説明

筆記板用消去性インキ組成物

【目的】 表面が非吸収性、非浸透性の材質からなる筆記板上に筆記することができ、得られた筆跡が筆記板の素材に関わらず、筆記直後、長時間放置後、及び多様な環境下にて筆記されても容易に消去することができる筆記板用消去性インキ組成物に関する。更には、筆跡を消した後に筆記板上に残る筆跡の痕跡であるゴーストが目立たない筆記板用消去性インキ組成物。
【構成】 長径が10〜20μm、短径が0.3〜1.0μm、厚みが0.3〜1.0μmある無機粒子を含有する筆記板用消去性インキ組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記板用消去性インキ組成物に関する。更に、詳細には表面が非吸収性、非浸透性の材質からなる筆記板上に筆記し、筆跡が筆記板の素材に関わらず、筆記直後、及び長時間放置後でも容易に消去することができる筆記板用消去性インキ組成物に関する。更には、筆跡を消去した後に、筆記板上に筆跡の形のままに剥離剤の痕跡が残るいわゆるゴースト現象が目立たない筆記板用消去性インキ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筆記板用消去性インキ組成物には、顔料と、有機溶剤や水と、該有機溶剤に可溶な樹脂及び消去性付与のための剥離剤との組み合わせからなるものが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、剥離剤として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの硫酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル又はこれらの塩から選ばれる一種又は二種以上と、脂肪族二塩基酸エステル、脂肪族一塩基酸エステル、及びポリアルキレングリコールエステル化合物を配合した筆記板用消去性インキ組成物が、特許文献2にはシリコーン系界面活性剤を含む剥離剤と、無水シリカ等の無機質粉末とを含有してなる筆記板用消去性インキ組成物が、特許文献3には、有機溶剤、色材、剥離剤とから少なくともなるインキ組成物において無水シリカを含有する筆記板用消去性インキ組成物が、特許文献4には、一方向の粒径が約12.1μmよりも大きいグリッター顔料粒子を含むホワイトボードマーカー用インキにも使用できるインキ組成物が開示されている。
【特許文献1】特開2002−129086号公報
【特許文献2】特公平08−032845号公報
【特許文献3】特開平10−036744号公報
【特許文献4】特表2007−505770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、引用文献1に記載されているような筆記板用消去性インキ組成物は、樹脂を溶解しない筆記板とのなじみの良い剥離剤を配合して、筆記時の筆跡形成時に筆跡と筆記板面との間に剥離剤層を形成させ筆跡の筆記板上への付着を防止し、消去することができる。しかしながら、樹脂を溶解しない剥離剤からなる筆跡皮膜は硬くなり、軽い荷重で消す為に多量の剥離剤の添加が必要で有り、筆記板とのなじみも良いので、筆記面に剥離剤の痕跡が残るいわゆるゴーストが多量に残り、筆記した内容が容易にわかってしまう。引用文献2、3及び4に記載されているような筆記板用消去性インキ組成物は、溶剤が揮発した後は、使用される粒子により隙間のない緻密な筆跡層を形成するために、筆跡が硬くなり、強い荷重でないと筆跡が消し難くなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、長径が10〜20μm、短径が0.3〜1.0μmである無機粒子を含有する筆記板用消去性インキ組成物を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、長径が10〜20μm、短径が0.3〜1.0μmである無機粒子を添加することにより、粒子が複雑に絡み合い、開口した微細な空隙のある筆跡層を形成するので、筆跡層は脆くなり、消去時に軽い荷重で消去が可能となると共に、これら粒子と剥離剤との付着力が大きくなる為、剥離剤からなる筆跡の痕跡であるゴーストを拭き取りやすい。
