説明

管理機

【課題】機体の進行方向を、操縦ハンドルの回動により容易に切り替え可能とし、さらに、機体進行方向の切り替えに応じて、容易に耕耘爪の設置向きを設定できる電動管理機を提供する。
【解決手段】機台4下部の前後に、周面に複数の耕耘爪11を植設した耕耘軸12からなるロータリー耕耘装置3および車軸14に設けた左右一対の車輪からなる走行輪9を備え、機台4上にはバッテリー6を積載するとともに、機台4の端部から上方に向けて操縦ハンドル10を延設し、バッテリー6の電力によりモータM1,M2を介してロータリー耕耘装置3および走行輪9を駆動し、モータM1,M2は、耕耘軸を駆動する耕耘軸駆動モータM1と、車軸14を駆動する車軸駆動モータM2とを配し、耕耘軸駆動モータM1は、耕耘軸12と一体構造とした耕耘駆動部2を形成し、耕耘駆動部2は、耕耘軸12の回転方向を変更させる回転方向変更手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機台下部の前後に、周面に複数の耕耘爪を植設した耕耘軸からなるロータリー耕耘装置および車軸に設けた左右一対の車輪からなる走行輪を備え、機台上にはバッテリーを積載するとともに、機台の端部から上方に向けて操縦ハンドルを延設し、バッテリーの電力によりモータを介してロータリー耕耘装置および走行輪を駆動する電動管理機に関し、より詳細には、モータは、耕耘軸を駆動する耕耘軸駆動モータと、前記車軸を駆動する車軸駆動モータとを配し、耕耘軸駆動モータは、耕耘軸と一体構造とした耕耘駆動部を形成し、耕耘駆動部は、耕耘軸の回転方向を変更させる回転方向変更手段を備える電動管理機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の管理機には、エンジンを駆動源としたもので、操縦ハンドルを機体に対して前後に回動させることにより、機体の進行方向および、フロントロータリー型とリアロータリー型とに切り替えるもの(例えば、特許文献1)がある。
また、機体に配設したバッテリーの電力により、1台のモータでロータリー耕耘装置の耕耘爪軸および走行輪の車軸を駆動させる、フロントロータリー型やリアロータリー型の電動管理機(例えば、特許文献2〜3)もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−254157号公報
【特許文献2】特開2001−169602号公報
【特許文献3】特開2008−167671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような管理機において、特許文献2〜3のような電動管理機の場合には、操縦ハンドルを機体前後に回動させるものがないため、容易に機体の進行方向を切り替えることができず、作業性が悪いという問題があった。一方、特許文献1のようなエンジン駆動による管理機では、操縦ハンドルを機体前後に回動させて機体の進行方向を前後方向に容易に切り替えることができるものの、ロータリー耕耘装置における複数の耕耘爪を植設した耕耘爪軸の回転方向を同一としている場合、機体進行方向の切り替えに伴い、圃場面に対して、耕耘爪を有する耕耘爪軸が正転(機体の進行方向と同じ方向に耕耘爪軸が回転)・逆転(機体の進行方向と逆方向に耕耘爪軸が回転)に切り替わる。そのため、耕耘爪は回転方向性を有することから、機体の進行方向切り替えの都度、正転逆転に応じた耕耘爪に付け替える必要があり、耕耘爪の付け替え作業が煩雑で作業性が悪いとともに、耕耘爪の付け替え忘れなどで耕耘爪の回転方向を誤って作業した場合に、機械の破損など不都合を生じることがあった。
