管離脱装置と管接合装置及び管脱着装置
【課題】挿口管部に対する第1装着体の位置ずれを確実に防止することができ、しかも、施工現場での組付け・撤去作業を能率良く容易に行う。
【解決手段】挿口管部2に対して管径方向から脱着自在に装着される第1装着体3に、挿口管部2の外周面を挾持する挾持具4が設けられ、受口管部1に対して管径方向から脱着自在に装着される第2装着体5には、挾持状態の挾持具4を介して両管部1,2に離脱移動力を付与する流体圧シリンダCを反力受け方向から脱着自在に所定姿勢で係合保持するシリンダ装着部7と、流体圧シリンダCによる両管部1,2の離脱移動時において受口管部1に管軸芯X方向から当接する反力受け部8が設けられ、流体圧シリンダCのピストンロッド9には、挾持具4に対して管軸芯X方向から当接自在で、かつ、その当接状態でのピストンロッド9の伸長移動に伴って挾持具4を挾持状態に切り替え作動させる係止部10が設けられている。
【解決手段】挿口管部2に対して管径方向から脱着自在に装着される第1装着体3に、挿口管部2の外周面を挾持する挾持具4が設けられ、受口管部1に対して管径方向から脱着自在に装着される第2装着体5には、挾持状態の挾持具4を介して両管部1,2に離脱移動力を付与する流体圧シリンダCを反力受け方向から脱着自在に所定姿勢で係合保持するシリンダ装着部7と、流体圧シリンダCによる両管部1,2の離脱移動時において受口管部1に管軸芯X方向から当接する反力受け部8が設けられ、流体圧シリンダCのピストンロッド9には、挾持具4に対して管軸芯X方向から当接自在で、かつ、その当接状態でのピストンロッド9の伸長移動に伴って挾持具4を挾持状態に切り替え作動させる係止部10が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、水道管やガス管等の流体管又は仕切弁や空気弁等の流体機器に形成されている受口管部に対して、他の流体管又は流体機器に形成されている挿入管部を管軸芯方向から挿入接続する管接合機能、或いは、接続されている受口管部と挿入管部とを管軸芯方向に沿って引抜き分離(解体)する管離脱機能の少なくとも一つを備えた管離脱装置と管接合装置及び管脱着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記管接合機能及び管離脱機能を備えた管脱着装置としては、例えば、下記特許文献1に示すように、受口管部に挿入接続可能な挿口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第1装着体に、挿口管部の外周面に形成した突起に対して管径方向外方から嵌合する凹部を形成する。
【0003】
前記受口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第2装着体には、受口管部の開口側端面に対して管軸芯方向の一側方から当接可能な第1係合面と、受口管部の外周面における大径管部分と小径管部分との段差箇所に対して管軸芯方向の他側方から当接可能な第2係合面とを形成するとともに、前記第2装着体の管周方向両側部には、流体圧シリンダのシリンダチューブの両端部を管軸芯方向に沿う姿勢で脱着自在に締付け固定する締め付け固定具を設ける。
【0004】
前記両流体圧シリンダのピストンロッドの先端側に形成された雄ネジ部を、前記第1装着体に形成された連結孔に貫通させるとともに、各ピストンロッドの雄ネジ部に螺合された二個のナットにより前記第1装着体を挾持固定したものが提案されている。
【0005】
また、前記管接合機能を備えた管接合装置としては、例えば、下記特許文献2に示すように、受口管部に挿入接続可能な挿口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第1装着体の管周方向両側部に、管軸芯方向に対して直交する軸芯周りでの揺動により挿口管部の外周面を挾持する状態と挾持解除状態とに切り替え可能な挾持アームを設ける。
【0006】
前記受口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第2装着体には、受口管部の外周面における大径管部分と小径管部分との段差箇所に対して管軸芯方向から当接可能な係合面を形成するとともに、前記第2装着体の管周方向両側部には、流体圧シリンダのシリンダチューブの後端に設けた第1連結部を枢支連結するブラケットを設ける。
【0007】
前記各流体圧シリンダのピストンロッドの先端部には、前記挾持アームの他端部に枢支連結される第2連結部を設け、両流体圧シリンダの収縮作動により、挾持アームを挾持状態に切り替えるとともに、挾持された挿口管部を受口管部に挿入移動させる。
【0008】
【特許文献1】実開昭51−113817号公報
【特許文献2】特開平7−42876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の管脱着装置では、第1装着体の凹部を挿口管部の外周面に形成された突起に嵌合させるため、第1装着体と挿口管部との管軸芯方向での位置ずれを防止するこができるものの、前記突起が設けられていない挿口管部に対しては使用することができない。
【0010】
しかも、管脱着装置を装着する場合、受口管部に外装した第2装着体の管周方向両側部に、流体圧シリンダのシリンダチューブの両端部を締め付け固定具で固定したのち、挿口管部に外装された第1装着体の連結孔に流体圧シリンダのピストンロッドの先端側を挿通し、各ピストンロッドの雄ネジ部に螺合された二個のナットにより第1装着体の管周方向両側部を挾持固定する必要があり、また、管脱着装置を撤去する場合にも同様な多くの作業工程が必要であり、施工現場での組付け・撤去作業が煩雑化するとともに、多くの手間を要する問題があった。
【0011】
従来の管接合装置では、受口管部に外装した第2装着体の管周方向両側部に設けたブラケットの各々に、流体圧シリンダのシリンダチューブの後端に設けた第1連結部を枢支連結するとともに、前記挿口管部に外装された第1装着体の管周方向両側部における挾持アームの他端部に、各流体圧シリンダのピストンロッドの先端部に設けられた第2連結部を枢支連結する必要があり、また、管接合装置を撤去する場合にも同様な多くの作業工程が必要であり、施工現場での組付け・撤去作業が煩雑化するとともに、多くの手間を要する問題があった。
【0012】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、挿口管部の外径が少し変化した場合でも、該挿口管部に対する第1装着体の位置ずれを確実に防止することができ、しかも、施工現場での組付け・撤去作業を能率良く容易に行うことのできる管離脱装置と管接合装置及び管脱着装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による第1の特徴構成は、管離脱装置において、受口管部に挿入接続可能な挿口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第1装着体に、前記挿口管部の外周面を挾持する状態と挾持解除状態とに切り替え可能な挾持具が設けられているとともに、前記受口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第2装着体には、挾持状態の挾持具を介して両管部に離脱移動力を付与する流体圧シリンダを反力受け方向から脱着自在に所定姿勢で係合保持するシリンダ装着部と、前記流体圧シリンダによる両管部の離脱移動時において前記受口管部に管軸芯方向から当接する反力受け部が設けられ、前記流体圧シリンダのピストンロッドには、前記挾持具に対して管軸芯方向から当接自在で、かつ、その当接状態でのピストンロッドの伸長移動に伴って挾持具を挾持状態に切り替え作動させる係止部が設けられている点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、管離脱装置を組付ける場合、前記挿口管部に対して挾持具を備えた第1装着体を管径方向から装着し、前記受口管部に対してシリンダ装着部及び反力受け部を備えた第2装着体を管径方向から装着したのち、この第2装着体のシリンダ装着部に、流体圧シリンダを反力受け方向から所定姿勢で係合保持させるだけで済む。
【0015】
この状態で流体圧シリンダのピストンロッドを伸長作動させると、このピストンロッドに設けられた係止部が第1装着体に装備されている挾持具に管軸芯方向から当接して押圧し、そのときの反力で流体圧シリンダが第2装着体のシリンダ装着部に圧接され、且つ、第2装着体の反力受け部が受口管部に管軸芯方向から圧接されるとともに、第1装着体の挾持具が挾持状態に切り替えられ、この挾持具を介して挿口管部と受口管部とに離脱移動力が付与される。
【0016】
したがって、第1・第2装着体の落とし込み装着や流体圧シリンダの差し込み装着といった簡便な装着方法を採用することができるとともに、ピストンロッドの係止部を挾持具に当接させるだけであるから、挿口管部の外径が少し変化した場合でも確実に挾持固定することのできる挾持具を用いながらも、従来に比べて作業工程数も少なくなり、施工現場での管離脱装置の組付け・撤去作業を能率良く容易に行うことができる。
【0017】
本発明による第2の特徴構成は、上述の第1の特徴構成を備えた管離脱装置において、前記流体圧シリンダのシリンダチューブには、環状の鍔部を突設してある筒状の取付け部材が外装固定されているとともに、前記シリンダ装着部には、前記取付け部材の取付け筒部が管軸芯方向から摺接状態で挿入自在な装着貫通孔と、該装着貫通孔の一方の開口端縁側において前記取付け部材の鍔部を反力受け方向から脱着自在に嵌合状態で受止め保持する嵌合凹部とが形成され、さらに、前記装着貫通孔及び嵌合凹部に対して前記シリンダチューブを径方向外方から装着可能な開口部が形成されている点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、前記第2装着体のシリンダ装着部に形成された装着貫通孔に対して、シリンダチューブに外装固定された取付け部材の取付け筒部を反力受け方向から摺接状態で挿入することにより、流体圧シリンダを所定姿勢に仮保持することができるとともに、前記装着貫通孔の一方の開口端縁側に形成された嵌合凹部内に、前記取付け部材の鍔部を反力受け方向から嵌合した状態では、その嵌合面においてピストンロッドの伸長作動に伴う反力を強力に受止めることができる。
【0019】
しかも、前記シリンダ装着部に形成された開口部を通してシリンダチューブの中間部分を径方向外方から装着貫通孔及び嵌合凹部内に装着することができるから、シリンダチューブの一端側から挿入する必要がなく、施工現場での管離脱装置の組付け・撤去作業の能率化、容易化を促進することができる。
【0020】
本発明による第3の特徴構成は、上述の第2の特徴構成を備えた管離脱装置において、前記取付け部材の取付け筒部の外周面には、前記鍔部をシリンダ装着部の嵌合凹部に受止め保持させた状態で装着貫通孔の他方の開口端縁側に当接可能な状態で対面する抜止め突起が設けられているとともに、前記抜止め突起が、前記開口部を管軸芯方向に沿って通過移動可能な大きさに構成されている点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、前記取付け部材の鍔部がシリンダ装着部の嵌合凹部に嵌合した状態では、取付け部材の取付け筒部の外周面に設けられた抜止め突起が、装着貫通孔の他方の開口端縁側に当接可能な状態で対面するから、挿口管部側ほど低位となる状態で受口管部が傾斜している条件下であっても、第2装着体のシリンダ装着部に装着された流体圧シリンダが振動等で抜け落ちることを防止することができる。