本発明に使用する長径が10〜20μm、短径が0.3〜1.0μmである無機粒子は大きすぎても小さすぎても好ましくない。例えば、粒子が小さすぎると、筆跡内での粒子同士の絡み合いによる隙間は小さく緻密な筆記層となるので、筆跡を消すのに強い力が必要であが、粒子と剥離剤との付着力が大きくなる為、剥離剤からなる筆跡の痕跡であるゴーストは、拭き取り易い。また、粒子が大きすぎると、粒子同士の絡み合いによる隙間が大きくなりすぎる為に、軽い荷重で消去できるものの、粒子と剥離剤との付着力が弱くなる為、剥離剤からなる筆跡の痕跡であるゴーストは拭き取りにくくなる。同様に、形状が立方体、または球状形状の粒子を用いた場合は、粒子の隙間が小さい緻密な筆記層を形成するため、筆跡層の強度が強くなり、強い荷重でないと筆跡が消去できなくなるが、粒子と剥離剤との付着力が大きくなる為、剥離剤からなる筆跡の痕跡であるゴーストは、拭き取り易い。大きい面を有している粒子は、接地面積が多くなり抵抗が強くなる為、強い荷重でないと筆跡が消去できなくなるが、粒子と剥離剤との付着力は大きくなる為、剥離剤からなる筆跡の痕跡であるゴーストは、拭き取り易い。更に、本発明における無機粒子の断面形状は、円、楕円、三角形、正方形、長方形等からなるいかなる形状でも良いが、断面形状の最も長い部分を短径とした粒子のうち本発明の効果のあるものは、長径/短径であらわされる長短度が10以上のものが好ましい。
【0007】
尚、本発明でいう長径、短径とは、電子顕微鏡にて観察した時に粒子の長さが最大となるところ計測したものを長径とし、粒子の長径方向に対して直角方向で最も長い径を短径とした。尚、その値は、任意の5箇所を計測したときの平均値である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に使用する顔料は、着色剤として使用するものであり、従来より公知のアゾ系顔料、縮合ポリアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料などの有機顔料やカーボンブラック、紺青、ベンガラ、酸化チタン等の無機顔料及びアルミニウム粉末、真鍮粉末などの金属粉顔料や、これらの顔料と樹脂粉体とを組み合わせた着色加工粉体、蛍光顔料及びパール顔料などの中から、筆記板用消去性インキ組成物中に微粒子として安定に分散し得るものを適宣選択して用いることができる。特に表面をポリビニルブチラールにて樹脂コーティングした加工顔料は、分散性、経時安定性、作業性及び筆記板用消去性インキ組成物中に他の樹脂を配合しなくとも良いなどの面から好ましく用いることができる。加工顔料の具体例として、フジASブラック810、同レッド575、同レッド568、同ブルー650、同グリーン710、同グリーン737、同オレンジ200、同オレンジ250、同イエロー458、同バイオレット945、同ホワイト165(以上、冨士色素(株)製)、マイクロピグモブラックAMBK−2、同レッドAMRD−2、同ブルーAMBE−2、同グリーンAMGN−2、同オレンジAMOE−2、同イエローAMYW−2、同ピンクAMPK−2、同バイオレットAMVT−2(以上、オリエント化学工業(株)製)などがある。その使用量は、顔料の種類や他のインキ成分により異なるものの、筆記板用消去性インキ組成物に対して1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%である。
【0009】
本発明に使用する低級アルコールは、一般に油性筆記板用消去性インキ組成物に用いられるものを使用することができる、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、第2ブチルアルコール、第3ブチルアルコール等のアルコール類溶剤の中から選ばれる一種または二種以上の混合溶剤が好適に用いられる。その使用量は、使用する他の成分との混和性を考慮して種々の混合比が決定されるが、筆記板用消去性インキ組成物全量に対して50〜90重量%、好ましくは55〜85重量%である。
【0010】
本発明に使用するポリビニルブチラールは、着色剤である顔料の分散を与えると共に、インキへの筆跡皮膜形成能を与える目的で使用する。また、被筆記面への付着性、インキの粘性付与の目的でも使用する。具体的にはエスレックBL−1、同BL−1H、同BL−2、同BL−2H、同BL−5、同BL−10、同BL−S、同BM−1、同BM−2、同BM−5、同BM−S、同BH−3、同BH−6、同BH−S(以上、積水化学工業(株)製)、デンカブチラール#2000−L、同#3000−1、同#3000−2、同#3000−4、同#3000−K、同#4000−1、同#4000−2、同#5000−A、同#6000−C(以上、電気化学工業(株)製)等が1種又は2種以上が使用可能である。その使用量は筆記板用消去性インキ組成物全量に対して1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%である。使用量が少ないと筆跡皮膜形成せず、顔料の分散安定性も不安定となる。また、使用量が多いと板面への定着が強くなり、インキも高粘度となりインキの吐出不良を生ずるため筆記板用消去性インキ組成物として好ましくない。なお、前記顔料が樹脂を用いた加工顔料の場合は、加工顔料中の樹脂にて代替することも可能である。
