説明

管継手用メタルパッキン・一体型ノンパッキンフェルール

【課題】
管継手に使用するための耐久性と衛生面及び省力化、安全面に優れた安心安全を提供できる、メタルパッキンとノンパッキンフェルールを提供する。
【解決手段】
円形リング状のパッキンであって、その円形リングの中心軸Xとパッキン表面の法線との成す角度αが角度(α)を20°〜36°又は54°〜70°なるテーパー部を有し、テーパー部は、中心軸Xを含む平面で切断したパッキンの断面において、前記テーパー部の表面からなる管継手用メタルパッキンである。ノンパッキンフェルールは、NC加工、ロストワックスなどによる成型し、精密加工を施し完成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管の端部同士を接合する管継手において、その継手部分をシール(密封)するために使用される金属製のパッキン及びノンパッキンフェルールであって、従来の面と面で止めるために、地震などによる強い縦の振動で、継手がずれたり、外れたりがあった。今回の継ぎ手は面と線で止めしかも、継手が上下ずれ止め防止の為の形状を取り入れているため、耐震性に強い継ぎ手で、特に耐震強度が必要な工業の配管、食品用配管システムや部品の結合において、大変有効である。継手の着脱を相対的頻繁に行って洗浄、清掃等のメンテナンスを実施する必要のある配管の継手に好適なパッキンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
管の端部同士を接合する配管用継手として、フランジ継手が広く使用されている。フランジ継手は、端部にフランジを設けた双方の管を、当該フランジ同士の間に接合力を付与することにより接合しているものである。接合力の付与手段としては、クランプバンド、ユニオン形式、双方のフランジに複数のボルトを通してナット止めする方法の他、接合バンドで固定する方法が一般的である(特許文献1参照)。
【0003】
継手においては内部からの流体の漏洩や外部からの異物混入を防止するため、シール性を確保する手段を設ける必要がある。工業用配管は、以前はアスべストなどの固い材質をシールするために、大きなフランジで、大きなボルトで強く締め付ける方法と、一般的にはゴム等の弾性体を双方の管端間に介在させてシールする手法が最も簡便な方法として広く普及している。
【0004】
工業用のガスケットパッキンは面と面の間に挟み強く締め付けるだけのために、地震などの強い振動時にボルトに強い力が加わり破損したりして、大きな事故になっていることもあった。食品のゴムパッキンは、それ自体強度が弱く、劣化しやすい部品で多くの問題をはらんでいる。
【0005】
管継手の劣化したゴムパッキン部分から食品中へ、ゴム等の異物が混入するトラブル、ゴムパッキンに商品の臭いが付着して次の商品に臭いが混じるというトラブル、劣化したゴムパッキンの切れ端が食品中に混入するトラブルなどが生じやすい。
【0006】
このような問題を解消するために、パッキンを使用せずに配管の継手を構築する技術がすでに実用化されている。この技術は、接合する一方の管の端部にテーパーを設け、継ぎ手の管の端部にテーパー部を環状角部へ押し入れる構造とすることによって、両者が金属同士の線接触によって密封されるようにしたものである。
【0007】
継手の分解および再組み立てを繰り返し行うような場合には、従来使用されている、ゴムパッキン等は強い揺れ、四方の振動に大変弱く、継手の端面からずれたり傷が付きやすいという問題がある。それによって十分なシール性が確保できなくなった場合には、破損し、そこからの漏れは、工業では、時には大きな社会問題となっている。双方の管端部の間にメタルパッキンを介装させる手法が安全面においても稼働率においても大変有利となる。金属同士の線接触による密封状態が実現される構造のノンパッキンフェルールを使用した継手も開示されている(特許文献1参照)
【0008】
継手部分にテーパ面相互を面接し、クランプバンド、ユニオン式、ネジで押付けることによって気密性を高める考案がなされている(特許文献4,5参照)。
本発明者は、配管同質のメタルによって、交換できるメタルパッキン、パッキン交換不要のノンパッキンフェルール。アスベストパッキンや樹脂系、ゴム系を使用せずに、メタルパッキン、ノンパッキンフェルールによって、強く接合する方法を提案している。(特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO2004/109174号
【特許文献2】特許第3386750号公報
【特許文献3】特開2004−225917号公報
【特許文献4】実公平3−15897号公報
【特許文献5】特開平11−230436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、金属同士の面と線接触によってシール性を確保するタイプのメタルパッキンは、従来のアスベスト、ゴムパッキン等で問題になっていた、継手から振動による漏れ事故、異物混入、着香や衛生面、作業性、種々のトラブルを回避するうえで極めて有利なものである。
