管材接合器、および管材接合方法
【課題】 接合部分の接合力を確保することができる管材接合器、および管材接合方法を提供すること。
【解決手段】 第1部材11の内周に挿入される側の一端を縮径して形成した縮径部24を有するインナーパンチ21と、インナーパンチ21を軸方向に貫通する中空部26と、縮径部24の外周面に突出したクサビ状の凸部25と、中空部26を軸方向に進退自在に摺動し、縮径部24側に摺動したときに縮径部24を拡径させる芯材28と、を設けた。
【解決手段】 第1部材11の内周に挿入される側の一端を縮径して形成した縮径部24を有するインナーパンチ21と、インナーパンチ21を軸方向に貫通する中空部26と、縮径部24の外周面に突出したクサビ状の凸部25と、中空部26を軸方向に進退自在に摺動し、縮径部24側に摺動したときに縮径部24を拡径させる芯材28と、を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管材接合器、および管材接合方法の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術としては、下記の特許文献1に記載の技術が開示されている。この公報では、金属製フランジの取付孔に金属製パイプの一端を挿入し、金属製パイプ内に挿入されたコアによって金属製パイプを内径側から径方向に拡径して、金属製フランジと金属製パイプとを接合している。また、コアの下部に凸部を設けたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11―138224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、金属フランジと金属パイプの拡径部分は面で接しているため、十分な接合力を確保することができないおそれがあった。またコアの下部に凸部を設け、凸部側面の平面部で金属製パイプの開口端部を拡径している。そのため金属フランジと金属パイプとは拡径部分は面で接しているため、金属パイプの抜けが生じやすいものであった。
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、接合部分の接合力を確保することができる管材接合器、および管材接合方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、第1の発明においては、第1部材の内周に挿入される側の一端を縮径して形成した縮径部を有するインナーパンチと、インナーパンチを軸方向に貫通する中空部と、縮径部の外周面に突出したクサビ状の凸部と、中空部を軸方向に進退自在に摺動し、縮径部側に摺動したときに縮径部を拡径させる芯材と、を設けた。
【0006】
また第2の発明においては、コンデンサに一体に設けるリキッドタンクのパイプを第1部材と第2部材とから形成し、第2部材の内周に第1部材を挿入した状態で、第2部材に対して第1部材の一部をクサビ形に拡大させることにより第1部材と第2部材とを接合するようにした。
【発明の効果】
【0007】
よって本発明においては、接合部分の保持力を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の熱交換器の全体図である。
【図2】実施例1のリキッドタンクの断面図である。
【図3】実施例1の管材接合器のインナーパンチを示す図である。
【図4】実施例1の管材接合器の芯材を示す図である。
【図5】実施例1の管材接合器のインナーパンチガイドを示す図である。
【図6】実施例1の第1部材と第2部材との仮組み方法を示す図である。
【図7】実施例1の第1部材と閉塞部材との仮組み方法を示す図である。
【図8】実施例1のインナーパンチの加工方法について説明する図である。
【図9】実施例2の管材接合器のインナーパンチを示す図である。
【図10】実施例3の管材接合器のインナーパンチを示す図である。
【図11】他の実施例の管材接合器のインナーパンチを示す図である。
【図12】他の実施例の管材接合器のインナーパンチを示す図である。
【図13】他の実施例の第1部材の内周に管材接合器を挿入した状態を示す図である。
【図14】他の実施例の第1部材の内周に管材接合器を挿入した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施例1]
〔全体構成〕
先ず、全体構成を説明する。
図1は熱交換器1の全体図である。熱交換器1は、左右に所定間隔を置いて配置された一対のタンク2,3と、これら一対のタンク2,3の間に配置されたコンデンサ4と、タンク3に沿って隣接して配置された長尺なリキッドタンク5を有している。
【0010】
タンク2には気化した高温の冷媒が流入する入力コネクタ6と、コンデンサ4およびリキッドタンク5において液化した低温の冷媒が流出する出力コネクタ7が設けられている。タンク3には、リキッドタンクを保持する保持部材8,9,10が設けられている。このうち保持部材8,9はタンク3の内部とリキッドタンク5の内部とを連通している。入力コネクタ6から流入した冷媒は、タンク2→コンデンサ4→タンク3→コンデンサ4→タンク2→コンデンサ4→タンク3→リキッドタンク5→タンク3→コンデンサ4→タンク2の順で流れ、出力コネクタ7から流出する。
【0011】
〔リキッドタンクの構成〕
図2はリキッドタンク5の断面図である。リキッドタンク5は、互いに連結される略円筒状の第1部材11と略円筒状の第2部材12で構成される本体13と、この本体13の開口両端部を閉塞する略皿状の閉塞部材14,15と、本体13内に収容されるフィルタ16を有している。
【0012】
第2部材12の内径は第1部材11の外径よりも若干大径に形成されており、第1部材11の一端を第2部材12の一端に挿入して一体に形成されている。
【0013】
第1部材の外周側面は保持部材10を介してタンク3に固定され、第2部材12の外周側面は保持部材8と保持部材9を介してタンク3に固定されている。第2部材12の内部であって、軸方向において保持部材8と保持部材9との間にはフィルタ16が固定されている。
【0014】
閉塞部材14は、円盤状の底部14aと、この底部14aの外周から起立した環状突起状に形成され、かつ、第1部材11の開口端部11aの内周に挿入して嵌合可能な挿入部14bが形成されている。
【0015】
閉塞部材15は、円盤状の底部15aと、この底部15aの外周から起立した環状突起状に形成され、かつ、第2部材12の開口端部12aの内周に挿入して嵌合可能な挿入部15bが形成されている。
【0016】
