説明

管路切換装置及び内視鏡

【課題】吸引ボタンなどの管路切換装置のピストンのスライドを円滑に行い、スタッグの発生を無くする。
【解決手段】シリンダ50にピストン51を移動自在に挿入する。ピストン51のキャップ取付端部51Bに操作キャップ41を取り付ける。操作キャップ41とシリンダキャップ52との間にコイルバネ48を配置する。ピストン51のOリング収納溝61〜64にOリング65A〜65Dを収納する。Oリング収納溝61〜64に、Oリング65A〜65Dを転動させる転動領域を設ける。転動領域の転動長さをOリング収納溝61〜64毎に変える。転動が終わった後のOリング65A〜65Dの摺動抵抗の発生時期をずらすことができ、その分だけ摩擦抵抗が小さくなる。摺動抵抗が一斉にピストン51に作用することがなく、ピストン51の復元時にスタッグの発生がなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の管路の接続状態を切り換える管路切換装置及び内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、被検体内へ挿入される挿入部の先端部に、被検体の像光を取り込むための観察窓と、観察窓に向けて流体(水または空気)を噴射する送気・送水ノズルを備える。観察窓と送気・送水ノズルは、挿入部先端面に配置される。観察窓は挿入部先端面に形成されており、観察窓の表面には、被検体内の液や汚物が付着しやすい。このため、送気・送水ノズルの噴射口から水を噴射して観察窓の汚れを洗い流し、噴射口から空気を噴射して観察窓の表面に残った水滴を吹き飛ばしている。
【0003】
送気送水ノズルには管路切換装置としての送気送水ボタンが接続される。この送気送水ボタンは、ボタン操作することがないOFF状態から、ボタンの半押し状態、全押し状態の二段押し構造を採用する(特許文献1及び2参照)。二段押し構造では、二つのコイルバネを用い、一つのコイルバネの付勢に抗して押圧することにより半押し状態を実現し、二つのコイルバネの付勢に抗して押圧することにより全押し状態を実現する。このように、押圧するコイルバネの個数が変わることにより、異なる抵抗感を術者に与えることができ、半押し状態を明確に知ることができる。
【0004】
例えば、特許文献1及び2に記載の送気送水ボタンでは、何ら操作していない状態で送気ポンプの送気動作が行われたときに、送気送水ボタンの操作キャップに開口した排気口からリークを行う。この状態で排気口を塞ぐと、送気状態で排気口が塞がれるため送気送水ボタン内の逆止弁が開き、送気送水ノズルから送気が行われる。操作キャップを半押しすると、送気状態から送水状態に切り換わり、送気送水ノズルから送水が行われる。さらに、操作キャップを全押しすると、送水管路が切り換わり、バルーン内部に通じるバルーン管路を介してバルーン送水が行われてバルーンが膨張する。
【0005】
また、特許文献1及び2に記載の吸引ボタンでは、何ら操作していない状態で吸引ポンプにより吸引動作が行われると、吸引ポンプは所定の通気路を介して外部の空気を吸引する。吸引ボタンの操作キャップを半押しすると、吸引ポンプが処置具チャンネルに連通し、処置具チャンネルからの吸引を行う。操作キャップを全押しすると、吸引ポンプがバルーン管路に連通し、バルーン管路を介してバルーン内に満たされた水が吸引されて排水が行われ、バルーンが収縮する。
【0006】
ところで、内視鏡では送気ポンプによる加圧空気の他に、炭酸ガスを用いることも行われる。炭酸ガスは体内で吸収されやすく、加圧空気に比べて被検者に負担にならない利点がある。加圧空気を使用する場合には、ボタン操作を行っていない状態では、例えば操作キャップの排出口から空気をリークさせ、加圧ポンプに負荷をかけない。一方、炭酸ガスを使用する場合には、炭酸ガスボンベが供給源となるため、不必要なリークは避ける必要がある。このため、送ガス送水ボタンでも二つのコイルバネによる二段押し構造を採用し、ボタン操作を行わないOFF状態、半押し操作による例えば送ガス状態、全押し操作による送水状態を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3017957号公報
【特許文献2】特開2007−111266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、管路切換装置では、通常複数個のリング状パッキンが取り付けられる。このパッキンには、断面がO形、X形、Y形などの種々の形状のものが利用されている。中でも、O形のリング状パッキン(以下、単にOリングという)は製造がし易く安価であることから、最も幅広く使用されている。このOリングはスクィーズ型を代表するパッキンであり、パッキンを押し潰すことで気密性を確保する。そのため、気密性を高めるためには、より大きな潰し代にする必要がある。
【0009】
一方、例えば送気送水ボタンは、使用者(術者)が指で押圧することにより、気体や液体の流れをON/OFFするため、摺動が円滑であることが求められる。この摺動性と気密性とはいわゆるトレードオフの関係にあり、一方を満足させようとすると他方が犠牲になり、両方の特性を満足させることは困難である。このため、パッキンの周辺にシリコンオイルなどの潤滑剤を塗布することにより、このトレードオフを回避している。
【0010】