【0011】
本発明は、金属同士の面と線接触によってシール性を確保するタイプのメタルパッキン、ノンパッキンフェルールにおいて、現在使用している、継手形状に応じて自在に、入り込む角度を調整できる、粘性、液体、薬品、粉体、などをメタルパッキンや、継手の角度を変え又、図7、上下テーパー面を線で止めることも選択ができる。プラントに適した密封性を高く維持するため、角度と形状をプラント配管に取り入れ、耐震性、耐久性、安全性を向上させ、省力化を可能にしたものを開発し提供しようというものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明者らは詳細な検討の結果、上記目的は、NC加工、プレス加工による、ステンレス、メタルを加工し、メタルパッキンのテーパー部分の材質を配管と同じ金属のパッキンを使用することにより、電位差も変わらず、粉体物で使用する場合でもアースを必要とすることがないので経済的である。
【0013】
本発明では、管継手のシールに使用する円形リング状のパッキンとフェルール面にメタルパッキンを一体化した、ノンパッキンフェルールであって、その円形リングの中心軸Xとパッキン表面の法線との成す角度(α)を20°〜36°又は54°〜70°になるテーパー部を有し、前記テーパー部は、中心軸Xを含む平面で切断したパッキンの断面において、テーパー部の表面硬さがテーパー部表面からの距離0.1〜0.3mm(d)の位置で250〜500HVであるテーパー部を含む平面で切断したパッキンの断面において、テーパー面を有している。
【発明の効果】
【0014】
本発明のメタルパッキンは管の端部と金属同士の面と線接触による密封構造を形成するためのテーパー部が強化されており、継手の着脱を繰り返した場合にも高いシール性が長期にわたって維持される。素材として、食品工業、化粧工業、化学工場、薬品工場などで実績の高い、ステンレス配管には、ステンレスパッキン、パッキン面を一体化した、ノンパッキンフェルール、異なる配管材料に、対応するために、同金属のメタルパッキン及び、ノンパッキンフェルールで接続することを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】リング状メタルパッキンの構造を写真にて例示した図。
【図2】従来一般的な管継手の断面構造を模式的に例示した図。
【図3】本発明のメタルガスケットを使用した管継手の断面構造を模式的に例示した図。
【図4】本発明のメタルガスケットを使用した管継手の断面構造を模式的に例示した図。
【図5】平面で切断したメタルパッキン断面の一例を模式的に拡大表示した図。
【図6】一般用フェルールとノンパッキンフェルールとの組み図。
【図7】上下を面と線で止めるノンパッキンフェルールを例示した図
【発明を実施するための形態】
【0016】
下記に関連するメタルパッキンについて実施例を持って示す。円形リングの中心軸Xとパッキン表面の法線との成す角度αが角度(α)を20°〜36°又は54°〜70°なるテーパー部を有し、テーパー部は、中心軸Xを含む平面で切断したパッキンの断面において、前記テーパー部の表面からなる管継手用メタルパッキンである。ノンパッキンフェルールは、NC加工、ロストワックスなどによる成型した。
【実施例1】
【0017】
図1はリング状メタルパッキンの全体写真である。図3(a)は継手全体の断面図、(b)は管とメタルパッキンの接合部近傍の拡大断面図である。双方の管1および1’は長手方向に垂直な断面が円形であり、端部にそれぞれフランジ3、3’を有しており、その端部の端面11、11’には環状角(かど)部12、12’が形成されている。
【0018】
管1と1’の間にはリング状のメタルパッキン10が介装されている。メタルパッキン10にはテーパー部13、13’が形成されており、テーパー部13、13’はその法線N、N’が当該リング状メタルパッキン10の中心軸Xと角度αで交わる方向に向いている。
ここでαは中心軸Xと法線N(またはN’)とのなす角度のうち、0〜90°の範囲にある値で表される。図1(b)において直線Lは中心軸X(図1(a))に平行な直線である。この図ではメタルパッキン10の両面にテーパー部(13、13’)が形成されており、両面での前記αが同一の角度である場合が例示されているが、両面での角度αは後述の適正範囲内にある限り必ずしも同一である必要はない。

【0019】
管1、1’とメタルパッキン10は、環状角部12、12’がテーパー部13、13’に当接してメタルの面と線接触の接合形態で接合されている。その接合力を付与するための手段として、図示のものは特許文献1に開示されているような結束バンド5による接合手段が採用されている。接合バンド5に替えて、管1、1’のフランジ同士をボルト・ナットにより接合する手段を採用することもできる。これらの接合手段により接合力が付与されると、環状角部12、12’とテーパー部13、13’は共に中心軸Xを中心に持つ円周上で面と線接触により密着し、シール性が確保される。
