管継手の離脱防止装置及びそれに用いられる押輪
【課題】押輪の連結部における特定部位のボルト挿通部の合理的な改造により、凹部の形成に悪影響を及ぼすことなく、且つ、短尺なボルトを使用しながら、押輪の各ボルト挿通部と受口管部の連結フランジとの固定連結作業を容易に行うことができるようにする。
【解決手段】受口管部の内周面と挿口管部の外周面との間に介装した弾性シール材を管軸芯方向から押圧して密封状態にまで圧縮可能な押輪Aの凹部に、挿口管部の外周面に喰い込み可能な複数個の抜止部材を設け、押輪Aの連結部における周方向複数箇所のボルト挿通部20A,20Bのうち、凹部に収納された抜止部材の隣接間の特定部位に対応するボルト挿通部20Aの管軸芯方向での厚みW1を、受口管部の連結フランジに対面する連結部20の一側面20bを共通基準にして他のボルト挿通部20Bの管軸芯方向での厚みW2よりも小に構成してある。
【解決手段】受口管部の内周面と挿口管部の外周面との間に介装した弾性シール材を管軸芯方向から押圧して密封状態にまで圧縮可能な押輪Aの凹部に、挿口管部の外周面に喰い込み可能な複数個の抜止部材を設け、押輪Aの連結部における周方向複数箇所のボルト挿通部20A,20Bのうち、凹部に収納された抜止部材の隣接間の特定部位に対応するボルト挿通部20Aの管軸芯方向での厚みW1を、受口管部の連結フランジに対面する連結部20の一側面20bを共通基準にして他のボルト挿通部20Bの管軸芯方向での厚みW2よりも小に構成してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受口管部に挿入接続された挿口管部に、前記受口管部の内周面と挿口管部の外周面との間を密封可能な弾性シール材と、該弾性シール材を管軸芯方向から押圧して密封状態にまで圧縮可能な押輪とを外装し、前記押輪の連結部と受口管部の連結フランジとを管軸芯方向から複数本のボルトで締付け固定する締結手段を設けるとともに、前記押輪に形成した径方向内方に向って開口する凹部には、前記挿口管部の外周面に喰い込み可能な複数個の抜止部材を設けてある管継手の離脱防止装置及びそれに用いられる押輪に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の管継手の離脱防止装置では、例えば、下記の特許文献1に示すように、前記押輪の凹部が、一つの抜止部材を収納可能な大きさで円周方向に間隔をおいて形成された複数の凹部から構成され、前記押輪の連結部は、複数の凹部の隣接間相当箇所の外周面に突出するボルト挿通孔を備えた半円形状又は半長円形状のボルト挿通部から構成されているとともに、前記各ボルト挿通部の管軸芯方向での厚みが、前記凹部形成箇所における管軸芯方向での厚み寸法と同じ寸法に統一構成されている。
【0003】
また、下記の特許文献2の場合では、前記押輪の凹部が、複数の抜止部材を収納可能な大きさで円周方向に間隔をおいて形成された二つの凹部から構成され、前記押輪の連結部は、外周面の円周方向の複数箇所に突出するボルト挿通孔を備えた半円又は半長円形状の連結凸部から構成されているとともに、前記各ボルト挿通部の管軸芯方向での厚みが、前記凹部形成箇所における管軸芯方向での厚み寸法より若干小なる寸法に統一構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−222279号公報
【特許文献2】特開2004−301212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の前者の離脱防止装置では、前記各ボルト挿通部の管軸芯方向での厚みが、抜止部材を収納してある凹部形成箇所の管軸芯方向での厚み寸法と同じ寸法に統一構成されているため、押輪の各ボルト挿通部と受口管部の連結フランジとにわたって締結手段のボルトを装着するとき、ボルトとしては、ボルト挿通部の管軸芯方向での厚み寸法と、連結フランジの管軸芯方向での厚み寸法と、締付け操作前の非圧縮状態の弾性シール材によって形成されるボルト挿通部と連結フランジとの対向面間の間隙寸法、及び、ナットの螺合代とを加えた長さのボルトが必要で、抜止部材を収納する凹部が形成されていない押輪が用いられる汎用形の離脱防止装置に比して規格外の長尺ボルトを用いる必要があり、製造コストの高騰化の要因の一つになっている。
【0006】
また、従来の後者の離脱防止装置では、前記各ボルト挿通部の管軸芯方向での厚みが、前記凹部形成箇所の管軸芯方向での厚み寸法より若干小なる寸法に統一構成されているものの、このボルト挿通部は凹部形成箇所よりも径方向外方に偏倚した部位で薄肉化され、しかも、前記ボルト挿通部に形成されるボルト挿通孔の周囲には、工具でボルトを締付け操作するための回転操作空間を確保する必要があるため、径方向で相対向する両ボルト挿通孔の中心間隔であるボルトピッチが大きくなり、押輪の大型化を招来し易い。
【0007】
そのため、この後者の離脱防止装置では、押輪の大型化を回避するために、前記ボルト挿通部に対応する押輪の外周面に、工具による回転操作空間を確保するための弧状凹部を窪み形成しているが、押輪の呼び径が小さくなると、押輪の凹部と窪み形成される弧状凹部とが干渉するため、呼び径の小さな押輪の場合には、前者の離脱防止装置と同様な構造が採用されている。
【0008】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、押輪の連結部における特定部位のボルト挿通部の合理的な改造により、前記凹部の形成に悪影響を及ぼすことなく、且つ、短尺なボルトを使用しながら、押輪の各ボルト挿通部と受口管部の連結フランジとの固定連結作業を容易に行うことのできる管継手の離脱防止装置及びそれに用いられる押輪を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による第1の特徴構成は、受口管部に挿入接続された挿口管部に、前記受口管部の内周面と挿口管部の外周面との間を密封可能な弾性シール材と、当該弾性シール材を管軸芯方向から押圧して密封状態にまで圧縮可能な押輪とを外装し、前記押輪の連結部と受口管部の連結フランジとを管軸芯方向から複数本のボルトで締付け固定する締結手段を設けるとともに、前記押輪に形成した径方向内方に向って開口する凹部には、前記挿口管部の外周面に喰い込み可能な複数個の抜止部材を設けてある管継手の離脱防止装置であって、
前記押輪の連結部における周方向複数箇所のボルト挿通部のうち、前記凹部に収納された抜止部材の隣接間の特定部位に対応するボルト挿通部の管軸芯方向での厚みを、前記受口管部の連結フランジに対面する前記連結部の一側面を共通基準にして他のボルト挿通部の管軸芯方向での厚みよりも小に構成してある点にある。
【0010】
上記構成によれば、前記押輪の凹部に収納された抜止部材の隣接間は、周方向で適宜長さの間隔を有し、かつ、ボルト挿通部の径方向内方側の基部と凹部との間に適宜長さの距離を確保することができるから、前記凹部に収納された抜止部材の隣接間の特定部位に対応するボルト挿通部の管軸芯方向での厚みを、前記受口管部の連結フランジに対面する前記連結部の一側面を共通基準にして他のボルト挿通部の管軸芯方向での厚みよりも小に構成しても、前記凹部の形成に悪影響を及ぼすことがない。
【0011】
それ故に、前記押輪の各ボルト挿通部と受口管部の連結フランジとを締結手段の複数本のボルトで締付け固定する際、第1段階目の締付け固定操作として、前記薄肉形成された特定部位のボルト挿通部と受口管部の連結フランジとにわたってボルトを装着し、このボルトの締付け固定操作に伴う受口管部と押輪との相対的な引き寄せ移動により、受口管部の内周面と挿口管部の外周面との間に介装された弾性シール材を管軸芯方向から押輪で圧縮する。
この状態では、前記弾性シール材の圧縮によってボルト挿通部と受口管部の連結フランジとの対向面間隔が狭くなっているため、第2段階目の締付け固定操作時において、特定部位以外のボルト挿通部と受口管部の連結フランジとを、特定部位のボルト挿通部で使用した同じ長さのボルトで締付け固定することができる。
【0012】
したがって、前記凹部に収納された抜止部材の隣接間の特定部位に対応するボルト挿通部の構造の特殊性を利用して、この特定部位のボルト挿通部の厚みを、他の部位のボルト挿通部の厚みよりも小さくするだけの合理的な改造により、前記凹部の形成に悪影響を及ぼすことなく、且つ、短尺なボルトを使用して押輪の各ボルト挿通部と受口管部の連結フランジとの固定連結作業を確実、容易に行うことができる。
【0013】
本発明による第2の特徴構成は、受口管部に挿入接続された挿口管部に、前記受口管部の内周面と挿口管部の外周面との間を密封可能な弾性シール材と、当該弾性シール材を管軸芯方向から押圧して密封状態にまで圧縮可能な押輪とを外装し、前記押輪の連結部と受口管部の連結フランジとを管軸芯方向から少なくとも4本のボルトで締付け固定する締結手段を設けるとともに、前記押輪に形成した径方向内方に向って開口する凹部には、前記挿口管部の外周面に喰い込み可能な少なくとも2個の抜止部材を設けてある管継手の離脱防止装置であって、
前記押輪の連結部における少なくとも4箇所のボルト挿通部のうち、前記凹部に収納された抜止部材の隣接間の特定部位において径方向で対をなす2箇所のボルト挿通部の管軸芯方向での厚みを、前記受口管部の連結フランジに対面する前記連結部の一側面を共通基準にして他のボルト挿通部の管軸芯方向での厚みよりも小に構成してある点にある。
【0014】
上記構成によれば、前記押輪の凹部に収納された抜止部材の隣接間は、周方向で適宜長さの間隔を有し、かつ、ボルト挿通部の径方向内方側の基部と凹部との間に適宜長さの距離を確保することができるから、前記凹部に収納された抜止部材の隣接間の特定部位において径方向で対をなす2箇所のボルト挿通部の管軸芯方向での厚みを、前記受口管部の連結フランジに対面する前記連結部の一側面を共通基準にして他のボルト挿通部の管軸芯方向での厚みよりも小に構成しても、前記凹部の形成に悪影響を及ぼすことがない。
