説明

等化器

【課題】タップ数の増加を抑制しながらも、さまざまな特性の再生信号を等化処理する技術を提供する。
【解決手段】遅延部40は、第1サンプリング信号を遅延させて、第2サンプリング信号を順次生成する。平均部42は、第2サンプリング信号と第1サンプリング信号とを平均して、第3サンプリング信号を順次生成する。トランスバーサルフィルタ部46は、第3サンプリング信号を多段遅延タップにて順次遅延させる手段と、多段遅延タップのうちの周期的に選択した一部の遅延タップからの出力信号と、当該一部の遅延タップにそれぞれ対応したタップ係数とをもとにフィルタ処理を実行する手段とを含む。遅延部40は、トランスバーサルフィルタ部46において、多段遅延タップのうちの一部の遅延タップが選択される周期に対応した期間よりも短い期間にわたって、第1サンプリング信号を遅延する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、等化器に関し、特にトランスバーサルフィルタによって等化処理を実行する等化器に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク等の記録媒体に高密度記録されたランレングス制限符号を再生するための情報信号再生装置では、再生信号の波形歪を低減するために、パーシャルレスポンス(以下、「PR」ともいう)等化特性を有した波形等化回路が従来より使用されている。記録媒体の高密度化が進むにつれて、パーシャルレスポンスの次数が高くなり、波形等化回路としてのトランスバーサルフィルタのタップ数は増大する傾向にある。このようなトランスバーサルフィルタの各タップ係数を適応的に決定するために、理想波形に対する等化後信号の誤差と、各タップへの入力信号との相関処理が実行される。そのため、乗算器やフィルタ処理が多用されることによって、回路規模が大きくなる。
【0003】
結果として、LSI(Large Scale Integration)等のコスト・消費電力が増加される。これに対応するために、例えば、トランスバーサルフィルタに含まれた複数のタップのうち、偶数番目のタップあるいは奇数番目のタップのみが使用される(例えば、特許文献1参照)。また、任意のひとつのタップに対するタップ係数をもとにして、その他のタップ係数が制限される。また、これらの課題は、高密度記録された光ディスク等の記録媒体からの再生信号に限定されるものではなく、伝送媒体の周波数特性によって、伝送された信号の高域成分が減衰してしまう場合でも生ずる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−6989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
再生信号の特性によっては、PR等化するためのトランスバーサルフィルタとして、偶数番目のタップあるいは奇数番目のタップのみを使用すれば、等化特性が悪化する場合が存在する。このような再生信号の特性は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blu−ray Disc)、HD−DVD(High Definition DVD)のような光ディスクの種類によって異なる。また、最近は、複数種類の媒体を再生するための情報信号再生装置が望まれている。その際、PR等化処理等を共用化するような設計をした方が回路規模を削減できるが、複数種類の媒体の中で、前述したタップの削減に適さない再生信号の特性が存在すると、情報信号再生装置は、最大のタップ数を用意しなければならない。その結果、情報信号再生装置の回路規模が大きいまま、LSI等のコスト・消費電力を圧迫してしまう。そのため、再生信号の特性がさまざまであっても、タップ数を削減可能な情報信号再生装置が望まれている。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、タップ数の増加を抑制しながらも、さまざまな特性の再生信号を等化処理する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の等化器は、処理対象の信号が所定のクロックでサンプリングされることによって生成された第1サンプリング信号を順次入力する入力部と、入力部において入力した第1サンプリング信号を遅延させて、第2サンプリング信号を順次生成する遅延部と、遅延部において生成した第2サンプリング信号と、入力部において入力した第1サンプリング信号とを平均して、第3サンプリング信号を順次生成する平均部と、平均部において生成した第3サンプリング信号を多段遅延タップにて順次遅延させる手段と、多段遅延タップのうちの周期的に選択した一部の遅延タップからの出力信号と、当該一部の遅延タップにそれぞれ対応したタップ係数とをもとにフィルタ処理を実行する手段と、フィルタ処理の実行結果をもとに、一部の遅延タップにそれぞれ対応したタップ係数を導出する手段とを含むトランスバーサルフィルタ部とを備える。遅延部は、トランスバーサルフィルタ部において、多段遅延タップのうちの一部の遅延タップが選択される周期に対応した期間よりも短い期間にわたって、第1サンプリング信号を遅延する。
【0008】
この態様によると、隣接したタイミングのサンプリング信号を平均した信号に対して、フィルタ処理を実行するので、一部のタップのみを使用する場合であっても、当該タップでのタップ係数を大きくできる。
【0009】
入力部において入力した第1サンプリング信号と、平均部において生成した第3サンプリング信号のうちの一方を選択し、選択した信号をトランスバーサルフィルタ部の多段遅延タップに入力させる選択部と、選択部に、第1サンプリング信号と第3サンプリング信号のうちの一方を選択させるための指示を出力する指示部とをさらに備えてもよい。指示部は、処理対象の信号が記録されたディスクの種類を特定する手段と、ディスクの種類と選択の内容との関連を予め規定し、特定したディスクの種類に対応した選択の内容を特定する手段とを含んでもよい。この場合、ディスクの種類に応じて、フィルタ処理に使用すべきサンプリング信号を選択するので、タップ数の増加を抑制しながらも、さまざまな特性の再生信号を等化処理できる。
【0010】
入力部において入力した第1サンプリング信号と、平均部において生成した第3サンプリング信号のうちの一方を選択し、選択した信号をトランスバーサルフィルタ部の多段遅延タップに入力させる選択部と、選択部に、第1サンプリング信号と第3サンプリング信号のうちの一方を選択させるための指示を出力する指示部とをさらに備えてもよい。指示部は、トランスバーサルフィルタ部において導出したタップ係数の大きさがしきい値よりも小さい場合に、選択の内容を変更してもよい。この場合、フィルタ処理に使用すべきサンプリング信号が適していなければ、別のサンプリング信号に変更するので、タップ数の増加を抑制しながらも、さまざまな特性の再生信号を等化処理できる。
【0011】