タンク3からリキッドタンク5に流入した冷媒は、フィルタ16によって濾されて再びタンク3に戻る。リキッドタンク5の上部には気体状の冷媒が貯留し、下部には液体状の冷媒が貯留することとなり、液体状の冷媒のみがタンク3に戻る。すなわち、リキッドタンク5は、リザーバ機能と気液分離機能とを有する。
【0017】
〔管材接合器の構成〕
熱交換器1の各構成部材は、全てアルミ製、またはアルミやステンレス等を主要材料とする合金製となっている。また、各部材の当接した接合部同士のうちの少なくとも一方にはブレージングシートから構成され、又は予めフラックスを塗布や貼付したろう材が成形されている。熱交換器1の各構成部材は一体に仮組みがなされた後に、炉で焼かれることでろう付けがなされる。
【0018】
リキッドタンク5は、第1部材11と第2部材12、第1部材11と閉塞部材14、第2部材12と閉塞部材15を一体に仮組みする必要がある。以下では、第1部材11、第2部材12および閉塞部材14,15を仮組みする際に使用する管材接合器20について説明する。
【0019】
図3は管材接合器20のインナーパンチ21を示す図であり、図3(a)はインナーパンチ21の軸方向の側面図、図3(b)はインナーパンチの径方向の側面図である。インナーパンチ21は全体が略円筒形に形成されている。インナーパンチ21は管材の内部に挿入される挿入部22と、挿入部22の一端側に挿入部22より大径に形成された大径部23と、挿入部22の他端側に周方向に8つに分割された縮径部24とを有している。
【0020】
縮径部24は先端に向かうにつれて、曲げ加工により縮径するようになっている。また縮径部24は周方向に分割されているため、内周側から外周側へ押圧されることにより拡径可能となっている。また縮径部24は曲げ加工されているため復元力があり、押圧力が作用しなくなると縮径部24自身の復元力で再び縮径するようになっている。縮径部24の外周先端部にはクサビ状の凸部25が周方向に形成されている。またインナーパンチ21には軸方向に貫通孔26が形成されており、この貫通孔26の凸部25側は先端に向かって縮径するように形成され、軸方向の凸部25付近に小径部27が形成されている。クサビ状の凸部25の形状は、いわゆる断面が略三角状であり、インナーパンチ21の外径方向に追従して先細りの略V字形である。
【0021】
図4は管材接合器20の芯材28を示す図である。芯材28は一端側に向かって縮径するように形成され、芯材28の一端部はインナーパンチ21の小径部27よりも大径に形成されている。
芯材28がインナーパンチ21の貫通孔26を縮径部24側に摺動すると、芯材28の一端部がインナーパンチ21の小径部27に挿入されて、縮径部24を内周側から外周側へ押圧して拡径させる。芯材28がインナーパンチ21の貫通孔26を縮径部24と反対側に摺動すると、芯材28は小径部27から抜かれて、縮径部24は再び縮径する。
【0022】
図5は管材接合器20のインナーパンチガイド29を示す図であり、図5(a)はインナーパンチガイド29の軸方向の側面図、図5(b)はインナーパンチガイド29の径方向の側面図である。インナーパンチガイド29の内周はインナーパンチ21の挿入部22の外周径よりも大径であり、またインナーパンチガイド29の外周はインナーパンチ21の大径部23よりも大径に形成されている。またインナーパンチガイド29の軸方向の厚さは、後述する図6(b)のようにインナーパンチ21を第1部材11に挿入したときに、第1部材11と第2部材12の接合部分に凸部25が位置するように形成される。
【0023】
〔リキッドタンクの仮組み方法〕
図6は第1部材11と第2部材12との仮組み方法を示す図である。まず図6(a)に示すように、インナーパンチ21の貫通孔26に芯材28を挿入し、インナーパンチガイド29の内周にインナーパンチ21を挿入する。このとき、芯材28はインナーパンチ21の小径部27の手前まで挿入するようにする。
【0024】
次に図6(b)に示すように、図6(a)のようにセットした管材接合器20を第1部材11の他端側から挿入する。このとき、第1部材11にインナーパンチガイド29が係止され、またインナーパンチガイド29にインナーパンチ21の大径部23が係止されて、凸部25が第1部材11と第2部材12の接合部分に位置することとなる。
【0025】
次に図6(c)に示すように、芯材28を前進させてインナーパンチ21の小径部27に芯材28の先端部を挿入する。このとき芯材28は、インナーパンチ21の縮径部24を拡径し、縮径部24先端の凸部25が第1部材11の内周の一部を拡径することにより、第1部材11の外周側に膨出して形成された突起が第2部材12の内周側に埋没されて接合する。
【0026】
図7は第1部材11と閉塞部材14との仮組み方法を示す図である。まず図7(a)に示すように、インナーパンチ21の貫通孔26に芯材28を挿入し、インナーパンチガイド29の内周にインナーパンチ21を挿入する。このとき、芯材28はインナーパンチ21の小径部27の手前まで挿入するようにする。
【0027】
次に図7(b)に示すように、図7(a)のようにセットした管材接合器20を閉塞部材14の開口部に挿入した状態で、閉塞部材14を第1部材11の開口端部11aに挿入する。
【0028】
次に図7(c)に示すように、芯材28を前進させてインナーパンチ21の小径部27に芯材28の先端部を挿入する。このとき芯材28は、インナーパンチ21の縮径部24を拡径し、縮径部24先端の凸部25が閉塞部材14の挿入部14bの内周の一部を拡径することにより、第1部材11と閉塞部材14とを接合する。
第2部材12と閉塞部材15との接合も上記と同様に行う。
【0029】
なお、第1部材11と閉塞部材14との間においては、閉塞部材14は本発明の第1部材に相当し、第1部材11は本発明の第2部材に相当する。また第2部材12と閉塞部材15との間においては、閉塞部材15は本発明の第1部材に相当し、第2部材は本発明の第2部材に相当する。
【0030】
〔インナーパンチの加工方法〕
図8はインナーパンチ21の加工方法について説明する図であり、図8(a)〜(d)は各工程の軸方向側面図および径方向側面図を表す。まず図8(a)に示すように、円筒状の部材に孔開け加工を行い、貫通孔26と小径部27を形成する。
【0031】
次に図8(b)に示すように、旋盤加工によって円筒部材の外周を加工する。この加工によって、凸部25、挿入部22と大径部23を形成する。
次に図8(c)に示すように、切り欠き加工(ワイヤーカット)によって凸部25側の端部を加工する。
この加工によって、縮径部24を形成する。
次に図8(d)に示すように、曲げ加工によって縮径部24を縮管した後、焼き入れ処理する。これらの加工を経て、インナーパンチ21を形成する。
【0032】
〔作用〕
