説明

管制装置、管制システムおよび管制記録処理方法

【課題】管制画面をその画面に応じた通話内容とともに容易に再生することを可能にする管制装置、管制システムおよび管制記録処理方法を提供する。
【解決手段】信号圧縮手段161は、映像信号分岐装置120から映像信号を受け付け、また、音声信号分岐装置150から音声信号を受け付け、その映像信号とその音声信号に対して信号圧縮処理を行い、圧縮された映像信号および音声信号の同期を取り、その後、その圧縮された映像信号および音声信号を記録手段162に送信する。記録手段162は、信号圧縮手段161から、圧縮された映像信号および音声信号を受信し、その圧縮された映像信号および音声信号を記録媒体163に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管制装置、管制システムおよび管制記録処理方法に関し、特には、管制画面と、音声での通話内容と、を記録する管制装置、管制システムおよび管制記録処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の航空管制システムでは、管制官の航空機に対する指示内容、管制官の管制画面に対する操作、および、管制官の音声での通話内容は、それぞれ別の装置に記録されていた。
【0003】
また、特許文献1(特開2005−284651号公報)には、航空管制画面を表す画像情報と、管制官の音声での通話内容を表す音声情報と、を保存する航空管制用インタフェース装置が記載されている。
【0004】
この航空管制用インタフェース装置では、音声情報は、その音声情報に対応する識別子と共に記録され、また、航空管制画面に、その識別子に対応する音声情報を再生するための音声再生用アイコンが表示される。ユーザは、音声情報を再生したいタイミングで、そのアイコンを操作すれば、航空管制用インタフェース装置に、その音声情報に応じた通話内容を再生させることができる。
【特許文献1】特開2005−284651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
管制官の航空機に対する指示内容、管制官の管制画面に対する操作、および、管制官の音声での通話内容のそれぞれが、別々の装置に記録されている場合、管制状況の評価および事故調査などの際に、これらの記録内容を別々に再生し、それらを時間軸に沿って整列しなおす作業が必要となり、作業効率が低下する原因となっていた。
【0006】
また、特許文献1に記載の航空管制用インタフェース装置でも、航空管制画面と通話内容の同期を取る場合、航空管制画面に合わせて音声再生用アイコンをクリックするという作業が必要となり、作業効率が低下する。
【0007】
なお、この作業効率の低下に関する問題は、航空管制装置に限らず、乗り物を管制する管制装置に共通する。
【0008】
本発明の目的は、管制画面をその画面に応じた通話内容とともに容易に再生することを可能にする管制装置、管制システムおよび管制記録処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の管制装置は、乗り物を監視する監視装置から該乗り物を管制するための管制情報を受け付け、また、前記乗り物と音声信号を通信し、また、前記乗り物の管制に関する情報を記録媒体に記録する管制装置であって、音声を受け付けた場合に、該音声に応じた音声信号を生成し該音声信号を前記乗り物に出力し、また、前記乗り物から音声信号を入力した場合に、該入力された音声信号に応じた音声を出力する音声通話部と、前記監視装置から受け付けた管制情報に基づいて映像信号を生成する表示制御部と、前記表示制御部にて生成された映像信号に応じた管制画面を表示する表示部と、前記表示制御部にて生成された映像信号と、前記音声通話部に入出力された音声信号と、を同期させて前記記録媒体に記録する記録部と、を含む。
【0010】
