説明

管形蛍光灯の成形装置

【課題】生産性の向上を図ることのできる管形蛍光灯の成形装置を提供する。
【解決手段】直管状の冷陰極蛍光灯1を2重螺旋形状に成形するための成形装置11は、冷陰極蛍光灯1を収容可能な内部空間19を有するハウジング18、及び、内部空間19を所定の高温環境とすることができる加熱装置を具備する加熱炉12と、内部空間19に収容された冷陰極蛍光灯1を本体部43の外周に巻付け可能な巻芯41と、巻芯41を回転させる機能、及び、巻芯41を前記回転の軸方向において変位させる機能を有する駆動装置とを備えている。また、ハウジング18には、冷陰極蛍光灯1のうち巻芯41に巻き取られた部位、及び、巻芯41のうち冷陰極蛍光灯1が巻き付けられた部位を、冷陰極蛍光灯1の長手方向全域の巻取りが完了する前の段階から、順次ハウジング18の外部に導出させることのできる第1開口部22が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷陰極蛍光灯等の管形蛍光灯を螺旋形状に成形する管形蛍光灯の成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷陰極蛍光灯等の真直ぐな円筒状(直管状)のガラス管を有する管形蛍光灯を螺旋形状(2重螺旋形状)に成形する技術がある。例えば、円柱状の本体部と、本体部の一端部側に形成された溝部とを備える成形冶具に対し、管形蛍光灯を加熱してから長手方向中央部を前記溝部に係止させるとともに前記本体部の周りに巻き付けることで、2重螺旋形状の管形蛍光灯が得られることとなる(例えば、特許文献1、2参照。)。また、一般に、螺旋形状に成形された管形蛍光灯は、その端部に点灯回路を内蔵した口金が取付けられ、電球に代替して室内の照明等に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−173760号公報
【特許文献2】特開2010−40284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の技術においては、加熱炉で加熱された管形蛍光灯を加熱炉から取出した後に、螺旋形状への成形が行われる。この場合、管形蛍光灯が加熱炉から取出されることで管形蛍光灯の温度が低下し、次第に硬化されていくため、好適な成形が困難なものとなるおそれがある。さらに、管形蛍光灯を加熱炉から取出した後も、成形が完了するまでは成形可能な温度を保てるように、加熱炉にて管形蛍光灯をより高い温度に加熱することが考えられる。しかしながら、この場合には、管形蛍光灯が軟化し過ぎてしまい、成形が困難なものとなってしまうことが懸念される。特に、管形蛍光灯の内部空間は負圧状態となっているため、管形蛍光灯が変形してしまうおそれがある。
【0005】
また、特許文献2には、管形蛍光灯を加熱炉内にて螺旋形状に成形する技術が開示されている。しかしながら、加熱炉内にて管形蛍光灯を曲げ成形する場合には、加熱炉から管形蛍光灯を取出して曲げ成形する場合に比べ、管形蛍光灯の加熱を開始してから管形蛍光灯の冷却を開始するまでの間の時間が長くなる。従って、後続の工程が連鎖的に遅れ、結果的に、螺旋形状の管形蛍光灯に電子部品等が装着された製品を得られるまでにより多くの時間を要してしまうこととなり、生産性の低下等を招くおそれがある。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、生産性の向上を図ることのできる管形蛍光灯の成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0008】
手段1.直管状の管形蛍光灯を2重螺旋形状に成形する管形蛍光灯の成形装置において、
前記管形蛍光灯を収容可能な内部空間を有するハウジング、及び、前記内部空間を所定の高温環境とすることができる加熱手段を具備する加熱炉と、
外周面が円柱状をなす本体部、及び、前記本体部の一端部において前記管形蛍光灯の長手方向中央部を係止可能な係止部を備え、前記管形蛍光灯を前記本体部の外周に巻付け可能な巻芯と、
前記巻芯を回転させる機能、及び、前記巻芯を前記回転の軸方向において変位させる機能を有する駆動手段とを備え、
前記内部空間に収容された前記管形蛍光灯を前記係止部で係止した状態で、前記巻芯を回転させつつ前記回転の軸方向において前記係止部が先頭となるようにして前記巻芯を変位させることで、前記管形蛍光灯が前記巻芯に巻き取られるよう構成し、
前記ハウジングには、前記管形蛍光灯のうち前記巻芯に巻き取られた部位、及び、前記巻芯のうち前記管形蛍光灯が巻き付けられた部位を、前記管形蛍光灯の長手方向全域の巻取りが完了する前の段階から、順次前記ハウジングの外部に導出させることのできる導出孔が形成されていることを特徴とする管形蛍光灯の成形装置。
【0009】
手段1によれば、管形蛍光灯の成形に際し、管形蛍光灯全体の成形(巻取り)が完了する前の段階であっても、管形蛍光灯のうち巻芯に巻き取られた部位から順次導出孔を介してハウジングの外部に導出されていく。このため、管形蛍光灯のうち成形を終えた部位から順次冷却が開始されることとなる。従って、加熱炉内において管形蛍光灯の成形が完了してから管形蛍光灯の冷却を開始する場合に比べ、冷却工程をいち早く開始することができる。結果として、生産効率の向上等を図ることができる。また、加熱炉内で冷却を行う場合、或いは、加熱炉を型開きのように大きく開いて管形蛍光灯を取出す場合には、加熱炉の内部空間の温度が低下するため、次の管形蛍光灯を成形するべく内部空間を再度高温環境とするまでに比較的多くの時間を要してしまう。この点、本手段では、導出孔を介して管形蛍光灯を加熱炉から外部に導出することで管形蛍光灯を冷却する構成であることから、かかる不具合を回避することができる。
【0010】