各部材の当接した接合部同士のうちのすくなくとも一方にはブレージングシートから構成され、又は予めフラックスを塗布や貼付したろう材が成形されている。そのため、第1部材11、第2部材12および閉塞部材14,15を仮組みする際に各部材を圧入してしまうと、ろう材が剥離するおそれがあった。
【0033】
そこで結合時に外側に配置される部材(例えば第2部材12)の内径に対して内側に配置される部材(例えば第1部材11)の外径を小さく形成し、内側に配置される部材を外側に配置される部材に挿入し、内側に配置される部材を拡径することによって両部材を接合するようにすることが考えられる。これにより、ろう材が剥離することなく両部材を接合することができる。しかし通常の拡径接合では、両部材が面で接して十分な接合力を得ることができないおそれがあった。
【0034】
そこで実施例1では、第1部材11の内周に挿入される側の一端を縮径して形成した縮径部24を有するインナーパンチ21と、インナーパンチ21を軸方向に貫通する中空部26と、縮径部24の外周面に突出したクサビ状の凸部25と、中空部26を軸方向に進退自在に摺動し、縮径部24側に摺動したときに縮径部24を拡径させる芯材28と、を設けた。
【0035】
よって、凸部25により第1部材11の第2部材12との接合部分のうち一部が拡径するため、第1部材11と第2部材12との接合力を確保することができる。同じく第1部材11と閉塞部材14、第2部材12と閉塞部材15との接合力を確保することができる。また、ろう材の剥離を抑制することができる。また縮径部24はインナーパンチ21の一端部を縮径して形成しているため、第1部材にインナーパンチ21を挿入しやすく作業性を向上することができる。
【0036】
また実施例1では、芯材28が縮径部24と反対側に摺動したときに、拡大されていた縮径部24は縮径するようにした。よって、インナーパンチ21を第1部材11や閉塞部材14,15から抜きやすく作業性を向上することができる。
【0037】
また実施例1では、凸部25を縮径部24の端部側面に設けた。よって、例えば閉塞部材14、15のように深さが浅い部材にインナーパンチ21を挿入したときに、凸部25を部材内に挿入することができ、凸部25によって部材を拡大することができる。
また実施例1では、縮径部24を焼き入れ処理した。よって、縮径部24の強度を高くすることができる。
【0038】
また実施例1では、リキッドタンク5をコンデンサ4と一体に設け、このリキッドタンクのパイプを第1部材11と第2部材12とから形成するようにした。よって、コンデンサ4のサイズに合わせてリキッドタンク5の長さを調整することができる。
【0039】
また実施例1では、縮径部24を周方向に複数分割した。よって、縮径部24をスムーズに拡径することが可能となる。また縮径部24の設けた凸部25も周方向に分割されるため、ろう付け時に分割された凸部25の間をろう材が流れることができ、ろう付け後の接合力を高めることができる。
【0040】
〔効果〕
実施例1の効果について以下に列記する。
【0041】
(1)第1部材11の外周に第2部材12を挿入した状態で、第2部材12に対して第1部材11の一部を拡大させることにより第1部材11と第2部材12とを接合する管材接合器20において、第1部材11の内周に挿入される側の一端を縮径して形成した縮径部24を有するインナーパンチ21と、インナーパンチ21を軸方向に貫通する中空部26と、縮径部24の外周面に突出したクサビ状の凸部25と、中空部26を軸方向に進退自在に摺動し、縮径部24側に摺動したときに縮径部24を拡径させる芯材28と、を設けた。
よって、凸部25により第1部材11の第2部材12との接合部分のうち一部が拡径するため、第1部材11と第2部材12との接合力を確保することができる。同じく第1部材11と閉塞部材14、第2部材12と閉塞部材15との接合力を確保することができる。また、ろう材の剥離を抑制することができる。また縮径部24はインナーパンチ21の一端部を縮径して形成しているため、第1部材11、閉塞部材14,15にインナーパンチ21を挿入しやすく作業性を向上することができる。
【0042】
(2)芯材28が縮径部24反対側に摺動したときに、拡大されていた縮径部24は縮径するようにした。
よって、インナーパンチ21を第1部材11から抜きやすく作業性を向上することができる。
【0043】
(3)凸部25を縮径部24の端部側面に設けた。
よって、深さが浅い部材にもインナーパンチ21を挿入したときに、凸部25を部材内部に挿入することができ、凸部25により部材を拡大することができる。
【0044】
(4)縮径部24を焼き入れ処理した。
よって、縮径部24の強度を増すことができ、部材の拡大加工を容易に行うことができる。
【0045】
(5)コンデンサ4に一体に設けるリキッドタンク5のパイプを第1部材11と第2部材12とから形成し、第1部材11の外周に第2部材12を挿入した状態で、第2部材12に対して第1部材11の一部をクサビ形に拡大させることにより第1部材11と第2部材12とを接合するようにした。
よって、凸部25により第1部材11の第2部材12との接合部分のうち一部が拡径するため、第1部材11と第2部材12との接合力を確保することができる。同じく第1部材11と閉塞部材14、第2部材12と閉塞部材15との接合力を確保することができる。また、ろう材の剥離を抑制することができる。またコンデンサ4のサイズに合わせてリキッドタンク5の長さを調整することができる。
【0046】
[実施例2]
次に実施例2の管材接合器20について説明する。実施例1と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。実施例1の管材接合器20はインナーパンチ21の凸部25を一列に設けていたが、実施例2の管材接合器20はインナーパンチ21の凸部25に隣接し、並行して第2凸部32を平行に設け複数とした点で実施例1と異なる。
【0047】
図9は管材接合器20のインナーパンチ21を示す図であり、図9(a)はインナーパンチ21の軸方向の側面図、図9(b)はインナーパンチの径方向の側面図である。図9に示すように、インナーパンチ21の軸心に対して長手方向と直交して配置され、縮径部の先端部側面に凸部25に並行して第2凸部32が形成されている。
【0048】
〔作用〕
実施例2の管材接合器20では、インナーパンチ21の軸心に対して長手方向と直交して配置され、縮径部の先端部側面に凸部25に並行して第2凸部32を形成した。よって、第1部材11と第2部材12との接合力を高めることができる。同じく第1部材11と閉塞部材14、第2部材12と閉塞部材15との接合力を高めることができる。
尚、この実施例2においては、凸部25と第2凸部32を形成した例を示したが、第2凸部32と並行して更に凸部を形成しても良い。