それでいて、前記第2装着体のシリンダ装着部に装着された流体圧シリンダを回転操作して、前記抜止め突起をシリンダ装着部の開口部の開口幅内に対応させた場合には、この抜止め突起をシリンダ装着部の開口部を通して管軸芯方向に自由に移動させることができるから、上述の第2の特徴構成による効果を阻害することはない。
【0022】
本発明による第4の特徴構成は、上述の第1〜第3のいずれか一つの特徴構成を備えた管離脱装置において、前記第1装着体に、挿口管部の管周方向の二点に当接する管当接部と、該管当接部に対して管径方向で略対面する側からの締付け操作で第1装着体を挿口管部に抜止め固定する第1締結具が設けられているとともに、前記第2装着体には、受口管部の管周方向の二点に当接する管当接部と、該管当接部に対して管径方向で略対面する側からの締付け操作で第2装着体を受口管部に抜止め固定する第2締結具が設けられている点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、前記挿口管部及び受口管部に装着された第1装着体及び第2装着体の抜け落ちを、第1締結具及び第2締結具の締め付け固定操作で防止することができるばかりでなく、前記第1装着体及び第2装着体の各々が両管当接部の二点で挿口管部及び受口管部に当接するから、両管部の外径が変動しても安定良く装着固定することができる。
しかも、例えば、前記第1装着体の管当接面及び第2装着体の管当接面の各々が管軸芯を中心とする最大外径の管径に基づいた円弧状面に形成されている場合には、前記挿口管部及び受口管部の外径が最大外径よりも小なるとき、第1装着体及び第2装着体の一方の締結具が他方よりも少し締め過ぎ操作されると、挿口管部及び受口管部に対して第1装着体及び第2装着体が傾動する不都合が発生する。
【0024】
しかし、本発明では、上述の如く、前記第1装着体及び第2装着体の各々が両管当接部の二点で挿口管部及び受口管部に当接するから、第1装着体及び第2装着体の一方の締結具が他方よりも少し締め過ぎ操作されても、挿口管部及び受口管部に対して第1装着体及び第2装着体が傾動することがなく、第1・第2装着体の相対装着姿勢の変動に起因する作動不良や離脱ミスを抑制することができる。
【0025】
本発明による第5の特徴構成は、管接合装置において、受口管部に挿入接続可能な挿口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第1装着体には、前記挿口管部の外周面を挾持する状態と挾持解除状態とに切り替え可能な挾持具が設けられているとともに、前記受口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第2装着体には、挾持状態の挾持具を介して両管部に接合移動力を付与する流体圧シリンダを反力受け方向から脱着自在に所定姿勢で係合保持するシリンダ装着部と、前記流体圧シリンダによる両管部の接合移動時において前記受口管部に管軸芯方向から当接する反力受け部が設けられ、前記流体圧シリンダのピストンロッドには、前記挾持具に対して管軸芯方向から当接自在で、かつ、その当接状態でのピストンロッドの収縮移動に伴って挾持具を挾持状態に切り替え作動させる係止部が設けられている点にある。
【0026】
上記特徴構成によれば、管接合装置を組付ける場合、前記挿口管部に対して挾持具を備えた第1装着体を管径方向から装着し、前記受口管部に対してシリンダ装着部及び反力受け部を備えた第2装着体を管径方向から装着したのち、この第2装着体のシリンダ装着部に、流体圧シリンダを反力受け方向から所定姿勢で係合保持させるだけで済む。
【0027】
この状態で流体圧シリンダのピストンロッドを収縮作動させると、このピストンロッドに設けられた係止部が第1装着体に装備されている挾持具に管軸芯方向から当接して引き寄せ、そのときの反力で前記流体圧シリンダが第2装着体のシリンダ装着部に圧接され、且つ、第2装着体の反力受け部が受口管部に管軸芯方向から圧接されるとともに、第1装着体の挾持具が挾持状態に切り替えられ、この挾持具を介して挿口管部と受口管部とに接合移動力が付与される。
【0028】
したがって、第1・第2装着体の落とし込み装着や流体圧シリンダの差し込み装着といった簡便な装着方法を採用することができるとともに、ピストンロッドの係止部を挾持具に当接させるだけであるから、挿口管部の外径が少し変化した場合でも確実に挾持固定することのできる挾持具を用いながらも、従来に比べて作業工程数も少なくなり、施工現場での管接合装置の組付け・撤去作業を能率良く容易に行うことができる。
【0029】
本発明による第6の特徴構成は、管脱着装置において、受口管部に挿入接続可能な挿口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第1装着体には、前記挿口管部の外周面を挾持する状態と挾持解除状態とに切り替え可能な挾持具が設けられているとともに、前記受口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第2装着体には、挾持状態の挾持具を介して両管部に離脱移動力又は接合移動力を付与する流体圧シリンダを反力受け方向から脱着自在に所定姿勢で係合保持するシリンダ装着部と、前記流体圧シリンダによる両管部の離脱移動時又は接合移動時において前記受口管部に管軸芯方向から当接する反力受け部が設けられ、前記流体圧シリンダのピストンロッドには、前記挾持具に対して管軸芯方向から当接自在で、かつ、その当接状態でのピストンロッドの伸長移動又は収縮移動に伴って挾持具を挾持状態に切り替え作動させる係止部が設けられている点にある。
【0030】
上記特徴構成によれば、分離対象の挿口管部と受口管部に管脱着装置を組付ける場合には、前記挾持具を備えた第1装着体を、流体圧シリンダのピストンロッドの伸長作動によって挾持具が挾持状態となる向き姿勢で挿口管部に管径方向から装着し、前記受口管部に対してシリンダ装着部及び反力受け部を備えた第2装着体を管径方向から装着したのち、この第2装着体のシリンダ装着部に、流体圧シリンダを反力受け方向から所定姿勢で係合保持させるだけで済む。
【0031】
この状態で流体圧シリンダのピストンロッドを伸長作動させると、このピストンロッドに設けられた係止部が第1装着体に装備されている挾持具に管軸芯方向から当接して押圧し、そのときの反力で流体圧シリンダが第2装着体のシリンダ装着部に圧接され、且つ、第2装着体の反力受け部が受口管部に管軸芯方向から圧接されるとともに、第1装着体の挾持具が挾持状態に切り替えられ、この挾持具を介して挿口管部と受口管部とに離脱移動力が付与される。
【0032】
また、接合対象の挿口管部と受口管部に管脱着装置を組付ける場合には、前記挾持具を備えた第1装着体を、流体圧シリンダのピストンロッドの収縮作動によって挾持具が挾持状態となる向き姿勢で挿口管部に管径方向から装着し、前記受口管部に対してシリンダ装着部及び反力受け部を備えた第2装着体を管径方向から装着したのち、この第2装着体のシリンダ装着部に、流体圧シリンダを反力受け方向から所定姿勢で係合保持させるだけで済む。
【0033】
この状態で流体圧シリンダのピストンロッドを収縮作動させると、このピストンロッドに設けられた係止部が第1装着体に装備されている挾持具に管軸芯方向から当接して引き寄せ、そのときの反力で前記流体圧シリンダが第2装着体のシリンダ装着部に圧接され、且つ、第2装着体の反力受け部が受口管部に管軸芯方向から圧接されるとともに、第1装着体の挾持具が挾持状態に切り替えられ、この挾持具を介して挿口管部と受口管部とに接合移動力が付与される。
【0034】
したがって、第1・第2装着体の落とし込み装着や流体圧シリンダの差し込み装着といった簡便な装着方法を採用することができるとともに、ピストンロッドの係止部を挾持具に当接させるだけであるから、挿口管部の外径が少し変化した場合でも確実に挾持固定することのできる挾持具を用いながらも、従来に比べて作業工程数も少なくなり、施工現場での管脱着装置の組付け・撤去作業を能率良く容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
〔第1実施形態〕
図1〜図8は、鋳鉄管、鋼管又は塩化ビニル管等を用いて構成される水道管やガス管等の流体管Pのうち、一方の流体管Pの受口管部1に対して、他の流体管Pの挿口管部2が管軸芯X方向から挿入接続されている管継手構造において、受口管部1と挿口管部2とを管軸芯X方向に沿って引抜き分離(解体)する場合に用いられる本発明の管離脱装置を示す。
【0036】
この管離脱装置を構成するに、受口管部1に挿入接続されている挿口管部2に対して管径方向から脱着自在に装着される金属製(一般構造用圧延鋼材製等)の第1装着体3の管周方向両側部の各々に、挿口管部2の外周面2aを挾持する状態と挾持解除状態とに切り替え可能な挾持具4が設けられているとともに、前記受口管部1に対して管径方向から脱着自在に装着される金属製(一般構造用圧延鋼材製等)の第2装着体5の管周方向両側部には、挾持状態に切り替え作動される挾持具4を介して両管部1,2に離脱移動力を付与する一対の流体圧シリンダCを夫々反力受け方向から脱着自在に所定姿勢で係合保持(差し込み保持)するシリンダ装着部7と、前記流体圧シリンダCの伸長作動による両管部1,2の離脱移動時において前記受口管部1に管軸芯X方向から当接する反力受け部8が設けられ、前記流体圧シリンダCのピストンロッド9には、前記挾持具4に対して管軸芯X方向から当接自在で、かつ、その当接状態でのピストンロッド9の伸長移動、つまり、ピストンロッド9による管軸芯X方向での押圧移動に伴って挾持具4を挾持状態に切り替え作動させる係止部10が設けられている。
【0037】
前記流体圧シリンダCとしては、油圧ポンプ13から供給される圧油によって伸長作動され、且つ、シリンダチューブ6に内蔵された図外のバネの弾性復元力で収縮作動される単動形油圧シリンダが使用され、前記シリンダチューブ6の外周面の先端側に形成した雄ネジ部6aには、環状の鍔部11Bを突設してある筒状の金属製(機械構造用炭素鋼鋼材製等)の取付け部材11が外装状態で螺合固定されている。
【0038】
前記第2装着体5の各シリンダ装着部7には、前記取付け部材11の取付け筒部11Aが管軸芯X方向から摺接状態で挿入自在な装着貫通孔7Aと、該装着貫通孔7Aの一方の開口端縁側において前記取付け部材11の鍔部11Bを反力受け方向から脱着自在に嵌合状態で受止め保持する嵌合凹部7Bと、前記装着貫通孔7A及び嵌合凹部7Bに対して前記シリンダチューブ6の中間部分を径方向外方から装着可能な開口部7Cが形成されている。
【0039】
また、図7、図8に示すように、前記装着貫通孔7Aの内径D1及び嵌合凹部7Bの内径D2は、前記取付け部材11の取付け筒部11Aの外径D3及び鍔部11Bの外径D4よりも僅かに大なる寸法に形成されているとともに、前記開口部7Cの開口幅Wは、シリンダチューブ6の外径D5よりも大で、且つ、取付け筒部11Aの外径D3よりも小に構成されている。
【0040】
そして、前記第2装着体5の両シリンダ装着部7に形成された装着貫通孔7Aに対して、シリンダチューブ6に外装固定されている取付け部材11の取付け筒部11Aを反力受け方向(挿口管部2側)から摺接状態で差し込み挿入することにより、油圧シリンダCを管軸芯X方向と平行な所定姿勢に仮保持することができるとともに、前記装着貫通孔7Aの一方の開口端縁側に形成された嵌合凹部7B内に、前記取付け部材11の鍔部11Bを反力受け方向(挿口管部2の存在側)から嵌合した状態では、その嵌合面において油圧シリンダCのピストンロッド9の伸長作動に伴う反力を強力に受止めることができる。
