説明

管路計測装置

【課題】従来の管路計測装置は、センサプローブが一体型の円筒形状であるので、狭いスペースでセンサプローブを旋回させることができず、小径かつ曲率が大きい管路内にセンサプローブを通すことができない。
【解決手段】本発明による管路計測装置は、別個に設けられた前記電源部10と前記駆動回路部11と前記センサ部12とを、屈曲自在なフレキシブルジョイント15によって互いに連結し、センサプローブ1が管路2に沿って進行される際に、前記電源部10、前記駆動回路部11、及び前記センサ部12が前記管路2の曲部2aに沿って個々に案内される構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路計測装置に関し、特に、センサプローブの電源部、駆動回路部、及びセンサ部を屈曲自在なフレキシブルジョイントによって互いに連結し、前記電源部、前記駆動回路部、及び前記センサ部が前記管路の曲部に沿って個々に案内されるように構成することで、小径かつ曲率が大きい管路内により確実にセンサプローブを通すことができ、経路計測の適用範囲を広げることができるようにするための新規な改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種の管路計測装置としては、例えば特許文献1等に示されている管路計測装置が用いられており、図3〜図6に示すように構成されている。
図3は従来の管路計測装置を示す構成図である。図において、符号1で示されるものは管路2内に移動自在に設けられたセンサプローブであり、このセンサプローブ1に接続されたケーブル3は、ケーブル中継器4、ケーブル測長器5を介してケーブル巻取器6で巻き取られる。前記ケーブル測長器5からのケーブル速度5a及びケーブル巻取器6からのプローブデータ6aは、例えばCPU、RAM、及びROM等からなる演算部7に取込まれる。
【0003】
次に、図4は図3のセンサプローブ1を示す側面図であり、図5は図4のセンサプローブ1の断面図である。センサプローブ1は、図4に示すように円筒形状に形成されており、図5に示すように、互いに一体に形成された電源部10、駆動回路部11、及びセンサ部12を有している。前記電源部10は、例えばバッテリ等であり、前記駆動回路部11及び前記センサ部12に電力を供給するものである。前記駆動回路部11は、前記センサ部12に接続されており、前記センサ部12の動作を制御するとともに前記センサ部12からの信号に基づいて前記プローブデータ6aを作成する。前記センサ部12は、小型DTG(二軸自由度ジャイロ)等から構成されており、前記センサプローブ1のピッチ角θ及び方位角ψを検出するための信号を出力する。
【0004】
次に、図6は、図3の演算部7によって計測された管路2の経路を示す説明図である。図3に示す演算部7は、前記ケーブル速度5a及び前記プローブデータ6aの演算処理を行うことで、図6に示すような前記管路2の経路計測を行う。具体的には、演算部7は、前記プローブデータ6aから前記センサプローブ1のピッチ角θ及び方位角ψを求めることで、前記センサプローブ1の移動方向を求める。ここで、前記ケーブル測長器5からの前記ケーブル速度5aは、前記センサプローブ1の移動速度に相当する。演算部7は、前記センサプローブ1の移動方向と、前記センサプローブ1の移動速度とに基づいて前記センサプローブ1の移動経路、すなわち前記管路2の経路を求める。
【0005】
【特許文献1】特開2007−155583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような従来の管路計測装置では、センサプローブ1が一体型の円筒形状であるので、狭いスペースでセンサプローブ1を旋回(回頭)させることができず、小径かつ曲率が大きい管路内にセンサプローブ1を通すことができない。具体的には、従来のセンサプローブ1は、直径が45mm程度であり長さが500mm程度であるので、内径が50mmかつ旋回半径が1m程度の管路の経路計測には適用できない。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、小径かつ曲率が大きい管路内により確実にセンサプローブを通すことができ、経路計測の適用範囲を広げることができる管路計測装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る管路計測装置は、電源部、駆動回路部、及びセンサ部を有するセンサプローブが管路に沿って進行される際の前記センサプローブのピッチ角、方位角、及び速度に基づいて前記管路の経路を計測する管路計測装置であって、前記センサプローブに設けられ、別個に設けられた前記電源部と前記駆動回路部と前記センサ部とを互いに連結する屈曲自在なフレキシブルジョイントを備え、前記センサプローブが前記管路に沿って進行される際に、前記電源部、前記駆動回路部、及び前記センサ部が前記管路の曲部に沿って個々に案内される。
また、前記センサ部は、前記電源部と前記駆動回路部との間に配置されており、前記フレキシブルジョイントは、前記センサ部と前記電源部とを連結するとともに、前記センサ部と前記駆動回路部とを連結する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の管路計測装置によれば、センサプローブの電源部、駆動回路部、及びセンサ部が屈曲自在なフレキシブルジョイントによって互いに連結され、前記電源部、前記駆動回路部、及び前記センサ部が前記管路の曲部に沿って個々に案内されるので、小径かつ曲率が大きい管路内により確実にセンサプローブを通すことができ、経路計測の適用範囲を広げることができる。