【0049】
〔効果〕
実施例2の効果について以下に述べる。
【0050】
(6)インナーパンチ21の軸心に対して長手方向と直交して配置され、縮径部の先端部側面に凸部25に並行して第2凸部32を形成した
よって、第1部材11と第2部材12との接合力を高めることができる。同じく第1部材11と閉塞部材14、第2部材12と閉塞部材15との接合力を高めることができる。
【0051】
[実施例3]
次に実施例3の管材接合器20について説明する。実施例1,2と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。実施例1、2の管材接合器20はインナーパンチ21の凸部25を周方向に設けていたが、実施例3の管材接合器20はインナーパンチ21の凸部25を長手方向(軸方向)に設けた点で実施例1,2と異なる。
【0052】
図10は管材接合器20のインナーパンチ21を示す図であり、図10(a)はインナーパンチ21の軸方向の側面図、図10(b)はインナーパンチの径方向の側面図である。図10に示すように、縮径部24の外周先端にはクサビ状の凸部25がインナーパンチ21の長手方向に長く形成されている。
【0053】
〔作用〕
実施例3の管材接合器20では、縮径部24の外周先端に凸部25をインナーパンチ21の長手方向に長く設けた。よって、第1部材11は凸部25によって周方向に部分的に拡径されるため、ろう付け時に凸部25の間をろう材が流れることができ、ろう付け後の接合力を高めることができる。
【0054】
〔効果〕
実施例3の効果について以下に述べる。
【0055】
(7)インナーパンチ21の凸部25を、インナーパンチ21の長手方向に長く配置した。
よって、第1部材11は凸部25によって周方向に部分的に拡径されるため、ろう付け時に凸部25の間をろう材が流れることができ、ろう付け後の接合力を高めることができる。
【0056】
〔他の実施例〕
以上、本発明の管材接合器20を実施例に基づき説明したが、本発明の具体的な構成は実施例に限定されず、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0057】
図11は管材接合器20のインナーパンチ21を示す図であり、図11(a)はインナーパンチ21の軸方向の側面図、図11(b)はインナーパンチの径方向の側面図である。
実施例1ないし実施例3では縮径部24を8つに分割しているが、この構成を図11に示すように、縮径部24を4つに分割しても良いし、縮径部24の分割数は特に制限しない。
【0058】
図12は管材接合器20のインナーパンチ21を示す図であり、図12(a)はインナーパンチ21の軸方向の側面図、図12(b)はインナーパンチの径方向の側面図である。
実施例1ないし実施例3ではインナーパンチ21の全体を略円筒形に形成していたが、図12に示すように縮径部24および挿入部22を略角柱径に形成するようにしても良いし、また断面を楕円形に形成するようにしても良い。これにより、角管材や楕円角材の接合を行うことができる。
【0059】
図13は第1部材11と第2部材12とを接合するために、第1部材11の内周に管材接合器20を挿入した状態を示す図である。
実施例1ないし実施例3では第1部材11および第2部材12を案内するガイドを設けていなかったが、図13に示すように第1部材11および第2部材12を案内するパイプガイド30を設けるようにしても良い。
【0060】
パイプガイド30は軸方向に貫通孔を有し、この貫通孔は内周面に第2部材12を挿入できるように形成されている。第1部材11と第2部材12とを接合する際には、パイプガイド30を第1部材11と第2部材12の接合部分に配置し、インナーパンチ21の縮径部24を拡径させる。このパイプガイド30により、第2部材12の外周の変形を抑制することができる。
【0061】
図14は第1部材11と第2部材12とを接合するために、第1部材11の内周に管材接合器20を挿入した状態を示す図である。
また図14に示すように、パイプガイド30に逃げ溝31を形成するようにしても良い。第1部材11と第2部材12とを拡管接合する際に、部材の逃げ部を設けることができ、拡管荷重を低くするとともに、接合力を確保することができる。
【符号の説明】
【0062】
4 コンデンサ
5 リキッドタンク
11 第1部材
12 第2部材
14 閉塞部材(第1部材)
15 閉塞部材(第1部材)
20 管材接合器
21 インナーパンチ
24 縮径部
25 凸部
32 第2凸部
【技術分野】
【0001】
本発明は、管材接合器、および管材接合方法の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術としては、下記の特許文献1に記載の技術が開示されている。この公報では、金属製フランジの取付孔に金属製パイプの一端を挿入し、金属製パイプ内に挿入されたコアによって金属製パイプを内径側から径方向に拡径して、金属製フランジと金属製パイプとを接合している。また、コアの下部に凸部を設けたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11―138224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、金属フランジと金属パイプの拡径部分は面で接しているため、十分な接合力を確保することができないおそれがあった。またコアの下部に凸部を設け、凸部側面の平面部で金属製パイプの開口端部を拡径している。そのため金属フランジと金属パイプとは拡径部分は面で接しているため、金属パイプの抜けが生じやすいものであった。
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、接合部分の接合力を確保することができる管材接合器、および管材接合方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、第1の発明においては、第1部材の内周に挿入される側の一端を縮径して形成した縮径部を有するインナーパンチと、インナーパンチを軸方向に貫通する中空部と、縮径部の外周面に突出したクサビ状の凸部と、中空部を軸方向に進退自在に摺動し、縮径部側に摺動したときに縮径部を拡径させる芯材と、を設けた。
【0006】
また第2の発明においては、コンデンサに一体に設けるリキッドタンクのパイプを第1部材と第2部材とから形成し、第2部材の内周に第1部材を挿入した状態で、第2部材に対して第1部材の一部をクサビ形に拡大させることにより第1部材と第2部材とを接合するようにした。
【発明の効果】
【0007】