【0011】
本発明に使用する消去性を付与する剥離剤は、上記アルコールに可溶であり、ポリビニルブチラール不溶なものであれば特に限定なく使用可能である。具体的には、DINA(アジピン酸ジイソノニル)、DOA(アジピン酸ジ−2エチルヘキシル)、DTDA(アジピン酸ジトリデシル)、DOS(セバシン酸ジ2−エチルヘキシル)、DOZ(アゼライン酸2−エチルヘキシル)、DODN(デカン酸ジ2−エチルヘキシル)(以上、田岡化学工業(株)製)等の脂肪族二塩基エステルや、CIO(イソオクタン酸セチル)、ICM−R(ミリスチン酸イソセチル)、ICIS(イソステアリン酸イソセチル)、ISP(パルミチン酸イソステアリル)、STO(ステアリン酸イソオクチル)(以上、日光ケミカルズ(株)製)等の脂肪族一塩基酸エステルが一種または2種以上が使用可能である。その使用量は筆記板用消去性インキ組成物全量に対して0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%である。使用量が少ないと筆跡皮膜を消去することができない。また、使用量が多いと筆跡皮膜にひび割れを生じさせてしまい筆跡が薄く見えてしまう白化現象を生じさせてしまうため筆記板用消去性インキ組成物として好ましくない。
【0012】
本発明に使用する長径が10〜20μm、短径が0.3〜1.0μmである無機粒子は、複雑に絡み合い、開口した微細な空隙のある筆跡層を形成させるために使用するものである。具体的にウィスカルA(長径が20μm、短径が1.0μm)である炭酸カルシウム、丸尾カルシウム(株)製)、モスハイジ(長径が15μm、短径が0.7μmである塩基性硫酸マグネシウム、宇部マテリアルズ(株)製)、ティスモD(長径が15μm、短径が0.5μmであるチタン酸カリウム)、ティスモN(長径が17μm、短径が0.4μmであるチタン酸カリウム)、デントールWK200B(長径が16μm、短径が0.6μmであるチタン酸カリウム)、デントールWK300R(長径が15μm、短径が0.5μmであるチタン酸カリウム)、デントールWK500(長径が10μm、短径が0.3μmであるチタン酸カリウム)(以上、大塚化学(株)製)等が1種叉は2種以上が使用可能である。その使用量は筆記板用消去性インキ組成物全量に対して0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%である。使用量が少ないと剥離剤からなる筆跡の痕跡であるゴーストを拭きとることができない。また、使用量が多いと隙間のない緻密な筆跡層が形成されるため、筆跡層の強度が強くなり、強い荷重でないと筆跡が消去できなくなるため筆記板用消去性インキ組成物として好ましくない。
【0013】
更に本配合には筆跡の柔軟性付与の為にポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、及びそれぞれの硫酸エステルや燐酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等、各種活性剤が1種または2種以上が使用可能である。その使用量は、筆記板用マーキングインキ組成物全量に対して0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%である。
【0014】
以上に示した成分以外に必要に応じて、防腐剤、防黴剤、湿潤剤、粘度調整剤、凍結防止剤、ペン先乾燥防止剤、消泡剤、可塑剤、各種活性剤、樹脂の溶解性を妨げない程度の有機溶剤など、種々の添加剤を適宣選択して使用することができる。
【0015】
本発明の筆記板用消去性インキ組成物の製造方法は、上記せる各成分を必要量混合し、ホモミキサー、ラボミキサー等の高速撹拌機や、ボールミル、サンドミルまたはビーズミル等の分散機にて混合・分散することにより容易に得ることができる。
【0016】
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0017】
(実施例1)
フジ AS ブラック 810(ポリビニルブチラールで黒色顔料をコーティングした加工顔料、冨士色素(株)製) 8.0部
ソルミックスAP−4(エチルアルコール85.5%・イソプロピルアルコール13.4%・アセトン1.1%の混合溶液、日本アルコール販売(株)製) 50.0部
イソプロピルアルコール 32.5部
NIKKOL BL−2(ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル、日光ケミカルズ(株)製) 2.0部
DODN(デカン酸2−エチルヘキシル、田岡化学工業(株)製) 2.0部