また、巻芯の外周に管形蛍光灯が巻き付けられることで行われる管形蛍光灯の成形は加熱炉の内部空間にて行われるため、管形蛍光灯の成形を最初から最後まで一定の温度環境下で行うことができる。従って、例えば、管形蛍光灯の成形を加熱炉の外部で行う場合のように、成形の途中で管形蛍光灯の温度が大きく変化することに起因して、成形が困難になってしまうといった事態を回避することができる。さらに、管形蛍光灯の成形を加熱炉の内部で行うので、過度に管形蛍光灯を加熱しなくても好適に成形を行うことができる。従って、管形蛍光灯が軟化し過ぎてしまい、管形蛍光灯が歪んでしまうといった事態を回避することができる上、冷却に要する時間の短縮、省エネルギー化等を図ることができる。
【0011】
手段2.前記導出孔は前記ハウジングの下壁部に形成されていることを特徴とする手段1に記載の管形蛍光灯の成形装置。
【0012】
手段2によれば、導出孔がハウジングの下壁部に形成されているため、例えば、導出孔がハウジングの上壁部や側壁部に形成される場合に比べ、加熱炉の内部空間の熱を外部に逃げ難くさせることができる。従って、導出孔を形成することに起因する内部空間の熱損失を抑制することができ、省エネルギー化等を図ることができる。さらに、加熱炉の熱が導出孔から外部に逃げ難くなっていることにより、導出孔を挟んで加熱炉の内部と外部との間の温度差を大きくすることができる。すなわち、管形蛍光灯を導出孔から外部に導出したのにもかかわらず、導出孔から外部に逃げた熱によって管形蛍光灯の冷却が進行し難くなってしまうといった事態を抑止することができる。従って、導出孔から外部に導出された直後から管形蛍光灯の冷却を好適に進行させることができる。
【0013】
手段3.前記巻芯には自身を加熱する巻芯加熱手段が設けられていることを特徴とする手段1又は2に記載の管形蛍光灯の成形装置。
【0014】
手段3によれば、巻き取られた管形蛍光灯とともに加熱炉の外部に導出されることで冷却されてしまう巻芯の温度を、巻芯加熱手段によって比較的迅速に管形蛍光灯の成形に適した温度にまで上昇させることができる。従って、次の管形蛍光灯の成形を開始するまでの時間を短縮することができ、結果として、生産性の向上等を図ることができる。
【0015】
手段4.前記導出孔から導出された前記管形蛍光灯を保持する保持手段を備え、
前記保持手段は、2重螺旋形状に成形された前記管形蛍光灯全体が前記導出孔を介して前記ハウジングの外部に導出された後、前記管形蛍光灯のうち前記導出孔からの導出方向先端部側を保持することを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の管形蛍光灯の成形装置。
【0016】
手段4によれば、加熱炉の外部に導出された2重螺旋形状の管形蛍光灯を保持手段によって保持することによって、比較的スムースに2重螺旋形状の管形蛍光灯から巻芯を抜き取ることができる。また、保持手段は、管形蛍光灯のうち加熱炉から外部に先行して導出されることで冷却が進行している部位を保持する構成となっている。従って、管形蛍光灯の変形等を招くことなく管形蛍光灯をしっかりと保持することができ、巻芯の管形蛍光灯からの抜き取り作業等を比較的スムースに行うことができる。
【0017】
手段5.前記巻芯の近傍において、前記ハウジングの内側面から前記内部空間に突出するガイド突起を備え、
前記巻芯の前記係止部に前記管形蛍光灯が係止された状態で前記巻芯が回転しつつ当該回転の軸方向に沿って変位することで、前記管形蛍光灯は、前記巻芯と前記ガイド突起との間に引き込まれるとともに、前記ガイド突起に圧接して曲げ加工されつつ、前記巻芯の外周に巻き付けられることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の管形蛍光灯の成形装置。
【0018】
手段5によれば、巻芯の回転とともにガイド突起と巻芯との間に引き込まれる管形蛍光灯は、当該管形蛍光灯に接触するガイド突起によって曲げ加工され、巻芯の外周に巻き付けられていく。これにより、管形蛍光灯の巻芯への巻き付けを行う際に、管形蛍光灯の長手方向両端部を保持して管形蛍光灯を緊張状態としなくても、より確実に管形蛍光灯を巻芯に巻き付けることができる。従って、管形蛍光灯の巻芯への巻き付けに際し、管形蛍光灯の長手方向両端部を保持するような構成に比べ、構成の簡素化、製造作業性の向上等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】2重螺旋形状に成形された冷陰極蛍光灯の斜視図である。
【図2】巻芯が待機位置にあるときの成形装置を説明するための図であって、(a)は断面模式図であり、(b)は加熱炉を下方から見たときの底面模式図である。
【図3】巻芯が準備位置にあるときの成形装置を説明するための図であって、(a)は断面模式図であり、(b)は加熱炉を下方から見たときの底面模式図である。
【図4】巻芯に冷陰極蛍光灯を巻き付けている状態の成形装置を説明するための図であって、(a)は断面模式図であり、(b)は加熱炉を下方から見たときの底面模式図である。
【図5】巻芯が巻取り完了位置にあるときの成形装置を説明するための図であって、(a)は断面模式図であり、(b)は加熱炉を下方から見たときの底面模式図である。
【図6】巻芯が導出完了位置にあるときの成形装置を説明するための図であって、(a)は断面模式図であり、(b)は加熱炉を下方から見たときの底面模式図である。
【図7】巻芯が抜取り完了位置にあるときの成形装置を説明するための断面模式図である。
