説明

筒型水槽及び水槽装置

【課題】本発明は、極めて商品価値の高い画期的な筒型水槽及び水槽装置を提供することを目的とする。
【解決手段】水槽1内に立設状態で設けられ、この水槽1内に配された水に没する部位に通水部3を有し、この水槽1内の水位W1よりも高い水位W2を保持し得る構成の筒型水槽であって、前記水槽1内に載置される径大筒状部2Aと、この径大筒状部2Aの上部に設けられ該径大筒状部2Aよりも径小の径小筒状部2Bとから成り、前記径大筒状部2Aは前記水槽1内に載置した際、前記水槽1の上縁部1aより突出しないように構成され、また、前記径小筒状部2Bは前記径大筒状部2Aを前記水槽1内に載置した際、前記水槽1の上縁部1aから突出するように構成されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば水槽内に立設状態に設けられる筒型水槽及び水槽装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば実用新案登録第3103814号に開示されるように、上面が開口した箱型の水槽内に立設状態に配され、この水槽の上方に柱状の水域を形成することができる筒型水槽(以下、従来例)が提案されている。
【0003】
具体的には、この従来例は、上部が閉塞され下部が開口された有天筒状体であり、大気圧を利用して水槽内の水の水位よりも内部に配された水の水位を高く保持し得るものである。
【0004】
この水槽内に立設状態となる従来例の内部に水を配する方法としては、水を配した水槽内で立設状態とし、ホースなどを用いて内部の空気を抜く方法や、水を配した水槽内で倒して内部に水を配した後、この内部に入った水が抜けないように起こして立設状態とする方法などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3103814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来例は、デザイン上(水槽の横巾に対する大きさのバランスの関係から)、従来例における水槽の上縁部から突出する部位は、径がある程度細く且つ水槽の上縁部から背高く突出した状態となるものが良いとされており、従来例は細長い形状に形成されているため非常に安定性が悪く、よって、従来例は突然倒れてしまい、水槽内の水が溢れてしまうという問題点がある。この場合、水槽には上縁部付近まで水が配されるのが一般的であるから、従来例が倒れると、内部の水が水槽内に水が流れ込み、よって、水槽の上縁部から水が溢れ出てしまう。
【0007】
本発明は、上述の問題点を解決し、極めて商品価値の高い画期的な筒型水槽及び水槽装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
水槽1内に立設状態で設けられ、この水槽1内に配された水に没する部位に通水部3を有し、この水槽1内の水位W1よりも高い水位W2を保持し得る構成の筒型水槽であって、前記水槽1内に載置される径大筒状部2Aと、この径大筒状部2Aの上部に設けられ該径大筒状部2Aよりも径小の径小筒状部2Bとから成り、前記径大筒状部2Aは前記水槽1内に載置した際、前記水槽1の上縁部1aより突出しないように構成され、また、前記径小筒状部2Bは前記径大筒状部2Aを前記水槽1内に載置した際、前記水槽1の上縁部1aから突出するように構成されていることを特徴とする筒型水槽に係るものである。
【0010】
また、請求項1記載の筒型水槽において、前記径大筒状部2Aと前記径小筒状部2Bとの境界部4は前記水槽1の上縁部1aに略一致する高さに設定されていることを特徴とする筒型水槽に係るものである。
【0011】
また、請求項1,2いずれか1項に記載の筒型水槽において、前記径大筒状部2Aの周面には、開口する前記通水部3が設けられていることを特徴とする筒型水槽に係るものである。
【0012】
また、請求項1〜3いずれか1項に記載の筒型水槽において、前記径小筒状部2Bの上面部には排気孔部10が設けられていることを特徴とする筒型水槽に係るものである。
【0013】
また、請求項1〜4いずれか1項に記載の筒型水槽において、前記径大筒状部2Aは透明であることを特徴とする筒型水槽に係るものである。
【0014】
また、水槽1と、この水槽1内に立設状態で設けられ、この水槽1内に配された水に没する部位に通水部3を有し、この水槽1内の水位W1よりも高い水位W2を保持し得る筒型水槽2とで構成される水槽装置であって、前記筒型水槽2は、前記水槽1内に載置される径大筒状部2Aと、この径大筒状部2Aの上部に設けられ該径大筒状部2Aよりも径小の径小筒状部2Bとから成り、前記径大筒状部2Aは前記水槽1内に載置した際、前記水槽1の上縁部1aより突出しないように構成され、また、前記径小筒状部2Bは前記径大筒状部2Aを前記水槽1内に載置した際、前記水槽1の上縁部1aから突出するように構成されていることを特徴とする水槽装置に係るものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上述のように構成したから、良好な体裁を確保しつつ安定性を飛躍的に向上することができるなど極めて商品価値の高い画期的な筒型水槽及び水槽装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施例の使用状態説明図である。
【図2】本実施例を示す斜視図である。
【図3】本実施例に係る要部の説明断面図である。
【図4】本実施例の概略動作説明図である。
【図5】本実施例の概略動作説明図である。
