説明

節足動物忌避剤

【課題】節足動物に対して優れた忌避効力を有する組成物を提供すること。
【解決手段】式(1)で示されるエステル化合物〔式中、RはC1−C4アルキル基を表し、nは1〜3の整数を表す。〕を有効成分として含有する節足動物の忌避組成物;式(1)で示されるエステル化合物を用いる節足動物(主として、双翅目害虫、網翅目害虫または膜翅目害虫)の忌避方法;および、式(1)で示されるエステル化合物を特定場所に処理することにより、当該特定場所に節足動物が接近または侵入することを抑制する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は下記式(1)で示されるエステル化合物を有効成分とする節足動物の忌避組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、吸血性の蚊、ハエ、ダニ等の吸血からヒト及び動物の身を守ったり、ムカデ、ワラジムシ等の不快節足動物、ゴキブリ等の衛生害虫の家屋内への侵入防止することを目的として、特定の化合物を有効成分とする忌避剤が用いられている。具体的には、蚊に対して忌避活性を有する化合物としては、N,N−ジエチル−3−トルアミドが、ゴキブリに対して忌避活性を有する化合物としては、2−(オクチルチオ)エタノールが知られている。しかしながら、これらの忌避活性を有する化合物は、対象とする害虫の種類等によっては、効力の点において充分な性能を有するものではない。
また、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートが害虫防除効力を有することが知られている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−2363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は節足動物に対する優れた忌避効力を有する組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、節足動物に対する優れた忌避効力を有する組成物を見出すべく検討の結果、下記式(1)

〔式中、RはC1−C4アルキル基を表し、nは1〜3の整数を表す。〕
で示されるエステル化合物(以下、本エステル化合物と記す。)を有効成分として含有する組成物が優れた忌避効力を有することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕式(1)

〔式中、RはC1−C4アルキル基を表し、nは1〜3の整数を表す。〕
で示されるエステル化合物を有効成分として含有する節足動物の忌避組成物。
〔2〕式(1)で示されるエステル化合物が、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートである〔1〕記載の忌避組成物。
〔3〕式(1)で示されるエステル化合物が、2,3,6−トリフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートである〔1〕記載の忌避組成物。
〔4〕式(1)で示されるエステル化合物が、2,3,5−トリフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート〔1〕記載の忌避組成物。

〔5〕式(1)で示されるエステル化合物が、2,5−ジフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートである〔1〕記載の忌避組成物。
〔6〕式(1)で示されるエステル化合物が、3,5−ジフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートである〔1〕記載の忌避組成物。
〔7〕式(1)で示されるエステル化合物が、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−ブテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートである〔1〕記載の忌避組成物。
〔8〕式(1)で示されるエステル化合物が、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−ペンテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートである〔1〕記載の忌避組成物。
〔9〕式(1)で示されるエステル化合物が、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−ヘキセニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートである〔1〕記載の忌避組成物。
〔10〕エステル化合物を0.001〜95重量%含有する〔1〕〜〔9〕いずれかに記載の忌避組成物。
〔11〕〔1〕〜〔9〕いずれかに記載のエステル化合物を用いる、節足動物の忌避方法。
〔12〕節足動物が双翅目害虫、網翅目害虫または膜翅目害虫である〔11〕記載の忌避方法。
〔13〕〔1〕〜〔9〕いずれかに記載のエステル化合物を特定場所に処理することにより、当該特定場所に節足動物が接近または侵入することを抑制する方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明の忌避組成物を用いることにより、節足動物を忌避することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
C1−C4アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基及びn−ブチル基が挙げられる。
【0008】
本エステル化合物には、シクロプロパン環上に存在する2つの不斉炭素原子及び側鎖の二重結合に由来する異性体が存在するが、本発明では活性な異性体を任意の比率で含有するものを使用することができる。
【0009】
本エステル化合物としては、例えば以下のものが挙げられる。
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−((Z)−2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル〔Z/E=9/1〕)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル〔Z/E=5/1〕)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,3,6−トリフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,3,6−トリフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−((Z)−2−2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,3,6−トリフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル〔Z/E=9/1〕)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,3,6−トリフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル〔Z/E=5/1〕)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,3,5−トリフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,3,5−トリフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−((Z)−2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,3,5−トリフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル〔Z/E=9/1〕)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,3,5−トリフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル〔Z/E=5/1〕)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,5−ジフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,5−ジフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−((Z)−2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,5−ジフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル〔Z/E=9/1〕)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,5−ジフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル〔Z/E=5/1〕)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
3,5−ジフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
3,5−ジフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−((Z)−2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
3,5−ジフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル〔Z/E=9/1〕)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
3,5−ジフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル〔Z/E=5/1〕)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−ブテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−((Z)−2−シアノ−1−ブテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−ブテニル〔Z/E=9/1〕)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−ブテニル〔Z/E=5/1〕)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−ペンテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−((Z)−2−シアノ−1−ペンテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−ペンテニル〔Z/E=9/1〕)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−ペンテニル〔Z/E=5/1〕)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−ヘキセニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−((Z)−2−シアノ−1−ヘキセニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−ヘキセニル〔Z/E=9/1〕)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−ヘキセニル〔Z/E=5/1〕)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート。
【0010】
本エステル化合物は、例えば特開平2004−2363号公報等に記載の方法により製造することができる。具体的には本エステル化合物は、例えば式(3)

〔式中、nは前記と同じ意味を表す。〕
で示されるアルデヒド化合物と、式(4)

〔式中、Rは前記と同じ意味を表す。〕
で示されるリン酸エステル化合物とを反応させることにより、製造することができる。
該反応は通常、塩基の存在下に溶媒中にて行われる。用いることのできる塩基としては、ナトリウムメトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、リチウムビスイソプロピルアミド等のアルカリ金属アミドが挙げられる。用いることのできる溶媒としてはトルエン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤が挙げられる。
該反応で用いられる試剤の量は、式(3)で示されるアルデヒド化合物1モルに対して、式(4)で示されるリン酸エステル化合物が通常0.8〜1.5モルの割合であり、塩基が通常0.8〜1.5モルの割合である。
該反応の反応温度は通常−80〜80℃の範囲で、反応時間は0.5〜72時間の範囲である。反応終了後は反応混合物を水に注加し、有機溶媒抽出して、得られた有機層を濃縮する等の後処理操作に付すことにより、本エステル化合物を単離することができる。単離した本エステル化合物はクロマトグラフィー等で精製することも可能である。
【0011】
また本エステル化合物は、式(5)