また、本発明の管制記録処理方法は、乗り物を監視する監視装置から該乗り物を管制するための管制情報を受け付け、また、前記乗り物と音声信号を通信し、また、前記乗り物の管制に関する情報を記録媒体に記録する管制装置が行う管制記録処理方法であって、音声を受け付けた場合に、該音声に応じた音声信号を生成し該音声信号を前記乗り物に出力する送信ステップと、前記乗り物から音声信号を入力した場合に、該入力された音声信号に応じた音声を出力する出力ステップと、前記監視装置から受け付けた管制情報に基づいて映像信号を生成する生成ステップと、前記映像信号に応じた管制画面を表示する表示ステップと、前記映像信号と前記音声信号とを同期させて前記記録媒体に記録する記録ステップと、を含む。
【0011】
上記発明によれば、管制画面に応じた映像信号と、音声通信に応じた音声信号とが、同期されて記録媒体に記録される。このため、記録媒体に記録された映像信号および音声信号を一括して読み取って再生処理すれば、管制画面と音声通信内容との同期を容易に取ることが可能になる。
【0012】
なお、前記記録部は、前記映像信号および前記音声信号を圧縮して圧縮映像信号および圧縮音声信号を生成し、該圧縮映像信号および該圧縮音声信号を同期させる圧縮部と、前記圧縮部にて同期された圧縮映像信号および圧縮音声信号を、同時に前記記録媒体に記録する信号記録部と、を含むことが望ましい。
【0013】
上記発明によれば、記録媒体に記録される信号の容量を少なくすることが可能になる。
【0014】
また、前記信号記録部は、さらに、前記記録媒体から、同時に記録された前記圧縮映像信号および前記圧縮音声信号を読み取り、前記信号記録部にて読み取られた圧縮映像信号を伸張して前記映像信号を復元し、前記表示部に、該復元された映像信号に応じた管制画面を表示させ、また、該信号記録部にて読み取られた圧縮音声信号を伸張して前記音声信号を復元し、前記音声通話部に、該復元された音声信号に応じた音声を出力させる信号伸張部をさらに含むことが望ましい。
【0015】
上記発明によれば、記録媒体に各信号を記録した管制装置が、その記録された各信号に基づいて管制画面および音声通信を再生することが可能になる。このため、実際に管制画面を取り扱う場合と同じ方法で再生画面を扱うことができるようになる。これにより、実際に使用される管制装置を使用した慣熟訓練などにも、本管制装置を使用することが可能となる。
【0016】
また、本発明の管制システムは、前記管制装置を複数含む管制システムであって、各管制装置は、前記表示制御部にて生成された映像信号を前記音声通話部にて入出力された音声信号と共に他の管制装置に送信し、また、前記信号記録部にて読み取られた圧縮映像信号および圧縮音声信号を、該他の管制装置に送信する信号送信部と、前記他の管制装置から前記映像信号および前記音声信号を受け付けた場合には、前記表示部に該映像信号に応じた管制画面を表示させかつ前記音声通話部に該音声信号に応じた音声を出力させ、また、該他の管制装置から前記圧縮映像信号および前記圧縮音声信号を受け付けた場合には、該圧縮映像信号および該圧縮音声信号を前記信号伸張部に提供する信号受信部と、をさらに含み、前記信号伸張部は、前記信号受信部から提供された圧縮映像信号を伸張して前記映像信号を復元し、前記表示部に、該復元された映像信号に応じた管制画面を表示させ、また、該信号受信部から提供された圧縮音声信号を伸張して前記音声信号を復元し、前記音声通話部に、該復元された音声信号に応じた音声を出力させる。
【0017】
また、本発明の管制記録処理方法は、前記管制装置を複数含む管制システムが行う管制記録処理方法であって、前記管制装置が、前記映像信号を前記音声信号と共に他の管制装置に送信する第1送信ステップと、前記管制装置が、前記圧縮映像信号および前記圧縮音声信号を該他の管制装置に送信する第2送信ステップと、前記管制装置が、前記他の管制装置から前記映像信号および前記音声信号を受け付けた場合には、該映像信号に応じた管制画面を表示し、かつ、該音声信号に応じた音声を出力する第1出力ステップと、前記管制装置が、前記他の管制装置から前記圧縮映像信号および前記圧縮音声信号を受け付けた場合には、該圧縮映像信号を伸張して前記映像信号を復元し、該復元された映像信号に応じた管制画面を表示し、かつ、該圧縮音声信号を伸張して前記音声信号を復元し、該復元された音声信号に応じた音声を出力する第2出力ステップと、を含む。