【図6】本実施例の概略動作説明図である。
【図7】本実施例の概略動作説明図である。
【図8】別実施例に係る要部の説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0018】
例えば、水を配した水槽1内で立設状態としてホースなどを用いて内部の空気を抜くか、或いは、水を配した水槽1内で倒して内部に水を配した後、内部に入った水が抜けないように起こして立設状態としたりすると、水槽1内の水位W1よりも内部の水位W2が高く保持された状態が得られることになる。
【0019】
水槽1内は勿論、本発明に係る筒型水槽内にも例えば魚や水草を配して観賞することができる。
【0020】
ところで、本発明は、水槽1内に載置される径大筒状部2Aと、この径大筒状部2Aの上部に設けられ該径大筒状部2Aよりも径小の径小筒状部2Bとから成り、径大筒状部2Aは水槽1内に載置した際、水槽1の上縁部1aより突出しないように構成され、また、径小筒状部2Bは径大筒状部2Aを水槽1内に載置した際、水槽1の上縁部1aから突出するように構成されており、この構成から、良好な体裁を確保しつつ安定性を飛躍的に向上することができる。
【0021】
即ち、水槽1内の水中に配される部位(特に透明な部材)は水槽1の外部からは見にくい為、この水中に配される部位を径大としても体裁に影響はなく、このことから、本発明は、水槽1の上縁部1aから突出する部位(径小筒状部2B)はデザイン上好ましい状態(径小で且つ高さのある状態)としながら、水中内に配される部位(径大筒状部2A)は安定性のある径大としている。
【0022】
従って、安定化を達成する構造として、特別な支持装置などは使用せず、形状の設定という極めて簡易な構造により良好な体裁を確保し安定性を飛躍的に向上させることができる。
【0023】
また、径大筒状部2Aと径小筒状部2Bとの境界部4は水槽1の上縁部1aに略一致する高さに設定されている場合には、この径の異なる部位を設けることで生じる段差を水槽1の上縁部1aによって見えにくくすることができ、より一層良好な体裁を確保することができる。例えば水槽1の上縁部1aには帯状の枠が設けられているのが一般的であり(通常、この枠に水面が隠れる程度に水槽1内には水が配される。)、この枠を有する水槽1であれば径大筒状部2Aと径小筒状部2Bとの境界部4に形成される段差をより確実に見えにくくすることができる。
【0024】
また、径大筒状部2Aの周面には、開口する通水部3が設けられている場合には、それだけ安定性を確保しつつ水槽1内の水と通水状態とする通水部3を大きく設けることができ、よって、例えば水や酸素の出入りが良好に行なわれるなど水質の安定化が達成され、しかも、例えば魚の出入りが行い易いなど生物の良好な育成環境が得られることになる。
【実施例】
【0025】
本発明の具体的な一実施例について図面に基づいて説明する。
【0026】
本実施例は、水槽1内に立設状態に配され、該水槽1内に配された水に没する部位に通水部3を有して、当該水槽1内の水の水位W1よりも内部に配された水の水位W2を高く保持し得る筒型水槽2である。本実施例で採用される水槽1は、透明材からなる上面が開口した既存(規格サイズ)の箱型水槽であり、上縁部1aには帯状の枠1Aが設けられている。尚、水槽1としては、水を配する容器であれば良いなど、本実施例の特性を発揮するものであれば適宜採用し得るものである。
【0027】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細な説明をする。
【0028】
筒型水槽2は、図1〜3に図示したように適宜な透明の合成樹脂材(アクリル樹脂)を成形したものであり、上部が閉塞され下部が開口された有天筒状体である。
【0029】
具体的には、水槽1内に載置される断面円形の径大筒状部2Aと、この径大筒状部2Aの上部中央に環状部材2aを介して連設され、該径大筒状部2Aよりも径小となる断面円形の径小筒状部2Bとで構成され、この径小筒状部2Bの上端部は天板材2bにより閉塞され、径大筒状部2Aの下端部は開口されている。尚、筒型水槽2を構成する径大筒状部2Aも径小筒状部2Bも透明としたが、径大筒状部2Aのみを透明とし、径小筒状部2Bの一部のみ透明とするなど、適宜設定し得るものである。
【0030】
また、筒型水槽2は、径大筒状部2Aを水槽1内に載置した際、径小筒状部2Bのみが水槽1の上縁部1a(枠1A)から突出状態となる寸法に設定され、更に、径大筒状部2Aと径小筒状部2Bとの段差状の境界部4が水槽1の上縁部1a(枠1A)に略一致する高さに設定されている。
【0031】
また、径大筒状部2Aには、該径大筒状部2Aの周面に開口する通水部3が設けられている。
【0032】
この通水部3は、図2に図示したように径大筒状部2Aの周面に等間隔で複数(4個)形成されており、径大筒状部2Aの下端開口部に開口する切欠孔を設けて構成されている。
【0033】
また、径小筒状部2Bには、図4に図示したように上面部(天板材2b)に排気孔部10を設けても良い。
【0034】
即ち、この排気孔部10は、径小筒状部2Bの天板材2bに設けた貫通孔10aに開閉弁体10bを設けて構成されている。後述する本実施例の内部に水を配する方法と同様、この排気孔部10にホース11を接続して内部の空気を吸引して排出することができる。この構造であれば後述する方法に比してホース11の取り扱いが簡易である。
【0035】
符号7は観賞魚、8は水草、9は土である。
【0036】
以上の構成からなる本実施例に係る筒型水槽2の内部に水を配する方法について説明する。
【0037】