本発明の別の態様もまた、等化器である。この等化器は、処理対象の信号が所定のクロックでサンプリングされることによって生成された第1サンプリング信号を順次入力する入力部と、入力部において入力した第1サンプリング信号を、互いに異なったタイミングで、かつ同一の周期の第2サンプリング信号と第3サンプリング信号とに分離する分離部と、分離部において分離した第3サンプリング信号を遅延させた後、遅延した第3サンプリング信号と、分離部において分離した第2サンプリング信号とを平均して、第4サンプリング信号を生成する第1平均部と、分離部において分離した第2サンプリング信号と第3サンプリング信号とを平均して、第5サンプリング信号を生成する第2平均部と、第1平均部において生成した第4サンプリング信号を多段遅延タップにて順次遅延させる手段と、各遅延タップからの出力信号と、各遅延タップに対応したタップ係数とをもとにフィルタ処理を実行する手段と、フィルタ処理の実行結果をもとにタップ係数を導出する手段とを含む第1トランスバーサルフィルタ部と、第2平均部において生成した第5サンプリング信号を多段遅延タップにて順次遅延させる手段と、各遅延タップからの出力信号と、各遅延タップに対応したタップ係数とをもとにフィルタ処理を実行する手段と、フィルタ処理の実行結果をもとにタップ係数を導出する手段とを含む第2トランスバーサルフィルタ部とを備える。第1平均部は、第1トランスバーサルフィルタ部における遅延タップの周期に対応した期間よりも短い期間にわたって、第3サンプリング信号を遅延する。
【0012】
この態様によると、隣接したタイミングのサンプリング信号を平均した信号に対して、フィルタ処理を実行するので、一部のタップのみを使用する場合であっても、当該タップでのタップ係数を大きくできる。
【0013】
分離部において分離した第2サンプリング信号と、第1平均部において生成した第4サンプリング信号のうちの一方を選択し、選択した信号を第1トランスバーサルフィルタ部の多段遅延タップに入力させる第1選択部と、分離部において分離した第3サンプリング信号と、第2平均部において生成した第5サンプリング信号のうちの一方を選択し、選択した信号を第2トランスバーサルフィルタ部の多段遅延タップに入力させる第2選択部と、第1選択部に、第2サンプリング信号と第4サンプリング信号のうちの一方を選択させるとともに、第2選択部に、第3サンプリング信号と第5サンプリング信号のうちの一方を選択させるための指示を出力する指示部とをさらに備えてもよい。指示部は、処理対象の信号が記録されたディスクの種類を特定する手段と、ディスクの種類と選択の内容との関連を予め規定し、特定したディスクの種類に対応した選択の内容を特定する手段とを含んでもよい。この場合、ディスクの種類に応じて、フィルタ処理に使用すべきサンプリング信号を選択するので、タップ数の増加を抑制しながらも、さまざまな特性の再生信号を等化処理できる。
【0014】
分離部において分離した第2サンプリング信号と、第1平均部において生成した第4サンプリング信号のうちの一方を選択し、選択した信号を第1トランスバーサルフィルタ部の多段遅延タップに入力させる第1選択部と、分離部において分離した第3サンプリング信号と、第2平均部において生成した第5サンプリング信号のうちの一方を選択し、選択した信号を第2トランスバーサルフィルタ部の多段遅延タップに入力させる第2選択部と、第1選択部に、第2サンプリング信号と第4サンプリング信号のうちの一方を選択させるとともに、第2選択部に、第3サンプリング信号と第5サンプリング信号のうちの一方を選択させるための指示を出力する指示部とをさらに備えてもよい。指示部は、第1トランスバーサルフィルタ部において導出したタップ係数の大きさ、あるいは第2トランスバーサルフィルタ部において導出したタップ係数の大きさがしきい値よりも小さい場合に、選択の内容を変更してもよい。この場合、フィルタ処理に使用すべきサンプリング信号が適していなければ、別のサンプリング信号に変更するので、タップ数の増加を抑制しながらも、さまざまな特性の再生信号を等化処理できる。
【0015】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、タップ数の増加を抑制しながらも、さまざまな特性の再生信号を等化処理できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例1に係る再生装置の構成を示す図である。
【図2】図1の記憶部に記憶されたテーブルのデータ構成を示す図である。
【図3】図1の適応等化回路の構成を示す図である。
【図4】図3の平均部の構成を示す図である。
【図5】図3の平均部における動作タイミングを示す図である。
【図6】図3のトランスバーサルフィルタ部の構成を示す図である。
【図7】図7(a)−(c)は、本発明の比較対象となるトランスバーサルフィルタ部におけるタップ係数を示す図である。
【図8】図8(a)−(c)は、図5のトランスバーサルフィルタ部におけるタップ係数を示す図である。
【図9】本発明の実施例2に係る指示部の構成を示す図である。
【図10】図9の指示部による指示手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施例3に係る適応等化回路の構成を示す図である。
【図12】図11の第1平均部の構成を示す図である。
【図13】図11のトランスバーサルフィルタ部の構成を示す図である。
【図14】図11の適応等化回路における動作タイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施例1)
本発明を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。本発明の実施例1は、光ディスク等の記録媒体に記録されている信号を再生し、再生した信号(以下、「再生信号」という)をトランスバーサルフィルタにてパーシャルレスポンス等化するとともに、等化した信号(以下、「等化信号」という)を復号する再生装置に関する。また、再生装置は、CD、DVD、BD、HD−DVDのようなさまざまな種類の光ディスクを再生の対象にする。ここで、再生装置は、回路規模の低減を目的として、前述のごとく、複数のサンプリングタイミングのうち、離散的に選択されたサンプリングタイミングのみにてタップ係数との乗算を実行する。つまり、再生装置は、偶数番目の遅延タップあるいは奇数番目の遅延タップのみを使用する。このような構成において、複数の種類の光ディスクによるさまざまな特性の再生信号を等化処理するために、再生装置は次の処理を実行する。
【0019】
再生装置は、複数の種類の光ディスクを予めふたつ以上のグループに分類する。再生すべき光ディスクがひとつのグループに相当する場合、再生装置は、これまでと同様に等化処理を実行する。つまり、当該グループは、離散的に選択されたサンプリングタイミングでのタップ係数がある程度大きくなるような場合に対応する。ここでは、このような動作を「第1モード」という。なお、離散的に選択されたサンプリングタイミングでのタップ係数の大きさは、光ディスクの種類に依存している。一方、再生すべき光ディスクが別のグループに相当する場合は、離散的に選択されたサンプリングタイミングでのタップ係数が小さくなる場合に対応する。その際、再生装置は、隣接したふたつのサンプリング信号を平均することによって、新たなサンプリング信号を生成し、生成したサンプリング信号に対して、これまでと同様に等化処理を実行する。新たなサンプリング信号は、もとのサンプリング信号とは異なったタイミングに対応する。そのため、離散的に選択されたサンプリングタイミングでのタップ係数がある程度大きくなる。ここでは、このような動作を「第2モード」という。