〔式中、nは前記と同じ意味を表す。〕
で示されるアルコール化合物と、式(6)

〔式中、Rは前記と同じ意味を表す。〕
で示されるカルボン酸化合物とを、脱水剤(例えばジシクロヘキシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール等)の存在下に反応させることによっても製造することができる。
【0012】
本発明の忌避組成物が忌避効力を有する節足動物としては、例えば昆虫、ダニ類等が挙げられ、具体的には以下のものが挙げられる。
【0013】
鱗翅目害虫:ニカメイガ、コブノメイガ、ノシメマダラメイガ、スジコナマダラメイガ等のメイガ類、ハスモンヨトウ、アワヨトウ、ヨトウガ等のヨトウ類、モンシロチョウ等のシロチョウ類、コカクモンハマキ等のハマキガ類、シンクイガ類、ハモグリガ類、ドクガ類、ウワバ類、カブラヤガ、タマナヤガ等のアグロティス属害虫(Agrotisspp.)、ヘリコベルパ属害虫(Helicoverpa spp.)ヘリオティス属害虫(Heliothis spp.)、コナガ、イチモンジセセリ、イガ、コイガ等;
双翅目害虫:アカイエカ、コガタアカイエカ等のイエカ類、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等のヤブカ類、シナハマダラカ等のハマダラカ類、ユスリカ類、イエバエ、オオイエバエ、ヒメイエバエ等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、タネバエ、タマネギバエ等のハナバエ類、ミバエ類、ハモグリバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、ノミバエ類、アブ類、ブユ類、サシバエ類、ヌカカ類等;
網翅目害虫:チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ、コバネゴキブリ等;
膜翅目害虫:クロオオアリ、トビイロシワアリ、トビイロケアリ、オオハリアリ、ヒメアリ、クロクサアリ、イエヒメアリ、クロヤマアリ、ルリアリ、アミメアリ、オオズアリ、アルゼンチンアリ等のアリ類、フタモンアシナガバチ、トガリフタモンアシナガバチ、セグロアシナガバチ、キアシナガバチ、キボシアシナガバチ、コアシナガバチ、ヤマトアシナガバチ等のアシナガバチ類、オオスズメバチ、キイロスズメバチ、コガタスズメバチ、モンスズメバチ、ヒメスズメバチ、クロスズメバチ、シダクロスズメバチ、キオビホオナガスズメバチ等のスズメバチ類、アリガタバチ類、ニホンカブラバチ等のハバチ類等;
隠翅目害虫:イヌノミ、ネコノミ、ヒトノミ等;
シラミ目害虫:ヒトジラミ、ケジラミ、アタマジラミ、コロモジラミ等;
チャタテムシ目害虫:チャタテムシ類
等翅目害虫:ヤマトシロアリ、イエシロアリ、イースタンサブテラニアンターマイト、ウエスタンサブテラニアンターマイト、ダークサザンサブテラニアンターマイト、アリッドランドサブテラニアンターマイト、デザートサブテラニアンターマイト(等のサブテラニアンターマイト類、アメリカカンザイシロアリ等のドライウッドターマイト類、ネバダダンプウッドターマイト等のダンプウッドターマイト類等;
半翅目害虫:ヒメトビウンカ、トビイロウンカ、セジロウンカ等のウンカ類、ツマグロヨコバイ、タイワンツマグロヨコバイ等のヨコバイ類、アブラムシ類、アオクサカメムシ、ホソヘリカメムシ、オオトゲシラホシカメムシ、トゲシラホシカメムシ、チャバネアオカメムシ、クサギカメムシ、アカスジカスミカメ、アカヒゲホソミドリカスミカメ等のカメムシ類、コナジラミ類、カイガラムシ類、トコジラミ等のトコジラミ類、グンバイムシ類、キジラミ類等
鞘翅目害虫:ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、ウエスタンコーンルートワーム、サザンコーンルートワーム等のコーンルートワーム類、ドウガネブイブイ、ヒメコガネ等のコガネムシ類、コクゾウムシ、イネミズゾウムシ、ワタミゾウムシ、アズキゾウムシ等のゾウムシ類、チャイロコメノゴミムシダマシ、コクヌストモドキ等のゴミムシダマシ類、イネドロオイムシ、キスジノミハムシ、ウリハムシ等のハムシ類、シバンムシ類、ニジュウヤホシテントウ等のエピラクナ属(Epilachna spp.)、ヒラタキクイムシ類、ナガシンクイムシ類、ヒョウホンムシ類、カミキリムシ類、アオバアリガタハネカクシ等
総翅目害虫:ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ハナアザミウマ等
直翅目害虫:ケラ類、バッタ類、コオロギ類等;
ダニ類:コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ等のヒョウヒダニ類、ケナガコナダニ、ムギコナダニ等のコナダニ類、チリニクダニ、イエニクダニ、サナアシニクダニ等のニクダニ類、クワガタツメダニ、フトツメダニ等のツメダニ類、ホコリダニ類、マルニクダニ類、イエササラダニ類、ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ等のハダニ類、タカラダニ類、フタトゲチマダニ等のマダニ類、トリサシダニ、ワクモ等のワクモ類;
ゲジ類、トビズムカデ等のムカデ類; ヤケヤスデ、アカヤスデ等のヤスデ類;オカダンゴムシ等のダンゴムシ類、ワラジムシ類;チャコウラナメクジ、キイロコウラナメクジ等の腹足綱類;ジョロウグモ、カバキコマチグモ、セアカゴケグモ等のクモ類。
【0014】
本発明の忌避組成物は、特に双翅目害虫、網翅目害虫および膜翅目害虫に対して、優れた忌避効力を有する。
【0015】
本発明の忌避組成物は、本エステル化合物をそのまま用いてもよいが、通常は下記のような製剤として使用する。例えば油剤、乳剤、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤(水中懸濁剤、水中乳濁剤等)、マイクロカプセル剤、ゲル剤、粉剤、粒剤、錠剤、コーティング製剤、エアゾール剤、炭酸ガス製剤、加熱蒸散剤(殺虫線香、電気殺虫マット、吸液芯型加熱蒸散殺虫剤等)、ピエゾ式殺虫製剤、加熱燻煙剤(自己燃焼型燻煙剤、化学反応型燻煙剤、多孔セラミック板燻煙剤等)、非加熱蒸散剤(樹脂蒸散剤、紙蒸散剤、不織布蒸散剤、編織物蒸散剤、昇華性錠剤等)、及び、煙霧剤(フォッキング等)が挙げられる。
【0016】
製剤化の方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。
(1)本エステル化合物を、固体担体、液体担体、ガス状担体、餌等と混合し、必要であれば界面活性剤その他の製剤用補助剤を添加・加工する方法。
(2)本エステル化合物を、有効成分を含有していない基材に含浸する方法。
(3)本エステル化合物及び基材を混合した後に成形加工する方法。
これらの製剤には、本エステル化合物を通常、0.001〜95重量%含有する。
【0017】
製剤化の際に用いられる固体担体としては、例えば粘土類(カオリンクレー、珪藻土、ベントナイト、フバサミクレー、酸性白土等)、合成含水酸化珪素、タルク、セラミック、その他の無機鉱物(セリサイト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ等)、化学肥料(硫安、燐安、硝安、塩安、尿素等)等の微粉末及び粒状物、常温で固体の物質(2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサン、ナフタリン、p−ジクロロベンゼン、樟脳、アダマンタン等)、並びに羊毛、絹、綿、麻、パルプ、合成樹脂(例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン−ビニルエステル共重合体;エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体等のエチレン−メタクリル酸エステル共重合体;エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のエチレン−アクリル酸エステル共重合体;エチレン−アクリル酸共重合体等のエチレン−ビニルカルボン酸共重合体;エチレン−テトラシクロドデセン共重合体;プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂;ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1、ポリブタジエン、ポリスチレン;アクリロニトリル−スチレン樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、スチレン−共役ジエンブロック共重合体、スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素添加物等のスチレン系エラストマー;フッ素樹脂;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレエート、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアクリルサルフォン、ポリアクリレート、ヒドロキシ安息香酸ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリエステルカーボネート、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、発泡ポリウレタン、発泡ポリプロピレン、発泡エチレン等の多孔質樹脂)、ガラス、金属、セラミック等の1種または2種以上からなるフェルト、繊維、布、編物、シート、紙、糸、発泡体、多孔質体及びマルチフィラメントが挙げられる。
【0018】
