説明

箱型容器

【課題】側壁部に形成された開口部を開閉する扉部材を備える構成において、耐久性の向上やがたつきの抑制等を図ることのできる箱型容器を提供する。
【解決手段】箱型容器1は、上方に開口した箱型に構成されるとともに、内側に収容された物品を側方から出し入れするための開口部3が形成された本体部2と、開口部3を開閉可能な扉部材4とを備えている。開口部3は、本体部2の長辺側壁部12において、当該長辺側壁部12の両側部(開口壁部14)を残すようにして形成されている。さらに、扉部材4は、開口部3を区画する開口周縁部の下縁部に対して、可撓性を有する連結部43を介して回動可能に連結され、開口部3を閉鎖した閉状態から外側に開放可能に構成されている。また、本体部2、扉部材4、及び連結部43は、型成形によって一体的に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬等に使用される箱型容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、物品の搬送等に使用される箱型容器は、略矩形状の底壁部と、底壁部の4つの側辺部から上方に延出する側壁部とを備えており、上方から物品を出し入れする構成となっている。また、側壁部に開口部を形成するとともに、当該開口部を開閉可能な扉部材を設け、開口部を開放することで、箱型容器の側方からも物品の出し入れができるように構成したものがある(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3766606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の箱型容器は、底壁部に対してヒンジ部を介して折り畳み可能に設けられた側壁部を備える折り畳み式の箱型容器である。このため、側壁部が底壁部から一体的に延出するボックス型の箱型容器に比べて強度的に劣り、乱雑に扱うと各種不具合を招くおそれがあるため、箱型容器に対して大きな力が作用しないように注意して扱う必要があった。特に、折り畳み式の側壁部に開口部が形成されるとともに、当該開口部に対応して扉部材がヒンジ部を介して開閉可能に設けられる場合、かかる懸念が一層顕著なものとなる。また、折り畳み式の箱型容器に関しては、ボックス型の箱型容器に比べ、比較的歪み変形し易いため、運搬等に際して箱型容器ががたつく等し、収容された物品に悪影響を与えてしまうといったことが懸念される。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、側壁部に形成された開口部を開閉する扉部材を備える構成において、耐久性の向上やがたつきの抑制等を図ることのできる箱型容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.略矩形板状の底壁部と、
前記底壁部の各側辺部から上方に向けて一体的に延出する側壁部とを具備し、
少なくとも1つの側壁部において、当該側壁部の両側部を残すようにして、当該側壁部の厚み方向に貫通する開口部が形成されているとともに、当該開口部を開閉可能な扉部材が設けられ、
前記扉部材は、前記開口部を区画する開口周縁部の下縁部に対し、可撓性を有する薄膜状の連結部を介して回動可能に連結されるとともに、前記開口部を閉鎖した閉状態から外側に開放可能に構成され、
前記底壁部、前記側壁部、前記連結部、及び前記扉部材は型成形により一体形成されていることを特徴とする箱型容器。
【0008】
手段1の箱型容器は、側壁部に開口部が形成されるとともに、開口部を開閉可能な扉部材が設けられるタイプの箱型容器であるが、底壁部に対して各側壁部がそれぞれヒンジ部を介して回動可能に連結される折り畳み式ではなく、底壁部から一体的に延出する相対変位しない側壁部を備えた箱型容器である。そして、所定の側壁部において当該側壁部の両側部が残されるような格好で開口部が形成されている。このため、折り畳み式のものに比べ、箱型容器全体としての強度が高く、箱型容器の損壊を抑制できる上、形状保持性にも優れる。従って、箱型容器の耐久性等を向上させることができる上、運搬時や応力が付加された際の箱型容器のがたつき(歪み変形)等を抑制することができ、箱型容器のがたつきによって、箱型容器に収容された物品に悪影響を与えてしまう(形状が崩れてしまう等)といった事態を抑制することができる。結果として、形状の崩れ易い物品を収容した場合であっても、当該物品を好適に運搬・保管することができる。
【0009】
また、本手段1では、扉部材を開閉可能に設けるためのヒンジ部が、可撓性を有する薄膜状の連結部によって構成され、底壁部、側壁部、連結部、及び扉部材が一体的に形成されている。このため、例えば、ヒンジ部を、扉部材に設けられた係合部と、箱型容器の本体部に設けられた被係合部とによって構成する場合に比べ、構成の簡素化、金型成形の簡略化等を図ることができる。さらに、扉部材を本体部に組付ける作業を省略することができ、生産性の向上等を図ることができる。加えて、ヒンジ部の構成が簡素であるため、箱型容器を洗浄した場合にヒンジ部において埃等が残存してしまうといった事態を防止することができ、より衛生的に箱型容器を使用することができる。
【0010】
手段2.前記開口部を区画する開口周縁部の下縁部は、前記底壁部の外周縁から、当該底壁部の上面と連続又はほぼ連続して底壁部の外周側に延出形成された略板状の下部フランジによって構成されていることを特徴とする手段1に記載の箱型容器。
【0011】
手段2によれば、開口部の下縁部(下部フランジの上面)と、底壁部の上面との間に段差がなくなり(ほぼなくなり)、箱型容器に対し開口部を介して物品を比較的スムースに出し入れすることができる。
【0012】
