説明

管理システム

【課題】 自動分析装置の管理/運用に関する動作制御スケジュールを容易に制御可能な管理システムを提供する。
【解決手段】 情報処理装置1と複数台の自動分析装置2とをイーサネット(登録商標)4にて接続する。情報処理部5にて自動分析装置2の動作スケジュールを設定してイーサネット4を介してネットワークドライバ11に送信する。電源制御部13は電源3のON/OFFを制御する。表示部7にはたとえば一週間分のスケジュールが表示され、制御の設定および確認が可能である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動分析装置の動作制御スケジュールを管理する管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、血清などの試料の成分分析を自動で行なう自動分析装置においては、測定したい試料をカップまたは採血管に取り、これらを架設できる試料ラックに配置して、装置のサンプラにのせ、試料ごとに試料情報と測定したい成分を依頼項目とする依頼情報を装置に登録して測定する。この測定は、依頼項目毎に希釈などの溶液や専用試薬を対象試料に加え、攪拌などの後、吸光度や電位などを測定することにより予め濃度が特定できている試料により作成された検量線から、結果(濃度)を求める。
【0003】このような自動分析装置を稼動するためには、まず、装置の電源を入れて立ち上げ、実際に測定を開始する前(スタートアップ)や、測定作業を終了後、装置の電源を落とす前(シャットダウン)に、ルーチン的な処理(反応管洗浄、水満たし、恒温槽水交換など)を行う必要がある。これらの処理は通常終了するまでに時間がかかることと、この処理の間、作業者は装置のそばに居る必要がないこと、また定期的に行われることから、タイマ等を利用して指定した時刻に自動的に実行されるようになっている。また、この処理を行う時刻は、たとえば、曜日単位で管理され(以降、この管理情報をスケジュールと記す。)自動分析装置に接続された情報端末で設定される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の技術においては、検査センターなどの比較的に大規模な機関などでは、複数台数の自動分析装置を有しているため、各装置毎に管理者がそれぞれの自動分析装置の情報端末から自動立上げのスケジュールを設定する必要があった。すべての装置を一度に同じ設定にしようとした場合でも、個々の装置毎に同じ設定を繰り返し行う必要があった。このため、たとえば一人の管理者で全ての装置を管理しようと考えた場合は非常にその作業が煩雑なものになる。また、個々の装置がどのようなスケジュールにて管理されているかを知る場合も、やはり個々の自動分析装置が備える情報端末を見る必要があった。
【0005】本発明は、自動分析装置の管理/運用に関する動作制御スケジュールを容易に制御可能な管理システムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために請求項1に記載の本発明においては、試料の成分分析を行う自動分析装置のスタートアップあるいはシャットダウンのスケジュール管理を行う制御管理システムにおいて、前記スタートアップあるいは前記シャットダウンの動作スケジュールを作成する作成手段と、作成された動作スケジュールをネットワークを介して送信する送信手段と、前記ネットワークを介して受信した前記動作スケジュールに基づいて前記スタートアップあるいは前記シャットダウンを実行する実行手段とを備えることを特徴とする管理システムをもって解決手段とする。
【0007】また、請求項2に記載の本発明によれば、前記実行手段は、前記自動分析装置の電源のON制御あるいはOFF制御を含むことを特徴とする請求項1記載の管理システムをもって解決手段とする。
【0008】また、請求項3に記載の本発明によれば、前記動作スケジュールを表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1記載の管理システムをもって解決手段とする。
【0009】また、請求項4に記載の本発明によれば、前記表示手段により前記動作スケジュールを設定する設定手段を備えることを特徴とする請求項3記載の管理システムをもって解決手段とする。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の形態による管理システムの構成を説明するための概略図を示し、情報処理装置1、12と、自動分析装置2と、電源3と、イーサネット4と、情報処理部5と、操作部6と、表示部7と、記憶部8と、時計部9と、ネットワークドライバ10、11と、電源制御部13と、から構成されている。