【実施例2】
【0020】
図4に、別の態様(II)のメタルパッキンを示す。メタルパッキン10のテーパー部13、13’の表面(法線N、N’の方向)が中心軸Xに対して外側に向いている場合の継手の断面構造を例示する。この場合も、中心軸Xと法線N(またはN’)とのなす角度αは0〜90°の範囲の値で表される。管1、1’の端面11、11’に形成されている環状角部12、12’がメタルパッキン10のテーパー部13、13’に当接して、面と線接触の接合形態が実現され、シール性が確保される。この原理は図2の場合と同様である。
【0021】
中心軸Xとテーパー部の法線のなす角度(α)を20°〜36°又は54°〜70°に近い角度である。具体的には、図2に示したような従来の継手の締結に使用されている接合バンドを用いて得られる接合力で上記の面と線接触によるシール性を安定して確保するためには、αは28°±8°、または62±8°の範囲とすることが好ましい。
【実施例3】
【0022】
図5におけるステンレスパッキン、メタルパッキンテーパー部分23の範囲に有しており
継ぎ手が膨張などによる、変形においても、23の間に収まるために、使用範囲が高い発明となっている
【0023】
ステンレス及びメタルでのパッキン、ノンパッキンフェルールであるために、劣化した場合には、増し絞めすることで継手からの漏れを容易に解決できる。工業製品工場、食品会社での、高温部分においても、長年の使用においても劣化することなく、工場内のエアーハンマーなどによる耐震にも強く、安心して作業ができるために、高く評価されている。
【0024】
メタルパッキンの素材は、種々の耐食材料が採用できるが、食品工業での用途を考慮すると、ステンレス鋼を使用することが望ましい。中でも加工性や耐食性に優れ、既に食品工業における配管材料として広く実績のあるオーステナイト系ステンレス鋼が好適に採用できる。
【0025】
メタルパッキンは金属の板状素材をプレス成形する工程を経て製造される。金属素材としてオーステナイトステンレス鋼を使用する場合は、一般的な製造プロセスで製造されたステンレス冷延焼鈍鋼板を使用される。
少量のサイズにはステンレス製のシームレス配管を加工することにより、NC加工が出来特殊なサイズに適用が出来ている。
【実施例4】
【0026】
〔耐久性試験〕
食品会社において、5年における使用実施しているが、劣化は認められず。高い耐久性を保っている。工業試験における過酷なテストにおいても、劣化は認められていない。
【0027】
管内部に封入した水に25kg/cmの静水圧を付与し、継手部分から漏水(軽微な浸み出しを含む)が認められるか否かでシール性を判定した。漏水が認められなかった場合は、一旦継手を分解した後、再度同じ管とメタルパッキンの組み合わせで継手を構築し、上記の方法で静水圧を付与して漏水の有無を観察した。このような操作を繰り返し、漏水が生じた締結回数を調べたが抜き打ちテストにも商品のばらつきはなく高い性能を維持した。
【表1】

【符号の説明】
【0028】
1、1’ 管
2、2’ 環状溝
3、3’ フランジ
4 ゴムパッキン
5 クランプバンド、締結バンド
10 メタルパッキン
11、11’ 端面
12、12’ 環状角(かど)部
13、13’ テーパー部
23、23’ テーパー長さ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
管継手のシール部分に使用する円形リング状のパッキンであって、その円形リングの中心軸Xとパッキン表面の法線とのなす角度(α)を20°〜36°又は54°〜70°になるテーパー部を有し、前記テーパー部は、中心軸Xを含む平面で切断したパッキンの断面において、テーパー部の表面硬さがテーパー部表面からの距離0.1〜0.3mmの位置で250〜500HVであるテーパー部を要したことを特徴とする管継手用メタルパッキン。
【請求項2】
請求項1において、前記パッキンの板状素材をNC加工、プレス成形することによって形成されることを特徴とする管継手用メタルパッキン。同形状をフェルールの一方と一体化したノンパキンフェル-ル。
【請求項3】
請求項1において、円形リング状のパッキンはメタルであることを特徴とする管継手用メタルパッキン。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−216543(P2010−216543A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62652(P2009−62652)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(597074424)TOKiエンジニアリング株式会社 (9)
【Fターム(参考)】