【0020】
図1は、本発明の実施例1に係る再生装置100の構成を示す。再生装置100は、光ディスク10、PDヘッドアンプ12、直流阻止回路14、A/D変換器16、適応等化回路18、復号回路20、ECC回路22、指示部24、制御部26を含む。また、指示部24は、第1特定部28、第2特定部30、記憶部32を含む。
【0021】
光ディスク10は、再生装置100に着脱可能に構成された記録媒体である。前述のごとく、光ディスク10は、CD、DVD、BD、HD−DVDのようなさまざまな種類に対応する。また、光ディスク10には、処理対象となる信号が、ランレングス制限符号化されることによって高密度記録されている。PDヘッドアンプ12は、光ディスク10から処理対象となる信号を読み出すとともに、これに対して光電変換および増幅を実行する。その結果の信号が、前述の「再生信号」に相当する。PDヘッドアンプ12は、再生信号を直流阻止回路14へ出力する。直流阻止回路14は、PDヘッドアンプ12からの再生信号の低域成分を阻止する。直流阻止回路14は、低域成分を阻止した再生信号を「再生信号」としてA/D変換器16へ出力する。
【0022】
A/D変換器16は、図示しないPLL(Phase Locked Loop)によって生成されるクロックをもとに、直流阻止回路14からの処理対象の信号をサンプリングすることによって、第1サンプリング信号を順次生成する。また、第1サンプリング信号には、図示しないAGC回路にて、振幅が一定になるような自動利得制御(AGC)がなされてもよい。A/D変換器16は、第1サンプリング信号を適応等化回路18へ出力する。適応等化回路18は、トランスバーサルフィルタ部を含むように構成されており、トランスバーサルフィルタ部にて第1サンプリング信号を等化処理する。その結果、PR特性が付与された信号が生成される。当該信号が、前述の等化信号に相当する。適応等化回路18は、等化信号を復号回路20へ出力する。なお、適応等化回路18での処理の詳細は後述する。
【0023】
復号回路20は、適応等化回路18からの等化信号に対してビタビ復号を実行する。ビタビ復号を実行するための回路構成は公知である。例えば、ビタビ復号回路は、等化信号のサンプル値からブランチメトリックを計算するブランチメトリック演算回路と、ブランチメトリックを1クロック毎に累積加算してパスメトリックを計算するパスメトリック演算回路と、パスメトリックが最小となるデータ系列を最も確からしいデータ系列として選択して記憶するパスメモリとを含む。パスメモリは、複数の候補系列を格納しており、パスメトリック演算回路からの選択信号にしたがって候補系列を選択する。また、選択された候補系列がデータ系列としてECC回路22へ出力される。ECC回路22は、復号回路20からのデータ系列中の誤り訂正符号を使用して、誤り訂正符号の生成要素の符号誤りを訂正し、誤りが低減されたデータ系列を出力する。
【0024】
第1特定部28は、処理対象の信号が記録された光ディスク10の種類を特定する。光ディスク10の種類の特定には、公知の技術が使用されればよい。例えば、光ディスク10に対してレーザを照射した後に、光ディスク10からのフォーカスのエラー信号を受けつけ、エラー信号の形状に応じて、第1特定部28は、光ディスク10を特定する。ここで、前述のごとく、第1特定部28は、光ディスク10の種類として、CD、DVD、BD、HD−DVDのうちのいずれかを特定する。第1特定部28は、特定結果を第2特定部30へ出力する。
【0025】
記憶部32は、光ディスク10の種類と、動作すべきモードとの関連を予め規定する。図2は、記憶部32に記憶されたテーブルのデータ構成を示す。図示のごとく、ディスク種類欄200、モード欄202とが含まれる。ディスク種類欄200には、第1特定部28において特定されうる複数種類の光ディスク10が示されている。一方、モード欄202には、各光ディスク10に対応した動作のモードが示されている。前述のごとく、第1モードと第2モードとが規定されている。また、第1モードおよび第2モードでの具体的な処理内容は後述する。
【0026】
第2特定部30は、第1特定部28での特定結果を受けつけると、記憶部32に記憶されたテーブルから、特定結果に対応したモードを特定する。例えば、特定結果が、CD、DVD、BDのいずれかであれば、第2特定部30は、第1モードを特定し、特定結果がHD−DVDであれば、第2特定部30は、第2モードを特定する。第2特定部30は、特定したモードを適応等化回路18へ出力する。制御部26は、再生装置100の動作タイミング等を制御する。
【0027】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0028】
図3は、適応等化回路18の構成を示す。適応等化回路18は、遅延部40、平均部42、選択部44、トランスバーサルフィルタ部46を含む。適応等化回路18には、図示しないA/D変換器16からの第1サンプリング信号が順次入力される。遅延部40は、入力した第1サンプリング信号を遅延させて、第2サンプリング信号を順次生成する。ここで、遅延部40には、第1サンプリング信号を1クロック分遅延させる。前述のごとく、後述のトランスバーサルフィルタ部46では、離散的に選択されたサンプリングタイミングのみにてタップ係数との乗算がなされている。ここでは、2クロック間隔で乗算されているものとする。そのため、遅延部40は、トランスバーサルフィルタ部46において、多段遅延タップのうちの一部の遅延タップが選択される周期(タップ係数の間隔)に対応した期間よりも短い期間にわたって、第1サンプリング信号を遅延するといえる。遅延部40は、第2サンプリング信号を平均部42へ順次出力する。
【0029】
平均部42は、第1サンプリング信号を入力するとともに、遅延部40において生成した第2サンプリング信号も入力する。平均部42は、第1サンプリング信号と第2サンプリング信号とを平均して、第3サンプリング信号を順次生成する。平均部42は、第3サンプリング信号を選択部44へ出力する。図4は、平均部42の構成を示す。平均部42は、加算器50、1/2計算部52を含む。加算器50は、第1のサンプリング信号と第2のサンプリング信号とを加算する。1/2計算部52は、加算器50での加算結果を1/2にする。なお、加算結果はデジタル値であるので、1/2計算部52は、ビットシフト等を実行してもよい。図6は、平均部42における動作タイミングを示す。最上段が第1サンプリング信号を示し、中段が第2サンプリング信号を示す。また、平均部42において生成された第3サンプリング信号が最下段に示される。図3に戻る。
【0030】
選択部44は、第1サンプリング信号を入力するとともに、平均部42において生成した第3サンプリング信号も入力する。さらに、選択部44は、図示しない第2特定部30において特定したモードに関する指示も入力する。選択部44は、モードに関する指示に応じて、第1サンプリング信号と第3サンプリング信号のうちの一方を選択する。モードに関する指示が第1モードを示している場合、選択部44は、第1サンプリング信号を選択し、モードに関する指示が第2モードを示している場合、選択部44は、第3サンプリング信号を選択する。そのため、モードに関する指示は、第1サンプリング信号と第3サンプリング信号のうちの一方を選択させるための指示ともいえる。選択部44は、選択した方を第4サンプリング信号としてトランスバーサルフィルタ部46へ出力する。
