等価温度測定システム
【課題】機器を任意の向きに設置しても、あるいは機器の設置方向を変更しても温度の測定精度を向上させることのできる等価温度測定システムを提供する。
【解決手段】温度センサ3は、機器内部の所定位置の温度を測定し、傾斜センサ4は、機器の傾斜を測定する。無線機器は、機器の傾斜毎に、温度センサ3と各部位(被測定ポイント)の温度の関係を実測定して作成したデータテーブルを記憶部に保持しており、傾斜センサ4から機器の設置角度を取得し、記憶部から設置角度に最適なデータテーブルを選択し、選択されたデータテーブルと温度センサ3から取得した温度情報から、各部位(被測定ポイント)の等価温度を測定する。
【解決手段】温度センサ3は、機器内部の所定位置の温度を測定し、傾斜センサ4は、機器の傾斜を測定する。無線機器は、機器の傾斜毎に、温度センサ3と各部位(被測定ポイント)の温度の関係を実測定して作成したデータテーブルを記憶部に保持しており、傾斜センサ4から機器の設置角度を取得し、記憶部から設置角度に最適なデータテーブルを選択し、選択されたデータテーブルと温度センサ3から取得した温度情報から、各部位(被測定ポイント)の等価温度を測定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定位置の温度を等価的に測定する等価温度測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線機器などのアナログ回路では温度によって特性が変化するので、温度に対する特性の補正を行う必要がある。温度に対する特性の補正を行うには、温度によって特性が変化する回路部分の温度を正確に測定することが必要である。そのために、無線機器内部に温度センサを備えることが考えられる。
【0003】
特許文献1には、無線機器内部に温度センサを備え、内部ファンを常時動作させて空気を循環させることにより内部の温度偏差を軽減させた状態で、温度センサで内部温度を測定する装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−284129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、機器内部の空気を、ファンなどで強制循環させる機能がない場合は、回路基板(機器)の設置向きによって機器内部の温度対流方向が変わる。これにより、機器内部の上の方となる部分が温まりやすくなったり、発熱部の上部に位置する被測定ポイントの温度が上昇することになり、機器の設置方向で内部の温度環境が変化することとなる。よって、機器内部に温度センサを備えるだけでは、機器の設置角度によっては正確な温度を測定できない問題が発生する。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、機器を任意の向きに設置しても、あるいは機器の設置方向を変更しても温度の測定精度を向上させることのできる等価温度測定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の等価温度測定システムは、装置本体の置き位置状態を検知するための置き位置状態検知部と、前記装置内の温度を測定する温度センサと、予め前記装置本体の置き位置状態毎に被測定ポイントと前記温度センサとの間の温度差を実測定して作成した補正テーブルを記録する記憶部と、前記置き位置状態検知部からの情報に基づいて、前記記憶部から前記装置本体の置き位置状態に対応した補正テーブルを取得し、取得した補正テーブルと前記温度センサから取得した温度情報から、前記被測定ポイントの等価温度を測定する制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
前記置き位置状態検知部は、傾斜センサであることが好ましい。または、前記置き位置検状態知部は、前記装置内の温度を測定する2個の温度センサであることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、機器を任意の向きに設置しても、あるいは機器の設置方向を変更しても、設置状態に最適な補正テーブルを選択して、補正テーブルから各部位(被測定ポイント)の温度を測定するので、温度の測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る等価温度測定システムの構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る等価温度測定システムが適用される無線機器の機器構造例と機器縦置き設置時の温度対流状態を示す図である。
【図3】機器逆さ置き設置時の温度対流状態を示す図である。
【図4】機器縦置き設置時の温度センサと、第1回路と、第2回路の測定温度をグラフにした図である。
【図5】機器逆さ置き設置時の温度センサと、第1回路と、第2回路の測定温度をグラフにした図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る等価温度測定システムが適用される機器の動作を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る等価温度測定システムの構成を示す図である。
【図8】第2の実施形態に係る等価温度測定システムが適用される無線機器の機器構造例と機器縦置き設置時の温度対流状態を示す図である。
【図9】機器平置き設置時の温度対流状態を示す図である。
【図10】機器縦置き設置時の第1温度センサと、第2温度センサと、第1回路と、第2回路の測定温度をグラフにした図である。