尚、開口部において下部フランジの上面と、底壁部の上面(箱型容器の底面)とは必ずしも面一でなくてもよく、下部フランジの上面が底壁部の上面よりも若干上方に位置していることとしてもよい。この場合、箱型容器が開口部側に向けて下方傾斜するようにして設置された場合に、扉部材を開けた途端、収容されている物品が開口部から流出してしまうといった事態を抑制することができる。但し、当該構成を採用する場合、下部フランジの上面と、底壁部の上面との境界部には傾斜部が形成されていることが望ましい。この場合、下部フランジの上面と底壁部の上面とが面一である場合と同様に、開口部を介して物品を底壁部及び下部フランジの上面を滑らすようにしてスムースに出し入れすることができる。また、下部フランジの下面が底壁部の下面よりも上方に位置している場合、箱型容器を安定して段積みすることができるとともに、下部フランジを箱型容器の接地面よりも上方に離間させることができ、開口部周り、ひいては開口部を介して出し入れされる物品の衛生面を向上させることができる。結果として、厳格な衛生管理が求められる物品(食品等)を収容した場合であっても、当該物品を好適に運搬・保管することができる。
【0013】
尚、連結部は、開口部を閉鎖した閉状態における扉部材の下面の外縁部と、下部フランジの外縁部とを連結していることとしてもよい。この場合、扉部材を閉状態とした場合において、扉部材の収まりが良くなり(扉部材を下部フランジの直上方に位置させ、扉部材が下部フランジよりも外側に突出しないように構成し)、スペース効率の向上を図ることができる。さらには、扉部材を180度回動させるようにして開放させることができ、例えば、箱型容器を台に載せて(或いは、下側の箱型容器の上方に段積みした状態で)扉部材を開放させて物品を出し入れする際に、作業者が箱型容器により近い位置で作業を行うことができるとともに、例えば、作業者が120度程度しか開かない扉部材に接触して箱型容器の本体部(底壁部及び側壁部)が傾く等してしまうといった事態を防止することができる。また、扉部材が180度開くことによって、下部フランジの上面と、連結部の内側面(開状態においては上方に露出している)と、扉部材の下面(開状態においては上方に位置している)との間に比較的大きな段差が形成されるといった事態を抑制することができ、箱型容器に対する開口部からの物品の出し入れ作業をより行い易くすることができる。
【0014】
手段3.前記扉部材には、前記連結部に連結された辺部の両端部において切欠き部が形成され、
前記下部フランジの両側方には、前記扉部材の閉状態において、前記切欠き部における前記扉部材の下面と当接して支持可能な載置突部が設けられていることを特徴とする手段1又は2に記載の箱型容器。
【0015】
手段3によれば、扉部材の閉状態においては、載置突部の上方に扉部材が載置され支持されることとなる。従って、閉状態にある扉部材に対して下向きの力が加えられた場合に下部フランジや連結部に対して比較的大きな応力が作用して破損してしまうといった事態を防止することができる。特に、上記手段2に記載のように、下部フランジを底壁部の上面から連続又はほぼ連続させて延出させる場合には、下部フランジを厚肉とすることができないが、当該手段3の構成を採用すれば、下部フランジの破損を確実に防止することができる。
【0016】
手段4.前記各側壁部は、前記底壁部の側辺部から上方に延出する縦壁部と、前記縦壁部の上縁部から外側に延出する上部フランジと、前記縦壁部の下縁部に沿って前記縦壁部から外側に延出する下部フランジと、前記上下のフランジ間を連結する補強リブとを備え、
前記開口部が形成された側壁部に関し、前記開口部を挟んで相対するようにして少なくとも一対の前記補強リブが設けられるとともに、前記縦壁部は当該補強リブよりも前記開口部側にまで延設され、前記上部フランジは前記縦壁部の上縁部の前記開口部側の端縁にまで延設され、
閉状態にある前記扉部材は、両側部における内側面が前記縦壁部の外側面と当接又は近接するとともに、両側部における上辺部の上方が前記上部フランジによって覆われていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の箱型容器。
【0017】
手段4によれば、縦壁部のうち開口部の両側方に位置する部位の外側面と、扉部材の内側面とが当接又は近接することで、扉部材が箱型容器の内側に倒れてしまうといった事態を確実に防止することができる上、扉部材と開口部の周縁部との間において、箱型容器の外周方向において貫通する隙間が形成されてしまうといった事態を回避することができ、隙間からの埃等の侵入を防止することができる。
【0018】
また、上部フランジが縦壁部のうち補強リブよりも開口部側に延出した部位にまで延設されているため、扉部材を支持する縦壁部の強度を向上させることができるとともに、閉鎖された状態の扉部材の上面両側部を保護することができる。さらに、閉状態にある扉部材に対して上方に向かう力が作用した場合、上方へ変位しようとする扉部材を上部フランジによって支持する(変位を規制する)こともでき、従って、扉部材が持ち上げられることで連結部に対して負荷がかかってしまうといった事態を抑止することができる。
【0019】
手段5.前記扉部材の閉状態において、前記連結部は、前記側壁部の外縁部よりも内側に配置されていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の箱型容器。
【0020】
手段5によれば、連結部が箱型容器の外縁(手段4に対応しては、下部フランジや補強リブの外縁部)よりも外側に突出している場合のように、連結部が擦れたり、押圧されたりする等して、連結部が損傷し易くなってしまうといった事態を防止することができる。
【0021】
尚、箱型容器は、開口部が開放される扉部材の開状態となるように金型装置によって一体的に成形されることとなるが、連結部を側壁部の下部フランジや補強リブの外縁部よりも内側に設ける場合、扉部材を開状態としても、連結部に連結される扉部材の下面の両側部の近傍において各部材が密集するため、かかる部位を成形することが非常に困難なものとなるおそれがある。つまり、当該部位を成形するための金型部材を薄肉にする必要が生じ、当該金型部材の強度が成形に堪えられなくなってしまうおそれがある。これに対し、上記手段3のように、扉部材の下面の両側部において、切欠き部を形成することによって、扉部材を開状態とすれば、扉部材下面の両側部と本体部との間に隙間ができるように構成できるため、確実かつ比較的容易に箱型容器を成形することができる。さらに、同手段3によれば、扉部材を閉状態としたときに、切欠き部が載置される載置突部が設けられているため、切欠き部を形成したことによって、扉部材を閉状態とした場合においても扉部材と本体部(開口周縁部)との間に隙間が形成され、該隙間を介して埃等が侵入してしまうといった事態を抑制することができる。