よって本発明においては、接合部分の保持力を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の熱交換器の全体図である。
【図2】実施例1のリキッドタンクの断面図である。
【図3】実施例1の管材接合器のインナーパンチを示す図である。
【図4】実施例1の管材接合器の芯材を示す図である。
【図5】実施例1の管材接合器のインナーパンチガイドを示す図である。
【図6】実施例1の第1部材と第2部材との仮組み方法を示す図である。
【図7】実施例1の第1部材と閉塞部材との仮組み方法を示す図である。
【図8】実施例1のインナーパンチの加工方法について説明する図である。
【図9】実施例2の管材接合器のインナーパンチを示す図である。
【図10】実施例3の管材接合器のインナーパンチを示す図である。
【図11】他の実施例の管材接合器のインナーパンチを示す図である。
【図12】他の実施例の管材接合器のインナーパンチを示す図である。
【図13】他の実施例の第1部材の内周に管材接合器を挿入した状態を示す図である。
【図14】他の実施例の第1部材の内周に管材接合器を挿入した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施例1]
〔全体構成〕
先ず、全体構成を説明する。
図1は熱交換器1の全体図である。熱交換器1は、左右に所定間隔を置いて配置された一対のタンク2,3と、これら一対のタンク2,3の間に配置されたコンデンサ4と、タンク3に沿って隣接して配置された長尺なリキッドタンク5を有している。
【0010】
タンク2には気化した高温の冷媒が流入する入力コネクタ6と、コンデンサ4およびリキッドタンク5において液化した低温の冷媒が流出する出力コネクタ7が設けられている。タンク3には、リキッドタンクを保持する保持部材8,9,10が設けられている。このうち保持部材8,9はタンク3の内部とリキッドタンク5の内部とを連通している。入力コネクタ6から流入した冷媒は、タンク2→コンデンサ4→タンク3→コンデンサ4→タンク2→コンデンサ4→タンク3→リキッドタンク5→タンク3→コンデンサ4→タンク2の順で流れ、出力コネクタ7から流出する。
【0011】
〔リキッドタンクの構成〕
図2はリキッドタンク5の断面図である。リキッドタンク5は、互いに連結される略円筒状の第1部材11と略円筒状の第2部材12で構成される本体13と、この本体13の開口両端部を閉塞する略皿状の閉塞部材14,15と、本体13内に収容されるフィルタ16を有している。
【0012】
第2部材12の内径は第1部材11の外径よりも若干大径に形成されており、第1部材11の一端を第2部材12の一端に挿入して一体に形成されている。
【0013】
第1部材の外周側面は保持部材10を介してタンク3に固定され、第2部材12の外周側面は保持部材8と保持部材9を介してタンク3に固定されている。第2部材12の内部であって、軸方向において保持部材8と保持部材9との間にはフィルタ16が固定されている。
【0014】
閉塞部材14は、円盤状の底部14aと、この底部14aの外周から起立した環状突起状に形成され、かつ、第1部材11の開口端部11aの内周に挿入して嵌合可能な挿入部14bが形成されている。
【0015】
閉塞部材15は、円盤状の底部15aと、この底部15aの外周から起立した環状突起状に形成され、かつ、第2部材12の開口端部12aの内周に挿入して嵌合可能な挿入部15bが形成されている。
【0016】
タンク3からリキッドタンク5に流入した冷媒は、フィルタ16によって濾されて再びタンク3に戻る。リキッドタンク5の上部には気体状の冷媒が貯留し、下部には液体状の冷媒が貯留することとなり、液体状の冷媒のみがタンク3に戻る。すなわち、リキッドタンク5は、リザーバ機能と気液分離機能とを有する。
【0017】
〔管材接合器の構成〕
熱交換器1の各構成部材は、全てアルミ製、またはアルミやステンレス等を主要材料とする合金製となっている。また、各部材の当接した接合部同士のうちの少なくとも一方にはブレージングシートから構成され、又は予めフラックスを塗布や貼付したろう材が成形されている。熱交換器1の各構成部材は一体に仮組みがなされた後に、炉で焼かれることでろう付けがなされる。
【0018】
リキッドタンク5は、第1部材11と第2部材12、第1部材11と閉塞部材14、第2部材12と閉塞部材15を一体に仮組みする必要がある。以下では、第1部材11、第2部材12および閉塞部材14,15を仮組みする際に使用する管材接合器20について説明する。
【0019】
図3は管材接合器20のインナーパンチ21を示す図であり、図3(a)はインナーパンチ21の軸方向の側面図、図3(b)はインナーパンチの径方向の側面図である。インナーパンチ21は全体が略円筒形に形成されている。インナーパンチ21は管材の内部に挿入される挿入部22と、挿入部22の一端側に挿入部22より大径に形成された大径部23と、挿入部22の他端側に周方向に8つに分割された縮径部24とを有している。
【0020】
縮径部24は先端に向かうにつれて、曲げ加工により縮径するようになっている。また縮径部24は周方向に分割されているため、内周側から外周側へ押圧されることにより拡径可能となっている。また縮径部24は曲げ加工されているため復元力があり、押圧力が作用しなくなると縮径部24自身の復元力で再び縮径するようになっている。縮径部24の外周先端部にはクサビ状の凸部25が周方向に形成されている。またインナーパンチ21には軸方向に貫通孔26が形成されており、この貫通孔26の凸部25側は先端に向かって縮径するように形成され、軸方向の凸部25付近に小径部27が形成されている。クサビ状の凸部25の形状は、いわゆる断面が略三角状であり、インナーパンチ21の外径方向に追従して先細りの略V字形である。
【0021】
図4は管材接合器20の芯材28を示す図である。芯材28は一端側に向かって縮径するように形成され、芯材28の一端部はインナーパンチ21の小径部27よりも大径に形成されている。
芯材28がインナーパンチ21の貫通孔26を縮径部24側に摺動すると、芯材28の一端部がインナーパンチ21の小径部27に挿入されて、縮径部24を内周側から外周側へ押圧して拡径させる。芯材28がインナーパンチ21の貫通孔26を縮径部24と反対側に摺動すると、芯材28は小径部27から抜かれて、縮径部24は再び縮径する。
【0022】
図5は管材接合器20のインナーパンチガイド29を示す図であり、図5(a)はインナーパンチガイド29の軸方向の側面図、図5(b)はインナーパンチガイド29の径方向の側面図である。インナーパンチガイド29の内周はインナーパンチ21の挿入部22の外周径よりも大径であり、またインナーパンチガイド29の外周はインナーパンチ21の大径部23よりも大径に形成されている。またインナーパンチガイド29の軸方向の厚さは、後述する図6(b)のようにインナーパンチ21を第1部材11に挿入したときに、第1部材11と第2部材12の接合部分に凸部25が位置するように形成される。