【図11】機器平置き設置時の第1温度センサと、第2温度センサと、第1回路と、第2回路の測定温度をグラフにした図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る等価温度測定システムが適用される機器の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を、密閉された構造の無線機器(または単に機器という)を例に以下に説明する。本発明の等価温度測定システムは、密閉または密閉に近い構造の電子機器全般(無線機器、テレビ、ステレオ、パソコンなど)に適用が可能である。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る等価温度測定システムの構成を示す図である。第1の実施形態に係る等価温度測定システム(無線機器)は、温度センサ3と、傾斜センサ4(置き位置状態検知部)と、記憶部10と、制御部11とを備えている。温度センサ3は、無線機器内部の所定位置の温度を測定し、傾斜センサ4は、無線機器の置き位置状態(傾斜)を検知する。傾斜センサ4は、無線機器の置き位置状態を検知する置き位置状態検知部を構成する。記憶部10は、機器の傾斜毎に、温度センサが検知した温度と各部位(被測定ポイント)との間の温度差を実測定して作成したデータテーブル(補正テーブル)を保持する。制御部11は、傾斜センサ4から機器の設置角度の情報を取得し、記憶部10から設置角度に対応したデータテーブルを選択し、選択されたデータテーブルの情報と温度センサ3から取得した温度情報から、各部位(被測定ポイント)の等価温度を測定する。なお、等価温度は、無線機器内の各部位で予想される温度である。
【0013】
図2は、第1の実施形態に係る等価温度測定システムが適用される無線機器の機器構造例と機器縦置き設置時の温度対流状態を示す図である。図2(a)は正面図を示し、図2(b)は側面図を示す。機器筺体1の中には温度補正が必要な回路基板2が装備されている。回路基板2には、温度センサ3と傾斜センサ4が実装されており、また、回路基板2の中には、等価温度測定の対象となる(温度補償の対象となる)第1回路5および第2回路6と、特に発熱量の多い回路として発熱部7がある。なお、温度センサ3と傾斜センサ4は、基板上の任意の位置に実装して良い。第1回路5と第2回路6は、説明を容易にするために発熱部7の上に第1回路5が配置され、発熱部7の下に第2回路6が配置させる例としている。傾斜センサ4は、現在の無線機器の置き位置状態が縦置きであることを検知することができる。
【0014】
図3は、機器逆さ置き設置時の温度対流状態を示す図である。図3(a)は正面図を示し、図3(b)は側面図を示す。説明を容易にするため逆さ設置状態の例で説明する。構造は図1と全く同じである。この場合は、発熱部7の上に第2回路6が配置され、発熱部7の下に第1回路5が配置されることとなる。傾斜センサ4は、現在の無線機器の置き位置状態が逆さ置きであることを検知することができる。
【0015】
筐体1の内部に、空気を強制的に循環させるファンなどが無い場合は、筐体内で発生した熱は、空気の熱対流を起こし、設置状態の筐体内部の上部部位に高温の熱が流れてゆく。これによって、設置状態の筐体内部の上部部位は、他の部位に比べ高温になりやすい。よって、縦置き時には第1回路5は第2回路6よりも高温になりやすく、逆さ置き時には第2回路6は第1回路5よりも高温になりやすい。図2および図3の例では、発熱量の多い回路としての発熱部7があるが、これが無いとしても筐体内部で発生する熱は、対流によって筐体内部の上部に集中することになる。
【0016】
図4は、機器縦置き設置時の温度センサと、第1回路と、第2回路の測定温度をグラフにした図である。第1回路5の温度は温度センサ3よりも5℃高く、第2回路6の温度は温度センサ3よりも5℃低いとする。無線機器は、この結果を元に、実際の動作環境では温度センサ3の測定温度を監視することで、等価的に第1回路5および第2回路6の温度を知ることができる。すなわち、無線機器は、このような縦置き時の温度センサの測定温度と、第1回路および第2回路の温度の関係をデータテーブルに格納しておき、データテーブルを参照することで、1つの温度センサの測定温度から、他の部位である第1回路および第2回路の温度を等価的に知ることができる。
【0017】
これに対し、設置方向が逆さ置きの場合は、温度センサの温度と、第1回路および第2回路の温度の関係は上記と異なる。図5は、機器逆さ置き設置時の温度センサと、第1回路と、第2回路の測定温度をグラフにした図である。第1回路5の温度は温度センサ3よりも5℃低く、第2回路6の温度は温度センサ3よりも5℃高いとする。無線機器は、このような逆さ置き時の温度センサの測定温度と、第1回路および第2回路の温度の関係もデータテーブルに格納しておく。本発明の第1の実施形態に係る無線機器は、回路基板2に傾斜センサ4を搭載しているので、現状の設置状態を機器が把握することができる。これにより、設置方向に合わせた適切な温度データテーブルを参照することで、1つの温度センサの測定温度から、他の部位である第1回路および第2回路の温度を等価的に知ることができる。
【0018】
また、上述した実施の形態では、縦置きと、逆さ置きを例に説明したが、傾斜センサは、3次元方向の傾斜を知ることができるので、設置角度を細分化した(例えば45°の8ステップ)データテーブルを用意することによって更に精密な補正が可能である。
また、傾斜センサが測定した角度が45°ステップの中間である場合、例えば22°などの場合は、データテーブル上の0°の等価測定温度と、45°の等価測定温度を直線補間的に求めることで更に精度を上げることができる。