先ず、図5に図示したように内部に水を配した水槽1内に筒型水槽2を立設状態とするとともに、ホース11を筒型水槽2の内部に入れる(ホース11の先端が径小筒状部2Bの天板材2bの近傍に位置するように入れる。)。この際、水槽1内の水の水位W1と筒型水槽2内の水の水位W2とは同一である。
【0038】
続いて、図6に図示したようにホース11により筒型水槽2の内部の空気を吸引して抜くことで内部に水を配する。この際、水槽1内の水の水位W1は筒型水槽2内に水が入った分だけ降下し、筒型水槽2内の水の水位W2は上昇する。ホース11による吸引を停止しても大気圧により水槽1内の水の水位W1よりも筒型水槽2の内部に配された水の水位W2を高く保持し得ることになる。
【0039】
引き続き、ホース11により筒型水槽2の内部の空気を吸引して抜いて筒型水槽2の天板材2bの位置まで水位W2を上げる(図7参照)。この際、水槽1内の水の水位W1が開口部3に達しないように注意する。
【0040】
その後、図8に図示したように水槽1内の水の水位W1が適正位置となるように水を補充する。
【0041】
尚、筒型水槽2の内部に水を配する方法としては、前述した方法に限られるものではなく、水を配した水槽1内で倒して内部に水を配した後、内部に入った水が抜けないように起こして立設状態としたりする方法など、適宜採用し得るものである。
【0042】
本実施例は上述のように構成したから、安定化を達成する構造として、特別な支持装置などは使用せず、形状の設定という極めて簡易構造でありながら良好な体裁を確保しつつ安定性を飛躍的に向上することができる。
【0043】
また、本実施例は、既存の水槽1に付与することで水量を多くすることができ、生物の育成に適した環境(良好な水質環境)が得られることになる。
【0044】
また、本実施例は、径大筒状部2Aと径小筒状部2Bとの境界部4は水槽1の上縁部1aに略一致する高さに設定されているから、この径の異なる部位を設けることで生じる段差を水槽1の上縁部1aによって見えにくくすることができ、より一層良好な体裁を確保することができる。
【0045】
また、本実施例は、径大筒状部2Aの周面には、開口する通水部3が設けられているから、それだけ安定性を確保しつつ水槽1内の水と通水状態とする通水部3を大きく設けることができ、よって、例えば水や酸素の出入りが良好に行なわれるなど水質の安定化が達成され、しかも、例えば魚の出入りが行い易いなど生物の良好な育成環境が得られることになる。
【0046】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、例えば観賞魚や水草の育成に際し、極めてデザイン性に秀れたレイアウトを実現する筒型水槽及び水槽装置である。
【符号の説明】
【0048】
W1 水位
W2 水位
1 水槽
1a 上縁部
2A 径大筒状部
2B 径小筒状部
3 通水部
4 境界部
10 排気孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽内に立設状態で設けられ、この水槽内に配された水に没する部位に通水部を有し、この水槽内の水位よりも高い水位を保持し得る構成の筒型水槽であって、前記水槽内に載置される径大筒状部と、この径大筒状部の上部に設けられ該径大筒状部よりも径小の径小筒状部とから成り、前記径大筒状部は前記水槽内に載置した際、前記水槽の上縁部より突出しないように構成され、また、前記径小筒状部は前記径大筒状部を前記水槽内に載置した際、前記水槽の上縁部から突出するように構成されていることを特徴とする筒型水槽。
【請求項2】
請求項1記載の筒型水槽において、前記径大筒状部と前記径小筒状部との境界部は前記水槽の上縁部に略一致する高さに設定されていることを特徴とする筒型水槽。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載の筒型水槽において、前記径大筒状部の周面には、開口する前記通水部が設けられていることを特徴とする筒型水槽。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1項に記載の筒型水槽において、前記径小筒状部の上面部には排気孔部が設けられていることを特徴とする筒型水槽。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか1項に記載の筒型水槽において、前記径大筒状部は透明であることを特徴とする筒型水槽。
【請求項6】
水槽と、この水槽内に立設状態で設けられ、この水槽内に配された水に没する部位に通水部を有し、この水槽内の水位よりも高い水位を保持し得る筒型水槽とで構成される水槽装置であって、前記筒型水槽は、前記水槽内に載置される径大筒状部と、この径大筒状部の上部に設けられ該径大筒状部よりも径小の径小筒状部とから成り、前記径大筒状部は前記水槽内に載置した際、前記水槽の上縁部より突出しないように構成され、また、前記径小筒状部は前記径大筒状部を前記水槽内に載置した際、前記水槽の上縁部から突出するように構成されていることを特徴とする水槽装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−193813(P2010−193813A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43401(P2009−43401)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(509029782)有限会社 モリシステム (1)
【Fターム(参考)】