【0023】
〔リキッドタンクの仮組み方法〕
図6は第1部材11と第2部材12との仮組み方法を示す図である。まず図6(a)に示すように、インナーパンチ21の貫通孔26に芯材28を挿入し、インナーパンチガイド29の内周にインナーパンチ21を挿入する。このとき、芯材28はインナーパンチ21の小径部27の手前まで挿入するようにする。
【0024】
次に図6(b)に示すように、図6(a)のようにセットした管材接合器20を第1部材11の他端側から挿入する。このとき、第1部材11にインナーパンチガイド29が係止され、またインナーパンチガイド29にインナーパンチ21の大径部23が係止されて、凸部25が第1部材11と第2部材12の接合部分に位置することとなる。
【0025】
次に図6(c)に示すように、芯材28を前進させてインナーパンチ21の小径部27に芯材28の先端部を挿入する。このとき芯材28は、インナーパンチ21の縮径部24を拡径し、縮径部24先端の凸部25が第1部材11の内周の一部を拡径することにより、第1部材11の外周側に膨出して形成された突起が第2部材12の内周側に埋没されて接合する。
【0026】
図7は第1部材11と閉塞部材14との仮組み方法を示す図である。まず図7(a)に示すように、インナーパンチ21の貫通孔26に芯材28を挿入し、インナーパンチガイド29の内周にインナーパンチ21を挿入する。このとき、芯材28はインナーパンチ21の小径部27の手前まで挿入するようにする。
【0027】
次に図7(b)に示すように、図7(a)のようにセットした管材接合器20を閉塞部材14の開口部に挿入した状態で、閉塞部材14を第1部材11の開口端部11aに挿入する。
【0028】
次に図7(c)に示すように、芯材28を前進させてインナーパンチ21の小径部27に芯材28の先端部を挿入する。このとき芯材28は、インナーパンチ21の縮径部24を拡径し、縮径部24先端の凸部25が閉塞部材14の挿入部14bの内周の一部を拡径することにより、第1部材11と閉塞部材14とを接合する。
第2部材12と閉塞部材15との接合も上記と同様に行う。
【0029】
なお、第1部材11と閉塞部材14との間においては、閉塞部材14は本発明の第1部材に相当し、第1部材11は本発明の第2部材に相当する。また第2部材12と閉塞部材15との間においては、閉塞部材15は本発明の第1部材に相当し、第2部材は本発明の第2部材に相当する。
【0030】
〔インナーパンチの加工方法〕
図8はインナーパンチ21の加工方法について説明する図であり、図8(a)〜(d)は各工程の軸方向側面図および径方向側面図を表す。まず図8(a)に示すように、円筒状の部材に孔開け加工を行い、貫通孔26と小径部27を形成する。
【0031】
次に図8(b)に示すように、旋盤加工によって円筒部材の外周を加工する。この加工によって、凸部25、挿入部22と大径部23を形成する。
次に図8(c)に示すように、切り欠き加工(ワイヤーカット)によって凸部25側の端部を加工する。
この加工によって、縮径部24を形成する。
次に図8(d)に示すように、曲げ加工によって縮径部24を縮管した後、焼き入れ処理する。これらの加工を経て、インナーパンチ21を形成する。
【0032】
〔作用〕
各部材の当接した接合部同士のうちのすくなくとも一方にはブレージングシートから構成され、又は予めフラックスを塗布や貼付したろう材が成形されている。そのため、第1部材11、第2部材12および閉塞部材14,15を仮組みする際に各部材を圧入してしまうと、ろう材が剥離するおそれがあった。
【0033】
そこで結合時に外側に配置される部材(例えば第2部材12)の内径に対して内側に配置される部材(例えば第1部材11)の外径を小さく形成し、内側に配置される部材を外側に配置される部材に挿入し、内側に配置される部材を拡径することによって両部材を接合するようにすることが考えられる。これにより、ろう材が剥離することなく両部材を接合することができる。しかし通常の拡径接合では、両部材が面で接して十分な接合力を得ることができないおそれがあった。
【0034】
そこで実施例1では、第1部材11の内周に挿入される側の一端を縮径して形成した縮径部24を有するインナーパンチ21と、インナーパンチ21を軸方向に貫通する中空部26と、縮径部24の外周面に突出したクサビ状の凸部25と、中空部26を軸方向に進退自在に摺動し、縮径部24側に摺動したときに縮径部24を拡径させる芯材28と、を設けた。
【0035】
よって、凸部25により第1部材11の第2部材12との接合部分のうち一部が拡径するため、第1部材11と第2部材12との接合力を確保することができる。同じく第1部材11と閉塞部材14、第2部材12と閉塞部材15との接合力を確保することができる。また、ろう材の剥離を抑制することができる。また縮径部24はインナーパンチ21の一端部を縮径して形成しているため、第1部材にインナーパンチ21を挿入しやすく作業性を向上することができる。
【0036】
また実施例1では、芯材28が縮径部24と反対側に摺動したときに、拡大されていた縮径部24は縮径するようにした。よって、インナーパンチ21を第1部材11や閉塞部材14,15から抜きやすく作業性を向上することができる。
【0037】
また実施例1では、凸部25を縮径部24の端部側面に設けた。よって、例えば閉塞部材14、15のように深さが浅い部材にインナーパンチ21を挿入したときに、凸部25を部材内に挿入することができ、凸部25によって部材を拡大することができる。
また実施例1では、縮径部24を焼き入れ処理した。よって、縮径部24の強度を高くすることができる。
【0038】
また実施例1では、リキッドタンク5をコンデンサ4と一体に設け、このリキッドタンクのパイプを第1部材11と第2部材12とから形成するようにした。よって、コンデンサ4のサイズに合わせてリキッドタンク5の長さを調整することができる。
【0039】
また実施例1では、縮径部24を周方向に複数分割した。よって、縮径部24をスムーズに拡径することが可能となる。また縮径部24の設けた凸部25も周方向に分割されるため、ろう付け時に分割された凸部25の間をろう材が流れることができ、ろう付け後の接合力を高めることができる。
【0040】
〔効果〕
実施例1の効果について以下に列記する。
【0041】