また、前記センサ部が前記電源部と前記駆動回路部との間に配置されているので、センサ部の前後において電源部及び駆動回路部を管路に沿って進行させることができ、センサ部の進行位置をより確実に管路の中心位置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による管路計測装置のセンサプローブを示す構成図である。なお、従来の管路計測装置と同一又は同等部分については同一の符号を用いて説明する。図において、管路2内を進行されるセンサプローブ1は、互いに間隔を置いて別個に設けられた電源部10、駆動回路部11、及びセンサ部12を有している。前記電源部10は、例えばバッテリ等であり、前記駆動回路部11及び前記センサ部12に電力を供給するものである。前記駆動回路部11は、前記センサ部12に電気的に接続されており、前記センサ部12の動作を制御するとともに前記センサ部12からの信号に基づいてプローブデータ6a(図3参照)を作成する。前記センサ部12は、小型DTG(二軸自由度ジャイロ)12a、MEMSジャイロ12b、3軸加速度計12cから構成されており、前記センサプローブ1のピッチ角θ及び方位角ψを検出するための信号を出力する。
【0011】
前記センサ部12は、前記電源部10と前記駆動回路部11との間に配置されている。すなわち、前記電源部10及び前記駆動回路部11は、前記センサプローブ1の進行方向(長手方向)Aに沿う前記センサ部12の前後に配置されている。これら電源部10、駆動回路部11、及びセンサ部12は、屈曲自在なフレキシブルジョイント15によって互いに連結されている。すなわち、フレキシブルジョイント15は、前記センサ部12と前記電源部10とを連結するとともに、前記センサ部12と前記駆動回路部11とを連結する。
【0012】
次に、図2は、図1のフレキシブルジョイント15を示す側面図である。図において、フレキシブルジョイント15は、ゴム管又は金属管からなるジョイント本体16と、このジョイント本体16の両端に取り付けられた金属製の一対の結合部17とを有している。結合部17の一端には、ネジ溝が切られたネジ部17aが設けられており、このネジ部17aは、前記電源部10、前記駆動回路部11、及び前記センサ部12の前端及び後端に設けられた接続口18に螺着されている。また、前記結合部17は、前記ジョイント本体16内の中空部16aに連通された貫通孔17bを有しており、前記電源部10、前記駆動回路部11、及び前記センサ部12間を接続する電気配線(図示せず)は、これら貫通孔17bと中空部16aとを通される。
【0013】
次に、この実施の形態のセンサプローブ1の動作について説明する。この実施の形態では、互いに別個に設けられた前記電源部10、前記駆動回路部11、及び前記センサ部12が、屈曲自在なフレキシブルジョイント15によって連結されているので、前記センサプローブ1が前記管路2に沿って進行される際に、前記電源部10、前記駆動回路部11、及び前記センサ部12が前記管路2の曲部2aに沿って個々に案内される。すなわち、前記電源部10、前記駆動回路部11、及び前記センサ部12が一体に設けられている従来構成に比べて狭いスペースで旋回(回頭)できる。
これにより、小径かつ曲率が大きい管路2内により確実にセンサプローブ1を通すことができ、経路計測の適用範囲を広げることができる。
【0014】
また、前記センサ部12が前記電源部10と前記駆動回路部11との間に配置されているので、センサ部12の前後において電源部10と駆動回路部11とが管路2に沿って進行される。これにより、管路2内を進行される際のセンサ部12のぶれを小さくでき、センサ部12の進行位置をより確実に管路2の中心位置とすることができる。従って、経路計測の精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1による管路計測装置のセンサプローブを示す構成図である。
【図2】図1のフレキシブルジョイントを示す側面図である。
【図3】従来の管路計測装置を示す構成図である。
【図4】図3のセンサプローブを示す側面図である。
【図5】図4のセンサプローブの断面図である。
【図6】図3の演算部によって計測された管路の経路を示す説明図である。
【符号の説明】
【0016】
1 センサプローブ
2 管路
2a 曲部
10 電源部
11 駆動回路部
12 センサ部
15 フレキシブルジョイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部(10)、駆動回路部(11)、及びセンサ部(12)を有するセンサプローブ(1)が管路(2)に沿って進行される際の前記センサプローブ(1)のピッチ角、方位角、及び速度に基づいて前記管路(2)の経路を計測する管路計測装置であって、
前記センサプローブ(1)に設けられ、別個に設けられた前記電源部(10)と前記駆動回路部(11)と前記センサ部(12)とを互いに連結する屈曲自在なフレキシブルジョイント(15)を備え、
前記センサプローブ(1)が前記管路(2)に沿って進行される際に、前記電源部(10)、前記駆動回路部(11)、及び前記センサ部(12)が前記管路(2)の曲部(2a)に沿って個々に案内されることを特徴とする管路計測装置。
【請求項2】
前記センサ部(12)は、前記電源部(10)と前記駆動回路部(11)との間に配置されており、
前記フレキシブルジョイント(15)は、前記センサ部(12)と前記電源部(10)とを連結するとともに、前記センサ部(12)と前記駆動回路部(11)とを連結することを特徴とする請求項1記載の管路計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−32475(P2010−32475A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197744(P2008−197744)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)