また、潤滑剤は、例えば内視鏡の送気送水管路内を流れていき、管路詰まりの原因となることがある。また、内視鏡先端の観察窓に残ると、水切れ性の悪化に繋がり、水滴の付着などによって良好な観察が不可能になる。
【0011】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、気密性と摺動性のトレードオフを回避し、潤滑剤などをOリングに使用することなく、気密性と摺動性とを確保し、円滑な操作が可能な管路切換装置及びこれを用いた内視鏡の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記の目的を達成するため、操作部材と、前記操作部材が取り付けられる操作部材取付端部及び本体部からなり、前記本体部の周面に連通路を有するピストンと、前記ピストンを移動始端である第1位置、移動終端である第2位置の間で移動自在に保持し、前記第1位置状態または前記第2位置状態で前記連通路に対面する流体入口及び流体出口を有するシリンダと、前記操作部材取付端部が貫通する貫通孔を有し、前記シリンダの開口に取り付けられ、前記シリンダからの前記ピストン本体の脱落を阻止するシリンダキャップと、前記ピストンと前記シリンダとの間で前記連通路を気密に保持するための複数のOリングと、前記ピストン又は前記シリンダの摺動面の一方に形成され、前記Oリングを収納する複数のOリング収納溝と、前記Oリング収納溝にそれぞれ設けられ、前記ピストンの移動に伴い前記Oリングを転動させるOリング転動長さが異なっている転動領域とを備える。
【0013】
Oリング転動長さは、各Oリング収納溝毎に異なっていることが好ましい。この場合にはOリングの静止摩擦域による摩擦抵抗が各Oリングで一斉に発生することがなく、各Oリングの静止摩擦域による摩擦抵抗の発生時期が分散されるため、一気に摩擦抵抗が増大することがなく、円滑な操作を可能にする。また、復帰動作においても、円滑な復帰が可能になり、摩擦抵抗が一気に発生し、例えばコイルバネの反発力による復帰動作を妨げることがなくスタッグが回避される。また、前記複数のOリング収納溝をグループに区分し、各グループ毎に異なる前記Oリング転動長さとすることにより、同様にして各Oリングによる摩擦抵抗の発生時期が分散されるため、円滑な操作とスタッグの回避が可能になる。したがって、潤滑剤を塗布する必要がなくなり、潤滑剤が管路から運ばれて、詰まりの原因となったり、内視鏡にあっては観察窓に潤滑剤が残留することによる視野妨害となったりすることがない。
【0014】
Oリング収納溝に設けられ、ピストンの第1位置から第2位置の移動に伴いOリングを転動させる転動領域を有することにより、ピストンの移動中、全部のOリングまたは一部のOリングはそのストローク中に転動することになり、この転動の分だけOリングの摺動抵抗が小さくなり、ピストンを円滑に移動させることができる。
【0015】
前記操作部材は、操作キャップと、前記操作キャップと前記シリンダキャップとの間に配置され、前記操作キャップの押圧操作に抗して前記ピストンを第1位置に向けて付勢する付勢部材とから構成されることが好ましい。
【0016】
前記流体入口または前記流体出口を前記Oリングが通過する位置にある前記Oリング収納溝の前記転動領域は、前記流体入口または流体出口の開口上を前記Oリングが転動するOリング転動長さを有することが好ましい。この場合には、流体入口または流体出口をOリングが通過するとOリングを転動させることができる。したがって、Oリングが流体入口などを通過するときに摺動移動する場合には、入口または出口の開口縁でOリングが削られることがあったが、これを無くして耐久性が向上する。また、削られることがないように潤滑剤を塗布する必要もなく、循環剤に起因する管路詰まりの原因や視野妨害などが発生することがない。
【0017】
前記第1位置及び前記第2位置の途中位置である第3位置に前記ピストンを位置決め可能にし、前記第3位置で前記シリンダに形成されている管路接続口と前記ピストンに形成されている連通路との連通する組み合わせを変えて複数の管路の連通及び遮断を切り換えることにより、1段階の切換の他に二段階の切換も可能になる。
【0018】
前記付勢部材はコイルバネとすることにより、構成が簡単になる他に、コイルバネの反発力で管路切換を復元させる場合のスタッグが回避される。
【0019】
管路切換装置を内視鏡に設けることが好ましく、さらには、管路切換装置が取り付けられる手元操作部を有する内視鏡とすることが好ましい。この場合には、パッキンに潤滑剤などを塗布することなく操作感が軽快であり、潤滑剤による管路詰まりや観察窓の水切れ性の低下などの発生もない内視鏡が得られる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、シリンダとピストンとの間を気密に保持するOリングの収納溝に、Oリングの転動を許容する転動領域を形成する。このため、Oリングが転がるときにはその押圧抵抗は小さい。Oリングの転がりが終了し、Oリングとシリンダとが摺動し始めるとその摩擦抵抗(摺動抵抗)により、押圧抵抗が大きくなる。そして、各Oリング収納溝で転動領域の長さを異ならせることにより、Oリングの転動が終了する時点が各Oリングで異なる。したがって、各Oリングによる摺動抵抗が一斉に増加することがなく、分散されるため、円滑な操作感が得られる。また、復元動作において復元力が摺動抵抗に負けてスタッグすることがなくなる。
