説明

筒状花火

【課題】 従来の筒状花火の、小形であって火薬の量が少なく、吹き出す火花も小さいにも拘わらず花火自体が嵩張って取り扱いが不便であり、しかも吹き出される火花は吹き出し始めから終わりまで一定で単調であり、その火花を大きくすることが出来ない点を改良した筒状花火を提供する。
【解決手段】 円筒状に成形されていた従来の筒状花火の全体若しくは上端部を略円錐状に成形して上蓋の無いものにし、このように構成することにより上蓋にガス圧が作用することを無くし、これに起因する破損の恐れも無くして、大形の筒状花火を形成し、筒体内のガス圧を高くして大きな火花を吹き上げることが可能なものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状花火、特に外筒を略円錐状に形成した花火に関するものである。
【背景技術】
【0002】
筒状花火は一種の吹出花火であって、円筒状に成形された筒体(外筒)1に火薬2が充填されており、その上蓋3の中央に噴出口31が形成されていて、火薬2に着火するとその急激な燃焼力により火花を噴出口31から吹き出す方式の花火である。
即ち筒状花火は、火薬2の燃焼によって生じる燃焼ガスにより外筒1内の圧力が急激に高まり、そのガス圧により燃焼ガスが火薬の燃焼によって発生する火花を伴なって噴出口31から吹き出るもので、火花は数米先まで吹き出すし、しかも筒状花火自体にはその反動力が作用するので、筒状花火には予め固定具が取り付けられていて、筒状花火を所定の位置に確実に起立姿勢を保つようにしてセットし、しかる後火薬に着火することにより火花を上方に向けて吹き上げさせることが必要とされている。
そのため従来の筒状花火は、小形であって火薬2の量が少なく、吹き出す火花も小さいにも拘わらず嵩張って取り扱いが不便であった。
しかもその火花は吹き出し始めから終わりまでほゞ一定で単調であるという欠点があった。
【0003】
外筒1内で火薬2は上面から順に燃焼するので、外筒1の内径を大きくして火薬2の燃焼面積を大きくすれば、それだけ燃焼ガスの生成量も増加し、外筒1内のガス圧も高くなって火花を大きくすることが期待される。ところが燃焼ガスの生成量は火薬2の燃焼面積、即ち外筒1の内径の2乗にほゞ比例するのであり、しかもガス圧が上蓋3に作用する力は上蓋3の面積、即ち外筒1の内径の2乗に比例するので、内径を大きくしようとするとそれだけ蓋部分が破損する恐れが大きくなる。
そのため従来の筒状花火の大きさは蓋部分の強度の点で制約されていた。
【特許文献1】特開2003−343999号公報
【特許文献2】特開平10−160395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、従来の筒状花火は、小形であって火薬の量が少なく、吹き出す火花も小さいにも拘わらず嵩張って取り扱いが不便であり、その火花は吹き出し始めから終わりまで一定で単調であった。しかも、その火花を大きくすることが出来ない点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、従来円筒状に成形されていた筒状花火の全体若しくは上端部を略円錐状に成形し、それにより上蓋を無くして噴出口を外筒の上端に形成したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の筒状花火は、外筒の全体若しくは上端部を略円錐状に成形したもので、上蓋3は必然的に無くなり、噴出口が直接外筒の上端に形成される。
また、上蓋が無いことにより、上蓋にガス圧が作用することが無くなり、これに起因する破損の恐れも無くなるので大形の筒状花火を形成し、筒体内のガス圧を高くして大きな火花を吹き上げることが可能となり、筒状花火に対する興味や利用価値が著しく増大する。
筒状花火のほゞ全体を略円錐状に成形したものは、外筒の底部が必然的に多きくなり、これ自体が外筒と一体化した固定具とし機能する。そのため、この筒状花火は従来の円筒状の筒状花火に比べて数倍〜十数倍の大きさであるにも拘らず従来のものとほゞ同程度の嵩であり、地面や発射台の上に単に置くだけで姿勢が安定し、そのまま着火することが出来るので取り扱いの点でも使用上の点でも極めて優れている。
