説明

管連結用の固着要素

本発明は、ハウジングと、ハウジングに配置され、弾性ゴム材料から成る少なくとも1つのシール材とを有し、平滑な端部を有する管を摩擦結合する固着要素に関する。固着要素は、断面は実質的にL字型に形成され、軸方向に延びる第1の突出部、及び第1の突出部と鋭角をなして延びる第2の突出部を有し、第1の突出部まで延びる軸方向に走るスリットを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングと、ハウジングに配置され、弾性ゴム材料から成る少なくとも1つのシール材とを有し、平滑な端部を有する管を摩擦結合する固着要素に関し、固着要素は、連結される管の少なくとも1つを拘束し、断面は実質的にL字型に形成され、軸方向に延びる第1の突出部、及び第1の突出部と鋭角をなして延びる第2の突出部を有し、第1及び第2の突出部の間が好ましくは半径状の部分として形成され、第2の突出部は、少なくとも部分的に軸方向に走るスリットを備え、スリットは第1及び第2の突出部の間、又は半径状の部分を越えて第1の突出部まで延びる。
【背景技術】
【0002】
管連結用の固着要素は、内圧ないし外圧のために各管の管路に影響を与える応力の伝達を受ける。その際、まず引張力及び圧縮力が重要となる。但し、管の連結の応力により、せん断力ないし捩れモーメントが発生することもある。
【0003】
固着要素は、ばね鋼から製造され、冷却して変形されなければならないため、その製造にはとても経費がかかる。
【0004】
特許文献1により、断面が実質的にL字型に形成される固着要素が知られている。その際、第1の突出部はほぼ軸方向に延び、第2の突出部はそれと鋭角に延びる。第2の突出部は、端部が自由に動くスリットを備えている。このスリットにより、結合すべき管の表面に食い込むこともある個々の歯が生じる。スリットが第2の縦の部分を経由してのみ延びるため、歯の柔軟性は比較的少ない。特に管の長円形により、又は誤って斜めに組み立てられた管の連結の場合には、歯がきちんと管に組み込まないことがある。
【0005】
【特許文献1】英国特許第2321685号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の根底には管に関して高い柔軟性や安全な連結を可能にする管連結用の固着要素を提供するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により、スリットが固着要素の幅全体に延び、実質的にスリットに対して横断する方向に交差するスタッドを有することにより到達される。第1及び第2の突出部の間、又は半径状の部分を越えて延びるスリットにより、実際に相互に依存せずに変形可能な多数の個々の歯が生じる。そして、この全体の固着要素はとても柔軟となり、容易に製造され組み立てられるようになる。その上、個々の歯の柔軟性或いは操作性も制限できる。
【0008】
有利な点は、スタッドが弾性又は塑性変形が可能であり、例えば圧縮又は引き伸ばされることである。このスタッドの変形により全体の固着要素も放射状に変形可能である。
【0009】
突出部がそれ自体により形状が安定するように、この断面が少なくとも縦の部分において溝部を有することは目的にかなっている。こうした溝部は、フレーム又は連続して形成された筋条の溝となる。
【0010】
有利な点は、第1の突出部が軸方向において少なくとも部分的に管軸方向に向かって弓なりに形成されることである。この弓なり部により、第1の突出部の自由端は、放射状に外側に向けられる。その際、これらの端部は、ハウジングの内側と接触することができるか、或いは強く拘束することが可能となる。それにより、例えば固着要素とハウジング間の好ましくない相対的な捻れを回避できる。
【0011】
有利な点は、第1の突出部の自由端が放射状に外へ延びるノブまたは爪を備えていることであり、これにより固着要素とハウジング間の接触が改善される。こうしたノブまたは爪は、点状の接触、いわば比較的高い平面への加圧を生む。これは再び摩擦力ないし圧縮力の要素となる。
【0012】
公知の管の連結は、通常相互に対称に配置される2つの固着要素を有する。その際、応力の伝達はハウジングを介して行われる。目的に適う解決は、軸方向に離間して配置された相互に対向する、断面においてL字型に形成された要素が軸方向に延びる第1の突出部を介して個々に相互に結合することに本質がある。その際、軸力はもはやハウジングを介してではなく直接固着要素に伝達される。
【0013】
固着要素の製造時及び組立時において柔軟性を生じさせるためには、スリットが固着要素の全体幅に延びていることが有利である。固着要素は、継続的に切断される商品として生産され、必要に応じてそれぞれの管連結の円周長に応じた長さで切り離される。
【0014】
固着要素の安定のために、各スリットに目的に合わせて長さ方向に配置された少なくとも2つのスタッドが備えてある。この2つのスタッドによりスリットの幅が定義され、固着要素の安定性が保証される。
