管路口または保護管の止水構造、止水部材のずれ止め方法、管路口または保護管の止水部材
【課題】 簡易な構造で確実に止水ができるとともに、外力が付与された場合にも変形を防止することができるケーブル保護管の止水構造等を提供する。
【解決手段】 止水部材1の長さ方向は、ケーブル外周に対する巻きつけ長さとなる。止水部材1の表面の水膨張性部材3側には表側凹凸部である表面凹部7a、表面凸部7bが形成される。同様に、止水部材1の裏面の形状保持部材5側には裏側凹凸部である裏面凹部9a、裏面凸部9bが形成される。表面凹部7b(表面方向に凹)および表面凸部7b(表面方向に凸)は、止水部材1の長手方向に延伸するように互いに平行に形成される。同様に、裏面凹部9b(裏面方向に凹)および裏面凸部9b(裏面方向に凸)は、止水部材1の長手方向に(止水部材の長手方向に平行に)延伸するように互いに平行に形成される。
【解決手段】 止水部材1の長さ方向は、ケーブル外周に対する巻きつけ長さとなる。止水部材1の表面の水膨張性部材3側には表側凹凸部である表面凹部7a、表面凸部7bが形成される。同様に、止水部材1の裏面の形状保持部材5側には裏側凹凸部である裏面凹部9a、裏面凸部9bが形成される。表面凹部7b(表面方向に凹)および表面凸部7b(表面方向に凸)は、止水部材1の長手方向に延伸するように互いに平行に形成される。同様に、裏面凹部9b(裏面方向に凹)および裏面凸部9b(裏面方向に凸)は、止水部材1の長手方向に(止水部材の長手方向に平行に)延伸するように互いに平行に形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル保護管端部における、収納ケーブルと管路口または保護管との隙間に形成される管路口または保護管の止水構造、止水部材のずれ止め方法および管路口または保護管の止水部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電線や光ファイバ等のケーブルが敷設される際には、ケーブルが保護管に挿通されて敷設される。図11は、このようなケーブル保護管を示す図である。図11(a)に示すように、内部にケーブル53が挿通された保護管51は、例えばハンドホール55間に敷設される。
【0003】
図11(b)は、図11(a)のE部拡大図である。図11(b)に示すように、ハンドホール55には保護管51が取り付けられる。保護管51の接続部には、ベルマウス等が設けられ、保護管55とベルマウスとの隙間には止水部材が設けられる。保護管51の端部の内部には、ケーブル53と保護管51内面との間に水膨張部材130が設けられる。水膨張部材130は、水を吸収すると膨張する部材であり、ケーブル53と保護管51との間の隙間を埋めて、例えば、保護管51内を流れた水がハンドホール55内部に流入することを防止する。
【0004】
水膨張部材130によって、例えば他の何らかの原因により、ハンドホール内部や、敷設された保護管の一部、または保護管同士の継手部等から侵入した水を確実に止水でき、保護管51内を通じてハンドホール内部に水が流入することを防止することができる。
【0005】
このような、止水方法としては、例えば、所定の吸水性樹脂を用い、当該止水部材をケーブルの周囲に巻きつけて、ケーブルと保護管の間に介在させた止水方法がある(特許文献1)。
【0006】
また、端部を凹凸にし、または、表裏に貼着材が張り付けられた止水材料があり、当該止水材料はケーブルに巻きつけられて保護管に挿入される(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−58147号公報
【特許文献2】特開平8−168157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1、特許文献2いずれの方法も、止水部の機械的な強度に問題がある。図12(a)は保護管51を軸方向から見た断面図であり、図12(b)は図12(a)のF−F線横断面図である。図に示すように、ケーブル53の外周には、水膨張部材130が巻きつけられて、保護管51内に設置される。
【0009】
前述の通り、水膨張部材130に水が吸収されると、水膨張部材130が膨張し、ケーブル53と保護管51の内面の隙間が塞がれて止水される。水膨張部材130は、材質等によって膨張率が調整可能であり、止水性能は十分確保可能であるが、膨張後の止水部に力が付与された際に水膨張部材同士が容易にすべり、止水性が低下する。
【0010】
図12(c)は、止水部が変形した状態を示す図であり、例えば保護管51内を水が流れてきた場合に、止水部には水圧が付与される(図中矢印F)。水膨張部材130は、単にケーブル53に巻きつけられているのみであるため、膨張時に互いに重なり合う部分がすべり、止水部が水圧により変形する。このため、止水性能が劣化し、また、止水部が崩壊する恐れがある。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、簡易な構造で確実に止水ができるとともに、外力が付与された場合にも変形を防止することができる管路口または保護管の止水構造等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達するために第1の発明は、管路口または保護管の止水構造であって、少なくとも、表面側の水膨張性部材と、裏面側の形状保持部材とを有する止水部材を用い、弾性部材からなる前記形状保持部材には、裏側凹凸部が形成され、管路口または保護管の内部に挿通されたケーブルの外周に、前記止水部材が巻きつけられており、前記止水部材の最内周または最外周の少なくともいずれかに別途水膨張シートが設けられることで、前記ケーブルの外周面および前記管路口または保護管の内周面には、それぞれ前記水膨張シートまたは前記止水部材の水膨張性部材が設けられ、巻きつけられた前記止水部材において前記形状保持部材に重なり合う前記水膨張性部材が前記裏側凹凸部の凹部に嵌り込むことを特徴とする管路口または保護管の止水構造である。前記止水部材が前記形状保持部材側を内周面側にして巻きつけられる場合には、前記ケーブルの外周面に前記水膨張シートが設けられ、前記水膨張シートの外周に前記止水部材が巻きつけられ、
前記止水部材が前記形状保持部材側を外周面側にして巻きつけられる場合には、前記管路口または保護管の内周面に前記水膨張シートが設けられ、前記止水部材の外周に前記水膨張シートが巻きつけられる。ここで、止水部材の最内周に水膨張シートを設けるのは、最内周が形状保持部材で形成されると、最内周の形状保持部材とケーブルとの当接面から水漏れをするし、止水部材の最外周に水膨張シートを設けるのは、最外周が形状保持部材で形成されると管路口または保護管の内周面の当接部から水漏れをするが、最外周を水膨張シートで形成すると、水膨張シートと管路口または保護管の内周面とからの水の侵入を防止することができる。なお、本発明において保護管とは、電線管(内部に電線またはケーブルを挿通するプラスチック製の可撓管または直管)および継手を指すものである。
【0013】
前記水膨張性部材には、表側凹凸部が形成され、前記表側凹凸部は、前記裏側凹凸部と対応した態様で形成されており、前記止水部材が前記ケーブルに巻きつけられた状態で、互いに重なり合う前記表側凹凸部と前記裏側凹凸部とが嵌合されていることが望ましい。前記止水部材が前記ケーブルに巻きつけられた状態で、前記裏側凹凸部の凸部および/または凹部が、前記ケーブルの軸方向に対して所定の角度を有するように配置されてもよく、この場合、直線状、湾曲した曲線状、屈曲した折線状のいずれかに配置されてもよい。また、前記止水部材が前記ケーブルに巻きつけられた状態で、前記裏側凹凸部の凸部および/または凹部が、前記ケーブルの軸方向に対して略垂直な方向に配置されてもよく、この場合、直線状、湾曲した曲線状、屈曲した折線状のいずれかに配置されてもよい。
【0014】
前記止水部材は、形状保持部材と水膨張性部材からなり、前記水膨張性部材は水膨張性不織布であり、前記形状保持部材はゴムまたは熱可塑性エラストマであることが望ましい。
【0015】
第1の発明によれば、表裏に水膨張性部材と形状保持部材とが形成された止水部材を用い、形状保持部材の凸部および/または凹部は、前記ケーブルの周方向に対して直線状、湾曲した曲線状、屈曲した折線状あるいはとびとびに点状に離散的に複数列に渡って配置されるように前記止水部材が巻きつけることで、水膨張性部材が止水部材の裏面の凹凸部に嵌り込むため、ケーブル軸方向に止水部材の重ね部が滑ることによる止水部材のずれを防止することができる。また、水膨張性部材と形状保持部材のそれぞれに凹凸部を形成し、嵌合止水部材表裏の凹部と凸部とが嵌合することで、より確実にずれを防止できるとともに、隙間が生じることがない。
【0016】
特に、表側凹凸部および前記裏側凹凸部のそれぞれの凹部および凸部が平行であり、互いの凹部及び凸部が表裏の対応する位置に配置されるため、止水部材をまるめてケーブルの外周に巻きつけた際に、確実に互いの凹凸を嵌合させることができる。また、ケーブルの外周面もしくは、管路口または保護管の内周面に水膨張シートを少なくとも1回以上巻着き付けることでより確実に止水を行うことができる。ここで、止水部材の水膨張部材を、ケーブルの外周面と反対側に向けて巻きつける場合と、ケーブル側に向けてケーブルに当接させて巻きつける場合の両方が可能であるが、水膨張部材をケーブルの外周面と反対側に向けて巻きつける場合は、最内周のケーブルの外周面と当接する部分に水膨張シートを少なくとも1回以上巻きつけた構造であり、水膨張部材をケーブル側に向けてケーブルに当接させて巻きつける場合は、止水部材の最外周が形状保持部材となるため、さらに形状保持部材の外周に水膨張シートを1回以上巻きつけた構造となる。なお、水膨張シートは、最内周(ケーブル外周面)と最外周(管路口または保護管の内周面)のいずれか一方のみに設けてもよいが、両方に設けてもよい。
