説明

管状組織吻合器具

【課題】手術効率を大幅に向上することが可能で、かつ、術者の手技レベルへの依存度を極力低くすることを可能としつつ、従来よりも強い吻合力を備える管状組織吻合器具を提供する。
【解決手段】管状の外側吻合部材10と、外側吻合部材10との間に所定の隙間gを設けるようにして外側吻合部材10の内側に配置される管状の内側吻合部材20とを備える管状組織吻合器具1。外側吻合部材10は、脂肪族エステル系樹脂を材料として所定の形状記憶処理を施すことにより形成された、形状記憶性能を備えるものである。また、外側吻合部材10は、所定温度以上に再び加熱することにより、隙間gを狭くするように形状を変形可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、血管、消化管、胆管、尿管、尿道等の生体の管状組織を吻合するために用いる管状組織吻合器具に関する。
【背景技術】
【0002】
血管を吻合するための血管吻合器具として、従来、乳酸系ポリマーを用いた血管吻合器具が知られている(例えば、特許文献1参照。)。従来の血管吻合器具は、乳酸系ポリマーにバイオセラミックス粉体を含有させた成形体に所定の形状記憶処理を施すことにより、所定温度以上に再び加熱すると収縮変形するように構成されたものである。また、従来の血管吻合器具は、単一の管状部材からなる。
従来の血管吻合器具においては、収縮前の状態の血管吻合器具の両開口部に対して吻合対象となる2つの血管をそれぞれ挿入し、その状態で血管吻合器具を所定温度以上に再び加熱することにより、血管吻合器具を収縮変形させて血管の外周面に密着させている。
【0003】
従来の血管吻合器具によれば、血管吻合器具を収縮変形させて血管の外周面に密着させる構成としているため、血管外周面と血管吻合器具内面との間に働く摩擦力でもって両血管と血管吻合器具との接合状態を維持することができ、結果として、血管を吻合することが可能となる。
また、従来の血管吻合器具によれば、縫合糸で血管を縫合するといった非常に煩雑な作業を行うことも無いので、手術効率を大幅に向上することが可能となるとともに、術者の手技レベルへの依存度を極力低くすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3503045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、血管に対する血管吻合器具の吻合力が弱いと、最悪の場合、血管吻合器具から血管が外れてしまうこともあり得るため、より強い吻合力を備える血管吻合器具の開発が望まれている。
【0006】
なお、このような要望は、血管吻合器具に限らず、血管以外の管状組織(例えば、消化管、胆管、尿管、尿道等)を吻合するために用いる管状組織吻合器具全般に対して存在するものである。
【0007】
そこで、本発明は、このような要望に鑑みてなされたもので、手術効率を大幅に向上することが可能で、かつ、術者の手技レベルへの依存度を極力低くすることを可能としつつ、従来よりも強い吻合力を備える管状組織吻合器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本発明の管状組織吻合器具(1)は、管状の外側吻合部材(10)と、前記外側吻合部材(10)との間に所定の隙間(g)を設けるようにして前記外側吻合部材(10)の内側に配置される管状の内側吻合部材(20)とを備える管状組織吻合器具(1)であって、当該管状組織吻合器具は、一方の管状組織(V1)の端部を外側に折り返すことで当該端部の内面を露出させ、当該露出した部分に他方の管状組織(V2)の端部内面を重ねた状態で、前記一方の管状組織(V1)における前記折り返した部分の内部に配置した前記内側吻合部材(20)と前記他方の管状組織(V2)の外面側に配置した外側吻合部材(10)とで前記一方及び他方の管状組織(V1,V2)を挟むように吻合するタイプのものであり、前記外側及び内側吻合部材(10,20)のうち少なくとも一方の吻合部材は、脂肪族エステル系樹脂を材料として所定の形状記憶処理を施すことにより形成された、形状記憶性能を備えるものであり、かつ、所定温度以上に再び加熱することにより、前記隙間を狭くするように形状を変形可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
このため、本発明の管状組織吻合器具によれば、2つの吻合部材でもって管状組織の吻合対象部分を挟むようにして吻合するものであるため、形状記憶性能を備える吻合部材を所定温度に再加熱することにより、2つの吻合部材と管状組織との間に挟持力(2つの吻合部材で管状組織を挟もうとする力)が発生することとなる。この挟持力により、管状組織と各吻合部材との接合状態をより長く維持することができるため、本発明の管状組織吻合器具は、従来よりも強い吻合力を備える管状組織吻合器具となる。
【0010】
また、本発明の管状組織吻合器具によれば、管状組織を吻合するにあたり、管状組織に対して各吻合部材を配置した後、形状記憶性能を備える吻合部材を所定温度以上に再び加熱するだけでよいことから、縫合糸で血管を縫合するといった非常に煩雑な作業を行わなくてよい。その結果、手術効率を大幅に向上することが可能となるとともに、術者の手技レベルへの依存度を極力低くすることが可能となる。
【0011】
したがって、本発明の管状組織吻合器具は、手術効率を大幅に向上することが可能で、かつ、術者の手技レベルへの依存度を極力低くすることを可能としつつ、従来よりも強い吻合力を備える管状組織吻合器具となる。
【0012】
なお、「脂肪族エステル系樹脂を材料として所定の形状記憶処理を施す」とは、例えば、脂肪族エステル系樹脂を、所定の成形温度に加熱して第1形状に成形し、当該第1形状からなる成形体を前記樹脂のガラス転移点よりも高く前記樹脂の融点よりも低い温度で第2形状に変形処理し、当該変形処理された前記第2形状からなる中間体を前記樹脂のガラス転移点よりも低い温度に冷却して前記第2形状に形状固定することをいう。
【0013】
[2]上記[1]に記載の管状組織吻合器具(2)においては、前記内側吻合部材(40)は、管軸(2ax)方向に沿って所定距離(d1)をあけて並置された第1内側管状部材(42)及び第2内側管状部材(44)を有し、前記外側吻合部材(30)の管軸(2ax)方向に沿った長さ(L1)は、前記第1内側管状部材(42)から前記第2内側管状部材(44)までの前記距離(d1)以下であり、前記第1及び第2内側管状部材(42,44)並びに前記外側吻合部材(30)は、管軸(2ax)方向に沿ってみたときに、前記第1内側管状部材(42)の次に前記外側吻合部材(30)が配置され、前記外側吻合部材(30)の次に前記第2内側管状部材(44)が配置されるように構成されていることが好ましい。
【0014】
[3]上記[1]に記載の管状組織吻合器具(3)においては、前記外側吻合部材(50)は、管軸(3ax)方向に沿って所定距離(d2)をあけて並置された第1外側管状部材(52)及び第2外側管状部材(54)を有し、前記内側吻合部材(60)の管軸(3ax)方向に沿った長さ(L2)は、前記第1外側管状部材(52)から前記第2外側管状部材(54)までの前記距離(d2)以下であり、前記第1及び第2外側管状部材(52,54)並びに前記内側吻合部材(60)は、管軸(3ax)方向に沿ってみたときに、前記第1外側管状部材(52)の次に前記内側吻合部材(60)が配置され、前記内側吻合部材(60)の次に前記第2外側管状部材(54)が配置されるように構成されていることも好ましい。
【0015】
[4]上記[1]に記載の管状組織吻合器具(4)においては、前記内側吻合部材(80)は、管軸(4ax)方向に沿って所定距離(d4)をあけて並置された複数の内側管状部材(82,84,86)を有し、前記外側吻合部材(70)は、管軸(4ax)方向に沿って所定距離(d3)をあけて並置された複数の外側管状部材(72,74,76)を有し、前記複数の内側管状部材(82,84,86)の管軸(4ax)方向に沿った長さ(L4)は、各外側管状部材(72,74,76)間の前記距離(d3)以下であり、前記複数の外側管状部材(72,74,76)の管軸(4ax)方向に沿った長さ(L3)は、各内側管状部材(82,84,86)間の前記距離(d4)以下であり、前記複数の内側管状部材(82,84,86)及び前記複数の外側管状部材(72,74,76)は、管軸(4ax)方向に沿ってみたときに、前記内側管状部材と前記外側管状部材とが互い違いに配置されるように構成されていることも好ましい。
【0016】
[5]上記[1]に記載の管状組織吻合器具(5)においては、前記内側吻合部材(100)の外周面には、管軸(5ax)方向に沿って所定距離(d5)をあけて少なくとも2つの突起(102,104)が並設され、前記外側吻合部材(90)の管軸(5ax)方向に沿った長さ(L5)は、前記内側吻合部材(100)の前記突起(102,104)間の前記距離(d5)以下であり、前記外側吻合部材(90)は、管軸(5ax)方向に沿ってみたときの配置位置が、前記内側吻合部材(100)の前記突起(102,104)間に位置するように構成されていることも好ましい。
【0017】
[6]上記[1]に記載の管状組織吻合器具においては、前記外側吻合部材の内周面には、管軸方向に沿って所定距離をあけて少なくとも2つの突起が並設され、前記内側吻合部材の管軸方向に沿った長さは、前記外側吻合部材の前記突起間の前記距離以下であり、前記内側吻合部材は、管軸方向に沿ってみたときの配置位置が、前記外側吻合部材の前記突起間に位置するように構成されていることも好ましい。
【0018】