そこで、この発明の目的は、機体の進行方向を、操縦ハンドルの回動により容易に切り替え可能とし、さらに、機体進行方向の切り替えに応じて、容易に耕耘爪の設置向きを設定できる電動管理機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、請求項1に記載の発明は、機台下部の前後に、周面に複数の耕耘爪を植設した耕耘軸からなるロータリー耕耘装置および車軸に設けた左右一対の車輪からなる走行輪を備え、前記機台上にはバッテリーを積載するとともに、前記機台の端部から上方に向けて操縦ハンドルを延設し、前記バッテリーの電力によりモータを介して前記ロータリー耕耘装置および走行輪を駆動する電動管理機において、前記モータは、前記耕耘軸を駆動する耕耘軸駆動モータと、前記車軸を駆動する車軸駆動モータとを配し、前記耕耘軸駆動モータは、前記耕耘軸と一体構造とした耕耘駆動部を形成し、前記耕耘駆動部は、前記耕耘軸の回転方向を変更させる回転方向変更手段を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動管理機において、前記回転方向変更手段は、前記耕耘駆動部を支持する支持軸の軸芯に対して、前記耕耘駆動部を回転自在に設置または前記耕耘駆動部を着脱自在に設置したことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電動管理機において、前記操縦ハンドルは、前記機体の前後方向に回動可能に設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の管理機において、前記バッテリーは、前記操縦ハンドルの回動に追従し、摺動板を介して前記機体前後方向に摺動可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、機台下部の前後に、周面に複数の耕耘爪を植設した耕耘軸からなるロータリー耕耘装置および車軸に設けた左右一対の車輪からなる走行輪を備え、機台上にはバッテリーを積載するとともに、機台の端部から上方に向けて操縦ハンドルを延設し、バッテリーの電力によりモータを介してロータリー耕耘装置および走行輪を駆動する電動管理機において、モータは、耕耘軸を駆動する耕耘軸駆動モータと、車軸を駆動する車軸駆動モータとを配し、耕耘軸駆動モータは、耕耘軸と一体構造とした耕耘駆動部を形成し、耕耘駆動部は、耕耘軸の回転方向を変更させる回転方向変更手段を備えるので、耕耘爪軸自身が同一の回転方向を有する耕耘爪軸を、機体進行方向の切り替えに伴い、その切り替えの都度、従来のような正転逆転に応じた耕耘爪に付け替える必要がなく、耕耘駆動部を簡単に操作するだけで耕耘爪軸の圃場面に対する回転方向を容易に変更でき、正転逆転に応じた耕耘爪の設置向きにすることができる。従って、作業性を向上させた電動管理機を提供することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、回転方向変更手段は、耕耘駆動部を支持する支持軸の軸芯に対して、耕耘駆動部を回転自在に設置または前記耕耘駆動部を着脱自在に設置したので、機体進行方向の切り替えに伴い、耕耘駆動部を回転または付け替える簡単に操作で耕耘爪軸の圃場面に対する回転方向を容易に変更でき、正転逆転に応じた耕耘爪の設置向きにすることができる。従って、作業性を向上させた電動管理機を提供することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、操縦ハンドルは、機体の前後方向に回動可能に設けたので、バッテリーを搭載した重量を有する電動コンバインにおいても、操縦ハンドルの回動操作により機体の進行方向と併せてフロントロータリー型またはリアロータリー型に容易に切り替えることができる。従って、作業性を向上させた電動管理機を提供することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、バッテリーは、操縦ハンドルの回動に追従し、摺動板を介して機体前後方向に摺動可能としたので、操縦ハンドルの回動操作により機体の進行方向と併せてフロントロータリー型またはリアロータリー型に切り替えた際、バッテリーの搭載位置を、両型に応じた走行作業する機体の最適な重心位置(フロントロータリー型であれば車軸近傍、リアロータリー型であれば機体中心近傍にそれぞれバッテリーの重心が位置)に移動することができる。従って、作業性を向上させた電動管理機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一例としての電動管理機(フロントロータ型)の全体側面図である。