【0017】
また、水膨張性部材が水膨張性不織布であり、形状保持部材がゴムまたは熱可塑性エラストマであれば、水膨張性部材が確実に水を吸収して膨張可能であるとともに、水膨張部が容易に変形可能であるため、巻き付けおよび嵌合が容易である。また、形状保持部材がゴムまたは熱可塑性エラストマであれば、凹凸形状を保持しつつ巻き付けの際の変形も容易である。ここで、形状保持部材としてのゴム及び熱可塑性エラストマはやわらかい方が、巻き付け性が向上するとともに、ケーブルや水膨張部材への密着性も向上するために好ましい。
【0018】
第2の発明は、管路口または保護管の止水構造における止水部材のずれ止め方法であって、少なくとも、表面側の水膨張性部材と、裏面側の形状保持部材とを有し、前記形状保持部材の、前記止水部材には裏側凹凸部が設けられる止水部材を用い、水膨張性シートを最内周または最外周のいずれかに設けた状態で、ケーブルの外周に前記止水部材を巻きつけて管路口または保護管の内部に挿通し、前記止水部材が前記ケーブルに巻きつけられた状態で、前記裏側凹凸部の凸部および/または凹部が、前記止水部材の重なり合う面同士の前記水膨張性部材を前記裏側凹凸部の凹部に嵌めることにより、巻きつけられた前記止水部材が前記ケーブルの軸方向へずれることを防止することを特徴とする止水部材のずれ止め方法である。
【0019】
第2の発明によれば、止水部材の裏面に凹凸部が形成され、凸部および凹部がケーブルの周方向に配置されて止水部材がケーブルに巻きつけられるため、ケーブルの軸方向には、凹部および凸部が隣接して形成され、水膨張性部材が凹凸部に嵌り込む。このため、ケーブルの軸方向に、止水部材がずれることがない。
【0020】
第3の発明は、管路口または保護管の止水部材であって、前記止水部材は、少なくとも、前記止水部材の表面側の水膨張性部材と、前記止水部材の裏面側の形状保持部材とを有し、弾性部材からなる前記形状保持部材には、裏側凹凸部が形成され、前記止水部材を丸めて前記止水部材同士が重なる部位において、前記水膨張性部材が前記裏側凹凸部に嵌り込むことが可能であることを特徴とする管路口または保護管の止水部材である。
【0021】
第3の発明によれば、凹凸部が裏面側の形状保持部材に形成されるため、丸めた際に(対象物であるケーブルの外周に巻きつけた際に)、重なり合う水膨張性部材が裏面側の凹凸部に嵌り込むようにすることができる。このため、巻きつけられた止水部材がケーブル軸方向にずれることを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、簡易な構造で確実に止水ができるとともに、外力が付与された場合にも変形を防止することができる管路口または保護管の止水構造等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】止水部材1を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A線断面図。
【図2】止水部材1をケーブル13に巻きつけて保護管11に装着した状態を示す図。
【図3】(a)は図2のB−B線断面図、(b)は図2のC−C線断面図。
【図4】図3(b)のD部拡大図。
【図5】止水部材1を管路口に設けた状態を示す図。
【図6】他の実施形態を示す図で、(a)は止水部材20を示す図、(b)は止水部材30を示す図、(c)は止水部材40を示す図。
【図7】他の実施形態を示す図で、(a)は止水部材50を示す図、(b)は止水部材50をケーブルに巻きつけた状態を示す図。
【図8】他の実施形態を示す図で、(a)は止水部材60を示す裏面図、(b)は(a)のE−E線断面図、(c)は止水部材70を示す裏面図。
【図9】他の実施形態を示す図で、(a)は止水部材80を示す裏面図、(b)は止水部材90を示す裏面図、(c)は止水部材100を示す裏面図。
【図10】他の実施形態を示す図で、(a)は止水部材110を示す裏面図、(b)は止水部材120を示す裏面図。
【図11】従来のハンドホール5同士を保護管51で接続し、ケーブル53を挿通した状態を示す図で、(a)は全体図、(b)は(a)のE部拡大図。
【図12】従来の保護管51に止水部材51が装着された状態を示す図で、(a)軸方向から見た断面図、(b)は(a)のF−F線断面図、(c)は(b)に対してF方向に力が付与された状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る止水部材1を示す図であり、図1(a)は斜視図、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図である。なお、本発明にかかる止水部材1は、例えば、図11、図12に示した水膨張部材130に代わるものであるため、使用状態等については重複する説明を省略するが、内部にケーブルが挿通される保護管において、ケーブルと保護管内面との間の止水を要する部位であれば、ハンドホールとの接続部に限られず、いずれの部位においても使用可能である。なお、以下の説明においては、保護管として電線管の例を示すが、管継手に対しても同様に使用できる。
【0025】
止水部材1は、所定幅のシート状部材であり、表面側が水膨張性部材3により形成され、裏面側が形状保持部材5により形成される。水膨張性部材3は、水を吸収して体積が膨張し、通常の状態で多少のクッション性を有すれば良く、例えば水膨張性の繊維を含む不織布である。形状保持部材5は、弾性変形可能であり、形状を保持できれば良く、たとえばゴムまたは熱可塑性エラストマ等が使用できる。
【0026】
止水部材1の長さ方向(図1(a)の上下方向)は、ケーブル外周に対する巻きつけ長さとなる。止水部材1の表面の水膨張性部材3側には表側凹凸部である表面凹部7a、表面凸部7bが形成される。同様に、止水部材1の裏面の形状保持部材5側には裏側凹凸部である裏面凹部9a、裏面凸部9bが形成される。
【0027】
表面凹部7a(表面方向に凹)および表面凸部7b(表面方向に凸)は、止水部材1の長手方向に(止水部材の長手方向に平行に)延伸するように互いに平行に形成される。同様に、裏面凹部9b(裏面方向に凹)および裏面凸部9b(裏面方向に凸)は、止水部材1の長手方向に延伸するように互いに平行に形成される。なお、表面凹部7a、表面凸部7b、裏面凹部9b、裏面凸部9bは、止水部材1の長手方向に対して完全に平行に形成されなくてもよく、止水部材1の長手方向に対して所定の角度を有するように形成してもよい。すなわち、止水部材1の幅方向(ケーブルに巻きつけた際にケーブル軸方向に相当)に対して、わずかでも角度を有していることが望ましい。
【0028】
図1(b)に示すように、止水部材1の表裏において、表面凹部7aの裏側には裏面凸部9bが位置し、表面凸部7bの裏側には裏面凹部9aが位置する。表面凹部7aと裏面凸部9bとは互いに対応する形状(台形)であり、止水部材1を重ね合わせた際に、表面凹部7aと裏面凸部9bとは互いに嵌合可能である。同様に、表面凸部7bと裏面凹部9aとは互いに対応する形状(台形)であり、止水部材1を重ね合わせた際に、表面凸部7bと裏面凹部9aとは互いに嵌合可能である。前記の互いに対応する形状としての台形は、互いに対応する形状の一例であり、後述する他の形状であってもよい。
【0029】
すなわち、表面凹部7aの幅と裏面凸部9bの幅および深さ(高さ)は略一致し、表面凸部7bの幅と裏面凹部9aの幅および深さ(高さ)は略一致する。なお、表裏が重ね合わさった際に、水膨張性部材3はややつぶれるため、裏面凸部9bの高さを表面凹部7aの深さよりもやや高く(または低く)してもよい。少なくとも、表裏互いの凹凸が重なり合った際に、水膨張性部材3の潰れ代を含めて、互いの凹凸が隙間なく密着することが望ましい。また、凹凸部の深さ(高さ)は、水膨張性部材3の厚みよりも深い(高い)ことが望ましい。
【0030】
止水部材1は、例えば以下のように製造される。まず、裏面側に、裏面凹部9a、裏面凸部9bを有する形状保持部材5をゴム等により形成する。この際、裏面凹部9a、裏面凸部9bに対応する位置の形状保持部材5の表面側は、裏面凹部9a、裏面凸部9bに対応する凸部および凹部を形成しておく。この際、表面側の凹凸は、水膨張性部材の厚みtを考慮して形状を決定すれば良い。すなわち、表面側の凹部は、裏面凸部9bの幅よりも水膨張性部材の厚みの2倍である2tほど大きくしておき、表面側の凸部は、裏面凹部9aの幅よりも水膨張性部材の厚みの2倍である2tほど大きくしておく。表面側の凹凸が表面凹部7aおよび表面凸部7bに対応させておくのが望ましいが、これらの寸法は同一でも問題がない。
【0031】
次に、形状保持部材5の表面側に水膨張性部材3を張り付ける。なお、水膨張性部材3と形状保持部材5とは、接着その他の方法で一体化される。たとえば、水膨張性部材を以下のように構成することで、より確実に水膨張性部材3と形状保持部材5とを一体化することができる。
【0032】
まず、不織布の基材となるPETなどの樹脂製の基材繊維と、高融点水膨張樹脂材が繊維化された水膨張繊維(吸水時に膨張すると共に、周囲の湿度が低い時に水分を開放する繊維)と、低融点PETなどのバインダ(詳しくはバインダ樹脂)とを用い、これらを混合して不織布を形成する(不織布形成工程)。ここで上述の水膨張繊維としては、その軟化点が約170℃のベルオアシス(登録商標・カネボウ合繊株式会社製品であって、ポリアクリル酸ナトリウム塩を主成分とするポリマーを直接紡糸し、繊維形状化させた高吸水、高吸湿繊維)を用いる。また、例えば、バインダとしては軟化点が約120℃の低融点のものを使用する。