(1)第1部材11の外周に第2部材12を挿入した状態で、第2部材12に対して第1部材11の一部を拡大させることにより第1部材11と第2部材12とを接合する管材接合器20において、第1部材11の内周に挿入される側の一端を縮径して形成した縮径部24を有するインナーパンチ21と、インナーパンチ21を軸方向に貫通する中空部26と、縮径部24の外周面に突出したクサビ状の凸部25と、中空部26を軸方向に進退自在に摺動し、縮径部24側に摺動したときに縮径部24を拡径させる芯材28と、を設けた。
よって、凸部25により第1部材11の第2部材12との接合部分のうち一部が拡径するため、第1部材11と第2部材12との接合力を確保することができる。同じく第1部材11と閉塞部材14、第2部材12と閉塞部材15との接合力を確保することができる。また、ろう材の剥離を抑制することができる。また縮径部24はインナーパンチ21の一端部を縮径して形成しているため、第1部材11、閉塞部材14,15にインナーパンチ21を挿入しやすく作業性を向上することができる。
【0042】
(2)芯材28が縮径部24反対側に摺動したときに、拡大されていた縮径部24は縮径するようにした。
よって、インナーパンチ21を第1部材11から抜きやすく作業性を向上することができる。
【0043】
(3)凸部25を縮径部24の端部側面に設けた。
よって、深さが浅い部材にもインナーパンチ21を挿入したときに、凸部25を部材内部に挿入することができ、凸部25により部材を拡大することができる。
【0044】
(4)縮径部24を焼き入れ処理した。
よって、縮径部24の強度を増すことができ、部材の拡大加工を容易に行うことができる。
【0045】
(5)コンデンサ4に一体に設けるリキッドタンク5のパイプを第1部材11と第2部材12とから形成し、第1部材11の外周に第2部材12を挿入した状態で、第2部材12に対して第1部材11の一部をクサビ形に拡大させることにより第1部材11と第2部材12とを接合するようにした。
よって、凸部25により第1部材11の第2部材12との接合部分のうち一部が拡径するため、第1部材11と第2部材12との接合力を確保することができる。同じく第1部材11と閉塞部材14、第2部材12と閉塞部材15との接合力を確保することができる。また、ろう材の剥離を抑制することができる。またコンデンサ4のサイズに合わせてリキッドタンク5の長さを調整することができる。
【0046】
[実施例2]
次に実施例2の管材接合器20について説明する。実施例1と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。実施例1の管材接合器20はインナーパンチ21の凸部25を一列に設けていたが、実施例2の管材接合器20はインナーパンチ21の凸部25に隣接し、並行して第2凸部32を平行に設け複数とした点で実施例1と異なる。
【0047】
図9は管材接合器20のインナーパンチ21を示す図であり、図9(a)はインナーパンチ21の軸方向の側面図、図9(b)はインナーパンチの径方向の側面図である。図9に示すように、インナーパンチ21の軸心に対して長手方向と直交して配置され、縮径部の先端部側面に凸部25に並行して第2凸部32が形成されている。
【0048】
〔作用〕
実施例2の管材接合器20では、インナーパンチ21の軸心に対して長手方向と直交して配置され、縮径部の先端部側面に凸部25に並行して第2凸部32を形成した。よって、第1部材11と第2部材12との接合力を高めることができる。同じく第1部材11と閉塞部材14、第2部材12と閉塞部材15との接合力を高めることができる。
尚、この実施例2においては、凸部25と第2凸部32を形成した例を示したが、第2凸部32と並行して更に凸部を形成しても良い。
【0049】
〔効果〕
実施例2の効果について以下に述べる。
【0050】
(6)インナーパンチ21の軸心に対して長手方向と直交して配置され、縮径部の先端部側面に凸部25に並行して第2凸部32を形成した
よって、第1部材11と第2部材12との接合力を高めることができる。同じく第1部材11と閉塞部材14、第2部材12と閉塞部材15との接合力を高めることができる。
【0051】
[実施例3]
次に実施例3の管材接合器20について説明する。実施例1,2と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。実施例1、2の管材接合器20はインナーパンチ21の凸部25を周方向に設けていたが、実施例3の管材接合器20はインナーパンチ21の凸部25を長手方向(軸方向)に設けた点で実施例1,2と異なる。
【0052】
図10は管材接合器20のインナーパンチ21を示す図であり、図10(a)はインナーパンチ21の軸方向の側面図、図10(b)はインナーパンチの径方向の側面図である。図10に示すように、縮径部24の外周先端にはクサビ状の凸部25がインナーパンチ21の長手方向に長く形成されている。
【0053】
〔作用〕
実施例3の管材接合器20では、縮径部24の外周先端に凸部25をインナーパンチ21の長手方向に長く設けた。よって、第1部材11は凸部25によって周方向に部分的に拡径されるため、ろう付け時に凸部25の間をろう材が流れることができ、ろう付け後の接合力を高めることができる。
【0054】
〔効果〕
実施例3の効果について以下に述べる。
【0055】
(7)インナーパンチ21の凸部25を、インナーパンチ21の長手方向に長く配置した。
よって、第1部材11は凸部25によって周方向に部分的に拡径されるため、ろう付け時に凸部25の間をろう材が流れることができ、ろう付け後の接合力を高めることができる。
【0056】
〔他の実施例〕
以上、本発明の管材接合器20を実施例に基づき説明したが、本発明の具体的な構成は実施例に限定されず、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0057】
図11は管材接合器20のインナーパンチ21を示す図であり、図11(a)はインナーパンチ21の軸方向の側面図、図11(b)はインナーパンチの径方向の側面図である。
実施例1ないし実施例3では縮径部24を8つに分割しているが、この構成を図11に示すように、縮径部24を4つに分割しても良いし、縮径部24の分割数は特に制限しない。
【0058】
図12は管材接合器20のインナーパンチ21を示す図であり、図12(a)はインナーパンチ21の軸方向の側面図、図12(b)はインナーパンチの径方向の側面図である。
実施例1ないし実施例3ではインナーパンチ21の全体を略円筒形に形成していたが、図12に示すように縮径部24および挿入部22を略角柱径に形成するようにしても良いし、また断面を楕円形に形成するようにしても良い。これにより、角管材や楕円角材の接合を行うことができる。
【0059】