【0041】
しかも、図3に示すように、前記シリンダ装着部7に形成された開口部7Cを通してシリンダチューブ6の中間部分を径方向外方から装着貫通孔7A及び嵌合凹部7B内に装着することができるから、シリンダチューブ6の一端側から一々挿入する必要がなく、施工現場での管離脱装置の組付け・撤去作業の能率化、容易化を促進することができる。
【0042】
前記取付け部材11の取付け筒部11Aの外周面には、前記鍔部11Bの外径と同じ寸法で径方向外方に突出し、且つ、鍔部11Bをシリンダ装着部7の嵌合凹部7Bに受止め保持させた嵌合状態において、前記装着貫通孔7Aの他方の開口端縁側に当接可能な近接状態で対面する抜止め突起12が形成されているとともに、前記抜止め突起12が、前記シリンダ装着部7の開口部7Cを管軸芯X方向に沿って通過移動可能な大きさに構成されている。換言すれば、図8に示すように、前記抜止め突起12の管周方向での長さLが前記開口部7Cの開口幅Wよりも小なる寸法に構成されている。
【0043】
そして、前記取付け部材11の鍔部11Bがシリンダ装着部7の嵌合凹部7Bに嵌合した状態では、前記取付け部材11の取付け筒部11Aの外周面に設けられた抜止め突起12が、装着貫通孔7Aの他方の開口端縁側に当接可能な近接状態で対面するから、例えば、挿口管部2側ほど低位となる状態で受口管部1が傾斜している条件下であっても、第2装着体5のシリンダ装着部7に装着された油圧シリンダCが振動等で抜け落ちることを防止することができる。
【0044】
それでいて、前記第2装着体5のシリンダ装着部7に装着されている油圧シリンダCを、前記抜止め突起12が前記開口部7Cの開口幅W内に対応する部位にまで回動操作することにより、第2装着体5のシリンダ装着部7に対して取付け部材11を備えた油圧シリンダCを管軸芯X方向に自由に摺動操作することができるから、前記開口部7Cを利用した油圧シリンダCの簡易な脱着操作を維持することができる。
【0045】
前記第1装着体3は、挿口管部2に対する装着空間S1を備えた管軸芯X方向視において略Uの字状に構成され、この第1装着体3の装着空間S1側の内側面3aには、挿口管部2の管周方向の二点に当接するべく、管周方向に90度偏位した二点から台形状の第1管当接部15が突出形成されているとともに、前記第1装着体3の管周方向両端部には、前記第1管当接部15に対して管径方向で略対面する側からの締付け操作で第1装着体3を挿口管部2に抜止め固定する第1締結具16が設けられている。
【0046】
前記第1締結具16は、第1装着体3の管周方向両端部に固着されたナット16Aとそれに螺合されるボルト16Bから構成され、前記ボルト16Bの締付け操作で挿口管部2を第1管当接部15に押圧固定することにより、前記挿口管部2に装着された第1装着体3の抜け落ちを防止するとともに、前記第1装着体3の両第1管当接部15の二点で挿口管部2の外周面2aに当接するから、挿口管部2の外径が少し変動しても第1装着体3を安定良く装着固定することができる。
【0047】
前記挾持具4を構成するに、第1装着体3の一側面の管周方向両側部の各々には、上下一対のブラケット4Aが固着され、各対のブラケット4A間には、前記挿口管部2の外周面2aに食い込み可能な多数の挾持突起4aを備えた挾持アーム4Bが、挿口管部2の管軸芯Xに対して直交する軸芯周りでの揺動を許容するボルト4Cで枢着されているとともに、前記挾持アーム4Bの先端部には、流体圧シリンダCのピストンロッド9の先端に設けられた係止部10に対する外れ止め突起4bが一体形成されている。
【0048】
前記挾持アーム4Bの挾持突起4aは、揺動方向一端側ほどボルト4Cの揺動軸芯からの距離が長くなり、挾持アーム4Bの起立揺動に連れて挿口管部2の外周面2aに対する喰込みが大きくなるように構成されている。
【0049】
前記第2装着体5は、受口管部1に対する装着空間S2を備えた管軸芯X方向視において略Uの字状に構成され、この第2装着体5の装着空間S2側の内側面を、左右中央の水平内側面5aとこれの左右両側に所定の交差角度(例えば、129度程度)で傾斜する傾斜内側面5bとから構成し、前記両傾斜内側面5bにおける受口管部1の外周面と接触する部位をもって、受口管部1の外周面の管周方向の二点に当接する第2管当接部17が形成されているとともに、前記第2装着体5の管周方向両端部には、前記第2管当接部17に対して管径方向で略対面する側からの締付け操作で第2装着体5を受口管部1に抜止め固定する第2締結具18が設けられている。
【0050】
前記第2締結具18は、前記第1締結具16と同様に、第2装着体5の管周方向両端部に固着されたナット18Aとそれに螺合されるボルト18Bから構成され、前記ボルト18Bの締付け操作で受口管部1を両傾斜内側面5bにおける第2管当接部17に押圧固定することにより、前記受口管部1に装着された第2装着体5の抜け落ちを防止するとともに、前記第2装着体5の両第2管当接部17の二点で受口管部1に当接するから、受口管部1の外径が少し変動しても第2装着体5を安定良く装着固定することができる。
【0051】
前記反力受け部8は、第2装着体5の管周方向両端部に、前記受口管部1の受口周縁に連続する環状端面に管軸芯X方向から当接する状態で一体形成されている。
【0052】
前記係止部10の基部には、油圧シリンダCのピストンロッド9の先端部に形成されたネジ孔9Aに螺合固定される雄ネジ部10Aが形成されているとともに、前記係止部10の前半側には、挾持アーム4Bに管軸芯X方向から係止可能な係止凹部10Bが形成されている。
【0053】
また、前記取付け部材11の取付け筒部11Aには、シリンダチューブ6の雄ネジ部6aと取付け筒部11Aとの螺合箇所をビスで抜止め固定するためのネジ孔11aが形成されているとともに、前記第1装着体3の上端部及び第2装着体5の上端部には夫々把手19が連設されている。
【0054】
管継手構造としては従来から種々の構造が存在するが、当該実施形態に例示した管継手構造は、図1に示すように、一方の流体管Pの受口管部1と他方の流体管Pの挿口管部2との間に、両管部1,2が管軸線X方向に沿って相対離脱移動したとき、管軸線X方向から互いに接当してそれ以上の離脱移動を阻止する離脱防止手段Aと、前記受口管部1と挿口管部2とを同軸芯状態に維持する屈曲防止手段B、及び、前記挿口管部2の外周面と受口管部1の内周面との間を密封(水密)可能な円環状の合成ゴム製のシール材14が設けられている。
【0055】
前記離脱防止手段Aを構成するに、前記受口管部1の内周面に形成された円環状の取付け溝20に、管軸線X方向視において略Cの字状に形成された拡径側に弾性変形可能な金属製のロックリング21と、これの拡径変形を許容する状態で該ロックリング21を受口管部1と同軸芯状態に保持する弾性保持リング22とが装着されているとともに、前記挿口管部2の外周面2aの先端部には、地震や不同沈下等に起因して両管部1,2が一定以上に相対離脱移動したとき、ロックリング21に対して管軸線X方向から接当してそれ以上の両管部1,2の相対離脱移動を阻止する円環状の抜止め突起23が一体形成されている。
【0056】
前記屈曲防止手段Bは、前記受口管部1に、挿口管部2の外周面2aに接触する屈曲規制状態にまで縮径側に弾性変形可能な合成樹脂製の屈曲防止用リング24と、この屈曲防止用リング24の周方向複数箇所を管径方向内方に押圧して屈曲規制状態に縮径変形させる複数本のセットボルト25を設けて構成されている。
【0057】
そのため、この管継手構造においては、前記受口管部1と挿入管部2とを引抜き分離する場合、前記挿口管部2の抜止め突起23が受口管部1の取付け溝20に装着されているロックリング21に係合しないように、前記抜止め突起23と同一の厚み又はそれよりも若干大きな厚みの構成された細幅状の複数本の解体用薄板26を、前記挿口管部2の外周面2aとロックリング21との間に打ち込み、挿口管部2の抜止め突起23を抜き出し可能な内径にまでロックリング21を拡径変形操作する事前作業が必要となる。
【0058】
尚、本発明は、上述したように種々の構造の管継手構造に適用することが可能で、図1に示す管継手構造に限定されるものではない。
【0059】
〔第2実施形態〕
図9、図10は、受口管部1と挿口管部2とを管軸芯X方向に沿って挿入接続(接合)する場合に用いられる本発明の管接合装置を示す。
この管接合装置を構成するに、受口管部1に挿入接続される挿口管部2に対して管径方向から脱着自在に装着される金属製の第1装着体3の管周方向両側部には、前記挿口管部2の外周面2aを挾持する状態と挾持解除状態とに切り替え可能な一対の挾持具4が設けられている。
【0060】
さらに、前記受口管部1に対して管径方向から脱着自在に装着される金属製の第2装着体5の管周方向両側部には、挾持状態に切り替え作動される挾持具4を介して両管部1,2に接合移動力を付与する一対の流体圧シリンダCを夫々反力受け方向から脱着自在に所定姿勢で係合保持(差し込み保持)するシリンダ装着部7と、前記流体圧シリンダCの収縮作動による両管部1,2の接合移動時において前記受口管部1に管軸芯X方向から当接する反力受け部8が設けられている。
【0061】
前記流体圧シリンダCのピストンロッド9には、前記挾持具4に対して管軸芯X方向から当接自在で、かつ、その当接状態でのピストンロッド9の収縮移動、つまり、ピストンロッド9による管軸芯X方向での引き込み移動に伴って挾持具4を挾持状態に切り替え作動させる第2係止部29が設けられている。
【0062】
前記流体圧シリンダCとしては、上述の第1実施形態と同様に単動形油圧シリンダが使用され、前記シリンダチューブ6の外周面の先端側に形成した雄ネジ部6aには、環状の鍔部11Bを突設してある筒状の金属製の取付け部材11が外装状態で螺合固定されている。
【0063】
この第2実施形態の場合、第1実施形態とは反力受け方向が逆方向になるため、前記取付け部材11は、取付け筒部11Aにおける挿口管部2の存在側とは反対側の端部に鍔部11Bが位置する状態でシリンダチューブ6の雄ネジ部6aに装着されている。
【0064】
前記第2装着体5の各シリンダ装着部7は、第1実施形態とは逆向きに構成されている点が異なるだけ、それ以外は同一構成であり、また、前記第1装着体3及び挾持具4も第1実施形態で説明した構成と同一で、挿口管部2に対して反対の向き姿勢で装着されている点が異なるだけである。
【0065】
前記第2装着体5は、前記受口管部1の外周面における大径管部分に形成された環状溝30内に対して管径方向から脱着自在に装着され、この環状溝30の管軸芯X方向で相対向する段差端面30a,30bのうち、受口管部1の受口の開口側に位置する段差端面30aと当接可能な第2装着体5の角部をもって、両管部1,2の接合移動時において前記受口管部1に管軸芯X方向から当接する反力受け部8が構成されている。
【0066】
前記第2係止部29には、挾持アーム4Bに対して管周方向から係脱可能な略コの字状の係止アーム部29Aと、油圧シリンダCのピストンロッド9の先端部に形成されたネジ孔9Aに螺合固定される雄ネジ部29Bが形成されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0067】
〔第3実施形態〕
図11は、受口管部1と挿口管部2とを管軸芯X方向に沿って引抜き分離(解体)する機能、及び、受口管部1と挿口管部2とを管軸芯X方向に沿って挿入接続(接合)する機能を備えた本発明の管脱着装置を示す。