【0015】
それ故に、前記押輪の各ボルト挿通部と受口管部の連結フランジとを締結手段の少なくとも4本のボルトで締付け固定する際、第1段階目の締付け固定操作として、前記薄肉形成された径方向で対をなす2箇所のボルト挿通部と受口管部の連結フランジとにわたってボルトを装着し、この2箇所でのボルトの締付け固定操作に伴う受口管部と押輪との相対的な引き寄せ移動により、受口管部の内周面と挿口管部の外周面との間に介装された弾性シール材を管軸芯方向から押輪で略均等に圧縮する。
この状態では、前記弾性シール材の圧縮によってボルト挿通部と受口管部の連結フランジとの対向面間隔が周方向で略均等に狭くなっているため、第2段階目の締付け固定操作時において、特定部位以外のボルト挿通部と受口管部の連結フランジとを、特定部位のボルト挿通部で使用した同じ長さのボルトで締付け固定することができる。
【0016】
したがって、前記凹部に収納された抜止部材の隣接間の特定部位に対応するボルト挿通部の構造の特殊性を利用して、この特定部位において径方向で対をなす2箇所のボルト挿通部の厚みを、他の部位のボルト挿通部の厚みよりも小さくするだけの合理的な改造により、前記凹部の形成に悪影響を及ぼすことなく、且つ、短尺なボルトを使用して押輪の各ボルト挿通部と受口管部の連結フランジとの固定連結作業を確実、容易に行うことができる。
【0017】
本発明による第3の特徴構成は、前記押輪の凹部のうち、前記小なる厚みに形成されたボルト挿通部に対応する前記抜止部材の隣接間には、前記抜止部材の周方向での移動を阻止する壁部が形成されている点にある。
【0018】
上記構成によれば、前記押輪の凹部に形成した壁部により、凹部に収納された抜止部材の円周方向での移動を阻止して、常に適切な位置で抜止部材を径方向内方に喰込み移動させることができる。
しかも、前記凹部の壁部が、小なる厚みに形成されたボルト挿通部に対応する前記抜止部材の隣接間に形成されているため、例えば、小なる厚みに形成されたボルト挿通部に形成されるボルト挿通孔の周囲に工具でボルトを締付け操作するための回転操作空間を確保するべく、この小なる厚みに形成されたボルト挿通部に対応する押輪の外周面に、ボルト操作用の弧状凹部を窪み形成しても、この弧状凹部と凹部との間に所定肉厚の区画壁部を確実に形成することができる。
【0019】
本発明による第4の特徴構成は、前記小なる厚みに形成されたボルト挿通部に対応する前記抜止部材の隣接間隔が、他の部位の抜止部材の隣接間隔よりも大に構成されている点にある。
【0020】
上記構成によれば、前記小なる厚みに形成されたボルト挿通部に対応する抜止部材の隣接間が、他の部位の抜止部材の隣接間隔よりも大に構成されている分だけ、小なる厚みに形成されたボルト挿通部の径方向内方側の基部と凹部との間に比較的大きな距離を確保することができるから、例えば、小なる厚みに形成されたボルト挿通部に形成されるボルト挿通孔の周囲に工具でボルトを締付け操作するための回転操作空間を確保するべく、この小なる厚みに形成されたボルト挿通部に対応する押輪の外周面に、ボルト操作用の弧状凹部を窪み形成しても、この弧状凹部と凹部との間に所定肉厚の区画壁部を容易に形成することができる。
【0021】
本発明による第5の特徴構成は、前記連結部の共通基準となる一側面には、前記締結手段のボルトによる締付け固定操作に連れて受口管部の連結フランジに管軸芯方向から当接する当接面が形成されている点にある。
【0022】
上記構成によれば、前記押輪の各ボルト挿通部と受口管部の連結フランジとを締結手段のボルトで締付け固定する際、前記連結部の共通基準となる一側面に形成した当接面が受口管部の連結フランジに管軸芯方向から当接するまで前記ボルトを締付け固定操作するだけでよく、弾性シール材を所定の密封状態に確実に圧縮操作しながらも締付け固定操作の簡便化を図ることができる。
【0023】
本発明による第6の特徴構成は、前記1〜5のいずれか一つの特徴構成を備えた管継手の離脱防止装置に用いられる前記押輪であって、前記ボルト挿通部の隣接間には、前記凹部に収納された抜止部材を径方向内方側に向って喰込み移動させる押圧ボルトが設けられている点にある。
【0024】
上記構成によれば、前記押輪の凹部に収納された抜止部材の隣接間は、周方向で適宜長さの間隔を有し、かつ、ボルト挿通部の径方向内方側の基部と凹部との間に適宜長さの距離を確保することができるから、前記凹部に収納された抜止部材の隣接間の特定部位に対応するボルト挿通部の管軸芯方向での厚みを、前記受口管部の連結フランジに対面する前記連結部の一側面を共通基準にして他のボルト挿通部の管軸芯方向での厚みよりも小に構成しても、前記凹部の形成に悪影響を及ぼすことがない。
【0025】
したがって、前記押輪の凹部に収納された抜止部材の隣接間の特定部位に対応するボルト挿通部の構造の特殊性を利用して、この特定部位のボルト挿通部の厚みを、他の部位のボルト挿通部の厚みよりも小さくするだけの合理的な改造により、前記凹部の形成に悪影響を及ぼすことなく、且つ、短尺なボルトを使用して押輪の各ボルト挿通部と受口管部の連結フランジとの固定連結作業を確実、容易に行うことができるとともに、前記ボルト挿通部の隣接間に設けた押圧ボルトによって、前記凹部に収納された抜止部材を径方向内方側に向って強力に喰込み移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本願発明の第1実施形態の管継手の離脱防止装置を示し、小なる厚みに形成されたボルト挿通部での縦断面図
【図2】管継手の離脱防止装置の大なる厚みに形成されたボルト挿通部での縦断面図
【図3】押輪の正面図
【図4】押輪の背面図
【図5】押輪の平面図
【図6】押輪の右側面図
【図7】図5のVII−VII線断面図
【図8】図3のVIII−VIII線端面図
【図9】図3のIX−IX線端面図
【図10】図3のX−X線端面図
【図11】小なる厚みに形成されたボルト挿通部での締付け固定前の縦断面図
【図12】大なる厚みに形成されたボルト挿通部での締付け固定前の縦断面図
【図13】本願発明の第2実施形態の管継手用離脱防止装置の押輪を示す正面図
【図14】押輪の背面図
【図15】押輪の平面図
【図16】押輪の右側面図
【図17】図15のXVII−XVII線断面図
【図18】本願発明の第3実施形態の管継手用離脱防止装置の押輪を示す正面図
【図19】押輪の平面図
【図20】押輪の横断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔第1実施形態〕
図1〜図12は、流体管(例えば、水道管やガス管等)の管継手の離脱防止装置を示し、一方の流体管の受口管部1に挿入接続された他方の流体管の挿口管部2に、前記受口管部1の内周面1aと挿口管部2の外周面2aとの間を密封可能な合成ゴム製の弾性シール材3と、当該弾性シール材3を管軸芯X方向から押圧して密封状態(水密状態)にまで圧縮可能な鋳鉄製の押輪Aとが外装されている。
【0028】
前記押輪Aの外周面の周方向複数箇所(当該実施形態では6箇所)に突出形成されたボルト挿通孔20aを有する半円形状又は半長円形状のボルト挿通部20A、20Bからなる連結部20と、前記受口管部1の外周面の端部に突出形成された円環状の連結フランジ1Aとにわたって、押輪Aと受口管部1とを管軸芯X方向から相対的に引き寄せながら締付け固定する締結手段4が設けられ、更に、前記受口管部1とそれに嵌合接続された挿口管部2との相対向する部位には、両管部1,2が管軸芯X方向に沿って相対離脱移動したとき、管軸芯X方向から互いに接当してそれ以上の離脱移動を阻止する離脱防止手段Bが設けられている。
【0029】
前記締結手段4は、受口管部1の連結フランジ1Aの周方向複数箇所(当該実施形態では6箇所)に形成されたボルト挿通孔1b、及び、押輪Aの周方向複数箇所のボルト挿通部20A、20Bのボルト挿通孔20aとのうち、管軸芯X方向で相対向するボルト挿通孔1b、20aに亘って挿入されるT字状のボルト4Aと、当該ボルト4Aの突出ネジ部に螺合されるナット4Bとから構成されている。
そして、前記ボルト4A・ナット4Bの締付け操作に伴う押輪Aと受口管部1との管軸芯X方向での相対近接移動により、押輪Aの管軸芯X方向の一側面に円環状に窪み形成されたシール押圧部21で弾性シール材3を圧縮変形させ、受口管部1の内周面1aと挿口管部2の外周面2aとの間を密封する。
【0030】
前記離脱防止手段Bを構成するに、図1、図2に示すように、受口管部1の内周面1aに形成された円環状の取付け溝10に、管軸芯X方向視において略Cの字状に形成された拡径側に弾性変形可能な金属製の係止部材11と、この係止部材11の拡径変形を許容する状態で当該係止部材11を受口管部1と同軸芯状態に保持する弾性保持リング12とを装着するとともに、前記挿口管部2の外周面の先端部には、地震や不等沈下等に起因して両管部1,2が一定以上に相対離脱移動したとき、前記係止部材11に対して管軸芯X方向から接当してそれ以上の両管部1,2の相対離脱移動を阻止する円環状の抜止め突起13が一体形成されている。
【0031】
前記押輪Aは、図1〜図4に示すように、挿口管部2の外径よりも少し大きな内径で円環状に形成され、この押輪Aの内周面には、径方向内方に向かって開口し、かつ、挿口管部2の外周面2aに対して径方向外方から喰い込み移動自在な複数個(当該実施形態では6個)の金属製の抜止め部材22を周方向に沿って収納配置可能な周溝状の凹部23が形成されている。
【0032】