液体担体としては、例えば芳香族または脂肪族炭化水素類(キシレン、トルエン、アルキルナフタレン、フェニルキシリルエタン、ケロシン、軽油、ヘキサン、シクロヘキサン等)、ハロゲン化炭化水素類(クロロベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール等)、エーテル類(ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、植物油(大豆油、綿実油等)、植物精油(オレンジ油、ヒソップ油、レモン油等)、及び水が挙げられる。
【0019】
ガス状担体としては、例えばブタンガス、フロンガス、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、及び炭酸ガスが挙げられる。
【0020】
界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類、アルキルアリールエーテル類のポリオキシエチレン化物、ポリエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類及び糖アルコール誘導体が挙げられる。
【0021】
その他の製剤用補助剤としては、固着剤、分散剤及び安定剤等、具体的には例えばカゼイン、ゼラチン、多糖類(でんぷん、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等)、リグニン誘導体、ベントナイト、糖類、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸等)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、及びBHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノールと3−tert−ブチル−4−メトキシフェノールとの混合物)が挙げられる。
【0022】
殺虫線香の基材としては、例えば木粉、粕粉等の植物性粉末とタブ粉、スターチ、グルティン等の結合剤との混合物が挙げられる。
殺虫電気マットの基材としては、例えばコットンリンターを板状に固めたもの、及びコットンリンターとパルプとの混合物のフィリブルを板状に固めたものが挙げられる。
自己燃焼型燻煙剤の基材としては、例えば、硝酸塩、亜硝酸塩、グアニジン塩、塩素酸カリウム、ニトロセルロース、エチルセルロース、木粉等の燃焼発熱剤、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、重クロム酸塩、クロム酸塩等の熱分解刺激剤、硝酸カリウム等の酸素供給剤、メラミン、小麦デンプン等の支燃剤、珪藻土等の増量剤及び合成糊料等の結合剤が挙げられる。
【0023】
化学反応型燻煙剤の基材としては、例えば、アルカリ金属の硫化物、多硫化物、水硫化物、酸化カルシウム等の発熱剤、炭素質物質、炭化鉄、活性白土等の触媒剤、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロペンタメチレンテトラミン、ポリスチレン、ポリウレタン等の有機発泡剤、及び、天然繊維片、合成繊維片等の充填剤が挙げられる。
【0024】
樹脂蒸散剤等の基材に用いられる樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン−ビニルエステル共重合体;エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体等のエチレン−メタクリル酸エステル共重合体;エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のエチレン−アクリル酸エステル共重合体;エチレン−アクリル酸共重合体等のエチレン−ビニルカルボン酸共重合体;エチレン−テトラシクロドデセン共重合体;プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂;ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1、ポリブタジエン、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、スチレン−共役ジエン共重合体、スチレン−共役ジエンブロック共重合体水素添加物等のスチレン系エラストマー;フッ素樹脂;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル酸樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアクリルサルフォン、ポリアリレート、ヒドロキシ安息香酸ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリエステルカーボネート、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタンが挙げられ、これらの基材は、単独で用いても2種以上の混合物として用いても良く、これらの基材には必要によりフタル酸エステル類(フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチル等)、アジピン酸エステル類、ステアリン酸等の可塑剤が添加されていてもよい。樹脂蒸散剤は、本エステル化合物を上記基材中に混練した後、射出成型、押出成型、プレス成型等により成型することにより得ることができる。得られた樹脂製剤は、必要により更に成型、裁断等の工程を経て、板状、フィルム状、テープ状、網状、ひも状等の形状に加工することもできる。これらの樹脂製剤は、例えば動物用首輪、動物用イヤータッグ、シート製剤、誘引ひも、園芸用支柱として加工される。
【0025】
本発明の忌避組成物は、本エステル化合物の他に、他の忌避剤、害虫防除剤等を混用または併用してもよい。
混用または併用することのできる他の忌避剤の有効成分としては、例えば
N,N−ジエチル−m−トルアミド、リモネン、リナロール、シトロネラール、メントール、メントン、ヒノキチオール、ゲラニオール、ユーカリプトール、インドキサカルブ、カラン−3,4−ジオール、MGK−R−326、MGK−R−874及びBAY−KBR−3023が挙げられる。
【0026】
害虫防除剤の有効成分としては、例えば
(1)有機リン系化合物
アセフェート(acephate)、ブタチオホス(butathiofos)、クロルエトキシホス(chlorethoxyfos)、クロルフェンビンホス(ch1orfenvinphos)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、クロルピリホスメチル(chlorpyrifos−methyl)、シアノホス(cyanophos:CYAP)、ダイアジノン(diazinon)、ジクロフェンチオン(dichlofenthion:ECP)、ジクロルボス(dichlorvos:DDVP)、ジメトエート(dimethoate)、ジメチルビンホス(dimethylvinphos)、ジスルホトン(disulfoton)、EPN、エチオン(ethion)、エトプロホス(ethoprophos)、エトリムホス(etrimfos)、フェンチオン(fenthion:MPP)、フエニトロチオン(fenitrothion:MEP)、ホスチアゼート(fosthiazate)、ホルモチオン(formothion)、イソフェンホス(isofenphos)、イソキサチオン(isoxathion)、マラチオン(malathion)、メスルフェンホス(mesulfenfos)、メチダチオン(methidathion:DMTP)、モノクロトホス(monocrotophos)、ナレッド(naled:BRP)、オキシデプロホス(oxydeprofos:ESP)、パラチオン(parathion)、ホサロン(phosalone)、ホスメット(phosmet:PMP)、ピリミホスメチル(pirimiphos−methy1)、ピリダフェンチオン(pyridafenthion)、キナルホス(quinalphos)、フェントエート(phenthoate:PAP)、プロフェノホス(profenofos)、プロパホス(propaphos)、プロチオホス(prothiofos)、ピラクロホス(pyraclorfos)、サリチオン(salithion)、スルプロホス(sulprofos)、テブピリムホス(tebupirimfos)、テメホス(temephos)、テトラクロルビンホス(tetrach1orvinphos)、テルブホス(terbufos)、チオメトン(thiometon)、トリクロルホン(trichlorphon:DEP)、バミドチオン(vamidothion)、フォレート(phorate)、カズサホス(cadusafos)等;
(2)カーバメート系化合物
アラニカルブ(alanycarb)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、BPMC、カルバリル(carbary1)、カルボフラン(carbofuran)、カルボスルファン(carbosulfan)、クロエトカルブ(cloethocarb)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、フェノブカルブ(fenobucarb)、フェノチオカルブ(fenothiocarb)、フェノキシカルブ(fenoxycarb)、フラチオカルブ(furathiocarb)、イソプロカルブ(isoprocarb:MIPC)、メトルカルブ(metolcarb)、 メソミル(methomyl)、メチオカルブ(methiocarb)、オキサミル(oxamyl)、ピリミカーブ(pirimicarb)、プロポキスル(propoxur:PHC)、XMC、チオジカルブ(thiodicarb)、 キシリルカルブ(xylylcarb)、アルジカルブ(aldicarb)等;
