説明

管理機

【課題】ボンネットの着脱機構として磁石を用いることなく、かつ機体に対するボンネットの着脱が簡易となる管理機を提供する。
【解決手段】ボンネット50の前方側を機体12に固定し得る第1固定部61を、機体側ブラケット45及び幅規制ブラケット46に対してボンネット側前方ブラケット51を後方側から前方側の係合位置に位置合せされることでボンネット50の上下方向及び左右方向が固定されるように構成し、ボンネット50の後方側を機体12に固定し得る第2固定部62を、固定バー47に対して挟持スプリング55を上方側から下方側の嵌合位置に位置合せされることでボンネット50の前後方向及び上下方向が固定されるように構成する。これにより、第1固定部61における前後方向の位置合せと、第2固定部62における嵌合動作だけで、機体12に対してボンネット50が上下・左右・前後方向に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば歩行型の管理機に係り、詳しくは、機体のエンジンやマフラ等を覆うボンネットが該機体に対して着脱自在な管理機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば歩行型の管理機においては、エンジンやマフラ等を泥土や雨水から保護するために、また、運転者等をエンジンやマフラの排熱から保護するために、機体の上部の一部を覆うようにボンネットが配設されている。このボンネットは、例えばエンジンのメンテナンスや燃料残量の確認を行うために、簡単に着脱できることが望まれている。そのため、ボンネット(保護カバー)を機体に対して磁力によって取付けるものが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−322314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1のように磁力によってボンネット(保護カバー)を機体に取付けるものにあっては、簡易にボンネットの着脱が可能であるという利点もあるが、磁石に泥土が付着すると磁力が小さくなり、ガタが生じて作業中に大きな騒音が生じる等の問題もあった。
【0005】
そこで本発明は、ボンネットの着脱機構として磁石を用いることなく、かつ機体に対するボンネットの着脱が簡易となる管理機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は(例えば図1乃至図5参照)、機体(12)の上部の少なくとも一部を覆うボンネット(50)を備えた管理機(1)において、
前記ボンネット(50)の前後方向の一端側を前記機体(12)に固定し得る第1固定部(61)と、前記ボンネット(50)の前後方向の他端側を前記機体(12)に固定し得る第2固定部(62)と、を備え、
前記第1固定部(61)は、前記機体(12)側に固定された第1固定具(45,46)と、前記ボンネット(50)側に固定され、前記第1固定具(45,46)に係合し得る第1係合具(51)と、を有し、前記第1固定具(45,46)に対して前記第1係合具(51)を前後方向の一方側の非係合位置から他方側の係合位置に位置合せされることで、前記機体(12)に対する前記ボンネット(50)の上下方向位置及び左右方向位置が固定されるように構成され、
前記第2固定部(62)は、前記機体(12)側に固定された第2固定具(47)と、前記ボンネット(50)側に固定され、弾性変形して前記第2固定具(47)に嵌合し得る第2係合具(55)と、を有し、前記第2固定具(47)に対して前記第2係合具(55)を上方側の非嵌合位置から下方側の嵌合位置に移動・嵌合されることで、前記機体(12)に対する前記ボンネット(12)の上下方向位置及び前後方向位置が固定されるように構成され、
前記第1固定部(61)を前記係合位置に位置合せすると共に、前記第2固定部(62)を前記嵌合位置に位置合せすることで、前記ボンネット(50)を前記機体(12)に対して着脱自在に取付し得ることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は(例えば図2乃至図5参照)、前記第1固定部(61)は、前記第1固定具(45,46)及び前記第1係合具(51)の一方に係合孔(45b)を有すると共に、他方に前記係合孔(45b)に挿入される突起部(51a)を有し、
前記突起部(51a)が前記係合孔(45b)に挿入されて前記係合位置に位置合せされることで、前記突起部(51a)が前記係合孔(45b)に係合して、前記機体(12)に対する前記ボンネット(50)の上下方向位置が固定されるように構成され、