【0019】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る等価温度測定システムが適用される機器の動作を説明するフローチャートである。なお、温度情報は、機器製造の初期の段階で、予め収集されているものとする。すなわち、傾斜毎に、温度センサが検知した温度と各部位(回路)の温度の関係を実測定して、データテーブルを作成し、作成されたデータテーブルが機器の記憶部に予め記録されているものとする。データテーブルは、複数台の機器で得たデータを平均化して作成してもよい。また、同じ機器であれば、同一のデータテーブルを各機器に記録させてもよい。
【0020】
まず、傾斜センサにより、機器の現在の設置角度を求める(ステップS101)。これによって、現在の設置角度に対応したデータテーブルを選択する(ステップS102)。次に、温度センサより温度情報を収集する(ステップS103)。角度情報から選択されたデータテーブルの情報と、温度センサの温度情報から、各部位の等価温度を測定する(ステップS104)。各部位の等価温度情報を元に、各部位の温度補償を行う(ステップS105)。そして、ステップS101に戻る。このようにして、傾斜センサによる設置角度情報と、温度センサの温度情報は、周期的に監視され、最新情報に更新される。
【0021】
上述のように、本発明の第1の実施形態に係る無線機器は、傾斜センサを搭載し、機器の設置角度を把握することで設置角度に最適なデータテーブルを選択し、データテーブルから各部位(被測定ポイント)の温度を測定するので、温度の測定精度を向上させることができ、より精密な温度補償を可能にする。
また、本発明の第1の実施形態に係る無線機器は、各部位毎に温度センサを備えることなく、1個の温度センサで各部位の温度を等価測定することができるので、回路コストを増加させることなく、また、回路実装面積を増やすことなく、等価温度測定の精度を改善することができる。
【0022】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る等価温度測定システムの構成を示す図である。第2の実施形態に係る等価温度測定システムは、第1温度センサ8と、第2温度センサ9と、記憶部10と、制御部11とを備えている。第1温度センサ8は、無線機器内部の所定位置の温度を測定し、第2温度センサ9は、第1温度センサ8とは離れた位置の温度を測定する。第1温度センサ8と第2温度センサ9は、無線機器の置き位置状態を検知する置き位置状態検知部を構成する。記憶部10は、機器の設置方向毎に、温度センサと各回路(被測定ポイント)との間の温度差を実測定して作成したデータテーブル(補正テーブル)を保持する。制御部11は、第1温度センサ8と第2温度センサ9とから温度情報を取得し、温度差から機器の設置方向を取得し、記憶部10から設置方向に対応したデータテーブルを選択し、選択されたデータテーブルの情報と第1温度センサ8から取得した温度情報から、各回路(被測定ポイント)の等価温度を測定する。
【0023】
図8は、第2の実施形態に係る等価温度測定システムが適用される無線機器の機器構造例と機器縦置き設置時の温度対流状態を示す図である。図8(a)は正面図を示し、図8(b)は側面図を示す。機器筺体1の中には温度補正が必要な回路基板2が装備されている。回路基板2には、第1温度センサ8と第2温度センサ9が実装されており、また、回路基板2の中には、等価温度測定を行いたい(温度補償を行いたい)第1回路5および第2回路6と、特に発熱量の多い回路として発熱部7がある。第1温度センサ8は、回路基板上の複数の被測定ポイントの温度を1つの温度センサで等価的に測定するために使用する。第2温度センサ9は、第1温度センサ8との温度差を監視するために使用する。第1温度センサ8と第2温度センサ9は、距離を離して実装する。機器の設置方向によって2つのセンサの温度差が大きく変化するように実装することが望ましい。また、第1回路5と第2回路6は、説明を容易にするために発熱部7の上に第1回路5が配置され、発熱部7の下に第2回路6が配置させる例としている。
【0024】
図9は、機器平置き設置時の温度対流状態を示す図である。図9(a)は正面図を示し、図9(b)は側面図を示す。構造は図8と全く同じであり、設置方向のみを変えている。
【0025】
図8の例のように、機器縦置き設置時には、第1温度センサ8より第2温度センサ9が上部に位置するため、第2温度センサ9が高温となり、図9の例のように、機器平置き設置時には、基板全体をまんべんなく温めることになるため、第1温度センサ8と第2温度センサ9との温度差がほぼ無い状態となる。
【0026】
筐体1の内部に、空気を強制的に循環させるファンなどが無い場合は、筐体内で発生した熱は、空気の熱対流を起こし、筐体内部の上部部位に高温の熱が流れてゆく。これによって、筐体内部の上部部位は、他の部位に比べ高温になりやすい。よって、縦置き時には第1回路5は第2回路6よりも高温になりやすい。図8の例では、発熱量の多い回路としての発熱部7があるが、これが無いとしても筐体内部で発生する熱は、対流によって筐体内部の上部に集中することになる。これにより、縦置き時には第1温度センサ8より第2温度センサ9が高温となる。この状況は、平置き時の第1温度センサ8と第2温度センサ9との温度差より明らかに温度差が発生する。したがって、第1温度センサ8よりも第2温度センサ9の測定温度が、予め指定した温度差(設定値)より大きい場合は、現在の無線機器の設置状態が縦置きであると認識することができる。第1温度センサ8と第2温度センサ9の測定温度差が、予め指定した温度差(設定値)以下の場合は、現在の無線機器の設置状態が平置きであると認識することができる。
