説明

筒型ダイナミックダンパ

【課題】二つの異なる共振周波数をもち、且つその二つの共振周波数をより大きく離してチューニングすることが可能な筒型ダイナミックダンパを提供する。
【解決手段】中間筒部材1と質量部材2との間に介在して質量部材2を弾性支持するように配設されたゴム弾性支持部材3を、中間筒部材1の軸Lと直角の平面上において軸L上で直交する2方向(P方向とQ方向)のばね定数が異なるように構成する。ゴム弾性支持部材3のP方向における中間筒部材1を挟んで軸対称となる部位には、軸方向に貫通するばね定数調整用の一対の第1すぐり孔31、31を設ける。ゴム弾性支持部材3のQ方向における中間筒部材1を挟んで軸対称となる部位には、第1すぐり孔31、31よりも小さい軸方向に貫通するばね定数調整用の一対の第2すぐり孔32、32を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車のドライブシャフトやプロペラシャフト等の回転軸に取付けられて、その回転軸に生じる有害振動を抑制する筒型ダイナミックダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に装備されるドライブシャフトやプロペラシャフト等の回転軸には、その回転に伴って生じる回転アンバランスによる曲げ振動や捩じり振動等の、本来発生しないのが望ましい有害振動が発生することから、その有害振動を抑制するために、例えば特許文献1〜5に開示されているような種々のダイナミックダンパが用いられている。このダイナミックダンパは、回転軸に励起される有害振動の卓越振動数にその共振周波数(固有振動数)を合わせることにより、回転軸の振動エネルギを共振によりダイナミックダンパの振動エネルギに変換して吸収することでその機能を果すものである。
【0003】
このようなダイナミックダンパとして、例えば特許文献1及び2には、回転軸の外周側に嵌挿配置される円筒状の質量部材と、該質量部材の軸方向両端部を剪断方向に弾性支持するテーパ筒状の一対のゴム弾性支持部材とを備えた筒型ダイナミックダンパが開示されている。このダイナミックダンパのゴム弾性支持部材は、その肉厚や軸方向長さを変化させることによって形成された、剪断方向におけるばね定数が特定値よりも高く設定された高ばね部分と前記特定値よりも低く設定された低ばね部分とを有し、それら高ばね部分と低ばね部分が周方向において交互に配置されている。これにより、ダイナミックダンパの共振周波数を二つの異なる共振周波数にチューニングすることによって、回転軸やダイナミックダンパの共振周波数のばらつきによって生じる振動抑制効果の低減を最小限に抑えることが可能となる。なお、ダイナミックダンパの共振周波数は、質量部材の質量とゴム弾性支持部材の剪断方向のばね定数とによって基本的に決まる。
【0004】
ところで、自動車に装備されるドライブシャフト等の回転軸には、車輪のホイールを介して伝達される振動により有害振動が励起されることが知られている。よって、それら回転軸に装着されるダイナミックダンパの共振周波数をチューニングする場合には、ホイールの共振周波数(固有振動数)も考慮しなければならない。しかし、通常使用されるホイールは、鉄製のものとアルミ製のものとに大別されるが、鉄製ホイールの共振周波数とアルミ製ホイールの共振周波数は大きく離れており、アルミ製ホイールの共振周波数は鉄製ホイールの共振周波数の2〜3倍程度となる。
【0005】
そのため、上記特許文献1及び2に開示されているタイプのダイナミックダンパにおいて、鉄製ホイール用とアルミ製ホイール用の二つの共振周波数をチューニングしようとしても、ゴム弾性支持部材の高ばね部分と低ばね部分が質量部材を剪断方向で弾性支持するように構成されていることから、それらの肉厚や自由長の調整を最大限に行っても、高周波側の共振周波数が低周波側の共振周波数の1.5倍程度となるようにチューニングするのが限界となる。
【特許文献1】特開平9−89047号公報
【特許文献2】特開2004−92674号公報
【特許文献3】特開平9−229137号公報
【特許文献4】実開平6−69487号公報