【0018】
上記発明によれば、ある管制装置の表示画面を他の管制装置で同時に表示すること、および、ある管制装置の記録を他の管制装置で再生することが可能となり、管制官の負荷が高いときに負荷分散を行ったり、管制運用中に同時に訓練を行ったりすることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、管制画面をその画面に応じた通話内容とともに容易に再生することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施例)
図1は、本発明の第1の実施例の航空管制装置1を示したブロック図である。
【0021】
図1において、航空管制装置1は、表示制御装置(表示制御部)100と、表示装置(表示部)110と、映像信号分岐装置120と、音声通話装置(音声通話部)140と、音声信号分岐装置150と、記録装置(記録部)160と、を含む。表示制御装置100は、不図示の航空機を監視するレーダ情報処理装置等の上位装置(監視装置)1Aと接続され、音声信号分岐装置150は、不図示の航空機と無線通信する通信装置等の上位装置1Bと接続される。
【0022】
上位装置1Aは、例えば、レーダ信号から得られた航空機に関する情報(航空機の位置等)に基づいて航空管制情報を生成し、その航空管制情報を表示制御装置100に提供する。
【0023】
表示制御装置100は、上位装置1Aから航空管制情報を受信し、その航空管制情報に基づいて、航空管制画面を表すための映像信号を生成し、その映像信号を映像信号分岐装置120に提供する。
【0024】
映像信号分岐装置120は、表示制御装置100から受け付けた映像信号を、表示装置110と記録装置160に提供する。
【0025】
表示装置110は、映像信号分岐装置120から受け付けた映像信号に応じた航空管制画面を表示する。
【0026】
なお、表示制御装置100は、管制官が表示装置110の航空管制画面に対して行った操作を受け付け、その操作に基づいて映像信号を変更する。このため、表示制御装置100から提供される映像信号には、管制官の航空管制画面に対する操作が反映される。
【0027】
音声通話装置140は、例えば、マイク、スピーカおよび音声処理部を含み、マイクが、管制官の航空機に対する音声での指示内容を受け付け、音声処理部が、その指示内容に応じた音声信号を生成し、その音声信号を、音声信号分岐装置150および上位装置1Bを介して、航空機に提供する。
【0028】
音声信号分岐装置150は、音声通話装置140から受け付けた音声信号を、上位装置1Bと記録装置160に提供する。
【0029】
上位装置1Bは、音声信号分岐装置150から受け付けた音声信号を、航空機に無線送信する。また、上位装置1Bは、例えば、航空機のパイロットからの管制官に対するメッセージに応じた音声信号を受け付け、その音声信号を音声信号分岐装置150に提供する。
【0030】
音声信号分岐装置150は、上位装置1Bから受け付けた音声信号を、音声通話装置140および記録装置160に提供する。音声通話装置140の音声処理部は、音声信号分岐装置150から音声信号を受け付けると、その音声信号に応じた音声をスピーカから発する。
【0031】
記録装置160は、映像信号分岐装置120および音声信号分岐装置150に接続される。記録装置160は、信号圧縮手段(圧縮部)161と、記録手段(信号記録部)162と、記録媒体163とを含み、信号圧縮手段161は、圧縮手段1610と、スナップショット作成用メモリ1611と、差分記録用メモリ1612ないし1614と、を含む。
【0032】
これらの手段はそれぞれ概略つぎのように動作する。
【0033】
信号圧縮手段161は、映像信号分岐装置120から映像信号を受け付け、また、音声信号分岐装置150から音声信号を受け付け、その映像信号とその音声信号に対して信号圧縮処理を行って圧縮映像信号および圧縮音声信号を生成し、その後、圧縮映像信号と圧縮音声信号との同期を取り、その後、その圧縮映像信号および圧縮音声信号を記録手段162に送信する。
【0034】