【図2】電動管理機(フロントロータ型)を上方から見た全体斜視図である。
【図3】操縦ハンドルの回動により機体の進行方向の切替えと併せてリアロータ型とした電動管理機を上方から見た斜視図である。
【図4】操縦ハンドルの回動に伴うバッテリーの移動機構を示す、機体上部の正面模式図である。
【図5】機台上に設けた回転盤周辺の構造を示す背面模式図である。
【図6】耕耘駆動部(ミッションタイプ)の内部構造を示すロータリー耕耘装置の正面図である。
【図7】耕耘駆動部(ミッションタイプ)の斜視図である。
【図8】回転方向変更手段として、耕耘駆動部(ミッションタイプ)の回転を説明する図である。
【図9】耕耘駆動部(モーラタイプ)の斜視図である。
【図10】回転方向変更手段として、耕耘駆動部(モーラタイプ)の回転を説明する図である。である。
【図11】着脱式の耕耘駆動部(モーラタイプ)の斜視図である。
【図12】回転方向変更手段として、耕耘駆動部(モーラタイプ)の着脱を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は本発明の一例としての電動管理機(フロントロータ型)の全体側面図、図2は電動管理機(フロントロータ型)を上方から見た全体斜視図である。
【0015】
この電動管理機1は、図1〜2に示すように、機台5下部の前部には、後述する耕耘軸駆動モータM1を備える耕耘駆動部2を介して取付けられた、作業機としてのロータリー耕耘装置3を配置し、機台4下部の後部であって、ロータリー耕耘装置3の後方には、機台4下部の後部に取付けられた車軸ケース7を貫設するとともに、左右方向に突出し、車軸駆動モータM2を連係させた車軸14の左右端部に、走行車輪として左右一対の車輪9が配設される。
【0016】
また、機台4上には摺動板5を介してバッテリー6が積載されるとともに、この機台4の両側面における上部中央からは、機体の後方に向けて斜め上方に操縦ハンドル10が延設されている。
【0017】
ロータリー耕耘装置3は、耕耘駆動部2の先端部に、周面に複数の耕耘爪11を植設した、機体左右方向に長さを有する耕耘軸12から構成される。
【0018】
そして、耕耘軸駆動モータM1および車軸駆動モータM2は、バッテリー6に図示しない配線を介して接続されており、バッテリー6の電力で、一方では車軸駆動モータM2を駆動させ、車軸14の回転を介して車輪4により機体を走行させるとともに、他方では耕耘軸駆動モータM1を駆動させ、耕耘軸12の回転を介してロータリー耕耘装置3により圃場の耕耘作業を行うものである。
【0019】
なお、符号8はロータリー耕耘装置3を覆うカバー、符号16はゲージ輪である。
【0020】
本願発明の電動管理機1は、操縦ハンドル10によって機体の進行方向と併せてフロントロータ型およびリアロータ型に切替可能とするものである。図3は操縦ハンドルの回動により機体の進行方向の切替えと併せてリアロータ型とした電動管理機を上方から見た斜視図、図4は操縦ハンドルの回動に伴うバッテリーの移動機構を示す、機体上部の正面模式図である。
【0021】
図1〜2にも示したように、金属製の機台4の上部中央には枢軸21が貫設されており、該枢軸21の両端部が、機台4の両側面から側方に向けて突出し、この枢軸21の突出部分に操縦ハンドル10の基端部が取付けられる。なお、操縦ハンドル10は、図示しない周知の係止方法(例えば、操縦ハンドル10と、機台4との間に設けた係止具や、操縦ハンドル10と、枢軸21との間に形成したノッチおよび突起などの適宜方法)により、所定位置で固定されている。
【0022】
また、機台4上には、例えば、機台4の左右幅に略等しく前後長が短い摺動板5(金属製)が取付けられており、通常、摺動板5と、機台4とは、ボルトなどのストッパー22(図例では、摺動板5の前後端部に2箇所ずつ)で固定されおり、この摺動板5上にバッテリー6がボルト固定などにより取付けられている。