【0031】
トランスバーサルフィルタ部46は、選択部44からの第4サンプリング信号を入力する。トランスバーサルフィルタ部46は、多段遅延タップを含み、当該多段遅延タップにて第4サンプリング信号を順次遅延させる。ここで、遅延タップ間の時間間隔は、クロックタイミングに合わされている。また、トランスバーサルフィルタ部46は、多段遅延タップのうちの偶数番目、もしくは奇数番目の遅延タップからの出力信号と、それらの遅延タップに対応したタップ係数とを乗算し、かつ乗算結果を加算する。つまり、トランスバーサルフィルタ部46は、多段遅延タップのうちの周期的に選択した一部の遅延タップからの出力信号と、当該一部の遅延タップにそれぞれ対応したタップ係数とをもとにフィルタ処理を実行する。トランスバーサルフィルタ部46は、フィルタ処理の結果を等化信号として出力する。さらに、トランスバーサルフィルタ部46は、等化信号をもとに、一部の遅延タップにそれぞれ対応したタップ係数を導出する。タップ係数の導出には、例えば、LMS(Least Mean Square)アルゴリズムのような適応アルゴリズムが使用される。
【0032】
図6は、トランスバーサルフィルタ部46の構成を示す。トランスバーサルフィルタ部46は、FF60と総称される第1FF60a、第2FF60b、第3FF60c、第4FF60d、乗算器62と総称される第1乗算器62a、第2乗算器62b、第3乗算器62c、加算器64、仮判別器66、係数更新部68を含む。
【0033】
FF60は、前述の多段遅延タップを構成する。具体的に説明すると、第1FF60aは、第4サンプリング信号を入力し、遅延後、第4サンプリング信号を出力する。第2FF60bは、第1FF60aからの第4サンプリング信号を入力し、遅延後、第4サンプリング信号を出力する。第3FF60c、第4FF60dは、第2FF60bにシリアルに接続され、同様の処理を実行する。FF60への入力部分と出力部分が遅延タップに相当しており、4つのFF60が存在することは、5つの遅延タップが存在することに相当する。
【0034】
なお、各FF60の遅延時間は、前述のごとく、システムクロック、つまりビットクロックのタイミングに設定されているので、各FF60は、第4サンプリング信号を1ビットクロックずつ順次遅延させる。また、多段遅延タップの一部が制御部26へ信号を出力しており、それらが前述の出力信号に相当する。具体的には、第1FF60aへの入力、第2FF60bからの出力、第4FF60dからの出力が、出力信号に相当する。ここでは、第1FF60aへの入力、第2FF60bからの出力、第4FF60dからの出力をそれぞれ「TD1」、「TD3」、「TD5」とする。これらの出力信号は、乗算器62へ出力されている。ここで、第1FF60a、第3FF60cからの出力は、次のFF60へ入力されるのみであり、乗算器62へ出力されていない。これは、前述の奇数番目の遅延タップのみ使用した場合に相当する。
【0035】
乗算器62は、FF60からの出力信号を入力するとともに、係数更新部68からのタップ係数も入力する。ここで、タップ係数は、出力信号に対応づけられており、「TD1」、「TD3」、「TD5」のそれぞれに対応したタップ係数は「Ka」、「Kb」、「Kc」とされる。乗算器62は、出力信号とタップ係数とを乗算する。そのため、第1乗算器62aは、TD1とKaとの乗算結果を出力し、第2乗算器62bは、TD3とKbとの乗算結果を出力し、第3乗算器62cは、TD5とKcとの乗算結果を出力する。なお、乗算結果の出力レベルが調節されてもよい。
【0036】
加算器64は、乗算器62からの乗算結果を加算する。加算結果が、前述の等化信号に相当する。加算器64は、等化信号を図示しない復号回路20へ出力するとともに、仮判別器66へも出力する。仮判別器66は、加算器64からの等化信号を入力する。仮判別器66は、等化信号を仮判別することによって、仮判別値を算出する。また、仮判別器66は、仮判別値と目標値との誤差を等化エラーとして係数更新部68へ出力する。係数更新部68は、仮判別器66からの等化エラーを入力するとともに、出力信号としてのTD1、TD3、TD5も入力する。また、係数更新部68は、等化エラーとTD1、TD3、TD5とをもとに、タップ係数Ka、Kb、Kcを更新する。さらに、係数更新部68は、タップ係数Ka、Kb、Kcを第1乗算器62a、第2乗算器62b、第3乗算器62cへそれぞれ出力する。なお、タップ係数の更新には、例えばLMSアルゴリズムが使用され、等化エラーが小さくなるような制御がなされる。
【0037】
図7(a)−(c)は、本発明の比較対象となるトランスバーサルフィルタ部におけるタップ係数を示す。図7(a)は、すべての遅延タップを使用した場合のタップ係数を示す。例えば、「C」と示された中央タップと、奇数番目の遅延タップにおける重み係数が大きくなる場合を想定する。なお、中央タップは、偶数番目の遅延タップに含まれており、通常、最も大きいタップ係数に対応する。このような状況下において、図7(b)は、偶数番目の遅延タップからの出力信号に対するタップ係数を示す。図示のごとく、中央タップ以外のタップ係数が小さくなるので、十分な等化特性が得られない。図7(c)は、奇数番目の遅延タップからの出力信号に対するタップ係数を示す。図示のごとく、中央タップが存在しておらず、かつ隣接の遅延タップでの補間もできないので、十分な等化特性が得られない。そのため、図7(a)の等化特性が必要な場合は、遅延タップを削減できない。その結果として、回路規模が削減されず、LSI等のコスト・消費電力が圧迫される。
【0038】
図8(a)−(c)は、トランスバーサルフィルタ部46におけるタップ係数を示す。図8(a)は、図7(a)と同一である。前述のごとく、従来は、この状態において、偶数番目の遅延タップからの出力信号に対するタップ係数がどれも小さいので、偶数番目の遅延タップからの出力信号のみを使用した処理を実行できない。図8(b)は、第3サンプリング信号に対して導出した場合のタップ係数を示す。平均部42からの第3サンプリング信号は、第1サンプリング信号よりも1/2タップ分遅延することになる。トランスバーサルフィルタ部46における処理は、その遅延を元に戻す方向に動作するので、タップ係数は、図8(a)の場合よりも1/2タップ分だけ元に戻すような値になる。図8(b)は、図8(a)と異なって、タップ係数が非対称となっているが、タップ係数の形が奇数番目の遅延タップ・偶数番目の遅延タップの双方にわたって変化するので、偶数番目の出力信号に対するタップ係数の値も大きくなる。さらに、中央タップの値も主成分として機能できる程度に大きくなるので、偶数番目の出力信号に対するタップ係数のみの処理が適用可能になる。その結果、偶数番目の遅延タップからの出力信号に対応したタップ係数のみにした場合が図8(c)に示される。
【0039】