【特許文献5】特開2002−266939号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、二つの異なる共振周波数をもち、且つその二つの共振周波数をより大きく離してチューニングすることが可能な筒型ダイナミックダンパを提供することを解決すべき課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明は、内周面に固着された薄肉ゴムを有する円筒状の中間筒部材と、該中間筒部材の径方向外側に同軸状に配置される円筒状の質量部材と、前記中間筒部材と前記質量部材との間に介在して前記質量部材を弾性支持するゴム弾性支持部材と、を備え、回転軸の外周に圧入により嵌装される筒型ダイナミックダンパであって、前記ゴム弾性支持部材は、前記中間筒部材の軸と直角の平面上において前記軸上で直交する2方向のばね定数が異なるように構成されていることを特徴としている。
【0008】
本発明の筒型ダイナミックダンパは、ゴム弾性支持部材が、中間筒部材の軸と直角の平面上においてその軸上で直交する2方向のばね定数が異なるように構成されていることから、その2方向のばね定数に基づいて二つの異なる共振周波数を有するようにチューニングされる。本発明におけるゴム弾性支持部材は、径方向において圧縮が作用する状態で質量部材を弾性支持するように構成されていることから、質量部材を剪断方向で弾性支持する場合よりも2方向のばね比をより大きくすることができる。そのため、一方が他方の3倍程度となるように大きく離れた二つの共振周波数を有するようにチューニングすることが可能となる。
【0009】
また、本発明におけるゴム弾性支持部材は、中間筒部材と質量部材との間に介在していることから、筒型ダイナミックダンパが回転軸の外周に圧入により嵌装された際に、回転軸の径寸法のばらつき等による影響が中間筒部材により確実に遮断される。そのため、ゴム弾性支持部材に圧縮成分が加わることがなく、組付け時におけるゴム弾性支持部材の特性ばらつきが確実に排除されるため、ばらつき公差の低減が可能となる。
【0010】
本発明において、ゴム弾性支持部材を、中間筒部材の軸と直角の平面上においてその軸上で直交する2方向のばね定数が異なるように構成するには、2方向のうちの少なくとも1方向における中間筒部材を挟んで軸対称となる部位に、軸方向に貫通するばね定数調整用のすぐり孔を設けることにより達成することができる。この場合、1方向においてのみ一対又は複数対のすぐり孔を設けるようにしてもよく、2方向の両方にそれぞれ一対又は複数対のすぐり孔を設けるようにしてもよい。2方向の両方に設ける場合には、一方の方向と他方の方向とですぐり孔の大きさが異なるようにされ、これにより2方向のばね定数が異なるようにされる。すぐり孔の大きさは、中間筒部材の軸を中心とした円周方向におけるすぐり形成角度あるいは断面積により変えることができる。なお、ゴム弾性支持部材の2方向のばね定数は、筒型ダイナミックダンパの二つの共振周波数をチューニングする際に、質量部材の質量との関係において適宜設定される。
【0011】
本発明におけるゴム弾性支持部材は、中間筒部材と質量部材との間に介在して質量部材を弾性支持するように配設されている。中間筒部材は、例えば鉄系やアルミニウム系金属等により円筒状に形成され、その内周面に固着された薄肉ゴムを有する。薄肉ゴムは、筒型ダイナミックダンパが回転軸に圧入により装着される際に、圧入代を吸収するために設けられている。この薄肉ゴムは、中間筒部材の内周面から径方向内方に突出して軸方向に延びる複数の突条部を有するように構成することにより、圧入代を調節したり、圧入作業を容易にすることができる。
【0012】
質量部材は、ゴム弾性支持部材の2方向の圧縮方向のばね定数との関係において、所定の質量を有するように円筒状に形成される。この質量部材は、周方向のバランスを均等に保つために、周方向において質量が均一になるように形成されていることが好ましい。質量部材の形成には、比重が大きい鉄系金属を好適に採用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の筒型ダイナミックダンパは、中間筒部材と質量部材との間に介在して質量部材を圧縮方向で弾性支持するゴム弾性支持部材が、中間筒部材の軸と直角の平面上においてその軸上で直交する2方向のばね定数が異なるように構成されていることから、2方向のばね比をより大きく設定することができるため、二つの異なる共振周波数を有するようにして、その二つの共振周波数をより大きく離してチューニングすることができる。
【0014】