(3)合成ピレスロイド系化合物
アクリナトリン(acrinathrin)、アレスリン(allethrin)、ベンフルスリン(benfluthrin)、ベータ−シフルトリン(beta−cyfluthrin)、ビフェントリン(bifenthrin)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、シフルトリン(cyfluthrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、エスフェンバレレート(esfenvalerate)、エトフェンプロックス(ethofenprox) 、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、フルシトリネート(flucythrinate)、フルフェンプロックス(flufenoprox)、フルメスリン(flumethrin)、フルバリネート(fluvalinate)、ハルフェンプロックス(halfenprox)、イミプロトリン(imiprothrin)、ペルメトリン(permethrin)、プラレトリン(prallethrin)、ピレトリン(pyrethrins)、レスメトリン(resmethrin)、シグマ−サイパーメスリン(sigma−cypermethrin)、シラフルオフェン(silafluofen)、テフルトリン(tefluthrin)、トラロメトリン(tralomethrin)、トランスフルトリン(transfluthrin)、テトラメトリン(tetramethrin)、フェノトリン(phenothrin)、シフェノトリン(cyphenothrin)、アルファシペルメトリン(alpha−cypermethrin)、ゼータシペルメトリン(zeta−cypermethrin)、ラムダシハロトリン(lambda−cyhalothrin)、ガンマシハロトリン(gamma−cyhalothrin)、フラメトリン(furamethrin)、タウフルバリネート(tau−fluvalinate)、メトフルトリン(metofluthrin)、プロフルトリン(profluthrin)、ジメフルトリン(dimefluthrin)、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (EZ)−(1RS,3RS;1RS,3SR)−2,2−ジメチル−3−プロプ−1−エニルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル (EZ)−(1RS,3RS;1RS,3SR)−2,2−ジメチル−3−プロプ−1−エニルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1RS,3RS;1RS,3SR)−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート、プロトリフェンビュート(protrifenbute)等;
(4)ネライストキシン系化合物
カルタップ(cartap)、ベンスルタップ(bensu1tap)、チオシクラム(thiocyclam)、モノスルタップ(monosultap)、ビスルタップ(bisultap)等;
(5)ネオニコチノイド系化合物
イミダクロプリド(imidacloprid)、ニテンピラム(nitenpyram)、アセタミプリド(acetamiprid)、チアメトキサム(thismethoxam)、チアクロプリド(thiacloprid)、ジノテフラン(dinotefuran)、クロチアニジン(clothianidin)等;
(6)ベンゾイル尿素系化合物
クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、ビストリフルロン(bistrifluron)、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、フルアズロン(fluazuron)、フルシクロクスロン(flucycloxuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、ルフェヌロン(lufenuron)、ノバルロン(novaluron)、ノビフルムロン(noviflumuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、トリフルムロン(triflumuron)等;
(7)フェニルピラゾール系化合物
アセトプロール(acetoprole)、エチプロール(ethiprole)、フィプロニル(fiproni1)、バニリプロール(vaniliprole)、ピリプロール(pyriprole)、ピラフルプロール(pyrafluprole)等;
(8)Btトキシン系殺虫剤
バチルス・チューリンゲンシス菌由来の生芽胞および産生結晶毒素、並びにそれらの混合物;
(9)ヒドラジン系化合物
クロマフェノジド(chromafenozide)、ハロフェノジド(halofenozide)、メトキシフェノジド(methoxyfenozide)、テブフェノジド(tebufenozide)等;
(10)有機塩素系化合物
アルドリン(aldrin)、ディルドリン(dieldrin)、クロルデン(chlordane)、DDT、ジエノクロル(dienochlor)、エンドスルファン(endosulfan)、メトキシクロル(methoxychlor)等;
(11)天然系殺虫剤
マシン油(machine oil)、硫酸ニコチン(nicotine−sulfate);
(12)その他の害虫防除剤
アベルメクチン(avermectin−B)、ブロモプロピレート(bromopropylate)、ブプロフェジン(buprofezin)、クロルフェナピル(chlorphenapyr)、シロマジン(cyromazine)、DCIP(dichlorodiisopropyl ether)、D−D(1, 3−Dichloropropene)、エマメクチンベンゾエート(emamectin−benzoate)、フェナザキン(fenazaquin)、フルピラゾホス(flupyrazofos)、ハイドロプレン(hydroprene)、メトプレン(methoprene)、インドキサカルブ(indoxacarb)、メトキサジアゾン(metoxadiazone)、ミルベマイシンA(milbemycin−A)、ピメトロジン(pymetrozine)、ピリダリル(pyridalyl)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、スピノサッド(spinosad)、スルフルラミド(sulfluramid)、トルフェンピラド(tolfenpyrad)、トリアザメート(triazamate)、フルベンジアミド(flubendiamide)、レピメクチン(lepimectin)、りん化アルミニウム(Aluminium phosphide)、亜ひ酸(Arsenous oxide)、ベンクロチアズ(benclothiaz)、石灰窒素(Calcium cyanamide)、石灰硫黄合剤(Calcium polysulfide)、DSP、フロニカミド(flonicamid)、フルリムフェン(flurimfen)、ホルメタネート(formetanate)、りん化水素(Hydrogen phosphide)、メタム・アンモニウム(metam−ammonium)、メタム・ナトリウム(metam−sodium)、臭化メチル(Methyl bromide)、オレイン酸カリウム(Potassium oleate)、スピロメシフェン(spiromesifen)、スルフォキサフロール(sulfoxaflor)、硫黄(Sulfur)、メタフルミゾン(metaflumizone)、スピロテトラマット(spirotetramat)、ピリフルキナゾン(pyrifluquinazone)、スピネトラム(spinetoram)、クロラントラニリプロール(chlorantraniliprole)、トラロピリル(tralopyril)、ジアフェンチウロン(diafenthiuron)、アセキノシル(acequinocyl)、アミトラズ(amitraz)、ベンゾキシメート(benzoximate)、ビフェナゼート(bifenaate)、キノメチオネート(chinomethionat)、クロルベンジレート(chlorobenzilate)、CPCBS(chlorfenson)、クロフェンテジン(clofentezine)、シフルメトフェン(cyflumetofen)、ケルセン(ジコホル:dicofol)、エトキサゾール(etoxazole)、酸化フェンブタスズ(fenbutatin oxide)、フェンピロキシメート(fenpyroximate)、フルアクリピリム(fluacrypyrim)、ヘキシチアゾクス(hexythiazox)、プロパルギット(propargite:BPPS)、ポリナクチン複合体(polynactins)、ピリダベン(pyridaben)、ピリミジフェン(Pyrimidifen)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、テトラジホン(tetradifon)、スピロジクロフェン(spirodiclofen)、アミドフルメット(amidoflumet)、シエノピラフェン(cyenopyrafen)、
下記式(A)