前記押輪Aの外周面の6箇所に一体形成されるボルト挿通部20A、20Bのうち、前記凹部23に収納された抜止部材22の隣接間の特定部位において径方向で対をなす2箇所のボルト挿通部20Aの管軸芯方向での厚み(ボルト挿通部20Aの一側面20bから他側面20cまでの厚み)W1が、前記受口管部1の連結フランジ1Aに対面する前記連結部20の一側面20bを共通基準にして他の4箇所のボルト挿通部(以下、特定部位以外のボルト挿通部と記載する)20Bの管軸芯X方向での厚み(ボルト挿通部20Bの一側面20bから他側面20dまでの厚み)W2よりも小に構成されている。
詳述すると、前記特定部位の両ボルト挿通部20Aの管軸芯方向での厚みW1は、他のボルト挿通部20Bにおける共通基準側の一側面20bから凹部23の管軸芯X方向中間位置に至る寸法で薄肉に構成されている。
【0033】
そのため、図11、図12に示すように、前記挿口管部2に外装された非圧縮状態にある弾性シール材3の一端部を受口管部1の内周面1aに当て付け、且つ、押輪Aのシール押圧部21を非圧縮状態にある弾性シール材3の他端部に当て付けた締め付け操作前において、前記受口管部1の連結フランジ1Aの背面となる他側面1dから特定部位のボルト挿通部20Aの他側面20cまでのボルト挿通間隔L1が、連結フランジ1Aの他側面1dから特定部位以外のボルト挿通部20Bの他側面20cまでのボルト挿通間隔L2よりも短くなる。
【0034】
図12の場合では、特定部位の両ボルト挿通部20Aと受口管部1の連結フランジ1Aとを締付け固定するボルト4Aと同じものを使用しても、押輪Aの特定部位以外のボルト挿通部20Bのボルト挿通孔20aとこれに管軸芯X方向で相対向する受口管部1の連結フランジ1Aのボルト挿通孔1bとにわたって挿通されたボルト4Aのネジ部先端が突出しない又は突出量が極めて小さくなり、ナット4Bを螺合操作することができない。
【0035】
そこで、前記押輪Aの各ボルト挿通部20A,20Bと受口管部1の連結フランジ1Aとを締結手段4の6本のボルト4A・ナット4Bで締付け固定する際、第1段階目の締付け固定操作として、図11、図1に示すように、前記薄肉形成された径方向で対をなす特定部位の両ボルト挿通部20Aのボルト挿通孔20aと受口管部1の連結フランジ1Aのボルト挿通孔1bとにわたってボルト4Aを装着し、この2箇所でのボルト4A・ナット4Bの締付け固定操作に伴う受口管部1と押輪Aとの相対的な引き寄せ移動により、受口管部1の内周面1aと挿口管部2の外周面2aとの間に介装された弾性シール材3を管軸芯X方向から押輪Aで略均等に圧縮する。
【0036】
この状態では、前記弾性シール材3の圧縮変形によってボルト挿通部20A,20Bと受口管部1の連結フランジ1Aとの対向面間隔が周方向で略均等に狭くなっているため、第2段階目の締付け固定操作時において、図2に示すように、特定部位以外のボルト挿通部20Bと受口管部1の連結フランジ1Aとを、特定部位のボルト挿通部20Aで使用した同じ長さのボルト4Aで締付け固定することができる。
【0037】
図7に示すように、前記小なる厚みに形成された特定部位の両ボルト挿通部20Aに対応する前記抜止部材22の隣接間隔W3は、他の部位の抜止部材22の隣接間隔W4よりも大で、且つ、特定部位のボルト挿通部20Aにおける周方向での最大幅W6よりも大に構成されているとともに、前記押輪Aの凹部23のうち、前記特定部位の両ボルト挿通部20Aに対応する前記抜止部材22の隣接間には、前記抜止部材22の周方向での移動を阻止する仕切り用の壁部24が一体形成されている。
この仕切り用の壁部24によって区画形成された二つの凹部23は、3個の抜止部材22を周方向に沿って収納可能な周方向長さで左右対称形に構成されている。
【0038】
前記仕切り用の両壁部24の周方向幅W5は、特定部位のボルト挿通部20Aにおけるボルト挿通中心線を通る周方向幅よりも少し小なる寸法で、かつ、特定部位以外の抜止部材22の隣接間隔W4の2倍強の寸法に構成されている。
【0039】
前記仕切り用の両壁部24に対応する押輪Aの外周面で、且つ、小なる厚みに形成された特定部位の両ボルト挿通部20Aの他側面20cに対応する部位には、特定部位のボルト挿通部20Aに形成されるボルト挿通孔2aの周囲に回転操作工具でボルト4A・ナット4Bを締付け操作するための回転操作空間を確保するための弧状凹部25が窪み形成されているとともに、この弧状凹部25の底部には、仕切り用の両壁部24に対して他側面20c側から径方向に沿って窪む略U字状の縦溝部26が形成されている。
【0040】
図7に示すように、前記押輪Aの凹部23内で、前記仕切り用の両壁部24とこれに周方向で対面する抜止部材22の一端部との間及び前記抜止部材22の隣接端部間の各々には、各抜止め部材22の周方向での配置間隔を設定配置間隔に規制する状態で径方向内方への抜け落ちを防止する合成ゴム製の弾性体27が圧縮状態で介在されている。
【0041】
前記押輪Aのボルト挿通部20A,20Bの周方向の隣接間で、且つ、前記凹部23に収納された各抜止部材22の周方向中央位置に対応する部位には、径方向に貫通するネジ孔28が形成され、各ネジ孔28には、各抜止部材22を径方向内方側に向って喰込み移動させる押圧ボルト29が設けられている。
【0042】
尚、前記押輪Aの各ボルト挿通部20A,20Bと受口管部1の連結フランジ1Aとを締結手段4のボルト4A・ナット4Bで締付け固定する場合には、前記各抜止部材22を挿口管部2の外周面2aから径方向外方側に離間させた非喰込み状態に維持し、前記締結手段4のボルト4A・ナット4Bによる締付け固定が完了したのち、前記押圧ボルト29を径方向内方側に向って押し込み操作して、前記各抜止部材22を挿口管部2の外周面2aに喰い込ませる。
【0043】
そして、前記押輪Aの凹部23に形成した仕切り用の両壁部24により、凹部23に収納された抜止部材22の円周方向での移動を阻止して、当該抜止部材22と押圧ボルト29との当接位置を常に適切な位置に維持し、流体圧(水圧)による受口管部1と挿口管部2との相対離脱移動に連れて抜止部材22を径方向内方に確実に喰込み移動させることができる。
【0044】
しかも、前記凹部23の仕切り用の壁部24が、小なる厚みに形成された特定部位のボルト挿通部20Aに対応する前記抜止部材22の隣接間に形成され、さらに、この特定部位のボルト挿通部20Aに対応する抜止部材22の隣接間が、他の部位の抜止部材22の隣接間隔よりも大に構成されている分だけ、小なる厚みに形成されたボルト挿通部20Aの径方向内方側の基部と凹部23との間に比較的大きな距離を確保することができるから、特定部位のボルト挿通部20Aの他側面20cに対応する押輪Aの外周面に、回転操作工具でボルト4A・ナット4Bを操作するための回転操作空間を確保する弧状凹部25を窪み形成しても、この弧状凹部25と凹部23との間に所定肉厚の区画壁部を確実、容易に形成することができる。
【0045】
図9、図10に示すように、前記各抜止部材22の管軸芯方向での幅は、凹部23内において管軸芯X方向に傾動可能な径方向内方窄まりの細幅に形成されているとともに、前記各抜止部材22の径方向外方側の外側面22aは、横断面視において偏平弧状面に形成され、各抜止部材22の径方向内方側の内側面の管軸芯X方向両端部には、周方向で連続する三角突条の喰込み突起22bが一体形成されている。
【0046】
前記押輪Aのボルト挿通部20A,20Bの一側面20bにおける径方向外方側に偏倚した部位には、前記締結手段4のボルト4A・ナット4Bによる締付け固定操作に連れて受口管部1の連結フランジ1Aの一側面1cに管軸芯X方向から当接する当接面30が突出形成されている。
【0047】
〔第2実施形態〕
上述の第1実施形態では、前記押輪Aの各ボルト挿通部20A,20Bと受口管部1の連結フランジ1Aとを6本のボルト4A・ナット4Bで締付け固定する管継手の離脱防止装置及び押輪について説明したが、図13〜図17に示すように、前記押輪Aの各ボルト挿通部20A,20Bと受口管部1の連結フランジ1Aとを4本のボルト4A・ナット4Bで締付け固定する管継手の離脱防止装置及び押輪に本発明の技術を適用してもよい。
【0048】
この第2実施形態の押輪Aは、図17に示すように、挿口管部2の外径よりも少し大きな内径で円環状に形成され、この押輪Aの内周面には、径方向内方に向かって開口し、かつ、挿口管部2の外周面2aに対して径方向外方から喰い込み移動自在な2個の金属製の抜止め部材22を周方向に沿って収納配置可能な周溝状の凹部23が形成されている。
【0049】
前記押輪Aの外周面の4箇所に一体形成されるボルト挿通部20A、20Bのうち、前記凹部23に収納された両抜止部材22の隣接間において径方向で対をなす2箇所のボルト挿通部20Aの管軸芯方向での厚み(ボルト挿通部20Aの一側面20bから他側面20cまでの厚み)W1が、前記受口管部1の連結フランジ1Aに対面する連結部20の一側面20bを共通基準にして他の2箇所のボルト挿通部20Bの管軸芯X方向での厚み(ボルト挿通部20Bの一側面20bから他側面20dまでの厚み)W2よりも小に構成されている。
【0050】
前記小なる厚みに形成された特定部位の両ボルト挿通部20Aに対応する前記抜止部材22の隣接間隔が、特定部位のボルト挿通部20Aにおける周方向での最大幅W6よりも大に構成されているとともに、前記押輪Aの凹部23のうち、特定部位の両ボルト挿通部20Aに対応する抜止部材22の隣接間には、前記抜止部材22の周方向での移動を阻止する仕切り用の壁部24が一体形成されている。
この仕切り用の壁部24によって区画形成された二つの凹部23は、1個の抜止部材22を収納可能な周方向長さで左右対称形に構成されている。
【0051】
図17に示すように、前記押輪Aのボルト挿通部20A,20Bの隣接間で、且つ、前記凹部23に収納された各抜止部材22の周方向両端部に対応する部位には、径方向に貫通するネジ孔28が形成され、各ネジ孔28には、前記各抜止部材22を周方向端部を径方向内方側に向って喰込み移動させる押圧ボルト29が設けられている。