[7]上記[1]に記載の管状組織吻合器具においては、前記内側吻合部材の外周面及び前記外側吻合部材の内周面のいずれか一方の面には、凸部が形成され、他方の面には、前記凸部の位置に対応する位置に、前記凸部の形状に対応する形状からなる凹部が形成されていることも好ましい。
【0019】
上記[2]〜[7]のように構成することにより、管状組織を吻合した後で管状組織の長手方向に沿って望ましくない張力が加わった場合であっても、外側吻合部材(各外側管状部材)と内側吻合部材(各内側管状部材)との位置ずれの発生を極力抑制することができるため、より吻合力の強い管状組織吻合器具となる。
【0020】
[8]本発明の管状組織吻合器具(1)は、管状の外側吻合部材(10)と、前記外側吻合部材(10)との間に所定の隙間(g)を設けるようにして前記外側吻合部材(10)の内側に配置される管状の内側吻合部材(20)とを備える管状組織吻合器具(1)であって、当該管状組織吻合器具は、一方の管状組織(V1)の端面と他方の管状組織(V2)の端面とが向き合うように前記一方及び他方の管状組織(V1,V2)を配置した状態で、前記一方及び他方の管状組織(V1,V2)の内面側に配置した前記内側吻合部材(20)と前記一方及び他方の管状組織(V1,V2)の外面側に配置した前記外側吻合部材(10)とで前記一方及び他方の管状組織(V1,V2)を挟むように吻合するタイプのものであり、前記外側及び内側吻合部材(10,20)のうち少なくとも一方の吻合部材は、脂肪族エステル系樹脂を材料として所定の形状記憶処理を施すことにより形成された、形状記憶性能を備えるものであり、かつ、所定温度以上に再び加熱することにより、前記隙間を狭くするように形状を変形可能に構成されていることを特徴とする。
【0021】
このため、本発明の管状組織吻合器具によれば、2つの吻合部材でもって管状組織の吻合対象部分を挟むようにして吻合するものであるため、形状記憶性能を備える吻合部材を所定温度に再加熱することにより、2つの吻合部材と管状組織との間に挟持力(2つの吻合部材で管状組織を挟もうとする力)が発生することとなる。この挟持力により、管状組織と各吻合部材との接合状態をより長く維持することができるため、本発明の管状組織吻合器具は、従来よりも強い吻合力を備える管状組織吻合器具となる。
【0022】
また、本発明の管状組織吻合器具によれば、管状組織を吻合するにあたり、管状組織に対して各吻合部材を配置した後、形状記憶性能を備える吻合部材を所定温度以上に再び加熱するだけでよいことから、縫合糸で血管を縫合するといった非常に煩雑な作業を行わなくてよい。その結果、手術効率を大幅に向上することが可能となるとともに、術者の手技レベルへの依存度を極力低くすることが可能となる。
【0023】
したがって、本発明(上記[8]に記載)の管状組織吻合器具は、上記[1]に記載の管状組織吻合器具と同様、手術効率を大幅に向上することが可能で、かつ、術者の手技レベルへの依存度を極力低くすることを可能としつつ、従来よりも強い吻合力を備える管状組織吻合器具となる。
【0024】
[9]上記[1]〜[8]のいずれか1つに記載の管状組織吻合器具においては、前記外側及び内側吻合部材はともに、脂肪族ポリエステル樹脂から構成された前記形状記憶性能を備えるものであり、前記外側吻合部材は、所定温度以上に再び加熱することにより、前記隙間を狭くするように形状を収縮変形可能に構成されており、前記内側吻合部材は、所定温度以上に再び加熱することにより、前記隙間を狭くするように形状を拡張変形可能に構成されていることが好ましい。
【0025】
このように構成することにより、各吻合部材を所定温度に再加熱したときに2つの吻合部材と管状組織との間に発生する挟持力をより強くすることが可能となるため、さらに吻合力の強い管状組織吻合器具となる。
【0026】
[10]上記[1]〜[9]のいずれか1つに記載の管状組織吻合器具においては、前記外側及び内側吻合部材のうち少なくとも一方の吻合部材は、複数の孔が設けられた構造を有することが好ましい。
【0027】
このように構成することにより、吻合部分の管状組織に加わる圧力を軽減することができるため、吻合部分の管状組織の表層部を通る血流が滞ってしまうのを抑制することができ、結果として、吻合部分の細胞が壊死するのを抑制することが可能となる。
【0028】
[11]本発明の発明者らは、管状組織の端部を縮径・拡径させたときの管状組織の復元力に着目し、管状組織の端部を縮径させたときと拡径させたときとで復元力(元の形状に戻ろうとする力)に違いがあるかどうか徹底的に調査した。その結果、管状組織の端部を拡径させたときの方が、縮径させたときに比べて復元力が強いことが判明し、管状組織の外面側に配置した管状組織吻合器具を収縮変形させて、管状組織の外周面に管状組織吻合器具を密着させたときよりも、管状組織の内面側に配置した管状組織吻合器具を拡張変形させて、管状組織の内周面に管状組織吻合器具を密着させたときの方が、管状組織と管状組織吻合器具との間に働く摩擦力が大きくなるという知見を得た。
本発明者らは、以上の知見に基づき、管状組織の外面側に配置した管状組織吻合器具を収縮変形させるのではなく、管状組織の内面側に配置した管状組織吻合器具を拡張変形させて、管状組織の内周面に管状組織吻合器具を密着させる方が、結果として、従来よりも吻合力を強くすることができることに想到し、本発明を完成させるに至った。
【0029】
すなわち、本発明の管状組織吻合器具(6)は、単一の吻合部材(110)を備える管状組織吻合器具(6)であって、当該管状組織吻合器具は、一方の管状組織(V1)の端面と他方の管状組織(V2)の端面とを当接させた状態で、前記一方及び他方の管状組織(V1,V2)の内面側に配置した前記吻合部材(110)を拡張させることにより、前記一方及び他方の管状組織(V1,V2)の吻合対象部分を吻合するタイプのものであり、前記吻合部材(110)は、脂肪族エステル系樹脂を材料として所定の形状記憶処理を施すことにより形成された、形状記憶性能を備えるものであり、かつ、所定温度以上に再び加熱することにより、形状を拡張変形可能に構成されていることを特徴とする。
【0030】
このため、本発明の管状組織吻合器具によれば、管状組織の内面側に配置した吻合部材を拡張変形させて管状組織の内周面に吻合部材を密着させる構成としているため、上述したように、管状組織の外面側に配置した管状組織吻合器具(吻合部材)を収縮変形させる場合(すなわち、従来の血管吻合器具の場合)に比べて、管状組織と吻合部材との間に働く摩擦力をより大きくすることができ、管状組織と吻合部材との接合状態をより長く維持することが可能となる。その結果、本発明の管状組織吻合器具は、従来よりも強い吻合力を備える管状組織吻合器具となる。
【0031】
また、本発明の管状組織吻合器具によれば、管状組織を吻合するにあたり、管状組織に対して吻合部材を配置した後、形状記憶性能を備える吻合部材を所定温度以上に再び加熱するだけでよいことから、縫合糸で血管を縫合するといった非常に煩雑な作業を行わなくてよい。その結果、手術効率を大幅に向上することが可能となるとともに、術者の手技レベルへの依存度を極力低くすることが可能となる。
【0032】
したがって、本発明(上記[11]に記載)の管状組織吻合器具は、上記[1]及び[8]に記載の管状組織吻合器具と同様、手術効率を大幅に向上することが可能で、かつ、術者の手技レベルへの依存度を極力低くすることを可能としつつ、従来よりも強い吻合力を備える管状組織吻合器具となる。
【0033】
[12]上記[11]に記載の管状組織吻合器具においては、前記吻合部材は、複数の孔が設けられた構造を有することが好ましい。
【0034】
このように構成することにより、吻合部分の管状組織に加わる圧力を軽減することができるため、吻合部分の管状組織の表層部を通る血流が滞ってしまうのを抑制することができ、結果として、吻合部分の細胞が壊死するのを抑制することが可能となる。
【0035】
なお、特許請求の範囲及び本欄(課題を解決するための手段の欄)に記載した各部材等の文言下に括弧をもって付加された符号は、特許請求の範囲及び本欄に記載された内容の理解を容易にするために用いられたものであって、特許請求の範囲及び本欄に記載された内容を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施形態1に係る管状組織吻合器具1を説明するために示す図。
【図2】外側吻合部材10の製造方法を説明するために示すフローチャート。
【図3】外側吻合部材10製造時の温度条件を模式的に示す図。
【図4】実施形態1に係る管状組織吻合器具1を用いて血管を吻合する方法を説明するために示す図。
【図5】実施形態1に係る管状組織吻合器具1を用いて血管を吻合する方法を説明するために示す図。
【図6】管状組織吻合器具1を用いて血管を吻合する方法の変形例を説明するために示す図。
【図7】実施形態2に係る管状組織吻合器具2を説明するために示す図。
【図8】実施形態2に係る管状組織吻合器具2を説明するために示す図。
【図9】実施形態3に係る管状組織吻合器具3を説明するために示す図。
【図10】実施形態3に係る管状組織吻合器具3を説明するために示す図。
【図11】実施形態4に係る管状組織吻合器具4を説明するために示す図。
【図12】実施形態4に係る管状組織吻合器具4を説明するために示す図。
【図13】実施形態5に係る管状組織吻合器具5を説明するために示す図。
【図14】実施形態5に係る管状組織吻合器具5を説明するために示す側面断面図。
【図15】実施形態6に係る管状組織吻合器具6を説明するために示す図。