【0021】
全てのOリングまたは一部のOリングを全ストロークにおいて転動させることにより、転動するOリングの作用によって、ピストンの円滑な移動が可能になる。押圧抵抗が少なくなるので、シリコンオイルなどの潤滑剤をOリングに塗布する必要がない。これにより、潤滑剤の管路への流出がなくなり、潤滑剤に起因する管路詰まりや観察窓に潤滑剤が残留することによる水切れ性の低下などが解消される。
【0022】
Oリングの転動領域内に、Oリングの接触面に形成されている開口を位置させることにより、開口をOリングが通過するときには転がって移動するため、Oリングが摺動する従来のものに比べて、開口の縁部でOリングが削られることがなく、耐久性が向上する。また、削られることがないように潤滑剤を塗布する必要もなく、循環剤の管路への流出に伴う弊害がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】内視鏡の概略図である。
【図2】操作キャップが押圧操作されていないときの吸引ボタンの断面図である。
【図3】操作キャップが全押しされたときの吸引ボタンの断面図である。
【図4】一般的なOリング収納溝とOリングとを示す断面図である。
【図5】押圧操作前のOリングを示す断面図である。
【図6】押圧操作開始直後の転動中のOリングを示す断面図である。
【図7】Oリングが転動域の終端に位置して転動を終了した状態を示す断面図である。
【図8】Oリングが摺動している状態を示す断面図である。
【図9】ピストンのストロークとそのときの押圧力との関係を示すグラフである。
【図10】OFF位置の第2実施形態の送ガス送水ボタンを示す断面図である。
【図11】二段押圧機構を示す断面図である。
【図12】半押し位置の第2実施形態の送ガス送水ボタンを示す断面図である。
【図13】全押し位置の第2実施形態の送ガス送水ボタンを示す断面図である。
【図14】押圧開始前の送ガス送水ボタンの第1〜第3Oリングの状態を示す断面図である。
【図15】押圧操作中の送ガス送水ボタンの第1〜第3Oリングの状態を示す断面図である。
【図16】第3実施形態のOリングとOリング収納溝を示す断面図である。
【図17】同じく接続口をOリングが転動中の第3実施形態の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示すように、内視鏡10は、被検体内に挿入される挿入部11と、この挿入部11の基端部に連結された操作部12と、この操作部12に一端が接続されたユニバーサルコード13とを有する。ユニバーサルコード13の他端部にはコネクタ14が取り付けられている。このコネクタ14を介して光源装置15が接続される。また、コネクタ14からは接続コード16が分岐し、この接続コード16を介してプロセッサ装置17が接続される。
【0025】
挿入部11は、断面円形の管状に形成され、可撓性を有している。この挿入部11の先端部11Aには、観察窓20、照明窓(図示せず)、送ガス送水ノズル21、鉗子・吸引口(吸引口)22などが設けられる。観察窓20に対面する位置で先端内部には、撮像ユニット23が配置される。撮像ユニット23は図示しない信号ケーブルにより挿入部11、操作部12、ユニバーサルコード13、接続コード16を介してプロセッサ装置17に接続される。送ガス送水ノズル21は、観察窓20やこれと一緒に照明窓などを送水や送気により洗浄する。吸引口22は、鉗子やスネア等の処置具の出口になるとともに、血液や体内汚物等の吸引物を吸引するための吸引口として利用される。
【0026】
挿入部11及び操作部12内には、一端が吸引口22に通じる処置具チャネル24と、一端が送ガス送水ノズル21に通じる送ガス送水管路25とが設けられる。なお、各管路の区別を容易に行うために、管路以外の部分(中空部を含む)を斜線で表示している。
【0027】
処置具チャネル24の他端は、挿入部11に設けられた処置具入口27に接続している。この処置具入口27は、処置具を挿入するとき以外は栓(図示せず)により塞がれている。また、処置具チャネル24からは吸引管路28が分岐しており、この吸引管路28は操作部12に設けられた吸引ボタン29に接続している。
【0028】
送ガス送水管路25の他端は、送ガス管路31と送水管路32とに分岐している。送ガス管路31及び送水管路32は、操作部12に設けられた送ガス送水ボタン33に接続している。
【0029】
送ガス送水ボタン33には、送ガス管路31、送水管路32の他に、送ガスユニット34に通じる送ガス源管路35の一端と、送水タンク36に通じる送水源管路37の一端とが接続されている。送ガスユニット34は炭酸ガスボンベからの炭酸ガスを一定圧力に減圧して、送ガス源管路35に供給する。
【0030】
送ガス源管路35の他端は、コネクタ14内で分岐管路38によって分岐されている。分岐管路38は送水タンク36の入口に接続している。また、送水源管路37の他端は、分岐管路38内を通って送水タンク36内に挿入されている。そして、分岐管路38を介した送ガスユニット34からの炭酸ガスにより、送水タンク36の内部圧力が上昇すると、送水タンク36内の水が送水源管路37へ送水される。
【0031】