【0052】
尚、第1実施形態の図3のVIII−VIII線端面図、IX−IX線端面図、X−X線端面図に相当する第2実施形態の断面形状は、押輪Aの内径が小さくなるものの第1実施形態の図8〜図10に示した断面形状と実質的に同一に構成されている。
また、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0053】
〔第3実施形態〕
上述の第1実施形態では、前記押輪Aの各ボルト挿通部20A,20Bと受口管部1の連結フランジ1Aとを6本のボルト4A・ナット4Bで締付け固定する管継手の離脱防止装置及び押輪について説明したが、図18〜図20に示すように、前記押輪Aの各ボルト挿通部20A,20Bと受口管部1の連結フランジ1Aとを8本のボルト4A・ナット4Bで締付け固定する管継手の離脱防止装置及び押輪に本発明の技術を適用してもよい。
【0054】
この第3実施形態の押輪Aは、図20に示すように、挿口管部2の外径よりも少し大きな内径で円環状に形成され、この押輪Aの内周面には、径方向内方に向かって開口し、かつ、挿口管部2の外周面2aに対して径方向外方から喰い込み移動自在な8個の金属製の抜止め部材22を周方向に沿って収納配置可能な周溝状の凹部23が形成されている。
【0055】
前記押輪Aの外周面の8箇所に一体形成されるボルト挿通部20A、20Bのうち、前記凹部23に収納された両抜止部材22の隣接間において径方向で対をなす2箇所のボルト挿通部(以下、特定部位のボルト挿通部と記載する)20Aの管軸芯方向での厚み(ボルト挿通部20Aの一側面20bから他側面20cまでの厚み)W1が、前記受口管部1の連結フランジ1Aに対面する連結部20の一側面20bを共通基準にして他の6箇所のボルト挿通部20Bの管軸芯X方向での厚み(ボルト挿通部20Bの一側面20bから他側面20dまでの厚み)W2よりも小に構成されている。
【0056】
前記小なる厚みに形成された特定部位の両ボルト挿通部20Aに対応する前記抜止部材22の隣接間隔が、他の部位の抜止部材22の隣接間隔よりも大で、且つ、特定部位のボルト挿通部20Aにおける周方向での最大幅W6と略同一又はそれよりも大に構成されているとともに、前記押輪Aの凹部23のうち、前記特定部位の両ボルト挿通部20Aに対応する前記抜止部材22の隣接間には、前記抜止部材22の周方向での移動を阻止する仕切り用の壁部24が一体形成されている。
この仕切り用の壁部24によって区画形成された二つの凹部23は、4個の抜止部材22を周方向に沿って収納可能な周方向長さで左右対称形に構成されている。
【0057】
図17に示すように、前記押輪Aのボルト挿通部20A,20Bの隣接間で、且つ、前記凹部23に収納された各抜止部材22の周方向中央部に対応する部位には、径方向に貫通するネジ孔28が形成され、各ネジ孔28には、前記各抜止部材22を周方向中央部を径方向内方側に向って喰込み移動させる押圧ボルト29が設けられている。
【0058】
尚、第1実施形態の図3のVIII−VIII線端面図、IX−IX線端面図、X−X線端面図に相当する第3実施形態の断面形状は、押輪Aの内径が大きくなるものの第1実施形態の図8〜図10に示した断面形状と実質的に同一に構成されている。
この第3実施形態では、前記仕切り用の両壁部24に対応する押輪Aの外周面で、且つ、小なる厚みに形成された特定部位の両ボルト挿通部20Aの他側面20cに対応する部位に、特定部位のボルト挿通部20Aに形成されるボルト挿通孔2aの周囲に回転操作工具でボルト4A・ナット4Bを締付け操作するための回転操作空間を確保するための弧状凹部25が窪み形成されているが、第1実施形態で説明した弧状凹部25の底部に連通する略U字状の縦溝部26は形成されていない。
また、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0059】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の実施形態では、前記押輪Aが円環状に一体成形されている場合について説明したが、この押輪Aとしては周方向で複数に分割されているものであってもよい。
【0060】
(2)上述の実施形態では、前記押輪Aと受口管部1とを管軸芯X方向から相対的に引き寄せながら締付け固定する締結手段4を、ボルト4A・ナット4Bとから構成したが、前記受口管部1にネジ孔が形成されている場合には、このネジ孔と六角頭のボルト4Aから構成してもよい。
【0061】
(3)上述の実施形態では、前記押輪Aの凹部23のうち、特定部位の両ボルト挿通部20Aに対応する抜止部材22の隣接間に、前記抜止部材22の周方向での移動を阻止する仕切り用の壁部24を一体形成したが、このような仕切り用の壁部24を省略して、前記凹部23を円環状に構成してもよい。
【0062】
(4)上述の実施形態では、前記押輪Aの連結部20を、周方向複数箇所に突出形成されたボルト挿通孔20aを有する半円形状又は半長円形状のボルト挿通部20A、20Bから構成したが、周方向で円環状に連続する連結フランジから構成してもよい。
この連結フランジの場合は、それの周方向複数箇所にボルト挿通孔20aを有するボルト挿通部20A、20Bを形成し、そのうち、前記押輪Aの凹部23に収納された両抜止部材22の隣接間の特定部位において径方向で対をなす2箇所のボルト挿通部20Aの管軸芯方向での厚みW1を、受口管部1の連結フランジ1Aに対面する連結部20の一側面20bを共通基準にして他の箇所のボルト挿通部20Bの管軸芯X方向での厚みW2よりも小に構成する。
そのため、連結フランジの場合では、特定部位のボルト挿通部20Aの他側面20c側が窪み形成される。
また、特定部位のボルト挿通部20Aとしては、ナット4B又はボルト4Bの六角頭部が当接する座面と、ナット4B又はボルト4Bの六角頭部を回転操作工具で操作するための回転操作空間(回転操作領域)とを少なくとも確保することのできる面積に構成する。
【0063】
(5)上述の実施形態では、前記ボルト挿通部20A、20Bの隣接間に、前記凹部23に収納された抜止部材22を径方向内方側に向って喰込み移動させる押圧ボルト29を設けたが、このような押圧ボルト29を省略するとともに、前記凹部23の内周面を、前記受口管部1の連結フランジ1Aから遠ざかる側ほど小径となる傾斜面に形成し、さらに、前記抜止部材22の外側面も、前記凹部23の内周面と摺接可能な傾斜面に形成して、受口管部1と挿口管部2との相対離脱移動に連れて抜止部材22を径方向内方に喰込み移動させるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0064】
A 押輪
X 管軸芯
W1 ボルト挿通部の厚み
W2 ボルト挿通部の厚み
1 受口管部
1a 内周面
2 挿口管部
2a 外周面
3 弾性シール材
4 締結手段
4A ボルト
20 連結部
20A ボルト挿通部
20B ボルト挿通部
20a ボルト挿通孔
20b 一側面
22 抜止部材
23 凹部
24 壁部
29 押圧ボルト
30 当接面
【技術分野】
【0001】
本発明は、受口管部に挿入接続された挿口管部に、前記受口管部の内周面と挿口管部の外周面との間を密封可能な弾性シール材と、該弾性シール材を管軸芯方向から押圧して密封状態にまで圧縮可能な押輪とを外装し、前記押輪の連結部と受口管部の連結フランジとを管軸芯方向から複数本のボルトで締付け固定する締結手段を設けるとともに、前記押輪に形成した径方向内方に向って開口する凹部には、前記挿口管部の外周面に喰い込み可能な複数個の抜止部材を設けてある管継手の離脱防止装置及びそれに用いられる押輪に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の管継手の離脱防止装置では、例えば、下記の特許文献1に示すように、前記押輪の凹部が、一つの抜止部材を収納可能な大きさで円周方向に間隔をおいて形成された複数の凹部から構成され、前記押輪の連結部は、複数の凹部の隣接間相当箇所の外周面に突出するボルト挿通孔を備えた半円形状又は半長円形状のボルト挿通部から構成されているとともに、前記各ボルト挿通部の管軸芯方向での厚みが、前記凹部形成箇所における管軸芯方向での厚み寸法と同じ寸法に統一構成されている。
【0003】
また、下記の特許文献2の場合では、前記押輪の凹部が、複数の抜止部材を収納可能な大きさで円周方向に間隔をおいて形成された二つの凹部から構成され、前記押輪の連結部は、外周面の円周方向の複数箇所に突出するボルト挿通孔を備えた半円又は半長円形状の連結凸部から構成されているとともに、前記各ボルト挿通部の管軸芯方向での厚みが、前記凹部形成箇所における管軸芯方向での厚み寸法より若干小なる寸法に統一構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−222279号公報
【特許文献2】特開2004−301212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の前者の離脱防止装置では、前記各ボルト挿通部の管軸芯方向での厚みが、抜止部材を収納してある凹部形成箇所の管軸芯方向での厚み寸法と同じ寸法に統一構成されているため、押輪の各ボルト挿通部と受口管部の連結フランジとにわたって締結手段のボルトを装着するとき、ボルトとしては、ボルト挿通部の管軸芯方向での厚み寸法と、連結フランジの管軸芯方向での厚み寸法と、締付け操作前の非圧縮状態の弾性シール材によって形成されるボルト挿通部と連結フランジとの対向面間の間隙寸法、及び、ナットの螺合代とを加えた長さのボルトが必要で、抜止部材を収納する凹部が形成されていない押輪が用いられる汎用形の離脱防止装置に比して規格外の長尺ボルトを用いる必要があり、製造コストの高騰化の要因の一つになっている。