【図16】実施形態6に係る管状組織吻合器具6を用いて血管を吻合する方法を説明するために示す図。
【図17】実施形態1の変形例1〜4に係る管状組織吻合器具1a〜1dを説明するために示す図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の管状組織吻合器具について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、管状組織の一例としての血管に、本発明の管状組織吻合器具を用いた場合を例示して説明する。
【0038】
[実施形態1]
まず、実施形態1に係る管状組織吻合器具1の構成について、図1を用いて説明する。
図1は、実施形態1に係る管状組織吻合器具1を説明するために示す図である。図1(a)は管状組織吻合器具1の斜視図であり、図1(b)は管状組織吻合器具1の正面図(図1(a)のA方向から見た図)であり、図1(c)は管状組織吻合器具1の平面図であり、図1(d)は図1(b)のA−A線断面図であり、図1(e)は図1(c)のB−B線断面図である。なお、図1(a)は、外側吻合部材10と内側吻合部材20とを組み合わせていない状態で図示しており、図1(b)〜図1(e)は、外側吻合部材10と内側吻合部材20とを組み合わせた状態で図示している。
【0039】
実施形態1に係る管状組織吻合器具1は、図1に示すように、外側吻合部材10と、外側吻合部材10との間に所定の隙間gを設けるようにして外側吻合部材10の内側に配置された内側吻合部材20とを備える。
【0040】
管状組織吻合器具1は、詳細については後述するが、血管の吻合対象部分を隙間gに配置した状態で、外側及び内側吻合部材10,20で当該吻合対象部分を挟むように吻合するタイプのものである。より具体的に言えば、管状組織吻合器具1は、一方の血管の端部を外側に折り返すことで当該端部の内面を露出させ、当該露出した部分に他方の血管の端部内面を重ねた状態で、一方の血管における当該折り返した部分の内部に配置した内側吻合部材20と他方の血管の外面側に配置した外側吻合部材10とで2つの血管を挟むように吻合するタイプのものである。
【0041】
外側及び内側吻合部材10,20は、直管状であって、図1(a)及び図1(d)から分かるように、断面円環状となる形状である。
【0042】
外側吻合部材10は、長さが例えば2.0mmであり、内径が例えば1.5mmであり、肉厚が例えば0.2mmに設定されている。
内側吻合部材20は、長さが例えば3.0mmであり、内径が例えば1.1mmであり、肉厚が例えば0.3mmに設定されている。
なお、本発明の管状組織吻合器具における外側及び内側吻合部材の長さ等については、これらの数値に限定されるものではない。
【0043】
外側及び内側吻合部材10,20は、脂肪族エステル系樹脂から構成されている。脂肪族エステル系樹脂としては、例えば、ポリ(ラクチド)類、ポリ(グリコリド)類、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)類、ポリ(乳酸)類、ポリ(グリコール酸)類、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)類、ポリカプロラクトン類、ポリカーボネート類、ポリエステルアミド類、ポリアンヒドリド類、ポリ(アミノ酸)類、ポリオルトエステル類、ポリアセタール類、ポリシアノアクリレート類、ポリエーテルエステル類、ポリ(ジオキサノン)類、ポリ(アルキレンアルキレート)類、ポリエチレングリコールとポリオルトエステルとのコポリマー、生分解性ポリウレタン混合物、その他これらの共重合体、ポリマーアロイなどの樹脂を好適に用いることができる。
実施形態1の場合、外側及び内側吻合部材10,20は、例えば、ポリ乳酸−ポリグリコール酸−ポリεカプロラクトンの共重合体から構成されている。
【0044】
詳細については後述するが、外側吻合部材10は、所定の形状記憶処理が施された部材であって、所定温度以上に再加熱することにより、隙間gを狭くするようにその形状を変形可能に構成されている。
【0045】
次に、外側吻合部材10の製造方法について、図2及び図3を用いてさらに詳細に説明する。
図2は、外側吻合部材10の製造方法を説明するために示すフローチャートである。図3は、外側吻合部材10製造時の温度条件を模式的に示す図である。
【0046】
外側吻合部材10は、図2に示すように、成形工程(成形体作製工程)S1、変形処理工程S2及び形状固定工程S3を行うことにより製造することができる。以下、これら各工程を順に説明する。
【0047】
1.成形工程(成形体作製工程)S1
まず、脂肪族エステル系樹脂を、所定の成形温度T1に加熱して第1形状に成形する。このとき作製された第1形状からなる成形体は、図示による説明は省略するが、直管状(断面円環状)である。ただし、外側吻合部材10よりも内径が小さい。
成形工程S1における成形温度T1は、図3に示すように、使用する樹脂のガラス転移点Tgよりも高く当該樹脂の融点Tmよりも低い温度である。脂肪族エステル系樹脂として「ポリ乳酸−ポリグリコール酸−ポリεカプロラクトンの共重合体」を用いた場合、成形温度T1は、例えば約120℃であり、ガラス転移点Tgは、例えば約60℃であり、融点Tmは、例えば約135℃である。
なお、作製後の成形体は、室温まで急冷している。
【0048】
2.変形処理工程S2
次に、第1形状からなる成形体を、ガラス転移点Tgよりも高く融点Tmよりも低い温度T2に加熱し、第2形状に変形処理する。このとき作製された第2形状からなる中間体は、図示による説明は省略するが、直管状(断面円環状)である。また、第2形状からなる中間体は、内径寸法も含めて、外側吻合部材10とほぼ同じサイズである。
脂肪族エステル系樹脂として「ポリ乳酸−ポリグリコール酸−ポリεカプロラクトンの共重合体」を用いた場合、温度T2は、例えば約70℃である。
【0049】
3.形状固定工程S3
そして、変形処理された第2形状からなる中間体を、ガラス転移点Tgよりも低い温度T3に冷却して(例えば、25℃程度の室温環境下に放置して)、第2形状に形状固定する。
【0050】
以上の工程を行うことによって製造された外側吻合部材10は、所定温度T4以上に再び加熱することにより、上記した第2形状から第1形状へと変形可能に構成されている。脂肪族エステル系樹脂として「ポリ乳酸−ポリグリコール酸−ポリεカプロラクトンの共重合体」を用いた場合、この再加熱したときの温度(以下、再加熱温度)T4は、例えば約60℃である。
なお、人体の体温が約35℃〜37℃であることから、再加熱温度T4は、40℃以上であることが好ましい。一方、再加熱したときの生体組織の細胞への影響を考慮すると、再加熱温度T4は、70℃以下であることが好ましい。
このような観点から、再加熱温度T4は、40℃〜70℃であることが好ましい。
【0051】
次に、実施形態1に係る管状組織吻合器具1を用いて血管を吻合する方法の一例について、図4及び図5を用いて説明する。
図4及び図5は、実施形態1に係る管状組織吻合器具1を用いて血管を吻合する方法を説明するために示す図である。図4(a)〜図5(e−1)及び図5(e−2)は血管を吻合する流れを示す図である。図4(a)〜図4(d)並びに図5(a)〜図5(c)、図5(d−2)及び図5(e−2)においては、外側及び内側吻合部材10,20並びに血管V1,V2を側面断面で図示しており、図5(d−1)及び図5(e−1)においては、図5(c)のC−C線で切断したときの断面で図示している。
なお、図4及び図5においては、発明の理解を容易にするため、外側及び内側吻合部材10,20の肉厚並びに血管V1,V2の厚み(血管壁の厚み)については、模式的に図示している。また、図4においては、血管V1の外径と内側吻合部材20の内径とを同じにしたものを図示しているが、これは図の簡略化を図ったことに由来するものであり、血管V1の外径と内側吻合部材20の内径とが同じである必要はない。
【0052】
管状組織吻合器具1を用いて2つの血管V1,V2を吻合するにあたっては、まず、図4(a)〜図4(c)に示すように、内側吻合部材20を一方の血管V1の外側に通し、内側吻合部材20を所定位置まで移動させる。また、外側吻合部材10を他方の血管V2の外側に通しておく。
次に、図4(c)及び図4(d)に示すように、血管V1の内面が露出するようにして血管V1の端部を外側に折り返す。
次に、図5(a)及び図5(b)に示すように、血管V1の内面の露出した部分(折り返された部分)を覆うように血管V2を被せ、血管V1と血管V2とを重ね合わせる。このようにすると、血管V1,V2の内面同士が接することとなる。
次に、図5(c)に示すように、血管V2に通していた外側吻合部材10を所定位置(血管V1,V2を重ね合わせた位置)に移動させる。外側吻合部材10を移動させると、図5(c)から分かるように、外側吻合部材10と内側吻合部材20との間(隙間)に血管V1,V2の吻合対象部分が配置された状態となる。
そして、外側吻合部材10を所定温度以上(例えば60℃)に加熱する。これにより、外側吻合部材10と内側吻合部材20との隙間が狭くなる方向(図5(d−1)及び図5(d−2)の白矢印方向)に向けて、外側吻合部材10が収縮変形し、血管V1,V2の吻合が完了する(図5(e−1)及び図5(e−2)参照。)。
【0053】