送ガス送水ボタン33は、操作キャップ40が操作されていないOFF状態では、送ガス源管路35及び送水源管路37を遮断する。また、操作キャップ40が半押し状態では、送ガス送水ボタン33は、送水源管路37を遮断するとともに、送ガス源管路35を送ガス管路31のみに連通させる。これにより、送ガス源管路35から炭酸ガスが送ガス管路31を介して送ガス送水ノズル21から噴出される。そして、操作キャップ40が全押し状態では、送ガス送水ボタン33は、送ガス源管路35を遮断し、送水源管路37を送水管路32に連通させる。これにより、送水源管路37から送られる水が送ガス送水ノズルから噴出される。
【0032】
吸引ボタン29には、吸引管路28の他に、一端が吸引ポンプ42に通じる吸引源管路43の他端が接続されている。吸引ポンプ42も内視鏡の操作中は常時作動する。図2に示すように、吸引ボタン29は、その操作キャップ41が操作されていないときは、吸引源管路43を大気連通管路30を介して、外部(大気)に連通させる。これは吸引ポンプ42が常時作動しているので、吸引源管路43が大気と連通しないと、吸引ポンプ42に掛かる負荷が増加するためである。このため、吸引源管路43を大気と連通させることで吸引ポンプ42の負荷の増加が抑えられる。
【0033】
また、吸引ボタン29は、操作キャップ41が押されたときは、吸引源管路43を吸引管路28のみに連通させる。これにより、吸引管路28及び処置具チャネル24の負圧吸引力が上昇して、吸引口22から各種吸引物が吸引される。
【0034】
図2に示すように、吸引ボタン29は、シリンダ50、ピストン51、シリンダキャップ52を備える。ピストン51はシリンダ50内にスライド自在に収容される。シリンダキャップ52は、操作部材45を備える。
【0035】
操作部材45は、操作キャップ41と、コイルバネ48とから構成される。コイルバネ48は、操作キャップ41とシリンダキャップ52との間に配置される。コイルバネ48は、操作キャップ41の押圧操作に抗して、ピストン51をOFF位置(第1位置)に向けて付勢する。この操作部材45によって、操作キャップ41が何も操作されないOFF位置と、図3に示すように、ピストン51が押されたON位置との間で切り換えられる。
【0036】
シリンダ50は、有底筒状に形成される。シリンダ50の外周面には、吸引源管路接続口55A、大気連通管路接続口55B、吸引管路接続口55Cが形成され、これら接続口55A〜55Cには対応する管路28,30,43がそれぞれ接続される。なお、シリンダ50は、内筒からなるシリンダ本板と、外筒からなるシリンダケースとの二部品により形成してもよい。また、大気連通管路接続口55Bには管路30を接続せずにフリー状態にして大気と連通させてもよい。
【0037】
ピストン51はピストン本体51Aと、キャップ取付端部51Bとから構成される。ピストン本体51Aはシリンダ50内に移動自在に挿入される。キャップ取付端部51Bは、ピストン本体51Aに段部51Cを介して連続し、ピストン本体51Aよりも小径に形成される。
【0038】
ピストン本体51Aの外周面には、周溝からなる連通路58が形成される。なお、周溝に代えて、ピストン本体51Aに形成した連通孔から連通路58を形成してもよい。
【0039】
連通路58に対し、ピストン軸方向の両側で、ピストン本体51Aの外周面には、第1〜第4のOリング収納溝61〜64が形成される。第1Oリング収納溝61,第2Oリング収納溝62は、連通路58に対して、操作キャップ41側に形成される。また、第3Oリング収納溝63及び第4Oリング収納溝64は、連通路58に対して、操作キャップ41側とは反対側に形成される。これら第1〜第4のOリング収納溝61〜64内には、Oリング65A〜65Dが収納される。
【0040】
図4に示すように、一般的なOリング収納溝66の溝幅W1は、Oリング65が収納溝66内で潰されて変形してシール対象の摺動面(シリンダ50の内周面50A)に接触するように形成される。このため、溝幅W1は線経D1と略同じか若干小さく形成されており、収納溝66内でOリング65が転動することがない。
【0041】
これに対して、図5〜図8に示すように、第1のOリング収納溝61は、線経D1に比べて溝幅W1が一般的なものよりも長く形成される。この溝幅W1から線経D1を引いた差(W1−D1)が転動長さWR1となる。この転動長さWR1分の余裕空間が転動領域RA1であり、この転動領域RA1内でOリング65Aが転動長さWR1分だけ転動可能になる。第2〜第4Oリング収納溝62〜64もそれぞれ転動領域RA2,RA3,RA4を有する。各転動領域RA1〜RA4における転動長さWR1,WR2,WR3,WR4の関係は、第1Oリング収納溝61の転動長さWR1が最も短く、次に第2Oリング収納溝62の転動長さWR2、第3Oリング収納溝63の転動長さWR3、第4Oリング収納溝64の転動長さWR4の順に長くなる(WR1<WR2<WR3<WR4)。
【0042】
図2に示すように、シリンダキャップ52は、内筒部52A及び外筒部52Bの二重筒状に構成されており、これら内筒部52A及び外筒部52Bは仕切り部52Cにより一体化されている。外筒部52Bのピストン取付側には図示しない雌ねじ部が形成されており、シリンダ50の雄ねじ部と螺合し、シリンダ50にシリンダキャップ52が取り付けられる。なお、必要に応じて、これら各取付面には図示は省略したがOリングなどののパッキンが適宜配置される。また、図示は省略したが、外筒部52Bにはブラケットが延設されており、このブラケットを介してビス止めなどにより、内視鏡10の手元操作部12(図1参照)に取り付けられる。