この筒状花火は火薬の燃焼が進むに従って次第に燃焼面積が大きくなって燃焼ガスの生成量が増加するので吹き上げられる火花が大きくなると共に高くなり、見るものに一層の興味が増大する。更に、本発明は発生する火花の色や燃焼性等の相違する2種以上の火薬を層状に充填したので吹き上がる火花の色や量も時間の経過と共に変化して見る者の興味が一層増大するという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明に係る筒状花火を図示の実施例に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は、本発明の筒状花火の一実施例の断面図を示している。
この実施例では筒状花火は外筒4と火薬5(5−1、5−2、5−3、・・・・)とから成り、火薬5は外筒4内に密に充填されている。
外筒4は、傾斜角度が60〜85°程度、高さが200〜400mm程度の略円錐状に成形されたものであり、従来の筒状花火の外筒と同じくクラフト紙などの丈夫な紙を貼り重ねて堅牢で難燃性に作られており、上端に噴出口41が形成されていて、ここから火花を吹き上げる様になっている。
また、その底部には内面に土などの重量物43が入れられていて、筒状花火を重くして使用中に風などによって吹き倒されることのないようにするとともに、燃焼熱から底面42を保護している。
火薬5は通常のこの種の筒状花火の火薬と同様のものであり、所定の速度で燃焼するものが充填されており、その最上位のもの5−1には導火線6が接続されていて、これに点火することにより火薬5に着火する様になっている。
尚、この実施例では火薬5は、青色の火花を出すものや赤色の火花を出すもの、燃焼性の異なるものなどが層状に充填されていて、燃焼が進むにしたがって火花の吹き出し量や色が変化するようにしてある。
【0009】
導火線6に点火すると、それが火薬5に伝えられて最上位のもの5−1から下位に向かって順に燃焼する。
この筒状花火は略円錐状をしていて上端から下方へ向かって次第に径寸法が大きくなっており、火薬5は上位から下位に向かって次第に燃焼面積が拡大しているので、燃焼が進むに従って燃焼量が増大する。その結果燃焼ガスの生成量が増加し、外筒4内のガス圧が増加して、より多くの火花が高く吹き上げられることゝなる。
加えて、この筒状花火には燃焼性、例えば燃焼速度の異なる火薬や発光色の異なる火薬が層状に充填されていて、上位ものものから順に燃焼するので、火花の吹き上げ量は一様に増加するのではなく、増減しながら次第に増加するのであり、火花の色も次第に変化する。
【実施例2】
【0010】
図2は、本発明の筒状花火の他の実施例示している。
この実施例では筒状花火は上端部分を円錐状にしたもので、円胴7と円錐体8とから成り、両者が一体的に形成されて外筒を構成していて、従来の筒状花火の上蓋3の無いものにしてある。
このものは基本的には実施例1に示す筒状花火と同様であって、外筒は堅牢で難燃性に作られており、円錐体8の上端には噴出口81が形成され、内部には火薬が密に充填されている。
尚、図示はしないがこの筒状花火は、使用するときは従来のものと同じく固定具を用いて所定の箇所に固定させるようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0011】
従来は主として載置式や手持ち式の筒状花火として用いられた小形の玩具花火を、全体若しくは上端部を略円錐状に成形して上蓋を無くしたことにより、直径が100mm程度以上の大型の屋外用の花火にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る筒状花火の一実施例を示す縦断面図である。(実施例1)
【図2】筒状花火の他の一実施例を示す縦断面図である。(実施例2)
【図3】従来の筒状花火の例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0013】
4 外筒
5 火薬
6 導火線
41 噴出口
42 底面
43 重量物
7 円胴
8 円錐体
81 噴出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒は、傾斜角度が60〜85度、高さが200〜400mmの略円錐状に成形されており、その上端に噴出口41が形成されていて、ここから火花を吹き上げるように構成されていることを特徴とする筒状花火。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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