記録手段162は、信号圧縮手段161から、圧縮映像信号および圧縮音声信号を受信し、その圧縮映像信号および圧縮音声信号を記録媒体163に記録する。なお、記録媒体163は、記録装置160内に固着されていてもよいし、記録装置160に対して着脱可能でもよい。
【0035】
次に、図1を参照して第1の実施例の動作について詳細に説明する。
【0036】
まず、表示制御装置100から出力された映像信号Aは、映像信号分岐装置120にて受け付けられる。また、音声通話装置140から出力された音声信号A、および、上位装置1Bから出力された音声信号Bは、音声信号分岐装置150にて受け付けられる。
【0037】
映像信号分岐装置120は、映像信号Aを受け付けると、その映像信号Aを、表示装置110および記録装置160に提供する。以下では、表示装置110および記録装置160に提供された映像信号を、映像信号Bと称する。
【0038】
一方、音声信号分岐装置150は、音声信号Aを受け付けると、その音声信号Aを、上位装置1Bおよび記録装置160に提供する。以下では、上位装置1Bおよび記録装置160に提供された音声信号を、音声信号Cと称する。
【0039】
また、音声信号分岐装置150は、音声信号Bを受け付けると、その音声信号Bを、音声通話装置140および記録装置160に提供する。以下では、音声通話装置140および記録装置160に提供された音声信号を、音声信号Dと称する。
【0040】
記録装置160の信号圧縮手段161は、映像信号Bを受け付けると、図2に示す方法により映像信号Bを圧縮して圧縮映像信号Bを生成する。また、信号圧縮手段161は、音声信号Cを受け付けると、その音声信号Cを圧縮して圧縮音声信号Cを生成し、音声信号Dを受け付けると、その音声信号Dを圧縮して圧縮音声信号Dを生成する。
【0041】
なお、信号圧縮手段161が行う信号圧縮処理としては、例えば、公知の信号圧縮処理が用いられてもよく、その圧縮処理は限定されず適宜変更可能である。
【0042】
次に、信号圧縮手段161は、圧縮映像信号B、圧縮音声信号Cおよび圧縮音声信号Dの同期を取り、その後、圧縮映像信号B、圧縮音声信号Cおよび圧縮音声信号Dを記録手段162に提供する。
【0043】
例えば、信号圧縮手段161は、以下のように、圧縮映像信号B、圧縮音声信号Cおよび圧縮音声信号Dの同期を取る。
【0044】
信号圧縮手段161は、例えば、測定部と、同期部とを含み、その測定部は、映像信号B、音声信号Cおよび音声信号Dの受け付けタイミングを測定し、その同期部は、その測定部の測定結果を用いて、映像信号B、音声信号Cおよび音声信号Dの中から、同じタイミングで受け付けた信号を特定し、その特定された信号同士の圧縮信号(例えば、圧縮映像信号Bおよび圧縮音声信号C)を、同じタイミングで、記録手段162に提供する。
【0045】
なお、信号圧縮手段161が行う同期処理は、上記に限らず適宜変更可能である。
【0046】
記録手段162は、信号圧縮手段161から同じタイミングで受け付けた圧縮信号(例えば、圧縮映像信号Bおよび圧縮音声信号C)を、同時に記録媒体163に記録する。このため、記録媒体163には、信号圧縮手段161が同じタイミングで受け付けた信号に対応する圧縮信号同士が、同期した状態で記録される。
【0047】
次に、図2を参照して映像信号Bの圧縮処理の一例について詳細に説明する。なお、図2において、図1に示したものと同一のものには同一符号を付してある。
【0048】
なお、映像信号Bにて表される航空管制画面では、1秒間に60のフレームが表示されるものとする。記録装置160は、映像信号Bを、画像の劣化無く圧縮して記録する。
【0049】
まず、圧縮手段1610は、第1フレームの映像信号を、スナップショット作成用メモリ1611および差分記録用メモリ1612に格納する(図2(a)参照)。
【0050】
次に、圧縮手段1610は、スナップショット作成用メモリ1611に格納されている映像信号を、記録手段162に転送し、同時に、第2フレームの映像信号を、差分記録用メモリ1613に格納する(図2(b)参照)。
【0051】