また、本発明におけるゴム弾性支持部材は、中間筒部材と質量部材との間に介在していることから、回転軸の径寸法のばらつき等による影響を中間筒部材により確実に遮断することができるため、組付け時におけるゴム弾性支持部材の特性ばらつきを確実に排除することができ、ばらつき公差を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態に係る筒型ダイナミックダンパの軸方向から見た正面図であり、図2はその筒型ダイナミックダンパの軸方向に沿う断面図であって図1のII−II線矢視断面図である。
【0016】
本実施形態の筒型ダイナミックダンパは、図1及び図2に示すように、内周面に固着された薄肉ゴム層11を有する円筒状の中間筒部材1と、中間筒部材1の径方向外側に同軸状に配置される円筒状の質量部材2と、中間筒部材1と質量部材2との間に介在して質量部材2を弾性支持するゴム弾性支持部材3と、から構成されている。
【0017】
中間筒部材1は、鉄系金属により、略一定の肉厚で円筒状に形成されている。この中間筒部材1は、筒型ダイナミックダンパが装着される回転軸の外径よりも所定寸法大きい略一定の内径を有する。この中間筒部材1の内周面には、薄肉の略円筒状に形成された薄肉ゴム層11が内周面の全域を覆うように加硫接着により固着されている。この薄肉ゴム層11の内周面には、径方向内方に突出して軸方向に延びる複数の突条部12が周方向に所定距離を隔てて設けられている。また、中間筒部材1の内周面以外の表面には、防錆のために、加硫成形により薄肉ゴム層11と一体に形成された被覆ゴム層13が固着されている。
【0018】
質量部材2は、鉄系金属により略一定の肉厚で略一定の径を有する円筒状に形成された質量体21と、質量体21の表面を被覆する被覆ゴム層22とからなり、所定の質量を有する。この質量部材2は、中間筒部材1の外径よりも所定寸法大きい内径を有し、中間筒部材1の約1.6倍の長さに形成されている。この質量部材2は、軸方向中央が中間筒部材1の軸方向中央と略一致する位置で、中間筒部材1の径方向外側に所定距離を隔てて同軸状に配置されている。
【0019】
ゴム弾性支持部材3は、加硫成形型内に、中間筒部材1と質量部材2を上記のように同軸状に配置して、それら両部材とともにゴム材料を加硫成形することにより、中間筒部材1と質量部材2の間に介在するように略厚肉円筒状に形成されている。なお、ゴム弾性支持部材3の加硫成形時には、薄肉ゴム層11及び被覆ゴム層13、22もゴム弾性支持部材3と一体に連結された状態で同時に形成されている。また、加硫成形時には、加硫成形型内に配置された質量部材2が位置決め用の支持ピンで支持されるため、質量部材2の表面を被覆する被覆ゴム層22には、支持ピンによる凹部22aが複数箇所に形成される。
【0020】
ゴム弾性支持部材3の内周面側は、被覆ゴム層13と一体に連結されて中間筒部材1の外周面に加硫接着されており、ゴム弾性支持部材3の外周面側は、被覆ゴム層22と一体に連結されて質量部材2の内周面に加硫接着されている。このゴム弾性支持部材3は、中間筒部材1よりも軸方向長さが短く、その軸方向中央が中間筒部材1の軸方向中央と略一致する位置に設けられている。これにより、ゴム弾性支持部材3は、径方向において圧縮が作用する状態で質量部材2を弾性支持するように設けられている。
【0021】
このゴム弾性支持部材3は、図1に示すように、中間筒部材1の軸Lと直角の平面上において軸L上で直交する2方向(P方向とQ方向)のばね定数が異なるように構成されている。即ち、P方向における中間筒部材1を挟んで軸対称となる部位には、軸方向に貫通し断面が円弧形状の一対の第1すぐり孔31、31が設けられているとともに、Q方向における中間筒部材1を挟んで軸対称となる部位には、軸方向に貫通し断面が円弧形状の一対の第2すぐり孔32、32が設けられている。
【0022】
第1すぐり孔31、31と第2すぐり孔32、32は、径方向の幅が同じであるが、周方向に円弧状に延びる長さは、第1すぐり孔31、31の方が第2すぐり孔32、32よりも長くされている。即ち、第1すぐり孔31、31は、軸Lを中心とした円周方向におけるすぐり形成角度αが第2すぐり孔32、32のすぐり形成角度βよりも大きくされていることによって、第1すぐり孔31、31の方が第2すぐり孔32、32よりも断面積が大きくなるようにされている。これにより、第1すぐり孔31、31が設けられているP方向のばね定数は大きく低減するように調整され、第2すぐり孔32、32が設けられているQ方向のばね定数は小さく低減するように調整されている。