さらに、前記第1固定部(61)は、前記第1固定具(45,46)及び前記第1係合具(51)の一方に他方の左右端部(51c)に当接する幅規制部(46a)を有し、
前記突起部(51a)が前記係合孔(45b)に挿入されて前記係合位置に位置合せされた際に、前記幅規制部(46a)が前記第1固定具(45,46)及び前記第1係合具(51)の他方の左右方向を規制することで、前記機体(12)に対する前記ボンネット(50)の左右方向位置が固定されるように構成されたことを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は(例えば図2及び図5参照)、前記第2固定具(47)又は前記第2係合具(55)の近傍に配設され、前記第2固定具(47)に前記第2係合具(55)が嵌合された前記嵌合位置で、前記機体(12)と前記ボンネット(50)とに対して密着する振動吸収部材(57)を備えたことを特徴とする。
【0009】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る本発明によると、第1固定部における第1固定具に対する第1係合具の前後方向の位置合せと、第2固定部における第2固定具に対する第2係合具の上下移動及び嵌合動作だけで、機体に対してボンネットが上下・左右・前後方向に固定されるので、ボンネットの着脱機構として磁石を用いることなく、かつ機体に対するボンネットの着脱を簡易にすることができる。
【0011】
請求項2に係る本発明によると、第1固定具及び第1係合具の一方に有する係合孔に、他方に有する突起部を挿入して係合位置に位置合せする際に、第1固定具及び係合具の一方に有する幅規制部に他方の左右方向が規制されるので、第1固定具及び第1係合具を位置合せするだけで、機体に対するボンネットの左右方向位置を固定することができる。また、幅規制部が、係合孔及び突起部と別の部位に配置されているので、係合孔及び突起部に応力が集中することを防止でき、第1固定部としての耐久性向上を図ることができる。
【0012】
請求項3に係る本発明によると、第2固定具に第2係合具が嵌合された嵌合位置で、機体とボンネットとに対して密着する振動吸収部材を備えているので、ボンネットに生じる振動吸収を行うことができ、騒音発生の防止を図ることができる。また、第2固定具と第2係合具との嵌合位置で振動吸収部材が機体とボンネットとに密着するので、第2固定具と第2係合具とを嵌合させる際に、嵌合位置で振動吸収材が機体とボンネットとに当接して位置合せを補助することができ、第2固定具と第2係合具との正確な嵌合位置の位置合せを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態に係る歩行型管理機1を示す側面図。
【図2】機体に取付けられたボンネットを示す断面図。
【図3】ボンネット及び各ブラケットを示す分解斜視図。
【図4】ボンネットを示す断面図。
【図5】ボンネットを取外した機体を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に沿って、本発明に係る実施の形態について図1乃至図5に沿って説明する。
【0015】
図1に示すように、歩行型管理機1は、走行部10と耕耘部30とが該耕耘部30を後方側に配置して一体的に構成されている。走行部10は、左右に延設された車軸15上に一対の走行車輪11を有しており、該走行車輪11に支持された機体12上に、エンジン13及び変速伝動部40が配置され、該エンジン13の後方には燃料タンク14がパネルカバー41に覆われる形で配置されている。パネルカバー41には、燃料タンク14に燃料を供給可能な燃料キャップ14aが上方に突出して配置されている。
【0016】
エンジン13の上方には、エンジン13における排気の際の減圧消音を行うマフラ16が配設され、該マフラ16はマフラカバー25により覆われている。詳しくは後述するボンネット50は、該エンジン13及びマフラ16の一部を覆うように(即ち機体12の上部の前方側の一部を覆うように)、特に左右両側に突出するマフラカバー25の中央部分を覆う形で、該機体12に対して着脱自在に取付られている。
【0017】
また、機体12後部からは、上記変速伝動部40を変速操作する変速レバー17と、機体12の走行方向を操作するハンドルフレーム18とが、後方に延在するように配設されている。更に、燃料タンク14の後方下部には、上記変速レバー17の操作経路を案内するガイド溝が形成された変速ガイドパネル23が配設され、機体12後部側を覆うように構成されている。