【0023】
上記機台4上におけるストッパー22による摺動板5の固定箇所は、バッテリー6を積載した摺動板5が、図1〜2に示すフロントロータリー型の機体の場合、バッテリー6が車輪9近傍(機体の重心が車軸14側に位置)および、図3に示すリアロータリー型の機体の場合、バッテリー6がロータリー耕耘装置3と車輪9の間(機体の重心が機体中心側に位置する)になる位置の機台4上面に、ストッパー22の図示しない穴部が形成されている。
【0024】
摺動板5は、例えば図4に示すように、機台4上との間に形成したレール23によって機台4上を機体前後方向に摺動可能とされる。このレール23は、例えば、摺動板5底面左右(限定しない、中央に1箇所であってもよい)の前後方向に亘って下方に突出形成した凸部24と、機台4上面左右の前後方向に亘って形成した、凸部24を嵌入可能とする溝部25とから構成される。
【0025】
このような構成にすることで、電動管理機1において、図1〜2に示すフロントロータリー型での機体の進行方向を、180度前後逆方向にするとともにリアロータリー型に切替えたい場合には、まず、前記係止方法による操縦ハンドル10の固定を解除し、操縦ハンドル10を、車輪9側からロータリー耕耘装置3側へ、枢軸21を中心として機体上方に円弧を描くように回動させる。
【0026】
そして、操縦ハンドル10が、図3に示すような任意の位置まで回動させたところで、上述の係止方法により操縦ハンドル10を固定する。その結果、電動管理機1は、その進行方向を、上記フロントロータ型とは反対の車輪9側としたリアロータリー型に容易に切替えることができる。
【0027】
また、機体がフロントロータリー型であった場合、機体の重心は車軸14側にあることから、摺動板5の車輪9側端部を機台4端部近傍に合わせた所定位置で両者をストッパー22で固定していたが、上述のように操縦ハンドル10の回動により、機体をリアロータリー型に切替えた際には、機体の重心が機体中心側に移動することから、ストッパー22を取外し、バッテリー6がロータリー耕耘装置3と車輪9の間になる位置の機台4上面の所定位置で、両者をストッパー22により固定する。
【0028】
このように、操縦ハンドル10の回動に伴い、機体をフロントロータリー型またはリアロータリー型に切替えた際、摺動板5を摺動させることで、それぞれに適した重心位置に変更し、操作性を良好な状態にすることができる。
【0029】
操縦ハンドル10の回動や、摺動板5の摺動方法は上記方法に限定されず、操縦ハンドル10の回動を機体水平方向とし、摺動板5は操縦ハンドル10の回動に連動して摺動させてもよい。図5は機台上に設けた回転盤周辺の構造を示す背面模式図である。
【0030】
この場合、この図5に示すように、例えば、機台4上面に、機体水平方向に回転自在とする回転盤31およびこの回転盤31上面には、中間板32を介して摺動板33を重畳し、これら回転盤31、中間板32および摺動板33の中心部を支柱34で貫設して機台4に固定する。なお、通常、回転盤31は機台4などに適宜設けた周知の図示しない固定具などで固定される。
【0031】
また、回転盤31が位置する支柱34の外周部分には、支柱34に対して支柱34の外周面を回転する回転部材35が取付けられており、この回転部材35により回転盤31だけが機体に対して水平方向に回転可能とされる。そして、この回転盤31の機体前後端部(例えば車輪9側)に操縦ハンドル10の基端部が取付けられている。
【0032】
また、摺動板33の上面には、上述同様に前記ストッパー22を備えるバッテリー6が載置固定されており、摺動板33の下面と、中間板32の上面との間には、前記レール23が上述同様に形成されている。
【0033】
このような構成により、電動管理機1において、フロントロータリー型での機体の進行方向を、180度前後逆方向にするとともにリアロータリー型に切替えたい場合には、ロック機構35を解除し、操縦ハンドル10により回転盤31を機体に対して水平方向に180度回転させて再びロック機構35で両者を固定することで、上述同様にその進行方向を、上記フロントロータ型とは反対の車輪9側としたリアロータリー型に容易に切替えてもよい。なお、この場合の機体重心位置の調整におけるバッテリー6の移動は、上述同様のため、その説明は省略する。