【0043】
ピストン51のキャップ取付端部51Bには操作キャップ41が取り付けられる。操作キャップ41とシリンダキャップ52の間でキャップ取付端部51Bには、1個のコイルバネ48が縮装される。コイルバネ48は、自然長よりもピストン51の軸方向に圧縮された状態で操作キャップ41とシリンダキャップ52との間に配置されており、その中心にキャップ取付端部51Bが挿通される。
【0044】
コイルバネ48の縮装により、操作キャップ41がシリンダキャップ52から常時持ち上げられた状態となる。この状態が、吸引ボタン29が何も操作されないOFF位置となる。図2に示すように、OFF位置では、ピストン51の連通路58に、シリンダ50の吸引源管路接続口55Aと、大気連通管路接続口55Bとが対面する。これにより、OFF位置では、吸引ポンプ42(図1参照)により大気連通管路30から大気が吸引される。また、OFF位置では、吸引管路28が接続される吸引管路接続口55Cは、第3Oリング65Cと第4Oリング65Dとの間の遮蔽部60により、遮蔽される。
【0045】
図3に示すように、操作キャップ41が押圧されてピストン51がON位置になると、ピストン51の連通路58に、シリンダ50の吸引源管路接続口55Aと吸引管路接続口55Cとが対面する。また、大気連通管路接続口55Bは、第1Oリング65Aと第2Oリング65Bとの間の遮蔽部59により遮蔽される。これにより、吸引管路28から吸引が開始される。
【0046】
図9は、ピストン51の移動による押圧力の変化を示すグラフである。ピストン51の移動開始時にはOリング65Aとシリンダ50との間には静止摩擦が作用し、この静止摩擦によって押圧力が次第に増加する。押圧力がF1になるとOリング収納溝61内でOリング65Aが転動を開始する(図6参照)。このOリング転動時は、摺動抵抗に比べて転動抵抗は小さいため、押圧力の増加は微小である。Oリング転動時の押圧抵抗(転動抵抗)と、転動領域の終端に達してOリング65Aの転動が規制された後(図7参照)の、Oリング65Aとシリンダ50との摺動による押圧抵抗(摺動抵抗)とは異なる。しかも、摺動抵抗の方が転動抵抗に比べて大きいので、この抵抗の違いによって、転動域の終端にOリング65が達したときに押圧抵抗が急激増加する。また、転動領域の終端にOリング65が達した直後は、図8に示すように、摺動摩擦発生領域A1において静止摩擦が発生し、静止摩擦による押圧抵抗がピークとなり、押圧力がF2となって最大となる。やがて、静止摩擦による押圧抵抗を超えてピストンが移動すると、摺動による動摩擦抵抗を受ける。摺動による動摩擦抵抗は静止摩擦のピーク時よりも低くなるので、押圧力がF2よりも小さいF3になる。
【0047】
本実施形態では4個のOリング65A〜65Dを用いているため、従来のように、転動を用いないOリング収納溝66の場合には、これら4個のOリング65A〜65Dによる摺動抵抗が一斉に作用する。各Oリングの摺動抵抗が積算されて作用するため、押圧抵抗が大きくなる。
【0048】
これに対して、本実施形態では、各Oリング収納溝61〜64の転動領域RA1〜RA4の転動長さWR1〜WR4を変えており、各Oリング65A〜65Dの摺動抵抗が転動領域RA1〜RA4の転動長さWR1〜WR4の相違分だけ時間差をもって発生する。したがって、各Oリング65A〜65Dによる摺動抵抗が各ストロークの押圧開始時に集中することがなくなり分散されるので、押圧力が小さくて済み、しかも急激な摺動抵抗の増加が無いため、円滑な押圧操作が可能になる。同様にして、復帰動作時にも、同様に各Oリング65A〜65Dが順次に転動を開始し、摺動抵抗の発生時期を各Oリング65A〜65Dでずらすことができるため、従来のように摺動抵抗が一斉に作用することがなく、コイルバネ48の反発力が摺動抵抗に負け、ボタンが復元しないスタッグ状態になることがあったが、これが回避される。これにより、押圧抵抗が一気に上がることがなく、円滑な操作感が得られる。
【0049】
次に、図10〜図13を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、送ガス送水ボタン33に本発明を実施したものである。この送ガス送水ボタン33は、管路切換装置本体70と、二段押圧機構71とから構成される。図11に示すように、管路切換装置本体70は、ピストン76及びシリンダ77を有する。二段押圧機構71は、操作キャップ40、シリンダキャップ72、二つのコイルバネ73,74、中間ガイド筒75を有する。この二段押圧機構71によって、ピストン76をシリンダ77内で、何も操作されないOFF位置(図10参照)から、半押し位置(図12参照)、全押し位置(図13参照)の二段階に移動させる。
【0050】
図11に示すように、操作キャップ40を押圧すると、付勢力が第2コイルバネ74に比べて弱い第1コイルバネ73が変形を開始し、操作キャップ40の底部と中間ガイド筒75の上端が接する。この状態からさらに押圧を続行すると、第1コイルバネ73の反発力に、第2コイルバネ74の反発力が加わるため、押圧抵抗が増加する。したがって、図12に示すように、第2コイルバネ74の反発力が加わる直前の位置を半押し位置に設定する。半押し位置を超えてさらに操作キャップ40を押圧すると、ピストン76がストローク終端に達し、それ以上の押圧が不能になる。この位置が図13に示すように、全押し位置となる。