次に、圧縮手段1610は、差分記録用メモリ1612内の映像信号と、差分記録用メモリ1613内の映像信号の差分を抽出し、その差分を記録手段162に転送し、同時に、第3フレームの映像信号を、差分記録用メモリ1614に格納する(図2(c)参照)。
【0052】
次に、圧縮手段1610は、差分記録用メモリ1613内の映像信号と、差分記録用メモリ1614内の映像信号の差分を抽出し、その差分を記録手段162に転送する(図2(d)参照)。
【0053】
以下、圧縮手段1610は、第60フレームの映像信号を差分記録用メモリ1614に格納した後、第61フレームの映像信号をスナップショット作成用メモリ1611および差分記録用メモリ1612に格納し、差分記録用メモリ1613内の映像信号と差分記録用メモリ1614内の映像信号の差分を抽出し、その差分を記録手段162に転送するまで、上記処理を繰り返す(図2(e)および(f)参照)。なお、その後、圧縮手段1610は、60フレーム単位で、上記処理を繰り返す。
【0054】
なお、圧縮手段1610は、上記測定部の機能および上記同期部の機能を有し、映像信号の圧縮信号(スナップショットおよび差分)を、その圧縮信号の元となるフレームと同じタイミングで受け付けた音声信号に対応する圧縮信号と、同時に記録手段162に提供する。
【0055】
次に、第1の実施例の効果について説明する。
【0056】
第1の実施例では、映像信号が、一定周期のスナップショットと、前フレームとの差分により記録されているため、映像信号を劣化させること無く圧縮した状態で記録することができる。
【0057】
また、記録装置160は、表示装置110で表示される航空管制画面の元となる映像信号を記録するため、最終的に表示装置110に表示された表示内容を示す映像信号を記録できる。
【0058】
さらに、記録装置160は、航空管制画面に応じた映像信号と、航空機との音声通信に応じた音声信号と、を同期させて記録媒体163に記録するため、航空管制において必要な情報を1元管理することができ、また、記録媒体163に記録された映像信号および音声信号を一括して読み取って再生処理すれば、航空管制画面と音声通信内容との同期を容易に取ることが可能になる。
【0059】
また、圧縮映像信号および圧縮音声信号が記録媒体163に記録されるため、記録媒体163に記録される信号の容量を少なくすることが可能になる。
(第2の実施例)
次に、本発明の第2の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0060】
図3は、第2の実施例の航空管制装置1aを示したブロック図である。なお、図3において、図1に示したものと同一のものには同一符号を付してある。以下、航空管制装置1aについて、図1に示した航空管制装置1と異なる点を中心に説明する。
【0061】
図3において、航空管制装置1aは、図1に示した記録装置160の代わりに記録装置260を含む点が、航空管制装置1と異なる。
【0062】
記録装置260は、信号圧縮手段161と、記録手段162と、記録媒体163と、信号伸張手段264と、を含む。
【0063】
記録手段162は、記録媒体163から、同じタイミングで記録された圧縮信号(例えば、圧縮映像信号B、圧縮音声信号CおよびD)を読み出し、その圧縮信号を信号伸張手段264に提供する。
【0064】
信号伸張手段264は、記録手段162から提供された圧縮信号を伸張する。具体的には、信号伸張手段264は、圧縮映像信号Bを受け付けると、圧縮映像信号Bを伸張して映像信号Bを復元し、圧縮音声信号Cを受け付けると、圧縮音声信号Cを伸張して音声信号Cを復元し、圧縮音声信号Dを受け付けると、圧縮音声信号Dを伸張して音声信号Dを復元する。
【0065】
信号伸張手段264は、その復元された映像信号Bを、映像信号分岐装置120を経由して表示装置110に提供し、映像信号Bに応じた航空管制画面を表示装置110で表示する。
【0066】
また、信号伸張手段264は、その復元された音声信号Cおよび音声信号Dを、音声信号分岐装置150を経由して音声通話装置140に提供し、音声信号Cに応じた音声と、音声信号Dに応じた音声を、音声通話装置140から出力する。