【0027】
図10は、機器縦置き設置時の第1温度センサと、第2温度センサと、第1回路と、第2回路の測定温度をグラフにした図である。第2温度センサ9の温度は、第1温度センサ8よりも15℃高く、また、第1回路5の温度は、第1温度センサ8よりも20℃高く、第2回路6の温度は、第1温度センサ8よりも2℃高いとする。無線機器は、このような縦置き時の第1温度センサ8および第2温度センサ9の測定温度と、第1回路5および第2回路6の温度の関係をデータテーブルに格納しておき、データテーブルを参照することで、1つの温度センサの測定温度から、他の部位である第1回路5および第2回路6の温度を等価的に知ることができる。
【0028】
この時、機器設置方向を識別するための第1温度センサ8と第2温度センサ9の温度差を、5℃以上で縦置きと判定するように設定したならば、第1温度センサ8の温度よりも、第2温度センサ9の温度が5℃以上高いので、縦置きであると判断することができる。無線機器は、この結果を元に、実際の動作環境では自動的に縦置き時のデータテーブルを参照し、第1温度センサ8の測定温度を監視することで、等価的に第1回路5および第2回路6の温度を測定することができる。
【0029】
これに対し、設置方向が平置きの場合は、第1温度センサおよび第2温度センサの温度と、第1回路および第2回路の温度の関係は上記と異なる。図11は、機器平置き設置時の第1温度センサと、第2温度センサと、第1回路と、第2回路の測定温度をグラフにした図である。第2温度センサ9の温度は、第1温度センサ8よりも1℃高く、また、第1回路5の温度は、第1温度センサ8よりも10℃高く、第2回路6の温度は、第1温度センサ8よりも9℃高いとする。無線機器は、このような平置き時の第1温度センサ8および第2温度センサ9の測定温度と、第1回路5および第2回路6の温度の関係をデータテーブルに格納しておき、データテーブルを参照することで、1つの温度センサの測定温度から、他の部位である第1回路5および第2回路6の温度を等価的に知ることができる。
【0030】
この時、機器設置方向を識別するための第1温度センサ8と第2温度センサ9の温度差を、5℃以上で縦置きと判定するように設定したならば、第1温度センサ8の温度よりも、第2温度センサ9の温度が5℃以上高くはないので、縦置きであると判断することができる。無線機器は、この結果を元に、実際の動作環境では自動的に縦置き時のデータテーブルを参照し、第1温度センサ8の測定温度を監視することで、等価的に第1回路5および第2回路6の温度を測定することができる。
【0031】
図12は、本発明の第2の実施形態に係る等価温度測定システムが適用される機器の動作を説明するフローチャートである。なお、温度情報は、機器製造の初期の段階で、予め収集されているものとする。すなわち、縦置き、および平置き毎に、各温度センサと各部位(回路)の温度の関係を実測定して、データテーブルを作成し、作成されたデータテーブルが機器の記憶部に予め記録されているものとする。データテーブルは、複数台の機器で得たデータを平均化して作成してもよい。また、同じ機器であれば、同一のデータテーブルを各機器に記録させてもよい。
【0032】
まず、第1温度センサ8と第2温度センサ9の温度差を求める(ステップS201)。次に、求めた温度差が予め指定した値(設定値)よりも大きいか否かを判定する(ステップS202)。温度差が設定値よりも大きい場合(ステップS202でYesの場合)は、縦置き設置時の温度データテーブルを選択する(ステップS203)。次に、第1温度センサ8より温度情報を収集する(ステップS204)。縦置き温度データテーブルの情報と、第1温度センサ8の温度情報から、各部位の等価温度を求める(ステップS205)。各部位の等価温度情報を元に、各部位の温度補償を行う(ステップS206)。そして、ステップS201に戻る。
【0033】
S202にて温度差が設定値以下の場合(Noの場合)は、平置き設置時の温度データテーブルを選択する(ステップS207)。次に、第1温度センサ8より温度情報を収集する(ステップS208)。平置き温度データテーブルの情報と、第1温度センサ8の温度情報から、各部位の等価温度を求める(ステップS209)。各部位の等価温度情報を元に、各部位の温度補償を行う(ステップS210)。そして、ステップS201に戻る。このようにして、第1温度センサ8と第2温度センサ9から求めた設置向き情報と、第1温度センサ8の温度情報は、周期的に監視され、最新情報に更新される。
【0034】
上述のように、本発明の第2の実施形態に係る無線機器は、2個の温度センサを搭載し、2個の温度センサで機器の設置方向を把握することで設置方向に最適なデータテーブルを選択し、データテーブルから各部位(被測定ポイント)の温度を測定するので、温度の測定精度を向上させることができ、より精密な温度補償を可能にする。
【符号の説明】
【0035】
1 筐体
2 回路基板
3 温度センサ
4 傾斜センサ
5 第1回路
6 第2回路
7 発熱部
8 第1温度センサ
9 第2温度センサ
10 記憶部
11 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定位置の温度を等価的に測定する等価温度測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線機器などのアナログ回路では温度によって特性が変化するので、温度に対する特性の補正を行う必要がある。温度に対する特性の補正を行うには、温度によって特性が変化する回路部分の温度を正確に測定することが必要である。そのために、無線機器内部に温度センサを備えることが考えられる。