【0034】
本願の電動管理機1では、上述したように、操縦ハンドル10を回動させて機体の進行方向を容易に切り替えることができるが、ロータリー耕耘装置3における耕耘爪11を備える耕耘軸12は、圃場面に対して一定の方向で回転するため、このように機体の進行方向を切替える際、例えば、切替前のフロントロータリー型における機体進行方向では、耕耘爪11が圃場面に対して正回転(進行方向に対して耕耘爪11が空中から土中へ突入)であったのに対し、切替後のリアロータリー型における機体進行方向では、耕耘爪11が圃場面に対して逆回転(進行方向に対して耕耘爪11が土中から空中へ飛び出す)となり、そのまま逆回転の状態で作業すると耕耘爪11を破損させてしまう。
【0035】
そのため上記のような進行方向を切替えた場合、従来では、正回転用の耕耘爪11に付け替える必要があり、耕耘軸12に植設されている複数の耕耘爪11を1本1本付け替える作業は煩雑で、作業性を低下させていた。なお、耕耘爪11に回転方向性を有することは周知の事実であり、その説明は省略する。
【0036】
なお、上記問題の解決手段の1つとして、本願発明の電動管理機1では、ロータリー耕耘装置3の駆動源に耕耘軸駆動モータM1を用いるとともに、車輪9の駆動源として車軸駆動モータM2を用い、駆動源を分けて設置しており、耕耘軸駆動モータM1によりロータリー耕耘装置3の耕耘軸12を回転させているため、耕耘軸駆動モータM1を図示しないスイッチ等で逆回転させることもできる。
【0037】
ただし、耕耘軸駆動モータM1が、このようなモータ軸の正逆回転機能を有していない場合や、モータ軸を正逆回転できたとしても、故障や、人為ミスなどにより機能を果たさない場合もある。
【0038】
そこで、本願発明の電動管理機1では、耕耘駆動部2に回転方向変更手段を設けることで上記問題を解決したものである。図6は耕耘駆動部(ミッションタイプ)の内部構造を示すロータリー耕耘装置の正面図、図7は耕耘駆動部(ミッションタイプ)の斜視図、図8は回転方向変更手段として、耕耘駆動部(ミッションタイプ)の回転を説明する図である。
【0039】
まず、図6〜7に示すように、ロータリー耕耘装置3の耕耘駆動部2は、機台4の底面に上端部を固定した中空円筒形(限定しない)などの固定部材41の下端部に嵌入されている。
【0040】
この耕耘駆動部2は、バッテリー6に配線接続された電動モータである耕耘軸駆動モータM1およびそのモータ軸43を内設する中空円筒形(限定しない)の軸ケース44と、この軸ケース44下端部の、ベベルギア45,46を内設する伝動ケース47と、この伝動ケース47から機体左右方向に向けて貫設した複数の耕耘爪11を植設される耕耘軸12とから構成されるミッションタイプとすることができる。
【0041】
そして、モータ軸43の下端部は、ベベルギア45に接続されており、このベベルギア45に噛み合うベベルギア46に耕耘軸12を嵌設させることで、耕耘軸駆動モータM1の駆動により、これらモータ軸43およびベベルギア45,46を介して耕耘軸12が駆動され、耕耘爪11が回転する。
【0042】
この軸ケース44上端部(電動モータ42の内設位置近傍)の直径は、固定部材41下端部の直径よりわずかに小さく、軸ケース44上端部の外周面が、固定部材41下端部の内周面に接触し、軸ケース44を固定部材41の軸芯を中心に回転自在に嵌入可能とする構造とされる。
【0043】
また、フロントロータリー型における機体正面における、固定部材41下端部と、軸ケース44上端部との重装部分のそれぞれには、両者をボルト50などの締結具で固定可能とするボルト穴47,48が形成される。さらに、この軸ケース44側に形成したボルト穴48の背面に位置する軸ケース44にもボルト穴49が形成されている。
【0044】