【0023】
P方向のばね定数は、P方向の共振周波数f1を例えば鉄製ホイール用の低周波側の共振周波数としてチューニングする際に、質量部材2の質量との関係において適宜設定される。また、Q方向のばね定数は、Q方向の共振周波数f2を例えばアルミ製ホイール用の高周波側の共振周波数としてチューニングする際に、質量部材2の質量との関係において適宜設定される。このようにして、ゴム弾性支持部材3のP方向とQ方向の2方向のばね定数が異なるように構成されていることにより、筒型ダイナミックダンパが大きく離れた二つの異なる共振周波数f1、f2を有するように構成されている。なお、本実施形態では、共振周波数f1と共振周波数f2の比は1:2とされている。
【0024】
以上のように構成された本実施形態の筒型ダイナミックダンパは、図3に示すように、自動車のドライブシャフト等の回転軸5の軸端から治具等を用いて圧入されて、回転軸5の外周面の所定部位(通常、軸方向中央部の腹となる部位)に、中間筒部材1の内周面に設けられた薄肉ゴム層11の突条部12が圧着した状態に装着される。なお、特許文献1及び2に開示されたタイプのダイナミックダンパでは、ドライブシャフト等の回転軸に固定するために、固定バンドやクランプ等の特別な固定手段が必要であったが、本実施形態の筒型ダイナミックダンパは、上記のような特別な固定手段を別途設けなくても、強固にドライブシャフト等の回転軸に固定することができる。
【0025】
そして、回転軸5の回転に伴って曲げ振動や捩じり振動等の有害振動が励起されて、筒型ダイナミックダンパにチューニングされた二つの共振周波数f1、f2に近い周波数の振動が発生すると、筒型ダイナミックダンパの質量部材2がゴム弾性支持部材3の主として径方向における圧縮変形あるいは引張変形を介して共振することにより、回転軸5の振動エネルギが吸収され、回転軸5に励起された有害振動は効果的に抑制される。
【0026】
このとき、自動車の車輪にアルミ製ホイールが使用されている場合には、アルミ製ホイール用として、ゴム弾性支持部材3のP方向のばね定数に基づいてチューニングされた共振周波数f1に近い周波数の振動が励起されるので、アルミ製ホイールを介して回転軸5に伝達される有害振動は筒型ダイナミックダンパにより効果的に抑制される。また、自動車の車輪に鉄製ホイールが使用されている場合には、鉄製ホイール用として、ゴム弾性支持部材3のQ方向のばね定数に基づいてチューニングされた共振周波数f2に近い周波数の振動が励起されるので、鉄製ホイールを介して回転軸5に伝達される有害振動も筒型ダイナミックダンパにより効果的に抑制される。
【0027】
以上のように、本実施形態の筒型ダイナミックダンパは、中間筒部材1と質量部材2との間に介在して質量部材2を圧縮方向で弾性支持するゴム弾性支持部材3が、軸Lと直角の平面上において軸L上で直交するP方向とQ方向の2方向のばね定数が異なるように構成されていることから、P方向とQ方向のばね比をより大きく設定することができる。そのため、P方向とQ方向のばね定数に基づいて二つの異なる共振周波数f1、f2を有するようにチューニングすることができ、且つその二つの共振周波数f1、f2をより大きく離してチューニングすることができる。
【0028】
また、ゴム弾性支持部材3は、中間筒部材1と質量部材2との間に介在していることから、回転軸5の径寸法のばらつき等による影響を中間筒部材1により確実に遮断することができるため、組付け時におけるゴム弾性支持部材3の特性ばらつきを確実に排除することができ、ばらつき公差を低減することができる。
【0029】
また、本実施形態では、中間筒部材1の内周面に固着された薄肉ゴム層11の内周面に、軸方向に延びる複数の突条部12が設けられているため、筒型ダイナミックダンパを回転軸5の外周に圧入して装着する際に、突条部12が容易に弾性変形して圧入代が吸収されるので、圧入作業を容易に行うことができる。なお、本実施形態における突条部12は、薄肉ゴム層11の内周面に設けられているが、薄肉ゴム層11を設けることなく、突条部12のみを中間筒部材1の内周面に直接設けるようにしてもよい。
【0030】
なお、上記実施形態においては、P方向とQ方向の2方向のそれぞれに一対づつ合計4個の第1及び第2すぐり孔31、31、32、32が設けられているが、2方向のばね定数が異なるようにするには、2方向のうちの少なくとも1方向に一対又は複数対のすぐり孔を設けるようにすればよく、種々の組み合わせを選択することができる。