【0068】
この管脱着装置を構成するに、前記挿口管部2に対して管径方向から脱着自在に装着される金属製の第1装着体3の管周方向両側部には、挿口管部2の外周面2aを挾持する状態と挾持解除状態とに切り替え可能な挾持具4が設けられている。
【0069】
さらに、前記受口管部1に対して管径方向から脱着自在に装着される金属製の第2装着体5の管周方向両側部には、挾持状態に切り替え作動される挾持具4を介して両管部1,2に離脱移動力又は接合移動力を付与する一対の流体圧シリンダCを夫々反力受け方向から脱着自在に所定姿勢で係合保持(差し込み保持)するシリンダ装着部7と、前記流体圧シリンダCの伸長作動による両管部1,2の離脱移動時又は前記流体圧シリンダCの収縮作動による両管部1,2の接合移動時において前記受口管部1に管軸芯X方向から当接する反力受け部8が設けられている。
【0070】
前記流体圧シリンダCのピストンロッド9には、前記挾持具4に対して管軸芯X方向から当接自在で、かつ、その当接状態でのピストンロッド9の伸長移動又は収縮移動に伴って挾持具4を挾持状態に切り替え作動させる第1係止部10又は第2係止部29が設けられている。
【0071】
前記流体圧シリンダCとしては、上述の第1実施形態と同様に単動形油圧シリンダが使用され、前記シリンダチューブ6の外周面の先端側に形成した雄ネジ部6aには、環状の鍔部11Bを突設してある筒状の金属製の取付け部材11が反転付け替え可能に外装状態で螺合固定されている。
【0072】
前記両管部1,2を離脱移動させる場合には、第1実施形態と同様に、取付け筒部11Aにおける挿口管部2の存在側の端部に鍔部11Bが位置する状態でシリンダチューブ6の雄ネジ部6aに装着し、また、前記両管部1,2を接合移動させる場合には、第2実施形態と同様に、取付け筒部11Aにおける挿口管部2の存在側とは反対側の端部に鍔部11Bが位置する状態でシリンダチューブ6の雄ネジ部6aに装着する。
【0073】
前記第2装着体5の各シリンダ装着部7には、前記取付け部材11の取付け筒部11Aが管軸芯X方向から摺接状態で挿入自在な装着貫通孔7Aと、該装着貫通孔7Aの両方の開口端縁側において前記取付け部材11の鍔部11Bを離脱移動時又は収縮作動時の反力受け方向から脱着自在に嵌合状態で受止め保持する両嵌合凹部7Bと、前記装着貫通孔7A及び両嵌合凹部7Bに対して前記シリンダチューブ6を径方向外方から装着可能な開口部7Cが形成されている。
【0074】
前記反力受け部8を構成するに、第2装着体5の管軸芯方向一端部には、前記流体圧シリンダCの伸長作動による両管部1,2の離脱移動時において、前記受口管部1の開口周縁に連続する環状端面に対して管軸芯X方向から当接する第1反力受け部8Aが一体形成されているとともに、前記第2装着体5の管軸芯方向他端部には、前記受口管部1の外周面における大径管部分に形成された環状溝30内に対して管径方向から脱着自在で、且つ、前記流体圧シリンダCの収縮作動による両管部1,2の接合移動時において、前記環状溝1Aの管軸芯X方向で相対向する段差端面30a,30bのうち、受口管部1の受口開口側に位置する段差端面30aに対して管軸芯X方向から当接する第2反力受け部8Bが一体形成されている。
【0075】
前記第1係止部10と第2係止部29は、流体圧シリンダCのピストンロッド9に対して選択的に付け替え自在で、両管部1,2の離脱時には第1係止部10を取付け、両管部1,2の接合時には第2係止部29を取付ける。
【0076】
前記第1係止部10には、油圧シリンダCのピストンロッド9の先端部に形成されたネジ孔9Aに螺合固定される雄ネジ部10Aと、前記挾持アーム4Bに管軸芯X方向から係止可能な係止凹部10Bが形成されている。
【0077】
前記第2係止部29には、挾持アーム4Bに対して管周方向から係脱可能な略コの字状の係止アーム部29Aと、油圧シリンダCのピストンロッド9の先端部に形成されたネジ孔9Aに螺合固定される雄ネジ部29Bが形成されている。
【0078】
前記第1装着体3及び挾持具4も第1実施形態又は第2実施形態で説明した構成と同一で、両管部1,2の離脱時には、第1装着体3の両側面のうち、受口管部1の存在側とは反対側の側面に挾持アーム4Bが位置する状態で挿口管部2に装着し、両管部1,2の接合時には、第1装着体3における受口管部1の存在側の側面に挾持アーム4Bが位置する状態で挿口管部2に装着する。
尚、その他の構成は、第1実施形態又は第2実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態又は第2実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0079】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の各実施形態では、前記第1装着体3を、挿入管部2に対して管径方向から装着可能な半円環状又はそれに近いほぼ半環状に形成し、かつ、前記第2装着体5を、受口管部1に対して管径方向から装着可能な半円環状又はそれに近いほぼ半環状に形成したが、この第1装着体3又は第2装着体5の少なくとも一方を揺動開閉式又は円周方向で複数の部品に分解可能な分割式の環状体から構成してもよい。
【0080】
(2)前記第2装着体5のシリンダ装着部7としては、流体圧シリンダCを反力受け方向から脱着自在に所定姿勢で係合保持(差し込み保持)することのできる構成であれば、如何なる構造に構成してもよい。
【0081】
(3)前記第1装着体3に設けられる挾持具4としては、前記挿口管部2の外周面2aを挾持する状態と挾持解除状態とに切り替え可能な構造であれば、如何なる構造に構成してもよい。
【0082】
(4)前記流体圧シリンダCとして、上述の各実施形態では、油圧ポンプ13から供給される圧油によって伸長作動され、且つ、シリンダチューブ6に内蔵された図外のバネの弾性復元力で収縮作動される単動形油圧シリンダを使用したが、複動型の油圧シリンダを用いてもよく、さらに、空気圧で作動するエアシリンダ等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1実施形態を示す管離脱装置の全体の一部切欠き平面図
【図2】管離脱装置の全体の側面図
【図3】管離脱装置の全体の分解斜視図
【図4】第2装着体の正面図
【図5】第1装着体の正面図
【図6】第2装着体のシリンダ装着部に流体圧シリンダを装着する前の分解一部切欠き側面図
【図7】第2装着体のシリンダ装着部に流体圧シリンダを装着するときの一部切欠き側面図
【図8】第2装着体のシリンダ装着部に流体圧シリンダを装着するときの正面図
【図9】本発明の第2実施形態を示す管接合装置の一部切欠き底面図
【図10】本発明の第2実施形態における管接合装置の全体の側面図
【図11】本発明の第3実施形態を示す管脱着装置の分解一部切欠き側面図
【符号の説明】
【0084】
C 流体圧シリンダ
1 受口管部
2 挿口管部
3 第1装着体
4 挾持部
5 第2装着体
6 シリンダチューブ
7 シリンダ装着部
7A 装着貫通孔
7B 嵌合凹部
7C 開口部
8 反力受け部
9 ピストンロッド
10 係止部(第1係止部)
11 取付け部材
11A 取付け筒部
11B 鍔部
15 管当接部(第1管当接部)
16 第1締結具
17 管当接部(第2管当接部)
18 第2締結具
29 第2係止部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、水道管やガス管等の流体管又は仕切弁や空気弁等の流体機器に形成されている受口管部に対して、他の流体管又は流体機器に形成されている挿入管部を管軸芯方向から挿入接続する管接合機能、或いは、接続されている受口管部と挿入管部とを管軸芯方向に沿って引抜き分離(解体)する管離脱機能の少なくとも一つを備えた管離脱装置と管接合装置及び管脱着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記管接合機能及び管離脱機能を備えた管脱着装置としては、例えば、下記特許文献1に示すように、受口管部に挿入接続可能な挿口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第1装着体に、挿口管部の外周面に形成した突起に対して管径方向外方から嵌合する凹部を形成する。
【0003】
前記受口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第2装着体には、受口管部の開口側端面に対して管軸芯方向の一側方から当接可能な第1係合面と、受口管部の外周面における大径管部分と小径管部分との段差箇所に対して管軸芯方向の他側方から当接可能な第2係合面とを形成するとともに、前記第2装着体の管周方向両側部には、流体圧シリンダのシリンダチューブの両端部を管軸芯方向に沿う姿勢で脱着自在に締付け固定する締め付け固定具を設ける。
【0004】
前記両流体圧シリンダのピストンロッドの先端側に形成された雄ネジ部を、前記第1装着体に形成された連結孔に貫通させるとともに、各ピストンロッドの雄ネジ部に螺合された二個のナットにより前記第1装着体を挾持固定したものが提案されている。
【0005】
また、前記管接合機能を備えた管接合装置としては、例えば、下記特許文献2に示すように、受口管部に挿入接続可能な挿口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第1装着体の管周方向両側部に、管軸芯方向に対して直交する軸芯周りでの揺動により挿口管部の外周面を挾持する状態と挾持解除状態とに切り替え可能な挾持アームを設ける。
【0006】
前記受口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第2装着体には、受口管部の外周面における大径管部分と小径管部分との段差箇所に対して管軸芯方向から当接可能な係合面を形成するとともに、前記第2装着体の管周方向両側部には、流体圧シリンダのシリンダチューブの後端に設けた第1連結部を枢支連結するブラケットを設ける。
【0007】
前記各流体圧シリンダのピストンロッドの先端部には、前記挾持アームの他端部に枢支連結される第2連結部を設け、両流体圧シリンダの収縮作動により、挾持アームを挾持状態に切り替えるとともに、挾持された挿口管部を受口管部に挿入移動させる。
【0008】
【特許文献1】実開昭51−113817号公報
【特許文献2】特開平7−42876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の管脱着装置では、第1装着体の凹部を挿口管部の外周面に形成された突起に嵌合させるため、第1装着体と挿口管部との管軸芯方向での位置ずれを防止するこができるものの、前記突起が設けられていない挿口管部に対しては使用することができない。
【0010】
しかも、管脱着装置を装着する場合、受口管部に外装した第2装着体の管周方向両側部に、流体圧シリンダのシリンダチューブの両端部を締め付け固定具で固定したのち、挿口管部に外装された第1装着体の連結孔に流体圧シリンダのピストンロッドの先端側を挿通し、各ピストンロッドの雄ネジ部に螺合された二個のナットにより第1装着体の管周方向両側部を挾持固定する必要があり、また、管脱着装置を撤去する場合にも同様な多くの作業工程が必要であり、施工現場での組付け・撤去作業が煩雑化するとともに、多くの手間を要する問題があった。
【0011】