なお、水膨張繊維は、前記の繊維と同様の性能を有するものであれば、他のいかなるものを用いても良い。
【0033】
次に、不織布を形状保持部材5上に配置し、表面凹部7aおよび表面凸部7bの形状に対応する凹凸形状を外周に有するローラ等により、温度約150〜180℃で加熱、加圧すると、この加工時の熱によりバインダが溶融し、溶融したバインダで基材繊維と水膨張繊維とが強固に結合(バインダによる結合工程)された水膨張性部材3を得ることができる。この際、水膨張性部材3と形状保持部材5とが一体化される。
【0034】
例えば、上記のようにして得た水膨張性部材3と形状保持部材5との接着は、水膨張性部材3と形状保持部材5とを接着剤で接着できる。ホットメルト型の接着剤を用いれば、加熱によって確実に形状保持部材5と水膨張性部材3とを一体化することができる。また、水膨張性部材3と形状保持部材5との接合を、ニードルパンチを用いて行うこともできる。
【0035】
図2は、本発明の止水部材1を用いた、止水構造を示す図であり、図3(a)は止水構造をケーブル軸方向から見た断面図(図2のB−B線断面図)、図3(b)は軸方向の断面図(図2のC−C線断面図)である。
【0036】
保護管11内部には、ケーブル13が挿通される。保護管11の端部内面には、止水部材1が設けられる。止水部材1は、ケーブル13の外周に巻きつけられており、保護管11とケーブル13との間に設けられる。止水構造は、ケーブル13の外周に止水部材1を巻きつけておき、この状態で保護管11内部に挿入することで構成される。なお、ケーブル13の外周面(止水部材1の最内周部)には、別途水膨張性シート15を少なくとも1周巻きつけておくことが必要で、これにより確実に止水することができる。この場合、水膨張性シートは、裏面の凹凸高さ(深さ)よりも厚さが厚いことが望ましい。
【0037】
図3(b)に示すように、ケーブル13に止水部材1を巻きつける際には、止水部材1の表裏の凹凸の延伸方向が、ケーブル13の周方向となるように巻きつけられる。すなわち、止水部材の表裏それぞれの凹凸がケーブル軸方向に交互に隣接するように巻きつけられる。なお、前述の通り、最内周部に水膨張シート15を巻きつけた上に、止水部材1の裏面(形状保持部材5側)が内側となるように止水部材1が巻きつけられる。したがって、巻きつけられた止水部材1の最外周部には止水部材1の表面(水膨張性部材3側)が位置し、最内周面には水膨張性シート15が位置する。なお、ケーブルに対して、止水部材1を逆向き(水膨張性部材側を内側)に巻きつけた場合には、最外周には、形状保持部材が位置することになるため、さらに、水膨張性シート15を最外周に巻きつける。このように、止水部材1を逆向きに巻きつけた場合には、最外周に水膨張性シート15を配置する。すなわち、ケーブル13の外周面と止水部材1との間には、必ず止水部材の水膨張性部材または水膨張性シートが位置し、直接形状保持部材がケーブル13外周面上には位置しない。同様に、保護管11の内周面と止水部材1との間には、必ず水膨張性部材または水膨張性シートのいずれかが位置し、直接形状保持部材が保護管11内周面上には位置しない。したがって、いずれの位置においても止水を確実に行うことができる。なお、図3(b)において、最外周の表面凹部7aと保護管11の内周面との間に隙間が生じるが、止水部材1の水膨張部材3は吸水すると膨張して、水膨張部材3と保護管11の内周面の隙間を埋めることができる。なお、後述するが、この隙間は、表面に凹凸を有しない水膨張部材3を形状保持部材5に貼り付けた止水部材を使用する場合は隙間が生じることがない。
【0038】
図4は、図3(b)のD部拡大図である。止水部材1をケーブル13の外周に巻きつけることで、止水部材1の表裏面が重なり合う。この際、表面凸部7bと裏面凹部9aとが互いに嵌合し、また、表面凹部7aと裏面凸部9bとが互いに嵌合する。また、水膨張性部材5が潰れ代を有しているため、重なり合った止水部材1同士は密着し、隙間なく巻きつけることができる。
【0039】
なお、止水部材1は、図5に示すように、ハンドホール等の管路口12直接に設けることもできる。管路口12は、図11のハンドホールに設けられ、管路が貫通する口である。この場合、ケーブル13の外周に止水部材を巻きつけた状態で、管路口12へ挿入すれば良い。また、この場合でも、水膨張性シート15をケーブル外周(または管路口内周面)に設ければよい。管路口12に止水部材1を直接設ける場合でも、管路口12とケーブル13との間を止水することができる。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態によれば、表裏に凹凸形状を有する止水部材1を用い、止水部材1をケーブル外周に巻きつける際に表裏の凹凸を嵌合させることで、ケーブル13の軸方向に水圧その他の力が付与された場合でも、重なり合う止水部材同士の接触面が滑ることがなく、ずれを防止することができる。
【0041】
また、特に、凹凸の形状が表裏対応しており、凹凸がケーブルの周方向に延伸する方向に巻きつけることで確実にずれを防止することができる。また、互いの凹凸が対応する形状であるため、巻きつけた際に、確実に止水部材1同士を密着させることができる。なお、運搬・保管時は、止水部材1を丸めてコイル状にしておけば場所を取ることもない。
【0042】
また、凹凸は止水部材1の長手方向に平行に配置され、表面凹部7aの裏側には裏面凸部9bが位置し、表面凸部7bの裏側には裏面凹部9aが位置するため、ケーブル13の外径によらず、任意の外径のケーブル13の外周に巻きつけることが容易であり、形状保持部材5が容易に変形可能であるため、巻きつけ作業も容易である。
【0043】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。ここで、前記のように、保護管は、本発明では、電線管と管継手の両者を表すので、本発明は保護管として電線管と管継手のいずれを用いる場合であっても適用可能である。
【0044】
たとえば、止水部材1の表面凹部7a、表面凸部7bおよび裏面凹部9a、裏面凸部9bの形状は、図1等に示した例に限られない。図5は、他の凹凸形状を示す例である。
【0045】
図6(a)に示すように、台形ではなく矩形形状の表面凹部7a、表面凸部7bおよび裏面凹部9a、裏面凸部9bを有する止水部材20を用いても同様の効果を得ることができる。この場合においても、表面凸部7bおよび裏面凹部9a、裏面凸部9bの配置およびサイズは、前述の止水部材1と同様であり、表裏を重ねた際に嵌合可能である。
【0046】
また、図6(b)に示すように、波形状(テーパ部の繰り返し)の表面凹部7a、表面凸部7bおよび裏面凹部9a、裏面凸部9bを有する止水部材30を用いても同様の効果を得ることができる。この場合、波形の頂点近傍が表面凸部7bおよび裏面凸部9bであり、波形の底部近傍が表面凹部7aおよび裏面凹部9aとなる。この場合においても、表面凸部7bおよび裏面凹部9a、裏面凸部9bの配置およびサイズは、前述の止水部材1と同様であり、表裏を重ねた際に嵌合可能である。
【0047】
さらに、図6(c)に示すように、逆台形状の表面凹部7a、表面凸部7bおよび裏面凹部9a、裏面凸部9bを有する止水部材40を用いても同様の効果を得ることができる。この場合、表面凸部7bおよび裏面凸部9bは、根本部の幅が先端部の幅よりも狭く、また、表面凹部7aおよび裏面凹部9aの開口部の幅が凹部底部の幅よりも狭い。この場合においても、表面凸部7bおよび裏面凹部9a、裏面凸部9bは、前述の止水部材1と同様に、表裏を重ねた際に嵌合可能である。なお、この場合裏面凸9bが表面凹部7aより少し大きめでも水膨張部材は伸縮性があるため、十分嵌合可能である。
【0048】
この際、凹凸の嵌合が容易であるように、例えば、表面凹部7a、裏面凹部9aの開口幅は、水膨張性部材3の潰れ代を考慮することが望ましい。すなわち、表面凹部7a、裏面凹部9aの開口幅に、水膨張性部材3厚みtの2倍を加えた幅が、表面凸部7bおよび裏面凸部9bの先端幅よりも大きければ、嵌合時に水膨張性部材3がつぶれることで容易に嵌合することができる。
【0049】
なお、凹凸形状が複数繰り返される例を示したが、これらの凹凸は、表裏に少なくとも一対形成されれば、ずれ止め効果を発揮することができる。
【0050】
また、凹凸形状は、形状保持部材5のみ(裏面のみ)に形成してもよい。図7(a)は、止水部材50を示す図である。止水部材50は、裏面凹部9a、裏面凸部9bのみを有し、表面には凹凸部を形成しない。
【0051】
図7(b)に示す様に、止水部材50をケーブル13に巻きつけると、止水部材50の裏面と当接する止水部材50の表面(水膨張部材3)が、形状保持部材5の凸形状に対応して変形する(つぶれる)。すなわち、水膨張性部材3が裏面凸部9bと当接する部位は水膨張性部材3がつぶれ、裏面凹部9aと当接する部位は水膨張性部材3が裏面凹部9aに嵌り込む。したがって、前述の止水部材と同様にずれ止めの効果を得ることができる。なお、水膨張性部材3と裏面凹部9aとの間に隙間が形成される恐れがあるが、水膨張性部材3が水を吸収して膨張すると、当該隙間が埋められる。また、裏面凹部9aの深さ(裏面凸部9bの高さ)よりも水膨張性部材3の厚みを厚くしておくことが望ましいが、通常水膨張部材は、水を吸収すると、少なくとも2倍以上(通常は5−10倍)に膨張するので、裏面凹部9aの深さと水膨張性部材3の厚みは同等であれば問題はない。なお、表面に凹凸を有しない止水部材50を用いれば、前述した図3(b)においても、保護管11の内面と止水部材との間に隙間が生じることがない。