【0018】
ハンドルフレーム18は、機体12後部に延設されたフレーム19から後ろ斜め上方に向かって延びる傾斜部18aと、該傾斜部18aの途中から屈曲して圃場と略々平行な水平状態となる水平部18bと、該水平部18bの最後端部に形成されたハンドル18cと、を有している。このハンドル18cは、オペレータが片手又は両手で把持し得るように、背面視における左右幅方向に延在する長尺状に形成されている。
【0019】
なお、ハンドルフレーム18は、ノブボルト20を緩めることで機体12の上方側に折畳み可能に構成されており、また、上記変速レバー17は、根元部17bと先端部17aとが分離可能に構成されて、分離して取外した先端部17aをフレーム19に着脱自在に取付けて(符号17a’で示す)格納することで、ハンドルフレーム18の折畳みと相俟って、管理機1を小型化することが可能であり、これによって、管理機1の収納スペースのコンパクト化や運搬の容易さを確保することが可能となっている。
【0020】
上記ハンドルフレーム18にあって、傾斜部18aから水平部18bへの移行部分には、ハンドル18cに対して接離可能に支持されたクラッチハンドル29が配置されている。このクラッチハンドル29は、ハンドル18c上部に重なる水平方向の位置(クラッチ接続状態となる位置)から、ハンドル18cに対して約60゜の角度に立ち上がる位置(クラッチ切断状態となる位置)まで回動し得る(図1の矢印Xに示す)ように支持されている。
【0021】
ハンドルフレーム18の右側上部には、エンジン13の停止ボタン28やスロットルレバー27等が配設されている。停止ボタン28は、クラッチハンドル29の接続状態又は切断状態いずれの操作状態に拘らず、押下操作されることによってエンジン13を無条件で強制的に停止するように機能する。スロットルレバー27は、該スロットルレバー27に連結されたワイヤによりエンジン13の回転数が調整され、歩行型農作業機1の走行速度が調節される。
【0022】
一方、耕耘部30は、上記変速伝動部40から左右方向に延設された耕耘軸31と、該耕耘軸31に固定されて圃場を耕す耕耘爪(耕耘刃)32と、該耕耘爪32の上部を覆う耕耘カバー33と、該耕耘カバー33の後方に装着された後方カバー34とを有している。耕耘爪32は、耕耘軸31の周囲に多数装着され、側面視において前後で対象な形状となっており、耕耘軸31における正回転時(ω1方向)又は逆回転時(ω2方向)のいずれにも対応自在となっている。そして、耕耘軸31及び耕耘爪32は、変速伝動部40を介して伝動されるエンジン13の出力により回転駆動される。
【0023】
ついで、本発明に係るボンネット50の取付構造について図2乃至図5に沿って説明する。図2に示すように、機体12は、下部にメインフレーム12aと、後方側に該メインフレーム12aに固定支持されたサブフレーム12bとを備えており、メインフレーム12a上には上記エンジン13が固定支持されている。また、サブフレーム12bのさらに後方側には、上記変速ガイドパネル23が固定支持されている。さらに、上記サブフレーム12bの上方には、支持板42が固着されており、支持板42は、水平方向に屈曲された上板42aと該上板42aから上方に向けて延設された垂直板42bと(図5参照)を有している。該上板42aには、燃料タンク14及び変速ガイドパネル23を覆うパネルカバー41がボルト43により固定されている。
【0024】
上記エンジン13の上方前方側には、機体側ブラケット(第1固定具)45が固定されており、詳しくは後述するボンネット50の前方に固定されたボンネット側前方ブラケット(第1係合具)51と該機体側ブラケット45とによって、ボンネット50の前方側を機体12に対して固定可能にする第1固定部61を構成している。また、上記支持板42の垂直板42bには固定バー(第2固定具)47が溶接等により固定され、詳しくは後述するボンネット50の後方に固定されたボンネット側後方ブラケット54及び挟持スプリング(第2係合具)55と該固定バー47とによって、ボンネット50の後方側を機体12に対して固定可能にする第2固定部62を構成している。
【0025】
詳細には、第1固定部61(図2参照)を構成する機体側ブラケット45は、図3及び図5に示すように、上板45cから下方側に延設された側板45d,45dがボルト49,49によってエンジン13のケース上部に固定されている。該機体側ブラケット45の上板45cの前方側は、側面視クランク状に屈曲形成された延設部45aを有しており、該延設部45aには、詳しくは後述するボンネット側前方ブラケット51の突起部51aが挿入されて係合される係合孔45bが形成されている。