図13は第1部材11と第2部材12とを接合するために、第1部材11の内周に管材接合器20を挿入した状態を示す図である。
実施例1ないし実施例3では第1部材11および第2部材12を案内するガイドを設けていなかったが、図13に示すように第1部材11および第2部材12を案内するパイプガイド30を設けるようにしても良い。
【0060】
パイプガイド30は軸方向に貫通孔を有し、この貫通孔は内周面に第2部材12を挿入できるように形成されている。第1部材11と第2部材12とを接合する際には、パイプガイド30を第1部材11と第2部材12の接合部分に配置し、インナーパンチ21の縮径部24を拡径させる。このパイプガイド30により、第2部材12の外周の変形を抑制することができる。
【0061】
図14は第1部材11と第2部材12とを接合するために、第1部材11の内周に管材接合器20を挿入した状態を示す図である。
また図14に示すように、パイプガイド30に逃げ溝31を形成するようにしても良い。第1部材11と第2部材12とを拡管接合する際に、部材の逃げ部を設けることができ、拡管荷重を低くするとともに、接合力を確保することができる。
【符号の説明】
【0062】
4 コンデンサ
5 リキッドタンク
11 第1部材
12 第2部材
14 閉塞部材(第1部材)
15 閉塞部材(第1部材)
20 管材接合器
21 インナーパンチ
24 縮径部
25 凸部
32 第2凸部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材の外周に第2部材を挿入した状態で、前記第2部材に対して前記第1部材の一部を拡大させることにより前記第1部材と前記第2部材とを接合する管材接合器において、
前記第1部材の内周に挿入される側の一端を縮径して形成した縮径部を有するインナーパンチと、
前記インナーパンチを軸方向に貫通する中空部と、
前記縮径部は周方向に分割されており、
前記縮径部の外周面に突出したクサビ状の凸部と、
前記中空部を軸方向に進退自在に摺動し、前記縮径部側に摺動したときに前記縮径部を拡径させる芯材と、
前記縮径部は前記第1部材の内周側から外周側へ押圧されると拡径し、
前記縮径部は前記第1部材の内周側から外周側へ押圧されないと自身の復元力で縮径することを設けたことを特徴とする管材接合器。
【請求項2】
請求項1に記載の管材接合器において、
前記芯材が前記縮径部反対側に摺動したときに、拡大されていた前記縮径部は縮径することを特徴とする管材接合器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の管材接合器において、
前記凸部を前記縮径部の端部側面に設けたことを特徴とする管材接合器。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の管材接合器において、
前記インナーパンチの軸心に対して長手方向と直交して配置され、かつ前記縮径部の前記第1部材の内周に挿入される側端部側面に前記凸部が設けられ、前記凸部に隣接して複数の凸部を設けたことを特徴とする管材接合器。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の管材接合器において、
前記凸部を前記インナーパンチの長手方向に長く配置したことを特徴とする管材接合器。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の管材接合器において、
前記縮径部を焼き入れ処理したことを特徴とする管材接合器。
【請求項7】
コンデンサに一体に設けるリキッドタンクのパイプを第1部材と第2部材とから形成し、
前記第1部材の外周を前記第2部材に挿入した状態で、前記第2部材に対して前記第1部材の一部をクサビ形に拡大させることにより前記第1部材と前記第2部材とを接合する管材接合方法。
【請求項1】
第1部材の外周に第2部材を挿入した状態で、前記第2部材に対して前記第1部材の一部を拡大させることにより前記第1部材と前記第2部材とを接合する管材接合器において、
前記第1部材の内周に挿入される側の一端を縮径して形成した縮径部を有するインナーパンチと、
前記インナーパンチを軸方向に貫通する中空部と、
前記縮径部は周方向に分割されており、
前記縮径部の外周面に突出したクサビ状の凸部と、
前記中空部を軸方向に進退自在に摺動し、前記縮径部側に摺動したときに前記縮径部を拡径させる芯材と、
前記縮径部は前記第1部材の内周側から外周側へ押圧されると拡径し、
前記縮径部は前記第1部材の内周側から外周側へ押圧されないと自身の復元力で縮径することを設けたことを特徴とする管材接合器。
【請求項2】
請求項1に記載の管材接合器において、
前記芯材が前記縮径部反対側に摺動したときに、拡大されていた前記縮径部は縮径することを特徴とする管材接合器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の管材接合器において、
前記凸部を前記縮径部の端部側面に設けたことを特徴とする管材接合器。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の管材接合器において、
前記インナーパンチの軸心に対して長手方向と直交して配置され、かつ前記縮径部の前記第1部材の内周に挿入される側端部側面に前記凸部が設けられ、前記凸部に隣接して複数の凸部を設けたことを特徴とする管材接合器。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の管材接合器において、
前記凸部を前記インナーパンチの長手方向に長く配置したことを特徴とする管材接合器。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の管材接合器において、
前記縮径部を焼き入れ処理したことを特徴とする管材接合器。
【請求項7】
コンデンサに一体に設けるリキッドタンクのパイプを第1部材と第2部材とから形成し、
前記第1部材の外周を前記第2部材に挿入した状態で、前記第2部材に対して前記第1部材の一部をクサビ形に拡大させることにより前記第1部材と前記第2部材とを接合する管材接合方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−121084(P2011−121084A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280036(P2009−280036)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
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