以上の構成による再生装置100の動作を説明する。光ディスク10がCD、DVD、BDである場合、第1特定部28がこれを検出すると、第2特定部30は第1モードを選択する。これに応じて、選択部44は、第1サンプリング信号と第3サンプリング信号とのうち、第1サンプリング信号を選択し、これを第4サンプリング信号として、トランスバーサルフィルタ部46に入力する。トランスバーサルフィルタ部46は、第4サンプリング信号に対して等化処理を実行し、等化信号を出力する。一方、光ディスク10がHD−DVDである場合、第1特定部28がこれを検出すると、第2特定部30は第2モードを選択する。これに応じて、選択部44は、第1サンプリング信号と第3サンプリング信号とのうち、第3サンプリング信号を選択し、これを第4サンプリング信号として、トランスバーサルフィルタ部46に入力する。トランスバーサルフィルタ部46は、第4サンプリング信号に対して等化処理を実行し、等化信号を出力する。
【0040】
本発明の実施例によれば、隣接したタイミングのサンプリング信号を平均した信号に対して、フィルタ処理を実行するので、一部の遅延タップのみを使用する場合であっても、当該遅延タップでのタップ係数を大きくできる。また、タップ係数が大きくなるので、等化特性を改善できる。また、ディスクの種類に応じて、フィルタ処理に使用すべきサンプリング信号を選択するので、ディスクの種類に適したサンプリング信号を使用できる。また、ディスクの種類に適したサンプリング信号が使用されるので、ディスクの種類にかかわらず等化特性の悪化を抑制できる。また、ディスクの種類にかかわらず等化特性の悪化が抑制されるので、遅延タップ数の増加を抑制しながらも、さまざまな特性の再生信号を等化処理できる。
【0041】
また、PR等化するために必要なタップ係数の並びが、前述の偶数もしくは奇数のみとした選択に適さない場合においても、遅延タップを削減可能とし、LSI等の回路規模(コスト)・消費電力を削減できる。また、従来、遅延タップの数を削減できなかった状況下においても、遅延タップの数を削減できる。また、従来の再生信号との共存も、モードの選択を切りかえるのみであり、少ない追加回路で実現できる。
【0042】
(実施例2)
本発明の実施例2は、実施例1と同様に、光ディスクの種類に応じてモードを決定し、決定したモードに応じたサンプリング信号に対して等化処理を実行する再生装置に関する。実施例2は、実施例1と比較して光ディスクの特定方法が異なる。実施例1では、光ディスクにレーザを照射することによって光ディスクの種類を特定している。しかしながら、実施例2では、光ディスクの種類を特定せずに、まず第1モードを使用する。再生装置は、第1モードに対応したサンプリング信号に対して等化処理を実行する。そのようなサンプリング信号が等化処理に適していない場合、再生装置は、第1モードを第2モードへ変更する。実施例2に係る再生装置100、適応等化回路18は、図1、図3と同様のタイプである。ここでは、実施例1との差異を中心に説明する。
【0043】
図9は、本発明の実施例2に係る指示部24の構成を示す。指示部24は、積算部70、比較部72、変更部74を含む。指示部24は、再生装置100に光ディスク10が搭載されたことを検知すると、図示しない選択部44へ第1モードの動作を指示する。その結果、選択部44は、第1サンプリング信号と第3サンプリング信号のうちの第1サンプリング信号を選択して、これを第4サンプリング信号としてトランスバーサルフィルタ部46へ出力する。図示しないトランスバーサルフィルタ部46は、第4サンプリング信号に対して実施例1と同様の処理を実行する。積算部70は、図示しない係数更新部68からのタップ係数Ka、Kb、Kcを入力する。積算部70は、タップ係数の大きさを積算する。積算部70は、積算値を比較部72へ出力する。
【0044】
比較部72は、積算部70からの積算値を入力する。比較部72は、積算値と予め規定したしきい値とを比較する。比較部72は、積算値がしきい値よりも小さい場合に、その旨を比較結果として指示部24へ出力する。積算値がしきい値よりも小さい場合とは図7(b)−(c)に相当する。つまり、これは、十分な等化特性が得られない場合に相当する。一方、積算値がしきい値以上であれば、比較部72は、何も出力しない。これは、現在のタップ係数がそのままでよい場合に相当する。変更部74は、比較結果を入力すると、モードの変更を選択部44へ指示する。例えば、それまで第1モードの動作を指示していれば、変更部74は、第2モードの動作を指示する。つまり、変更部74は、積算値がしきい値よりも小さい場合に、選択の内容を変更する。
【0045】
図10は、指示部24による指示手順を示すフローチャートである。積算部70は、タップ係数を入力する(S10)。積算部70は、タップ係数を積算する(S12)。比較部72において、積算値がしきい値よりも小さければ(S14のY)、比較部72は、モードの変更を指示する(S16)。一方、比較部72において、積算値がしきい値よりも小さくなければ(S14のN)、処理は終了される。
【0046】
本発明の実施例によれば、再生信号の特性を考慮して、フィルタ処理に使用すべきサンプリング信号が、フィルタ処理に適していなければ、別のサンプリング信号に変更するので、等化特性の悪化を抑制できる。また、等化特性の悪化が抑制されるので、遅延タップ数の増加を抑制しながらも、さまざまな特性の再生信号を等化処理できる。また、再生信号の特性を考慮して、フィルタ処理に使用すべきサンプリング信号が、フィルタ処理に適していなければ、別のサンプリング信号に変更するので、処理を簡易にできる。また、とりあえず使用したサンプリング信号が、フィルタ処理に適していれば、そのままフィルタ処理を続行するので、迅速に処理を実行できる。
【0047】
(実施例3)
本発明の実施例3は、これまでの実施例と同様に、光ディスクの種類に応じてモードを決定し、決定したモードに応じたサンプリング信号に対して等化処理を実行する再生装置に関する。これまでの実施例では、偶数番目のタップ係数および奇数番目のタップ係数のうちの一方のみを使用していた。つまり、選択されない方のタップ係数による乗算処理は省略されていた。実施例3に係る再生装置は、偶数番目のタップ係数による等化処理と、奇数番目のタップ係数による等化処理とを並列に実行する。その結果、ひとつの等化処理にて使用されるタップ係数の数を削減しながら、等化特性の悪化が抑制される。
【0048】
図11は、本発明の実施例3に係る適応等化回路18の構成を示す。適応等化回路18は、分離部80、第1平均部82、第1選択部84、第2平均部86、第2選択部88、トランスバーサルフィルタ部90、結合部92を含む。
【0049】
分離部80は、図示しないA/D変換器16からの第1サンプリング信号を順次入力する。分離部80は、入力した第1サンプリング信号を、互いに異なったタイミングで、かつ同一の周期の第2サンプリング信号と第3サンプリング信号とに分離する。例えば、第2サンプリング信号は、奇数番目のサンプリング信号に相当し、第3サンプリング信号は、偶数番目のサンプリング信号に相当する。つまり、分離部80は、並列処理のために、ひとつのサンプリング信号からふたつのサンプリング信号を生成する。そのために、分離部80は、マルチプレクサを使用してもよく、リサンプリングして補間したリサンプリング補間信号を使用してもよい。
【0050】
分離部80は、第1平均部82、第2平均部86、第1選択部84へ第2サンプリング信号を出力する。また、分離部80は、第1平均部82、第2平均部86、第2選択部88へ第3サンプリング信号を出力する。ここで、分離部80は、システムクロックで動作しているが、分離部80よりも後段の処理である第1平均部82からトランスバーサルフィルタ部90は、システムクロックの半分の周波数のタイミングで動作している。