【0022】
手段6.閉状態にある前記扉部材は、その全体が、前記側壁部の外縁部よりも内側に配置されていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の箱型容器。
【0023】
手段6によれば、扉部材が箱型容器の外縁(手段4に対応しては、上下のフランジや補強リブの外縁部)よりも外側に突出している場合のように、扉部材(及び扉部材の閉状態を維持する施錠手段)が擦れたり、押圧されたりする等して、扉部材や扉部材に連結或いは接触している部材が損傷し易くなってしまうといった事態を防止することができる。
【0024】
手段7.閉状態にある前記扉部材の上辺部は、前記側壁部の上辺部よりも下方に位置することを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の箱型容器。
【0025】
手段7によれば、扉部材の上辺部に対して下方に向かう力が加えられてしまうといった事態を抑制することができる。特に、箱型容器を段積みした場合には、上側の箱型容器が下側の箱型容器の扉部材に接触することを回避することができる。従って、扉部材及び連結部の損傷を防止することができる。また、箱型容器を段積みした状態においても、下側の箱型容器の扉部材を開放し、収容された物品を確認したり、取り出したりすることも可能となる。
【0026】
手段8.前記各側壁部は、前記底壁部の側辺部から上方に延出する縦壁部と、前記縦壁部の上縁部から外側に延出する上部フランジと、前記縦壁部の下縁部から外側に延出する下部フランジと、前記上下のフランジ間を連結する補強リブとを備え、
前記開口部の両側方に位置する前記側壁部に形成された前記補強リブのうち、少なくとも前記開口部を挟んで対向する一対の補強リブは、その他の前記側壁部に形成された前記補強リブよりも厚肉に構成されていることを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の箱型容器。
【0027】
手段8によれば、開口部の両側方に位置する側壁部の強度を高めることができ、箱型容器の本体部の形状維持、ひいては、開口周縁部の形状維持を図ることができる。従って、本体部が歪むなどして扉部材によって開口部を好適に閉鎖できなくなってしまうといった事態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】扉部材が閉状態にある箱型容器の斜視図である。
【図2】扉部材が開状態にある箱型容器の斜視図である。
【図3】箱型容器の下面側を示す斜視図である。
【図4】箱型容器の平面図である。
【図5】図1のA−A線断面図であって、(a)は扉部材が閉状態にあるときを示し、(b)は扉部材が開状態にあるときを示す。
【図6】図1のB−B線断面図であって、(a)は扉部材が閉状態にあるときを示し、(b)は扉部材が開状態にあるときを示す。
【図7】施錠パーツ及びパーツ収容部等を示す部分拡大斜視図である。
【図8】段積みした箱型容器を示す一部断面を含む斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1、図2等に示すように、箱型容器1は、上方に開口した箱型に構成されるとともに、内側に収容された物品を側方から出し入れするための開口部3(図2参照)が形成された本体部2と、開口部3を開閉可能な扉部材4とを備えている。本実施形態の箱型容器1はポリプロピレンにより構成されている。
【0030】
まずは、本体部2について説明する。本体部2は、略矩形板状の底壁部11と、底壁部11の相対する長辺部からそれぞれ上方に延出する一対の長辺側壁部12と、底壁部11の相対する短辺部からそれぞれ上方に延出し、一対の長辺側壁部12の端縁同士を連結する短辺側壁部13とを備えている。
【0031】
また、一対の長辺側壁部12のうち一方においては、当該長辺側壁部12の両側部(短辺側壁部13と連接する部位)を残すようにして、箱型容器1の外周方向に貫通し、上方に開口する前記開口部3が形成されている。本実施形態では、開口部3が長辺側壁部12の上縁部から下縁部にまで形成されることにより、前記一方の長辺側壁部12が左右に分断されている。以下、開口部3が形成された長辺側壁部12(開口部3の両側方に位置する側壁部)を「開口壁部14」とも称する。
【0032】
本実施形態の各側壁部12、13は、底壁部11の各側辺部から上方に延出する縦壁部21と、縦壁部21の上縁部から外側に突出する上部フランジ22と、縦壁部21の下縁部に沿って縦壁部21から外側に突出する下部フランジ23と、上部フランジ22と下部フランジ23との間を連結する補強リブ24とを備えている。尚、上部フランジ22の先端縁と、下部フランジ23の先端縁と、補強リブ24の先端縁との間には段差がなく、面一となっている。
【0033】
特に、開口部3の両側方に位置する開口壁部14に関しては、それぞれ2本ずつ補強リブ24が設けられており、当該補強リブ24はその他の側壁部12、13に形成された補強リブ24よりも厚肉となっている。また、開口壁部14の縦壁部21は、各開口壁部14に2本ずつ設けられた補強リブ24のうち開口部3側に位置する補強リブ24(開口部3を挟んで対向する一対の補強リブ24)よりも開口部3側にまで延設されている。以下、開口部3を挟んで対向する一対の補強リブ24を「開口リブ26」とも称し、開口壁部14の縦壁部21のうち開口リブ26よりも開口部3側に位置する部位を「帯板部27」とも称する。さらに、上部フランジ22は、帯板部27の上縁部の開口部3側の端縁にまで延設されている。
【0034】
また、開口リブ26の上部には、左右(開口リブ26の厚み方向)に貫通する係止孔31が形成されている。さらに、開口リブ26には、開口部3側の面(開口部3を閉鎖した状態にある扉部材4と対向する面)とは反対側の面において、係止孔31の周縁部から突出する囲いリブ32を備えている。これにより、係止孔31の周縁部の強度が高められている。
【0035】