従来の管接合装置では、受口管部に外装した第2装着体の管周方向両側部に設けたブラケットの各々に、流体圧シリンダのシリンダチューブの後端に設けた第1連結部を枢支連結するとともに、前記挿口管部に外装された第1装着体の管周方向両側部における挾持アームの他端部に、各流体圧シリンダのピストンロッドの先端部に設けられた第2連結部を枢支連結する必要があり、また、管接合装置を撤去する場合にも同様な多くの作業工程が必要であり、施工現場での組付け・撤去作業が煩雑化するとともに、多くの手間を要する問題があった。
【0012】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、挿口管部の外径が少し変化した場合でも、該挿口管部に対する第1装着体の位置ずれを確実に防止することができ、しかも、施工現場での組付け・撤去作業を能率良く容易に行うことのできる管離脱装置と管接合装置及び管脱着装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による第1の特徴構成は、管離脱装置において、受口管部に挿入接続可能な挿口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第1装着体に、前記挿口管部の外周面を挾持する状態と挾持解除状態とに切り替え可能な挾持具が設けられているとともに、前記受口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第2装着体には、挾持状態の挾持具を介して両管部に離脱移動力を付与する流体圧シリンダを反力受け方向から脱着自在に所定姿勢で係合保持するシリンダ装着部と、前記流体圧シリンダによる両管部の離脱移動時において前記受口管部に管軸芯方向から当接する反力受け部が設けられ、前記流体圧シリンダのピストンロッドには、前記挾持具に対して管軸芯方向から当接自在で、かつ、その当接状態でのピストンロッドの伸長移動に伴って挾持具を挾持状態に切り替え作動させる係止部が設けられている点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、管離脱装置を組付ける場合、前記挿口管部に対して挾持具を備えた第1装着体を管径方向から装着し、前記受口管部に対してシリンダ装着部及び反力受け部を備えた第2装着体を管径方向から装着したのち、この第2装着体のシリンダ装着部に、流体圧シリンダを反力受け方向から所定姿勢で係合保持させるだけで済む。
【0015】
この状態で流体圧シリンダのピストンロッドを伸長作動させると、このピストンロッドに設けられた係止部が第1装着体に装備されている挾持具に管軸芯方向から当接して押圧し、そのときの反力で流体圧シリンダが第2装着体のシリンダ装着部に圧接され、且つ、第2装着体の反力受け部が受口管部に管軸芯方向から圧接されるとともに、第1装着体の挾持具が挾持状態に切り替えられ、この挾持具を介して挿口管部と受口管部とに離脱移動力が付与される。
【0016】
したがって、第1・第2装着体の落とし込み装着や流体圧シリンダの差し込み装着といった簡便な装着方法を採用することができるとともに、ピストンロッドの係止部を挾持具に当接させるだけであるから、挿口管部の外径が少し変化した場合でも確実に挾持固定することのできる挾持具を用いながらも、従来に比べて作業工程数も少なくなり、施工現場での管離脱装置の組付け・撤去作業を能率良く容易に行うことができる。
【0017】
本発明による第2の特徴構成は、上述の第1の特徴構成を備えた管離脱装置において、前記流体圧シリンダのシリンダチューブには、環状の鍔部を突設してある筒状の取付け部材が外装固定されているとともに、前記シリンダ装着部には、前記取付け部材の取付け筒部が管軸芯方向から摺接状態で挿入自在な装着貫通孔と、該装着貫通孔の一方の開口端縁側において前記取付け部材の鍔部を反力受け方向から脱着自在に嵌合状態で受止め保持する嵌合凹部とが形成され、さらに、前記装着貫通孔及び嵌合凹部に対して前記シリンダチューブを径方向外方から装着可能な開口部が形成されている点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、前記第2装着体のシリンダ装着部に形成された装着貫通孔に対して、シリンダチューブに外装固定された取付け部材の取付け筒部を反力受け方向から摺接状態で挿入することにより、流体圧シリンダを所定姿勢に仮保持することができるとともに、前記装着貫通孔の一方の開口端縁側に形成された嵌合凹部内に、前記取付け部材の鍔部を反力受け方向から嵌合した状態では、その嵌合面においてピストンロッドの伸長作動に伴う反力を強力に受止めることができる。
【0019】
しかも、前記シリンダ装着部に形成された開口部を通してシリンダチューブの中間部分を径方向外方から装着貫通孔及び嵌合凹部内に装着することができるから、シリンダチューブの一端側から挿入する必要がなく、施工現場での管離脱装置の組付け・撤去作業の能率化、容易化を促進することができる。
【0020】
本発明による第3の特徴構成は、上述の第2の特徴構成を備えた管離脱装置において、前記取付け部材の取付け筒部の外周面には、前記鍔部をシリンダ装着部の嵌合凹部に受止め保持させた状態で装着貫通孔の他方の開口端縁側に当接可能な状態で対面する抜止め突起が設けられているとともに、前記抜止め突起が、前記開口部を管軸芯方向に沿って通過移動可能な大きさに構成されている点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、前記取付け部材の鍔部がシリンダ装着部の嵌合凹部に嵌合した状態では、取付け部材の取付け筒部の外周面に設けられた抜止め突起が、装着貫通孔の他方の開口端縁側に当接可能な状態で対面するから、挿口管部側ほど低位となる状態で受口管部が傾斜している条件下であっても、第2装着体のシリンダ装着部に装着された流体圧シリンダが振動等で抜け落ちることを防止することができる。
それでいて、前記第2装着体のシリンダ装着部に装着された流体圧シリンダを回転操作して、前記抜止め突起をシリンダ装着部の開口部の開口幅内に対応させた場合には、この抜止め突起をシリンダ装着部の開口部を通して管軸芯方向に自由に移動させることができるから、上述の第2の特徴構成による効果を阻害することはない。
【0022】
本発明による第4の特徴構成は、上述の第1〜第3のいずれか一つの特徴構成を備えた管離脱装置において、前記第1装着体に、挿口管部の管周方向の二点に当接する管当接部と、該管当接部に対して管径方向で略対面する側からの締付け操作で第1装着体を挿口管部に抜止め固定する第1締結具が設けられているとともに、前記第2装着体には、受口管部の管周方向の二点に当接する管当接部と、該管当接部に対して管径方向で略対面する側からの締付け操作で第2装着体を受口管部に抜止め固定する第2締結具が設けられている点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、前記挿口管部及び受口管部に装着された第1装着体及び第2装着体の抜け落ちを、第1締結具及び第2締結具の締め付け固定操作で防止することができるばかりでなく、前記第1装着体及び第2装着体の各々が両管当接部の二点で挿口管部及び受口管部に当接するから、両管部の外径が変動しても安定良く装着固定することができる。
しかも、例えば、前記第1装着体の管当接面及び第2装着体の管当接面の各々が管軸芯を中心とする最大外径の管径に基づいた円弧状面に形成されている場合には、前記挿口管部及び受口管部の外径が最大外径よりも小なるとき、第1装着体及び第2装着体の一方の締結具が他方よりも少し締め過ぎ操作されると、挿口管部及び受口管部に対して第1装着体及び第2装着体が傾動する不都合が発生する。
【0024】
しかし、本発明では、上述の如く、前記第1装着体及び第2装着体の各々が両管当接部の二点で挿口管部及び受口管部に当接するから、第1装着体及び第2装着体の一方の締結具が他方よりも少し締め過ぎ操作されても、挿口管部及び受口管部に対して第1装着体及び第2装着体が傾動することがなく、第1・第2装着体の相対装着姿勢の変動に起因する作動不良や離脱ミスを抑制することができる。
【0025】
本発明による第5の特徴構成は、管接合装置において、受口管部に挿入接続可能な挿口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第1装着体には、前記挿口管部の外周面を挾持する状態と挾持解除状態とに切り替え可能な挾持具が設けられているとともに、前記受口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第2装着体には、挾持状態の挾持具を介して両管部に接合移動力を付与する流体圧シリンダを反力受け方向から脱着自在に所定姿勢で係合保持するシリンダ装着部と、前記流体圧シリンダによる両管部の接合移動時において前記受口管部に管軸芯方向から当接する反力受け部が設けられ、前記流体圧シリンダのピストンロッドには、前記挾持具に対して管軸芯方向から当接自在で、かつ、その当接状態でのピストンロッドの収縮移動に伴って挾持具を挾持状態に切り替え作動させる係止部が設けられている点にある。
【0026】
上記特徴構成によれば、管接合装置を組付ける場合、前記挿口管部に対して挾持具を備えた第1装着体を管径方向から装着し、前記受口管部に対してシリンダ装着部及び反力受け部を備えた第2装着体を管径方向から装着したのち、この第2装着体のシリンダ装着部に、流体圧シリンダを反力受け方向から所定姿勢で係合保持させるだけで済む。
【0027】
この状態で流体圧シリンダのピストンロッドを収縮作動させると、このピストンロッドに設けられた係止部が第1装着体に装備されている挾持具に管軸芯方向から当接して引き寄せ、そのときの反力で前記流体圧シリンダが第2装着体のシリンダ装着部に圧接され、且つ、第2装着体の反力受け部が受口管部に管軸芯方向から圧接されるとともに、第1装着体の挾持具が挾持状態に切り替えられ、この挾持具を介して挿口管部と受口管部とに接合移動力が付与される。
【0028】
したがって、第1・第2装着体の落とし込み装着や流体圧シリンダの差し込み装着といった簡便な装着方法を採用することができるとともに、ピストンロッドの係止部を挾持具に当接させるだけであるから、挿口管部の外径が少し変化した場合でも確実に挾持固定することのできる挾持具を用いながらも、従来に比べて作業工程数も少なくなり、施工現場での管接合装置の組付け・撤去作業を能率良く容易に行うことができる。
【0029】
本発明による第6の特徴構成は、管脱着装置において、受口管部に挿入接続可能な挿口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第1装着体には、前記挿口管部の外周面を挾持する状態と挾持解除状態とに切り替え可能な挾持具が設けられているとともに、前記受口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第2装着体には、挾持状態の挾持具を介して両管部に離脱移動力又は接合移動力を付与する流体圧シリンダを反力受け方向から脱着自在に所定姿勢で係合保持するシリンダ装着部と、前記流体圧シリンダによる両管部の離脱移動時又は接合移動時において前記受口管部に管軸芯方向から当接する反力受け部が設けられ、前記流体圧シリンダのピストンロッドには、前記挾持具に対して管軸芯方向から当接自在で、かつ、その当接状態でのピストンロッドの伸長移動又は収縮移動に伴って挾持具を挾持状態に切り替え作動させる係止部が設けられている点にある。
【0030】