以上のように構成された実施形態1に係る管状組織吻合器具1によれば、2つの吻合部材(外側及び内側吻合部材10,20)でもって血管V1,V2の吻合対象部分を挟むようにして吻合するものであるため、形状記憶性能を備える外側吻合部材10を所定温度に再加熱することにより、外側及び内側吻合部材10,20と血管V1,V2との間に挟持力(外側及び内側吻合部材10,20で血管V1,V2を挟もうとする力)が発生することとなる。この挟持力により、血管V1,V2と外側及び内側吻合部材10,20との接合状態をより長く維持することができるため、実施形態1に係る管状組織吻合器具1は、従来よりも強い吻合力を備える管状組織吻合器具となる。
【0054】
また、実施形態1に係る管状組織吻合器具1によれば、血管V1,V2を吻合するにあたり、血管V1,V2に対して外側及び内側吻合部材10,20を配置した後、形状記憶性能を備える外側吻合部材10を所定温度以上に再び加熱するだけでよいことから、縫合糸で血管を縫合するといった非常に煩雑な作業を行わなくてよい。その結果、手術効率を大幅に向上することが可能となるとともに、術者の手技レベルへの依存度を極力低くすることが可能となる。
【0055】
したがって、実施形態1に係る管状組織吻合器具1は、手術効率を大幅に向上することが可能で、かつ、術者の手技レベルへの依存度を極力低くすることを可能としつつ、従来よりも強い吻合力を備える管状組織吻合器具となる。
【0056】
実施形態1に係る管状組織吻合器具1においては、外側吻合部材10は、脂肪族エステル系樹脂をもとにして、上記した形状記憶処理が施されたものである。これにより、例えば形状記憶合金からなる吻合部材を用いた場合に比べて、軽量で成形が容易となり、コスト面での低廉化も図ることが可能となる。また、脂肪族エステル系樹脂は、生分解性を有することから、実施形態1に係る管状組織吻合器具1は、生分解性に優れた吻合器具となる。
【0057】
[変形例]
上記実施形態1では、実施形態1に係る管状組織吻合器具1を用いて血管を吻合する方法として、図4及び図5を用いて説明したように、血管V1,V2の内面同士が接するようにして血管V1,V2を吻合する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のようにして血管を吻合する方法もある。
【0058】
図6は、管状組織吻合器具1を用いて血管を吻合する方法の変形例を説明するために示す図である。図6(a)〜図6(e−1)及び図6(e−2)は血管を吻合する流れを示す図である。図6(a)〜図6(c)、図6(d−2)及び図6(e−2)においては、外側及び内側吻合部材10,20並びに血管V1,V2を側面断面で図示しており、図6(d−1)及び図6(e−1)においては、図6(c)のD−D線で切断したときの断面で図示している。
なお、図6においては、発明の理解を容易にするため、外側及び内側吻合部材10,20の肉厚並びに血管V1,V2の厚み(血管壁の厚み)については、模式的に図示している。また、図6においては、血管V1,V2の内径と内側吻合部材20の外径とを同じにしたものを図示しているが、これは図の簡略化を図ったことに由来するものであり、血管V1,V2の内径と内側吻合部材20の外径とが同じである必要はない。
【0059】
管状組織吻合器具1を用いて血管を吻合する方法の変形例として、まず、図6(a)及び図6(b)に示すように、外側吻合部材10を血管V2の外側に通し、内側吻合部材20を血管V1,V2の内側に通す。このとき、血管V1の端部と血管V2の端部とを当接させる。
次に、図6(c)に示すように、血管V2に通していた外側吻合部材10を所定位置(血管V1,V2を当接させた位置)に移動させる。外側吻合部材10を移動させると、図6(c)から分かるように、外側吻合部材10と内側吻合部材20との間(隙間)に血管V1,V2の吻合対象部分が配置された状態となる。
そして、外側吻合部材10を所定温度以上(例えば60℃)に加熱する。これにより、外側吻合部材10と内側吻合部材20との隙間が狭くなる方向(図6(d−1)及び図6(d−2)の白矢印方向)に向けて、外側吻合部材10が収縮変形し、血管V1,V2の吻合が完了する(図6(e−1)及び図6(e−2)参照。)。
【0060】
管状組織吻合器具1を用いて上記変形例のように吻合した場合であっても、血管V1,V2を確実に吻合することができる。
【0061】
[実施形態2]
図7は、実施形態2に係る管状組織吻合器具2を説明するために示す図である。図7(a)は管状組織吻合器具2の斜視図であり、図7(b)は管状組織吻合器具2の正面図(図7(a)のA方向から見た図)であり、図7(c)は管状組織吻合器具2の平面図であり、図7(d)は図7(b)のE−E線断面図であり、図7(e)は図7(c)のF−F線断面図である。なお、図7(a)は、外側吻合部材30と内側吻合部材40とを組み合わせていない状態で図示しており、図7(b)〜図7(e)は、外側吻合部材30と内側吻合部材40とを組み合わせた状態で図示している。
図8は、実施形態2に係る管状組織吻合器具2を説明するために示す図である。図8(a)及び図8(b)は管状組織吻合器具2を説明するために示す側面断面図であり、図8(c)は管状組織吻合器具2を説明するために示す平面図である。なお、図8(a)は所定温度以上に再加熱する前の状態を図示しており、図8(b)及び図8(c)は所定温度以上に再加熱した後の状態を図示している。また、図8(a)に示す白矢印は、外側吻合部材30が収縮することを表すものである。
【0062】
実施形態2に係る管状組織吻合器具2は、基本的には実施形態1に係る管状組織吻合器具1と良く似た構成を有するが、外側及び内側吻合部材の構成が、実施形態1に係る管状組織吻合器具1とは異なる。
【0063】
すなわち、実施形態2に係る管状組織吻合器具2においては、図7に示すように、内側吻合部材40は、第1及び第2内側管状部材42,44からなる。第1及び第2内側管状部材42,44は、図7(c)に示すように、管軸2ax方向に沿って所定距離d1をあけて並置されている。
【0064】
第1及び第2内側管状部材42,44並びに外側吻合部材30は、図7(a)に示すように、リング状の部材である。外側吻合部材30の管軸2ax方向に沿った長さL1は、図7(c)に示すように、第1内側管状部材42から第2内側管状部材44までの距離d1よりも短い。
【0065】
第1及び第2内側管状部材42,44並びに外側吻合部材30は、図7(b)及び図7(c)から分かるように、管軸2ax方向に沿ってみたときに、第1内側管状部材42の次に外側吻合部材30が配置され、外側吻合部材30の次に第2内側管状部材44が配置されるように構成されている。
【0066】
なお、詳細な説明は省略するが、外側吻合部材30には、実施形態1で説明した外側吻合部材10と同様の形状記憶処理が施されている。このため、外側吻合部材30は、所定温度以上(例えば60℃)に再加熱することにより、隙間g(図7(d)参照。)を狭くするようにその形状を変形可能である(図8参照。)。
【0067】
このように、実施形態2に係る管状組織吻合器具2は、実施形態1に係る管状組織吻合器具1とは、外側及び内側吻合部材の構成が異なるが、2つの吻合部材(外側及び内側吻合部材30,40)でもって血管V1,V2の吻合対象部分を挟むようにして吻合するものであるとともに、形状記憶性能を備える外側吻合部材30を所定温度以上に再び加熱するだけで血管V1,V2を吻合することができることから、実施形態1に係る管状組織吻合器具1の場合と同様に、手術効率を大幅に向上することが可能で、かつ、術者の手技レベルへの依存度を極力低くすることを可能としつつ、従来よりも強い吻合力を備える管状組織吻合器具となる。
【0068】
実施形態2に係る管状組織吻合器具2においては、外側吻合部材30の管軸2ax方向に沿った長さL1が、第1内側管状部材42から第2内側管状部材44までの距離d1以下であり、第1及び第2内側管状部材42,44並びに外側吻合部材30は、管軸2ax方向に沿ってみたときに、第1内側管状部材42の次に外側吻合部材30が配置され、外側吻合部材30の次に第2内側管状部材44が配置されるように構成されている。これにより、血管V1,V2を吻合した後で血管V1,V2の長手方向に沿って望ましくない張力が加わった場合であっても、外側吻合部材30と内側吻合部材40(第1及び第2内側管状部材42,44)との位置ずれの発生を極力抑制することができるため、より吻合力の強い管状組織吻合器具となる。
【0069】
実施形態2に係る管状組織吻合器具2は、外側及び内側吻合部材の構成が異なる点以外では、実施形態1に係る管状組織吻合器具1と同様の構成を有するため、実施形態1に係る管状組織吻合器具1が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0070】
[実施形態3]
図9は、実施形態3に係る管状組織吻合器具3を説明するために示す図である。図9(a)は管状組織吻合器具3の斜視図であり、図9(b)は管状組織吻合器具3の正面図(図9(a)のA方向から見た図)であり、図9(c)は管状組織吻合器具3の平面図であり、図9(d)は図9(b)のG−G線断面図であり、図9(e)は図9(c)のH−H線断面図である。なお、図9(a)は、外側吻合部材50と内側吻合部材60とを組み合わせていない状態で図示しており、図9(b)〜図9(e)は、外側吻合部材50と内側吻合部材60とを組み合わせた状態で図示している。
図10は、実施形態3に係る管状組織吻合器具3を説明するために示す図である。図10(a)及び図10(b)は管状組織吻合器具3を説明するために示す側面断面図であり、図10(c)は管状組織吻合器具3を説明するために示す平面図である。なお、図10(a)は所定温度以上に再加熱する前の状態を図示しており、図10(b)及び図10(c)は所定温度以上に再加熱した後の状態を図示している。また、図10(a)に示す白矢印は、第1及び第2外側管状部材52,54が収縮することを表すものである。