CIO(イソオクタン酸セチル、日光ケミカルズ(株)製) 5.0部
ウィスカルA(長径が20μm、短径が1.0μm、厚みが1.0μmである炭酸カルシウム、丸尾カルシウム(株)製) 0.5部
上記成分をホモミキサーにて5時間撹拌して、黒色の筆記板用消去性インキ組成物を得た。
【0018】
(実施例2)
フジ AS レッド 568(ポリビニルブチラールで赤色顔料をコーティングした加工顔料、冨士色素(株)製) 6.5部
ソルミックスAP−4(前述) 55.0部
イソブチルアルコール 31.7部
BD−2(ポリオキシエチレン(2)合成アルキルエーテル、日光ケミカルズ(株)
1.5部
STO(ステアリン酸イソオクチル、日光ケミカルズ(株)製) 5.0部
ウィスカルA(前述) 0.3部
上記成分をホモミキサーにて5時間撹拌して、赤色の筆記板用消去性インキ組成物を得た。
【0019】
(実施例3)
フジ AS ブルー 650(ポリビニルブチラールで青色顔料をコーティングした加工顔料、冨士色素(株)製) 8.0部
ソルミックスAP−4(前述) 50.0部
イソプロピルアルコール 32.0部
BT−3(ポリオキシエチレン(2)2級アルキルエーテル、日光ケミカルズ(株)製)
2.0部
DINA(アジピン酸ジイソノニル、田岡化学工業(株)) 7.0部
ウィスカルA(前述) 1.0部
上記成分をホモミキサーにて5時間撹拌して、青色の筆記板用消去性インキ組成物を得た。
【0020】
(実施例4)
フジ AS グリーン 737(ポリビニルブチラールで緑色顔料をコーティングした加工顔料、冨士色素(株)製) 7.0部
ソルミックスAP−4(前述) 50.0部
n−プロピルアルコール 35.5部
PBC−31(ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、日光ケミカルズ(株)製) 1.0部
DOZ(アゼライン酸2−エチルヘキシル、田岡化学工業(株)) 2.0部
ISP(パルミチン酸イソステアリル、日光ケミカルズ(株))製) 4.0部
ウィスカルA(前述) 0.5部
上記成分をホモミキサーにて5時間攪拌して、緑色の筆記板用消去性インキ組成物を得た。
【0021】
(実施例5)
フジ AS オレンジ 250(ポリビニルブチラールで橙色顔料をコーティングした加工顔料、冨士色素(株)製) 7.0部
ソルミックスAP−4(前述) 50.0部
n−ブチルアルコール 33.3部
フォスファノールLS−500(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、東邦化学工業(株)製) 2.0部
DTDA(アジピン酸ジトリデシル、田岡化学工業(株)) 4.0部
ICM−R(ミリスチン酸2−エチルヘキシル、日光ケミカルズ(株)製)
3.0部
ウィスカルA(前述) 0.7部
上記成分をホモミキサーにて5時間撹拌して、橙色の筆記板用消去性インキ組成物を得た。
【0022】
(実施例6)
実施例1においてウィスカルA(前述)0.5部を、モスハイジ(長径が15μm、短径が0.7μm、厚みが0.7μmである塩基性硫酸マグネシウム、宇部マテリアルズ(株)製)0.5部に変えた以外は、実施例1と同様にして、黒色の筆記板用消去性インキ組成物を得た。
【0023】
(実施例7)
実施例2においてウィスカルA(前述)0.3部を、ティスモD(長径が15μm、短径が0.5μm、厚みが0.5μmであるチタン酸カリウム、大塚化学(株)製))0.3部に変えた以外は、実施例2と同様にして、赤色の筆記板用消去性インキ組成物を得た。
【0024】
(実施例8)
実施例3においてウィスカルA(前述)1.0部を、デントールWK200B(長径が16μm、短径が0.6μm、厚みが0.6μmであるチタン酸カリウムの、大塚化学(株)製)1.0部に変えた以外は、実施例3と同様にして、青色の筆記板用消去性インキ組成物を得た。
【0025】
(実施例9)
実施例4においてウィスカルA(前述)0.5部を、デントールWK500(長径が10μm、短径が0.3μm、厚みが0.3μmであるたチタン酸カリウム、大塚化学(株)製)0.5部に変えた以外は、実施例4と同様にして、緑色の筆記板用消去性インキ組成物を得た。
【0026】
(実施例10)
実施例5においてウィスカルA(前述)0.7部を、ティスモN(長径が17μm、短径が0.4μm、厚みが0.4μmである柱体形状をしたチタン酸カリウム、大塚化学(株)製)0.7部に変えた以外は、実施例5と同様にして、橙色の筆記板用消去性インキ組成物を得た。
【0027】
(比較例1)
実施例1のウィスカルA(前述)0.5部を除き、イソプロピルアルコールを32.9部に変えた以外は、実施例1と同様にして、黒色の筆記板用筆記板用消去性インキ組成物を得た。