上記特徴構成によれば、分離対象の挿口管部と受口管部に管脱着装置を組付ける場合には、前記挾持具を備えた第1装着体を、流体圧シリンダのピストンロッドの伸長作動によって挾持具が挾持状態となる向き姿勢で挿口管部に管径方向から装着し、前記受口管部に対してシリンダ装着部及び反力受け部を備えた第2装着体を管径方向から装着したのち、この第2装着体のシリンダ装着部に、流体圧シリンダを反力受け方向から所定姿勢で係合保持させるだけで済む。
【0031】
この状態で流体圧シリンダのピストンロッドを伸長作動させると、このピストンロッドに設けられた係止部が第1装着体に装備されている挾持具に管軸芯方向から当接して押圧し、そのときの反力で流体圧シリンダが第2装着体のシリンダ装着部に圧接され、且つ、第2装着体の反力受け部が受口管部に管軸芯方向から圧接されるとともに、第1装着体の挾持具が挾持状態に切り替えられ、この挾持具を介して挿口管部と受口管部とに離脱移動力が付与される。
【0032】
また、接合対象の挿口管部と受口管部に管脱着装置を組付ける場合には、前記挾持具を備えた第1装着体を、流体圧シリンダのピストンロッドの収縮作動によって挾持具が挾持状態となる向き姿勢で挿口管部に管径方向から装着し、前記受口管部に対してシリンダ装着部及び反力受け部を備えた第2装着体を管径方向から装着したのち、この第2装着体のシリンダ装着部に、流体圧シリンダを反力受け方向から所定姿勢で係合保持させるだけで済む。
【0033】
この状態で流体圧シリンダのピストンロッドを収縮作動させると、このピストンロッドに設けられた係止部が第1装着体に装備されている挾持具に管軸芯方向から当接して引き寄せ、そのときの反力で前記流体圧シリンダが第2装着体のシリンダ装着部に圧接され、且つ、第2装着体の反力受け部が受口管部に管軸芯方向から圧接されるとともに、第1装着体の挾持具が挾持状態に切り替えられ、この挾持具を介して挿口管部と受口管部とに接合移動力が付与される。
【0034】
したがって、第1・第2装着体の落とし込み装着や流体圧シリンダの差し込み装着といった簡便な装着方法を採用することができるとともに、ピストンロッドの係止部を挾持具に当接させるだけであるから、挿口管部の外径が少し変化した場合でも確実に挾持固定することのできる挾持具を用いながらも、従来に比べて作業工程数も少なくなり、施工現場での管脱着装置の組付け・撤去作業を能率良く容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
〔第1実施形態〕
図1〜図8は、鋳鉄管、鋼管又は塩化ビニル管等を用いて構成される水道管やガス管等の流体管Pのうち、一方の流体管Pの受口管部1に対して、他の流体管Pの挿口管部2が管軸芯X方向から挿入接続されている管継手構造において、受口管部1と挿口管部2とを管軸芯X方向に沿って引抜き分離(解体)する場合に用いられる本発明の管離脱装置を示す。
【0036】
この管離脱装置を構成するに、受口管部1に挿入接続されている挿口管部2に対して管径方向から脱着自在に装着される金属製(一般構造用圧延鋼材製等)の第1装着体3の管周方向両側部の各々に、挿口管部2の外周面2aを挾持する状態と挾持解除状態とに切り替え可能な挾持具4が設けられているとともに、前記受口管部1に対して管径方向から脱着自在に装着される金属製(一般構造用圧延鋼材製等)の第2装着体5の管周方向両側部には、挾持状態に切り替え作動される挾持具4を介して両管部1,2に離脱移動力を付与する一対の流体圧シリンダCを夫々反力受け方向から脱着自在に所定姿勢で係合保持(差し込み保持)するシリンダ装着部7と、前記流体圧シリンダCの伸長作動による両管部1,2の離脱移動時において前記受口管部1に管軸芯X方向から当接する反力受け部8が設けられ、前記流体圧シリンダCのピストンロッド9には、前記挾持具4に対して管軸芯X方向から当接自在で、かつ、その当接状態でのピストンロッド9の伸長移動、つまり、ピストンロッド9による管軸芯X方向での押圧移動に伴って挾持具4を挾持状態に切り替え作動させる係止部10が設けられている。
【0037】
前記流体圧シリンダCとしては、油圧ポンプ13から供給される圧油によって伸長作動され、且つ、シリンダチューブ6に内蔵された図外のバネの弾性復元力で収縮作動される単動形油圧シリンダが使用され、前記シリンダチューブ6の外周面の先端側に形成した雄ネジ部6aには、環状の鍔部11Bを突設してある筒状の金属製(機械構造用炭素鋼鋼材製等)の取付け部材11が外装状態で螺合固定されている。
【0038】
前記第2装着体5の各シリンダ装着部7には、前記取付け部材11の取付け筒部11Aが管軸芯X方向から摺接状態で挿入自在な装着貫通孔7Aと、該装着貫通孔7Aの一方の開口端縁側において前記取付け部材11の鍔部11Bを反力受け方向から脱着自在に嵌合状態で受止め保持する嵌合凹部7Bと、前記装着貫通孔7A及び嵌合凹部7Bに対して前記シリンダチューブ6の中間部分を径方向外方から装着可能な開口部7Cが形成されている。
【0039】
また、図7、図8に示すように、前記装着貫通孔7Aの内径D1及び嵌合凹部7Bの内径D2は、前記取付け部材11の取付け筒部11Aの外径D3及び鍔部11Bの外径D4よりも僅かに大なる寸法に形成されているとともに、前記開口部7Cの開口幅Wは、シリンダチューブ6の外径D5よりも大で、且つ、取付け筒部11Aの外径D3よりも小に構成されている。
【0040】
そして、前記第2装着体5の両シリンダ装着部7に形成された装着貫通孔7Aに対して、シリンダチューブ6に外装固定されている取付け部材11の取付け筒部11Aを反力受け方向(挿口管部2側)から摺接状態で差し込み挿入することにより、油圧シリンダCを管軸芯X方向と平行な所定姿勢に仮保持することができるとともに、前記装着貫通孔7Aの一方の開口端縁側に形成された嵌合凹部7B内に、前記取付け部材11の鍔部11Bを反力受け方向(挿口管部2の存在側)から嵌合した状態では、その嵌合面において油圧シリンダCのピストンロッド9の伸長作動に伴う反力を強力に受止めることができる。
【0041】
しかも、図3に示すように、前記シリンダ装着部7に形成された開口部7Cを通してシリンダチューブ6の中間部分を径方向外方から装着貫通孔7A及び嵌合凹部7B内に装着することができるから、シリンダチューブ6の一端側から一々挿入する必要がなく、施工現場での管離脱装置の組付け・撤去作業の能率化、容易化を促進することができる。
【0042】
前記取付け部材11の取付け筒部11Aの外周面には、前記鍔部11Bの外径と同じ寸法で径方向外方に突出し、且つ、鍔部11Bをシリンダ装着部7の嵌合凹部7Bに受止め保持させた嵌合状態において、前記装着貫通孔7Aの他方の開口端縁側に当接可能な近接状態で対面する抜止め突起12が形成されているとともに、前記抜止め突起12が、前記シリンダ装着部7の開口部7Cを管軸芯X方向に沿って通過移動可能な大きさに構成されている。換言すれば、図8に示すように、前記抜止め突起12の管周方向での長さLが前記開口部7Cの開口幅Wよりも小なる寸法に構成されている。
【0043】
そして、前記取付け部材11の鍔部11Bがシリンダ装着部7の嵌合凹部7Bに嵌合した状態では、前記取付け部材11の取付け筒部11Aの外周面に設けられた抜止め突起12が、装着貫通孔7Aの他方の開口端縁側に当接可能な近接状態で対面するから、例えば、挿口管部2側ほど低位となる状態で受口管部1が傾斜している条件下であっても、第2装着体5のシリンダ装着部7に装着された油圧シリンダCが振動等で抜け落ちることを防止することができる。
【0044】
それでいて、前記第2装着体5のシリンダ装着部7に装着されている油圧シリンダCを、前記抜止め突起12が前記開口部7Cの開口幅W内に対応する部位にまで回動操作することにより、第2装着体5のシリンダ装着部7に対して取付け部材11を備えた油圧シリンダCを管軸芯X方向に自由に摺動操作することができるから、前記開口部7Cを利用した油圧シリンダCの簡易な脱着操作を維持することができる。
【0045】
前記第1装着体3は、挿口管部2に対する装着空間S1を備えた管軸芯X方向視において略Uの字状に構成され、この第1装着体3の装着空間S1側の内側面3aには、挿口管部2の管周方向の二点に当接するべく、管周方向に90度偏位した二点から台形状の第1管当接部15が突出形成されているとともに、前記第1装着体3の管周方向両端部には、前記第1管当接部15に対して管径方向で略対面する側からの締付け操作で第1装着体3を挿口管部2に抜止め固定する第1締結具16が設けられている。
【0046】
前記第1締結具16は、第1装着体3の管周方向両端部に固着されたナット16Aとそれに螺合されるボルト16Bから構成され、前記ボルト16Bの締付け操作で挿口管部2を第1管当接部15に押圧固定することにより、前記挿口管部2に装着された第1装着体3の抜け落ちを防止するとともに、前記第1装着体3の両第1管当接部15の二点で挿口管部2の外周面2aに当接するから、挿口管部2の外径が少し変動しても第1装着体3を安定良く装着固定することができる。
【0047】
前記挾持具4を構成するに、第1装着体3の一側面の管周方向両側部の各々には、上下一対のブラケット4Aが固着され、各対のブラケット4A間には、前記挿口管部2の外周面2aに食い込み可能な多数の挾持突起4aを備えた挾持アーム4Bが、挿口管部2の管軸芯Xに対して直交する軸芯周りでの揺動を許容するボルト4Cで枢着されているとともに、前記挾持アーム4Bの先端部には、流体圧シリンダCのピストンロッド9の先端に設けられた係止部10に対する外れ止め突起4bが一体形成されている。
【0048】
前記挾持アーム4Bの挾持突起4aは、揺動方向一端側ほどボルト4Cの揺動軸芯からの距離が長くなり、挾持アーム4Bの起立揺動に連れて挿口管部2の外周面2aに対する喰込みが大きくなるように構成されている。
【0049】
前記第2装着体5は、受口管部1に対する装着空間S2を備えた管軸芯X方向視において略Uの字状に構成され、この第2装着体5の装着空間S2側の内側面を、左右中央の水平内側面5aとこれの左右両側に所定の交差角度(例えば、129度程度)で傾斜する傾斜内側面5bとから構成し、前記両傾斜内側面5bにおける受口管部1の外周面と接触する部位をもって、受口管部1の外周面の管周方向の二点に当接する第2管当接部17が形成されているとともに、前記第2装着体5の管周方向両端部には、前記第2管当接部17に対して管径方向で略対面する側からの締付け操作で第2装着体5を受口管部1に抜止め固定する第2締結具18が設けられている。
【0050】
前記第2締結具18は、前記第1締結具16と同様に、第2装着体5の管周方向両端部に固着されたナット18Aとそれに螺合されるボルト18Bから構成され、前記ボルト18Bの締付け操作で受口管部1を両傾斜内側面5bにおける第2管当接部17に押圧固定することにより、前記受口管部1に装着された第2装着体5の抜け落ちを防止するとともに、前記第2装着体5の両第2管当接部17の二点で受口管部1に当接するから、受口管部1の外径が少し変動しても第2装着体5を安定良く装着固定することができる。
【0051】
前記反力受け部8は、第2装着体5の管周方向両端部に、前記受口管部1の受口周縁に連続する環状端面に管軸芯X方向から当接する状態で一体形成されている。
【0052】
前記係止部10の基部には、油圧シリンダCのピストンロッド9の先端部に形成されたネジ孔9Aに螺合固定される雄ネジ部10Aが形成されているとともに、前記係止部10の前半側には、挾持アーム4Bに管軸芯X方向から係止可能な係止凹部10Bが形成されている。
【0053】
