軸筒本体のキー溝に外軸の内方突起を嵌め込み、頭冠の係止突起を軸筒本体の係止穴に嵌め込むことにより、軸筒本体のキー溝前縁と頭冠の外段により外軸を挟持することにより、軸筒本体、外軸および頭冠を細径に構成できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
軸筒本体に外軸を外嵌し、軸筒本体の係止穴に頭冠の係止突起を嵌め込むことにより、軸筒本体のキー溝前縁に外軸の内方突起を当接するとともに、外軸の後端を頭冠の外段に当接し、軸筒本体、外軸および頭冠が細径に構成できる筆記具の軸筒を実現した。
【実施例1】
【0011】
以下、図1、図2、図3、図4及び図5に基いて本発明の実施例1を説明する。尚、図1の左側を後方とする。先ず、任意の色で着色した合成樹脂製の軸筒本体1の前部に円周方向に伸びた凹溝1Aを適宜の間隔に複数形成する。また、軸筒本体1の後部に係止穴1Bを形成するとともに、前記係止穴1Bと対向する位置に軸筒本体1の後端から前方に伸びたキー溝1Cを形成する。
【0012】
透明あるいは着色されかつ透明性を有する合成樹脂で構成された外軸2の中間部よりやや後方内面に内方突起2Aを形成し、この内方突起2Aと対向する位置に後端から前方に伸びたキー溝2Bを形成する。
【0013】
更に、透明あるいは着色されかつ透明性を有する合成樹脂で形成された頭冠3には前部細径部3Aが形成され、この前部細径部3Aの両側に互いに対向して2つの開口窓3Bを形成する。この2つの開口窓3Bの間の上側の片3Cに係止突起3Dを形成するとともに下側の片3Eに隆起した前部キー3Fを形成する。前部細径部3Aよりやや太径に形成された中間部の上側に隆起した後部キー3Gを形成する。中間部より太径の後部にクリップ4を一体に形成し、クリップ4の基部に紐を通すための開口孔4Aが形成される。
【0014】
上記軸筒本体1に後方から先ず外軸2を外嵌し、外軸2の内方突起2Aを軸筒本体1のキー溝1Cに係合させる。すると、外軸2の内方突起2Aが軸筒本体1のキー溝1Cの前縁に当接する。更に、外軸2の後方から前記頭冠3の前部細径部3Aを挿入し、頭冠3の中間部に形成された後部キー3Gを外軸2のキー溝2Bに係合する。更に、頭冠3を前方に押し込むと、頭冠3の前部キー3Fが軸筒本体1のキー溝1Cに係合され位置合わせされる。更に、頭冠3を前方に押し込むと、頭冠3の前部細径部3Aに形成された係止突起3Dが軸筒本体1の係止穴1Bに嵌め込まれ、頭冠3が軸筒本体1に固定される。同時に、頭冠3の外段3Hが外軸2の後端に当接する。すると、軸筒本体1のキー溝1Cの前縁に外軸2の内方突起2Aが当接されるとともに、外軸2の後端が頭冠3の外段3Hに当接されるので、外軸2は、軸筒本体1と頭冠3によって挟持される。更に、軸筒本体1の前部には透明性を有するシリコンゴム等の軟質材で構成されたグリップ5が外嵌され、筆記具の軸筒が構成される。
【0015】
この実施例1においては、軸筒本体1のキー溝1Cに外軸2の内方突起2Aが係合され、頭冠3の係止突起3Dが軸筒本体1の係止穴1Bに嵌め込まれ、軸筒本体1のキー溝1C前縁と頭冠3の外段3Hにより外軸2を挟持しているので、軸筒本体1及び外軸2が太くならず細径に構成できるものである。また、軸筒本体1のキー溝1Cに頭冠3の前部キー3Fを係合し、かつ、外軸2のキー溝2Bに頭冠3の後部キー3Gを係合するので、軸筒本体1、外軸2及び頭冠3が互いに回動する恐れがなく、しかも、頭冠3を押し込んだ時に、頭冠3の係止突起3Dが確実に軸筒本体1の係止穴1Bに位置合わせされるので、組み立てが非常に簡単に行える利点が得られる。更に、着色した軸筒本体1、透明性を有するグリップ5、透明性を有する外軸2及び軸筒本体1と同色で着色しかつ透明性を有する頭冠3を組み合わせれば、全体が同色のイメージで構成され、外観が向上する利点が得られる。
【0016】