【0011】この情報処理装置1と自動分析装置2とから構成される管理システムにおいて、自動分析装置2の自動立上げのスケジュールを管理する情報処理装置1と複数台の自動分析装置(図中に示す自動分析装置<1>〜<N>。)がイーサネット4によって接続されている。情報処理装置1はサーバとして機能し、常時通電状態にある。情報処理装置1は内部に時計部9を備え、これによって情報処理部5で時間と曜日を認識し、スケジュールの管理を行う。
【0012】表示部7は設定されたスケジュール管理を画面上に表示して操作者に視認可能に設定内容を示し、またスケジュール管理のための指示入力に際しても、指示入力のための操作画面を表示する。この操作指示入力は操作部6を介して行われる。この操作部6は図示しないキーボードやマウス、トラックボールなどの入力装置を用いて行われている。記憶部8は設定されたスケジュールの情報を記憶し、情報処理部5からの要求に対してスケジュールの情報記憶、あるいは記憶内容の出力を行っている。
【0013】ネットワークドライバ10は、イーサネット4を用いて情報伝達が行われる管理システムにおいて、イーサネット4に情報を載せて自動分析装置2に伝達するための伝達制御を行う。制御内容としては電気的な負荷による信号減衰を防ぐための駆動手段や、情報の伝達ミスに対抗するための情報処理手段などが備わる。
【0014】自動分析装置2は複数台数がイーサネット4に接続されており、それぞれの自動分析装置2において独立した電源3と、情報処理部12と、電源制御部13と、ネットワークドライバ11とを備えている。ネットワークドライバ11ではイーサネット4から送られてきた情報処理装置1の制御情報、つまりはスケジュールを受信する。また、自動分析装置2からの装置情報を出力してイーサネット4に流すことも行われている。
【0015】ネットワークドライバ11にて受信されたスケジュールは情報処理部12に伝達され、情報処理部12ではこのスケジュールに基づいて自動分析装置2の動作制御を行う。電源制御部13は接続された電源3からの電源供給の制御を行う。
【0016】図2に、本発明の実施の形態による管理システムのスケジュール設定のための画面表示の一つの例を示す。このスケジュール管理画面14は、装置名15と、曜日データ16と、設定時間データ17と、制御内容18と、設定時間データ19と、制御内容20と、制御内容選択メニュー21と、操作メニュー22とから構成されている。
【0017】曜日データ16の部分には一週間分の曜日が表示されている。この曜日の表示により操作者は一週間のうちの各曜日毎のスケジュールを確認できる。設定時間データ17は設定された制御が実行される時間を示している。制御内容18は具体的な制御の内容を示し、この制御内容は制御内容選択メニュー21のうちから選択できる。制御内容選択メニュー21は制御内容18のメニュー部分を図示しないマウスなどで選択することで表示される。また、キーボードからの操作指示入力によっても表示可能である。設定時間データ19と制御内容20も設定時間データ17と制御内容18の表示内容及び機能と同じであり、制御内容選択メニュー21にて制御内容を選択することができる。操作メニュー22の表示は制御選択メニュー21にて選択された制御内容の実行に関する選択を行うためのものである。
【0018】スケジュール管理画面14により操作者がスケジュール設定の可能な機能は、たとえば各曜日ごとに最大で2つの処理が設定できるようになっている。設定可能な処理は、電源ONであり、設定時間データ17や設定時間データ19に表示された指定時刻に自動分析装置2の電源3を投入する。
【0019】スタートアップの指示では、指定時刻に自動分析装置2の電源3を入れ、測定前のルーチン処理を行う。また、シャットダウンの指示では指定時刻に測定後のルーチン処理を行い電源3を切る。
【0020】これらの3通りの制御設定は、スケジュール管理画面14の下部の装置名15を押すことで、各装置毎のスケジュールが表示される。操作メニュー22の「ALL」ボタンは現在表示されている自動分析装置2の設定内容と、他の全ての自動分析装置との設定を合わせるためのものである。「OK」ボタンを押すことでこの画面は終了し、設定は情報処理装置1の記憶部8に保存される。
【0021】情報処理部5は指定時刻が来ると、スケジュールに従い指定の自動分析装置2に対して電源ON・電源OFF・測定前ルーチン処理開始・測定後ルーチン処理開始の命令を送信する。これらの命令のうち、電源ONはネットワークドライバ10から直接に電源制御部13に送られる。自動分析装置2の内部のネットワークドライバ11には常時通電され、情報処理部12に電源が供給されていない間でも、電源ONのコマンドを受け付けられるようになっている。
【0022】制御情報処理の流れとしては、たとえば電源ONの場合には、情報処理装置1は自動分析装置2の電源3が入っているか否か確認する。次に、電源3が入っていた場合は何もせず、入っていなかった場合は、電源ONの命令を自動分析装置2に送信する。次に、命令を受信した自動分析装置2のネットワークドライバ11は、電源制御部13に電源3を入れるように指示を出す。次に、情報処理装置1は自動分析装置2の電源3が入ったことを確認する。