また、帯板部27の下部には、外側に突出する載置突部33が設けられている。載置突部33は開口リブ26の開口部3側の面にも連結されており、下方に開口する略箱状をなしている。さらに、帯板部27には、前記係止孔31よりも若干上方に変位した位置と若干下方に変位した位置とにおいて外側に突出する係合凸部34が設けられている(図2等参照)。
【0036】
さて、図2、図6等に示すように、本実施形態では、開口部3に対応する部位においても、底壁部11の上面からほぼ連続するようにして当該底壁部11の外周側に延出する略板状の下部フランジ23が設けられている。本実施形態では、当該下部フランジ23と、一対の帯板部27とによって、開口部3が区画されている。以下、開口部3の下縁を画定する下部フランジ23を「開口フランジ28」とも称する。尚、本実施形態では、帯板部27に対応する部位には下部フランジ23が形成されておらず、開口フランジ28は、左右一対の帯板部27間にのみ形成されている。また、開口フランジ28のうち先端側の辺部(外縁部)と両側辺部とのコーナー部は面取り形状となっている。
【0037】
また、図5、図6に示すように、下部フランジ23(開口フランジ28)は、底壁部11よりも若干上方に位置するよう構成されている。本実施形態では、開口フランジ28、及び、その他の部位の下部フランジ23の高さ位置や厚みはいずれも同じとなっている。さらに、底壁部11の上面と開口フランジ28の上面との境界部においては傾斜部36が形成されている。当該傾斜部36によって、底壁部11の上面と開口フランジ28の上面とがほぼ連続した面として構成される。尚、底壁部11の上面と縦壁部21の内側面との境界部はR形状となっている。また、底壁部11の上面と開口フランジ28の上面との境界部(傾斜部36)をR形状としてもよい。
【0038】
さらに、図2、図6(b)等に示すように、開口フランジ28の延出方向先端部側には、上面から上方に突出する左右一対の位置決め突起37が設けられている。本実施形態の位置決め突起37は、開口フランジ28の先端縁に隣接して、開口フランジ28の長手方向両端部近傍位置に設けられている。加えて、位置決め突起37の内側面は、開口フランジ28の上面に対して直交する方向に延びている。尚、箱型容器1の外周方向(開口フランジ28の延出方向)における位置決め突起37の形成幅は、開口フランジ28の延出長よりも短くなっている。
【0039】
また、図3等に示すように、底壁部11の下面には格子状に延在する支持リブ38が設けられている。上記のように、下部フランジ23(開口フランジ28)が底壁部11よりも若干上方に形成されていることに加え、このように、底壁部11の下面に支持リブ38を形成することにより、下部フランジ23を本体部2の下縁部よりも上方に離間させることができる。これにより、図8に示すように、複数の箱型容器1を積み重ねた場合に、上側の箱型容器1の下部フランジ23の下面が、下側の箱型容器の上部フランジ22の上面に当接して支持されるとともに、上側の箱型容器1の底壁部11及び支持リブ38が、下側の箱型容器1の本体部2の内側に進入して、水平方向における相対的な位置ずれが防止されることとなる。従って、箱型容器1を安定して段積みすることができるようになっている。
【0040】
尚、本体部2には、上部フランジ22のうち、短辺側壁部13の上縁部から延出する部位の先端縁から下方に延出する折り返しフランジ39が設けられており、当該折り返しフランジ39が持ち手となって、折り返しフランジ39に指を掛けて箱型容器1を上げ下げしたり持ち運んだりすることができるようになっている。
【0041】
次に、扉部材4について説明する。図1、図2等に示すように、扉部材4は、略板状のベース部41と、ベース部41の外周縁に沿ってベース部41の外側面(開口部3が閉鎖される扉部材4の閉状態において外側を向く面)から外側に延出する枠リブ42とを備えている。本実施形態では、扉部材4と開口フランジ28とが、可撓性を有する薄膜状の連結部43によって連結されている。これにより、扉部材4が本体部2に対して回動可能に設けられ、扉部材4によって開口部3を開閉させることができるようになっている。特に、本実施形態では、図6等に示すように、連結部43によって、開口フランジ28の先端縁(外側縁)と、枠リブ42のうち扉部材4の下面(扉部材4の閉状態において下方に位置する面)を構成する下辺部42aのベース部41からの延出方向先端側の縁部(外縁部)とが連結されている。このため、扉部材4の閉状態において、扉部材4を開口フランジ28の直上方に位置させることができるとともに、扉部材4を閉状態から外向きに180度回動させることができるようになっている。また、本実施形態の箱型容器1は、図示しない金型装置によって、扉部材4が閉状態から90度開いた状態(図3に示すような状態)となるようにして、本体部2、扉部材4(後述する施錠パーツ61は除く)、及び連結部43が一体成形されている。
【0042】
また、図2等に示すように、開口フランジ28は、その他の部位の下部フランジ23よりも延出長が短く、その先端縁が開口壁部14の下部フランジ23の先端縁よりも箱型容器1の内周側に位置している。さらに、開口フランジ28の先端縁に連結される連結部43に関しても、開口壁部14の外縁部(開口壁部14の下部フランジ23や補強リブ24の先端縁)よりも箱型容器1の内周側に位置している。また、箱型容器1の外周方向における扉部材4の下面の形成幅は、下部フランジ23の延出長とほぼ同じとなっている。尚、本実施形態では、扉部材4が180度開放された状態においても、連結部43が開口壁部14の外縁部よりも内側(箱型容器1の内周側)に位置するよう構成されているが、少なくとも扉部材4が閉状態にある場合において連結部43が開口壁部14の外縁部よりも内側に位置するよう構成されていればよい。
【0043】
ベース部41は、開口部3に対応した形状をなし、開口部3を閉塞可能な略矩形板状の第1板状部44と、第1板状部44の両側辺部からそれぞれ側方に延出する左右一対の第2板状部45とを備えている。第2板状部45は扉部材4の閉状態において帯板部27の外側面と対向し、当接又は近接した状態となっている。当該構成により、扉部材4の箱型容器1内側への傾倒変位が防止されるとともに、扉部材4と開口部3の周縁部との間において、箱型容器1の外周方向において貫通する隙間が形成されてしまうといった事態を回避することができる。また、扉部材4の閉状態において、第2板状部45は第1板状部44よりも若干箱型容器1の外周側に位置しており、第2板状部45の内側面と帯板部27の外側面とが当接した状態において、第1板状部44の内側面と、開口壁部14の縦壁部21の内側面とが略面一となるように構成されている。