また、前記取付け部材11の取付け筒部11Aには、シリンダチューブ6の雄ネジ部6aと取付け筒部11Aとの螺合箇所をビスで抜止め固定するためのネジ孔11aが形成されているとともに、前記第1装着体3の上端部及び第2装着体5の上端部には夫々把手19が連設されている。
【0054】
管継手構造としては従来から種々の構造が存在するが、当該実施形態に例示した管継手構造は、図1に示すように、一方の流体管Pの受口管部1と他方の流体管Pの挿口管部2との間に、両管部1,2が管軸線X方向に沿って相対離脱移動したとき、管軸線X方向から互いに接当してそれ以上の離脱移動を阻止する離脱防止手段Aと、前記受口管部1と挿口管部2とを同軸芯状態に維持する屈曲防止手段B、及び、前記挿口管部2の外周面と受口管部1の内周面との間を密封(水密)可能な円環状の合成ゴム製のシール材14が設けられている。
【0055】
前記離脱防止手段Aを構成するに、前記受口管部1の内周面に形成された円環状の取付け溝20に、管軸線X方向視において略Cの字状に形成された拡径側に弾性変形可能な金属製のロックリング21と、これの拡径変形を許容する状態で該ロックリング21を受口管部1と同軸芯状態に保持する弾性保持リング22とが装着されているとともに、前記挿口管部2の外周面2aの先端部には、地震や不同沈下等に起因して両管部1,2が一定以上に相対離脱移動したとき、ロックリング21に対して管軸線X方向から接当してそれ以上の両管部1,2の相対離脱移動を阻止する円環状の抜止め突起23が一体形成されている。
【0056】
前記屈曲防止手段Bは、前記受口管部1に、挿口管部2の外周面2aに接触する屈曲規制状態にまで縮径側に弾性変形可能な合成樹脂製の屈曲防止用リング24と、この屈曲防止用リング24の周方向複数箇所を管径方向内方に押圧して屈曲規制状態に縮径変形させる複数本のセットボルト25を設けて構成されている。
【0057】
そのため、この管継手構造においては、前記受口管部1と挿入管部2とを引抜き分離する場合、前記挿口管部2の抜止め突起23が受口管部1の取付け溝20に装着されているロックリング21に係合しないように、前記抜止め突起23と同一の厚み又はそれよりも若干大きな厚みの構成された細幅状の複数本の解体用薄板26を、前記挿口管部2の外周面2aとロックリング21との間に打ち込み、挿口管部2の抜止め突起23を抜き出し可能な内径にまでロックリング21を拡径変形操作する事前作業が必要となる。
【0058】
尚、本発明は、上述したように種々の構造の管継手構造に適用することが可能で、図1に示す管継手構造に限定されるものではない。
【0059】
〔第2実施形態〕
図9、図10は、受口管部1と挿口管部2とを管軸芯X方向に沿って挿入接続(接合)する場合に用いられる本発明の管接合装置を示す。
この管接合装置を構成するに、受口管部1に挿入接続される挿口管部2に対して管径方向から脱着自在に装着される金属製の第1装着体3の管周方向両側部には、前記挿口管部2の外周面2aを挾持する状態と挾持解除状態とに切り替え可能な一対の挾持具4が設けられている。
【0060】
さらに、前記受口管部1に対して管径方向から脱着自在に装着される金属製の第2装着体5の管周方向両側部には、挾持状態に切り替え作動される挾持具4を介して両管部1,2に接合移動力を付与する一対の流体圧シリンダCを夫々反力受け方向から脱着自在に所定姿勢で係合保持(差し込み保持)するシリンダ装着部7と、前記流体圧シリンダCの収縮作動による両管部1,2の接合移動時において前記受口管部1に管軸芯X方向から当接する反力受け部8が設けられている。
【0061】
前記流体圧シリンダCのピストンロッド9には、前記挾持具4に対して管軸芯X方向から当接自在で、かつ、その当接状態でのピストンロッド9の収縮移動、つまり、ピストンロッド9による管軸芯X方向での引き込み移動に伴って挾持具4を挾持状態に切り替え作動させる第2係止部29が設けられている。
【0062】
前記流体圧シリンダCとしては、上述の第1実施形態と同様に単動形油圧シリンダが使用され、前記シリンダチューブ6の外周面の先端側に形成した雄ネジ部6aには、環状の鍔部11Bを突設してある筒状の金属製の取付け部材11が外装状態で螺合固定されている。
【0063】
この第2実施形態の場合、第1実施形態とは反力受け方向が逆方向になるため、前記取付け部材11は、取付け筒部11Aにおける挿口管部2の存在側とは反対側の端部に鍔部11Bが位置する状態でシリンダチューブ6の雄ネジ部6aに装着されている。
【0064】
前記第2装着体5の各シリンダ装着部7は、第1実施形態とは逆向きに構成されている点が異なるだけ、それ以外は同一構成であり、また、前記第1装着体3及び挾持具4も第1実施形態で説明した構成と同一で、挿口管部2に対して反対の向き姿勢で装着されている点が異なるだけである。
【0065】
前記第2装着体5は、前記受口管部1の外周面における大径管部分に形成された環状溝30内に対して管径方向から脱着自在に装着され、この環状溝30の管軸芯X方向で相対向する段差端面30a,30bのうち、受口管部1の受口の開口側に位置する段差端面30aと当接可能な第2装着体5の角部をもって、両管部1,2の接合移動時において前記受口管部1に管軸芯X方向から当接する反力受け部8が構成されている。
【0066】
前記第2係止部29には、挾持アーム4Bに対して管周方向から係脱可能な略コの字状の係止アーム部29Aと、油圧シリンダCのピストンロッド9の先端部に形成されたネジ孔9Aに螺合固定される雄ネジ部29Bが形成されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0067】
〔第3実施形態〕
図11は、受口管部1と挿口管部2とを管軸芯X方向に沿って引抜き分離(解体)する機能、及び、受口管部1と挿口管部2とを管軸芯X方向に沿って挿入接続(接合)する機能を備えた本発明の管脱着装置を示す。
【0068】
この管脱着装置を構成するに、前記挿口管部2に対して管径方向から脱着自在に装着される金属製の第1装着体3の管周方向両側部には、挿口管部2の外周面2aを挾持する状態と挾持解除状態とに切り替え可能な挾持具4が設けられている。
【0069】
さらに、前記受口管部1に対して管径方向から脱着自在に装着される金属製の第2装着体5の管周方向両側部には、挾持状態に切り替え作動される挾持具4を介して両管部1,2に離脱移動力又は接合移動力を付与する一対の流体圧シリンダCを夫々反力受け方向から脱着自在に所定姿勢で係合保持(差し込み保持)するシリンダ装着部7と、前記流体圧シリンダCの伸長作動による両管部1,2の離脱移動時又は前記流体圧シリンダCの収縮作動による両管部1,2の接合移動時において前記受口管部1に管軸芯X方向から当接する反力受け部8が設けられている。
【0070】
前記流体圧シリンダCのピストンロッド9には、前記挾持具4に対して管軸芯X方向から当接自在で、かつ、その当接状態でのピストンロッド9の伸長移動又は収縮移動に伴って挾持具4を挾持状態に切り替え作動させる第1係止部10又は第2係止部29が設けられている。
【0071】
前記流体圧シリンダCとしては、上述の第1実施形態と同様に単動形油圧シリンダが使用され、前記シリンダチューブ6の外周面の先端側に形成した雄ネジ部6aには、環状の鍔部11Bを突設してある筒状の金属製の取付け部材11が反転付け替え可能に外装状態で螺合固定されている。
【0072】
前記両管部1,2を離脱移動させる場合には、第1実施形態と同様に、取付け筒部11Aにおける挿口管部2の存在側の端部に鍔部11Bが位置する状態でシリンダチューブ6の雄ネジ部6aに装着し、また、前記両管部1,2を接合移動させる場合には、第2実施形態と同様に、取付け筒部11Aにおける挿口管部2の存在側とは反対側の端部に鍔部11Bが位置する状態でシリンダチューブ6の雄ネジ部6aに装着する。
【0073】
前記第2装着体5の各シリンダ装着部7には、前記取付け部材11の取付け筒部11Aが管軸芯X方向から摺接状態で挿入自在な装着貫通孔7Aと、該装着貫通孔7Aの両方の開口端縁側において前記取付け部材11の鍔部11Bを離脱移動時又は収縮作動時の反力受け方向から脱着自在に嵌合状態で受止め保持する両嵌合凹部7Bと、前記装着貫通孔7A及び両嵌合凹部7Bに対して前記シリンダチューブ6を径方向外方から装着可能な開口部7Cが形成されている。
【0074】
前記反力受け部8を構成するに、第2装着体5の管軸芯方向一端部には、前記流体圧シリンダCの伸長作動による両管部1,2の離脱移動時において、前記受口管部1の開口周縁に連続する環状端面に対して管軸芯X方向から当接する第1反力受け部8Aが一体形成されているとともに、前記第2装着体5の管軸芯方向他端部には、前記受口管部1の外周面における大径管部分に形成された環状溝30内に対して管径方向から脱着自在で、且つ、前記流体圧シリンダCの収縮作動による両管部1,2の接合移動時において、前記環状溝1Aの管軸芯X方向で相対向する段差端面30a,30bのうち、受口管部1の受口開口側に位置する段差端面30aに対して管軸芯X方向から当接する第2反力受け部8Bが一体形成されている。
【0075】
前記第1係止部10と第2係止部29は、流体圧シリンダCのピストンロッド9に対して選択的に付け替え自在で、両管部1,2の離脱時には第1係止部10を取付け、両管部1,2の接合時には第2係止部29を取付ける。
【0076】
前記第1係止部10には、油圧シリンダCのピストンロッド9の先端部に形成されたネジ孔9Aに螺合固定される雄ネジ部10Aと、前記挾持アーム4Bに管軸芯X方向から係止可能な係止凹部10Bが形成されている。
【0077】
前記第2係止部29には、挾持アーム4Bに対して管周方向から係脱可能な略コの字状の係止アーム部29Aと、油圧シリンダCのピストンロッド9の先端部に形成されたネジ孔9Aに螺合固定される雄ネジ部29Bが形成されている。
【0078】
前記第1装着体3及び挾持具4も第1実施形態又は第2実施形態で説明した構成と同一で、両管部1,2の離脱時には、第1装着体3の両側面のうち、受口管部1の存在側とは反対側の側面に挾持アーム4Bが位置する状態で挿口管部2に装着し、両管部1,2の接合時には、第1装着体3における受口管部1の存在側の側面に挾持アーム4Bが位置する状態で挿口管部2に装着する。
尚、その他の構成は、第1実施形態又は第2実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態又は第2実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0079】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の各実施形態では、前記第1装着体3を、挿入管部2に対して管径方向から装着可能な半円環状又はそれに近いほぼ半環状に形成し、かつ、前記第2装着体5を、受口管部1に対して管径方向から装着可能な半円環状又はそれに近いほぼ半環状に形成したが、この第1装着体3又は第2装着体5の少なくとも一方を揺動開閉式又は円周方向で複数の部品に分解可能な分割式の環状体から構成してもよい。
【0080】
(2)前記第2装着体5のシリンダ装着部7としては、流体圧シリンダCを反力受け方向から脱着自在に所定姿勢で係合保持(差し込み保持)することのできる構成であれば、如何なる構造に構成してもよい。
【0081】
(3)前記第1装着体3に設けられる挾持具4としては、前記挿口管部2の外周面2aを挾持する状態と挾持解除状態とに切り替え可能な構造であれば、如何なる構造に構成してもよい。
【0082】