【0071】
実施形態3に係る管状組織吻合器具3は、基本的には実施形態1に係る管状組織吻合器具1と良く似た構成を有するが、外側及び内側吻合部材の構成が、実施形態1に係る管状組織吻合器具1とは異なる。
【0072】
すなわち、実施形態3に係る管状組織吻合器具3においては、図9に示すように、外側吻合部材50は、第1及び第2外側管状部材52,54からなる。第1及び第2外側管状部材52,54は、図9(c)に示すように、管軸3ax方向に沿って所定距離d2をあけて並置されている。
【0073】
第1及び第2外側管状部材52,54並びに内側吻合部材60は、図9(a)に示すように、リング状の部材である。内側吻合部材60の管軸3ax方向に沿った長さL2は、図9(c)に示すように、第1外側管状部材52から第2外側管状部材54までの距離d2よりも短い。
【0074】
第1及び第2外側管状部材52,54並びに内側吻合部材60は、図9(b)及び図9(c)から分かるように、管軸3ax方向に沿ってみたときに、第1外側管状部材52の次に内側吻合部材60が配置され、内側吻合部材60の次に第2外側管状部材54が配置されるように構成されている。
【0075】
なお、詳細な説明は省略するが、外側吻合部材50(第1及び第2外側管状部材52,54)には、実施形態1で説明した外側吻合部材10と同様の形状記憶処理が施されている。このため、外側吻合部材50(第1及び第2外側管状部材52,54)は、所定温度以上(例えば60℃)に再加熱することにより、隙間g(図9(d)参照。)を狭くするようにその形状を変形可能である(図10参照。)。
【0076】
このように、実施形態3に係る管状組織吻合器具3は、実施形態1に係る管状組織吻合器具1とは、外側及び内側吻合部材の構成が異なるが、2つの吻合部材(外側及び内側吻合部材50,60)でもって血管V1,V2の吻合対象部分を挟むようにして吻合するものであるとともに、形状記憶性能を備える外側吻合部材50を所定温度以上に再び加熱するだけで血管V1,V2を吻合することができることから、実施形態1に係る管状組織吻合器具1の場合と同様に、手術効率を大幅に向上することが可能で、かつ、術者の手技レベルへの依存度を極力低くすることを可能としつつ、従来よりも強い吻合力を備える管状組織吻合器具となる。
【0077】
実施形態3に係る管状組織吻合器具3においては、内側吻合部材60の管軸3ax方向に沿った長さL2が、第1外側管状部材52から第2外側管状部材54までの距離d2以下であり、第1及び第2外側管状部材52,54並びに内側吻合部材60は、管軸3ax方向に沿ってみたときに、第1外側管状部材52の次に内側吻合部材60が配置され、内側吻合部材60の次に第2外側管状部材54が配置されるように構成されている。これにより、血管V1,V2を吻合した後で血管V1,V2の長手方向に沿って望ましくない張力が加わった場合であっても、外側吻合部材50(第1及び第2外側管状部材52,54)と内側吻合部材60との位置ずれの発生を極力抑制することができるため、より吻合力の強い管状組織吻合器具となる。
【0078】
実施形態3に係る管状組織吻合器具3は、外側及び内側吻合部材の構成が異なる点以外では、実施形態1に係る管状組織吻合器具1と同様の構成を有するため、実施形態1に係る管状組織吻合器具1が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0079】
[実施形態4]
図11は、実施形態4に係る管状組織吻合器具4を説明するために示す図である。図11(a)は管状組織吻合器具4の斜視図であり、図11(b)は管状組織吻合器具4の正面図(図11(a)のA方向から見た図)であり、図11(c)は管状組織吻合器具4の平面図であり、図11(d)は図11(b)のJ−J線断面図であり、図11(e)は図11(c)のK−K線断面図である。なお、図11(a)は、外側吻合部材70と内側吻合部材80とを組み合わせていない状態で図示しており、図11(b)〜図11(e)は、外側吻合部材70と内側吻合部材80とを組み合わせた状態で図示している。
図12は、実施形態4に係る管状組織吻合器具4を説明するために示す図である。図12(a)及び図12(b)は管状組織吻合器具4を説明するために示す側面断面図であり、図12(c)は管状組織吻合器具4を説明するために示す平面図である。なお、図12(a)は所定温度以上に再加熱する前の状態を図示しており、図12(b)及び図12(c)は所定温度以上に再加熱した後の状態を図示している。また、図12(a)に示す白矢印は、外側管状部材72〜76が収縮することを表すものである。
【0080】
実施形態4に係る管状組織吻合器具4は、基本的には実施形態1に係る管状組織吻合器具1と良く似た構成を有するが、外側及び内側吻合部材の構成が、実施形態1に係る管状組織吻合器具1とは異なる。
【0081】
すなわち、実施形態4に係る管状組織吻合器具4においては、図11に示すように、外側吻合部材70は、3つの外側管状部材72,74,76からなる。外側管状部材72〜76は、図11(c)に示すように、管軸4ax方向に沿って所定距離d3をあけて並置されている。また、内側吻合部材80は、3つの内側管状部材82,84,86からなる。内側管状部材82〜86は、図11(c)に示すように、管軸4ax方向に沿って所定距離d4をあけて並置されている。
【0082】
外側及び内側管状部材72〜76,82〜86は、図11(a)に示すように、リング状の部材である。外側管状部材72〜76の管軸4ax方向に沿った長さL3は、図11(c)に示すように、各内側管状部材82〜86間の距離d4よりも短い。また、内側管状部材82〜86の管軸4ax方向に沿った長さL4は、各外側管状部材72〜76間の距離d3よりも短い。
【0083】
外側及び内側管状部材72〜76,82〜86は、図11(b)及び図11(c)から分かるように、管軸4ax方向に沿ってみたときに、内側管状部材82〜86と外側管状部材72〜76とが互い違いに配置されるように構成されている。
【0084】
なお、詳細な説明は省略するが、外側吻合部材70(外側管状部材72〜76)には、実施形態1で説明した外側吻合部材10と同様の形状記憶処理が施されている。このため、外側吻合部材70(外側管状部材72〜76)は、所定温度以上(例えば60℃)に再加熱することにより、隙間g(図11(d)参照。)を狭くするようにその形状を変形可能である(図12参照。)。
【0085】
このように、実施形態4に係る管状組織吻合器具4は、実施形態1に係る管状組織吻合器具1とは、外側及び内側吻合部材の構成が異なるが、2つの吻合部材(外側及び内側吻合部材70,80)でもって血管V1,V2の吻合対象部分を挟むようにして吻合するものであるとともに、形状記憶性能を備える外側吻合部材70を所定温度以上に再び加熱するだけで血管V1,V2を吻合することができることから、実施形態1に係る管状組織吻合器具1の場合と同様に、手術効率を大幅に向上することが可能で、かつ、術者の手技レベルへの依存度を極力低くすることを可能としつつ、従来よりも強い吻合力を備える管状組織吻合器具となる。
【0086】
実施形態4に係る管状組織吻合器具4においては、内側管状部材82〜86の管軸4ax方向に沿った長さL4は、各外側管状部材72〜76間の距離d3以下であり、外側管状部材72〜76の管軸4ax方向に沿った長さL3は、各内側管状部材82〜86間の距離d4以下であり、内側管状部材82〜86及び外側管状部材72〜76は、管軸4ax方向に沿ってみたときに、内側管状部材82〜86と外側管状部材72〜76とが互い違いに配置されるように構成されている。これにより、血管V1,V2を吻合した後で血管V1,V2の長手方向に沿って望ましくない張力が加わった場合であっても、外側吻合部材70(外側管状部材72〜76)と内側吻合部材80(内側管状部材82〜86)との位置ずれの発生を極力抑制することができるため、より吻合力の強い管状組織吻合器具となる。
【0087】
実施形態4に係る管状組織吻合器具4は、外側及び内側吻合部材の構成が異なる点以外では、実施形態1に係る管状組織吻合器具1と同様の構成を有するため、実施形態1に係る管状組織吻合器具1が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0088】
[実施形態5]
図13は、実施形態5に係る管状組織吻合器具5を説明するために示す図である。図13(a)は管状組織吻合器具5の正面図であり、図13(b)は管状組織吻合器具5の平面図であり、図13(c)は図13(b)のM−M線断面図であり、図13(d)は図13(b)のN−N線断面図である。なお、図13(a)は、外側吻合部材90と内側吻合部材100とを組み合わせていない状態で図示しており、図13(b)〜図13(d)は、外側吻合部材90と内側吻合部材100とを組み合わせた状態で図示している。
図14は、実施形態5に係る管状組織吻合器具5を説明するために示す側面断面図である。なお、図14(a)は所定温度以上に再加熱する前の状態を図示しており、図14(b)は所定温度以上に再加熱した後の状態を図示している。また、図14(a)に示す白矢印は、外側吻合部材90が収縮することを表すものである。
【0089】
実施形態5に係る管状組織吻合器具5は、基本的には実施形態1に係る管状組織吻合器具1と良く似た構成を有するが、外側及び内側吻合部材の構成が、実施形態1に係る管状組織吻合器具1とは異なる。
【0090】