【0044】
さらに、第2板状部45の下部(扉部材4の下辺部と縦辺部との境界部)には切欠き部46が形成されている。図1、図5(a)に示すように、本実施形態では、扉部材4の閉状態において、切欠き部46における扉部材4の下面と、前記載置突部33の上面とが当接(又は近接)するようになっている。さらに、第2板状部45には、扉部材4が閉状態とされた場合に、前記係合凸部34が挿通される係合孔47が形成されている。尚、係合孔47を囲むようにして第2板状部45の外側面から外方に突出する四角筒状の保護リブ48が設けられており、これによって、係合孔47周縁部の強度が高められている。
【0045】
また、図1等に示すように、枠リブ42のうち、扉部材4の上面を構成する上辺部42bは長手方向全域にわたり面一となっている。さらに、扉部材4の閉状態において、扉部材4の上辺部42bは本体部2の上部フランジ22よりも下方に位置するようになっており、特に、扉部材4の両側部においては、扉部材4の上辺部42bの上方(上面)が上部フランジ22によって覆われるようになっている。加えて、枠リブ42のうち、扉部材4の両側面を構成する縦辺部42cは、扉部材4の閉状態において開口リブ26に近接状態とされる。これにより、扉部材4の側面と開口リブ26との間に形成される隙間を極力小さくし、かかる隙間からの埃等の侵入を抑止している。
【0046】
さらに、図1、図2等に示すように、枠リブ42の下辺部42aには、扉部材4の閉状態において、開口フランジ28に形成された位置決め突起37と係合する位置決め凹部49が形成されている。位置決め凹部49は枠リブ42の先端縁側に形成されており、扉部材4の閉状態において外側に開口するようになっている。尚、本実施形態では、一方の位置決め凹部49の近傍部位から他方の位置決め凹部49の近傍部位にかけて前記連結部43が連続して形成されている。
【0047】
また、図1、図7に示すように、扉部材4の外面側上部には、扉部材4とは別体として構成された施錠パーツ61が収容されるパーツ収容部51が形成されており、パーツ収容部51内を施錠パーツ61が左右方向にスライド可能に設けられている。本実施形態では、施錠パーツ61は左右一対で設けられ、同形状の施錠パーツ61が左右対称形状をなすようにして配置されている。また、パーツ収容部51は、枠リブ42の相対する縦辺部42c間を連結するようにして左右に延在する横リブ52が設けられることで、横リブ52と枠リブ42の上辺部42b及び縦辺部42cとによって囲まれた領域に形成されている。尚、横リブ52のベース部41からの延出方向先端縁と、枠リブ42の先端縁との間に段差はなく面一となっている。
【0048】
施錠パーツ61は、パーツ収容部51を区画する枠リブ42の縦辺部42cにおいて形成された挿通孔53に挿通される係止突部62を備えている(図2参照)。扉部材4の閉状態においては、挿通孔53と前記開口リブ26に形成された係止孔31とが合致することとなり、係止突部62が挿通孔53を介して係止孔31に挿通されることで、扉部材4の外側への傾倒変位が防止される。
【0049】
また、図7に示すように、施錠パーツ61には、扉部材4の厚み方向に貫通する操作用開口部63が形成されており、当該操作用開口部63の周縁部に指をかけて施錠パーツ61をスライドさせることができるようになっている。さらに、施錠パーツ61の扉部材4の横幅方向中央部側には上下一対の弾性片65を有する略矢印状の付勢部64が設けられており、弾性片65が、枠リブ42の上辺部42b及び横リブ52の長手方向中央部からパーツ収容部51の内側に突出形成された当てリブ54に圧接することにより、施錠パーツ61が挿通孔53側に付勢されている。
【0050】
尚、付勢部64によって施錠パーツ61は、扉部材4が開状態にある場合においても、係止突部62が挿通孔53から扉部材4の側方に突出した状態とされる。但し、係止突部62の内側面(扉部材4の閉状態において縦壁部21の外側面と対向する面)は傾斜面となっているため、扉部材4を閉鎖する際に作業者が操作用開口部63に指をかけて施錠パーツ61を操作しなくても、枠リブ42の縦辺部42cの側方に突出した係止突部62の傾斜面が開口リブ26の外縁部に案内されて施錠パーツ61が扉部材4の内側に引っ込み、そのまま扉部材4を閉状態とすることができる。
【0051】
また、施錠パーツ61の上面及び下面には、箱型容器1の内周側の縁部に沿って上方又は下方に突出するガイドリブ66が設けられており、当該ガイドリブ66を枠リブ42の上辺部42b及び横リブ52からパーツ収容部51の内側に突出形成されたガイド突起55のベース部41側に入れ込むことで、施錠パーツ61のスライドを可能にしつつ、施錠パーツ61の脱落が防止される。また、ガイドリブ66の長手方向中間位置から外方に突出するストッパ67が設けられ、当該ストッパ67により扉部材4を開放するべく施錠パーツ61を開動作させる際の施錠パーツ61の変位量が制限され、施錠パーツ61が変位し過ぎることに起因して弾性片65等が破壊されることを防止することができる。
【0052】
加えて、図1等に示すように、枠リブ42の先端縁(外縁)は段差なく面一となっている。また、図6(a)等に示すように、第1板状部44に対応する部位の扉部材4の厚み(箱型容器1の外周方向における第1板状部44の内側面と枠リブ42の外縁との間の距離)は、開口壁部14の厚み(縦壁部21の内側面と上部フランジ22や補強リブ24の先端縁との間の距離)よりも小さくなっている。さらに、施錠パーツ61についても枠リブ42や横リブ52の先端縁よりも箱型容器1の外周側に突出しないようになっている。すなわち、上記のように、開口フランジ28の先端縁が開口壁部14の下部フランジ23の先端縁よりも箱型容器1の内周側に位置していることから、扉部材4の閉状態においては、扉部材4の全体が開口壁部14の外縁部(開口壁部14の下部フランジ23や補強リブ24の先端縁)よりも箱型容器1の内周側に位置することとなる(図1、図4等参照)。
【0053】