【図8】巻芯が待機位置にあり、支持装置が非収容状態にあるときの成形装置を説明するための断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、管形蛍光灯としての冷陰極蛍光灯1(CCFL)は、ガラス管よりなるバルブ2と、バルブ2の両端においてそれぞれ封止状態で設けられたマウント3とを備えている。バルブ2の内壁面には蛍光体層が設けられているとともに、バルブ2には不活性ガス及び水銀蒸気が封入されている。さらに、各マウント3は、電極部(図示略)と、電極部から延びるリード4と、リード4の基端部側に設けられたガラス製のビード(図示略)とを備えている。
【0021】
また、図1に示す冷陰極蛍光灯1は、バルブ2が2重螺旋形状に成形されている。但し、バルブ2はマウント3の取付前に螺旋形状に成形されるのではなく、真直ぐな円筒状(直管状)のバルブ2を備えた冷陰極蛍光灯1の製造後に、後述する成形装置11を用いて当該冷陰極蛍光灯1のバルブ2を変形させることで螺旋形状に成形される。尚、図示は省略するが、2重螺旋形状に形成された冷陰極蛍光灯1にはインバータ回路を内蔵した口金が取付けられ、これにより、電球用のソケットに装着して使用できる電球形蛍光灯が構成される。
【0022】
次に、直管状の冷陰極蛍光灯1を上記2重螺旋形状に成形するための成形装置11について、図2等を参照して説明する。尚、加熱炉12の断面等を示す図2(a)等において、巻芯41及び冷陰極蛍光灯1に関しては、便宜上、断面ではなく側面から見たものとして示す。図2等に示すように、成形装置11は、冷陰極蛍光灯1を加熱する加熱炉12と、加熱炉12の内部において冷陰極蛍光灯1を支持する支持機構13と、加熱炉12で加熱された冷陰極蛍光灯1を2重螺旋形状に成形する巻取り装置14とを備えている。
【0023】
加熱炉12は、冷陰極蛍光灯1を収容可能な内部空間19を有する左右に長い略直方体箱状のハウジング18と、前記内部空間19を所定の高温環境とすることができる図示しない加熱装置(加熱手段)とを備えている。ハウジング18の下壁部21には、ハウジング18の長手方向中央部において略円形状の第1開口部22が形成されるとともに、第1開口部22の中央部から、ハウジング18の長手方向に沿って、ハウジング18の長手方向両端縁にまで延在する第2開口部23が形成されている。本実施形態では、第1開口部22が導出孔を構成する。
【0024】
また、ハウジング18の長手方向両端部において内部空間19を閉塞するようにして形成された端壁部24には、第2開口部23の端縁から上方に延在する端部開口部25が形成されている。本実施形態では、ハウジング18の長手方向における長さよりも、直管状の(成形前の)冷陰極蛍光灯1の長さの方が長くなっており、直管状の冷陰極蛍光灯1をハウジング18の内部空間19に設置すると、冷陰極蛍光灯1の両端部が各端壁部24に形成された端部開口部25からそれぞれハウジング18の外部に突出するようになっている。
【0025】
ハウジング18の上壁部26には、ハウジング18の長手方向中央部において円形状の上部開口部27が形成されている。当該上部開口部27の外周縁及び前記第1開口部22の外周縁は、加熱炉12を下方から見た場合に同心円となっている。また、ハウジング18の上壁部26には、上部開口部27に近接して、上壁部26の下面から下方に突出する円柱状のガイド突起28が設けられている(図2(b)等参照)。ガイド突起28は、上部開口部27の中央部を中心とする相対位置において一対で設けられ、本実施形態では、ハウジング18の長手方向に対して直交する方向において、上部開口部27を挟んで対向するようにして設けられている。
【0026】
支持機構13は、第2開口部23に挿通される支持片部31と、支持片部31を上下に変位させる図示しない支持駆動装置とを備えている。支持片部31の上端部には、上方に開口する略U字状をなし、内側に冷陰極蛍光灯1を挿通可能な位置決め部33が形成されている。また、支持機構13は、支持駆動装置の駆動によって、位置決め部33がハウジング18の下方に位置する非収容状態と、第2開口部23を介して位置決め部33が加熱炉12の内部空間19に位置する収容状態とに状態変化可能に構成されている。
【0027】
支持片部31は、加熱炉12の長手方向に沿って複数設けられており、本実施形態では、第1開口部22の左右に延在する各第2開口部23に対応してそれぞれ3つずつ設けられている。さらに、支持駆動装置の駆動に伴い、これら全ての支持片部31が同調して上下動する構成となっており、全ての支持片部31の位置決め部33の高さ位置は常に揃っている。これにより、非収容状態にある支持機構13の各支持片部31の位置決め部33に対して直管状の冷陰極蛍光灯1を設置してから、支持機構13を収容状態とすることで、冷陰極蛍光灯1をハウジング18に収容するとともに、ハウジング18の内部空間19において冷陰極蛍光灯1の支持(位置決め)を行えるようになっている。
【0028】
また、本実施形態では、上下方向において、位置決め部33に支持された直管状の冷陰極蛍光灯1と、ハウジング18の下壁部21の下面との間の距離は、2重螺旋形状に成形された冷陰極蛍光灯1の高さ(軸線方向における高さ)の1/2の長さよりも短くなっている。さらに、ハウジング18の上壁部26において形成されたガイド突起28の下端部は、位置決め部33に支持された直管状の冷陰極蛍光灯1の下縁部よりも若干下方に位置している。
【0029】
巻取り装置14は、ハウジング18の上壁部26に形成された上部開口部27に貫通状態で設置され、冷陰極蛍光灯1が外周に巻き付けられる巻芯41と、加熱炉12の上方に設けられ、巻芯41を回転させる機能と、巻芯41を前記回転の軸方向において変位させる機能とを有する図示しない駆動装置(駆動手段)とを備えている。本実施形態の駆動装置は、巻芯41を回転させつつ昇降させたり、巻芯41を回転させることなく昇降させたりすることができる構成となっている。
【0030】
