説明

管路のケーブル牽引ロープ挿通用先導具

【課題】 ケーブルを案内材として利用して管路内の先導駒の円滑な移動を図れる、管路のケーブル牽引ロープ挿通用先導具を提供する。
【解決手段】 管路pを通じて布設したケーブルcの軸線に沿う一半ずつを遊嵌して組付けねじ10で互いに締付ける駒主体6と挟持片7で先導駒2を構成する。そして、先導駒2の駒主体6を、前記ケーブルcの軸線に沿わせて前記管路p内に押し込む剛性杆の先端に組付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既にケーブルが布設されている管路に光ファイバーケーブル等のケーブルを新たに増設する際に、新たなケーブルを前記管路内を移動させるケーブル牽引ロープを、管路の一端開口部から他の一端開口部まで通すために用いる、管路のケーブル牽引ロープ挿通用先導具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上面が管路と略同じ曲率を有し下面が管路に布設されたケーブルの外径と略同じ曲率を有する面で形成された板状体の両側に、後方に拡開するように延びた案内ばねを取付けて構成して、押出し工具のロッドの先端に取付けて用いるようにした構造のものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
概し、管路と該管路内に布設したケーブルとの間に介在させるようにして管路の一端側から他の一端側へとロッドで押し込み移動させる構成を採るものは、ロッドによって押圧されて管路内を前進するだけなので、方向性が定まらず、従って、管路とケーブルとの間に挟まり前進ができなくなる虞がある。
【0004】
このため、前記の従来例は、板状体に案内ばねを設けた形態を採用して案内ばねが管路や布設済のケーブルに接触するようにして板状体が管路内の管路内の広い空間域に移動するようにして先導具としての円滑な移動を図るようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−93740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記ばねを用いた構造のものは、管路内が該ばねが管路やケーブルに圧接して移動するものであるから、管路等に損傷を与えることになり、ばねの圧接を利用するものであるからケーブルが布設された管路内が当該先導具の大きさに見合う空間域を備えていなければならず、従って、例えば、管路の内径の相異に見合うものを準備しなければならない等汎用性に欠ける。
【0007】
本発明は、管路内の先導駒の移動に管路と既設のケーブル間の間隙を利用した前記従来例に代えてケーブルを案内材として利用して管路内における円滑な移動を期待できる先導具を提供することを目的として創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
管路を通じて布設したケーブルの軸線に沿う一半ずつを遊嵌して組付けねじ等で互いに組合せる駒主体と挟持片とで先導駒を構成し、該先導駒の前記駒主体を、前記ケーブルの軸線に沿わせて前記管路内に押し込む剛性杆の先端に組付けた構成とするのである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、先導駒は既設のケーブルを内側に遊嵌させた構成を採るから、剛性杆によって押送することによって該先導駒を管路内を該ケーブルに案内させて自在に移動させることができ、先導駒はケーブルに組みつけられた状態でケーブルに沿って移動するものであるからマンホール等の管路間の中継個所があっても、それと無関係に管路間を連続的に移動させることができ、実用的である。
【0010】
また、駒主体にナット材を回動自在に取付け、該ナット材に雄ねじ材を螺合して剛性杆の先端に先導駒を設けるものであるから、先導駒と剛性杆の組付けを簡単に行うことができる。
【実施例】
【0011】
図面は本発明に係る管路のケーブル牽引ロープ挿通用先導具の一実施例を示し、図1は使用状態を示す説明図、図2は図1の拡大断面図、図3は背面図、図4は図1のa−a線断面図、図5は図4のb−b線断面図、図6はケーブルとの関係を示す説明図である。
【0012】
本発明に係る、管路のケーブル牽引ロープ挿通用先導具は、剛性杆1の先端に先導駒2を組付けて構成したもので、剛性杆1はスチールワイヤーやグラスファイバー等で成り、基端側をリール3に取付けて該リール3に繰出し自在に巻付け、先端には前記先導駒2のナット材4を螺合して取付ける雄ねじ材5を設けたものである。
【0013】
剛性杆1は通線ロッド或いは推進ワイヤー等といわれることがあるが、要は、管路外から押圧することによって管路の直線路や曲線路に変形追従して移動するものであれば良い。
【0014】
前記先導駒2は、互いに別体の駒主体6と挟持片7を互いに組付けて構成するもので、駒主体6は厚肉のほぼ台形状の基部6aに、管路pに挿通、敷設したケーブルcの軸線に沿う一半を嵌合する円弧状部片6bを連設し、前記基部6aに一対のねじ孔8,8を前記円弧状部片6bに嵌合するケーブルcの軸線に沿わせて並べて設ける一方、基部6aの前記剛性杆1側の後端面には前記ナット材4を回動自在に組付けてある。
【0015】
ナット材4は袋ナット体で成り、その奥壁に設けた透孔9を通じた取付けねじ10の先端を前記基部6aに設けたねじ穴11に螺合して前記の通り基部6aに回動自在に取付けたものである。
【0016】
そして、駒主体6は基部6aに組付けたナット材4を剛性杆1の先端に設けた雄ねじ材5に螺合することにより剛性杆1の先端に取付けねじ10を中心に回動自在に設けたものである。
【0017】
この駒主体6に重ね合わせて組付ける前記挟持片7は、やや厚肉のほぼ台形輪郭形状の基部7aに駒主体6と同様に円弧状部片7bを連設して構成し、基部7aに主体6側の基部6aに設けたねじ孔8,8と対応する位置にして挿通孔12,12を設けて構成したものである。
【0018】
しかして、管路pに挿通、布設したケーブルcに管路外、例えば、マンホールm中で、駒主体6と挟持片7間に当該ケーブルc部が介在するように重ね合わせ、挿通孔12を通じて組付けねじ13をねじ孔8に螺合、締め付けと、ケーブルcに先導駒2は組付けられ、これと相前後してナット材4と雄ねじ材5の螺合関係によって該先導駒2を組付けた剛性杆1を押圧して先導駒2を管路pに送り込むと、先導駒2はケーブルcに案内されて管路p内を移動し、目的の個所に到達する。そして、目的個所に於いて、剛性杆1を手繰り寄せると、剛性杆1の端末に接続した牽引ロープ(図示省略)の先端は管路pを通じて当該目的個所までに移動し、次段の作業である牽引ロープの牽引により当該管路に新たなケーブルが布設されるのである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】使用状態を示す説明図。
【図2】図1の拡大断面図。
【図3】背面図。
【図4】図1のa−a線断面図。
【図5】図4のb−b線断面図。
【図6】ケーブルとの関係を示す説明図。
【符号の説明】
【0020】
1 剛性杆
2 先導駒
6 駒主体
7 挟持片
10 組付けねじ
c ケーブル
p 管路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路を通じて布設したケーブルの軸線に沿う一半ずつを遊嵌して組付けねじ等で互いに組合せる駒主体と挟持片とで先導駒を構成し、該先導駒の前記駒主体を、前記ケーブルの軸線に沿わせて前記管路内に押し込む剛性杆の先端に組付けた、管路のケーブル牽引ロープ挿通用先導具。
【請求項2】
駒主体にナット材を回動自在に取付け、該ナット材に剛性杆の先端に設けた雄ねじ材を螺合した、請求項1記載の管路のケーブル牽引ロープ挿通用先導具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−252963(P2008−252963A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87231(P2007−87231)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000231925)日本コムシス株式会社 (12)
【出願人】(592157076)イワブチ株式会社 (80)