【0026】
また、該機体側ブラケット45の上板45cの上面には、幅規制ブラケット(第1固定具)46が配設されており、その底板46bが上記上板45cの上面に溶接等により固着されている。そして、幅規制ブラケット46は、左右端部が上方に向けて屈曲形成された幅規制部46a,46aを有しており、それら幅規制部46a,46aの内側は、後述するボンネット側前方ブラケット51の上板51bの左右端部51c,51cに当接し得るように構成されている。
【0027】
一方、第1固定部61(図2参照)を構成するボンネット側前方ブラケット51は、図3及び図4に示すように、ボンネット50に形成されたボルト穴50a,50aに螺合するボルト52,52によって該ボンネット50に締結されて固定されている。該ボンネット側前方ブラケット51は、上板51bを有しており、該上板51bから前方下方側に向けて突出する突起部51aが屈曲形成されている。該上板51bの幅は、左右端部51c,51cが上述したように幅規制部46a,46aの内側に当接する幅からなる。また、突起部51aの幅は、上記係合孔45bに挿入し得る幅からなり、突起部51aの上面は、上板51bが幅規制ブラケット46の底板46bに密着した位置で、機体側ブラケット45の延設部45aの下面に密着するように構成されている。
【0028】
上記第2固定部62(図2参照)を構成する固定バー47は、図5に示すように、上記支持板42の上板42aから垂直に延設された垂直板42bに固着されている。該垂直板42bは、固定バー47の左右両端を固定支持しており、固定バー47の長手方向の中間部分は、後述する挟持スプリング55の挟持板55aが挿入し得るように切欠かれている。
【0029】
一方、上記第2固定部62(図2参照)を構成するボンネット側後方ブラケット54及び挟持スプリング55は、図3及び図4に示すように、ボンネット50に形成されたボルト穴50b,50bに螺合するボルト53,53によって該ボンネット50に締結されて固定されている。詳細には、ボンネット側後方ブラケット54は、上面板54aと該上面板54aから前方下方側に向けて屈曲形成された前方垂直板54bと有しており、上面板54aが挟持スプリング55の底板55bと共にボルト53,53により締結されてボンネット50に対して固定されている。
【0030】
挟持スプリング55は、上記底板55bを挟んで前後に2枚の挟持板55a,55aを有しており、上記固定バー47を前後方向から弾性変形して挟むこと(図2参照)で嵌合し得るように構成されている。また、挟持スプリング55の左右両側の近傍には、上記ボンネット側後方ブラケット54の上面板54aに固着された円柱状の例えばゴム製からなる2個のクッション(振動吸収部材)57,57が配置されている。
【0031】
上記クッション57,57は、図2に示すように、挟持スプリング55が固定バー47に嵌合した位置で、上記ボンネット側後方ブラケット54の上面板54aを介してボンネット50と、上述のパネルカバー41の前端部41aとに密着する長さに形成されており、つまり機体12とボンネット50とに対して密着してボンネット50に伝播する振動を吸収する。また、クッション57,57は、挟持スプリング55が固定バー47に嵌合した位置、即ち挟持スプリング55と固定バー47との嵌合位置で、パネルカバー41の前端部41aに当接するので、固定バー47が挟持スプリング55の底板55b側まで入り込むことがなく、それらの嵌合位置合せを補助して、正確な位置合せを可能にする。
【0032】
また、上記クッション57,57は、図2に示すように、前方側が上記ボンネット側後方ブラケット54の前方垂直板54bに覆われており、それらクッション57,57とエンジン13及びマフラ16との間を遮蔽するように構成されている。つまり、前方垂直板54bによってエンジン13及びマフラ16からの熱を遮蔽して保護し、クッション57,57の劣化の防止が図られている。
【0033】
つづいて、ボンネット50の機体12に対する着脱動作(取付動作)について説明する。例えば機体12に対して取外されているボンネット50を該機体12に取付ける際には、まず、第1固定部61(ボンネット50の前方側(一端側))において、機体側ブラケット45の延設部45aの係合孔45bに、ボンネット側前方ブラケット51の突起部51aを位置合せして挿入する。その後、ボンネット50を後方側(一方側)の非係合位置から前方側(他方側)の係合位置に移動することで、突起部51aが延設部45aの下方側に摺動して係合し、これにより、ボンネット50が機体12に上下方向位置に対して固定される。