【0052】
また、裏面凹部9a、裏面凸部9bは、一方向に並列させるのみでなく、格子状に形成してもよい。図8(a)は、格子状の裏面凸部9bが形成された止水部材60を示す裏面図であり、図8(b)は図8(a)のE−E線断面図である。なお、以下の図面において、裏面凸部9bをハッチングで示す。止水部材60は、裏面凸部9bが格子状に形成される。格子形状は、止水部材60の長手方向および幅方向に裏面凸部9bが連続した形状である。すなわち、裏面凹部9aは矩形形状であり、裏面凹部9aの各辺は、止水部材60の長手方向または幅方向に平行に形成される。止水部材60によっても止水部材50と同様の効果を得ることができる。
【0053】
さらに、裏面凹部9a、裏面凸部9bは、格子形状に止水部材の斜め方向に形成してもよい。図8(c)は、斜め方向の格子状の裏面凸部9bが形成された止水部材70を示す裏面図である。止水部材70は、裏面凸部9bが止水部材70の幅方向に対して斜めに格子状に形成される。格子形状は、止水部材70の長手方向および幅方向に裏面凸部9bが連続した形状である。すなわち、裏面凹部9aは矩形形状であり、裏面凹部9aの各対角線は、止水部材70の長手方向または幅方向に平行に形成される。止水部材70によっても止水部材50と同様の効果を得ることができる。
【0054】
さらに、裏面凹部9a、裏面凸部9bは、湾曲した凹凸形状に形成してもよい。図9(a)は、止水部材の長手方向(巻きつけ方向)に対して湾曲した曲線状に裏面凸部9bが形成された止水部材80を示す裏面図である。止水部材80は、裏面凸部9bが止水部材80の長手に対して湾曲して形成される。なお、この場合には、隣り合う裏面凸部9b同士が完全に平行に形成されてもよく、または図示したように平行でなくてもよい。裏面凸部9bは止水部材80の長手方向に連続して形成してよいが部分的に形成してもよい。また、湾曲部は止水部材80の長手方向に複数繰り返し形成してもよく、一部に形成しても良い。止水部材80によれば、止水部材50と同様の効果を得ることができる。
【0055】
また、裏面凹部9a、裏面凸部9bは、屈曲した凹凸形状に形成してもよい。図9(b)は、止水部材の長手方向(巻きつけ方向)に対して屈曲した折線状に裏面凸部9bが形成された止水部材90を示す裏面図である。止水部材90は、裏面凸部9bが止水部材90の長手に対して屈曲して形成される。なお、この場合には、隣り合う裏面凸部9b同士が、図示したように平行に形成されてもよく、または平行でなくてもよい。裏面凸部9bは止水部材90の長手方向に連続して形成してよいが部分的に形成してもよい。また、屈曲部は止水部材90の長手方向に複数繰り返し形成してもよく、一部に形成しても良い。また、屈曲形状は、図示した三角波でなくても矩形波状でも良く、その他種々の態様が適用できる。止水部材90によれば、止水部材50と同様の効果を得ることができる。
【0056】
また、裏面凸部9bを離散して形成してもよい。図9(c)は、止水部材の裏面に離散して裏面凸部9bが形成された止水部材100を示す裏面図である。止水部材100は、略円形の裏面凸部9bが止水部材100の裏面に所定間隔をあけて形成される。なお、この場合には、隣り合う裏面凸部9b同士が、止水部材100の長手方向および幅方向に格子状に配置されてもよく、または図示したように千鳥状に配置されてもよい。裏面凸部9bは止水部材100の裏面前面に形成してよいが部分的に形成してもよい。また、裏面凸部9bの形状は、円形に限られず、矩形その他種々の形状でもよい。止水部材100によれば、止水部材50と同様の効果を得ることができる。
【0057】
また、裏面凸部9bを幅方向に形成してもよい。図10(a)は、止水部材の幅方向に裏面凸部9bが延伸するように配置した止水部材110を示す裏面図である。前述の通り、裏面凸部9bが止水部材110の幅方向に形成されると、止水部材をケーブルに巻きつけた際に、ケーブル軸方向へのストッパとしての機能は劣るが、水膨張性部材と形状保持部との接触面積を増し、水膨張性部材が変形して形状保持部材に押し付けられて凹部に嵌り込むことで、ずれを抑制することができる。なお、止水部材110においては、表面にも裏面凹部9a、裏面凸部9bに対応する凹凸を設けてもよい。
【0058】
また、裏面凸部9bを幅方向に対して所定角度に形成してもよい。図10(b)は、止水部材の幅方向に対して所定角度で裏面凸部9bが延伸するように配置した止水部材120を示す裏面図である。前述の通り、裏面凸部9bが止水部材110の幅方向に対してわずかでも角度を有するように形成すれば、止水部材をケーブルに巻きつけた際に、軸方向に凹凸が形成されるため、ケーブル軸方向へのストッパとしての機能が向上する。この場合、止水部材の幅方向に対して略垂直に凹凸を延伸させたものが、前述の止水部材1の凹凸配置となる。なお、止水部材120においても、表面にも裏面凹部9a、裏面凸部9bに対応する凹凸を設けてもよい。
【0059】
なお、止水部材60、70、80、90、100の裏面凹部9aと裏面凸部9bの配置を入れ替えて、裏面凹部9aを格子状、湾曲した曲線形状、屈曲した折線形状、離散配置としてもよい。また、裏面凹部9a、裏面凸部9bの断面形状は、例えば図5に示すような種々の形状を適用することができる。また、上述の構成を組み合わせてもよい。なお、例えば、湾曲状、屈曲状の凹凸形状は、図9の例では、止水部材の長手方向に延伸するように配置したが、図9のように所定角度を有するように形成してもよく、この場合、湾曲状または屈曲状の凹凸の延伸方向が止水部材の幅方向または幅方向に対して所定角度で形成されれば良い。
【符号の説明】
【0060】
1、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120………止水部材
3………水膨張性部材
5………形状保持部材
7a………表面凹部
7b………表面凸部
9a………裏面凹部
9b………裏面凸部
11………保護管
12………管路口
13………ケーブル
15………水膨張性シート
130………止水部材
51………保護管
53………ケーブル
55………ハンドホール
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル保護管端部における、収納ケーブルと管路口または保護管との隙間に形成される管路口または保護管の止水構造、止水部材のずれ止め方法および管路口または保護管の止水部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電線や光ファイバ等のケーブルが敷設される際には、ケーブルが保護管に挿通されて敷設される。図11は、このようなケーブル保護管を示す図である。図11(a)に示すように、内部にケーブル53が挿通された保護管51は、例えばハンドホール55間に敷設される。
【0003】
図11(b)は、図11(a)のE部拡大図である。図11(b)に示すように、ハンドホール55には保護管51が取り付けられる。保護管51の接続部には、ベルマウス等が設けられ、保護管55とベルマウスとの隙間には止水部材が設けられる。保護管51の端部の内部には、ケーブル53と保護管51内面との間に水膨張部材130が設けられる。水膨張部材130は、水を吸収すると膨張する部材であり、ケーブル53と保護管51との間の隙間を埋めて、例えば、保護管51内を流れた水がハンドホール55内部に流入することを防止する。
【0004】
水膨張部材130によって、例えば他の何らかの原因により、ハンドホール内部や、敷設された保護管の一部、または保護管同士の継手部等から侵入した水を確実に止水でき、保護管51内を通じてハンドホール内部に水が流入することを防止することができる。
【0005】
このような、止水方法としては、例えば、所定の吸水性樹脂を用い、当該止水部材をケーブルの周囲に巻きつけて、ケーブルと保護管の間に介在させた止水方法がある(特許文献1)。
【0006】
また、端部を凹凸にし、または、表裏に貼着材が張り付けられた止水材料があり、当該止水材料はケーブルに巻きつけられて保護管に挿入される(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−58147号公報
【特許文献2】特開平8−168157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1、特許文献2いずれの方法も、止水部の機械的な強度に問題がある。図12(a)は保護管51を軸方向から見た断面図であり、図12(b)は図12(a)のF−F線横断面図である。図に示すように、ケーブル53の外周には、水膨張部材130が巻きつけられて、保護管51内に設置される。
【0009】
前述の通り、水膨張部材130に水が吸収されると、水膨張部材130が膨張し、ケーブル53と保護管51の内面の隙間が塞がれて止水される。水膨張部材130は、材質等によって膨張率が調整可能であり、止水性能は十分確保可能であるが、膨張後の止水部に力が付与された際に水膨張部材同士が容易にすべり、止水性が低下する。
【0010】