【0028】
(比較例2)
実施例3のウィスカルA(前述)1.0部を除き、ケミスノーMX−500(平均粒子径5.0μmの球状形状をした架橋アクリル粉体、綜研化学(株)製)1.0部に変えた以外は、実施例3と同様にして、青色の筆記板用消去性インキ組成物を得た。
【0029】
(比較例3)
実施例4のウィスカルA(前述)0.5部を除き、アルミフレーク#5(アルミニウム箔に、変性アクリルタイプの樹脂で着色した長径が70μm、短径が50μm、厚みが12μmであるグリッター顔料、堀金箔粉(株)製)0.5部に変えた以外は、実施例4と同様にして、緑色の筆記板用消去性インキ組成物を得た。
【0030】
(比較例4)
実施例5のウィスカルA(前述)0.7部を除き、FTL−100(長径が1.68μm、短径が0.13μm、厚さが0.13μmである酸化チタン、石原産業(株)製)0.7部に変えた以外は、実施例5と同様にして、橙色の筆記板用消去性インキ組成物を得た。
【0031】
(比較例5)
実施例1のウィスカルA(前述)0.5部を除き、マグチューブ(長径が10μm、短径が2μm、厚みが2μmである塩基性炭酸マグネシウム、日鉄鉱業(株)製)0.5部に変えた以外は、実施例6と同様にして、黒色の筆記板用消去性インキ組成物を得た。
【0032】
(比較例6)
実施例2のウィスカルA(前述)0.3部を除き、エコーマグPZ−1(長径が2.0μm、短径が1.0μm、厚みが1.0μmである水酸化マグネシウム、タテホ化学工業(株)製)0.3部に変えた以外は、実施例2と同様にして、赤色の筆記板用筆記板用消去性インキ組成物を得た。
【0033】
(比較例7)
実施例3のウィスカルA(前述)1.0部を除き、ケミスノーMX−150(平均粒子径1.5μmの球状形状をした架橋アクリル粉体、綜研化学(株)製)1.0部に変えた以外は、実施例3と同様にして、青色の筆記板用筆記板用消去性インキ組成物を得た。
【0034】
(比較例8)
実施例4のウィスカルA(前述)0.5部を除き、軽質炭酸カルシウム(長径が2.0μm、短径が0.4μm、厚みが0.4μmである炭酸カルシウム、丸尾カルシウム(株)製)0.5部に変えた以外は、実施例4と同様にして、緑色の筆記板用筆記板用消去性インキ組成物を得た。
【0035】
(比較例9)
実施例5のウィスカルA(前述)0.7部を除き、重質炭酸カルシウム(長径が12μm、短径が12μm、厚みが12μmである炭酸カルシウム、丸尾カルシウム(株)製)0.7部に変えた以外は、実施例4と同様にして、緑色の筆記板用筆記板用消去性インキ組成物を得た。
【0036】
実施例1〜10及び比較例1〜9にて作成したインキを用いて塗布具(EMWLM、ぺんてる製)に充填し、これをサンプルとして用いて試験1〜5を実施した。結果を表1に示す。
【0037】
試験1
筆跡の消去性1(初期消去性)
10回ノックしてインキ出し後、20℃60%の環境下で表面が平滑なホーロー板(品名FB−32WC、コクヨ(株)製)に各サンプルを用いて2×8cmの大きさで5丸筆記して1分後に、4つ折にした紙製のウエス(品名キムワイプ S−200、(株)クレシア製)を用い100gづつ重りを増やしていき、筆跡が1回の擦過で消去できるまでの重量を確認した。
【0038】
試験2
筆跡の消去性2(経時消去性)
10回ノックしてインキ出し後、表面が平滑なホーロー板(上記)に各サンプルを用いて2×8cmの大きさで5丸筆記して室温にて1ヶ月放置後に、4つ折にした紙製のウエス(前述)を用い100gづつ重りを増やしていき、筆跡が1回の擦過で消去できるまでの重量を確認した。
【0039】
試験3
消し跡の剥離剤の痕跡除去性(ゴースト除去性)
10回ノックしてインキ出し後、表面が平滑なホーロー板(前述)に各サンプルを用いて2×8cmの大きさで面塗りして1分後に、4つ折にした紙製のウエス(前述)を用い1000gの重りをのせて筆跡を消去した後、更に往復させて筆記板上に消し跡の痕跡であるゴーストが目立たなくなるまでの回数を確認した。
【0040】
【表1】

【0041】
以上、詳細に説明したように本発明における筆記板用消去性インキ組成物は、その筆跡を容易に消去することができる筆記板用消去性インキ組成物において、筆跡を消去した後、筆記板上に筆跡の痕跡であるゴーストが目立たない筆記板用消去性インキ組成物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長径が10〜20μm、短径が0.3〜1.0μm、である無機粒子を含有する筆記板用消去性インキ組成物。
【請求項2】
上記長径が10〜20μm、短径が0.3〜1.0μmである無機粒子が炭酸カルシウムである請求項1記載の筆記板用消去性インキ組成物。