【0006】
また、従来の後者の離脱防止装置では、前記各ボルト挿通部の管軸芯方向での厚みが、前記凹部形成箇所の管軸芯方向での厚み寸法より若干小なる寸法に統一構成されているものの、このボルト挿通部は凹部形成箇所よりも径方向外方に偏倚した部位で薄肉化され、しかも、前記ボルト挿通部に形成されるボルト挿通孔の周囲には、工具でボルトを締付け操作するための回転操作空間を確保する必要があるため、径方向で相対向する両ボルト挿通孔の中心間隔であるボルトピッチが大きくなり、押輪の大型化を招来し易い。
【0007】
そのため、この後者の離脱防止装置では、押輪の大型化を回避するために、前記ボルト挿通部に対応する押輪の外周面に、工具による回転操作空間を確保するための弧状凹部を窪み形成しているが、押輪の呼び径が小さくなると、押輪の凹部と窪み形成される弧状凹部とが干渉するため、呼び径の小さな押輪の場合には、前者の離脱防止装置と同様な構造が採用されている。
【0008】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、押輪の連結部における特定部位のボルト挿通部の合理的な改造により、前記凹部の形成に悪影響を及ぼすことなく、且つ、短尺なボルトを使用しながら、押輪の各ボルト挿通部と受口管部の連結フランジとの固定連結作業を容易に行うことのできる管継手の離脱防止装置及びそれに用いられる押輪を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による第1の特徴構成は、受口管部に挿入接続された挿口管部に、前記受口管部の内周面と挿口管部の外周面との間を密封可能な弾性シール材と、当該弾性シール材を管軸芯方向から押圧して密封状態にまで圧縮可能な押輪とを外装し、前記押輪の連結部と受口管部の連結フランジとを管軸芯方向から複数本のボルトで締付け固定する締結手段を設けるとともに、前記押輪に形成した径方向内方に向って開口する凹部には、前記挿口管部の外周面に喰い込み可能な複数個の抜止部材を設けてある管継手の離脱防止装置であって、
前記押輪の連結部における周方向複数箇所のボルト挿通部のうち、前記凹部に収納された抜止部材の隣接間の特定部位に対応するボルト挿通部の管軸芯方向での厚みを、前記受口管部の連結フランジに対面する前記連結部の一側面を共通基準にして他のボルト挿通部の管軸芯方向での厚みよりも小に構成してある点にある。
【0010】
上記構成によれば、前記押輪の凹部に収納された抜止部材の隣接間は、周方向で適宜長さの間隔を有し、かつ、ボルト挿通部の径方向内方側の基部と凹部との間に適宜長さの距離を確保することができるから、前記凹部に収納された抜止部材の隣接間の特定部位に対応するボルト挿通部の管軸芯方向での厚みを、前記受口管部の連結フランジに対面する前記連結部の一側面を共通基準にして他のボルト挿通部の管軸芯方向での厚みよりも小に構成しても、前記凹部の形成に悪影響を及ぼすことがない。
【0011】
それ故に、前記押輪の各ボルト挿通部と受口管部の連結フランジとを締結手段の複数本のボルトで締付け固定する際、第1段階目の締付け固定操作として、前記薄肉形成された特定部位のボルト挿通部と受口管部の連結フランジとにわたってボルトを装着し、このボルトの締付け固定操作に伴う受口管部と押輪との相対的な引き寄せ移動により、受口管部の内周面と挿口管部の外周面との間に介装された弾性シール材を管軸芯方向から押輪で圧縮する。
この状態では、前記弾性シール材の圧縮によってボルト挿通部と受口管部の連結フランジとの対向面間隔が狭くなっているため、第2段階目の締付け固定操作時において、特定部位以外のボルト挿通部と受口管部の連結フランジとを、特定部位のボルト挿通部で使用した同じ長さのボルトで締付け固定することができる。
【0012】
したがって、前記凹部に収納された抜止部材の隣接間の特定部位に対応するボルト挿通部の構造の特殊性を利用して、この特定部位のボルト挿通部の厚みを、他の部位のボルト挿通部の厚みよりも小さくするだけの合理的な改造により、前記凹部の形成に悪影響を及ぼすことなく、且つ、短尺なボルトを使用して押輪の各ボルト挿通部と受口管部の連結フランジとの固定連結作業を確実、容易に行うことができる。
【0013】
本発明による第2の特徴構成は、受口管部に挿入接続された挿口管部に、前記受口管部の内周面と挿口管部の外周面との間を密封可能な弾性シール材と、当該弾性シール材を管軸芯方向から押圧して密封状態にまで圧縮可能な押輪とを外装し、前記押輪の連結部と受口管部の連結フランジとを管軸芯方向から少なくとも4本のボルトで締付け固定する締結手段を設けるとともに、前記押輪に形成した径方向内方に向って開口する凹部には、前記挿口管部の外周面に喰い込み可能な少なくとも2個の抜止部材を設けてある管継手の離脱防止装置であって、
前記押輪の連結部における少なくとも4箇所のボルト挿通部のうち、前記凹部に収納された抜止部材の隣接間の特定部位において径方向で対をなす2箇所のボルト挿通部の管軸芯方向での厚みを、前記受口管部の連結フランジに対面する前記連結部の一側面を共通基準にして他のボルト挿通部の管軸芯方向での厚みよりも小に構成してある点にある。
【0014】
上記構成によれば、前記押輪の凹部に収納された抜止部材の隣接間は、周方向で適宜長さの間隔を有し、かつ、ボルト挿通部の径方向内方側の基部と凹部との間に適宜長さの距離を確保することができるから、前記凹部に収納された抜止部材の隣接間の特定部位において径方向で対をなす2箇所のボルト挿通部の管軸芯方向での厚みを、前記受口管部の連結フランジに対面する前記連結部の一側面を共通基準にして他のボルト挿通部の管軸芯方向での厚みよりも小に構成しても、前記凹部の形成に悪影響を及ぼすことがない。
【0015】
それ故に、前記押輪の各ボルト挿通部と受口管部の連結フランジとを締結手段の少なくとも4本のボルトで締付け固定する際、第1段階目の締付け固定操作として、前記薄肉形成された径方向で対をなす2箇所のボルト挿通部と受口管部の連結フランジとにわたってボルトを装着し、この2箇所でのボルトの締付け固定操作に伴う受口管部と押輪との相対的な引き寄せ移動により、受口管部の内周面と挿口管部の外周面との間に介装された弾性シール材を管軸芯方向から押輪で略均等に圧縮する。
この状態では、前記弾性シール材の圧縮によってボルト挿通部と受口管部の連結フランジとの対向面間隔が周方向で略均等に狭くなっているため、第2段階目の締付け固定操作時において、特定部位以外のボルト挿通部と受口管部の連結フランジとを、特定部位のボルト挿通部で使用した同じ長さのボルトで締付け固定することができる。
【0016】
したがって、前記凹部に収納された抜止部材の隣接間の特定部位に対応するボルト挿通部の構造の特殊性を利用して、この特定部位において径方向で対をなす2箇所のボルト挿通部の厚みを、他の部位のボルト挿通部の厚みよりも小さくするだけの合理的な改造により、前記凹部の形成に悪影響を及ぼすことなく、且つ、短尺なボルトを使用して押輪の各ボルト挿通部と受口管部の連結フランジとの固定連結作業を確実、容易に行うことができる。
【0017】
本発明による第3の特徴構成は、前記押輪の凹部のうち、前記小なる厚みに形成されたボルト挿通部に対応する前記抜止部材の隣接間には、前記抜止部材の周方向での移動を阻止する壁部が形成されている点にある。
【0018】
上記構成によれば、前記押輪の凹部に形成した壁部により、凹部に収納された抜止部材の円周方向での移動を阻止して、常に適切な位置で抜止部材を径方向内方に喰込み移動させることができる。
しかも、前記凹部の壁部が、小なる厚みに形成されたボルト挿通部に対応する前記抜止部材の隣接間に形成されているため、例えば、小なる厚みに形成されたボルト挿通部に形成されるボルト挿通孔の周囲に工具でボルトを締付け操作するための回転操作空間を確保するべく、この小なる厚みに形成されたボルト挿通部に対応する押輪の外周面に、ボルト操作用の弧状凹部を窪み形成しても、この弧状凹部と凹部との間に所定肉厚の区画壁部を確実に形成することができる。
【0019】
本発明による第4の特徴構成は、前記小なる厚みに形成されたボルト挿通部に対応する前記抜止部材の隣接間隔が、他の部位の抜止部材の隣接間隔よりも大に構成されている点にある。
【0020】
上記構成によれば、前記小なる厚みに形成されたボルト挿通部に対応する抜止部材の隣接間が、他の部位の抜止部材の隣接間隔よりも大に構成されている分だけ、小なる厚みに形成されたボルト挿通部の径方向内方側の基部と凹部との間に比較的大きな距離を確保することができるから、例えば、小なる厚みに形成されたボルト挿通部に形成されるボルト挿通孔の周囲に工具でボルトを締付け操作するための回転操作空間を確保するべく、この小なる厚みに形成されたボルト挿通部に対応する押輪の外周面に、ボルト操作用の弧状凹部を窪み形成しても、この弧状凹部と凹部との間に所定肉厚の区画壁部を容易に形成することができる。
【0021】
本発明による第5の特徴構成は、前記連結部の共通基準となる一側面には、前記締結手段のボルトによる締付け固定操作に連れて受口管部の連結フランジに管軸芯方向から当接する当接面が形成されている点にある。
【0022】
上記構成によれば、前記押輪の各ボルト挿通部と受口管部の連結フランジとを締結手段のボルトで締付け固定する際、前記連結部の共通基準となる一側面に形成した当接面が受口管部の連結フランジに管軸芯方向から当接するまで前記ボルトを締付け固定操作するだけでよく、弾性シール材を所定の密封状態に確実に圧縮操作しながらも締付け固定操作の簡便化を図ることができる。
【0023】
本発明による第6の特徴構成は、前記1〜5のいずれか一つの特徴構成を備えた管継手の離脱防止装置に用いられる前記押輪であって、前記ボルト挿通部の隣接間には、前記凹部に収納された抜止部材を径方向内方側に向って喰込み移動させる押圧ボルトが設けられている点にある。