すなわち、実施形態5に係る管状組織吻合器具5においては、図13に示すように、内側吻合部材100の外周面には、管軸5ax方向に沿って所定距離d5をあけて2つの突起102,104が並設されている。外側及び内側吻合部材90,100は、図13(c)に示すように、円環状の部材である。突起102,104は、内側吻合部材100の外周面の全周にわたって設けられている。
【0091】
外側吻合部材90の管軸5ax方向に沿った長さL5は、内側吻合部材100の突起102,104間の距離d5よりも若干短い。また、外側吻合部材90は、図13(b)及び図13(d)に示すように、管軸5ax方向に沿ってみたときの配置位置が、内側吻合部材100の突起102,104間に位置するように構成されている。
【0092】
なお、詳細な説明は省略するが、外側吻合部材90には、実施形態1で説明した外側吻合部材10と同様の形状記憶処理が施されている。このため、外側吻合部材90は、所定温度以上(例えば60℃)に再加熱することにより、隙間g(図13(c)参照。)を狭くするようにその形状を変形可能である(図14参照。)。
【0093】
このように、実施形態5に係る管状組織吻合器具5は、実施形態1に係る管状組織吻合器具1とは、外側及び内側吻合部材の構成が異なるが、2つの吻合部材(外側及び内側吻合部材90,100)でもって血管V1,V2の吻合対象部分を挟むようにして吻合するものであるとともに、形状記憶性能を備える外側吻合部材90を所定温度以上に再び加熱するだけで血管V1,V2を吻合することができることから、実施形態1に係る管状組織吻合器具1の場合と同様に、手術効率を大幅に向上することが可能で、かつ、術者の手技レベルへの依存度を極力低くすることを可能としつつ、従来よりも強い吻合力を備える管状組織吻合器具となる。
【0094】
実施形態5に係る管状組織吻合器具5においては、内側吻合部材100の外周面には2つの突起102,104が並設され、外側吻合部材90の管軸5ax方向に沿った長さL5が、内側吻合部材100の突起102,104間の距離d5以下であり、外側吻合部材90は、管軸5ax方向に沿ってみたときの配置位置が、内側吻合部材100の突起102,104間に位置するように構成されている。これにより、血管V1,V2を吻合した後で血管V1,V2の長手方向に沿って望ましくない張力が加わった場合であっても、外側吻合部材90と内側吻合部材100との位置ずれの発生を極力抑制することができるため、より吻合力の強い管状組織吻合器具となる。
【0095】
実施形態5に係る管状組織吻合器具5は、外側及び内側吻合部材の構成が異なる点以外では、実施形態1に係る管状組織吻合器具1と同様の構成を有するため、実施形態1に係る管状組織吻合器具1が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0096】
[実施形態6]
図15は、実施形態6に係る管状組織吻合器具6を説明するために示す図である。図15(a)は管状組織吻合器具6の斜視図であり、図15(b)は管状組織吻合器具6の正面図(図15(a)のA方向から見た図)であり、図15(c)は図15(b)のP−P線断面図であり、図15(d)は図15(b)のQ−Q線断面図である。
【0097】
実施形態6に係る管状組織吻合器具6は、図15に示すように、単一の吻合部材110を備える管状組織吻合器具である。管状組織吻合器具6は、詳細については後述するが、一方の血管の端面と他方の血管の端面とを当接させた状態で、両血管の内面側に配置した吻合部材110を拡張させることにより、両血管の吻合対象部分を吻合するタイプのものである。
【0098】
吻合部材110は、直管状であって、図15(a)及び図15(c)から分かるように、断面円環状となる形状である。
吻合部材110は、長さが例えば5.0mmであり、内径が例えば1.5mmであり、肉厚が例えば0.3mmに設定されている。
【0099】
吻合部材110は、実施形態1で説明した外側及び内側吻合部材10,20と同様に、例えば、ポリ乳酸−ポリグリコール酸−ポリεカプロラクトンの共重合体から構成されている。
【0100】
詳細については後述するが、吻合部材110は、所定の形状記憶処理が施された部材であって、所定温度以上に再加熱することにより、形状を拡張変形可能に構成されている。
【0101】
吻合部材110は、実施形態1で説明した外側吻合部材10の場合と同様に、図2に示した成形工程(成形体作製工程)S1、変形処理工程S2及び形状固定工程S3を行うことにより製造することができる。
なお、成形工程S1で作製する第1形状からなる成形体は、直管状(断面円環状)であって、吻合部材110よりも内径が大きい。また、変形処理工程S2で作製する第2形状からなる中間体は、直管状(断面円環状)であって、内径寸法も含めて吻合部材110とほぼ同じサイズである。
【0102】
次に、実施形態6に係る管状組織吻合器具6を用いて血管を吻合する方法の一例について、図16を用いて説明する。
図16は、実施形態6に係る管状組織吻合器具6を用いて血管を吻合する方法を説明するために示す図である。図16(a)〜図16(d−1)及び図16(d−2)は血管を吻合する流れを示す図であって、図16(a)、図16(b)、図16(c−2)及び図16(d−2)においては、吻合部材110及び血管V1,V2を側面断面で図示しており、図16(c−1)及び図16(d−1)においては、図16(b)のR−R線で切断したときの断面で図示している。
なお、図16においては、発明の理解を容易にするため、吻合部材110の肉厚及び血管V1,V2の厚み(血管壁の厚み)については、模式的に図示している。また、図16においては、血管V1,V2の内径と吻合部材110の外径とを同じにしたものを図示しているが、これは図の簡略化を図ったことに由来するものであり、血管V1,V2の内径と吻合部材110の外径とが同じである必要はない。
【0103】
管状組織吻合器具6を用いて2つの血管V1,V2を吻合するにあたっては、まず、図16(a)及び図16(b)に示すように、吻合部材110を血管V1,V2の内側に通す。このとき、血管V1の端部と血管V2の端部とを当接させる。
次に、吻合部材110を所定温度以上(例えば60℃)に加熱する。これにより、吻合部材110の径が広くなる方向(図16(c−1)及び図16(c−2)の白矢印方向)に向けて、吻合部材110が拡張変形し、血管V1,V2の吻合が完了する(図16(d−1)及び図16(d−2)参照。)。
【0104】
以上のように構成された実施形態6に係る管状組織吻合器具6によれば、血管V1,V2の内面側に配置した吻合部材110を拡張変形させて血管V1,V2の内周面に吻合部材110を密着させる構成としているため、血管の外面側に配置した管状組織吻合器具(吻合部材)を収縮変形させる場合(すなわち、従来の血管吻合器具の場合)に比べて、血管V1,V2と吻合部材110との間に働く摩擦力をより大きくすることができ、血管V1,V2と吻合部材110との接合状態をより長く維持することが可能となる。その結果、実施形態6に係る管状組織吻合器具6は、従来よりも強い吻合力を備える管状組織吻合器具となる。
【0105】
また、実施形態6に係る管状組織吻合器具6によれば、血管V1,V2を吻合するにあたり、血管V1,V2に対して吻合部材110を配置した後、形状記憶性能を備える吻合部材110を所定温度以上に再び加熱するだけでよいことから、縫合糸で血管を縫合するといった非常に煩雑な作業を行わなくてよい。その結果、手術効率を大幅に向上することが可能となるとともに、術者の手技レベルへの依存度を極力低くすることが可能となる。
【0106】
したがって、実施形態6に係る管状組織吻合器具6は、実施形態1〜5に係る管状組織吻合器具1〜5と同様、手術効率を大幅に向上することが可能で、かつ、術者の手技レベルへの依存度を極力低くすることを可能としつつ、従来よりも強い吻合力を備える管状組織吻合器具となる。
【0107】
実施形態6に係る管状組織吻合器具6においては、吻合部材110は、脂肪族エステル系樹脂をもとにして、上記した形状記憶処理が施されたものである。これにより、例えば形状記憶合金からなる吻合部材を用いた場合に比べて、軽量で成形が容易となり、コスト面での低廉化も図ることが可能となる。また、脂肪族エステル系樹脂は、生分解性を有することから、実施形態6に係る管状組織吻合器具6は、生分解性に優れた吻合器具となる。
【0108】
以上、本発明の管状組織吻合器具を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0109】
(1)上記実施形態1〜5においては、外側吻合部材(外側管状部材)のみ所定の形状記憶処理が施され、かつ、当該外側吻合部材(外側管状部材)が収縮変形する場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
図17は、実施形態1の変形例1〜4に係る管状組織吻合器具1a〜1dを説明するために示す図である。図17(a−1)及び図17(a−2)は変形例1に係る管状組織吻合器具1aを説明するために示す側面断面図であり、図17(b−1)及び図17(b−2)は変形例2に係る管状組織吻合器具1bを説明するために示す側面断面図であり、図17(c−1)及び図17(c−2)は変形例3に係る管状組織吻合器具1cを説明するために示す側面断面図であり、図17(d−1)及び図17(d−2)は変形例4に係る管状組織吻合器具1dを説明するために示す側面断面図である。なお、図17(a−1)〜図17(d−1)は所定温度以上に再加熱する前の状態を図示しており、図17(a−2)〜図17(d−2)は所定温度以上に再加熱した後の状態を図示している。また、図17(a−1)〜図17(d−1)に示す白矢印は、各吻合部材の拡張又は収縮を表すものであり、その矢印の大きさは、拡張又は収縮する力(拡張度合い又は収縮度合い)を模式的に表すものである。