図12(c)は、止水部が変形した状態を示す図であり、例えば保護管51内を水が流れてきた場合に、止水部には水圧が付与される(図中矢印F)。水膨張部材130は、単にケーブル53に巻きつけられているのみであるため、膨張時に互いに重なり合う部分がすべり、止水部が水圧により変形する。このため、止水性能が劣化し、また、止水部が崩壊する恐れがある。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、簡易な構造で確実に止水ができるとともに、外力が付与された場合にも変形を防止することができる管路口または保護管の止水構造等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達するために第1の発明は、管路口または保護管の止水構造であって、少なくとも、表面側の水膨張性部材と、裏面側の形状保持部材とを有する止水部材を用い、弾性部材からなる前記形状保持部材には、裏側凹凸部が形成され、管路口または保護管の内部に挿通されたケーブルの外周に、前記止水部材が巻きつけられており、前記止水部材の最内周または最外周の少なくともいずれかに別途水膨張シートが設けられることで、前記ケーブルの外周面および前記管路口または保護管の内周面には、それぞれ前記水膨張シートまたは前記止水部材の水膨張性部材が設けられ、巻きつけられた前記止水部材において前記形状保持部材に重なり合う前記水膨張性部材が前記裏側凹凸部の凹部に嵌り込むことを特徴とする管路口または保護管の止水構造である。前記止水部材が前記形状保持部材側を内周面側にして巻きつけられる場合には、前記ケーブルの外周面に前記水膨張シートが設けられ、前記水膨張シートの外周に前記止水部材が巻きつけられ、
前記止水部材が前記形状保持部材側を外周面側にして巻きつけられる場合には、前記管路口または保護管の内周面に前記水膨張シートが設けられ、前記止水部材の外周に前記水膨張シートが巻きつけられる。ここで、止水部材の最内周に水膨張シートを設けるのは、最内周が形状保持部材で形成されると、最内周の形状保持部材とケーブルとの当接面から水漏れをするし、止水部材の最外周に水膨張シートを設けるのは、最外周が形状保持部材で形成されると管路口または保護管の内周面の当接部から水漏れをするが、最外周を水膨張シートで形成すると、水膨張シートと管路口または保護管の内周面とからの水の侵入を防止することができる。なお、本発明において保護管とは、電線管(内部に電線またはケーブルを挿通するプラスチック製の可撓管または直管)および継手を指すものである。
【0013】
前記水膨張性部材には、表側凹凸部が形成され、前記表側凹凸部は、前記裏側凹凸部と対応した態様で形成されており、前記止水部材が前記ケーブルに巻きつけられた状態で、互いに重なり合う前記表側凹凸部と前記裏側凹凸部とが嵌合されていることが望ましい。前記止水部材が前記ケーブルに巻きつけられた状態で、前記裏側凹凸部の凸部および/または凹部が、前記ケーブルの軸方向に対して所定の角度を有するように配置されてもよく、この場合、直線状、湾曲した曲線状、屈曲した折線状のいずれかに配置されてもよい。また、前記止水部材が前記ケーブルに巻きつけられた状態で、前記裏側凹凸部の凸部および/または凹部が、前記ケーブルの軸方向に対して略垂直な方向に配置されてもよく、この場合、直線状、湾曲した曲線状、屈曲した折線状のいずれかに配置されてもよい。
【0014】
前記止水部材は、形状保持部材と水膨張性部材からなり、前記水膨張性部材は水膨張性不織布であり、前記形状保持部材はゴムまたは熱可塑性エラストマであることが望ましい。
【0015】
第1の発明によれば、表裏に水膨張性部材と形状保持部材とが形成された止水部材を用い、形状保持部材の凸部および/または凹部は、前記ケーブルの周方向に対して直線状、湾曲した曲線状、屈曲した折線状あるいはとびとびに点状に離散的に複数列に渡って配置されるように前記止水部材が巻きつけることで、水膨張性部材が止水部材の裏面の凹凸部に嵌り込むため、ケーブル軸方向に止水部材の重ね部が滑ることによる止水部材のずれを防止することができる。また、水膨張性部材と形状保持部材のそれぞれに凹凸部を形成し、嵌合止水部材表裏の凹部と凸部とが嵌合することで、より確実にずれを防止できるとともに、隙間が生じることがない。
【0016】
特に、表側凹凸部および前記裏側凹凸部のそれぞれの凹部および凸部が平行であり、互いの凹部及び凸部が表裏の対応する位置に配置されるため、止水部材をまるめてケーブルの外周に巻きつけた際に、確実に互いの凹凸を嵌合させることができる。また、ケーブルの外周面もしくは、管路口または保護管の内周面に水膨張シートを少なくとも1回以上巻着き付けることでより確実に止水を行うことができる。ここで、止水部材の水膨張部材を、ケーブルの外周面と反対側に向けて巻きつける場合と、ケーブル側に向けてケーブルに当接させて巻きつける場合の両方が可能であるが、水膨張部材をケーブルの外周面と反対側に向けて巻きつける場合は、最内周のケーブルの外周面と当接する部分に水膨張シートを少なくとも1回以上巻きつけた構造であり、水膨張部材をケーブル側に向けてケーブルに当接させて巻きつける場合は、止水部材の最外周が形状保持部材となるため、さらに形状保持部材の外周に水膨張シートを1回以上巻きつけた構造となる。なお、水膨張シートは、最内周(ケーブル外周面)と最外周(管路口または保護管の内周面)のいずれか一方のみに設けてもよいが、両方に設けてもよい。
【0017】
また、水膨張性部材が水膨張性不織布であり、形状保持部材がゴムまたは熱可塑性エラストマであれば、水膨張性部材が確実に水を吸収して膨張可能であるとともに、水膨張部が容易に変形可能であるため、巻き付けおよび嵌合が容易である。また、形状保持部材がゴムまたは熱可塑性エラストマであれば、凹凸形状を保持しつつ巻き付けの際の変形も容易である。ここで、形状保持部材としてのゴム及び熱可塑性エラストマはやわらかい方が、巻き付け性が向上するとともに、ケーブルや水膨張部材への密着性も向上するために好ましい。
【0018】
第2の発明は、管路口または保護管の止水構造における止水部材のずれ止め方法であって、少なくとも、表面側の水膨張性部材と、裏面側の形状保持部材とを有し、前記形状保持部材の、前記止水部材には裏側凹凸部が設けられる止水部材を用い、水膨張性シートを最内周または最外周のいずれかに設けた状態で、ケーブルの外周に前記止水部材を巻きつけて管路口または保護管の内部に挿通し、前記止水部材が前記ケーブルに巻きつけられた状態で、前記裏側凹凸部の凸部および/または凹部が、前記止水部材の重なり合う面同士の前記水膨張性部材を前記裏側凹凸部の凹部に嵌めることにより、巻きつけられた前記止水部材が前記ケーブルの軸方向へずれることを防止することを特徴とする止水部材のずれ止め方法である。
【0019】
第2の発明によれば、止水部材の裏面に凹凸部が形成され、凸部および凹部がケーブルの周方向に配置されて止水部材がケーブルに巻きつけられるため、ケーブルの軸方向には、凹部および凸部が隣接して形成され、水膨張性部材が凹凸部に嵌り込む。このため、ケーブルの軸方向に、止水部材がずれることがない。
【0020】
第3の発明は、管路口または保護管の止水部材であって、前記止水部材は、少なくとも、前記止水部材の表面側の水膨張性部材と、前記止水部材の裏面側の形状保持部材とを有し、弾性部材からなる前記形状保持部材には、裏側凹凸部が形成され、前記止水部材を丸めて前記止水部材同士が重なる部位において、前記水膨張性部材が前記裏側凹凸部に嵌り込むことが可能であることを特徴とする管路口または保護管の止水部材である。
【0021】
第3の発明によれば、凹凸部が裏面側の形状保持部材に形成されるため、丸めた際に(対象物であるケーブルの外周に巻きつけた際に)、重なり合う水膨張性部材が裏面側の凹凸部に嵌り込むようにすることができる。このため、巻きつけられた止水部材がケーブル軸方向にずれることを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、簡易な構造で確実に止水ができるとともに、外力が付与された場合にも変形を防止することができる管路口または保護管の止水構造等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】止水部材1を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A線断面図。
【図2】止水部材1をケーブル13に巻きつけて保護管11に装着した状態を示す図。
【図3】(a)は図2のB−B線断面図、(b)は図2のC−C線断面図。
【図4】図3(b)のD部拡大図。
【図5】止水部材1を管路口に設けた状態を示す図。
【図6】他の実施形態を示す図で、(a)は止水部材20を示す図、(b)は止水部材30を示す図、(c)は止水部材40を示す図。
【図7】他の実施形態を示す図で、(a)は止水部材50を示す図、(b)は止水部材50をケーブルに巻きつけた状態を示す図。
【図8】他の実施形態を示す図で、(a)は止水部材60を示す裏面図、(b)は(a)のE−E線断面図、(c)は止水部材70を示す裏面図。
【図9】他の実施形態を示す図で、(a)は止水部材80を示す裏面図、(b)は止水部材90を示す裏面図、(c)は止水部材100を示す裏面図。
【図10】他の実施形態を示す図で、(a)は止水部材110を示す裏面図、(b)は止水部材120を示す裏面図。
【図11】従来のハンドホール5同士を保護管51で接続し、ケーブル53を挿通した状態を示す図で、(a)は全体図、(b)は(a)のE部拡大図。
【図12】従来の保護管51に止水部材51が装着された状態を示す図で、(a)軸方向から見た断面図、(b)は(a)のF−F線断面図、(c)は(b)に対してF方向に力が付与された状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る止水部材1を示す図であり、図1(a)は斜視図、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図である。なお、本発明にかかる止水部材1は、例えば、図11、図12に示した水膨張部材130に代わるものであるため、使用状態等については重複する説明を省略するが、内部にケーブルが挿通される保護管において、ケーブルと保護管内面との間の止水を要する部位であれば、ハンドホールとの接続部に限られず、いずれの部位においても使用可能である。なお、以下の説明においては、保護管として電線管の例を示すが、管継手に対しても同様に使用できる。