巻芯41は、上下方向に延在し、下方が閉塞された略円筒状をなす本体部43と、本体部43の下面から下方に突出する係止部としての一対の係止突起44とを備えている。一対の係止突起44の間には、直管状の冷陰極蛍光灯1を挿入可能な隙間が形成されている。加えて、各係止突起44の外周面は、少なくとも冷陰極蛍光灯1が当接し得る部位が円弧状に構成されている。
【0031】
また、本体部43の外周面には、各係止突起44の付根部に端を発し、雄ねじが2列で形成されるような格好で、上方に向けて本体部43の外周面を旋回しつつ延在する旋回溝45が形成されている。旋回溝45の内側面は、冷陰極蛍光灯1の外周形状に対応した断面円弧状をなしている。尚、旋回溝45は本体部43のうち冷陰極蛍光灯1が巻き付けられる部位にのみ形成されており、それよりも上方部位には旋回溝45が形成されていない。さらに、旋回溝45の形成部位における外径(旋回溝45間の山部の外径)は、旋回溝45が形成されない部位における外径と同じとなっている。また、上部開口部27の内径は、本体部43の外径よりも若干大きい程度であり、本体部43と上部開口部27の周縁部との間の隙間からハウジング18の内部空間19の熱を極力逃がさないように構成されている。
【0032】
さらに、上部開口部27に近接して形成された各ガイド突起28と、巻芯41の旋回溝45の内側面との間の距離は、冷陰極蛍光灯1の直径よりも若干長くなっており、ガイド突起28と旋回溝45との間に冷陰極蛍光灯1を進入させることができるようになっている。一方、旋回溝45間の山部と、ガイド突起28との間の距離は、冷陰極蛍光灯1の直径よりも短くなっている。
【0033】
そして、支持片部31に支持されている直管状の冷陰極蛍光灯1の長手方向中央部を、巻芯41の一対の係止突起44の間に位置させた状態で、巻芯41を回転させつつ下降させることで、冷陰極蛍光灯1が巻芯41とガイド突起28との間に順次引き込まれつつガイド突起28に圧接されることで曲げ加工され、当該冷陰極蛍光灯1が旋回溝45に沿って巻芯41の外周に巻き付けられることとなる(図4(b)等参照)。このように、巻芯41の外周に冷陰極蛍光灯1を巻き取っていくことで、2重螺旋形状の冷陰極蛍光灯1が形成されることとなる。
【0034】
尚、本実施形態では、冷陰極蛍光灯1を巻芯41に巻き付ける際に、冷陰極蛍光灯1の両端部を引っ張る等して冷陰極蛍光灯1を緊張状態とする構成ではなく、支持片部31の位置決め部33によって冷陰極蛍光灯1の前後の変位を規制しつつ冷陰極蛍光灯1の下部を所望の高さ位置で支持するだけの構成である。このため、冷陰極蛍光灯1が巻芯41に巻き取られていくにつれ、冷陰極蛍光灯1のうち未だ巻き取られていない直管状の部位が位置決め部33の溝部上を滑るようにしてガイド突起28と巻芯41との間に引き込まれていくこととなる。
【0035】
また、各第2開口部23に対応して3つずつ設けられた支持片部31のうち最も巻芯41に近くに位置する支持片部31は、冷陰極蛍光灯1のうち巻芯41に未だ巻き取られていない直管状の部位が、巻芯41に既に巻き取られた部位によって片持ち支持されただけで垂れ下がらない長さとなるまで、直管状の部位を位置決め部33で支持できるように配置されている。これにより、加熱されて軟化された冷陰極蛍光灯1の直管状の部位が、巻芯41に巻き取られる前段階で垂れ下がってしまうといった事態を防止することができる。
【0036】
さらに、冷陰極蛍光灯1が位置決め部33に支持されている状態においては、図4(b)に示すように、各第2開口部23に対応して3つずつ設けられた支持片部31のうち最も巻芯41に近くに位置する支持片部31と、一対のガイド突起28(巻芯41の巻取り位置)との間にかけて、冷陰極蛍光灯1が屈曲させられてハウジング18の長手方向に対して斜めに延在することとなる。本実施形態では、冷陰極蛍光灯1が位置決め部33に支持されている状態において、冷陰極蛍光灯1のうち支持片部31とガイド突起28との間に掛けて延びる部位のハウジング18の長手方向に対する角度が5度以上30度未満(約10度)となっている。
【0037】
さて、本実施形態では、第1開口部22は、巻芯41の外周に巻き付けられた冷陰極蛍光灯1を挿通可能な大きさに構成されている。さらに、上記のように、支持片部31の位置決め部33に支持された直管状の冷陰極蛍光灯1と、ハウジング18の下壁部21との間の距離、すなわち、冷陰極蛍光灯1が巻芯41に巻き取られることとなる巻取り位置と、ハウジング18の下壁部21との間の距離は、2重螺旋形状に成形された冷陰極蛍光灯1の高さの1/2の長さよりも若干短くなっている(図5(a)等参照)。このため、巻芯41を回転させつつ下降させることで、巻芯41に冷陰極蛍光灯1を巻き取っていくと、冷陰極蛍光灯1の長手方向全域における巻取り(成形)が完了する前の段階で、冷陰極蛍光灯1のうち巻芯41に巻き取られて2重螺旋形状に成形された部位、及び、巻芯41のうち冷陰極蛍光灯1が巻き付けられた部位が、第1開口部22を介してハウジング18の外部(下方)に導出されることとなる。また、本実施形態では、図6(a)に示すように、巻芯41に巻き付けられた冷陰極蛍光灯1の全体がハウジング18の外部に導出されるまで、巻芯41を下降させることができるよう構成されている。
【0038】
加えて、巻芯41には、本体部43のうち冷陰極蛍光灯1が巻き付けられる部位(旋回溝45の形成区間)を加熱する巻芯加熱手段としての図示しないヒータが設けられている。本実施形態では、巻芯41の昇降動作に伴って、ヒータのオンオフの切替制御が行われるように構成されている。尚、本実施形態の巻芯41は熱伝導性の高い金属(例えば、銅等)によって構成されているが、その他の材料(例えば、離型性に優れるセラミック等)で構成することも可能である。
【0039】