「式中、Xa1はメチル基、塩素原子、臭素原子又はフッ素原子を表し、Xa2はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、C1−C4ハロアルキル基又はC1−C4ハロアルコキシ基を表し、Xa3はフッ素原子、塩素原子又は臭素原子を表し、Xa4は置換されていてもよいC1−C4アルキル、置換されていてもよいC3−C4アルケニル、置換されていてもよいC3−C4アルキニル、置換されていてもよいC3−C5シクロアルキルアルキル又は水素原子を表し、Xa5は水素原子又はメチル基を表し、Xa6は水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、Xa7は水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表す。」
で示されるいずれかの化合物、下記式(B)

「式中、Xb1はXb2−NH−C(=O)基、Xb2−C(=O)−NH−CH2基、Xb3−S(O)基、置換されていてもよいピロール−1−イル基、置換されていてもよいイミダゾール−1−イル基、置換されていてもよいピラゾール−1−イル基又は置換されていてもよい1,2,4−トリアゾール−1−イル基を表し、Xb2は2,2,2−トリフルオロエチル基等の置換されていてもよいC1−C4ハロアルキル基又はシクロプロピル基等の置換されていてもよいC3−C6シクロアルキル基を表し、Xb3はメチル等の置換されていてもよいC1−C4アルキル基を表し、Xb4は水素原子、塩素原子、シアノ基又はメチル基を表す。」で示されるいずれかの化合物、下記式(C)