【0051】
第1平均部82は、分離部80からの第2サンプリング信号と第3サンプリング信号とを入力する。第1平均部82は、第3サンプリング信号を遅延させた(以下、遅延された第3サンプリング信号を「遅延信号」という)後、遅延信号と、第2サンプリング信号とに対して、連続したサンプリング点にて平均値を演算して、第4サンプリング信号を生成する。第1平均部82は、後述の第1トランスバーサルフィルタ部において、遅延タップの周期に対応した期間よりも短い期間にわたって、第3サンプリング信号を遅延する。詳細は後述するが、遅延タップの周期に対応した期間は、2クロック分に相当し、第1平均部82での遅延量は1クロック分に相当する。第1平均部82は、第4サンプリング信号を第1選択部84へ出力する。
【0052】
図12は、第1平均部82の構成を示す。第1平均部82は、遅延部110、加算器112、1/2計算部114を含む。遅延部110は、第3サンプリング信号を1クロック分遅延させる。加算器112は、第2サンプリング信号と、遅延部110において遅延された第3サンプリング信号を加算する。1/2計算部114は、加算器112での加算結果を1/2にする。実施例1と同様に、加算結果はデジタル値であるので、1/2計算部114は、1/2の処理をビットシフト等で実現してもよい。1/2計算部114は、1/2にした加算結果を第4サンプリング信号として出力する。図11に戻る。
【0053】
第1選択部84は、分離部80において分離した第2サンプリング信号と、第1平均部82において生成した第4サンプリング信号を入力する。さらに、第1選択部84は、図示しない第2特定部30において特定したモードに関する指示も入力する。第1選択部84は、モードに関する指示に応じて、第2サンプリング信号と第4サンプリング信号のうちの一方を選択する。モードに関する指示が第1モードを示している場合、第1選択部84は、第2サンプリング信号を選択し、モードに関する指示が第2モードを示している場合、第1選択部84は、第4サンプリング信号を選択する。そのため、モードに関する指示は、第2サンプリング信号と第4サンプリング信号のうちの一方を選択させるための指示ともいえる。第1選択部84は、選択した方を第6サンプリング信号としてトランスバーサルフィルタ部90へ出力する。
【0054】
第2平均部86は、分離部80からの第2サンプリング信号と第3サンプリング信号とを入力する。第2平均部86は、第2サンプリング信号と第3サンプリング信号とに対して、連続したサンプリング点にて平均値を演算して、第5サンプリング信号を生成する。第2平均部86は、第5サンプリング信号を第2選択部88へ出力する。なお、第2平均部86は、図12から遅延部110を除外した構成を有する。
【0055】
第2選択部88は、分離部80において分離した第3サンプリング信号と、第2平均部86において生成した第5サンプリング信号を入力する。さらに、第2選択部88は、図示しない第2特定部30において特定したモードに関する指示も入力する。第2選択部88は、モードに関する指示に応じて、第3サンプリング信号と第5サンプリング信号のうちの一方を選択する。モードに関する指示が第1モードを示している場合、第2選択部88は、第3サンプリング信号を選択し、モードに関する指示が第2モードを示している場合、第2選択部88は、第5サンプリング信号を選択する。そのため、モードに関する指示は、第3サンプリング信号と第5サンプリング信号のうちの一方を選択させるための指示ともいえる。第2選択部88は、選択した方を第7サンプリング信号としてトランスバーサルフィルタ部90へ出力する。
【0056】
トランスバーサルフィルタ部90は、第1選択部84からの第6サンプリング信号に対して等化処理を実行するための第1トランスバーサルフィルタ部と、第2選択部88からの第7サンプリング信号に対して等化処理を実行するための第2トランスバーサルフィルタ部とを備える。第1トンランスバーサルフィルタ部と第2トランスバーサルフィルタ部との詳細は後述するが、これらは並列に処理を実行するように構成される。第1トランスバーサルフィルタ部は、第6サンプリング信号を多段遅延タップにて順次遅延させる。また、第1トランスバーサルフィルタ部は、各遅延タップからの出力信号と、各遅延タップに対応したタップ係数とをもとにフィルタ処理を実行する。ここでは、フィルタ処理の結果、つまり等化処理がなされた信号を第1等化信号という。さらに、第1トランスバーサルフィルタ部は、第1等化信号をもとにタップ係数を導出する。第1トランスバーサルフィルタ部は、結合部92へ第1等化信号を出力する。
【0057】
第2トランスバーサルフィルタ部は、第1トランスバーサルフィルタ部における第6サンプリング信号が第7サンプリング信号に代わるだけで、第1トランスバーサルフィルタ部と同様の処理を実行する。そのため、ここでは、第2トランスバーサルフィルタ部の処理の説明を省略する。なお、第2トランスバーサルフィルタ部は、結合部92へ第2等化信号を出力する。結合部92は、トランスバーサルフィルタ部90からの第1等化信号および第2等化信号を入力する。結合部92は、第1等化信号と第2等化信号とを1サンプルデータ毎に順次交互に切り替えて両者を結合することによって、等化信号を生成する。そのため、等化信号は、第1等化信号、第2等化信号、第1等化信号、第2等化信号、・・・のように形成される。結合部92は、図示しない復号回路20へ等化信号を出力する。
【0058】
図示しない指示部24は、実施例1と同様に、光ディスク10の種類を特定した後に、特定した光ディスク10の種類に応じたモードを特定する。ここでは、第1モードが、第1選択部84に第2サンプリング信号を選択させるとともに、第2選択部88に第3サンプリング信号を選択させることに相当する。また、第2モードが、第1選択部84に第4サンプリング信号を選択させるとともに、第2選択部88に第5サンプリング信号を選択させることに相当する。
【0059】
図13は、トランスバーサルフィルタ部90の構成を示す。トランスバーサルフィルタ部90は、FF120と総称される第1FF120a、第2FF120b、第3FF120c、第4FF120d、乗算器122と総称される第1乗算器122a、第2乗算器122b、第3乗算器122c、第4乗算器122d、第5乗算器122e、第6乗算器122f、加算器124と総称される第1加算器124a、第2加算器124b、仮判別器126と総称される第1仮判別器126a、第2仮判別器126b、係数更新部128と総称される第1係数更新部128a、第2係数更新部128bを含む。ここで、第1FF120a、第2FF120b、第1乗算器122a、第2乗算器122b、第3乗算器122c、第1加算器124a、第1仮判別器126a、第1係数更新部128aは、第1トランスバーサルフィルタ部90aに含まれる。また、第3FF120c、第4FF120d、第4乗算器122d、第5乗算器122e、第6乗算器122f、第2加算器124b、第2仮判別器126b、第2係数更新部128bは、第2トランスバーサルフィルタ部90bに含まれる。
【0060】