また、図6等に示すように、成形装置11は、第1開口部22の下方において、巻芯41に巻き付けられることで2重螺旋形状に成形され、巻芯41の下降動作によりハウジング18の外部(下方)に導出された冷陰極蛍光灯1を保持することのできる保持手段としてのチャック51を備えている。チャック51は、水平方向において相対し、互いに遠近するようにして変位可能な一対の作業片53を備え、作業片53によって冷陰極蛍光灯1の外周を挟持することによって冷陰極蛍光灯1を保持する構成となっている。本実施形態では、2重螺旋形状に成形された冷陰極蛍光灯1全体が第1開口部22を介してハウジング18の外部に導出された後、冷陰極蛍光灯1のうち第1開口部22からの導出方向先端部側である下部をチャック51で保持するように構成されている。そして、一対の作業片53で2重螺旋形状に成形された冷陰極蛍光灯1を挟持した状態で、巻芯41を冷陰極蛍光灯1を巻き取ったときとは逆方向に回転させつつ上昇させることで、2重螺旋形状の冷陰極蛍光灯1から巻芯41が抜き取られるようになっている。
【0040】
次に、冷陰極蛍光灯1を2重螺旋形状に成形する過程について、図2〜図8を参照して説明する。
【0041】
先ず、図8に示すように、非収容状態にある支持機構13の各支持片部31の位置決め部33に対して直管状の冷陰極蛍光灯1を、冷陰極蛍光灯1の長手方向中央部と、ハウジング18の長手方向中央部とが一致するように設置する。次に、図2に示すように、支持片部31を上昇させて支持機構13を収容状態とし、冷陰極蛍光灯1を高温環境にある加熱炉12の内部空間19に収容する。このとき、巻芯41は、支持片部31に支持された冷陰極蛍光灯1よりも上方に位置する待機位置にある。尚、待機位置にある巻芯41は、一対の係止突起44がハウジング18の長手方向に対して直交する方向に並んだ状態となっている。また、冷陰極蛍光灯1の両端部は端部開口部25を介してハウジング18の外側に位置している。
【0042】
ハウジング18の内部空間19に位置する冷陰極蛍光灯1が十分に加熱された(冷陰極蛍光灯1の温度が徐冷点よりも高く軟化点よりも低い状態となった)後、図3に示すように、巻芯41を、回転させることなく、一対の係止突起44の間に直管状の冷陰極蛍光灯1が挟まれることとなる準備位置となるまで下降させる。
【0043】
続いて、図4に示すように、係止突起44で冷陰極蛍光灯1を引っ掛けつつ、巻芯41を右回り(下面視で反時計回り方向)に回転させながら下降させることで、冷陰極蛍光灯1を巻芯41の外周に巻き付けていく。尚、巻芯41に巻き付けられた冷陰極蛍光灯1の内周側の部位は、巻芯41の外周面に形成された旋回溝45に嵌入することとなり、これによって、巻芯41に巻き付けられる冷陰極蛍光灯1の位置決めが行われるとともに、冷陰極蛍光灯1の巻芯41からの脱落が防止される。
【0044】
また、冷陰極蛍光灯1が巻芯41に巻き付けられていくにつれ、巻芯41が下降して第1開口部22からハウジング18の外部に突出していくこととなり、巻芯41に巻き付けられた冷陰極蛍光灯1は順次ハウジング18の外部に導出されていくこととなる。すなわち、冷陰極蛍光灯1のうち成形を終えた部位から順次冷却が開始されることとなる。
【0045】
尚、冷陰極蛍光灯1の成形を開始する当初はハウジング18の外部に位置していた冷陰極蛍光灯1の両端部については、冷陰極蛍光灯1が巻芯41に巻き取られていくにつれてハウジング18の内部空間19に引き込まれていき、巻芯41に巻き取られる段階では十分に加熱された状態となる。また、巻芯41に内蔵されたヒータは、巻取りが開始される際にオフされており、ハウジング18の外部に排出された冷陰極蛍光灯1が巻芯41のヒータによって加熱されることはない。
【0046】
そして、図5に示すように、冷陰極蛍光灯1の長手方向全体を巻芯41に巻き終えた後、さらに、冷陰極蛍光灯1の全体が完全にハウジング18の外部に出るまで巻芯41を下降させる。尚、巻芯41が、冷陰極蛍光灯1の巻取りを完了する巻取り完了位置から、冷陰極蛍光灯1全体を加熱炉12の外部に導出させる導出完了位置まで下降する間は当該巻芯41を回転させる必要はなく、回転を伴わずに比較的素早く下降させてもよいし、導出完了位置となったときに冷陰極蛍光灯1が所期の向きとなるように、回転で向きの微調整を行いつつ下降させてもよい。また、2重螺旋形状に形成された冷陰極蛍光灯1のうち内周側の部位は、巻芯41の旋回溝45の内側に嵌入された状態となっているため、冷陰極蛍光灯1がガイド突起28から離間しても、冷陰極蛍光灯1が巻芯41(旋回溝45)から脱落することはない。
【0047】
図6に示すように、冷陰極蛍光灯1が導出完了位置に達すると、2重螺旋形状に成形された冷陰極蛍光灯1を一対の作業片53で挟持するべくチャック51が動作する。本実施形態では、2重螺旋形状に成形された冷陰極蛍光灯1のうち、ハウジング18から先行して導出され、冷却が進んでいる下部をチャック51で保持する構成となっている。そして、チャック51によって冷陰極蛍光灯1が保持されると、巻芯41が巻取り時とは反対の左回り(下面視で時計回り方向)に回転しながら上昇する。これにより、図7に示すように、チャック51で保持された2重螺旋形状の冷陰極蛍光灯1から巻芯41が抜き取られることとなる。以上のようにして、2重螺旋形状の冷陰極蛍光灯1が成形されることとなる。
【0048】
また、巻芯41が冷陰極蛍光灯1から抜き取られた後、巻芯41は待機位置となるまで上昇して次の冷陰極蛍光灯1の成形に備えることとなる。さらに、巻芯41が2重螺旋形状の冷陰極蛍光灯1から完全に抜き取られた抜取り完了位置となると、巻芯41に内蔵されたヒータがオンされる。尚、巻芯41が抜取り完了位置から待機位置まで上昇する間は、当該巻芯41を回転させる必要はなく、回転を伴わずに上昇してもよいし、待機位置となったときに、一対の係止突起44がハウジング18の長手方向に対して直交する方向に並ぶような向きとなるように、回転で向きの微調整が行われつつ上昇してもよい。