【0003】
特許文献1には、無線機器内部に温度センサを備え、内部ファンを常時動作させて空気を循環させることにより内部の温度偏差を軽減させた状態で、温度センサで内部温度を測定する装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−284129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、機器内部の空気を、ファンなどで強制循環させる機能がない場合は、回路基板(機器)の設置向きによって機器内部の温度対流方向が変わる。これにより、機器内部の上の方となる部分が温まりやすくなったり、発熱部の上部に位置する被測定ポイントの温度が上昇することになり、機器の設置方向で内部の温度環境が変化することとなる。よって、機器内部に温度センサを備えるだけでは、機器の設置角度によっては正確な温度を測定できない問題が発生する。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、機器を任意の向きに設置しても、あるいは機器の設置方向を変更しても温度の測定精度を向上させることのできる等価温度測定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の等価温度測定システムは、装置本体の置き位置状態を検知するための置き位置状態検知部と、前記装置内の温度を測定する温度センサと、予め前記装置本体の置き位置状態毎に被測定ポイントと前記温度センサとの間の温度差を実測定して作成した補正テーブルを記録する記憶部と、前記置き位置状態検知部からの情報に基づいて、前記記憶部から前記装置本体の置き位置状態に対応した補正テーブルを取得し、取得した補正テーブルと前記温度センサから取得した温度情報から、前記被測定ポイントの等価温度を測定する制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
前記置き位置状態検知部は、傾斜センサであることが好ましい。または、前記置き位置検状態知部は、前記装置内の温度を測定する2個の温度センサであることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、機器を任意の向きに設置しても、あるいは機器の設置方向を変更しても、設置状態に最適な補正テーブルを選択して、補正テーブルから各部位(被測定ポイント)の温度を測定するので、温度の測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る等価温度測定システムの構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る等価温度測定システムが適用される無線機器の機器構造例と機器縦置き設置時の温度対流状態を示す図である。
【図3】機器逆さ置き設置時の温度対流状態を示す図である。
【図4】機器縦置き設置時の温度センサと、第1回路と、第2回路の測定温度をグラフにした図である。
【図5】機器逆さ置き設置時の温度センサと、第1回路と、第2回路の測定温度をグラフにした図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る等価温度測定システムが適用される機器の動作を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る等価温度測定システムの構成を示す図である。
【図8】第2の実施形態に係る等価温度測定システムが適用される無線機器の機器構造例と機器縦置き設置時の温度対流状態を示す図である。
【図9】機器平置き設置時の温度対流状態を示す図である。
【図10】機器縦置き設置時の第1温度センサと、第2温度センサと、第1回路と、第2回路の測定温度をグラフにした図である。
【図11】機器平置き設置時の第1温度センサと、第2温度センサと、第1回路と、第2回路の測定温度をグラフにした図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る等価温度測定システムが適用される機器の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を、密閉された構造の無線機器(または単に機器という)を例に以下に説明する。本発明の等価温度測定システムは、密閉または密閉に近い構造の電子機器全般(無線機器、テレビ、ステレオ、パソコンなど)に適用が可能である。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る等価温度測定システムの構成を示す図である。第1の実施形態に係る等価温度測定システム(無線機器)は、温度センサ3と、傾斜センサ4(置き位置状態検知部)と、記憶部10と、制御部11とを備えている。温度センサ3は、無線機器内部の所定位置の温度を測定し、傾斜センサ4は、無線機器の置き位置状態(傾斜)を検知する。傾斜センサ4は、無線機器の置き位置状態を検知する置き位置状態検知部を構成する。記憶部10は、機器の傾斜毎に、温度センサが検知した温度と各部位(被測定ポイント)との間の温度差を実測定して作成したデータテーブル(補正テーブル)を保持する。制御部11は、傾斜センサ4から機器の設置角度の情報を取得し、記憶部10から設置角度に対応したデータテーブルを選択し、選択されたデータテーブルの情報と温度センサ3から取得した温度情報から、各部位(被測定ポイント)の等価温度を測定する。なお、等価温度は、無線機器内の各部位で予想される温度である。
【0013】