【0034】
また、ボンネット側前方ブラケット51の突起部51aを機体側ブラケット45の延設部45aの係合孔45bに挿入して係合すると同時に、ボンネット側前方ブラケット51の上板51bが幅規制ブラケット46の幅規制部46a,46aに当接して幅方向に規制される。これにより、ボンネット50が機体12に左右方向位置に対して固定される。
【0035】
続けて、第2固定部62(ボンネット50の後方側(他端側))において、ボンネット50を上記第1固定部61を支点として回動する形で、上方側(非嵌合位置)から下方側(嵌合位置)に移動させる。すると、上記挟持スプリング55が弾性変形しつつ上記固定バー47に嵌合し、これにより、ボンネット50が前後方向位置に対して固定されると共に、上下方向位置に対しても固定される。この際、上述したように、クッション57,57がパネルカバー41の前端部41aに当接するので、固定バー47が挟持スプリング55の底板55b側まで入り込むことなく、正確な嵌合位置に位置合せされる。
【0036】
なお、ボンネット50を機体12より取外す際は、上述した取付動作を逆に行うだけであり、ボンネット50の後方側を上方に移動し、第2固定部62において上記固定バー47から上記挟持スプリング55を取外し、第2固定部61において、機体側ブラケット45の延設部45aの係合孔45bから、ボンネット側前方ブラケット51の突起部51aを取外すだけである。
【0037】
以上説明したように本管理機1によると、第1固定部61における機体側ブラケット45に対するボンネット側前方ブラケット51の前後方向の位置合せと、第2固定部62における固定バー47に対する挟持スプリング55の上下移動及び嵌合動作だけで、機体12に対してボンネット50が上下・左右・前後方向に固定されるので、ボンネット50の着脱機構として磁石を用いることなく、かつ機体12に対するボンネット50の着脱を簡易にすることができる。
【0038】
また、機体側ブラケット45に有する係合孔45bに、ボンネット側前方ブラケット51に有する突起部51aを挿入して係合位置に位置合せする際に、幅規制ブラケット46に有する幅規制部46a,46aにボンネット側前方ブラケット51の左右方向が規制されるので、機体側ブラケット45にボンネット側前方ブラケット51を位置合せするだけで、機体12に対するボンネット50の左右方向位置を固定することができる。また、幅規制部46a,46aが、係合孔45b及び突起部51aと別の部位に配置されているので、係合孔45b及び突起部51aに応力が集中することを防止でき、第1固定部61としての耐久性向上を図ることができる。
【0039】
さらに、上記固定バー47に挟持スプリング55が嵌合された嵌合位置で、機体12とボンネット50とに対して密着するクッション57,57を備えているので、ボンネット50に生じる振動吸収を行うことができ、騒音発生の防止を図ることができる。また、固定バー47と挟持スプリング55との嵌合位置でクッション57,57が機体12とボンネット50とに密着するので、固定バー47と挟持スプリング55とを嵌合させる際に、嵌合位置でクッション57,57が機体12とボンネット50とに当接して位置合せを補助することができ、固定バー47と挟持スプリング55との正確な嵌合位置の位置合せを容易にすることができる。
【0040】
なお、以上説明した本実施の形態においては、第1固定部において、係合孔45bに突起部51aを挿入して係合させる際に、後方側から前方側に移動して係合させるものを説明したが、その反対であってもよく、つまり前方側から後方側(つまり一方側から他方側)に移動すると係合孔45bに突起部51aが係合して上下方向に固定されるように変更してもよい。この際、勿論であるが、幅規制ブラケット46の幅規制部46a,46aは、そのままボンネット側前方ブラケット51の左右方向位置を規制するように構成することが好ましい。
【0041】
また、本実施の形態においては、第1固定部において、幅規制ブラケット46によりボンネット側前方ブラケット51の左右方向位置を規制するものを説明したが、特に係合孔45bに突起部51aが幅方向にも嵌合して、幅方向に規制されるように構成しても構わない。
【0042】
さらに、本実施の形態においては、機体側ブラケット45(第1固定具及び第1係合具の一方)に係合孔45bを形成する共に該係合孔45bに挿入される突起部51aをボンネット側前方ブラケット(第1固定具及び第1係合具の他方)51に形成したものを説明したが、反対に、ボンネット側前方ブラケット51に係合孔を形成し、機体側ブラケット45に係合孔に挿入される突起部を形成してもよい。