【0051】
図10に示すように、シリンダ77は、内筒からなるシリンダ本体78と、外筒からなるシリンダケース79とから構成される。シリンダケース79には、送ガス管路接続口79A、送水管路接続口79B、送ガス源管路接続口79C及び送水源管路接続口79Dが形成され、これら接続口79A〜79Dには対応する管路31,32,35,37がそれぞれ接続される。シリンダ本体78には、前記各接続口79A〜79Dに対応する位置で連通溝80A,80B,80Cと連通孔81A,81B,81Cが形成される。
【0052】
ピストン76はピストン本体76Aと、キャップ取付端部76Bとから構成される。ピストン本体76Aはシリンダ本体78内に移動自在に挿入される。キャップ取付端部76Bは、ピストン本体76Aに段部76Cを介して連続し、ピストン本体76Aよりも小径に形成される。
【0053】
ピストン本体76Aの外周面には、第1連通路85及び第2連通路86が、軸方向に離間して形成される。これら連通路85,86は周溝から構成される。
【0054】
第2連通路86に対し、ピストン軸方向の両側には、第1及び第2のOリング収納溝87,88が形成される。また、第1連通路85に対し、ピストン軸方向の両側には第3及び第4のOリング収納溝89,90が形成される。これら第1〜第4のOリング収納溝87〜90内には、Oリング91A〜91Dが収納される。
【0055】
図14及び図15に示すように、第1〜第3のOリング収納溝87〜89は、転動領域RA1〜RA3を有する。これら転動領域RA1〜RA3は、例えば、順に次第に転動長さWR1,WR2,WR3(WR1<WR2<WR3)が長くされる。
【0056】
図10に示すように、第4Oリング収納溝90は、Oリング91Dを転動させる必要が無いので、図4に示す一般的なOリング収納溝66と同様に形成される。この第4Oリング収納溝90内に収納される第4Oリング91Dは、突き当てパッキンとして作用する。第4Oリング収納溝90は、ピストン本体76Aに対し、キャップ取付端部76Bとは反対側の端部に形成される。そして、シリンダ本体78の他端の傾斜面78Bに、コイルバネ73,74の付勢によって第4Oリング91Dが突き当てられる。この突き当てによって、シリンダ内周面とピストン外周面との間が気密に保持される。なお、Oリング91Dが突き当てられる傾斜面78Bの代わりに段差面を用いてもよい。
【0057】
第4Oリング91Dに隣接し、第1連通路85が形成されている。この第1連通路85の下端は第4Oリング収納溝90と連通している。したがって、操作キャップ40がコイルバネ73,74の付勢に抗して押されると、図12に示すように、傾斜面78BとOリング91Dとの間に隙間92が発生する。この隙間92によって、第1連通路85を介して、送ガス源管路35と送ガス管路31とが連通し、炭酸ガスが送ガス送水ノズル21(図1参照)に送られる。操作キャップ40による半押し時の押圧ストロークST1は、例えば0.1mm以上0.5mm以下程度の僅かであってよい。このような僅かなストロークであっても、第4Oリング91Dの突き当てによる遮断としているので、送気が確実に行われる。
【0058】
図10に示すように、操作キャップ40が何も操作されないOFF位置では、ピストン76の第2連通路86にシリンダ77の送水源管路接続口79Dに連通する連通溝80Aが位置するものの、送水管路接続口79Bは第2のOリング91Bと第3のOリング91Cとに挟まれた遮蔽部93で遮蔽され、送水は行われない。同様に、このOFF状態では、ピストン76の第1連通路85にシリンダ77の送ガス源管路接続口79Cに連通する連通孔81Cが位置するものの、第4Oリング91Dにより送ガス管路接続口79Aとピストン76の第1連通路85とは遮断されているため、送気は行われない。
【0059】
操作キャップ40の押圧操作により、ピストン76が押し下げられると、図12に示すように、傾斜面78BとOリング91Dとの間に隙間92が発生する。この隙間92によって、第1連通路85を介して、送ガス源管路35と送ガス管路31とが連通し、炭酸ガスが送ガス送水ノズル21(図1参照)に送られる。
【0060】
図13に示すように、操作キャップ40の押圧操作により、ピストン76がさらに押し下げられると、ピストン本体76Aの第2Oリング91Bと第3Oリング91Cとの間の遮蔽部93により送ガス源管路接続口79Cが塞がれるため、炭酸ガスが遮断される。また、シリンダケース79の底にピストン本体76Aの先端が当たり、移動終端に達する。この移動終端位置では、第2連通路86によって送水源管路接続口79Dと送水管路接続口79Bとが連通し、送水源管路接続口79Dから送ガス送水ノズル21に送水される。
【0061】