図2は、第1の実施形態に係る等価温度測定システムが適用される無線機器の機器構造例と機器縦置き設置時の温度対流状態を示す図である。図2(a)は正面図を示し、図2(b)は側面図を示す。機器筺体1の中には温度補正が必要な回路基板2が装備されている。回路基板2には、温度センサ3と傾斜センサ4が実装されており、また、回路基板2の中には、等価温度測定の対象となる(温度補償の対象となる)第1回路5および第2回路6と、特に発熱量の多い回路として発熱部7がある。なお、温度センサ3と傾斜センサ4は、基板上の任意の位置に実装して良い。第1回路5と第2回路6は、説明を容易にするために発熱部7の上に第1回路5が配置され、発熱部7の下に第2回路6が配置させる例としている。傾斜センサ4は、現在の無線機器の置き位置状態が縦置きであることを検知することができる。
【0014】
図3は、機器逆さ置き設置時の温度対流状態を示す図である。図3(a)は正面図を示し、図3(b)は側面図を示す。説明を容易にするため逆さ設置状態の例で説明する。構造は図1と全く同じである。この場合は、発熱部7の上に第2回路6が配置され、発熱部7の下に第1回路5が配置されることとなる。傾斜センサ4は、現在の無線機器の置き位置状態が逆さ置きであることを検知することができる。
【0015】
筐体1の内部に、空気を強制的に循環させるファンなどが無い場合は、筐体内で発生した熱は、空気の熱対流を起こし、設置状態の筐体内部の上部部位に高温の熱が流れてゆく。これによって、設置状態の筐体内部の上部部位は、他の部位に比べ高温になりやすい。よって、縦置き時には第1回路5は第2回路6よりも高温になりやすく、逆さ置き時には第2回路6は第1回路5よりも高温になりやすい。図2および図3の例では、発熱量の多い回路としての発熱部7があるが、これが無いとしても筐体内部で発生する熱は、対流によって筐体内部の上部に集中することになる。
【0016】
図4は、機器縦置き設置時の温度センサと、第1回路と、第2回路の測定温度をグラフにした図である。第1回路5の温度は温度センサ3よりも5℃高く、第2回路6の温度は温度センサ3よりも5℃低いとする。無線機器は、この結果を元に、実際の動作環境では温度センサ3の測定温度を監視することで、等価的に第1回路5および第2回路6の温度を知ることができる。すなわち、無線機器は、このような縦置き時の温度センサの測定温度と、第1回路および第2回路の温度の関係をデータテーブルに格納しておき、データテーブルを参照することで、1つの温度センサの測定温度から、他の部位である第1回路および第2回路の温度を等価的に知ることができる。
【0017】
これに対し、設置方向が逆さ置きの場合は、温度センサの温度と、第1回路および第2回路の温度の関係は上記と異なる。図5は、機器逆さ置き設置時の温度センサと、第1回路と、第2回路の測定温度をグラフにした図である。第1回路5の温度は温度センサ3よりも5℃低く、第2回路6の温度は温度センサ3よりも5℃高いとする。無線機器は、このような逆さ置き時の温度センサの測定温度と、第1回路および第2回路の温度の関係もデータテーブルに格納しておく。本発明の第1の実施形態に係る無線機器は、回路基板2に傾斜センサ4を搭載しているので、現状の設置状態を機器が把握することができる。これにより、設置方向に合わせた適切な温度データテーブルを参照することで、1つの温度センサの測定温度から、他の部位である第1回路および第2回路の温度を等価的に知ることができる。
【0018】
また、上述した実施の形態では、縦置きと、逆さ置きを例に説明したが、傾斜センサは、3次元方向の傾斜を知ることができるので、設置角度を細分化した(例えば45°の8ステップ)データテーブルを用意することによって更に精密な補正が可能である。
また、傾斜センサが測定した角度が45°ステップの中間である場合、例えば22°などの場合は、データテーブル上の0°の等価測定温度と、45°の等価測定温度を直線補間的に求めることで更に精度を上げることができる。
【0019】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る等価温度測定システムが適用される機器の動作を説明するフローチャートである。なお、温度情報は、機器製造の初期の段階で、予め収集されているものとする。すなわち、傾斜毎に、温度センサが検知した温度と各部位(回路)の温度の関係を実測定して、データテーブルを作成し、作成されたデータテーブルが機器の記憶部に予め記録されているものとする。データテーブルは、複数台の機器で得たデータを平均化して作成してもよい。また、同じ機器であれば、同一のデータテーブルを各機器に記録させてもよい。
【0020】
まず、傾斜センサにより、機器の現在の設置角度を求める(ステップS101)。これによって、現在の設置角度に対応したデータテーブルを選択する(ステップS102)。次に、温度センサより温度情報を収集する(ステップS103)。角度情報から選択されたデータテーブルの情報と、温度センサの温度情報から、各部位の等価温度を測定する(ステップS104)。各部位の等価温度情報を元に、各部位の温度補償を行う(ステップS105)。そして、ステップS101に戻る。このようにして、傾斜センサによる設置角度情報と、温度センサの温度情報は、周期的に監視され、最新情報に更新される。
【0021】
上述のように、本発明の第1の実施形態に係る無線機器は、傾斜センサを搭載し、機器の設置角度を把握することで設置角度に最適なデータテーブルを選択し、データテーブルから各部位(被測定ポイント)の温度を測定するので、温度の測定精度を向上させることができ、より精密な温度補償を可能にする。