【0067】
次に、本発明の第2の実施例の効果について説明する。
【0068】
本発明の第2の実施例では、信号伸張手段264は、記録媒体163に記録された圧縮映像信号および圧縮音声信号を伸張して映像信号および音声信号を復元し、表示装置110に、その復元された映像信号に応じた航空管制画面を表示させ、音声通話装置140に、その復元された音声信号に応じた音声(管制時の音声)を出力させる。
【0069】
この場合、航空機の管制に関する情報(映像信号および音声信号)の記録を行った航空管制装置1aが、その記録された情報を再生することが可能となるため、ユーザは、実際の航空管制画面を取り扱うのと同じ方法で再生画面を扱うことができるようになる。これにより、実際に航空管制に使用されている航空管制装置を使用した慣熟訓練などにも、航空管制装置1aを使用することが可能となる。
(第3の実施例)
次に、本発明の第3の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0070】
図4は、第3の実施例の航空管制装置を複数有する航空管制システムを示したブロック図である。なお、図4において、図3に示したものと同一のものには同一符号を付してある。以下、第3の実施例の航空管制装置について、図3に示した航空管制装置1aと異なる点を中心に説明する。
【0071】
図4において、航空管制システムは、航空管制装置1bおよび1cを含む。航空管制装置1bおよび1cは同一構成である。このため、以下では、航空管制装置1bを中心に説明する。なお、図4では、航空管制装置1cの構成のうち、記録装置360のみ示してある。
【0072】
図4において、航空管制装置1bは、図3に示した記録装置260の代わりに記録装置360を含む点が、航空管制装置1aと異なる。
【0073】
記録装置360は、信号圧縮手段161と、記録手段162と、記録媒体163と、信号伸張手段264と、信号伝送手段365と、を含む。
【0074】
信号伝送手段365は、信号送信部および信号受信部の一例である。
【0075】
信号伝送手段365は、信号圧縮手段161にて受け付けられた信号(映像信号および音声信号)、および、記録手段162が記録媒体163から読み出した圧縮信号を、他の航空管制装置(図4では、航空管制装置1c)に伝送する。
【0076】
また、信号伝送手段365は、他の航空管制装置(図4では、航空管制装置1c)から映像信号および音声信号を受け付けた場合には、その映像信号を、映像信号分岐装置120を介して表示装置110に提供して、表示装置110に、その映像信号に応じた航空管制画面を表示させ、かつ、その音声信号を、音声信号分岐装置150を介して音声通話装置140に提供して、音声通話装置140に、その音声信号に応じた音声を出力させる。
【0077】
また、信号伝送手段365は、他の航空管制装置(図4では、航空管制装置1c)から圧縮映像信号および圧縮音声信号を受け付けた場合には、それら圧縮映像信号および圧縮音声信号を信号伸張手段264に提供する。
【0078】
信号伸張手段264は、信号伝送手段365から提供された圧縮映像信号を伸張して映像信号を復元し、その映像信号を、映像信号分岐装置120を介して表示装置110に提供して、表示装置110に、その映像信号に応じた航空管制画面を表示させる。
【0079】
また、信号伸張手段264は、信号伝送手段365から提供された圧縮音声信号を伸張して音声信号を復元し、その音声信号を、音声信号分岐装置150を介して音声通話装置140に提供して、音声通話装置140に、その音声信号に応じた音声を出力させる。
【0080】
次に、本発明の第3の実施例の効果について説明する。
【0081】
本発明の第3の実施例では、ある航空管制装置の表示画面を他の航空管制装置で同時に表示すること、および、ある航空管制装置の記録を他の航空管制装置で再生することが可能となり、管制官の負荷が高いときに負荷分散を行ったり、管制運用中に同時に訓練を行うことが可能となる。
【0082】