【0025】
止水部材1は、所定幅のシート状部材であり、表面側が水膨張性部材3により形成され、裏面側が形状保持部材5により形成される。水膨張性部材3は、水を吸収して体積が膨張し、通常の状態で多少のクッション性を有すれば良く、例えば水膨張性の繊維を含む不織布である。形状保持部材5は、弾性変形可能であり、形状を保持できれば良く、たとえばゴムまたは熱可塑性エラストマ等が使用できる。
【0026】
止水部材1の長さ方向(図1(a)の上下方向)は、ケーブル外周に対する巻きつけ長さとなる。止水部材1の表面の水膨張性部材3側には表側凹凸部である表面凹部7a、表面凸部7bが形成される。同様に、止水部材1の裏面の形状保持部材5側には裏側凹凸部である裏面凹部9a、裏面凸部9bが形成される。
【0027】
表面凹部7a(表面方向に凹)および表面凸部7b(表面方向に凸)は、止水部材1の長手方向に(止水部材の長手方向に平行に)延伸するように互いに平行に形成される。同様に、裏面凹部9b(裏面方向に凹)および裏面凸部9b(裏面方向に凸)は、止水部材1の長手方向に延伸するように互いに平行に形成される。なお、表面凹部7a、表面凸部7b、裏面凹部9b、裏面凸部9bは、止水部材1の長手方向に対して完全に平行に形成されなくてもよく、止水部材1の長手方向に対して所定の角度を有するように形成してもよい。すなわち、止水部材1の幅方向(ケーブルに巻きつけた際にケーブル軸方向に相当)に対して、わずかでも角度を有していることが望ましい。
【0028】
図1(b)に示すように、止水部材1の表裏において、表面凹部7aの裏側には裏面凸部9bが位置し、表面凸部7bの裏側には裏面凹部9aが位置する。表面凹部7aと裏面凸部9bとは互いに対応する形状(台形)であり、止水部材1を重ね合わせた際に、表面凹部7aと裏面凸部9bとは互いに嵌合可能である。同様に、表面凸部7bと裏面凹部9aとは互いに対応する形状(台形)であり、止水部材1を重ね合わせた際に、表面凸部7bと裏面凹部9aとは互いに嵌合可能である。前記の互いに対応する形状としての台形は、互いに対応する形状の一例であり、後述する他の形状であってもよい。
【0029】
すなわち、表面凹部7aの幅と裏面凸部9bの幅および深さ(高さ)は略一致し、表面凸部7bの幅と裏面凹部9aの幅および深さ(高さ)は略一致する。なお、表裏が重ね合わさった際に、水膨張性部材3はややつぶれるため、裏面凸部9bの高さを表面凹部7aの深さよりもやや高く(または低く)してもよい。少なくとも、表裏互いの凹凸が重なり合った際に、水膨張性部材3の潰れ代を含めて、互いの凹凸が隙間なく密着することが望ましい。また、凹凸部の深さ(高さ)は、水膨張性部材3の厚みよりも深い(高い)ことが望ましい。
【0030】
止水部材1は、例えば以下のように製造される。まず、裏面側に、裏面凹部9a、裏面凸部9bを有する形状保持部材5をゴム等により形成する。この際、裏面凹部9a、裏面凸部9bに対応する位置の形状保持部材5の表面側は、裏面凹部9a、裏面凸部9bに対応する凸部および凹部を形成しておく。この際、表面側の凹凸は、水膨張性部材の厚みtを考慮して形状を決定すれば良い。すなわち、表面側の凹部は、裏面凸部9bの幅よりも水膨張性部材の厚みの2倍である2tほど大きくしておき、表面側の凸部は、裏面凹部9aの幅よりも水膨張性部材の厚みの2倍である2tほど大きくしておく。表面側の凹凸が表面凹部7aおよび表面凸部7bに対応させておくのが望ましいが、これらの寸法は同一でも問題がない。
【0031】
次に、形状保持部材5の表面側に水膨張性部材3を張り付ける。なお、水膨張性部材3と形状保持部材5とは、接着その他の方法で一体化される。たとえば、水膨張性部材を以下のように構成することで、より確実に水膨張性部材3と形状保持部材5とを一体化することができる。
【0032】
まず、不織布の基材となるPETなどの樹脂製の基材繊維と、高融点水膨張樹脂材が繊維化された水膨張繊維(吸水時に膨張すると共に、周囲の湿度が低い時に水分を開放する繊維)と、低融点PETなどのバインダ(詳しくはバインダ樹脂)とを用い、これらを混合して不織布を形成する(不織布形成工程)。ここで上述の水膨張繊維としては、その軟化点が約170℃のベルオアシス(登録商標・カネボウ合繊株式会社製品であって、ポリアクリル酸ナトリウム塩を主成分とするポリマーを直接紡糸し、繊維形状化させた高吸水、高吸湿繊維)を用いる。また、例えば、バインダとしては軟化点が約120℃の低融点のものを使用する。
なお、水膨張繊維は、前記の繊維と同様の性能を有するものであれば、他のいかなるものを用いても良い。
【0033】
次に、不織布を形状保持部材5上に配置し、表面凹部7aおよび表面凸部7bの形状に対応する凹凸形状を外周に有するローラ等により、温度約150〜180℃で加熱、加圧すると、この加工時の熱によりバインダが溶融し、溶融したバインダで基材繊維と水膨張繊維とが強固に結合(バインダによる結合工程)された水膨張性部材3を得ることができる。この際、水膨張性部材3と形状保持部材5とが一体化される。
【0034】
例えば、上記のようにして得た水膨張性部材3と形状保持部材5との接着は、水膨張性部材3と形状保持部材5とを接着剤で接着できる。ホットメルト型の接着剤を用いれば、加熱によって確実に形状保持部材5と水膨張性部材3とを一体化することができる。また、水膨張性部材3と形状保持部材5との接合を、ニードルパンチを用いて行うこともできる。
【0035】
図2は、本発明の止水部材1を用いた、止水構造を示す図であり、図3(a)は止水構造をケーブル軸方向から見た断面図(図2のB−B線断面図)、図3(b)は軸方向の断面図(図2のC−C線断面図)である。
【0036】
保護管11内部には、ケーブル13が挿通される。保護管11の端部内面には、止水部材1が設けられる。止水部材1は、ケーブル13の外周に巻きつけられており、保護管11とケーブル13との間に設けられる。止水構造は、ケーブル13の外周に止水部材1を巻きつけておき、この状態で保護管11内部に挿入することで構成される。なお、ケーブル13の外周面(止水部材1の最内周部)には、別途水膨張性シート15を少なくとも1周巻きつけておくことが必要で、これにより確実に止水することができる。この場合、水膨張性シートは、裏面の凹凸高さ(深さ)よりも厚さが厚いことが望ましい。
【0037】
図3(b)に示すように、ケーブル13に止水部材1を巻きつける際には、止水部材1の表裏の凹凸の延伸方向が、ケーブル13の周方向となるように巻きつけられる。すなわち、止水部材の表裏それぞれの凹凸がケーブル軸方向に交互に隣接するように巻きつけられる。なお、前述の通り、最内周部に水膨張シート15を巻きつけた上に、止水部材1の裏面(形状保持部材5側)が内側となるように止水部材1が巻きつけられる。したがって、巻きつけられた止水部材1の最外周部には止水部材1の表面(水膨張性部材3側)が位置し、最内周面には水膨張性シート15が位置する。なお、ケーブルに対して、止水部材1を逆向き(水膨張性部材側を内側)に巻きつけた場合には、最外周には、形状保持部材が位置することになるため、さらに、水膨張性シート15を最外周に巻きつける。このように、止水部材1を逆向きに巻きつけた場合には、最外周に水膨張性シート15を配置する。すなわち、ケーブル13の外周面と止水部材1との間には、必ず止水部材の水膨張性部材または水膨張性シートが位置し、直接形状保持部材がケーブル13外周面上には位置しない。同様に、保護管11の内周面と止水部材1との間には、必ず水膨張性部材または水膨張性シートのいずれかが位置し、直接形状保持部材が保護管11内周面上には位置しない。したがって、いずれの位置においても止水を確実に行うことができる。なお、図3(b)において、最外周の表面凹部7aと保護管11の内周面との間に隙間が生じるが、止水部材1の水膨張部材3は吸水すると膨張して、水膨張部材3と保護管11の内周面の隙間を埋めることができる。なお、後述するが、この隙間は、表面に凹凸を有しない水膨張部材3を形状保持部材5に貼り付けた止水部材を使用する場合は隙間が生じることがない。
【0038】
図4は、図3(b)のD部拡大図である。止水部材1をケーブル13の外周に巻きつけることで、止水部材1の表裏面が重なり合う。この際、表面凸部7bと裏面凹部9aとが互いに嵌合し、また、表面凹部7aと裏面凸部9bとが互いに嵌合する。また、水膨張性部材5が潰れ代を有しているため、重なり合った止水部材1同士は密着し、隙間なく巻きつけることができる。
【0039】
なお、止水部材1は、図5に示すように、ハンドホール等の管路口12直接に設けることもできる。管路口12は、図11のハンドホールに設けられ、管路が貫通する口である。この場合、ケーブル13の外周に止水部材を巻きつけた状態で、管路口12へ挿入すれば良い。また、この場合でも、水膨張性シート15をケーブル外周(または管路口内周面)に設ければよい。管路口12に止水部材1を直接設ける場合でも、管路口12とケーブル13との間を止水することができる。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態によれば、表裏に凹凸形状を有する止水部材1を用い、止水部材1をケーブル外周に巻きつける際に表裏の凹凸を嵌合させることで、ケーブル13の軸方向に水圧その他の力が付与された場合でも、重なり合う止水部材同士の接触面が滑ることがなく、ずれを防止することができる。