また、本発明の第1の実施形態に係る無線機器は、各部位毎に温度センサを備えることなく、1個の温度センサで各部位の温度を等価測定することができるので、回路コストを増加させることなく、また、回路実装面積を増やすことなく、等価温度測定の精度を改善することができる。
【0022】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る等価温度測定システムの構成を示す図である。第2の実施形態に係る等価温度測定システムは、第1温度センサ8と、第2温度センサ9と、記憶部10と、制御部11とを備えている。第1温度センサ8は、無線機器内部の所定位置の温度を測定し、第2温度センサ9は、第1温度センサ8とは離れた位置の温度を測定する。第1温度センサ8と第2温度センサ9は、無線機器の置き位置状態を検知する置き位置状態検知部を構成する。記憶部10は、機器の設置方向毎に、温度センサと各回路(被測定ポイント)との間の温度差を実測定して作成したデータテーブル(補正テーブル)を保持する。制御部11は、第1温度センサ8と第2温度センサ9とから温度情報を取得し、温度差から機器の設置方向を取得し、記憶部10から設置方向に対応したデータテーブルを選択し、選択されたデータテーブルの情報と第1温度センサ8から取得した温度情報から、各回路(被測定ポイント)の等価温度を測定する。
【0023】
図8は、第2の実施形態に係る等価温度測定システムが適用される無線機器の機器構造例と機器縦置き設置時の温度対流状態を示す図である。図8(a)は正面図を示し、図8(b)は側面図を示す。機器筺体1の中には温度補正が必要な回路基板2が装備されている。回路基板2には、第1温度センサ8と第2温度センサ9が実装されており、また、回路基板2の中には、等価温度測定を行いたい(温度補償を行いたい)第1回路5および第2回路6と、特に発熱量の多い回路として発熱部7がある。第1温度センサ8は、回路基板上の複数の被測定ポイントの温度を1つの温度センサで等価的に測定するために使用する。第2温度センサ9は、第1温度センサ8との温度差を監視するために使用する。第1温度センサ8と第2温度センサ9は、距離を離して実装する。機器の設置方向によって2つのセンサの温度差が大きく変化するように実装することが望ましい。また、第1回路5と第2回路6は、説明を容易にするために発熱部7の上に第1回路5が配置され、発熱部7の下に第2回路6が配置させる例としている。
【0024】
図9は、機器平置き設置時の温度対流状態を示す図である。図9(a)は正面図を示し、図9(b)は側面図を示す。構造は図8と全く同じであり、設置方向のみを変えている。
【0025】
図8の例のように、機器縦置き設置時には、第1温度センサ8より第2温度センサ9が上部に位置するため、第2温度センサ9が高温となり、図9の例のように、機器平置き設置時には、基板全体をまんべんなく温めることになるため、第1温度センサ8と第2温度センサ9との温度差がほぼ無い状態となる。
【0026】
筐体1の内部に、空気を強制的に循環させるファンなどが無い場合は、筐体内で発生した熱は、空気の熱対流を起こし、筐体内部の上部部位に高温の熱が流れてゆく。これによって、筐体内部の上部部位は、他の部位に比べ高温になりやすい。よって、縦置き時には第1回路5は第2回路6よりも高温になりやすい。図8の例では、発熱量の多い回路としての発熱部7があるが、これが無いとしても筐体内部で発生する熱は、対流によって筐体内部の上部に集中することになる。これにより、縦置き時には第1温度センサ8より第2温度センサ9が高温となる。この状況は、平置き時の第1温度センサ8と第2温度センサ9との温度差より明らかに温度差が発生する。したがって、第1温度センサ8よりも第2温度センサ9の測定温度が、予め指定した温度差(設定値)より大きい場合は、現在の無線機器の設置状態が縦置きであると認識することができる。第1温度センサ8と第2温度センサ9の測定温度差が、予め指定した温度差(設定値)以下の場合は、現在の無線機器の設置状態が平置きであると認識することができる。
【0027】
図10は、機器縦置き設置時の第1温度センサと、第2温度センサと、第1回路と、第2回路の測定温度をグラフにした図である。第2温度センサ9の温度は、第1温度センサ8よりも15℃高く、また、第1回路5の温度は、第1温度センサ8よりも20℃高く、第2回路6の温度は、第1温度センサ8よりも2℃高いとする。無線機器は、このような縦置き時の第1温度センサ8および第2温度センサ9の測定温度と、第1回路5および第2回路6の温度の関係をデータテーブルに格納しておき、データテーブルを参照することで、1つの温度センサの測定温度から、他の部位である第1回路5および第2回路6の温度を等価的に知ることができる。
【0028】
この時、機器設置方向を識別するための第1温度センサ8と第2温度センサ9の温度差を、5℃以上で縦置きと判定するように設定したならば、第1温度センサ8の温度よりも、第2温度センサ9の温度が5℃以上高いので、縦置きであると判断することができる。無線機器は、この結果を元に、実際の動作環境では自動的に縦置き時のデータテーブルを参照し、第1温度センサ8の測定温度を監視することで、等価的に第1回路5および第2回路6の温度を測定することができる。
【0029】
これに対し、設置方向が平置きの場合は、第1温度センサおよび第2温度センサの温度と、第1回路および第2回路の温度の関係は上記と異なる。図11は、機器平置き設置時の第1温度センサと、第2温度センサと、第1回路と、第2回路の測定温度をグラフにした図である。第2温度センサ9の温度は、第1温度センサ8よりも1℃高く、また、第1回路5の温度は、第1温度センサ8よりも10℃高く、第2回路6の温度は、第1温度センサ8よりも9℃高いとする。無線機器は、このような平置き時の第1温度センサ8および第2温度センサ9の測定温度と、第1回路5および第2回路6の温度の関係をデータテーブルに格納しておき、データテーブルを参照することで、1つの温度センサの測定温度から、他の部位である第1回路5および第2回路6の温度を等価的に知ることができる。