変形例1に係る管状組織吻合器具1aにおいては、図17(a−1)及び図17(a−2)に示すように、外側吻合部材10aには所定の形状記憶処理が施されておらず、内側吻合部材20aに所定の形状記憶処理が施されている。内側吻合部材20aは、所定温度以上に再加熱することにより、外側吻合部材10aと内側吻合部材20aとの隙間を狭くするようにその形状を拡張変形可能に構成されている。
変形例2に係る管状組織吻合器具1bにおいては、図17(b−1)及び図17(b−2)に示すように、外側及び内側吻合部材10b,20bの両方に所定の形状記憶処理が施されている。外側吻合部材10bは、所定温度以上に再加熱することにより、外側吻合部材10bと内側吻合部材20bとの隙間を狭くするようにその形状を収縮変形可能に構成されている。内側吻合部材20bは、所定温度以上に再加熱することにより、外側吻合部材10bと内側吻合部材20bとの隙間を狭くするようにその形状を拡張変形可能に構成されている。
変形例3に係る管状組織吻合器具1cにおいては、図17(c−1)及び図17(c−2)に示すように、外側及び内側吻合部材10c,20cの両方に所定の形状記憶処理が施されている。外側吻合部材10cは、所定温度以上に再加熱することにより、外側吻合部材10cと内側吻合部材20cとの隙間を広くする方向に向けてその形状を拡張変形可能に構成されている。内側吻合部材20cは、所定温度以上に再加熱することにより、外側吻合部材10cと内側吻合部材20cとの隙間を狭くするようにその形状を拡張変形可能に構成されている。このとき、内側吻合部材20cは外側吻合部材10cに比べて、その拡張度合いが大きいことから、全体的に見れば外側吻合部材10cと内側吻合部材20cとの隙間は狭くなることとなる。
変形例4に係る管状組織吻合器具1dにおいては、図17(d−1)及び図17(d−2)に示すように、外側及び内側吻合部材10d,20dの両方に所定の形状記憶処理が施されている。外側吻合部材10dは、所定温度以上に再加熱することにより、外側吻合部材10dと内側吻合部材20dとの隙間を狭くするようにその形状を収縮変形可能に構成されている。内側吻合部材20dは、所定温度以上に再加熱することにより、外側吻合部材10dと内側吻合部材20dとの隙間を広くする方向に向けてその形状を収縮変形可能に構成されている。このとき、外側吻合部材10dは内側吻合部材20dに比べて、その収縮度合いが大きいことから、全体的に見れば外側吻合部材10dと内側吻合部材20dとの隙間は狭くなることとなる。
変形例1〜4に係る管状組織吻合器具1a〜1dに示すように各吻合部材が構成されている場合であっても、2つの血管V1,V2を吻合することができる。
なお、変形例2に係る管状組織吻合器具1bの場合においては、外側吻合部材10bが、上記のように収縮変形可能に構成されており、内側吻合部材20bが、上記のように拡張変形可能に構成されているため、外側及び内側吻合部材10c,20cを所定温度に再加熱したときに、外側及び内側吻合部材10c,20cと血管V1,V2との間に発生する挟持力をより強くすることが可能となる。その結果、さらに吻合力の強い管状組織吻合器具となる。
ここで示す変形例1〜4は実施形態1の変形例であるが、実施形態2〜5の場合についても変形例1〜4と同様の変形が可能である。
【0110】
(2)上記実施形態5においては、内側吻合部材の外周面に2つの突起が並設されており、外側吻合部材の管軸方向に沿った長さが、内側吻合部材の突起間の距離以下である場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、外側吻合部材の内周面に少なくとも2つの突起が並設されており、内側吻合部材の管軸方向に沿った長さが、外側吻合部材の突起間の距離以下であってもよい。または、内側吻合部材の外周面及び外側吻合部材の内周面のいずれか一方の面に凸部が形成されており、他方の面における凸部の位置に対応する位置に、凸部の形状に対応する形状からなる凹部が形成されていてもよい。
【0111】
(3)上記実施形態5においては、内側吻合部材の外周面に突起が2つ並設されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、内側吻合部材の外周面に3つ以上の突起が並設されていてもよい。また、これら突起は、必ずしも内側吻合部材の外周面の全周にわたって設けられていなくてもよく、内側吻合部材の外周面の一部(例えば半周分)にのみ当該突起が設けられていてもよい。
【0112】
(4)上記各実施形態においては、外側及び内側吻合部材は、側面(管壁部分)に孔が設けられていない構造(側面が平らな構造)であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、側面(管壁部分)に複数の孔が設けられた構造であってもよい。この場合、吻合部分の血管に加わる圧力を軽減することができるため、吻合部分の血管の表層部を通る血流が滞ってしまうのを抑制することができ、結果として、吻合部分の細胞が壊死するのを抑制することが可能となる。
側面(管壁部分)に複数の孔が設けられた構造である場合には、例えばメッシュのように、比較的大きな孔が均等に配列されたものであってもよいし、さほど大きくない孔が均等あるいは不均等に配列(配置)されたものであってもよい。
【0113】
(5)上記実施形態1においては、外側吻合部材10の長さが内側吻合部材20の長さよりも短く設定されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、外側吻合部材と内側吻合部材が同じ長さであってもよいし、外側吻合部材が内側吻合部材よりも長くてもよい。
【0114】
(6)上記実施形態2においては、内側吻合部材が2つの内側管状部材を有する場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、3つ以上の内側管状部材を有していてもよい。また、上記実施形態3においては、外側吻合部材が2つの外側管状部材を有する場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、3つ以上の外側管状部材を有していてもよい。また、上記実施形態4においては、外側及び内側吻合部材がそれぞれ3つの外側及び内側管状部材を有する場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、それぞれ2つの外側及び内側管状部材を有していてもよいし、それぞれ4つ以上の外側及び内側管状部材を有していてもよい。
【0115】
(7)上記実施形態4においては、外側及び内側管状部材72〜76,82〜86の端面(図11(e)に示す切断面参照。)が略四角形である場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、端面が略四角形以外の多角形(例えば略六角形など)であるリング状部材であってもよいし、端面が略円形(例えば円形、楕円形など)であるリング状部材であってもよい。
【0116】
(8)上記各実施形態においては、外側及び内側吻合部材又は吻合部材が、円管である場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、断面四角形の角管であってもよい。
【0117】
(9)上記実施形態1〜5においては、外側及び内側吻合部材が、脂肪族エステル系樹脂のうち同じ材料で構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、外側吻合部材と内側吻合部材とが脂肪族エステル系樹脂のうち異なる材料で構成されていてもよい。
【0118】
(10)上記実施形態1においては、図3に示したように、成形工程S1における成形温度T1が、変形処理工程S2における温度T2よりも高い場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。外側吻合部材の材料として、「ポリ乳酸−ポリグリコール酸−ポリεカプロラクトンの共重合体」以外の脂肪族エステル系樹脂を用いた場合には、成形温度T1と温度T2とが同じとなる可能性もあるし、成形温度T1が温度T2よりも低くなる可能性もある。ただし、この場合においても、成形温度T1及び温度T2は、使用する樹脂のガラス転移点Tgよりも高く当該樹脂の融点Tmよりも低い温度となる。
【0119】
(11)上記各実施形態においては、「成形工程(成形体作製工程)S1」、「変形処理工程S2」及び「形状固定工程S3」を含む方法(図2参照。)によって、外側吻合部材又は吻合部材に所定の形状記憶処理を施す場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これ以外の方法で外側吻合部材又は吻合部材に所定の形状記憶処理を施してもよい。
【0120】
(12)上記実施形態1においては、管状組織吻合器具1を用いて血管V1,V2を吻合する方法の一例として、図4に示したように、外側吻合部材10を血管V2の外側に通す場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。外側吻合部材10を血管V1の外側に通しておき、血管V1の端部を外側に折り返して血管V1と血管V2とを重ね合わせた後(図5(a)及び図5(b)参照。)、血管V1に通していた外側吻合部材10を所定位置(血管V1,V2を重ね合わせた位置)に移動させてもよい。
【0121】