第1FF120a、第2FF120bは、前述の多段遅延タップを構成する。第1FF120aは、第6サンプリング信号を入力し、遅延後、第6サンプリング信号を出力する。第2FF120bは、第1FF120aからの第6サンプリング信号を入力し、遅延後、第6サンプリング信号を出力する。FF120への入力部分と出力部分が遅延タップに相当しており、2つのFF120が存在することは、3つの遅延タップが存在することに相当する。なお、各FF60の遅延時間は、システムクロックの半分の周波数、つまりビットクロックの半分の周波数のタイミングに設定されているので、各FF120は、第6サンプリング信号を2ビットクロックずつ順次遅延させる。ここでは、第1FF120aへの入力、第1FF120aからの出力、第2FF120bからの出力をそれぞれ「TD1」、「TD3」、「TD5」とする。これらは、出力信号と総称される。
【0061】
第1乗算器122a、第2乗算器122b、第3乗算器122cは、FF120からの出力信号を入力するとともに、第1係数更新部128aからのタップ係数も入力する。また、第1乗算器122a、第2乗算器122b、第3乗算器122cは、出力信号とタップ係数とを対応づけながら乗算する。具体的には、第1乗算器122aは、「TD1」とタップ係数「Kd」とを入力し、これらを乗算する。また、第2乗算器122bは、「TD3」とタップ係数「Ke」とを入力し、これらを乗算する。さらに、第3乗算器122cは、「TD5」とタップ係数「Kf」とを入力し、これらを乗算する。なお、乗算結果の出力レベルが調節されてもよい。第1加算器124aは、第1乗算器122a、第2乗算器122b、第3乗算器122cからの乗算結果を加算する。加算結果が、前述の第1等化信号に相当する。第1加算器124aは、第1等化信号を図示しない結合部92へ出力するとともに、第1仮判別器126aへも出力する。第1仮判別器126a、第1係数更新部128aは、図6の仮判別器66、係数更新部68と同様の処理を実行する。
【0062】
第3FF120c、第4FF120dは、第1FF120a、第2FF120bと同様の処理を実行する。なお、第3FF120cへの入力は、前述のごとく、第6サンプリング信号ではなく、第7サンプリング信号である。第4乗算器122d、第5乗算器122e、第6乗算器122fは、第1乗算器122a、第2乗算器122b、第3乗算器122cと同様の処理を実行する。第2加算器124bは、第1加算器124aと同様の処理を実行する。なお、第2加算器124bからの出力は、前述のごとく、第1等化信号ではなく、第2等化信号である。第2仮判別器126bは、第1仮判別器126aと同様の処理を実行する。第2係数更新部128bは、第1係数更新部128aと同様の処理を実行する。
【0063】
図14は、適応等化回路18における動作タイミングを示す。最上段が、第2サンプリング信号を示し、図示のごとく、第2サンプリング信号は、奇数番目のサンプリング信号にて構成される。次の段が、第3サンプリング信号を示し、図示のごとく、第3サンプリング信号は、偶数番目のサンプリング信号にて構成される。次の段が、遅延信号を示し、図示のごとく、遅延信号は、第3サンプリング信号を遅延させた信号に相当する。次の段が、第4サンプリング信号を示し、図示のごとく、第4サンプリング信号は、第2サンプリング信号と遅延信号との平均値に相当する。最下段が、第5サンプリング信号を示し、図示のごとく、第5サンプリング信号は、第2サンプリング信号と第3サンプリング信号との平均値に相当する。
【0064】
本発明の実施例によれば、互いに異なったタイミングのサンプリング信号に対して並列に等化処理を実行するので、高速に処理を実行できる。また、偶数番目の遅延タップのみ、もしくは奇数番目の遅延タップのみに対して等化処理を実行しているので、並列処理にしても、処理の複雑さの増加を抑制できる。また、偶数番目の遅延タップのみ、もしくは奇数番目の遅延タップのみに対して等化処理を実行しているので、並列処理にしても、1/2の周波数のクロックを使用するので、消費電力を低減できる。また、ディスクの種類に応じて、フィルタ処理に使用すべきサンプリング信号を選択するので、タップ数の増加を抑制しながらも、さまざまな特性の再生信号を等化処理できる。
【0065】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0066】
本発明の実施例1から3において、指示部24は、光ディスク10の種類に応じて第1モードあるいは第2モードを選択し、選択したモードに応じた処理を適応等化回路18に指示している。しかしながらこれに限らず例えば、モードの切り替えがなされなくてもよい。その際、図3の適応等化回路18から選択部44が省略され、平均部42において生成された第3サンプリング信号が、トランスバーサルフィルタ部46に直接入力される。また、図11の適応等化回路18から第1選択部84および第2選択部88が省略され、第1平均部82において生成された第4サンプリング信号と、第2平均部86において生成された第5サンプリング信号とが、トランスバーサルフィルタ部90に直接入力される。本変形例によれば、モード決定の処理が省略されるので、処理を簡易にできる。
【0067】
本発明の実施例1から3において、適応等化回路18は、偶数番目の遅延タップあるいは奇数番目の遅延タップを処理の対象にしている。なお、実施例3においても、第1トランスバーサルフィルタ部90aと第2トランスバーサルフィルタ部90bとに分けながらも、それぞれは、偶数番目の遅延タップあるいは奇数番目の遅延タップを処理の対象にしている。つまり、本発明の実施例1から3における適応等化回路18は、サンプリング周期の2倍の周期となるような遅延タップを処理の対象にしている。しかしながらこれに限らず例えば、適応等化回路18は、サンプリング周期の2倍よりも長い周期となるような遅延タップを処理の対象にしてもよい。一例として、適応等化回路18は、サンプリング周期の4倍の周期となるような遅延タップを処理の対象にする。その際、図3の遅延部40、図11の第1平均部82における遅延量が、2倍の周期のときの2倍に設定される。その他に対して、実施例1から3と同様の処理がなされる。本変形例によれば、さらなる低消費電力化を実現できる。
【0068】
本発明の実施例3に実施例2を適用してもよい。指示部24は、再生装置100に光ディスク10が搭載されたことを検知すると、第1選択部84および第2選択部88へ第1モードの動作を指示する。その結果、第1選択部84は、第2サンプリング信号と第4サンプリング信号のうち、第2サンプリング信号を選択し、選択した第2サンプリング信号を第6サンプリング信号としてトランスバーサルフィルタ部90へ出力する。また、第2選択部88は、第3サンプリング信号と第5サンプリング信号のうち、第3サンプリング信号を選択し、選択した第3サンプリング信号を第7サンプリング信号としてトランスバーサルフィルタ部90へ出力する。積算部70は、第1係数更新部128aから入力したタップ係数の大きさを積算(以下、その結果を「第1積算値」という)するとともに、第2係数更新部128bからのタップ係数の大きさを積算(以下、その結果を「第2積算値」という)する。積算部70は、第1積算値および第2積算値を比較部72へ出力する。
【0069】