【0030】
この時、機器設置方向を識別するための第1温度センサ8と第2温度センサ9の温度差を、5℃以上で縦置きと判定するように設定したならば、第1温度センサ8の温度よりも、第2温度センサ9の温度が5℃以上高くはないので、縦置きであると判断することができる。無線機器は、この結果を元に、実際の動作環境では自動的に縦置き時のデータテーブルを参照し、第1温度センサ8の測定温度を監視することで、等価的に第1回路5および第2回路6の温度を測定することができる。
【0031】
図12は、本発明の第2の実施形態に係る等価温度測定システムが適用される機器の動作を説明するフローチャートである。なお、温度情報は、機器製造の初期の段階で、予め収集されているものとする。すなわち、縦置き、および平置き毎に、各温度センサと各部位(回路)の温度の関係を実測定して、データテーブルを作成し、作成されたデータテーブルが機器の記憶部に予め記録されているものとする。データテーブルは、複数台の機器で得たデータを平均化して作成してもよい。また、同じ機器であれば、同一のデータテーブルを各機器に記録させてもよい。
【0032】
まず、第1温度センサ8と第2温度センサ9の温度差を求める(ステップS201)。次に、求めた温度差が予め指定した値(設定値)よりも大きいか否かを判定する(ステップS202)。温度差が設定値よりも大きい場合(ステップS202でYesの場合)は、縦置き設置時の温度データテーブルを選択する(ステップS203)。次に、第1温度センサ8より温度情報を収集する(ステップS204)。縦置き温度データテーブルの情報と、第1温度センサ8の温度情報から、各部位の等価温度を求める(ステップS205)。各部位の等価温度情報を元に、各部位の温度補償を行う(ステップS206)。そして、ステップS201に戻る。
【0033】
S202にて温度差が設定値以下の場合(Noの場合)は、平置き設置時の温度データテーブルを選択する(ステップS207)。次に、第1温度センサ8より温度情報を収集する(ステップS208)。平置き温度データテーブルの情報と、第1温度センサ8の温度情報から、各部位の等価温度を求める(ステップS209)。各部位の等価温度情報を元に、各部位の温度補償を行う(ステップS210)。そして、ステップS201に戻る。このようにして、第1温度センサ8と第2温度センサ9から求めた設置向き情報と、第1温度センサ8の温度情報は、周期的に監視され、最新情報に更新される。
【0034】
上述のように、本発明の第2の実施形態に係る無線機器は、2個の温度センサを搭載し、2個の温度センサで機器の設置方向を把握することで設置方向に最適なデータテーブルを選択し、データテーブルから各部位(被測定ポイント)の温度を測定するので、温度の測定精度を向上させることができ、より精密な温度補償を可能にする。
【符号の説明】
【0035】
1 筐体
2 回路基板
3 温度センサ
4 傾斜センサ
5 第1回路
6 第2回路
7 発熱部
8 第1温度センサ
9 第2温度センサ
10 記憶部
11 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の置き位置状態を検知するための置き位置状態検知部と、
前記装置内の温度を測定する温度センサと、
予め前記装置本体の置き位置状態毎に被測定ポイントと前記温度センサとの間の温度差を実測定して作成した補正テーブルを記録する記憶部と、
前記置き位置状態検知部からの情報に基づいて、前記記憶部から前記装置本体の置き位置状態に対応した補正テーブルを取得し、取得した補正テーブルと前記温度センサから取得した温度情報から、前記被測定ポイントの等価温度を測定する制御部と、
を備えることを特徴とする等価温度測定システム。
【請求項2】
前記置き位置状態検知部は、傾斜センサであることを特徴とする請求項1に記載の等価温度測定システム。
【請求項3】
前記置き位置検状態知部は、前記装置内の温度を測定する2個の温度センサであることを特徴とする請求項1に記載の等価温度測定システム。
【請求項1】
装置本体の置き位置状態を検知するための置き位置状態検知部と、
前記装置内の温度を測定する温度センサと、
予め前記装置本体の置き位置状態毎に被測定ポイントと前記温度センサとの間の温度差を実測定して作成した補正テーブルを記録する記憶部と、
前記置き位置状態検知部からの情報に基づいて、前記記憶部から前記装置本体の置き位置状態に対応した補正テーブルを取得し、取得した補正テーブルと前記温度センサから取得した温度情報から、前記被測定ポイントの等価温度を測定する制御部と、
を備えることを特徴とする等価温度測定システム。
【請求項2】
前記置き位置状態検知部は、傾斜センサであることを特徴とする請求項1に記載の等価温度測定システム。
【請求項3】
前記置き位置検状態知部は、前記装置内の温度を測定する2個の温度センサであることを特徴とする請求項1に記載の等価温度測定システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−233835(P2012−233835A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104017(P2011−104017)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
[ Back to top ]