従って、耕耘駆動部2の回転方向変更手段は、耕耘軸駆動モータM1およびモータ軸43を内設し、固定部材41の内周面に回転可能に嵌入する軸ケース44と、固定部材41および軸ケース44の固定具(両者に形成したボルト穴47,48,49およびボルト50)とからなる。
【0045】
ここで、上述したように、操縦ハンドル10を回動させて、例えばフロントロータリー型からリアロータリー型へ機体の進行方向を変更した際には、図7〜8に示すように、耕耘駆動部2のボルト50を取外し、耕耘軸12を備える軸ケース44を、固定部材41の軸芯を中心として左右方向に180度回転させ、固定部材41のボルト穴47と、軸ケース44のボルト穴49とが一致した位置で両者をボルト50締結する。
【0046】
このような構成にすることで、機体進行方向変更前におけるフロントロータリー型での耕耘軸12が、機体左側面視で反時計回りの回転方向であったのに対し、機体進行方向変更後におけるリアロータリー型での耕耘軸12は、耕耘駆動部2を回転させたことで、機体左側面視で時計回りの回転方向となる。
【0047】
つまり、リアロータリー型での機体の進行方向に対して、耕耘軸12が機体左側面視で時計回りの回転方向となるため、耕耘爪11は正回転(進行方向に対して耕耘爪11が空中から土中へ突入)となり、耕耘爪11を破損させることなく円滑に耕耘作業を行うことができる。なお、上述とは逆に、リアロータリー型からフロントロータリー型に機体の進行方向を切替える際にも上述同様の操作を行うため、説明を省略する。
【0048】
なお、上記耕耘駆動部2は、ミッションタイプに限定されない。図9は耕耘駆動部(モーラタイプ)の斜視図、図10は回転方向変更手段として、耕耘駆動部(モーラタイプ)の回転を説明する図、図11は着脱式の耕耘駆動部(モーラタイプ)の斜視図である。
【0049】
この場合、まず図9に示すように、上記軸ケース44と同様の回転ケース51下端部には、支持枠52を介して耕耘軸駆動モータM1を内設したモーターケース53が取付けられるとともに、このモーターケース53左右両側面からは、モータ軸54に連結した耕耘軸12が左右側方に向けて突出させたモーラタイプにしてもよい。なお、固定部材41に対する軸ケース51の回転機構(ボルトおよびボルト穴)は上述と同じ構成で同一の符号とされる。
【0050】
従って、耕耘駆動部2の回転方向変更手段は、この場合、耕耘軸駆動モータM1およびモータ軸43を内設したモーターケース53と、固定部材41の内周面に回転可能に嵌入する回転ケース51と、この回転ケース51およびモーターケース53を支持固定する支持枠52と、固定部材41および回転ケース53の固定具(両者に形成したボルト穴47,48,49およびボルト50)とからなる。
【0051】
このような構成により、上述同様に操縦ハンドル10を回動させて、例えばフロントロータリー型からリアロータリー型へ機体の進行方向を変更した際には、図9〜10に示すように、耕耘駆動部2のボルト50を取外し、耕耘軸12を備えるモーターケース53を、固定部材41の軸芯を中心として左右方向に180度回転させ、固定部材41のボルト穴47と、回転ケース51のボルト穴49とが一致した位置で両者をボルト50締結することでも、上述同様の効果を得ることができる。
【0052】
なお、上記モーラタイプにおける耕耘駆動部2の回転方向変更手段は、上述したモーターケース53の回転に限定されず、以下の構成にしてもよい。図11は着脱式の耕耘駆動部(モーラタイプ)の斜視図、図12は回転方向変更手段として、耕耘駆動部(モーラタイプ)の着脱を説明する図である。
【0053】
この場合、耕耘駆動部2の回転方向変更手段は、図11に示すように、機台4に不図示のステーなどを介して取付けた平面視略コ字形状の金属製の支持部材61と、上述同様にモーターケース53の左右両側面に下端部が固定され、上端部を側方水平に折曲した正面視略L字形状の金属製の取付部材62と、支持部材61の両端部および取付部材62の上端部水平面にそれぞれ形成したボルト穴63,64,65,66と、ボルト67,68とから構成される。
【0054】
