説明

管理機

【課題】左右のロータリーを交換して耕耘方式を切換える管理機において、爪軸の土詰りを防止すると共に、ロータリーの交換作業が容易に行なえる管理機を提供する。
【解決手段】走行部4の後方にロータリー式の耕耘作業部5を備えると共に、同耕耘作業部5に左右方向に伸延する耕耘軸を備え、当該耕耘軸の左右両側に、爪軸29の周面に複数の耕耘爪19を螺設してなるロータリーを、着脱自在に設けてなる管理機Aにおいて、前記爪軸29の外端部内方に、パイプ状の栓体31を着脱自在に取り付けたことを特徴とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管理機の一形態として、耕耘作業部の左右に伸延させた耕耘軸の両端に、爪軸に複数の耕耘爪を装着したロータリーを取り付け、この左右のロータリーを交換することで、耕土面を平坦状に耕起させる内盛耕耘設定と、中央部に溝を形成すると共にその両側に山状の盛土を形成する外盛耕耘設定と、を切替え可能としてなるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−189703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記従来の管理機においては、左右のロータリーを交換可能としたために、爪軸の端部が開放状態となっており、耕耘作業時の飛散土等が、爪軸外端部から軸内部に侵入して軸内を詰まらせ易かった。そして、内盛耕耘設定と外盛耕耘設定とを切替えるために左右のロータリーを交換する際には、爪軸内を栓塞した土の除去作業を行なう必要があったが、この除去作業が困難であり、ロータリーの交換作業を煩雑にしていたという不具合が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明における管理機では、走行部の後方にロータリー式の耕耘作業部を備えると共に、当該耕耘作業部の耕耘軸の左右両側に、当該耕耘軸に外挿される中空の爪軸と当該爪軸の外周に螺設された複数の耕耘爪を有するロータリーが着脱自在な状態で取り付けられている管理機において、耕耘軸に一端側から外挿された爪軸の他端に、栓体を着脱自在に取り付けたことを特徴とする管理機を提供するものである。
【0005】
また、前記栓体は、中空の爪軸の内部に挿入されるものであることにも特徴を有する。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の本発明では、走行部の後方にロータリー式の耕耘作業部を備えると共に、当該耕耘作業部の耕耘軸の左右両側に、当該耕耘軸に外挿される中空の爪軸と当該爪軸の外周に螺設された複数の耕耘爪を有するロータリーが着脱自在な状態で取り付けられている管理機において、耕耘軸に一端側から外挿された爪軸の他端に、栓体を着脱自在に取り付けたことを特徴としたため、左右のロータリーを交換して耕耘爪の向きを変更させることで、土壌の耕耘具合を任意に調整する事ができると共に、左右のロータリーを交換可能としたことにより開放状態となる中空の爪軸端部に、栓体を着脱自在に取り付けたことにより、耕耘作業の際、耕耘軸内に土を侵入させ難く、また、詰まらせ難くすることができて、爪軸内を栓塞した土を除去するような煩雑な作業を伴うことなく、容易にロータリーの交換作業を行うことができる。
【0007】
また、請求項2記載の本発明では、前記栓体は、中空の爪軸の内部に挿入されるものであることを特徴としたため、栓体の先端部を爪軸内径よりも小径とすると共に栓体の他端を爪軸内径よりも大径として形成すればよく、爪軸の径に合わせた正確な寸法にて形成する必要がなくて製造が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の最良の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1及び図2に示すAは、本発明に係る管理機を示しており、同管理機Aは、図1及び図2に示すように、側面視略へ字状に屈曲させて形成したミッションケース2の前方位置に原動機部3を配設するとともに、ミッションケース2の前側下部に走行部4を配設する一方、ミッションケース2の後側下部に耕耘作業部5を配設し、更には、管理機Aの後部上方位置に操作部6を配設している。
【0010】
以下に、管理機Aの各部の構造について説明する。
〔ミッションケース〕
ミッションケース2は、図1及び図2に示すように、管理機Aの下方に配設した走行部4と、耕耘作業部5との間に、側面視略へ字状に屈曲させた屈曲部10を備えて架設しており、同ミッションケース2は、屈曲部10から前低後高の傾斜状に伸延させた走行部側ケース構成体7と、屈曲部10から前高後低の傾斜状に伸延させた耕耘作業部側ケース構成体8とから構成している。
【0011】
また、ミッションケース2の屈曲部10の前側上部には、左右幅方向に向けて伸延させた入力軸11をミッションケース2の左側方に向けて突出させた状態で回動自在に取付けており、原動機部からの動力でこの入力軸11を回動することにより、同ミッションケース2の内部に設けた変速機構を介して走行部4や耕耘作業部5に動力を伝えるようにしている。
〔原動機部〕