【0043】
また、本実施の形態においては、ボンネット50の上下方向及び左右方向を固定する第1固定部がボンネット50の前方側で、ボンネット50の前後方向及び上下方向を固定する第2固定部がボンネット50の後方側であるものを説明したが、第1及び第2固定部が前後方向に対して逆であってもよい。
【0044】
また、本実施の形態においては、クッション57,57を挟持スプリング55の近傍においてボンネット側後方ブラケット54に固着したものを説明したが、クッション57,57を固定バー47の近傍においてパネルカバー41に固着して、ボンネット50の取付時にボンネット側後方ブラケット54に当接するように構成しても構わない。
【0045】
また、本実施の形態においては、挟持スプリング55が固定バー47を弾性変形して前後方向から挟持するものを説明したが、これに限らず、例えば機体12側から伸びる棒状部材の先端をボール状に形成し、当該ボール状部分に嵌合するような弾性部材をボンネット50に固定する構造などであってもよく、また反対に、ボンネット50側に固定バーを設けると共に機体12側に挟持スプリングを設けてもよく、つまり弾性変形する部材とそれに嵌合する部材とで前後方向及び上下方向が固定されるものであれば、第2固定部の構造としてどのようなものであってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 管理機
12 機体
45 第1固定具(機体側ブラケット)
45b 係合孔
46 第1固定具(幅規制ブラケット)
46a 幅規制部
47 第2固定具(固定バー)
50 ボンネット
51 第1係合具(ボンネット側前方ブラケット)
51a 突起部
51c 左右端部
55 第2係合具(挟持スプリング)
57 振動吸収部材(クッション)
61 第1固定部
62 第2固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の上部の少なくとも一部を覆うボンネットを備えた管理機において、
前記ボンネットの前後方向の一端側を前記機体に固定し得る第1固定部と、前記ボンネットの前後方向の他端側を前記機体に固定し得る第2固定部と、を備え、
前記第1固定部は、前記機体側に固定された第1固定具と、前記ボンネット側に固定され、前記第1固定具に係合し得る第1係合具と、を有し、前記第1固定具に対して前記第1係合具を前後方向の一方側の非係合位置から他方側の係合位置に位置合せされることで、前記機体に対する前記ボンネットの上下方向位置及び左右方向位置が固定されるように構成され、
前記第2固定部は、前記機体側に固定された第2固定具と、前記ボンネット側に固定され、弾性変形して前記第2固定具に嵌合し得る第2係合具と、を有し、前記第2固定具に対して前記第2係合具を上方側の非嵌合位置から下方側の嵌合位置に移動・嵌合されることで、前記機体に対する前記ボンネットの上下方向位置及び前後方向位置が固定されるように構成され、
前記第1固定部を前記係合位置に位置合せすると共に、前記第2固定部を前記嵌合位置に位置合せすることで、前記ボンネットを前記機体に対して着脱自在に取付し得る、
ことを特徴とする管理機。
【請求項2】
前記第1固定部は、前記第1固定具及び前記第1係合具の一方に係合孔を有すると共に、他方に前記係合孔に挿入される突起部を有し、
前記突起部が前記係合孔に挿入されて前記係合位置に位置合せされることで、前記突起部が前記係合孔に係合して、前記機体に対する前記ボンネットの上下方向位置が固定されるように構成され、
さらに、前記第1固定部は、前記第1固定具及び前記第1係合具の一方に他方の左右端部に当接する幅規制部を有し、
前記突起部が前記係合孔に挿入されて前記係合位置に位置合せされた際に、前記幅規制部が前記第1固定具及び前記第1係合具の他方の左右方向を規制することで、前記機体に対する前記ボンネットの左右方向位置が固定されるように構成された、
ことを特徴とする請求項1記載の管理機。
【請求項3】
前記第2固定具又は前記第2係合具の近傍に配設され、前記第2固定具に前記第2係合具が嵌合された前記嵌合位置で、前記機体と前記ボンネットとに対して密着する振動吸収部材を備えた、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の管理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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