【0041】
また、特に、凹凸の形状が表裏対応しており、凹凸がケーブルの周方向に延伸する方向に巻きつけることで確実にずれを防止することができる。また、互いの凹凸が対応する形状であるため、巻きつけた際に、確実に止水部材1同士を密着させることができる。なお、運搬・保管時は、止水部材1を丸めてコイル状にしておけば場所を取ることもない。
【0042】
また、凹凸は止水部材1の長手方向に平行に配置され、表面凹部7aの裏側には裏面凸部9bが位置し、表面凸部7bの裏側には裏面凹部9aが位置するため、ケーブル13の外径によらず、任意の外径のケーブル13の外周に巻きつけることが容易であり、形状保持部材5が容易に変形可能であるため、巻きつけ作業も容易である。
【0043】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。ここで、前記のように、保護管は、本発明では、電線管と管継手の両者を表すので、本発明は保護管として電線管と管継手のいずれを用いる場合であっても適用可能である。
【0044】
たとえば、止水部材1の表面凹部7a、表面凸部7bおよび裏面凹部9a、裏面凸部9bの形状は、図1等に示した例に限られない。図5は、他の凹凸形状を示す例である。
【0045】
図6(a)に示すように、台形ではなく矩形形状の表面凹部7a、表面凸部7bおよび裏面凹部9a、裏面凸部9bを有する止水部材20を用いても同様の効果を得ることができる。この場合においても、表面凸部7bおよび裏面凹部9a、裏面凸部9bの配置およびサイズは、前述の止水部材1と同様であり、表裏を重ねた際に嵌合可能である。
【0046】
また、図6(b)に示すように、波形状(テーパ部の繰り返し)の表面凹部7a、表面凸部7bおよび裏面凹部9a、裏面凸部9bを有する止水部材30を用いても同様の効果を得ることができる。この場合、波形の頂点近傍が表面凸部7bおよび裏面凸部9bであり、波形の底部近傍が表面凹部7aおよび裏面凹部9aとなる。この場合においても、表面凸部7bおよび裏面凹部9a、裏面凸部9bの配置およびサイズは、前述の止水部材1と同様であり、表裏を重ねた際に嵌合可能である。
【0047】
さらに、図6(c)に示すように、逆台形状の表面凹部7a、表面凸部7bおよび裏面凹部9a、裏面凸部9bを有する止水部材40を用いても同様の効果を得ることができる。この場合、表面凸部7bおよび裏面凸部9bは、根本部の幅が先端部の幅よりも狭く、また、表面凹部7aおよび裏面凹部9aの開口部の幅が凹部底部の幅よりも狭い。この場合においても、表面凸部7bおよび裏面凹部9a、裏面凸部9bは、前述の止水部材1と同様に、表裏を重ねた際に嵌合可能である。なお、この場合裏面凸9bが表面凹部7aより少し大きめでも水膨張部材は伸縮性があるため、十分嵌合可能である。
【0048】
この際、凹凸の嵌合が容易であるように、例えば、表面凹部7a、裏面凹部9aの開口幅は、水膨張性部材3の潰れ代を考慮することが望ましい。すなわち、表面凹部7a、裏面凹部9aの開口幅に、水膨張性部材3厚みtの2倍を加えた幅が、表面凸部7bおよび裏面凸部9bの先端幅よりも大きければ、嵌合時に水膨張性部材3がつぶれることで容易に嵌合することができる。
【0049】
なお、凹凸形状が複数繰り返される例を示したが、これらの凹凸は、表裏に少なくとも一対形成されれば、ずれ止め効果を発揮することができる。
【0050】
また、凹凸形状は、形状保持部材5のみ(裏面のみ)に形成してもよい。図7(a)は、止水部材50を示す図である。止水部材50は、裏面凹部9a、裏面凸部9bのみを有し、表面には凹凸部を形成しない。
【0051】
図7(b)に示す様に、止水部材50をケーブル13に巻きつけると、止水部材50の裏面と当接する止水部材50の表面(水膨張部材3)が、形状保持部材5の凸形状に対応して変形する(つぶれる)。すなわち、水膨張性部材3が裏面凸部9bと当接する部位は水膨張性部材3がつぶれ、裏面凹部9aと当接する部位は水膨張性部材3が裏面凹部9aに嵌り込む。したがって、前述の止水部材と同様にずれ止めの効果を得ることができる。なお、水膨張性部材3と裏面凹部9aとの間に隙間が形成される恐れがあるが、水膨張性部材3が水を吸収して膨張すると、当該隙間が埋められる。また、裏面凹部9aの深さ(裏面凸部9bの高さ)よりも水膨張性部材3の厚みを厚くしておくことが望ましいが、通常水膨張部材は、水を吸収すると、少なくとも2倍以上(通常は5−10倍)に膨張するので、裏面凹部9aの深さと水膨張性部材3の厚みは同等であれば問題はない。なお、表面に凹凸を有しない止水部材50を用いれば、前述した図3(b)においても、保護管11の内面と止水部材との間に隙間が生じることがない。
【0052】
また、裏面凹部9a、裏面凸部9bは、一方向に並列させるのみでなく、格子状に形成してもよい。図8(a)は、格子状の裏面凸部9bが形成された止水部材60を示す裏面図であり、図8(b)は図8(a)のE−E線断面図である。なお、以下の図面において、裏面凸部9bをハッチングで示す。止水部材60は、裏面凸部9bが格子状に形成される。格子形状は、止水部材60の長手方向および幅方向に裏面凸部9bが連続した形状である。すなわち、裏面凹部9aは矩形形状であり、裏面凹部9aの各辺は、止水部材60の長手方向または幅方向に平行に形成される。止水部材60によっても止水部材50と同様の効果を得ることができる。
【0053】
さらに、裏面凹部9a、裏面凸部9bは、格子形状に止水部材の斜め方向に形成してもよい。図8(c)は、斜め方向の格子状の裏面凸部9bが形成された止水部材70を示す裏面図である。止水部材70は、裏面凸部9bが止水部材70の幅方向に対して斜めに格子状に形成される。格子形状は、止水部材70の長手方向および幅方向に裏面凸部9bが連続した形状である。すなわち、裏面凹部9aは矩形形状であり、裏面凹部9aの各対角線は、止水部材70の長手方向または幅方向に平行に形成される。止水部材70によっても止水部材50と同様の効果を得ることができる。
【0054】
さらに、裏面凹部9a、裏面凸部9bは、湾曲した凹凸形状に形成してもよい。図9(a)は、止水部材の長手方向(巻きつけ方向)に対して湾曲した曲線状に裏面凸部9bが形成された止水部材80を示す裏面図である。止水部材80は、裏面凸部9bが止水部材80の長手に対して湾曲して形成される。なお、この場合には、隣り合う裏面凸部9b同士が完全に平行に形成されてもよく、または図示したように平行でなくてもよい。裏面凸部9bは止水部材80の長手方向に連続して形成してよいが部分的に形成してもよい。また、湾曲部は止水部材80の長手方向に複数繰り返し形成してもよく、一部に形成しても良い。止水部材80によれば、止水部材50と同様の効果を得ることができる。
【0055】
また、裏面凹部9a、裏面凸部9bは、屈曲した凹凸形状に形成してもよい。図9(b)は、止水部材の長手方向(巻きつけ方向)に対して屈曲した折線状に裏面凸部9bが形成された止水部材90を示す裏面図である。止水部材90は、裏面凸部9bが止水部材90の長手に対して屈曲して形成される。なお、この場合には、隣り合う裏面凸部9b同士が、図示したように平行に形成されてもよく、または平行でなくてもよい。裏面凸部9bは止水部材90の長手方向に連続して形成してよいが部分的に形成してもよい。また、屈曲部は止水部材90の長手方向に複数繰り返し形成してもよく、一部に形成しても良い。また、屈曲形状は、図示した三角波でなくても矩形波状でも良く、その他種々の態様が適用できる。止水部材90によれば、止水部材50と同様の効果を得ることができる。
【0056】
また、裏面凸部9bを離散して形成してもよい。図9(c)は、止水部材の裏面に離散して裏面凸部9bが形成された止水部材100を示す裏面図である。止水部材100は、略円形の裏面凸部9bが止水部材100の裏面に所定間隔をあけて形成される。なお、この場合には、隣り合う裏面凸部9b同士が、止水部材100の長手方向および幅方向に格子状に配置されてもよく、または図示したように千鳥状に配置されてもよい。裏面凸部9bは止水部材100の裏面前面に形成してよいが部分的に形成してもよい。また、裏面凸部9bの形状は、円形に限られず、矩形その他種々の形状でもよい。止水部材100によれば、止水部材50と同様の効果を得ることができる。
【0057】
また、裏面凸部9bを幅方向に形成してもよい。図10(a)は、止水部材の幅方向に裏面凸部9bが延伸するように配置した止水部材110を示す裏面図である。前述の通り、裏面凸部9bが止水部材110の幅方向に形成されると、止水部材をケーブルに巻きつけた際に、ケーブル軸方向へのストッパとしての機能は劣るが、水膨張性部材と形状保持部との接触面積を増し、水膨張性部材が変形して形状保持部材に押し付けられて凹部に嵌り込むことで、ずれを抑制することができる。なお、止水部材110においては、表面にも裏面凹部9a、裏面凸部9bに対応する凹凸を設けてもよい。
【0058】
また、裏面凸部9bを幅方向に対して所定角度に形成してもよい。図10(b)は、止水部材の幅方向に対して所定角度で裏面凸部9bが延伸するように配置した止水部材120を示す裏面図である。前述の通り、裏面凸部9bが止水部材110の幅方向に対してわずかでも角度を有するように形成すれば、止水部材をケーブルに巻きつけた際に、軸方向に凹凸が形成されるため、ケーブル軸方向へのストッパとしての機能が向上する。この場合、止水部材の幅方向に対して略垂直に凹凸を延伸させたものが、前述の止水部材1の凹凸配置となる。なお、止水部材120においても、表面にも裏面凹部9a、裏面凸部9bに対応する凹凸を設けてもよい。