「式中、Xc1は3,3,3−トリフルオロプロピル基等の置換されていてもよいC1−C4アルキル基、2,2,2−トリクロロエトキシ基等の置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基、4−シアノフェニル基等の置換されていてもよいフェニル基又は2−クロロ−3−ピリジル基等の置換されていてもよいピリジル基を表し、Xc2はメチル基又はトリフルオロメチルチオ基を表し、Xc3はメチル基又はハロゲン原子を表す。」
で示されるいずれかの化合物等が挙げられる。
【0027】
本発明の節足動物の忌避方法は、本発明の忌避組成物を節足動物を忌避したい特定の場所、例えば居室や住宅等の居住空間の内部や周囲、食品庫やクローゼット等の収納空間の内部や周囲に施用することにより、節足動物の当該場所への侵入を抑制することができる。また、本発明の忌避組成物を節足動物を忌避したい特定の場所、例えば食器棚の裏等に施用することにより、物陰に潜んでいる節足動物を飛び出させ(フラッシングアウト効果、追い出し効果)、それにより節足動物の当該場所への定着を阻害することができる。また場合により、衣服や寝具等の人が接触する物品、あるいはペットや人の皮膚に直接または間接的に施用することにより、節足動物の当該部位への接近を抑制することができる。
本発明の忌避組成物の施用方法としては、具体的には、例えば以下の方法が挙げられ、本発明の忌避組成物の形態、使用場所等に応じて適宜選択できる。
(1)本発明の忌避組成物をそのまま施用場所に処理する方法。
(2)本発明の忌避組成物を水等の溶媒で希釈した後に、施用場所に散布処理する方法。
この場合には、通常、乳剤、水和剤、フロアブル剤、マイクロカプセル製剤等に製剤化された本発明の忌避組成物を、本エステル化合物の濃度が合計で0.01〜10000ppmとなるように希釈する。
(3)本発明の忌避組成物を施用場所で加熱し、有効成分を揮散させる方法。
この場合、本エステル化合物の施用量、施用濃度はいずれも、本発明の忌避組成物の形態、施用時期、施用方法、節足動物の種類等に応じて適宜定めることができる。
【0028】
本発明の忌避組成物を空間に適用するときは、本エステル化合物として通常0.0001〜1000mg/m3であり、平面に適用するときは0.0001〜1000mg/m2である。線香、電気マット等はその製剤形態に応じて加熱により有効成分を揮散させて施用する。樹脂蒸散剤、紙蒸散剤、不織布蒸散剤、編織物蒸散剤、昇華性錠剤等は例えば施用する空間にそのまま放置する、および、該製剤を送風下に設置することにより使用できる。
本発明の忌避組成物を施用する空間としては、例えばクローゼット、押入れ、和ダンス、食器棚、トイレ、浴場、物置、居間、食堂、倉庫、車内等が挙げられ、さらに野外の開放空間で施用することもできる。
【0029】
本発明の忌避組成物をウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ等の家畜、イヌ、ネコ、ラット、マウス等の小動物の外部寄生虫忌避に用いる場合は、獣医学的に公知の方法で動物に使用することができる。具体的な使用方法としては、例えば油剤若しくは水性液剤を噴霧する、ポアオン(pour-on)処理若しくはスポットオン(spot-on)処理する、シャンプー製剤で動物を洗う又は樹脂蒸散剤を首輪や耳札にして動物に付ける等の方法により用いられる。動物体に投与する場合の本エステル化合物は、通常動物の体重1kgに対して、0.01〜1000mgの範囲である。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を参考製造例、製造例及び試験例等の実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。
【0031】
まず、本エステル化合物の製造例を、参考製造例として示す。
【0032】
参考製造例1
窒素雰囲気下、テトラヒドロフラン6mLにジエチル(1−シアノエチル)ホスホナート0.54gを加え、約0℃でナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドのテトラヒドロフラン溶液(1mol/L)2.8mlを加え、30分間攪拌した。そこに2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート1.0gをテトラヒドロフラン2mlに溶解した溶液を加え、室温で3時間攪拌した。
その後、反応混合物を1%塩酸約20mLに注加し、酢酸エチル100mLで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート0.76g(二重結合に関する異性体の比率:Z/E=約2/1)を得た。

1H-NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.21(s,3H,Z+E体)、1.32(s,3H,Z+E体)、1.73(m,1H,Z+E体)、1.96(s,3H,Z+E体)、2.20(m,1/3H,E体)、2.47(m,2/3H,Z体)、3.41(s,3H,Z+E体)、4.59(s,2H,Z+E体)、5.26(s,2H,Z+E体)、5.78(m,2/3H,Z体)、6.01(m,1/3H,E体)
【0033】
参考製造例2
参考製造例1と同様にして、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(二重結合に関する異性体の比率:Z/E=約5/1)を得た。
1H-NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.21(s,3H,Z+E体)、1.32(s,3H,Z+E体)、1.73(m,1H,Z+E体)、1.96(s,3H,Z+E体)、2.20(m,1/6H,E体)、2.47(m,5/6H,Z体)、3.41(s,3H,Z+E体)、4.59(s,2H,Z+E体)、5.25(s,2H,Z+E体)、5.79(m,5/6H,Z体)、6.01(m,1/6H,E体)
【0034】
参考製造例3
参考製造例1と同様にして、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(二重結合に関する異性体の比率:Z/E=約9/1)を得た。
1H-NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.21(s,3H,Z+E体)、1.32(s,3H,Z+E体)、1.73(m,1H,Z+E体)、1.95(s,3H,Z+E体)、2.20(m,1/10H,E体)、2.47(m,9/10H,Z体)、3.41(s,3H,Z+E体)、4.59(s,2H,Z+E体)、5.25(s,2H,Z+E体)、5.78(m,9/10H,Z体)、6.01(m,1/10H,E体)
【0035】
参考製造例4
参考製造例1と同様にして、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−((Z)−2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを得た。
1H-NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.20(s,3H)、1.32(s,3H)、1.72(m,1H)、1.96(s,3H)、2.47(m,1H)、3.41(s,3H)、4.59(s,2H)、5.25(s,2H)、5.78(m,1H)
【0036】
参考製造例5
窒素雰囲気下、2,3,6−トリフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジルアルコール0.40g、(1R)−トランス−3−((Z)−2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸0.35g4−ジメチルアミノピリジン0.10g、乾燥ジクロロメタン10mlの混合物中に、ジシクロヘキシルカルボジイミド0.40gを加え、室温で3時間攪拌した。その後、該反応混合物を濾過し、該濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、2,3,6−トリフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−((Z)−2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート0.62gを得た。

1H-NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.20(s,3H)、1.31(s,3H)、1.71(d,1H)、1.95(s,3H)、2.45(m,1H)、3.44(s,3H)、4.53(s,2H)、5.21(s,2H)、5.77(d,1H)、7.02(m,1H)
【0037】
参考製造例6
2,3,6−トリフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジルアルコールに代えて、2,3,5−トリフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジルアルコールを用いて、参考製造例5と同様にして、2,3,5−トリフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−((Z)−2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを得る。

【0038】
参考製造例7
2,3,6−トリフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジルアルコールに代えて、2,5−ジフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジルアルコールを用いて、参考製造例2と同様にして、2,5−ジフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−((Z)−2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを得る。

【0039】
参考製造例8
2,3,6−トリフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジルアルコールに代えて、3,5−ジフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジルアルコールを用いて、参考製造例5と同様にして、3,5−ジフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−((Z)−2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを得た。

1H-NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.21(s,3H)、1.29(s,3H)、1.77(d,1H)、1.95(s,3H)、2.48(m,1H)、3.38(s,3H)、4.46(s,2H)、5.13(q,2H)、5.79(d,1H)、7.36(s,2H)
【0040】
参考製造例9
(1−シアノエチル)ホスホナートに代えて、(1−シアノプロピル)ホスホナートを用いて、参考製造例1と同様にして、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−((Z)−2−シアノ−1−ブテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを得た。

1H-NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.14(m,3H)、1.20(s,3H)、1.33(s,3H)、1.72(m,1H)、2.26(m,2H)、2.47(m,1H)、3.41(s,3H)、4.59(s,2H)、5.25(s,2H)、5.79(d,1H)
【0041】
参考製造例10
(1−シアノエチル)ホスホナートに代えて、(1−シアノブチル)ホスホナートを用いて、参考製造例1と同様にして、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−((Z)−2−シアノ−1−ペンテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを得た。