【0015】
有利な点は、各スリットに等間隔に配置された少なくとも3つのスタッドが備えられていることである。スタッドは中央に1つあり、両側の他のスタッドは、必要に応じてさらに外側または内側においてスリットに配置できる。
【0016】
固着要素は、目的に合わせて実質的にスリット付スリーブとして形成され、縦長のスリットの領域において、一方の端部が他方の端部をつかむ舌部を備える。
【0017】
舌部は、異なる外径を有する管の連結を可能にし、シール材が外側へ加圧されて開いたスリットが生じないようにする。
【0018】
有利な点は、舌部が周辺方向から見て弓なりに形成される点である。それにより舌部は縦方向のスリットの対向する端部において滑るようになる。
【0019】
本発明による固着要素の製造は、まず外形が切り出されるか打ち抜かれ、次に溝部が形成され、第2の突出部が曲げられ、さらに固着要素が円形に形成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、例えばそれを再現する図面を用いて詳述されるべきである。
【0021】
符号の説明は、開示の構成要素である。
【0022】
図1から分かる管連結用の固着要素は、平滑な端部を有する2つの管1と2の連結に用いられる。その際に、管の連結は、両方の管1と2の間にある衝突箇所を介して組み立てられる。管の連結は、縦断面にあるC字型のハウジング3とそこに配置された同様にほぼC字型のシール材4から成る。シール材4は、配管材料に対して安定していなければならないことから弾性ゴムの材料からなる。シール材4とハウジング3間には、2つの固着要素5,6が配置されている。固着要素5と6とは、縦断面において軸方向に延びる第1の突出部7と、第1の突出部7と鋭角に延びる第2の突出部8とを有する。突出部7と突出部8間は、半径状の部分9として形成される。
【0023】
固着要素5と6は、軸力の伝達に役に立ち、軸方向においてハウジング3の内側面の噛み合う面において支持される。特に図2から分かるように、固着要素5と6は縦方向に延びるスリット10を備えている。このスリット10は、第2の突出部8から半径状の部分9を越えて第1の突出部7まで延び、固着要素5と6の高い安定性を生む。固着要素5と6とは、いわば多数の互いに結合した歯のセグメントからなる。固着要素5と6との一種の形態の安定性を保つために、スリット10の範囲には変形可能なスタッド11がある。このスタッド11は、必要に応じて圧縮されまたは引っ張られ、連結される管1と2との外径に適用されることが可能である。
【0024】
図3から第1の突出部14と第2の突出部15を有する固着要素13の改良型が見て取れる。その際、第1の突出部14の自由端には、ノブ16が備えられている。ノブ16の代わりに、鋭い爪を備えることもできる。このノブ16又は爪は、点状の接触を形成するか或いはハウジング3の内側と噛み合うことで、この両方の部分間における好ましくない相対的な捻れを十分に回避する。
【0025】
図4に表示された固着要素17は、縦断面に第1の突出部18及びそれと結合した第2の突出部19を有する。第1の突出部17は、管軸に対して弓なり部29を装備している。この弓なり部29は、図3から見て取れる実施例のノブ20と類似した効果を持っている。管の連結を固定する際に、第2の突出部19は時計回りに動く。その際、突出部18と19との間の範囲内にある点状の接触により、第1の突出部18の自由端もハウジングの内壁に対して外側へ押される。
【0026】
図5から分かる2つの管21と22を結合する管の連結は、同様にハウジング23とハウジング23に配置されたシール材24を有する。但し、図1から図4までに示された実施例と異なり、唯一の固着要素25だけが備えられている。原則的に、この実施例は、図1から図4までに示す2つの連結装置の要素が全体的に相互に結合することにより生まれる。これは、連結装置の要素自体の中で応力の伝達が行われ、ハウジングの負担が軽減されるという利点を生む。これにより、壁厚の小さなハウジングの使用とマットの節約が可能となる。
【0027】
図6は、縦方向に溝の入ったさや状の容器型において、縦方向のスリット32相互を接続する舌部26を有する連結装置の要素25の形態を示す。舌部26は、縦のスリット32の対向する側面を掴むことができる。この重なりにより、シール材24が縦のスリット32の範囲で内圧により放射状に絞り出ないようになる。全体の周囲に分布して配置された軸方向に延びるスリット30が実質的に全体の幅に延びることもはっきりと認識できる。スリット30の範囲内において、各第1の突出部27間を結合する変形可能なスタッド31が配置される。管の連結を固定する際、スタッド31は圧縮されるか或いは引き伸ばされる。
【0028】