本実施形態では、図14に示すように、各Oリング収納溝87〜89の転動領域RA1〜RA3の転動長さWR1〜WR3をそれぞれ変えているため、摺動抵抗が発生する時期が、各Oリング91A〜91Cでずれることになり、従来のように一斉に摺動抵抗が作用する場合に比べて、押圧抵抗を小さくすることができる。したがって、円滑な押圧が行える。また、全押し位置からOFF位置に戻す場合には、各転動領域RA1〜RA3でOリング91A〜91Cが転動しながら、順次摺動に切り換わっていくため、押圧操作時と同じように、摺動抵抗が一斉に作用することがなく、分散されるため、円滑な復帰が可能になる。また、摺動抵抗が一斉に作用することがないので、コイルバネ73,74(図11参照)の反発力が摩擦抵抗に負けて、ピストン76が復元しないスタッグ状態になることがあったが、これを回避することができる。
【0062】
次に、図16及び図17を参照して本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態は、図2及び図3に示す第1実施形態の第2Oリング収納溝62、第3Oリング収納溝63の転動長さを、ピストン51の全ストローク長さよりも長く形成したものであり、その他は第1実施形態と同じに形成されている。これらのOリング収納溝62,63内の第2Oリング65B、第3Oリング65Cは、それぞれ接続口55A,55Bを乗り越えて移動する。この乗り越え移動を転動で行うように、各Oリング収納溝62,63を吸引ボタン29のストロークよりも長い転動長さWR5を有する転動領域RA5を設ける。なお、図16,図17では、第2Oリング収納溝62について説明しているが、第3Oリング収納溝63も第2Oリング収納溝62と同じに構成される。これにより、例えば大気連通管路接続口55Bの開口95を第2Oリング65Bが転がりながら移動するため、従来のように摺動して移動するものと異なり、開口95の縁でOリング65Bが削られることがなくなる。したがって、Oリング65Bの耐久性を向上することができる。しかも、ピストン51の移動中、Oリング65B、65Cはそのストローク中の全領域にて転動することになり、この転動の分だけOリング65B、65Cの摺動抵抗が小さくなり、ピストン51を円滑に移動させることができる。また、転動となるため、潤滑剤をOリング65B、65Cに塗布する必要もなく、潤滑剤が管路に流出することによる管路詰まりや観察窓の視野障害などが発生することがなくなる。
【0063】
なお、第3実施形態では、ピストン51のストローク中において、接続口55Bの開口95を乗り越えるOリング65B、65Cが収納されるOリング収納溝62,63に対してのみ、ストローク以上の転動長さWR5を有する転動領域RA5を設けたが、これに限らず、全てのOリング収納溝61〜64に、ストローク以上の転動長さWR5を有する転動領域RA5を設けてもよい。この場合には、Oリング65A〜65Dが全て転がり移動するため、摺動抵抗が発生することがなく、押圧抵抗を小さくすることができ、円滑な押圧を可能とする。また、押圧が円滑になる分、潤滑剤を塗布する必要もなく、潤滑剤に起因する弊害も発生することがない。
【0064】
また、第1実施形態の奇数番の第1Oリング65A、第3Oリング65Cを有するOリング収納溝61,63と、偶数番の第2Oリング65B、第4Oリング65Dを有するOリング収納溝62,64のように、各Oリング65A〜65DとOリング収納溝61〜64とをグループに区分し、各グループ毎に異なる前記Oリング転動長さとしてもよい。この場合には、各Oリングによる摩擦抵抗の発生時期がグループ毎に分散されるため、円滑な操作とスタッグの回避が可能になる。したがって、潤滑剤を塗布する必要がなくなり、潤滑剤が管路から運ばれて、詰まりの原因となったり、内視鏡にあっては観察窓に潤滑剤が残留することによる視野妨害となったりすることがない。
【0065】
上記実施形態では、OFF位置から半押し位置の押圧により送ガスを行い、半押し位置から全押し位置の押圧により送水を行っているが、送ガスと送水との接続口は入れ替えてもよい。この場合には、半押し位置で送水に切り換わり、全押し位置で送気に切り換わる。
【0066】
上記各実施形態では、第1及び第2連通路85,86を周溝から形成しているが、これに代えて、ピストン内部に連通する連通孔により形成してもよい。また、例えば転動領域RA1〜RA3を有するOリング収納溝87〜89をピストン76に形成しているが、これはシリンダ77に形成しても良い。また、Oリング91A〜91Cの転動を利用して、二段押圧について説明したが、この他に、三段押圧やそれ以上の押圧に本発明を実施してもよい。付勢部材として、コイルバネ73,74を用いたが、他のゴムなどの弾性体を用いて付勢してもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、吸引ボタン29や送ガス送水ボタン33に本発明を実施した例について説明したが、その他の内視鏡用管路切換装置、例えば超音波内視鏡におけるバルーン操作のための送気送水ボタンなどに本発明を実施してもよい。例えば、バルーン操作用の吸引ボタンでは、吸引管路、バルーン排水管路、吸引源管路の計3つの管路が接続する。さらには、これらの管路の他に、他の管路も接続して例えば4種類以上の各種管路を接続してもよい。なお、第1実施形態及び第2実施形態における各種管路の切り換えは一例であり、管路を切り換えることができるものであればよい。
【0068】
また、内視鏡に限らず、他のOリングを用いた管路切換装置に対しても、本発明を適用することにより、簡単な構成で押圧抵抗を小さくすることができる。また、管路の切り換えも、送ガスや送水以外の管路切り換えに実施することができる。操作部材も操作キャップによる手動操作の例を説明したが、この他にソレノイドやモータなどの各種アクチュエータを用いた操作部材からなる管路切換装置にも本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0069】