上記各実施例によれば、航空管制画面を、画質の劣化を起こさずに連続記録、再生することができ、また、航空管制画面に対して行った操作を、記録、再生することができ、また、航空管制画面と管制時の音声を同時に記録することで、事後の解析を容易にできる。
【0083】
以上説明した各実施例において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【0084】
例えば、上記各実施例では、管制装置として、航空機(乗り物)を管制する航空管制装置が用いられたが、管制装置は、航空管制装置に限らず適宜変更可能であり、例えば、船(乗り物)を管制する海上管制装置が用いられてもよい。
【0085】
また、表示制御装置100は、映像信号分岐装置120を介さずに、映像信号を、表示装置110と、記録装置160、260または360に提供してもよい。この場合、映像信号分岐装置120を省略できる。
【0086】
また、音声通話装置140は、音声信号分岐装置150を介さずに、音声信号を、上位装置1Bと、記録装置160、260または360に提供してもよい。さらに、上位装置1Bは、音声信号分岐装置150を介さずに、音声信号を、音声通話装置140と、記録装置160、260または360に提供してもよい。この場合、音声信号分岐装置150を省略できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1の実施例の航空管制装置を示したブロック図である。
【図2】映像信号Bの圧縮処理の一例を説明するための説明図である。
【図3】本発明の第2の実施例の航空管制装置を示したブロック図である。
【図4】本発明の一実施例の航空管制システム航空管制システムを示したブロック図である。
【符号の説明】
【0088】
1、1a、1b、1c 航空管制装置
100 表示制御装置
110 表示装置
120 映像信号分岐装置
140 音声通話装置
150 音声信号分岐装置
160 記録装置
161 信号圧縮手段
1610 圧縮手段
1611 スナップショット作成用メモリ
1612〜1614 差分記録用メモリ
162 記録手段
163 記録媒体
260 記録装置
264 信号伸張手段
360 記録装置
365 信号伝送手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物を監視する監視装置から該乗り物を管制するための管制情報を受け付け、また、前記乗り物と音声信号を通信し、また、前記乗り物の管制に関する情報を記録媒体に記録する管制装置であって、
音声を受け付けた場合に、該音声に応じた音声信号を生成し該音声信号を前記乗り物に出力し、また、前記乗り物から音声信号を入力した場合に、該入力された音声信号に応じた音声を出力する音声通話部と、
前記監視装置から受け付けた管制情報に基づいて映像信号を生成する表示制御部と、
前記表示制御部にて生成された映像信号に応じた管制画面を表示する表示部と、
前記表示制御部にて生成された映像信号と、前記音声通話部に入出力された音声信号と、を同期させて前記記録媒体に記録する記録部と、を含む管制装置。
【請求項2】
請求項1に記載の管制装置において、
前記記録部は、
前記表示制御部にて生成された映像信号および前記音声通話部に入出力された音声信号を圧縮して圧縮映像信号および圧縮音声信号を生成し、該圧縮映像信号および該圧縮音声信号を同期させる圧縮部と、
前記圧縮部にて同期された圧縮映像信号および圧縮音声信号を、同時に前記記録媒体に記録する信号記録部と、を含む、管制装置。
【請求項3】
請求項2に記載の管制装置において、
前記信号記録部は、さらに、前記記録媒体から、同時に記録された前記圧縮映像信号および前記圧縮音声信号を読み取り、
前記信号記録部にて読み取られた圧縮映像信号を伸張して前記映像信号を復元し、前記表示部に、該復元された映像信号に応じた管制画面を表示させ、また、該信号記録部にて読み取られた圧縮音声信号を伸張して前記音声信号を復元し、前記音声通話部に、該復元された音声信号に応じた音声を出力させる信号伸張部をさらに含む、管制装置。
【請求項4】
請求項3に記載の管制装置を複数含む管制システムであって、
各管制装置は、