1H-NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):0.93(m,3H)、1.20(s,3H)、1.31(s,3H)、1.58(m,2H)、1.72(m,1H)、2.26(m,2H)、2.47(m,1H)、3.41(s,3H)、4.59(s,2H)、5.25(s,2H)、5.77(d,1H)
【0042】
参考製造例11
(1−シアノエチル)ホスホナートに代えて、(1−シアノペンチル)ホスホナートを用いて、参考製造例1と同様にして、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−((Z)−2−シアノ−1−ヘキセニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートを得た。

1H-NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):0.92(m,3H)、1.20(s,3H)、1.32(s,3H)、1.34(m,2H)、1.53(m,2H)、1.72(m,1H)、2.23(m,2H)、2.47(m,1H)、3.41(s,3H)、4.59(s,2H)、5.25(s,2H)、5.77(d,1H)
【0043】
次に、本発明の忌避組成物の製造例を記す。尚、実施例において、部は重量部を意味する。
【0044】
製造例1
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート66.7mgをエタノール2mlに溶解して、エタノール液剤を得た。
【0045】
製造例2
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート25mgをアセトン5mlに溶解して、アセトン液剤を得た。
【0046】
製造例3
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート20部をキシレン65部に溶解し、乳化剤ソルポ−ル3005X(東邦化学登録商標名)15部を加え、よく攪拌混合して、20%乳剤を得る。
【0047】
製造例4
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート40部にソルポ−ル5060(東邦化学登録商標名)5部を加え、よく混合し、カ−プレックス#80(塩野義製薬登録商標名、合成含水酸化珪素微粉末)32部および300メッシュ珪藻土23部を加え、ジュースミキサーにて攪拌混合して、40%水和剤を得る。
【0048】
製造例5
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート10部、フェニルキシリルエタン10部およびスミジュ−ルL−75(住友バイエルウレタン社製トリレンジイソシアネ−ト)0.5部を混合した後、アラビアガムの10%水溶液20部中に加え、ホモミキサ−で攪拌して、平均粒径20μmのエマルジョンを得る。
次に、これにエチレングリコール2部を加え、さらに60℃の温浴中で24時間反応させてマイクロカプセルスラリーを得る。一方、ザンサンガム0.2部、ビ−ガムR(三洋化成製アルミニウムマグネシウムシリケ−ト)1.0部をイオン交換水56.3部に分散させて増粘剤溶液を得る。上記マイクロカプセルスラリー42.5部および増粘剤溶液57.5部を混合して、10%マイクロカプセル剤を得る。
【0049】
製造例6
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート0.5部をジクロロメタン10部に溶解し、これをアイソパーM(イソパラフィン・エクソン化学製)89.5部に混合して、0.5%油剤を得る。
【0050】
製造例7
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート10部にステアリン酸10部、セチルアルアルコール2部、ラノリン1部、流動パラフィン2部および水62部を加え、加熱して溶融混和し、これに、さらに加熱したグリセリン13部を注入し、よく攪拌してクリーム剤を得る。
【0051】
製造例8
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート6部にエタノール20部およびプロピレングリコール15部、Tween60(ICI社製、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート)0.5部、トリエタノールアミン0.5部を攪拌溶解し、水58部を添加して乳剤を得る。
【0052】
製造例9
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート12.5部をアセトン87.5部に溶解し、得られた溶液80mlを1m2の濾紙に含浸させ、アセトンを風乾して忌避シートを得る。
【0053】
製造例10
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート30部とエチレン−メチルメタクリレート共重合体(住友化学(株)製アクリフトWH202)70部を密閉式加圧ニーダーで約15分間混練し、これをペレット化したものをマスターペレットとした。この
マスターペレット100部にマトリクス樹脂であるエチレン−メチルメタクリレート共重合体200部とを密閉式加圧ニーダーで再び15分間混練し、押出し機に供給し押し出しながらホットカットを行い、ペレットを得る。該ペレットを用いてTダイ押し出し機で押出し、厚さ1mmの忌避シートを得る。
【0054】
製造例11
2,3,5−トリフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート66.7mgをエタノール2mlに溶解して、エタノール液剤を得た。
【0055】
製造例12
2,3,6−トリフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート66.7mgをエタノール2mlに溶解して、エタノール液剤を得た。
【0056】
製造例13
2,5−ジフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート66.7mgをエタノール2mlに溶解して、エタノール液剤を得た。
【0057】
製造例14
3,5−ジフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート66.7mgをエタノール2mlに溶解して、エタノール液剤を得た。
【0058】
次に試験例にて、本発明の忌避組成物が節足動物に対して優れた忌避効力を有することを示す。
【0059】
試験例1(イエバエに対する忌避活性評価試験)
直径7.4cmのアルミホイルを21cm×17cmのコピー用の上質紙に対角線上に4枚貼り、4枚中対角線上の2枚のアルミホイル上に所定濃度の供試化合物のアセトン溶液を0.5mlずつ処理し、処理区とした。残りの2枚にはアセトンを0.5mlずつ処理し、無処理区とした。アルミホイル上のアセトンを5〜10分間風乾した後、4枚のアルミホイル上に粉末ミルクと砂糖の1:1(重量)の混合物を誘引源として適量置いた。イエバエ約300頭(性比約1:1)の入ったナイロンゴース製ケージ(50cm×50cm×50cm)内に、該上質紙を置いた。
該上質紙を設置1分後に処理区、無処理区上にいるイエバエ個体数をカウントし、下記式により忌避率を計算した。
忌避率={(無処理区誘引数−処理区誘引数)/無処理区誘引数}×100
供試化合物として、本エステル化合物である2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 1R−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル〔Z/E=約5/1〕)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下、本エステル化合物A1と記す。)を用い、対象化合物としてN,N−ジエチル−m−トリアミド(以下、DEETと記す。)を用いた。
その結果を、表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
試験例2(チャバネゴキブリに対する忌避活性評価試験)
6cm×9cmの濾紙(アドバンテック東洋株式会社製)に本エステル化合物A1のアセトン溶液を本エステル化合物A1の量が100mg/m2になるように処理し、その後該濾紙を風乾させた。風乾後の該濾紙を折り曲げて、一辺が3cmの三角形を底面とする三角筒に成形した。約650mlのポリエチレンカップ内に、上記三角筒をいれ、更にチャバネゴキブリ成虫10頭(雌雄各5頭)を、水を含ませた脱脂綿と共に入れた。該ポリエチレンカップを温度25℃、湿度60%、照明:明条件にて2時間保管した。その後、三角筒の外にいる虫数をカウントした。
また単なるアセトンを処理した濾紙を用いて作成した同様の三角筒を用いて、同様に試験を行い、三角筒の外にいる虫数をカウントし(無処理区)、下記式により忌避率を算出した(2反復平均)。
忌避率(%)=100×
(処理区の三角筒外の虫数−無処理区の三角筒外の虫数)/(無処理区の三角筒内の虫 数)
その結果を、表2に示す。
【0062】
【表2】