以上詳述したように、本実施形態によれば、一方の長辺側壁部12の両側部を残すようにして開口部3が形成されている。このため、本体部2の外周壁を構成する長辺側壁部12及び短辺側壁部13が全体として上面視略C字状に延在することとなり、開口部3を形成することに起因する本体部2の強度低下を抑制することができる。また、本体部2自体の損壊や歪み変形が抑止されるだけでなく、閉状態にある扉部材4についても両側方に位置する開口壁部14によって確実に支持されたり保護されたりすることとなり、扉部材4を含めた箱型容器1全体の損壊や歪み変形についても抑止することができる。従って、箱型容器1の耐久性の向上を図ることができる上、運搬時や応力が付加された際の箱型容器1のがたつき等を抑制することができ、箱型容器1のがたつきによって、箱型容器1に収容された物品に悪影響を与えてしまう(形状が崩れてしまう等)といった事態を抑制することができる。結果として、形状の崩れ易い物品を収容した場合であっても、当該物品を好適に運搬・保管することができる。
【0054】
また、本実施形態では、扉部材4を開閉可能に設けるためのヒンジ部が、可撓性を有する薄膜状の連結部43によって構成され、本体部2、扉部材4、及び連結部43が一体的に形成されている。このため、例えば、ヒンジ部を、扉部材に設けられた係合部と、本体部に設けられた被係合部とによって構成する場合に比べ、構成の簡素化、金型成形の簡略化等を図ることができる。さらに、扉部材を本体部に組付ける作業を省略することができ、生産性の向上等を図ることができる。加えて、ヒンジ部の構成が簡素であるため、箱型容器1を洗浄した場合にヒンジ部(連結部43)において埃等が残存してしまうといった事態を防止することができ、より衛生的に箱型容器1を使用することができる。
【0055】
さらに、本実施形態では、開口部3の下縁を区画し、連結部43を介して扉部材4と連結される開口フランジ28は、底壁部11よりも若干上方に位置しているだけであり、開口フランジ28の上面と底壁部11の上面との間に高さ位置の差はほとんどない。従って、開口部3を介して箱型容器1に物品を出し入れする際に、比較的大きな段差を乗り越えさせるようにして物品を移動させなければいけないといった事態を回避することができる。その上、本実施形態では、開口フランジ28の上面と底壁部11の上面との境界部において傾斜部36が形成されている。このため、開口部3を介して物品を底壁部11及び開口フランジ28の上面を滑らすようにしてスムースに出し入れすることもできる。
【0056】
加えて、開口フランジ28の下面が本体部2の下縁部よりも上方に位置しているため、箱型容器1をより安定して段積みすることができるとともに、開口フランジ28を箱型容器1の接地面から上方に離間させることができ、開口部3周り、ひいては開口部3を介して出し入れされる物品の衛生面を向上させることができる。結果として、厳格な衛生管理が求められる物品(食品等)を収容した場合であっても、当該物品を好適に運搬・保管することができる。
【0057】
また、連結部43は、閉状態における扉部材4の下面の外縁部と、開口フランジ28の外縁部とを連結しているため、扉部材4を閉状態とした場合において、扉部材4の収まりが良くなり(扉部材4を開口フランジ28の直上方に位置させ、扉部材4が開口フランジ28よりも外側に突出しないように構成し)、スペース効率の向上を図ることができる。さらには、扉部材4を180度回動させるようにして開放させることができ、例えば、箱型容器1を台に載せて(或いは、下側の箱型容器1の上方に段積みした状態で)扉部材4を開放させて物品を出し入れする際に、作業者が箱型容器1により近い位置で作業を行うことができるとともに、例えば、作業者が120度程度しか開かない扉部材4に接触して本体部2がひっくり返ってしまうといった事態を防止することができる。また、扉部材4が180度開くことによって、開口フランジ28の上面と、連結部43の内側面(開状態においては上方に露出している)と、扉部材4の下面(開状態においては上方に位置している)との間に比較的大きな段差が形成されるといった事態を抑制することができ、箱型容器1に対する開口部3からの物品の出し入れ作業をより行い易くすることができる。
【0058】
さらに、扉部材4の第2板状部45の下部には切欠き部46が形成されており、開口フランジ28の両側方には、扉部材4の閉状態において、切欠き部46における扉部材4の下面と当接して支持可能な載置突部33が設けられている。従って、閉状態にある扉部材4に対して下向きの力が加えられた場合に、板状の開口フランジ28や連結部43に対して比較的大きな応力が作用して破損してしまうといった事態を防止することができる。
【0059】
また、開口壁部14においては、扉部材4の内倒れを防止する帯板部27の上縁部の開口部3側の端縁にまで上部フランジ22が延設されている。このように、上部フランジ22が延設されることによって帯板部27の強度を高めることができる。さらに、閉状態にある扉部材4は、その両側部が上部フランジ22の下方に収まるようになっており、扉部材4の両側部を上部フランジ22によって保護することができるとともに、扉部材4に対して上向きに力が加えられた場合に扉部材4を上部フランジ22によって支持する(上方への変位を規制する)こともでき、扉部材4が持ち上げられることで、連結部43が上下に引っ張られ、連結部43に対して比較的大きな負荷がかかってしまうといった事態を抑止することができる。
【0060】
さらに、扉部材4の上面は面一であり、扉部材4の閉状態において、扉部材4の上面全体が、開口壁部14の上部フランジ22よりも下方に位置している。このため、扉部材4の上面に対して下方に向かう力が加えられてしまうといった事態を抑制することができる。特に、箱型容器1を段積みした場合には、上側の箱型容器1が下側の箱型容器1の扉部材4に接触することを回避することができる。従って、扉部材4及び連結部43の損傷を防止することができる。また、箱型容器1を段積みした状態においても、下側の箱型容器1の扉部材4を開放し、収容された物品を確認したり、取り出したりすることも可能となる。
【0061】