【0031】
例えば図4に示す筒型ダイナミックダンパは、軸L上で直交する2方向(P方向とQ方向)のうちのP方向においては、中間筒部材1を挟んで軸対称となる部位に、上記実施形態と同様の一対の第1すぐり孔31a、31aが設けられている。しかし、Q方向においては、中間筒部材1を挟んで軸対称となる部位に、二対の第2すぐり孔32a、32a、32a、32aが設けられている。この第2すぐり孔32a、32a、32a、32aは、軸Lを中心とした円周方向のすぐり形成角度θが第1すぐり孔31a、31aのすぐり形成角度αの1/6程度に小さくされている。これにより、第1すぐり孔31a、31aが設けられているP方向のばね定数は大きく低減するように調整され、第2すぐり孔32a、32a、32a、32aが設けられているQ方向のばね定数は小さく低減するように調整されている。
【0032】
また、図5に示す筒型ダイナミックダンパは、軸L上で直交する2方向(P方向とQ方向)のうちのP方向においては、中間筒部材1を挟んで軸対称となる部位に、上記実施形態と同様の一対の第1すぐり孔31b、31bが設けられているが、Q方向においては、すぐり孔が全く設けられていない。この場合には、第1すぐり孔31b、31bが設けられているP方向のばね定数は大きく低減するように調整されているのに対して、Q方向のばね定数は低減されるように調整されていないので、P方向とQ方向のばね比をより大きく設定する場合に有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る筒型ダイナミックダンパの軸方向から見た正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る筒型ダイナミックダンパの軸方向に沿う断面図であって図1のII−II線矢視断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る筒型ダイナミックダンパをドライブシャフトに取付けた状態を示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る筒型ダイナミックダンパの軸方向から見た正面図である。
【図5】本発明の更に他の実施形態に係る筒型ダイナミックダンパの軸方向から見た正面図である。
【符号の説明】
【0034】
1…中間筒部材 2…質量部材 3…ゴム弾性支持部材 5…回転軸
11…薄肉ゴム層 12…突条部 13…被覆ゴム層 21…質量体
22…被覆ゴム層 22a…凹部 31、31a、31b…第1すぐり孔
32、32a…第2すぐり孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面に固着された薄肉ゴムを有する円筒状の中間筒部材と、該中間筒部材の径方向外側に同軸状に配置される円筒状の質量部材と、前記中間筒部材と前記質量部材との間に介在して前記質量部材を弾性支持するゴム弾性支持部材と、を備え、回転軸の外周に圧入により嵌装される筒型ダイナミックダンパであって、
前記ゴム弾性支持部材は、前記中間筒部材の軸と直角の平面上において前記軸上で直交する2方向のばね定数が異なるように構成されていることを特徴とする筒型ダイナミックダンパ。
【請求項2】
前記ゴム弾性支持部材は、前記2方向のうちの少なくとも1方向における前記中間筒部材を挟んで軸対称となる部位に、軸方向に貫通するばね定数調整用のすぐり孔が設けられている請求項1に記載の筒型ダイナミックダンパ。
【請求項3】
前記すぐり孔は、前記2方向のそれぞれに一対づつ設けられ、前記軸を中心とした円周方向におけるすぐり形成角度が前記2方向において異なるようにされている請求項2に記載の筒型ダイナミックダンパ。
【請求項4】
前記薄肉ゴムは、前記中間筒部材の内周面から径方向内方に突出して軸方向に延びる複数の突条部を有する請求項1〜3に記載の筒型ダイナミックダンパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−177525(P2006−177525A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−374229(P2004−374229)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)