(4)前記流体圧シリンダCとして、上述の各実施形態では、油圧ポンプ13から供給される圧油によって伸長作動され、且つ、シリンダチューブ6に内蔵された図外のバネの弾性復元力で収縮作動される単動形油圧シリンダを使用したが、複動型の油圧シリンダを用いてもよく、さらに、空気圧で作動するエアシリンダ等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1実施形態を示す管離脱装置の全体の一部切欠き平面図
【図2】管離脱装置の全体の側面図
【図3】管離脱装置の全体の分解斜視図
【図4】第2装着体の正面図
【図5】第1装着体の正面図
【図6】第2装着体のシリンダ装着部に流体圧シリンダを装着する前の分解一部切欠き側面図
【図7】第2装着体のシリンダ装着部に流体圧シリンダを装着するときの一部切欠き側面図
【図8】第2装着体のシリンダ装着部に流体圧シリンダを装着するときの正面図
【図9】本発明の第2実施形態を示す管接合装置の一部切欠き底面図
【図10】本発明の第2実施形態における管接合装置の全体の側面図
【図11】本発明の第3実施形態を示す管脱着装置の分解一部切欠き側面図
【符号の説明】
【0084】
C 流体圧シリンダ
1 受口管部
2 挿口管部
3 第1装着体
4 挾持部
5 第2装着体
6 シリンダチューブ
7 シリンダ装着部
7A 装着貫通孔
7B 嵌合凹部
7C 開口部
8 反力受け部
9 ピストンロッド
10 係止部(第1係止部)
11 取付け部材
11A 取付け筒部
11B 鍔部
15 管当接部(第1管当接部)
16 第1締結具
17 管当接部(第2管当接部)
18 第2締結具
29 第2係止部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受口管部に挿入接続可能な挿口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第1装着体に、前記挿口管部の外周面を挾持する状態と挾持解除状態とに切り替え可能な挾持具が設けられているとともに、前記受口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第2装着体には、挾持状態の挾持具を介して両管部に離脱移動力を付与する流体圧シリンダを反力受け方向から脱着自在に所定姿勢で係合保持するシリンダ装着部と、前記流体圧シリンダによる両管部の離脱移動時において前記受口管部に管軸芯方向から当接する反力受け部が設けられ、前記流体圧シリンダのピストンロッドには、前記挾持具に対して管軸芯方向から当接自在で、かつ、その当接状態でのピストンロッドの伸長移動に伴って挾持具を挾持状態に切り替え作動させる係止部が設けられている管離脱装置。
【請求項2】
前記流体圧シリンダのシリンダチューブには、環状の鍔部を突設してある筒状の取付け部材が外装固定されているとともに、前記シリンダ装着部には、前記取付け部材の取付け筒部が管軸芯方向から摺接状態で挿入自在な装着貫通孔と、該装着貫通孔の一方の開口端縁側において前記取付け部材の鍔部を反力受け方向から脱着自在に嵌合状態で受止め保持する嵌合凹部とが形成され、さらに、前記装着貫通孔及び嵌合凹部に対して前記シリンダチューブを径方向外方から装着可能な開口部が形成されている請求項1記載の管離脱装置。
【請求項3】
前記取付け部材の取付け筒部の外周面には、前記鍔部をシリンダ装着部の嵌合凹部に受止め保持させた状態で装着貫通孔の他方の開口端縁側に当接可能な状態で対面する抜止め突起が形成されているとともに、前記抜止め突起が、前記開口部を管軸芯方向に沿って通過移動可能な大きさに構成されている請求項2記載の管離脱装置。
【請求項4】
前記第1装着体には、挿口管部の管周方向の二点に当接する管当接部と、該管当接部に対して管径方向で略対面する側からの締付け操作で第1装着体を挿口管部に抜止め固定する第1締結具が設けられているとともに、前記第2装着体には、受口管部の管周方向の二点に当接する管当接部と、該管当接部に対して管径方向で略対面する側からの締付け操作で第2装着体を受口管部に抜止め固定する第2締結具が設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の管離脱装置。
【請求項5】
受口管部に挿入接続可能な挿口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第1装着体には、前記挿口管部の外周面を挾持する状態と挾持解除状態とに切り替え可能な挾持具が設けられているとともに、前記受口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第2装着体には、挾持状態の挾持具を介して両管部に接合移動力を付与する流体圧シリンダを反力受け方向から脱着自在に所定姿勢で係合保持するシリンダ装着部と、前記流体圧シリンダによる両管部の接合移動時において前記受口管部に管軸芯方向から当接する反力受け部が設けられ、前記流体圧シリンダのピストンロッドには、前記挾持具に対して管軸芯方向から当接自在で、かつ、その当接状態でのピストンロッドの収縮移動に伴って挾持具を挾持状態に切り替え作動させる係止部が設けられている管接合装置。
【請求項6】
受口管部に挿入接続可能な挿口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第1装着体には、前記挿口管部の外周面を挾持する状態と挾持解除状態とに切り替え可能な挾持具が設けられているとともに、前記受口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第2装着体には、挾持状態の挾持具を介して両管部に離脱移動力又は接合移動力を付与する流体圧シリンダを反力受け方向から脱着自在に所定姿勢で係合保持するシリンダ装着部と、前記流体圧シリンダによる両管部の離脱移動時又は接合移動時において前記受口管部に管軸芯方向から当接する反力受け部が設けられ、前記流体圧シリンダのピストンロッドには、前記挾持具に対して管軸芯方向から当接自在で、かつ、その当接状態でのピストンロッドの伸長移動又は収縮移動に伴って挾持具を挾持状態に切り替え作動させる係止部が設けられている管脱着装置。
【請求項1】
受口管部に挿入接続可能な挿口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第1装着体に、前記挿口管部の外周面を挾持する状態と挾持解除状態とに切り替え可能な挾持具が設けられているとともに、前記受口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第2装着体には、挾持状態の挾持具を介して両管部に離脱移動力を付与する流体圧シリンダを反力受け方向から脱着自在に所定姿勢で係合保持するシリンダ装着部と、前記流体圧シリンダによる両管部の離脱移動時において前記受口管部に管軸芯方向から当接する反力受け部が設けられ、前記流体圧シリンダのピストンロッドには、前記挾持具に対して管軸芯方向から当接自在で、かつ、その当接状態でのピストンロッドの伸長移動に伴って挾持具を挾持状態に切り替え作動させる係止部が設けられている管離脱装置。
【請求項2】
前記流体圧シリンダのシリンダチューブには、環状の鍔部を突設してある筒状の取付け部材が外装固定されているとともに、前記シリンダ装着部には、前記取付け部材の取付け筒部が管軸芯方向から摺接状態で挿入自在な装着貫通孔と、該装着貫通孔の一方の開口端縁側において前記取付け部材の鍔部を反力受け方向から脱着自在に嵌合状態で受止め保持する嵌合凹部とが形成され、さらに、前記装着貫通孔及び嵌合凹部に対して前記シリンダチューブを径方向外方から装着可能な開口部が形成されている請求項1記載の管離脱装置。
【請求項3】
前記取付け部材の取付け筒部の外周面には、前記鍔部をシリンダ装着部の嵌合凹部に受止め保持させた状態で装着貫通孔の他方の開口端縁側に当接可能な状態で対面する抜止め突起が形成されているとともに、前記抜止め突起が、前記開口部を管軸芯方向に沿って通過移動可能な大きさに構成されている請求項2記載の管離脱装置。
【請求項4】
前記第1装着体には、挿口管部の管周方向の二点に当接する管当接部と、該管当接部に対して管径方向で略対面する側からの締付け操作で第1装着体を挿口管部に抜止め固定する第1締結具が設けられているとともに、前記第2装着体には、受口管部の管周方向の二点に当接する管当接部と、該管当接部に対して管径方向で略対面する側からの締付け操作で第2装着体を受口管部に抜止め固定する第2締結具が設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の管離脱装置。
【請求項5】
受口管部に挿入接続可能な挿口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第1装着体には、前記挿口管部の外周面を挾持する状態と挾持解除状態とに切り替え可能な挾持具が設けられているとともに、前記受口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第2装着体には、挾持状態の挾持具を介して両管部に接合移動力を付与する流体圧シリンダを反力受け方向から脱着自在に所定姿勢で係合保持するシリンダ装着部と、前記流体圧シリンダによる両管部の接合移動時において前記受口管部に管軸芯方向から当接する反力受け部が設けられ、前記流体圧シリンダのピストンロッドには、前記挾持具に対して管軸芯方向から当接自在で、かつ、その当接状態でのピストンロッドの収縮移動に伴って挾持具を挾持状態に切り替え作動させる係止部が設けられている管接合装置。
【請求項6】
受口管部に挿入接続可能な挿口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第1装着体には、前記挿口管部の外周面を挾持する状態と挾持解除状態とに切り替え可能な挾持具が設けられているとともに、前記受口管部に対して管径方向から脱着自在に装着される第2装着体には、挾持状態の挾持具を介して両管部に離脱移動力又は接合移動力を付与する流体圧シリンダを反力受け方向から脱着自在に所定姿勢で係合保持するシリンダ装着部と、前記流体圧シリンダによる両管部の離脱移動時又は接合移動時において前記受口管部に管軸芯方向から当接する反力受け部が設けられ、前記流体圧シリンダのピストンロッドには、前記挾持具に対して管軸芯方向から当接自在で、かつ、その当接状態でのピストンロッドの伸長移動又は収縮移動に伴って挾持具を挾持状態に切り替え作動させる係止部が設けられている管脱着装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−105062(P2010−105062A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276680(P2008−276680)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(500529676)名古屋市 (8)
【出願人】(397012923)大成機工株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(500529676)名古屋市 (8)
【出願人】(397012923)大成機工株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
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