尚、本実施形態では、扉部材4が閉状態とされた場合に、扉部材4に形成された係合孔47に対して開口壁部14に形成された係合凸部34が挿通され、これによって、本体部2に対する扉部材4のベース部41の面方向における相対変位を防止することができる。従って、扉部材4の上面を上部フランジ22で支持する構成、及び、扉部材4の切欠き部46における下面を載置突部33で支持する構成とともに、連結部43等の保護をより確実に図ることができる。
【0062】
また、開口フランジ28の上面には位置決め突起37が設けられ、扉部材4の閉状態においては、扉部材4の下面に形成された位置決め凹部49が位置決め突起37に係合されることとなる。当該構成により、施錠パーツ61とともに、閉状態にある扉部材4の外方への変位を規制することができ、閉状態にある扉部材4がそのまま平行移動するようにして外側に変位することに起因して連結部43に負荷がかかってしまうといった事態を防止することができる。さらに、扉部材4を閉鎖する際に、位置決め凹部49が位置決め突起37に案内されるため、扉部材4が左右に位置ずれすることを防止できる上、扉部材4を閉状態とした後も、左右方向における扉部材4の位置ずれを防止することができる。従って、連結部43への負荷を低減させることができる。
【0063】
さらに、本実施形態では、扉部材4が閉状態にある場合、扉部材4及び連結部43が、開口壁部14の外縁よりも箱型容器1の内周側に位置している。このため、扉部材4や連結部43が箱型容器1の外縁(上下のフランジ22、23や補強リブ24の外縁部)よりも外側に突出している場合のように、扉部材4及び連結部43が擦れたり、押圧されたりする等して、扉部材4や連結部43等が損傷し易くなってしまうといった事態を防止することができる。
【0064】
尚、箱型容器1は、扉部材4の開状態となるように金型装置によって一体的に成形されることとなるが、連結部43を開口壁部14の開口フランジ28や補強リブ24の外縁部よりも内側に設ける場合、扉部材4を開状態としても、連結部43に連結される扉部材4の下面の両側部の近傍において各部材が密集するため、かかる部位を成形することが非常に困難なものとなるおそれがある。つまり、当該部位を成形するための金型部材を薄肉にする必要が生じ、当該金型部材の強度が成形に堪えられなくなってしまうおそれがある。これに対し、本実施形態のように、扉部材4の下面の両側部において、切欠き部46を形成することによって、扉部材4を開状態とすれば、扉部材4下面の両側部と本体部2との間に隙間を形成できるため、確実かつ比較的容易に箱型容器1を成形することができる。さらに、扉部材4を閉状態としたときに、切欠き部46が載置される載置突部33が設けられているため、切欠き部46を形成したことによって、扉部材4を閉状態とした場合においても扉部材4と本体部2(開口周縁部)との間に隙間が形成され、該隙間を介して埃等が侵入してしまうといった事態を抑止することができる。
【0065】
また、開口壁部14に形成された補強リブ24は、その他の側壁部12、13に形成された補強リブ24よりも厚肉となっている。このため、開口部3の両側方に位置する開口壁部14の強度を高めることができ、本体部2の形状維持、ひいては、開口周縁部の形状維持を図ることができる。従って、本体部2が歪むなどして扉部材4によって開口部3を好適に閉鎖できなくなってしまうといった事態を防止することができる。
【0066】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0067】
(a)上記実施形態では、一対の長辺側壁部12のうち一方に対応して開口部3が形成されているが、開口部3が形成される側壁部12、13は特に限定されるものではなく、例えば、短辺側壁部13に形成されることとしてもよいし、一対の長辺側壁部12の両方にそれぞれ開口部3が形成されることとしてもよい。但し、扉部材4の両側方には、底壁部11から一体的に延出する固定の側壁部が必ず存在するように(例えば、長辺側壁部12及び短辺側壁部13に開口部3が形成される場合には、底壁部11の長辺部と短辺部とコーナー部において断面略L字状の固定の側壁部が延出形成されるように)構成することとする。
【0068】
また、上記実施形態では、開口フランジ28の上面が底壁部11の上面よりも若干上方に位置しているが、底壁部11の上面と開口フランジ28の上面とを面一としてもよい。さらに、開口フランジ28の強度を高めるべく、開口フランジ28の両側部を載置突部33と連結したり、開口フランジ28の下面側に補強用のリブを設けたりしてもよい。
【0069】
(b)上記実施形態では、開口フランジ28の上面に位置決め突起37が設けられ、扉部材4の下辺部42aには閉状態において位置決め突起37に係合する位置決め凹部49が形成されているが、当該構成を省略することとしてもよい。但し、上記実施形態では、施錠パーツ61が扉部材4の上部に設けられており、また、本体部2側の開口リブ26(係止孔31周縁部)に係止される係止突部62も左右に1つずつ設けられているだけなので、閉状態にある扉部材4の下部が扉部材4の内側から外側に押圧された場合に扉部材4下部の外側への変位を規制できるような構成とすることが望ましい。例えば、上記実施形態において、左右一対の施錠パーツ61の係止突部62をそれぞれ上下に複数(例えば2つずつ)設けたり、係止突部62の上下幅を大きくしたりして、閉状態にある扉部材4の回動が確実に規制されるように構成することとしてもよい。尚、当該構成を採用し、位置決め突起37等を省略する場合、閉状態における扉部材4の外側への変位を防止することができるとともに、扉部材4を180度開いた状態において、開口部3の下縁部から外側に延出する開口フランジ28、連結部43、及び扉部材4からなる面を略平滑面とすることができる。但し、位置決め突起37及び位置決め凹部49は、扉部材4を閉鎖している途中や扉部材4を閉状態とした後の左右方向における位置ずれの防止効果もあるため、構成の複雑化を抑制しつつ、連結部43の保護を図るといった観点からすると、位置決め突起37及び位置決め凹部49を設けることが望ましい。
【0070】