(13)上記各実施形態においては、管状組織吻合器具を用いて血管を吻合する場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、血管以外の管状組織(例えば、消化管、胆管、尿管、尿道等)を吻合するために用いてもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0122】
1,1a〜1d,2,3,4,5,6 管状組織吻合器具
1ax,2ax,3ax,4ax,5ax,6ax 管軸
10,10a〜10d,30,50,70,90 外側吻合部材
12,14 (外側吻合部材の)開口端
20,20a〜20d,40,60,80,100 内側吻合部材
22,24 (内側吻合部材の)開口端
42,44,82〜86 内側管状部材
52,54,72〜76 外側管状部材
102,104 突起
110 吻合部材
d1,d3 内側管状部材間の距離
d2,d4 外側管状部材間の距離
d5 突起間の距離
g (外側吻合部材と内側吻合部材との)隙間
L1,L5 外側吻合部材の管軸方向に沿った長さ
L2 内側吻合部材の管軸方向に沿った長さ
L3 外側管状部材の管軸方向に沿った長さ
L4 内側管状部材の管軸方向に沿った長さ
V1,V2 血管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状の外側吻合部材(10)と、
前記外側吻合部材(10)との間に所定の隙間(g)を設けるようにして前記外側吻合部材(10)の内側に配置される管状の内側吻合部材(20)とを備える管状組織吻合器具(1)であって、
当該管状組織吻合器具は、一方の管状組織(V1)の端部を外側に折り返すことで当該端部の内面を露出させ、当該露出した部分に他方の管状組織(V2)の端部内面を重ねた状態で、前記一方の管状組織(V1)における前記折り返した部分の内部に配置した前記内側吻合部材(20)と前記他方の管状組織(V2)の外面側に配置した外側吻合部材(10)とで前記一方及び他方の管状組織(V1,V2)を挟むように吻合するタイプのものであり、
前記外側及び内側吻合部材(10,20)のうち少なくとも一方の吻合部材は、
脂肪族エステル系樹脂を材料として所定の形状記憶処理を施すことにより形成された、形状記憶性能を備えるものであり、かつ、
所定温度以上に再び加熱することにより、前記隙間を狭くするように形状を変形可能に構成されていることを特徴とする管状組織吻合器具(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の管状組織吻合器具において、
前記内側吻合部材(40)は、管軸(2ax)方向に沿って所定距離(d1)をあけて並置された第1内側管状部材(42)及び第2内側管状部材(44)を有し、
前記外側吻合部材(30)の管軸(2ax)方向に沿った長さ(L1)は、前記第1内側管状部材(42)から前記第2内側管状部材(44)までの前記距離(d1)以下であり、
前記第1及び第2内側管状部材(42,44)並びに前記外側吻合部材(30)は、管軸(2ax)方向に沿ってみたときに、前記第1内側管状部材(42)の次に前記外側吻合部材(30)が配置され、前記外側吻合部材(30)の次に前記第2内側管状部材(44)が配置されるように構成されていることを特徴とする管状組織吻合器具(2)。
【請求項3】
請求項1に記載の管状組織吻合器具において、
前記外側吻合部材(50)は、管軸(3ax)方向に沿って所定距離(d2)をあけて並置された第1外側管状部材(52)及び第2外側管状部材(54)を有し、
前記内側吻合部材(60)の管軸(3ax)方向に沿った長さ(L2)は、前記第1外側管状部材(52)から前記第2外側管状部材(54)までの前記距離(d2)以下であり、
前記第1及び第2外側管状部材(52,54)並びに前記内側吻合部材(60)は、管軸(3ax)方向に沿ってみたときに、前記第1外側管状部材(52)の次に前記内側吻合部材(60)が配置され、前記内側吻合部材(60)の次に前記第2外側管状部材(54)が配置されるように構成されていることを特徴とする管状組織吻合器具(3)。
【請求項4】
請求項1に記載の管状組織吻合器具において、
前記内側吻合部材(80)は、管軸(4ax)方向に沿って所定距離(d4)をあけて並置された複数の内側管状部材(82,84,86)を有し、
前記外側吻合部材(70)は、管軸(4ax)方向に沿って所定距離(d3)をあけて並置された複数の外側管状部材(72,74,76)を有し、
前記複数の内側管状部材(82,84,86)の管軸(4ax)方向に沿った長さ(L4)は、各外側管状部材(72,74,76)間の前記距離(d3)以下であり、
前記複数の外側管状部材(72,74,76)の管軸(4ax)方向に沿った長さ(L3)は、各内側管状部材(82,84,86)間の前記距離(d4)以下であり、
前記複数の内側管状部材(82,84,86)及び前記複数の外側管状部材(72,74,76)は、管軸(4ax)方向に沿ってみたときに、前記内側管状部材と前記外側管状部材とが互い違いに配置されるように構成されていることを特徴とする管状組織吻合器具(4)。
【請求項5】
請求項1に記載の管状組織吻合器具において、
前記内側吻合部材(100)の外周面には、管軸(5ax)方向に沿って所定距離(d5)をあけて少なくとも2つの突起(102,104)が並設され、
前記外側吻合部材(90)の管軸(5ax)方向に沿った長さ(L5)は、前記内側吻合部材(100)の前記突起(102,104)間の前記距離(d5)以下であり、
前記外側吻合部材(90)は、管軸(5ax)方向に沿ってみたときの配置位置が、前記内側吻合部材(100)の前記突起(102,104)間に位置するように構成されていることを特徴とする管状組織吻合器具(5)。
【請求項6】
請求項1に記載の管状組織吻合器具において、
前記外側吻合部材の内周面には、管軸方向に沿って所定距離をあけて少なくとも2つの突起が並設され、
前記内側吻合部材の管軸方向に沿った長さは、前記外側吻合部材の前記突起間の前記距離以下であり、
前記内側吻合部材は、管軸方向に沿ってみたときの配置位置が、前記外側吻合部材の前記突起間に位置するように構成されていることを特徴とする管状組織吻合器具。
【請求項7】
請求項1に記載の管状組織吻合器具において、
前記内側吻合部材の外周面及び前記外側吻合部材の内周面のいずれか一方の面には、凸部が形成され、
他方の面には、前記凸部の位置に対応する位置に、前記凸部の形状に対応する形状からなる凹部が形成されていることを特徴とする管状組織吻合器具。
【請求項8】
管状の外側吻合部材(10)と、
前記外側吻合部材(10)との間に所定の隙間(g)を設けるようにして前記外側吻合部材(10)の内側に配置される管状の内側吻合部材(20)とを備える管状組織吻合器具(1)であって、
当該管状組織吻合器具は、一方の管状組織(V1)の端面と他方の管状組織(V2)の端面とが向き合うように前記一方及び他方の管状組織(V1,V2)を配置した状態で、前記一方及び他方の管状組織(V1,V2)の内面側に配置した前記内側吻合部材(20)と前記一方及び他方の管状組織(V1,V2)の外面側に配置した前記外側吻合部材(10)とで前記一方及び他方の管状組織(V1,V2)を挟むように吻合するタイプのものであり、
前記外側及び内側吻合部材(10,20)のうち少なくとも一方の吻合部材は、
脂肪族エステル系樹脂を材料として所定の形状記憶処理を施すことにより形成された、形状記憶性能を備えるものであり、かつ、
所定温度以上に再び加熱することにより、前記隙間を狭くするように形状を変形可能に構成されていることを特徴とする管状組織吻合器具(1)。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の管状組織吻合器具において、
前記外側及び内側吻合部材はともに、脂肪族ポリエステル樹脂から構成された前記形状記憶性能を備えるものであり、
前記外側吻合部材は、所定温度以上に再び加熱することにより、前記隙間を狭くするように形状を収縮変形可能に構成されており、
前記内側吻合部材は、所定温度以上に再び加熱することにより、前記隙間を狭くするように形状を拡張変形可能に構成されていることを特徴とする管状組織吻合器具。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の管状組織吻合器具において、
前記外側及び内側吻合部材のうち少なくとも一方の吻合部材は、複数の孔が設けられた構造を有することを特徴とする管状組織吻合器具。
【請求項11】
単一の吻合部材(110)を備える管状組織吻合器具(6)であって、
当該管状組織吻合器具は、一方の管状組織(V1)の端面と他方の管状組織(V2)の端面とを当接させた状態で、前記一方及び他方の管状組織(V1,V2)の内面側に配置した前記吻合部材(110)を拡張させることにより、前記一方及び他方の管状組織(V1,V2)の吻合対象部分を吻合するタイプのものであり、
前記吻合部材(110)は、
脂肪族エステル系樹脂を材料として所定の形状記憶処理を施すことにより形成された、形状記憶性能を備えるものであり、かつ、
所定温度以上に再び加熱することにより、形状を拡張変形可能に構成されていることを特徴とする管状組織吻合器具(6)。
【請求項12】
請求項11に記載の管状組織吻合器具において、
前記吻合部材は、複数の孔が設けられた構造を有することを特徴とする管状組織吻合器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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