前記表示制御部にて生成された映像信号を前記音声通話部にて入出力された音声信号と共に他の管制装置に送信し、また、前記信号記録部にて読み取られた圧縮映像信号および圧縮音声信号を、該他の管制装置に送信する信号送信部と、
前記他の管制装置から前記映像信号および前記音声信号を受け付けた場合には、前記表示部に該映像信号に応じた管制画面を表示させかつ前記音声通話部に該音声信号に応じた音声を出力させ、また、該他の管制装置から前記圧縮映像信号および前記圧縮音声信号を受け付けた場合には、該圧縮映像信号および該圧縮音声信号を前記信号伸張部に提供する信号受信部と、をさらに含み、
前記信号伸張部は、前記信号受信部から提供された圧縮映像信号を伸張して前記映像信号を復元し、前記表示部に、該復元された映像信号に応じた管制画面を表示させ、また、該信号受信部から提供された圧縮音声信号を伸張して前記音声信号を復元し、前記音声通話部に、該復元された音声信号に応じた音声を出力させる、管制システム。
【請求項5】
乗り物を監視する監視装置から該乗り物を管制するための管制情報を受け付け、また、前記乗り物と音声信号を通信し、また、前記乗り物の管制に関する情報を記録媒体に記録する管制装置が行う管制記録処理方法であって、
音声を受け付けた場合に、該音声に応じた音声信号を生成し該音声信号を前記乗り物に出力する送信ステップと、
前記乗り物から音声信号を入力した場合に、該入力された音声信号に応じた音声を出力する出力ステップと、
前記監視装置から受け付けた管制情報に基づいて映像信号を生成する生成ステップと、
前記映像信号に応じた管制画面を表示する表示ステップと、
前記映像信号と前記音声信号とを同期させて前記記録媒体に記録する記録ステップと、を含む管制記録処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の管制記録処理方法において、
前記記録ステップは、
前記映像信号および前記音声信号を圧縮して圧縮映像信号および圧縮音声信号を生成する圧縮ステップと、
前記圧縮映像信号および前記圧縮音声信号を同期させる同期ステップと、
前記同期された圧縮映像信号および圧縮音声信号を、同時に前記記録媒体に記録する信号記録ステップと、を含む、管制記録処理方法。
【請求項7】
請求項6に記載の管制記録処理方法において、
前記記録媒体から、同時に記録された前記圧縮映像信号および前記圧縮音声信号を読み取る読取ステップと、
前記読み取られた圧縮映像信号および圧縮音声信号を伸張して前記映像信号および前記音声信号を復元する復元ステップと、
前記復元された映像信号に応じた管制画面を表示する管制画面表示ステップと、
前記復元された音声信号に応じた音声を出力する音声出力ステップと、をさらに含む、管制記録処理方法。
【請求項8】
請求項3に記載の管制装置を複数含む管制システムが行う管制記録処理方法であって、
前記管制装置が、前記映像信号を前記音声信号と共に他の管制装置に送信する第1送信ステップと、
前記管制装置が、前記圧縮映像信号および前記圧縮音声信号を該他の管制装置に送信する第2送信ステップと、
前記管制装置が、前記他の管制装置から前記映像信号および前記音声信号を受け付けた場合には、該映像信号に応じた管制画面を表示し、かつ、該音声信号に応じた音声を出力する第1出力ステップと、
前記管制装置が、前記他の管制装置から前記圧縮映像信号および前記圧縮音声信号を受け付けた場合には、該圧縮映像信号を伸張して前記映像信号を復元し、該復元された映像信号に応じた管制画面を表示し、かつ、該圧縮音声信号を伸張して前記音声信号を復元し、該復元された音声信号に応じた音声を出力する第2出力ステップと、を含む管制記録処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−317081(P2007−317081A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−148155(P2006−148155)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】