原動機部3は、ミッションケース2の前側下部に原動機載置台12を取付け、同原動機載置台12の上部に原動機13を載設し、同原動機13の上部に燃料タンク14を取付けて構成している。なお、図中、15はフロントウエイトを兼ねたバンパーである。
〔走行部〕
走行部4は、ミッションケース2の走行部側ケース構成体7の下端部近傍に、左右幅方向に向けて伸延させた車軸16を回動自在に取付け、同車軸16の左右端部に車輪17を取り付けて形成している。
〔耕耘作業部〕
耕耘作業部5は、ミッションケース2の後側下部に左右幅方向に向けて伸延させた耕耘軸18に、爪軸29の周面に複数の耕耘爪19を螺設してなるロータリー30を、着脱自在に設けている。
【0012】
また、ミッションケース2の耕耘作業部側ケース構成体8の中途部には、耕耘作業部5の上方に張り出すように、機体の後方へ向けてロータリーフレーム22を配設しており、耕耘爪19の回動軌跡20の上方を覆うように、同ロータリーフレーム22に耕耘カバー21を取付け、同耕耘カバー21の後端部に耕深調節バー23を昇降自在に取付けて構成している。図中、24は耕深調節バー23を支持するための支持ブラケットである。
〔操作部〕
操作部6は、ミッションケース2の中途部に平面視で略門型状のハンドル25を前低後高の傾斜状に取付け、同ハンドル25の上端部にデッドマンクラッチレバー26を配設するとともに、ハンドル25の前方に変速レバー27を前低後高の傾斜状に配設して構成している。
【0013】
変速レバー27は、基端部をミッションケース2の右側方に望ませるとともに、おなじくミッションケース2の右側方に設けた変速リンク機構を介して、ミッションケース2内の変速機構を操作し変速可能としている。
〔本発明の要旨〕
上記のような構成において、本発明の要旨は、爪軸29端部に栓体31を嵌合させてなる土詰り防止構造にあり、以下に、図3〜図6を参照しながら説明する。
【0014】
すなわち、管理機Aは、図3に示すように、耕耘作業部5において左右方向に伸延させた耕耘軸18の左右端部に、爪軸29の周面に複数の耕耘爪19,19,19,…を螺設してなるロータリー30a,30bを着脱自在に設けると共に、前記爪軸29の外端部内方に、パイプ状の栓体31を着脱自在に取り付けてなる土詰り防止構造を備えている。
【0015】
以下に、上記した〔耕耘軸18〕と〔ロータリー30〕と〔栓体31〕について、具体的に説明する。
〔耕耘軸18〕
耕耘軸18は、図3に示すように、耕耘作業部側ケース構成体8から左右方向に伸延させて設けており、回転動力を伝達するスプロケット32を備えると共に伝動チェーン33を巻回して、原動機部3からの動力を、ミッションケース2等を介して受け取り、回転駆動される構成としている。図中、34は、スプロケット32及び伝動チェーン33等からなる伝動機構35を内装するチェーンケースである。また、耕耘軸18の左右端部には、後述するロータリー30を装着するための耕耘軸孔36を形成している。
〔ロータリー30〕
図3に示すように、ロータリー30a,30bは、耕耘軸18の両端にそれぞれ設けられており、筒状に形成した爪軸29の周面に、複数の爪ホルダ37,37,37,…を螺設し、この爪ホルダ37に、先端を屈曲させて形成した耕耘爪19を、ボルト51により取り付けて構成している。
【0016】
以下、ロータリー30a及び30bにおいて共通する構成要件については、それぞれ同一の符号を付することとすると共に、ロータリー30と表記することにより一括して説明する。
【0017】
ロータリー30において、爪軸29は、二つの筒部材38,39より構成している。第1の筒部材38は、外軸40と内軸41からなり、外軸40は、端部40a近傍の周面に、対向する溶接孔42,42を備えると共に、その内方に、外軸40よりも小径とした内軸41を端部40aから突出させた状態として嵌合して、溶接孔42,42において溶着することで内軸41と一体に構成している。第1の筒部材38の他端40b縁部には、周面から突出させて耕耘作業部側ケース構成体8の側面と結合させるためのカバー体43を設けている。また、内軸41の、外軸40から突出する突出部の周面には、対向する二つの結合孔45,45を設けている。
【0018】
第2の筒部材39は、前述の外軸40と略同一長さ及び略同一径の筒状に形成して、端部39a近傍の周面には対抗する二つの結合孔46,46を設け、他端39b縁部には、第1の筒部材38と同様にカバー体47を突設させている。
【0019】
また、第1の筒部材38と、第2の筒部材39の略中央部における周面には、耕耘軸18や後述する栓体31と結合させるための軸孔48,49をそれぞれ貫通形成しており、第1の筒部材38の端部40bから軸孔48までの距離と、第2の筒部材39の端部39bから軸孔49までの距離は、等しい距離tとしている。
【0020】
カバー体43,47をそれぞれ外方に位置させ、第1の筒部材38内の内軸41の突出部と、第2の筒部材39の端部39aを嵌合させると共に、結合孔45,46を一直線上に位置させ、これにピン50を挿入固定することにより、両筒部材38,39を固定して一体の爪軸29として構成している。
【0021】