【0059】
なお、止水部材60、70、80、90、100の裏面凹部9aと裏面凸部9bの配置を入れ替えて、裏面凹部9aを格子状、湾曲した曲線形状、屈曲した折線形状、離散配置としてもよい。また、裏面凹部9a、裏面凸部9bの断面形状は、例えば図5に示すような種々の形状を適用することができる。また、上述の構成を組み合わせてもよい。なお、例えば、湾曲状、屈曲状の凹凸形状は、図9の例では、止水部材の長手方向に延伸するように配置したが、図9のように所定角度を有するように形成してもよく、この場合、湾曲状または屈曲状の凹凸の延伸方向が止水部材の幅方向または幅方向に対して所定角度で形成されれば良い。
【符号の説明】
【0060】
1、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120………止水部材
3………水膨張性部材
5………形状保持部材
7a………表面凹部
7b………表面凸部
9a………裏面凹部
9b………裏面凸部
11………保護管
12………管路口
13………ケーブル
15………水膨張性シート
130………止水部材
51………保護管
53………ケーブル
55………ハンドホール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路口または保護管の止水構造であって、
少なくとも、表面側の水膨張性部材と、裏面側の形状保持部材とを有する止水部材を用い、
弾性部材からなる前記形状保持部材には、裏側凹凸部が形成され、
管路口または保護管の内部に挿通されたケーブルの外周に、前記止水部材が巻きつけられており、前記止水部材の最内周または最外周の少なくともいずれかに別途水膨張シートが設けられることで、前記ケーブルの外周面および前記管路口または保護管の内周面には、それぞれ前記水膨張シートまたは前記止水部材の水膨張性部材が設けられ、巻きつけられた前記止水部材において前記形状保持部材に重なり合う前記水膨張性部材が前記裏側凹凸部の凹部に嵌り込むことを特徴とする管路口または保護管の止水構造。
【請求項2】
前記止水部材が前記形状保持部材側を内周面側にして巻きつけられる場合には、前記ケーブルの外周面に前記水膨張シートが設けられ、前記水膨張シートの外周に前記止水部材が巻きつけられ、
前記止水部材が前記形状保持部材側を外周面側にして巻きつけられる場合には、前記管路口または保護管の内周面に前記水膨張シートが設けられ、前記止水部材の外周に前記水膨張シートが巻きつけられることを特徴とする請求項1記載の管路口または保護管の止水構造。
【請求項3】
前記水膨張性部材には、表側凹凸部が形成され、
前記表側凹凸部は、前記裏側凹凸部と対応した態様で形成されており、前記止水部材が前記ケーブルに巻きつけられた状態で、互いに重なり合う前記表側凹凸部と前記裏側凹凸部とが嵌合されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の管路口または保護管の止水構造。
【請求項4】
前記止水部材が前記ケーブルに巻きつけられた状態で、前記裏側凹凸部の凸部および/または凹部が、前記ケーブルの軸方向に対して所定の角度を有するように配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の管路口または保護管の止水構造。
【請求項5】
前記止水部材が前記ケーブルに巻きつけられた状態で、前記裏側凹凸部の凸部および/または凹部が、前記ケーブルの軸方向に対して略垂直な方向に配置されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の管路口または保護管の止水構造。
【請求項6】
前記水膨張性部材は水膨張性不織布であり、前記形状保持部材はゴムまたは熱可塑性エラストマであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のケーブル保護管の止水構造。
【請求項7】
管路口または保護管の止水構造における止水部材のずれ止め方法であって、
少なくとも、表面側の水膨張性部材と、裏面側の形状保持部材とを有し、前記形状保持部材の、前記止水部材には裏側凹凸部が設けられる止水部材を用い、
水膨張性シートを最内周または最外周のいずれかに設けた状態で、ケーブルの外周に前記止水部材を巻きつけて管路口または保護管の内部に挿通し、
前記止水部材が前記ケーブルに巻きつけられた状態で、前記裏側凹凸部の凸部および/または凹部が、前記止水部材の重なり合う面同士の前記水膨張性部材を前記裏側凹凸部の凹部に嵌めることにより、巻きつけられた前記止水部材が前記ケーブルの軸方向へずれることを防止することを特徴とする止水部材のずれ止め方法。
【請求項8】
管路口または保護管の止水部材であって、
前記止水部材は、少なくとも、前記止水部材の表面側の水膨張性部材と、前記止水部材の裏面側の形状保持部材とを有し、
弾性部材からなる前記形状保持部材には、裏側凹凸部が形成され、
前記止水部材を丸めて前記止水部材同士が重なる部位において、前記水膨張性部材が前記裏側凹凸部に嵌り込むことが可能であることを特徴とする管路口または保護管の止水部材。
【請求項1】
管路口または保護管の止水構造であって、
少なくとも、表面側の水膨張性部材と、裏面側の形状保持部材とを有する止水部材を用い、
弾性部材からなる前記形状保持部材には、裏側凹凸部が形成され、
管路口または保護管の内部に挿通されたケーブルの外周に、前記止水部材が巻きつけられており、前記止水部材の最内周または最外周の少なくともいずれかに別途水膨張シートが設けられることで、前記ケーブルの外周面および前記管路口または保護管の内周面には、それぞれ前記水膨張シートまたは前記止水部材の水膨張性部材が設けられ、巻きつけられた前記止水部材において前記形状保持部材に重なり合う前記水膨張性部材が前記裏側凹凸部の凹部に嵌り込むことを特徴とする管路口または保護管の止水構造。
【請求項2】
前記止水部材が前記形状保持部材側を内周面側にして巻きつけられる場合には、前記ケーブルの外周面に前記水膨張シートが設けられ、前記水膨張シートの外周に前記止水部材が巻きつけられ、
前記止水部材が前記形状保持部材側を外周面側にして巻きつけられる場合には、前記管路口または保護管の内周面に前記水膨張シートが設けられ、前記止水部材の外周に前記水膨張シートが巻きつけられることを特徴とする請求項1記載の管路口または保護管の止水構造。
【請求項3】
前記水膨張性部材には、表側凹凸部が形成され、
前記表側凹凸部は、前記裏側凹凸部と対応した態様で形成されており、前記止水部材が前記ケーブルに巻きつけられた状態で、互いに重なり合う前記表側凹凸部と前記裏側凹凸部とが嵌合されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の管路口または保護管の止水構造。
【請求項4】
前記止水部材が前記ケーブルに巻きつけられた状態で、前記裏側凹凸部の凸部および/または凹部が、前記ケーブルの軸方向に対して所定の角度を有するように配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の管路口または保護管の止水構造。
【請求項5】
前記止水部材が前記ケーブルに巻きつけられた状態で、前記裏側凹凸部の凸部および/または凹部が、前記ケーブルの軸方向に対して略垂直な方向に配置されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の管路口または保護管の止水構造。
【請求項6】
前記水膨張性部材は水膨張性不織布であり、前記形状保持部材はゴムまたは熱可塑性エラストマであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のケーブル保護管の止水構造。
【請求項7】
管路口または保護管の止水構造における止水部材のずれ止め方法であって、
少なくとも、表面側の水膨張性部材と、裏面側の形状保持部材とを有し、前記形状保持部材の、前記止水部材には裏側凹凸部が設けられる止水部材を用い、
水膨張性シートを最内周または最外周のいずれかに設けた状態で、ケーブルの外周に前記止水部材を巻きつけて管路口または保護管の内部に挿通し、
前記止水部材が前記ケーブルに巻きつけられた状態で、前記裏側凹凸部の凸部および/または凹部が、前記止水部材の重なり合う面同士の前記水膨張性部材を前記裏側凹凸部の凹部に嵌めることにより、巻きつけられた前記止水部材が前記ケーブルの軸方向へずれることを防止することを特徴とする止水部材のずれ止め方法。
【請求項8】
管路口または保護管の止水部材であって、
前記止水部材は、少なくとも、前記止水部材の表面側の水膨張性部材と、前記止水部材の裏面側の形状保持部材とを有し、
弾性部材からなる前記形状保持部材には、裏側凹凸部が形成され、
前記止水部材を丸めて前記止水部材同士が重なる部位において、前記水膨張性部材が前記裏側凹凸部に嵌り込むことが可能であることを特徴とする管路口または保護管の止水部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−147234(P2011−147234A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4808(P2010−4808)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
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