10 内視鏡
11 挿入部
12 操作部
28 吸引管路
29 吸引ボタン
31 送ガス管路
32 送水管路
33 送ガス送水ボタン
35 送ガス源管路
37 送水源管路
40,41 操作キャップ
48 コイルバネ
50 シリンダ
51 ピストン
52 シリンダキャップ
55A 吸引源管路接続口
55B 大気連通管路接続口
55C 吸引管路接続口
58 連通路
61〜64 Oリング収納溝
65A〜65D Oリング
72 シリンダキャップ
79A 送ガス管路接続口
79B 送水管路接続口
79C 送ガス源管路接続口
79D 送水源管路接続口
85 第1連通路
86 第2連通路
87〜90 Oリング収納溝
91A〜91D Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部材と、
前記操作部材が取り付けられる操作部材取付端部及び本体部からなり、前記本体部の周面に連通路を有するピストンと、
前記ピストンを移動始端である第1位置、移動終端である第2位置の間で移動自在に保持し、前記第1位置状態または前記第2位置状態で前記連通路に対面する流体入口及び流体出口を有するシリンダと、
前記操作部材取付端部が貫通する貫通孔を有し、前記シリンダの開口に取り付けられ、前記シリンダからの前記ピストン本体の脱落を阻止するシリンダキャップと、
前記ピストンと前記シリンダとの間で前記連通路を気密に保持するための複数のOリングと、
前記ピストン又は前記シリンダの摺動面の一方に形成され、前記Oリングを収納する複数のOリング収納溝と、
前記Oリング収納溝にそれぞれ設けられ、前記ピストンの移動に伴い前記Oリングを転動させるOリング転動長さが異なっている転動領域と
を備えることを特徴とする管路切換装置。
【請求項2】
前記Oリング転動長さは、各Oリング収納溝毎に異なっていること特徴とする請求項1記載の管路切換装置。
【請求項3】
前記複数のOリング収納溝をグループに区分し、各グループ毎に異なる前記Oリング転動長さとすることを特徴とする請求項1記載の管路切換装置。
【請求項4】
操作部材と、
前記操作部材が取り付けられる操作部材取付端部及び本体部からなり、前記本体部の周面に連通路を有するピストンと、
前記ピストンを移動始端である第1位置、移動終端である第2位置の間で移動自在に保持し、前記第1位置状態または前記第2位置状態で前記連通路に対面する流体入口及び流体出口を有するシリンダと、
前記操作部材取付端部が貫通する貫通孔を有し、前記シリンダの開口に取り付けられ、前記シリンダからの前記ピストン本体の脱落を阻止するシリンダキャップと、
前記ピストンと前記シリンダとの間で前記連通路を気密に保持するための複数のOリングと、
前記ピストン又は前記シリンダの摺動面の一方に形成され、前記Oリングを収納する複数のOリング収納溝と、
前記Oリング収納溝に設けられ、前記ピストンの第1位置から第2位置の移動に伴い前記Oリングを転動させる転動領域と
を備えることを特徴とする管路切換装置。
【請求項5】
前記操作部材は、
操作キャップと、
前記操作キャップと前記シリンダキャップとの間に配置され、前記操作キャップの押圧操作に抗して前記ピストンを第1位置に向けて付勢する付勢部材とから構成されることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の管路切換装置。
【請求項6】
前記流体入口または前記流体出口を前記Oリングが通過する位置にある前記Oリング収納溝の前記転動領域は、前記流体入口または流体出口の開口上を前記Oリングが転動するOリング転動長さを有することを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の管路切換装置。
【請求項7】
前記第1位置及び前記第2位置の途中位置である第3位置に前記ピストンを位置決め可能にし、前記第3位置で前記シリンダに形成されている管路接続口と前記ピストンに形成されている連通路との連通する組み合わせを変えて複数の管路の連通及び遮断を切り換えることを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の管路切換装置。
【請求項8】
前記付勢部材はコイルバネであることを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の管路切換装置。
【請求項9】
前記管路切換装置は内視鏡に設けられることを特徴とする請求項1から8いずれか1項記載の管路切換装置。
【請求項10】
請求項1から9いずれか1項記載の管路切換装置が取り付けられる手元操作部を有することを特徴とする内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−254136(P2012−254136A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127931(P2011−127931)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】