比較部72は、第1積算値および第2積算値に対して、予め規定したしきい値との比較を実行する。比較部72は、第1積算値あるいは第2積算値がしきい値よりも小さい場合に、その旨を比較結果として指示部24へ出力する。変更部74は、比較結果を入力すると、第1選択部84および第2選択部88へモードの変更を指示する。例えば、それまで第1モードの動作を指示していれば、変更部74は、第2モードの動作を指示する。つまり、変更部74は、積算値がしきい値よりも小さい場合に、選択の内容を変更する。本変形例によれば、モードの選択処理を簡易にできる。なお、比較部72は、第1積算値および第2積算値がしきい値よりも小さい場合に、その旨を比較結果として指示部24へ出力してもよい。本変形例によれば、モードの誤った切替えを抑制できる。
【符号の説明】
【0070】
10 光ディスク、 12 PDヘッドアンプ、 14 直流阻止回路、 16 A/D変換器、 18 適応等化回路、 20 復号回路、 22 ECC回路、 24 指示部、 26 制御部、 28 第1特定部、 30 第2特定部、 32 記憶部、 40 遅延部、 42 平均部、 44 選択部、 46 トランスバーサルフィルタ部、 100 再生装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象の信号が所定のクロックでサンプリングされることによって生成された第1サンプリング信号を順次入力する入力部と、
前記入力部において入力した第1サンプリング信号を遅延させて、第2サンプリング信号を順次生成する遅延部と、
前記遅延部において生成した第2サンプリング信号と、前記入力部において入力した第1サンプリング信号とを平均して、第3サンプリング信号を順次生成する平均部と、
前記平均部において生成した第3サンプリング信号を多段遅延タップにて順次遅延させる手段と、多段遅延タップのうちの周期的に選択した一部の遅延タップからの出力信号と、当該一部の遅延タップにそれぞれ対応したタップ係数とをもとにフィルタ処理を実行する手段と、フィルタ処理の実行結果をもとに、一部の遅延タップにそれぞれ対応したタップ係数を導出する手段とを含むトランスバーサルフィルタ部とを備え、
前記遅延部は、前記トランスバーサルフィルタ部において、多段遅延タップのうちの一部の遅延タップが選択される周期に対応した期間よりも短い期間にわたって、第1サンプリング信号を遅延することを特徴とする等化器。
【請求項2】
前記入力部において入力した第1サンプリング信号と、前記平均部において生成した第3サンプリング信号のうちの一方を選択し、選択した信号を前記トランスバーサルフィルタ部の多段遅延タップに入力させる選択部と、
前記選択部に、第1サンプリング信号と第3サンプリング信号のうちの一方を選択させるための指示を出力する指示部とをさらに備え、
前記指示部は、処理対象の信号が記録されたディスクの種類を特定する手段と、ディスクの種類と選択の内容との関連を予め規定し、特定したディスクの種類に対応した選択の内容を特定する手段とを含むことを特徴とする請求項1に記載の等化器。
【請求項3】
前記入力部において入力した第1サンプリング信号と、前記平均部において生成した第3サンプリング信号のうちの一方を選択し、選択した信号を前記トランスバーサルフィルタ部の多段遅延タップに入力させる選択部と、
前記選択部に、第1サンプリング信号と第3サンプリング信号のうちの一方を選択させるための指示を出力する指示部とをさらに備え、
前記指示部は、前記トランスバーサルフィルタ部において導出したタップ係数の大きさがしきい値よりも小さい場合に、選択の内容を変更することを特徴とする請求項1に記載の等化器。
【請求項4】
処理対象の信号が所定のクロックでサンプリングされることによって生成された第1サンプリング信号を順次入力する入力部と、
前記入力部において入力した第1サンプリング信号を、互いに異なったタイミングで、かつ同一の周期の第2サンプリング信号と第3サンプリング信号とに分離する分離部と、
前記分離部において分離した第3サンプリング信号を遅延させた後、遅延した第3サンプリング信号と、前記分離部において分離した第2サンプリング信号とを平均して、第4サンプリング信号を生成する第1平均部と、
前記分離部において分離した第2サンプリング信号と第3サンプリング信号とを平均して、第5サンプリング信号を生成する第2平均部と、
前記第1平均部において生成した第4サンプリング信号を多段遅延タップにて順次遅延させる手段と、各遅延タップからの出力信号と、各遅延タップに対応したタップ係数とをもとにフィルタ処理を実行する手段と、フィルタ処理の実行結果をもとにタップ係数を導出する手段とを含む第1トランスバーサルフィルタ部と、
前記第2平均部において生成した第5サンプリング信号を多段遅延タップにて順次遅延させる手段と、各遅延タップからの出力信号と、各遅延タップに対応したタップ係数とをもとにフィルタ処理を実行する手段と、フィルタ処理の実行結果をもとにタップ係数を導出する手段とを含む第2トランスバーサルフィルタ部とを備え、
前記第1平均部は、前記第1トランスバーサルフィルタ部における遅延タップの周期に対応した期間よりも短い期間にわたって、第3サンプリング信号を遅延することを特徴とする等化器。
【請求項5】
前記分離部において分離した第2サンプリング信号と、前記第1平均部において生成した第4サンプリング信号のうちの一方を選択し、選択した信号を前記第1トランスバーサルフィルタ部の多段遅延タップに入力させる第1選択部と、
前記分離部において分離した第3サンプリング信号と、前記第2平均部において生成した第5サンプリング信号のうちの一方を選択し、選択した信号を前記第2トランスバーサルフィルタ部の多段遅延タップに入力させる第2選択部と、
前記第1選択部に、第2サンプリング信号と第4サンプリング信号のうちの一方を選択させるとともに、前記第2選択部に、第3サンプリング信号と第5サンプリング信号のうちの一方を選択させるための指示を出力する指示部とをさらに備え、
前記指示部は、処理対象の信号が記録されたディスクの種類を特定する手段と、ディスクの種類と選択の内容との関連を予め規定し、特定したディスクの種類に対応した選択の内容を特定する手段とを含むことを特徴とする請求項4に記載の等化器。
【請求項6】
前記分離部において分離した第2サンプリング信号と、前記第1平均部において生成した第4サンプリング信号のうちの一方を選択し、選択した信号を前記第1トランスバーサルフィルタ部の多段遅延タップに入力させる第1選択部と、
前記分離部において分離した第3サンプリング信号と、前記第2平均部において生成した第5サンプリング信号のうちの一方を選択し、選択した信号を前記第2トランスバーサルフィルタ部の多段遅延タップに入力させる第2選択部と、
前記第1選択部に、第2サンプリング信号と第4サンプリング信号のうちの一方を選択させるとともに、前記第2選択部に、第3サンプリング信号と第5サンプリング信号のうちの一方を選択させるための指示を出力する指示部とをさらに備え、
前記指示部は、前記第1トランスバーサルフィルタ部において導出したタップ係数の大きさ、あるいは前記第2トランスバーサルフィルタ部において導出したタップ係数の大きさがしきい値よりも小さい場合に、選択の内容を変更することを特徴とする請求項4に記載の等化器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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