【0049】
以上詳述したように、本実施形態によれば、冷陰極蛍光灯1の成形に際し、冷陰極蛍光灯1全体の成形(巻取り)が完了する前の段階であっても、冷陰極蛍光灯1のうち巻芯41に巻き取られた部位から順次第1開口部22を介してハウジング18の外部に導出されていく。このため、冷陰極蛍光灯1のうち成形を終えた部位から順次冷却が開始されることとなる。従って、加熱炉12内において冷陰極蛍光灯1の成形が完了してから冷陰極蛍光灯1の冷却を開始する場合に比べ、冷却工程をいち早く開始することができる。結果として、生産効率の向上等を図ることができる。また、加熱炉12内で冷却を行う場合、或いは、加熱炉12を型開きのように大きく開いて冷陰極蛍光灯1を取出す場合には、加熱炉12の内部空間19の温度が低下するため、次の冷陰極蛍光灯1を成形するべく内部空間19を再度高温環境とするまでに比較的多くの時間を要してしまう。この点、本実施形態では、第1開口部22を介して冷陰極蛍光灯1を加熱炉12から外部に導出することで冷陰極蛍光灯1を冷却する構成であることから、かかる不具合を回避することができる。
【0050】
また、巻芯41の外周に冷陰極蛍光灯1が巻き付けられることで行われる冷陰極蛍光灯1の曲げ成形は加熱炉12の内部空間19にて行われるため、冷陰極蛍光灯1の成形を最初から最後まで一定の温度環境下で行うことができる。従って、例えば、冷陰極蛍光灯1の成形を加熱炉12の外部で行う場合のように、成形の途中で冷陰極蛍光灯1の温度が大きく変化することに起因して、成形が困難になってしまうといった事態を回避することができる。さらに、冷陰極蛍光灯1の成形を加熱炉12の内部で行うので、過度に冷陰極蛍光灯1を加熱しなくても好適に成形を行うことができる。従って、冷陰極蛍光灯1が軟化し過ぎてしまい、冷陰極蛍光灯1が歪んでしまうといった事態を回避することができる上、冷却に要する時間の短縮、省エネルギー化等を図ることができる。
【0051】
また、2重螺旋形状に成形された冷陰極蛍光灯1をハウジング18の外部に導出するための第1開口部22は、ハウジング18の下壁部21に形成されている。このため、例えば、第1開口部22がハウジング18の上壁部26や側壁部に形成される場合に比べ、加熱炉12の内部空間19の熱を外部に逃げ難くさせることができる。従って、第1開口部22を形成することに起因する内部空間19の熱損失を抑制することができ、省エネルギー化等を図ることができる。さらに、加熱炉12の熱が第1開口部22から外部に逃げ難くなっていることにより、第1開口部22を挟んで加熱炉12の内部と外部との間の温度差を大きくすることができる。すなわち、冷陰極蛍光灯1を第1開口部22から外部に導出したのにもかかわらず、第1開口部22から外部に逃げた熱によって冷陰極蛍光灯1の冷却が進行し難くなってしまうといった事態を抑止することができる。従って、第1開口部22から外部に導出された直後から冷陰極蛍光灯1の冷却を好適に進行させることができる。加えて、第1開口部22がハウジング18の上壁部26や側壁部に設けられる場合に比べ、冷陰極蛍光灯1の巻取りに際して冷陰極蛍光灯1が位置ずれしないように支持するための位置決め部33の形状を簡素化することができる。
【0052】
さらに、チャック51は、2重螺旋形状に成形された冷陰極蛍光灯1のうち加熱炉12から外部に先行して導出されることで冷却が進行している下部を保持する構成となっている。従って、冷陰極蛍光灯1の変形等を招くことなく冷陰極蛍光灯1をしっかりと保持することができ、巻芯41の冷陰極蛍光灯1からの抜き取り作業等を比較的スムースに行うことができる。
【0053】
また、ハウジング18の上壁部26には、巻芯41の近傍において下方に突出するガイド突起28が設けられ、巻芯41が回転しつつ下降することで、冷陰極蛍光灯1は、巻芯41とガイド突起28との間に引き込まれるとともに、ガイド突起28に圧接して曲げ加工されつつ、巻芯41の外周に巻き付けられることとなる。当該構成により、冷陰極蛍光灯1を巻芯41へ巻き付ける際に、冷陰極蛍光灯1の長手方向両端部を保持して冷陰極蛍光灯1を緊張状態としなくても(冷陰極蛍光灯1の両端部を自由端としても)、確実に冷陰極蛍光灯1を巻芯41に巻き付けることができる。従って、冷陰極蛍光灯1の巻芯41への巻き付けに際し、冷陰極蛍光灯1の長手方向両端部を保持するような構成に比べ、構成(支持片部31等)の簡素化、製造作業性の向上等を図ることができる。特に、本実施形態のように、冷陰極蛍光灯1の成形を開始する当初において冷陰極蛍光灯1の両端部がハウジング18の外部に飛び出しており、冷陰極蛍光灯1の両端部を保持して管形蛍光灯の緊張状態を保つことが非常に困難な場合においては、かかる作用効果が一層顕著なものとなる。
【0054】
また、支持機構13は、位置決め部33が加熱炉12の内部空間19に位置する収容状態と、位置決め部33が加熱炉12の外部に位置する非収容状態とに状態変化可能に構成されている。このため、非収容状態にある支持機構13の位置決め部33に対し、直管状の(成形前の)冷陰極蛍光灯1を位置合わせしつつ載置してから、支持機構13を収容状態に状態変化させることで、冷陰極蛍光灯1を加熱炉12に収容させることができる。従って、冷陰極蛍光灯1を加熱炉12に収容させる際の作業性の向上等を図ることができる。
【0055】
加えて、加熱炉12で加熱された冷陰極蛍光灯1は比較的柔らかくなるため、冷陰極蛍光灯1のうち、既に巻芯41に巻き取られた部位によって、未だ巻き取られていない部位が片持ち支持されるだけでは、当該巻き取られていない部位が自重により垂れ下がってしまうおそれがある。これに対し、本実施形態によれば、冷陰極蛍光灯1のうち、未だ巻き取られていない部位が、既に巻き取られた部位に片持ち支持されただけで垂れ下がらない長さとなるまで当該巻き取られていない部位を支持できるように支持片部31が配置されている。このため、位置決め部33の支持がなくなっても最後までより好適に冷陰極蛍光灯1を2重螺旋形状に成形することができる。