第1、第2の筒部材38,39には、それぞれ複数の爪ホルダ37を溶着しており、本実施形態においては、それぞれ3個の爪ホルダ37,37,37を設けている。この爪ホルダ37のそれぞれに耕耘爪19を装着してボルト51,51,51,…により固定している。
【0022】
耕耘爪19は、それぞれ屈曲形状を異ならせて形成しており、ロータリー30aとロータリー30bに、それぞれ対応する耕耘爪19A〜19F、19a〜19fを装着させている。
〔栓体31〕
栓体31は、図3〜5に示すように、パイプ状の挿入部52と、挿入部52の一端に周面に対して突出させて形成した頭部53と、より構成し、挿入部52の先端部近傍の周面には、対向する二つの装着孔54,54を形成している。また、挿入部52において、先端部近傍の径を頭部53近傍の径よりも若干小径として、爪軸29内に挿入しやすい形状としている。
【0023】
以下、栓体31の、具体的な使用形態について図3〜図5を参照して説明する。
【0024】
図3は、耕土面を平坦状に耕起させる、内盛耕耘設定としたロータリー30を示す説明図であって、内盛耕耘を行なう際は、図3に示すように、耕耘軸18両端の耕耘軸孔36と、爪軸29における第1の筒部材38の軸孔48と、をピン55で固定して、ロータリー30a,30bをそれぞれ耕耘軸18両端に装着する。この時、耕耘爪19の先端は耕耘作業部側ケース構成体8の方向、内方を向き、耕耘爪19A,19aが最外部に位置することとなる。
【0025】
そして、開放状態である爪軸29の端部39bに、栓体31を、先端部側から挿入嵌合させ、ピン57で固定して取り付ける。具体的には、図5に示すように、爪軸29内に栓体31を挿入した後、爪軸29の軸孔49と、栓体31の装着孔54とを重合させてこれにピン57を挿入し、ピン57端部に穿設したピン孔58に固定ピン59を装着することで、爪軸29内に栓体31を装着固定している。栓体31は、このように簡単な構成により取り付けているので、爪軸29からの装脱着を容易に行なう事ができる。
【0026】
図4は、中央部に溝を形成すると共にその両側に山状の盛土を形成する、外盛耕耘設定としたロータリー30を示す説明図であって、ロータリー30を、図3に示す内盛耕耘設定とした状態から、図4に示す外盛耕耘設定へと切換える際には、耕耘軸18からロータリー30を取り外すと共に、爪軸29端部39bに装着していた栓体31を取外し、左右のロータリー30a,30bを交換する。
【0027】
すなわち、ロータリー30aの爪軸29の端部39b側を耕耘作業部側ケース構成体8の端部aに装着し、ロータリー30bの爪軸の端部39b側を耕耘作業部側ケース構成体8の端部bに装着する。そして、爪軸29の端部40bに栓体31を装着する。この時、図4に示すように耕耘爪19の先端は外方を向くと共に、耕耘爪19A,19aは最内部に位置する。
【0028】
上記してきたように、爪軸29端部に栓体31を装着したことにより、爪軸29内部への土の侵入を防止する事ができるし、多少土が侵入したとしても、栓体31ごと土を取り出す事が出来るため、除去作業が煩雑になる事がない。また、前述したように、栓体31は、簡単な構成にて爪軸29に取り付けているため装脱着が容易で、ロータリー30の交換作業も楽に行なう事ができる。
【0029】
また、栓体の形状は上記したものに限られず、図6に示すように、パイプ60にプレート61を溶接した、頭部62を閉塞してなる栓体63としてもよい。このような形状の栓体63とすれば、爪軸29内部への土の進入を確実に防止する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態における管理機の側面図である。
【図2】本実施形態における管理機の平面図である。
【図3】耕耘作業部におけるロータリーの内盛耕耘設定を示す説明図である。
【図4】耕耘作業部におけるロータリーの外盛耕耘設定を示す説明図である。
【図5】栓体の取付け形態を示す説明図である。
【図6】栓体の別形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0031】
A 管理機
2 ミッションケース
3 原動機部
4 走行部
5 耕耘作業部
8 耕耘部側ケース構成体
13 原動機
18 耕耘軸
19 耕耘爪
29 爪軸
30 ロータリー
31 栓体
37 爪ホルダ
38 第1の筒部材
39 第2の筒部材
57 ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行部の後方にロータリー式の耕耘作業部を備えると共に、当該耕耘作業部の耕耘軸の左右両側に、当該耕耘軸に外挿される中空の爪軸と当該爪軸の外周に螺設された複数の耕耘爪を有するロータリーが着脱自在な状態で取り付けられている管理機において、
耕耘軸に一端側から外挿された爪軸の他端に、栓体を着脱自在に取り付けたことを特徴とする管理機。
【請求項2】
前記栓体は、中空の爪軸の内部に挿入されるものであることを特徴とする、請求項1記載の管理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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