【0024】
上記構成によれば、前記押輪の凹部に収納された抜止部材の隣接間は、周方向で適宜長さの間隔を有し、かつ、ボルト挿通部の径方向内方側の基部と凹部との間に適宜長さの距離を確保することができるから、前記凹部に収納された抜止部材の隣接間の特定部位に対応するボルト挿通部の管軸芯方向での厚みを、前記受口管部の連結フランジに対面する前記連結部の一側面を共通基準にして他のボルト挿通部の管軸芯方向での厚みよりも小に構成しても、前記凹部の形成に悪影響を及ぼすことがない。
【0025】
したがって、前記押輪の凹部に収納された抜止部材の隣接間の特定部位に対応するボルト挿通部の構造の特殊性を利用して、この特定部位のボルト挿通部の厚みを、他の部位のボルト挿通部の厚みよりも小さくするだけの合理的な改造により、前記凹部の形成に悪影響を及ぼすことなく、且つ、短尺なボルトを使用して押輪の各ボルト挿通部と受口管部の連結フランジとの固定連結作業を確実、容易に行うことができるとともに、前記ボルト挿通部の隣接間に設けた押圧ボルトによって、前記凹部に収納された抜止部材を径方向内方側に向って強力に喰込み移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本願発明の第1実施形態の管継手の離脱防止装置を示し、小なる厚みに形成されたボルト挿通部での縦断面図
【図2】管継手の離脱防止装置の大なる厚みに形成されたボルト挿通部での縦断面図
【図3】押輪の正面図
【図4】押輪の背面図
【図5】押輪の平面図
【図6】押輪の右側面図
【図7】図5のVII−VII線断面図
【図8】図3のVIII−VIII線端面図
【図9】図3のIX−IX線端面図
【図10】図3のX−X線端面図
【図11】小なる厚みに形成されたボルト挿通部での締付け固定前の縦断面図
【図12】大なる厚みに形成されたボルト挿通部での締付け固定前の縦断面図
【図13】本願発明の第2実施形態の管継手用離脱防止装置の押輪を示す正面図
【図14】押輪の背面図
【図15】押輪の平面図
【図16】押輪の右側面図
【図17】図15のXVII−XVII線断面図
【図18】本願発明の第3実施形態の管継手用離脱防止装置の押輪を示す正面図
【図19】押輪の平面図
【図20】押輪の横断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔第1実施形態〕
図1〜図12は、流体管(例えば、水道管やガス管等)の管継手の離脱防止装置を示し、一方の流体管の受口管部1に挿入接続された他方の流体管の挿口管部2に、前記受口管部1の内周面1aと挿口管部2の外周面2aとの間を密封可能な合成ゴム製の弾性シール材3と、当該弾性シール材3を管軸芯X方向から押圧して密封状態(水密状態)にまで圧縮可能な鋳鉄製の押輪Aとが外装されている。
【0028】
前記押輪Aの外周面の周方向複数箇所(当該実施形態では6箇所)に突出形成されたボルト挿通孔20aを有する半円形状又は半長円形状のボルト挿通部20A、20Bからなる連結部20と、前記受口管部1の外周面の端部に突出形成された円環状の連結フランジ1Aとにわたって、押輪Aと受口管部1とを管軸芯X方向から相対的に引き寄せながら締付け固定する締結手段4が設けられ、更に、前記受口管部1とそれに嵌合接続された挿口管部2との相対向する部位には、両管部1,2が管軸芯X方向に沿って相対離脱移動したとき、管軸芯X方向から互いに接当してそれ以上の離脱移動を阻止する離脱防止手段Bが設けられている。
【0029】
前記締結手段4は、受口管部1の連結フランジ1Aの周方向複数箇所(当該実施形態では6箇所)に形成されたボルト挿通孔1b、及び、押輪Aの周方向複数箇所のボルト挿通部20A、20Bのボルト挿通孔20aとのうち、管軸芯X方向で相対向するボルト挿通孔1b、20aに亘って挿入されるT字状のボルト4Aと、当該ボルト4Aの突出ネジ部に螺合されるナット4Bとから構成されている。
そして、前記ボルト4A・ナット4Bの締付け操作に伴う押輪Aと受口管部1との管軸芯X方向での相対近接移動により、押輪Aの管軸芯X方向の一側面に円環状に窪み形成されたシール押圧部21で弾性シール材3を圧縮変形させ、受口管部1の内周面1aと挿口管部2の外周面2aとの間を密封する。
【0030】
前記離脱防止手段Bを構成するに、図1、図2に示すように、受口管部1の内周面1aに形成された円環状の取付け溝10に、管軸芯X方向視において略Cの字状に形成された拡径側に弾性変形可能な金属製の係止部材11と、この係止部材11の拡径変形を許容する状態で当該係止部材11を受口管部1と同軸芯状態に保持する弾性保持リング12とを装着するとともに、前記挿口管部2の外周面の先端部には、地震や不等沈下等に起因して両管部1,2が一定以上に相対離脱移動したとき、前記係止部材11に対して管軸芯X方向から接当してそれ以上の両管部1,2の相対離脱移動を阻止する円環状の抜止め突起13が一体形成されている。
【0031】
前記押輪Aは、図1〜図4に示すように、挿口管部2の外径よりも少し大きな内径で円環状に形成され、この押輪Aの内周面には、径方向内方に向かって開口し、かつ、挿口管部2の外周面2aに対して径方向外方から喰い込み移動自在な複数個(当該実施形態では6個)の金属製の抜止め部材22を周方向に沿って収納配置可能な周溝状の凹部23が形成されている。
【0032】
前記押輪Aの外周面の6箇所に一体形成されるボルト挿通部20A、20Bのうち、前記凹部23に収納された抜止部材22の隣接間の特定部位において径方向で対をなす2箇所のボルト挿通部20Aの管軸芯方向での厚み(ボルト挿通部20Aの一側面20bから他側面20cまでの厚み)W1が、前記受口管部1の連結フランジ1Aに対面する前記連結部20の一側面20bを共通基準にして他の4箇所のボルト挿通部(以下、特定部位以外のボルト挿通部と記載する)20Bの管軸芯X方向での厚み(ボルト挿通部20Bの一側面20bから他側面20dまでの厚み)W2よりも小に構成されている。
詳述すると、前記特定部位の両ボルト挿通部20Aの管軸芯方向での厚みW1は、他のボルト挿通部20Bにおける共通基準側の一側面20bから凹部23の管軸芯X方向中間位置に至る寸法で薄肉に構成されている。
【0033】
そのため、図11、図12に示すように、前記挿口管部2に外装された非圧縮状態にある弾性シール材3の一端部を受口管部1の内周面1aに当て付け、且つ、押輪Aのシール押圧部21を非圧縮状態にある弾性シール材3の他端部に当て付けた締め付け操作前において、前記受口管部1の連結フランジ1Aの背面となる他側面1dから特定部位のボルト挿通部20Aの他側面20cまでのボルト挿通間隔L1が、連結フランジ1Aの他側面1dから特定部位以外のボルト挿通部20Bの他側面20cまでのボルト挿通間隔L2よりも短くなる。
【0034】
図12の場合では、特定部位の両ボルト挿通部20Aと受口管部1の連結フランジ1Aとを締付け固定するボルト4Aと同じものを使用しても、押輪Aの特定部位以外のボルト挿通部20Bのボルト挿通孔20aとこれに管軸芯X方向で相対向する受口管部1の連結フランジ1Aのボルト挿通孔1bとにわたって挿通されたボルト4Aのネジ部先端が突出しない又は突出量が極めて小さくなり、ナット4Bを螺合操作することができない。
【0035】
そこで、前記押輪Aの各ボルト挿通部20A,20Bと受口管部1の連結フランジ1Aとを締結手段4の6本のボルト4A・ナット4Bで締付け固定する際、第1段階目の締付け固定操作として、図11、図1に示すように、前記薄肉形成された径方向で対をなす特定部位の両ボルト挿通部20Aのボルト挿通孔20aと受口管部1の連結フランジ1Aのボルト挿通孔1bとにわたってボルト4Aを装着し、この2箇所でのボルト4A・ナット4Bの締付け固定操作に伴う受口管部1と押輪Aとの相対的な引き寄せ移動により、受口管部1の内周面1aと挿口管部2の外周面2aとの間に介装された弾性シール材3を管軸芯X方向から押輪Aで略均等に圧縮する。
【0036】
この状態では、前記弾性シール材3の圧縮変形によってボルト挿通部20A,20Bと受口管部1の連結フランジ1Aとの対向面間隔が周方向で略均等に狭くなっているため、第2段階目の締付け固定操作時において、図2に示すように、特定部位以外のボルト挿通部20Bと受口管部1の連結フランジ1Aとを、特定部位のボルト挿通部20Aで使用した同じ長さのボルト4Aで締付け固定することができる。
【0037】
図7に示すように、前記小なる厚みに形成された特定部位の両ボルト挿通部20Aに対応する前記抜止部材22の隣接間隔W3は、他の部位の抜止部材22の隣接間隔W4よりも大で、且つ、特定部位のボルト挿通部20Aにおける周方向での最大幅W6よりも大に構成されているとともに、前記押輪Aの凹部23のうち、前記特定部位の両ボルト挿通部20Aに対応する前記抜止部材22の隣接間には、前記抜止部材22の周方向での移動を阻止する仕切り用の壁部24が一体形成されている。
この仕切り用の壁部24によって区画形成された二つの凹部23は、3個の抜止部材22を周方向に沿って収納可能な周方向長さで左右対称形に構成されている。
【0038】
前記仕切り用の両壁部24の周方向幅W5は、特定部位のボルト挿通部20Aにおけるボルト挿通中心線を通る周方向幅よりも少し小なる寸法で、かつ、特定部位以外の抜止部材22の隣接間隔W4の2倍強の寸法に構成されている。
【0039】
前記仕切り用の両壁部24に対応する押輪Aの外周面で、且つ、小なる厚みに形成された特定部位の両ボルト挿通部20Aの他側面20cに対応する部位には、特定部位のボルト挿通部20Aに形成されるボルト挿通孔2aの周囲に回転操作工具でボルト4A・ナット4Bを締付け操作するための回転操作空間を確保するための弧状凹部25が窪み形成されているとともに、この弧状凹部25の底部には、仕切り用の両壁部24に対して他側面20c側から径方向に沿って窪む略U字状の縦溝部26が形成されている。