【0056】
さらに、巻芯41には自身を加熱するヒータが内蔵されている。このため、巻き取られた冷陰極蛍光灯1とともに加熱炉12の外部に導出されることで冷却されてしまう巻芯41の温度を、ヒータによって比較的迅速に冷陰極蛍光灯1の成形に適した温度にまで上昇させることができる。従って、次の冷陰極蛍光灯1の成形を開始するまでの時間を短縮することができ、結果として、生産性の向上等を図ることができる。
【0057】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0058】
(a)上記実施形態では、ハウジング18の下壁部21に対して第1開口部22が形成され、巻芯41に巻き取られた冷陰極蛍光灯1がハウジング18の下方に導出されるように構成されているが、特にこのような構成に限定されるものではない。例えば、ハウジング18の上壁部26や側壁部に冷陰極蛍光灯1を外部に導出させるための第1開口部22を形成してもよい。但し、巻芯41に巻き取られた冷陰極蛍光灯1を外部に導出するための第1開口部22をハウジング18の下壁部21に形成することで、内部空間19の熱効率を高める等の作用効果が奏される。
【0059】
また、上記実施形態では、位置決め部33に支持された直管状の冷陰極蛍光灯1と、ハウジング18の下壁部21の下面との間の距離は、2重螺旋形状に成形された冷陰極蛍光灯1の高さに相当する長さの1/2よりも短くなっているが、2重螺旋形状に成形された冷陰極蛍光灯1の高さに相当する長さよりも短くなっていればよい。尚、位置決め部33に支持された直管状の冷陰極蛍光灯1と、ハウジング18の下壁部21の下面との間の距離を短くすれば、冷陰極蛍光灯1の冷却をより早い段階から開始することができ、長くすれば、冷陰極蛍光灯1の加熱や温度の維持等をより好適に行うことができる。
【0060】
(b)上記実施形態では、冷陰極蛍光灯1を2重螺旋形状に成形する成形装置11について具現化しているが、その他の蛍光灯(放電灯)を2重螺旋形状に成形する成形装置に具現化することも可能である。また、2重螺旋形状に成形された冷陰極蛍光灯1は、室内(天井等)に取付けるだけでなく、電気スタンドや懐中電灯等に使用することも可能である。
【0061】
(c)上記実施形態では、一対のガイド突起28が、ハウジング18の長手方向に対して直交する方向に並ぶようにして配置されているが、特にこのような構成に限定されるものではない。但し、ガイド突起28が上記実施形態の位置よりも巻芯41の巻取り方向において奥側に位置する場合、冷陰極蛍光灯1が支持片部31に支持されなくなってから完全に巻き取られるまでの間において、冷陰極蛍光灯1の両端部がハウジング18の側壁部により近接してしまうおそれがあり、熱効率を考慮して内部空間19の幅を小さくすると、冷陰極蛍光灯1の両端部がハウジング18の側壁部に当接してしまうことが懸念される。一方、ガイド突起28が上記実施形態の位置よりも巻芯41の巻取り方向において手前側に位置する場合、冷陰極蛍光灯1のうち支持片部31の位置決め部33とガイド突起28とにかけて斜めに延在する部位と、巻芯41に巻き取られた部位との境界部の角度がきつくなり、冷陰極蛍光灯1に比較的大きな負荷が加えられて冷陰極蛍光灯1に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0062】
(d)上記実施形態では、冷陰極蛍光灯1の成形に際して冷陰極蛍光灯1の両端部を保持することなく、ガイド突起28と冷陰極蛍光灯1とを圧接させて冷陰極蛍光灯1を曲げ加工する構成となっているが、例えば、冷陰極蛍光灯1の巻芯41への巻取りの進行に伴って変位する保持部材によって、冷陰極蛍光灯1の両端部を保持する構成を採用してもよい。但し、構成の簡素化や製造作業性の向上を図る上では、上記実施形態のように冷陰極蛍光灯1の端部を保持することなく、ガイド突起28で冷陰極蛍光灯1を巻芯41に巻き付けていく構成を採用することが望ましい。
【0063】
(e)上記実施形態において、支持片部31が上下方向だけでなく水平方向(例えば、図7の紙面奥行方向)にもスライドできるように構成してもよい。例えば、位置決め部33が加熱炉12の内部空間19に位置し、位置決め部33に支持された冷陰極蛍光灯1の中央部が、巻芯41の一対の係止突起44の間に収まる第1の位置と、第1の位置から加熱炉12の長手方向に対して直交する方向においてハウジング18の一方の側壁部に近接するようにしてずれ、位置決め部33に支持された冷陰極蛍光灯1が待機位置以外の位置にある巻芯41及び巻芯41に巻き付けられた冷陰極蛍光灯1と当接しない位置である第2の位置と、位置決め部33が加熱炉12の外部となるまで第2の位置から真直ぐに下降した第3の位置との間で変位可能に構成してもよい。すなわち、冷陰極蛍光灯1の巻取り作業中は冷陰極蛍光灯1を支持するべく支持片部31を第1の位置とし、冷陰極蛍光灯1の巻取りが完了した段階で支持片部31を第2の位置経由で第3の位置へと変位させ、第3の位置で冷陰極蛍光灯1を設置してから、第2の位置へと変位させ、巻芯41が待機位置へと変位した段階で第1の位置へと変位させることとしてもよい。当該構成を採用する場合、巻芯41が待機位置に戻る前から次の冷陰極蛍光灯1の加熱を開始することができ、より一層の製造効率の向上を図ることができる。
【0064】