(c)上記実施形態では、短辺側壁部13に対応して持ち手を構成する折り返しフランジ39が設けられる一方で、扉部材4及び扉部材4に対向する長辺側壁部12には、特に持ち手は設けられていない構成となっているが、扉部材4や長辺側壁部12にも持ち手を設けることとしてもよい。但し、上記実施形態のように、持ち手が、底壁部11から一体的に延出し、底壁部11に対して相対的な変位が行われない短辺側壁部13に設けられることによって、折り畳み式の箱型容器のように底壁部に対して回動変位可能な側壁部に持ち手が設けられる場合に比べ、運搬等に際しての箱型容器1のがたつき等を抑制することができる。さらに、上記実施形態では、あえて扉部材4に持ち手を形成していないため、運搬等に際して扉部材4を持たれてしまうといった事態を抑制することができる。従って、箱型容器1を持ったときの箱型容器1のがたつき等を抑制することができる上、扉部材4の閉状態を維持するための部位(係合凸部34や係合孔47等の扉部材4と本体部2とが当接する部位)や連結部43の損傷等を抑制することができる。
【0071】
(d)上記実施形態において、扉部材4の下面(下辺部42a)に対して可撓性を有する薄膜状のシールリップを設け、扉部材4の閉状態において、シールリップが下部フランジ23の上面に接触するよう構成してもよい。当該構成を採用する場合、下部フランジ23の破損をより確実に防止するべく、扉部材4の閉状態において、切欠き部46における扉部材4の下面と載置突部33とが上下に当接しても、扉部材4と下部フランジ23とが当接しないように構成する(隙間を設定する)場合であっても、扉部材4の下面と下部フランジ23との間がシールリップによりシールされることとなり、扉部材4の下面と下部フランジ23との間から箱型容器1の内部に埃等が侵入してしまうといった事態をより確実に防止することができる。
【0072】
(e)上記実施形態では、箱型容器1はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…箱型容器、2…本体部、3…開口部、4…扉部材、11…底壁部、12…長辺側壁部、13…短辺側壁部、14…開口壁部、21…縦壁部、22…上部フランジ、23…下部フランジ、24…補強リブ、26…開口リブ、27…帯板部、28…開口フランジ、33…載置突部、43…連結部、46…切欠き部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形板状の底壁部と、
前記底壁部の各側辺部から上方に向けて一体的に延出する側壁部とを具備し、
少なくとも1つの側壁部において、当該側壁部の両側部を残すようにして、当該側壁部の厚み方向に貫通する開口部が形成されているとともに、当該開口部を開閉可能な扉部材が設けられ、
前記扉部材は、前記開口部を区画する開口周縁部の下縁部に対し、可撓性を有する薄膜状の連結部を介して回動可能に連結されるとともに、前記開口部を閉鎖した閉状態から外側に開放可能に構成され、
前記底壁部、前記側壁部、前記連結部、及び前記扉部材は型成形により一体形成されていることを特徴とする箱型容器。
【請求項2】
前記開口部を区画する開口周縁部の下縁部は、前記底壁部の外周縁から、当該底壁部の上面と連続又はほぼ連続して底壁部の外周側に延出形成された略板状の下部フランジによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の箱型容器。
【請求項3】
前記扉部材には、前記連結部に連結された辺部の両端部において切欠き部が形成され、
前記下部フランジの両側方には、前記扉部材の閉状態において、前記切欠き部における前記扉部材の下面と当接して支持可能な載置突部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の箱型容器。
【請求項4】
前記各側壁部は、前記底壁部の側辺部から上方に延出する縦壁部と、前記縦壁部の上縁部から外側に延出する上部フランジと、前記縦壁部の下縁部に沿って前記縦壁部から外側に延出する下部フランジと、前記上下のフランジ間を連結する補強リブとを備え、
前記開口部が形成された側壁部に関し、前記開口部を挟んで相対するようにして少なくとも一対の前記補強リブが設けられるとともに、前記縦壁部は当該補強リブよりも前記開口部側にまで延設され、前記上部フランジは前記縦壁部の上縁部の前記開口部側の端縁にまで延設され、
閉状態にある前記扉部材は、両側部における内側面が前記縦壁部の外側面と当接又は近接するとともに、両側部における上辺部の上方が前記上部フランジによって覆われていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の箱型容器。
【請求項5】
前記扉部材の閉状態において、前記連結部は、前記側壁部の外縁部よりも内側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の箱型容器。
【請求項6】
閉状態にある前記扉部材は、その全体が、前記側壁部の外縁部よりも内側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の箱型容器。
【請求項7】
閉状態にある前記扉部材の上辺部は、前記側壁部の上辺部よりも下方に位置することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の箱型容器。
【請求項8】
前記各側壁部は、前記底壁部の側辺部から上方に延出する縦壁部と、前記縦壁部の上縁部から外側に延出する上部フランジと、前記縦壁部の下縁部から外側に延出する下部フランジと、前記上下のフランジ間を連結する補強リブとを備え、
前記開口部の両側方に位置する前記側壁部に形成された前記補強リブのうち、少なくとも前記開口部を挟んで対向する一対の補強リブは、その他の前記側壁部に形成された前記補強リブよりも厚肉に構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の箱型容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−20744(P2012−20744A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157940(P2010−157940)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(591006944)三甲株式会社 (380)
【Fターム(参考)】