従って、支持部材61のボルト穴63,64に取付部材62のボルト穴65,66の位置を合致させ、両者をボルト67,68締結することで、モーターケース53が取付部材62を介して支持部材61に固定されている。
【0055】
このような構成により、上述同様に操縦ハンドル10を回動させて、例えばフロントロータリー型からリアロータリー型へ機体の進行方向を変更した際には、図11〜12に示すように、回転方向変更手段のボルト67,68を取外して、支持部材61と取付部材62との固定を解除する。
【0056】
そして、耕耘軸12を備えるモーターケース53を左右方向に180度回転させ、再び支持部材61のボルト穴63,64に取付部材62のボルト穴65,66の位置を合致させ、両者をボルト67,68締結することで、モーターケース53が取付部材62を介して支持部材61に固定することでも、上述同様の効果を得ることができる。
【0057】
以上詳述したように、この例の電動管理機1は、機台4下部の前後に、周面に複数の耕耘爪11を植設した耕耘軸12からなるロータリー耕耘装置3および車軸14に設けた左右一対の車輪からなる走行輪9を備え、機台4上にはバッテリー6を積載するとともに、機台4の端部から上方に向けて操縦ハンドル10を延設し、バッテリー6の電力によりモータM1,M2を介してロータリー耕耘装置3および走行輪9を駆動し、モータM1,M2は、耕耘軸を駆動する耕耘軸駆動モータM1と、車軸14を駆動する車軸駆動モータM2とを配し、耕耘軸駆動モータM1は、耕耘軸12と一体構造とした耕耘駆動部2を形成し、耕耘駆動部2は、耕耘軸12の回転方向を変更させる回転方向変更手段を備えるものである。
【産業上の利用可能性】
【0058】
なお、この発明は、機体の進行方向を操縦ハンドルの回動操作などにより切替え可能とする、原動機としての電動式、エンジン式あるいは両者を備えるハイブリッド式などあらゆる管理機に適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 電動管理機
2 耕耘駆動部
3 ロータリー耕耘装置
4 機台
5 摺動板
6 バッテリー
10 操縦ハンドル
11 耕耘爪
12 耕耘軸
22 ストッパー
23 レール
24 凸部
25 溝部
41 固定部材
43 モータ軸
44 軸ケース
47,48,63,64,65,66 ボルト穴
50,67,68 ボルト
51 回転ケース
52 支持枠
61 支持部材
62 取付部材
M1 耕耘軸駆動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機台下部の前後に、周面に複数の耕耘爪を植設した耕耘軸からなるロータリー耕耘装置および車軸に設けた左右一対の車輪からなる走行輪を備え、
前記機台上にはバッテリーを積載するとともに、前記機台の端部から上方に向けて操縦ハンドルを延設し、
前記バッテリーの電力によりモータを介して前記ロータリー耕耘装置および走行輪を駆動する電動管理機において、
前記モータは、前記耕耘軸を駆動する耕耘軸駆動モータと、前記車軸を駆動する車軸駆動モータとを配し、
前記耕耘軸駆動モータは、前記耕耘軸と一体構造とした耕耘駆動部を形成し、
前記耕耘駆動部は、前記耕耘軸の回転方向を変更させる回転方向変更手段を備えることを特徴とする電動管理機。
【請求項2】
前記回転方向変更手段は、前記耕耘駆動部を支持する支持軸の軸芯に対して、前記耕耘駆動部を回転自在に設置または前記耕耘駆動部を着脱自在に設置したことを特徴とする、請求項1に記載の電動管理機。
【請求項3】
前記操縦ハンドルは、前記機体の前後方向に回動可能に設けたことを特徴とする、請求項1に記載の電動管理機。
【請求項4】
前記バッテリーは、前記操縦ハンドルの回動に追従し、摺動板を介して前記機体前後方向に摺動可能としたことを特徴とする、請求項1に記載の電動管理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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