次に、上記筆記具の軸筒を用いたノック式シャープペンシルを図6に基いて説明する。先ず、従来から使用されているチャック6、締リング7、連結具8、スプリング9及びパイプ状の芯タンク10からなる機構部を軸筒本体1の前端より挿入する。この時、芯タンク10は、軸筒本体1の中間部内面に形成された複数のリブ1Dによりセンタリングが行われる。軸筒本体1のリブ1Dは、円周方向等間隔に6個程度設けられ、長手方向後方に伸びて形成される。また、消しゴム11及びノブ12を設けた消しゴム支え13を頭冠3の後方より挿入し、芯タンク10の後部外側に消しゴム支え13の前部内側を嵌合させる。更に、芯ホルダー14を内蔵した口金15を軸筒本体1の前部に着脱可能に螺合し、口金15の内段15Aと軸筒本体1の前端により連結具8の外鍔8Aを挟持するとともに、口金15の後端と外軸2によりグリップ5を挟持してノック式シャープペンシルを完成させる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
軸筒本体に外軸を外嵌した軸筒を細径に構成できる筆記具の軸筒に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の筆記具の軸筒を示す断面図である。(実施例1)
【図2】図1のA−A線を示す拡大断面図である。(実施例1)
【図3】本発明の軸筒本体を示す断面図である。(実施例1)
【図4】本発明の外軸を示す断面図である。(実施例1)
【図5】本発明の頭冠及びクリップを示す拡大正面図である。(実施例1)
【図6】本発明の筆記具の軸筒を用いたノック式シャープペンシルを示す断面図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0019】
1 軸筒本体
1B 軸筒本体1の係止穴
1C 軸筒本体1のキー溝
2 外軸
2A 外軸2の内方突起
2B 外軸2のキー溝
3 頭冠
3A 頭冠3の前部細径部
3B 頭冠3の開口窓
3C 頭冠3の片
3D 頭冠3の係止突起
3E 頭冠3の片
3F 頭冠3の前部キー
3G 頭冠3の後部キー
4 クリップ
5 グリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸筒本体と、軸筒本体に外嵌される外軸と、軸筒本体に取り付けられる頭冠とからなり、軸筒本体に係止穴と後端から前方に伸びたキー溝を構成し、外軸の内面に内方突起を形成し、頭冠に前部細径部を形成し、この前部細径部に係止突起を形成し、前記軸筒本体の後方より先ず外軸を外嵌し、軸筒本体のキー溝に外軸の内方突起を係合してキー溝の前縁に外軸の内方突起を当接し、更に、外軸の後方より頭冠の前部細径部を挿入し、頭冠の係止突起を軸筒本体の係止穴に嵌め込み、軸筒本体のキー溝前縁と頭冠により外軸を挟持し、軸筒本体に外軸及び頭冠を取り付けたことを特徴とする筆記具の軸筒。
【請求項2】
軸筒本体と、軸筒本体に外嵌される外軸と、軸筒本体に取り付けられる頭冠とからなり、軸筒本体に係止穴と後端から前方に伸びたキー溝を構成し、外軸の内面に内方突起を形成するとともに軸筒本体の後端から前方に伸びたキー溝を形成し、頭冠に前部細径部を形成し、この前部細径部に互いに対向して開口窓を形成し、かつ、前部細径部の2つの開口窓の間に位置する一方の片に係止突起を形成するとともに他方の片に隆起した前部キーを形成し、前部細径部よりやや太径の中間部に隆起した後部キーを形成し、前記軸筒本体の後方より先ず外軸を外嵌し、軸筒本体のキー溝に外軸の内方突起を係合してキー溝の前縁に外軸の内方突起を当接し、更に、外軸の後方より前記頭冠の前部細径部及び中間部を挿入し、頭冠の中間部に形成された後部キーを外軸のキー溝に係合させるとともに、頭冠の前部細径部に形成された係止突起を軸筒本体の係止穴に嵌め込み、軸筒本体のキー溝前縁と頭冠により外軸を挟持するとともに、軸筒本体、外軸及び頭冠を回動不能に取り付けたことを特徴とする筆記具の軸筒。
【請求項3】
外軸を透明性を有した合成樹脂で構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の筆記具の軸筒。
【請求項4】
軸筒本体の把持部に軟質材からなるグリップを外嵌したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の筆記具の軸筒。
【請求項5】
頭冠にクリップを一体に形成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の筆記具の軸筒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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