【0040】
図7に示すように、前記押輪Aの凹部23内で、前記仕切り用の両壁部24とこれに周方向で対面する抜止部材22の一端部との間及び前記抜止部材22の隣接端部間の各々には、各抜止め部材22の周方向での配置間隔を設定配置間隔に規制する状態で径方向内方への抜け落ちを防止する合成ゴム製の弾性体27が圧縮状態で介在されている。
【0041】
前記押輪Aのボルト挿通部20A,20Bの周方向の隣接間で、且つ、前記凹部23に収納された各抜止部材22の周方向中央位置に対応する部位には、径方向に貫通するネジ孔28が形成され、各ネジ孔28には、各抜止部材22を径方向内方側に向って喰込み移動させる押圧ボルト29が設けられている。
【0042】
尚、前記押輪Aの各ボルト挿通部20A,20Bと受口管部1の連結フランジ1Aとを締結手段4のボルト4A・ナット4Bで締付け固定する場合には、前記各抜止部材22を挿口管部2の外周面2aから径方向外方側に離間させた非喰込み状態に維持し、前記締結手段4のボルト4A・ナット4Bによる締付け固定が完了したのち、前記押圧ボルト29を径方向内方側に向って押し込み操作して、前記各抜止部材22を挿口管部2の外周面2aに喰い込ませる。
【0043】
そして、前記押輪Aの凹部23に形成した仕切り用の両壁部24により、凹部23に収納された抜止部材22の円周方向での移動を阻止して、当該抜止部材22と押圧ボルト29との当接位置を常に適切な位置に維持し、流体圧(水圧)による受口管部1と挿口管部2との相対離脱移動に連れて抜止部材22を径方向内方に確実に喰込み移動させることができる。
【0044】
しかも、前記凹部23の仕切り用の壁部24が、小なる厚みに形成された特定部位のボルト挿通部20Aに対応する前記抜止部材22の隣接間に形成され、さらに、この特定部位のボルト挿通部20Aに対応する抜止部材22の隣接間が、他の部位の抜止部材22の隣接間隔よりも大に構成されている分だけ、小なる厚みに形成されたボルト挿通部20Aの径方向内方側の基部と凹部23との間に比較的大きな距離を確保することができるから、特定部位のボルト挿通部20Aの他側面20cに対応する押輪Aの外周面に、回転操作工具でボルト4A・ナット4Bを操作するための回転操作空間を確保する弧状凹部25を窪み形成しても、この弧状凹部25と凹部23との間に所定肉厚の区画壁部を確実、容易に形成することができる。
【0045】
図9、図10に示すように、前記各抜止部材22の管軸芯方向での幅は、凹部23内において管軸芯X方向に傾動可能な径方向内方窄まりの細幅に形成されているとともに、前記各抜止部材22の径方向外方側の外側面22aは、横断面視において偏平弧状面に形成され、各抜止部材22の径方向内方側の内側面の管軸芯X方向両端部には、周方向で連続する三角突条の喰込み突起22bが一体形成されている。
【0046】
前記押輪Aのボルト挿通部20A,20Bの一側面20bにおける径方向外方側に偏倚した部位には、前記締結手段4のボルト4A・ナット4Bによる締付け固定操作に連れて受口管部1の連結フランジ1Aの一側面1cに管軸芯X方向から当接する当接面30が突出形成されている。
【0047】
〔第2実施形態〕
上述の第1実施形態では、前記押輪Aの各ボルト挿通部20A,20Bと受口管部1の連結フランジ1Aとを6本のボルト4A・ナット4Bで締付け固定する管継手の離脱防止装置及び押輪について説明したが、図13〜図17に示すように、前記押輪Aの各ボルト挿通部20A,20Bと受口管部1の連結フランジ1Aとを4本のボルト4A・ナット4Bで締付け固定する管継手の離脱防止装置及び押輪に本発明の技術を適用してもよい。
【0048】
この第2実施形態の押輪Aは、図17に示すように、挿口管部2の外径よりも少し大きな内径で円環状に形成され、この押輪Aの内周面には、径方向内方に向かって開口し、かつ、挿口管部2の外周面2aに対して径方向外方から喰い込み移動自在な2個の金属製の抜止め部材22を周方向に沿って収納配置可能な周溝状の凹部23が形成されている。
【0049】
前記押輪Aの外周面の4箇所に一体形成されるボルト挿通部20A、20Bのうち、前記凹部23に収納された両抜止部材22の隣接間において径方向で対をなす2箇所のボルト挿通部20Aの管軸芯方向での厚み(ボルト挿通部20Aの一側面20bから他側面20cまでの厚み)W1が、前記受口管部1の連結フランジ1Aに対面する連結部20の一側面20bを共通基準にして他の2箇所のボルト挿通部20Bの管軸芯X方向での厚み(ボルト挿通部20Bの一側面20bから他側面20dまでの厚み)W2よりも小に構成されている。
【0050】
前記小なる厚みに形成された特定部位の両ボルト挿通部20Aに対応する前記抜止部材22の隣接間隔が、特定部位のボルト挿通部20Aにおける周方向での最大幅W6よりも大に構成されているとともに、前記押輪Aの凹部23のうち、特定部位の両ボルト挿通部20Aに対応する抜止部材22の隣接間には、前記抜止部材22の周方向での移動を阻止する仕切り用の壁部24が一体形成されている。
この仕切り用の壁部24によって区画形成された二つの凹部23は、1個の抜止部材22を収納可能な周方向長さで左右対称形に構成されている。
【0051】
図17に示すように、前記押輪Aのボルト挿通部20A,20Bの隣接間で、且つ、前記凹部23に収納された各抜止部材22の周方向両端部に対応する部位には、径方向に貫通するネジ孔28が形成され、各ネジ孔28には、前記各抜止部材22を周方向端部を径方向内方側に向って喰込み移動させる押圧ボルト29が設けられている。
【0052】
尚、第1実施形態の図3のVIII−VIII線端面図、IX−IX線端面図、X−X線端面図に相当する第2実施形態の断面形状は、押輪Aの内径が小さくなるものの第1実施形態の図8〜図10に示した断面形状と実質的に同一に構成されている。
また、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0053】
〔第3実施形態〕
上述の第1実施形態では、前記押輪Aの各ボルト挿通部20A,20Bと受口管部1の連結フランジ1Aとを6本のボルト4A・ナット4Bで締付け固定する管継手の離脱防止装置及び押輪について説明したが、図18〜図20に示すように、前記押輪Aの各ボルト挿通部20A,20Bと受口管部1の連結フランジ1Aとを8本のボルト4A・ナット4Bで締付け固定する管継手の離脱防止装置及び押輪に本発明の技術を適用してもよい。
【0054】
この第3実施形態の押輪Aは、図20に示すように、挿口管部2の外径よりも少し大きな内径で円環状に形成され、この押輪Aの内周面には、径方向内方に向かって開口し、かつ、挿口管部2の外周面2aに対して径方向外方から喰い込み移動自在な8個の金属製の抜止め部材22を周方向に沿って収納配置可能な周溝状の凹部23が形成されている。
【0055】
前記押輪Aの外周面の8箇所に一体形成されるボルト挿通部20A、20Bのうち、前記凹部23に収納された両抜止部材22の隣接間において径方向で対をなす2箇所のボルト挿通部(以下、特定部位のボルト挿通部と記載する)20Aの管軸芯方向での厚み(ボルト挿通部20Aの一側面20bから他側面20cまでの厚み)W1が、前記受口管部1の連結フランジ1Aに対面する連結部20の一側面20bを共通基準にして他の6箇所のボルト挿通部20Bの管軸芯X方向での厚み(ボルト挿通部20Bの一側面20bから他側面20dまでの厚み)W2よりも小に構成されている。
【0056】
前記小なる厚みに形成された特定部位の両ボルト挿通部20Aに対応する前記抜止部材22の隣接間隔が、他の部位の抜止部材22の隣接間隔よりも大で、且つ、特定部位のボルト挿通部20Aにおける周方向での最大幅W6と略同一又はそれよりも大に構成されているとともに、前記押輪Aの凹部23のうち、前記特定部位の両ボルト挿通部20Aに対応する前記抜止部材22の隣接間には、前記抜止部材22の周方向での移動を阻止する仕切り用の壁部24が一体形成されている。
この仕切り用の壁部24によって区画形成された二つの凹部23は、4個の抜止部材22を周方向に沿って収納可能な周方向長さで左右対称形に構成されている。
【0057】
図17に示すように、前記押輪Aのボルト挿通部20A,20Bの隣接間で、且つ、前記凹部23に収納された各抜止部材22の周方向中央部に対応する部位には、径方向に貫通するネジ孔28が形成され、各ネジ孔28には、前記各抜止部材22を周方向中央部を径方向内方側に向って喰込み移動させる押圧ボルト29が設けられている。
【0058】
尚、第1実施形態の図3のVIII−VIII線端面図、IX−IX線端面図、X−X線端面図に相当する第3実施形態の断面形状は、押輪Aの内径が大きくなるものの第1実施形態の図8〜図10に示した断面形状と実質的に同一に構成されている。
この第3実施形態では、前記仕切り用の両壁部24に対応する押輪Aの外周面で、且つ、小なる厚みに形成された特定部位の両ボルト挿通部20Aの他側面20cに対応する部位に、特定部位のボルト挿通部20Aに形成されるボルト挿通孔2aの周囲に回転操作工具でボルト4A・ナット4Bを締付け操作するための回転操作空間を確保するための弧状凹部25が窪み形成されているが、第1実施形態で説明した弧状凹部25の底部に連通する略U字状の縦溝部26は形成されていない。
また、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0059】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の実施形態では、前記押輪Aが円環状に一体成形されている場合について説明したが、この押輪Aとしては周方向で複数に分割されているものであってもよい。
【0060】