【0023】また、スタートアップの場合は、まず、情報処理装置1は自動分析装置2の電源3が入っているか否か確認する。電源3が入っていた場合には情報処理装置1が自動分析装置2の電源3が入っていることを確認した後に、自動分析装置2は測定前ルーチン処理を実行する。次に、測定前ルーチン処理が終了したことを情報処理装置1に通知する。
【0024】一方、電源3が入っていなかった場合は電源ONの命令を自動分析装置2に送信する。命令を受信した自動分析装置2のネットワークドライバ11は、電源制御部13に電源3を入れるように指示を出す。次に、情報処理装置1は自動分析装置2の電源3が入ったことを確認する。次に、自動分析装置2は測定前ルーチン処理を実行する。次に、測定前ルーチン処理が終了したことを情報処理装置1に通知する。
【0025】また、シャットダウンの場合は、まず、情報処理装置1は自動分析装置2が他の処理(測定等)を行っていないか確認する。次に、他の処理を行っていた場合は、それが終了するのを待つ。次に、情報処理装置1は自動分析装置2に測定後ルーチン処理開始の命令を送信する。次に、自動分析装置2は測定後、ルーチン処理を実行する。次に、自動分析装置2は測定後ルーチン処理が終了したことを情報処理装置1に通知する。次に、情報処理装置1は自動分析装置2に電源OFFの命令を送信する。次に、命令を受信した自動分析装置2の情報処理部12は、電源制御部13に電源を切るように指示を出す。次に、情報処理装置1は自動分析装置2の電源3が切れたことを確認する。
【0026】以上説明した本発明によれば、管理者は1台の情報処理装置で複数台の自動分析装置の自動立上げスケジュールを管理することが可能になり、少数の管理者ででの管理が容易に行える。
【0027】また、ネットワークにより接続を行っているため、情報処理装置を自動分析装置から離して設置することで、自動分析装置の設置されている場所から離れた所からでも管理することが可能になる。
【0028】なお、以上説明した実施の形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施の形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、自動分析装置の管理/運用に関する動作制御スケジュールを容易に制御可能な管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による管理システムの構成を説明するための概略図を示す。
【図2】本発明の実施の形態によるスケジュール管理画面の一つの例を示す。
【符号の説明】
1…情報処理装置、2…自動分析装置、3…電源、4…イーサーネット、5…情報処理部、6…操作部、7…表示部、8…記憶部、9…時計部、10…ネットワークドライバ、13…電源制御部、14…スケジュール管理画面、15…装置名、16…曜日データ、17…設定時間データ、18…制御内容、19…設定時間データ、20…制御内容、21…制御内容選択メニュー、22…操作メニュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 試料の成分分析を行う自動分析装置のスタートアップあるいはシャットダウンのスケジュール管理を行う制御管理システムにおいて、前記スタートアップあるいは前記シャットダウンの動作スケジュールを作成する作成手段と、作成された動作スケジュールをネットワークを介して送信する送信手段と、前記ネットワークを介して受信した前記動作スケジュールに基づいて前記スタートアップあるいは前記シャットダウンを実行する実行手段とを備えることを特徴とする管理システム。
【請求項2】 前記実行手段は、前記自動分析装置の電源のON制御あるいはOFF制御を含むことを特徴とする請求項1記載の管理システム。
【請求項3】 前記動作スケジュールを表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1記載の管理システム。
【請求項4】 前記表示手段により前記動作スケジュールを設定する設定手段を備えることを特徴とする請求項3記載の管理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2001−296301(P2001−296301A)
【公開日】平成13年10月26日(2001.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−111840(P2000−111840)
【出願日】平成12年4月13日(2000.4.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】