図7は、図5及び図6により示された固着要素25の引き伸ばされた断面を示している。この断面は、例えば継続する穿孔器による工程にて行われる。突出部27と28間を走るスリット30により生じたベルトは、とても柔軟になり、スタッド31が変形すると、容易にマットの切断商品として装着することができる。そして、固着要素を完成するために、周長に合わせた長さにバンドが切断される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による2つの固着要素を有する管の連結を示す縦断面図である。
【図2】図1に示される管の連結の固着要素を示す透視図である。
【図3】図1と図2に示された固着要素の改良型を示す縦断面図である。
【図4】固着要素の他の改良型を示す縦断面図である。
【図5】本発明による固着要素の管連結を示す縦断面図である。
【図6】図5により示された固着要素を示す透視図である。
【図7】図5及び図6により示された固着要素を引き伸ばした断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1,2,21,22 管、3,23 ハウジング、4 シール材、5,6,13,17,24 固着要素(L字型)、7,14,18,27 第1の突出部、8,15,19,28 第2の突出部、9、29 半径状の部分、10、30 スリット、11,31 スタッド、12 溝部、16 ノブ、20 弓なり部、25 固着要素(C字型)、26 舌部、27,28 突出部、32 縦のスリット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、ハウジングに配置され、弾性ゴム材料から成る少なくとも1つのシール材(4,24)とを有し、平滑な端部を有する管を摩擦結合する固着要素であって、連結される管(1,2,21,22)の少なくとも1つを拘束し、断面は実質的にL字型に形成され、軸方向に延びる第1の突出部(7,14,18,27)、及び第1の突出部と鋭角をなして延びる第2の突出部(8,15,19,28)を有し、第1及び第2の突出部の間が好ましくは半径状の部分(9,29)として形成され、第2の突出部(8,15,19,28)は、少なくとも部分的に軸方向に走るスリット(10,30)を備え、スリット(10,30)は第1及び第2の突出部の間、又は半径状の部分(9,29)を越えて第1の突出部まで延びる管連結用の固着要素において、スリット(10,30)は、固着要素(5,6,25)の幅全体に延び、実質的にスリットに対して横断する方向に交差し、弾性変形又は塑性変形が可能なスタッド(11,31)を有することを特徴とする固着要素。
【請求項2】
突出部(7,8,14,15,18,19,27,28)は、その断面において、少なくともその長さの一部に亘って溝部(12)を有する請求項1に記載の固着要素。
【請求項3】
第1の突出部(7,14,18,27)は、軸方向において少なくとも部分的に管軸方向に向かって弓なりに形成される請求項1又は2に記載の固着要素。
【請求項4】
第1の突出部(14)の自由端が放射状に外側に向かって突出したノブ(16)又は爪を備えている請求項1から3のいずれか1に記載の固着要素。
【請求項5】
軸方向に離間して配置された相互に対向するL字型の断面に形成された2つの固着要素(25)が軸方向に伸びる第1の突出部(27)により全体的に相互に結合するか、及び/又はL字型に形成された固着要素(25)が断面において実質的にC字型に形成される請求項1から4のいずれか1に記載の固着要素。
【請求項6】
スリット(30)が固着要素(25)の幅全体に延びる請求項5に記載の固着要素。
【請求項7】
各スリット(30)に長さ方向に配置された少なくとも2つのスタッド(31)が備えられている請求項5又は6に記載の固着要素。
【請求項8】
各スリット(30)に等間隔で配置された少なくとも3つのスタッド(31)が備えられている請求項9に記載の固着要素。
【請求項9】
実質的にスリット付スリーブとして形成され、縦長のスリット(32)の範囲において、一方の端部が他方の端部をつかむ舌部(26)を備える請求項5から8までのいずれか1に記載の固着要素。
【請求項10】
舌部(26)が周辺方向から見て弓なりに形成される請求項9に記載の固着要素。
【請求項11】
まず外形が切り出されるか打ち抜かれ、次に溝部が形成され、第2の突出部が曲げられ、さらに固着要素が円形に形成される請求項1から10のいずれか1に記載の固着要素を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−545921(P2008−545921A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502536(P2008−502536)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【国際出願番号】PCT/IB2006/050807
【国際公開番号】WO2006/100628
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(506075171)ストラブ ウェーク アーゲー (4)
【Fターム(参考)】