尚、支持片部31をハウジング18の長手方向においてスライド可能に構成するとともに、支持片部31を所定の位置までスライドさせた後、かかる支持片部31のハウジング18の長手方向における変位を規制するストッパを設けることとしてもよい。さらに、巻芯41を着脱可能に構成してもよい。この場合、上記実施形態の成形装置11を用いて、長さの異なる複数種類の冷陰極蛍光灯1を好適に2重螺旋形状に成形することができ、汎用性を向上させることができる。また、支持片部31の数は特に限定されるものではなく、少なくとも第1開口部22を挟んで対向するように一対の支持片部31が設けられていればよい。
【0065】
(f)上記実施形態では特に言及していないが、ハウジング18に形成されている第2開口部23や端部開口部25から熱が逃げ難くなるように構成してもよい。例えば、第2開口部23や端部開口部25に対応して、冷陰極蛍光灯1で押圧すれば広がるような可撓性を有する断熱シートや、開閉可能なシャッタを設けることとしてもよいし、支持片部31に対して一体的に形成され、支持機構13が収容状態とされた場合に第2開口部23を閉塞する(第1開口部22は閉塞しない)閉塞板を設けることとしてもよい。また、当初より第2開口部23を省略し、端部開口部25から冷陰極蛍光灯1を挿入するように構成してもよい。
【0066】
(g)上記実施形態においては、巻芯41に内蔵されたヒータを、巻取りが開始される際にオフし、その後、巻芯41が抜取り完了位置に達することによりオンしているが、巻取りが開始される際にオフすることなく、常時オンのままとしてもよい。この場合、巻芯41がハウジング18の外部に導出された状態となっても当該巻芯41の温度低下が抑制される(温度が維持される)。このため、巻芯41の温度上昇を待つことなく直ちに次の冷陰極蛍光灯1の成形を始めることができ、さらなる生産性の向上を図ることができる。また、成形の途中で、巻芯41の位置に応じてヒータをオンオフさせる切替制御を行わなくても済み、構成や制御の簡素化を図ることができる。
【0067】
また、例えば、巻芯41のうちヒータによって加熱される部位や加熱される温度を適宜変更可能に構成してもよい。加えて、ヒータを省略することも可能である。また、上記実施形態では、巻芯41の本体部43の下面から突出する一対の係止突起44によって冷陰極蛍光灯1の巻取りに際して冷陰極蛍光灯1の中央部を係止しているが、本体部43の下面に溝を形成することで冷陰極蛍光灯1を係止するよう構成してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…冷陰極蛍光灯、11…成形装置、12…加熱炉、13…支持機構、14…巻取り装置、18…ハウジング、19…内部空間、21…下壁部、22…第1開口部、23…第2開口部、28…ガイド突起、33…位置決め部、41…巻芯、43…本体部、44…係止突起、51…チャック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直管状の管形蛍光灯を2重螺旋形状に成形する管形蛍光灯の成形装置において、
前記管形蛍光灯を収容可能な内部空間を有するハウジング、及び、前記内部空間を所定の高温環境とすることができる加熱手段を具備する加熱炉と、
外周面が円柱状をなす本体部、及び、前記本体部の一端部において前記管形蛍光灯の長手方向中央部を係止可能な係止部を備え、前記管形蛍光灯を前記本体部の外周に巻付け可能な巻芯と、
前記巻芯を回転させる機能、及び、前記巻芯を前記回転の軸方向において変位させる機能を有する駆動手段とを備え、
前記内部空間に収容された前記管形蛍光灯を前記係止部で係止した状態で、前記巻芯を回転させつつ前記回転の軸方向において前記係止部が先頭となるようにして前記巻芯を変位させることで、前記管形蛍光灯が前記巻芯に巻き取られるよう構成し、
前記ハウジングには、前記管形蛍光灯のうち前記巻芯に巻き取られた部位、及び、前記巻芯のうち前記管形蛍光灯が巻き付けられた部位を、前記管形蛍光灯の長手方向全域の巻取りが完了する前の段階から、順次前記ハウジングの外部に導出させることのできる導出孔が形成されていることを特徴とする管形蛍光灯の成形装置。
【請求項2】
前記導出孔は前記ハウジングの下壁部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の管形蛍光灯の成形装置。
【請求項3】
前記巻芯には自身を加熱する巻芯加熱手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の管形蛍光灯の成形装置。
【請求項4】
前記導出孔から導出された前記管形蛍光灯を保持する保持手段を備え、
前記保持手段は、2重螺旋形状に成形された前記管形蛍光灯全体が前記導出孔を介して前記ハウジングの外部に導出された後、前記管形蛍光灯のうち前記導出孔からの導出方向先端部側を保持することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の管形蛍光灯の成形装置。
【請求項5】
前記巻芯の近傍において、前記ハウジングの内側面から前記内部空間に突出するガイド突起を備え、
前記巻芯の前記係止部に前記管形蛍光灯が係止された状態で前記巻芯が回転しつつ当該回転の軸方向に沿って変位することで、前記管形蛍光灯は、前記巻芯と前記ガイド突起との間に引き込まれるとともに、前記ガイド突起に圧接して曲げ加工されつつ、前記巻芯の外周に巻き付けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の管形蛍光灯の成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−22864(P2012−22864A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159312(P2010−159312)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】