【0063】
試験例3(チャバネゴキブリに対するフラッシングアウト活性評価試験)
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル〔Z/E=約9/1〕)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下、本エステル化合物A2と記す。)の所定量と、ジクロロメタンとを混合して、本エステル化合物A2を所定濃度(表3参照)で含有する試験用油剤を各々調製した。
一辺70cmの立方体ガラス箱の下部中央に、チャバネゴキブリ10頭(雄5頭、雌5頭)を潜ませた(試験前3日間馴化)木製三角筒容器(1辺3.5cmの正三角形、高さ15cm)を立てて置いた。このガラス箱に前記試験用油剤4.2mlをスプレーガンを用いて噴霧処理した。
処理2分後に、三角筒容器から出てくるチャバネゴキブリをカウントし、下記式によりフラッシングアウト率を算出した(2反復平均)。
フラッシングアウト率(%)=100×(三角筒外の虫数)/供試虫数
その結果を、表3に示す。
【0064】
【表3】

【0065】
試験例4(クロゴキブリに対するフラッシングアウト活性評価試験)
本エステル化合物A2の所定量と、ジクロロメタンとを混合して、本エステル化合物A2を所定濃度(表4参照)で含有する試験用油剤を各々調製した。
一辺70cmの立方体ガラス箱の下部中央に、クロゴキブリ6頭(雄3頭、雌3頭)を潜ませた(試験前3日間馴化)木製三角筒容器(1辺3.5cmの正三角形、高さ15cm)を立てて置いた。このガラス箱に前記試験用油剤4.2mlをスプレーガンを用いて噴霧処理した。
処理3分後に、三角筒容器から出てくるクロゴキブリをカウントし、下記式によりフラッシングアウト率を算出した(2反復平均)。
フラッシングアウト率(%)=100×(三角筒外の虫数)/供試虫数
その結果を、表4に示す。
【0066】
【表4】

【0067】
試験例5(ワモンゴキブリに対するフラッシングアウト活性評価試験)
本エステル化合物A2の所定量と、ジクロロメタンとを混合して、本エステル化合物A2を所定濃度(表5参照)で含有する試験用油剤を各々調製した。
一辺70cmの立方体ガラス箱の下部中央に、ワモンゴキブリ6頭(雄3頭、雌3頭)を潜ませた(試験前3日間馴化)木製三角筒容器(1辺3.5cmの正三角形、高さ15cm)を立てて置いた。このガラス箱に前記試験用油剤4.2mlをスプレーガンを用いて噴霧処理した。
処理3分後に、三角筒容器から出てくるワモンゴキブリをカウントし、下記式によりフラッシングアウト率を算出した(2反復平均)。

フラッシングアウト率(%)=100×(三角筒外の虫数)/供試虫数
その結果を、表5に示す。
【0068】
【表5】

【0069】
参考試験例1(イエバエに対するノックダウン活性評価試験)
前記製造例5に準じて、本エステル化合物の所定濃度(表6参照)の油剤(ジクロロメタン:アイソパーM=1:9)を調製した。一辺70cmの略立法体のチャンバー内にイエバエ10頭を放し、該油剤0.7mlをチャンバー側面の小窓からスプレーガン(圧力:8.8×104Pa)で散布した。その10分後に、ノックダウンした供試虫の数をカウントした(2反復平均)。
本エステル化合物として、
2,3,6−トリフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−((Z)−2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下、本エステル化合物Bと記す。)、
3,5−ジフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−((Z)−2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下、本エステル化合物Cと記す。)、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−((Z)−2−シアノ−1−ブテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下、本エステル化合物Dと記す。)、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−((Z)−2−シアノ−1−ペンテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下、本エステル化合物Eと記す。)、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−((Z)−2−シアノ−1−ヘキセニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下、本エステル化合物Fと記す。)
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル (1R)−トランス−3−((Z)−2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下、本エステル化合物Gと記す。)
を用いた。
その結果を、表6に示す。
【0070】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の忌避組成物を用いることにより、節足動物を忌避することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)

〔式中、RはC1−C4アルキル基を表し、nは1〜3の整数を表す。〕
で示されるエステル化合物を有効成分として含有する節足動物の忌避組成物。
【請求項2】
式(1)で示されるエステル化合物が、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートである請求項1記載の忌避組成物。
【請求項3】
式(1)で示されるエステル化合物が、2,3,6−トリフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートである請求項1記載の忌避組成物。
【請求項4】
式(1)で示されるエステル化合物が、2,3,5−トリフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート請求項1記載の忌避組成物。
【請求項5】
式(1)で示されるエステル化合物が、2,5−ジフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートである請求項1記載の忌避組成物。
【請求項6】
式(1)で示されるエステル化合物が、3,5−ジフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートである請求項1記載の忌避組成物。
【請求項7】
式(1)で示されるエステル化合物が、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−ブテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートである請求項1記載の忌避組成物。
【請求項8】
式(1)で示されるエステル化合物が、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−ペンテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートである請求項1記載の忌避組成物。
【請求項9】
式(1)で示されるエステル化合物が、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル 3−(2−シアノ−1−ヘキセニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートである請求項1記載の忌避組成物。
【請求項10】
エステル化合物を0.001〜95重量%含有する請求項1〜9いずれか一項記載の忌避組成物。
【請求項11】
請求項1〜9いずれか一項記載のエステル化合物を用いる、節足動物の忌避方法。
【請求項12】
節足動物が双翅目害虫、網翅目害虫または膜翅目害虫である請求項11記載の忌避方法。
【請求項13】
請求項1〜9いずれか一項記載のエステル化合物を特定場所に処理することにより、当該特定場所に節足動物が接近または侵入することを抑制する方法。

【公開番号】特開2011−144152(P2011−144152A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7959(P2010−7959)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】