(2)上述の実施形態では、前記押輪Aと受口管部1とを管軸芯X方向から相対的に引き寄せながら締付け固定する締結手段4を、ボルト4A・ナット4Bとから構成したが、前記受口管部1にネジ孔が形成されている場合には、このネジ孔と六角頭のボルト4Aから構成してもよい。
【0061】
(3)上述の実施形態では、前記押輪Aの凹部23のうち、特定部位の両ボルト挿通部20Aに対応する抜止部材22の隣接間に、前記抜止部材22の周方向での移動を阻止する仕切り用の壁部24を一体形成したが、このような仕切り用の壁部24を省略して、前記凹部23を円環状に構成してもよい。
【0062】
(4)上述の実施形態では、前記押輪Aの連結部20を、周方向複数箇所に突出形成されたボルト挿通孔20aを有する半円形状又は半長円形状のボルト挿通部20A、20Bから構成したが、周方向で円環状に連続する連結フランジから構成してもよい。
この連結フランジの場合は、それの周方向複数箇所にボルト挿通孔20aを有するボルト挿通部20A、20Bを形成し、そのうち、前記押輪Aの凹部23に収納された両抜止部材22の隣接間の特定部位において径方向で対をなす2箇所のボルト挿通部20Aの管軸芯方向での厚みW1を、受口管部1の連結フランジ1Aに対面する連結部20の一側面20bを共通基準にして他の箇所のボルト挿通部20Bの管軸芯X方向での厚みW2よりも小に構成する。
そのため、連結フランジの場合では、特定部位のボルト挿通部20Aの他側面20c側が窪み形成される。
また、特定部位のボルト挿通部20Aとしては、ナット4B又はボルト4Bの六角頭部が当接する座面と、ナット4B又はボルト4Bの六角頭部を回転操作工具で操作するための回転操作空間(回転操作領域)とを少なくとも確保することのできる面積に構成する。
【0063】
(5)上述の実施形態では、前記ボルト挿通部20A、20Bの隣接間に、前記凹部23に収納された抜止部材22を径方向内方側に向って喰込み移動させる押圧ボルト29を設けたが、このような押圧ボルト29を省略するとともに、前記凹部23の内周面を、前記受口管部1の連結フランジ1Aから遠ざかる側ほど小径となる傾斜面に形成し、さらに、前記抜止部材22の外側面も、前記凹部23の内周面と摺接可能な傾斜面に形成して、受口管部1と挿口管部2との相対離脱移動に連れて抜止部材22を径方向内方に喰込み移動させるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0064】
A 押輪
X 管軸芯
W1 ボルト挿通部の厚み
W2 ボルト挿通部の厚み
1 受口管部
1a 内周面
2 挿口管部
2a 外周面
3 弾性シール材
4 締結手段
4A ボルト
20 連結部
20A ボルト挿通部
20B ボルト挿通部
20a ボルト挿通孔
20b 一側面
22 抜止部材
23 凹部
24 壁部
29 押圧ボルト
30 当接面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受口管部に挿入接続された挿口管部に、前記受口管部の内周面と挿口管部の外周面との間を密封可能な弾性シール材と、当該弾性シール材を管軸芯方向から押圧して密封状態にまで圧縮可能な押輪とを外装し、前記押輪の連結部と受口管部の連結フランジとを管軸芯方向から複数本のボルトで締付け固定する締結手段を設けるとともに、前記押輪に形成した径方向内方に向って開口する凹部には、前記挿口管部の外周面に喰い込み可能な複数個の抜止部材を設けてある管継手の離脱防止装置であって、
前記押輪の連結部における周方向複数箇所のボルト挿通部のうち、前記凹部に収納された抜止部材の隣接間の特定部位に対応するボルト挿通部の管軸芯方向での厚みを、前記受口管部の連結フランジに対面する前記連結部の一側面を共通基準にして他のボルト挿通部の管軸芯方向での厚みよりも小に構成してある管継手の離脱防止装置。
【請求項2】
受口管部に挿入接続された挿口管部に、前記受口管部の内周面と挿口管部の外周面との間を密封可能な弾性シール材と、当該弾性シール材を管軸芯方向から押圧して密封状態にまで圧縮可能な押輪とを外装し、前記押輪の連結部と受口管部の連結フランジとを管軸芯方向から少なくとも4本のボルトで締付け固定する締結手段を設けるとともに、前記押輪に形成した径方向内方に向って開口する凹部には、前記挿口管部の外周面に喰い込み可能な少なくとも2個の抜止部材を設けてある管継手の離脱防止装置であって、
前記押輪の連結部における少なくとも4箇所のボルト挿通部のうち、前記凹部に収納された抜止部材の隣接間の特定部位において径方向で対をなす2箇所のボルト挿通部の管軸芯方向での厚みを、前記受口管部の連結フランジに対面する前記連結部の一側面を共通基準にして他のボルト挿通部の管軸芯方向での厚みよりも小に構成してある管継手の離脱防止装置。
【請求項3】
前記押輪の凹部のうち、前記小なる厚みに形成されたボルト挿通部に対応する前記抜止部材の隣接間には、前記抜止部材の周方向での移動を阻止する壁部が形成されている請求項1又は2記載の管継手の離脱防止装置。
【請求項4】
前記小なる厚みに形成されたボルト挿通部に対応する前記抜止部材の隣接間隔が、他の部位の抜止部材の隣接間隔よりも大に構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の管継手の離脱防止装置。
【請求項5】
前記連結部の共通基準となる一側面には、前記締結手段のボルトによる締付け固定操作に連れて受口管部の連結フランジに管軸芯方向から当接する当接面が形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の管継手の離脱防止装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の管継手の離脱防止装置に用いられる前記押輪であって、前記ボルト挿通部の隣接間には、前記凹部に収納された抜止部材を径方向内方側に向って喰込み移動させる押圧ボルトが設けられている管継手用離脱防止装置の押輪。
【請求項1】
受口管部に挿入接続された挿口管部に、前記受口管部の内周面と挿口管部の外周面との間を密封可能な弾性シール材と、当該弾性シール材を管軸芯方向から押圧して密封状態にまで圧縮可能な押輪とを外装し、前記押輪の連結部と受口管部の連結フランジとを管軸芯方向から複数本のボルトで締付け固定する締結手段を設けるとともに、前記押輪に形成した径方向内方に向って開口する凹部には、前記挿口管部の外周面に喰い込み可能な複数個の抜止部材を設けてある管継手の離脱防止装置であって、
前記押輪の連結部における周方向複数箇所のボルト挿通部のうち、前記凹部に収納された抜止部材の隣接間の特定部位に対応するボルト挿通部の管軸芯方向での厚みを、前記受口管部の連結フランジに対面する前記連結部の一側面を共通基準にして他のボルト挿通部の管軸芯方向での厚みよりも小に構成してある管継手の離脱防止装置。
【請求項2】
受口管部に挿入接続された挿口管部に、前記受口管部の内周面と挿口管部の外周面との間を密封可能な弾性シール材と、当該弾性シール材を管軸芯方向から押圧して密封状態にまで圧縮可能な押輪とを外装し、前記押輪の連結部と受口管部の連結フランジとを管軸芯方向から少なくとも4本のボルトで締付け固定する締結手段を設けるとともに、前記押輪に形成した径方向内方に向って開口する凹部には、前記挿口管部の外周面に喰い込み可能な少なくとも2個の抜止部材を設けてある管継手の離脱防止装置であって、
前記押輪の連結部における少なくとも4箇所のボルト挿通部のうち、前記凹部に収納された抜止部材の隣接間の特定部位において径方向で対をなす2箇所のボルト挿通部の管軸芯方向での厚みを、前記受口管部の連結フランジに対面する前記連結部の一側面を共通基準にして他のボルト挿通部の管軸芯方向での厚みよりも小に構成してある管継手の離脱防止装置。
【請求項3】
前記押輪の凹部のうち、前記小なる厚みに形成されたボルト挿通部に対応する前記抜止部材の隣接間には、前記抜止部材の周方向での移動を阻止する壁部が形成されている請求項1又は2記載の管継手の離脱防止装置。
【請求項4】
前記小なる厚みに形成されたボルト挿通部に対応する前記抜止部材の隣接間隔が、他の部位の抜止部材の隣接間隔よりも大に構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の管継手の離脱防止装置。
【請求項5】
前記連結部の共通基準となる一側面には、前記締結手段のボルトによる締付け固定操作に連れて受口管部の連結フランジに管軸芯方向から当接する当接面が形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の管継手の離脱防止装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の管継手の離脱防止装置に用いられる前記押輪であって、前記ボルト挿通部の隣接間には、前記凹部に収納された抜止部材を径方向内方側に向って喰込み移動させる押圧ボルトが設けられている管継手用離脱防止装置の押輪。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−87846(P2012−87846A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233653(P2010−233653)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(396020361)株式会社水道技術開発機構 (113)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(396020361)株式会社水道技術開発機構 (113)
【Fターム(参考)】
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