説明

簡易トイレ

【課題】 在来のダンボール箱を利用して、必要な強度を保有し、しかも組み立てが容易で、軽量であり、コンパクトに折り畳むことできる簡易トイレを得る。
【解決手段】
内蓋8とその上に重ね合わされる外蓋4とを備えて折り畳み可能なダンボール箱Bと、その内部に着脱可能に収容される補強枠Fと、前記内蓋8と外蓋4に開口した、内側貫通孔13および外側貫通孔12を通してダンボール箱B内に装着されて収容袋を形成する可撓性シートSとよりなり、ダンボール箱Bでトイレ本体、外蓋4と内蓋8とで便座部、外側貫通孔12と内側貫通孔13とで便座孔を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書籍などを収容する通常のダンボール箱を利用して、簡単容易にしかも迅速に組み立てることができ、折り畳み可能な簡易トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排泄物を収納するために汎用の収納袋を装着することができ、素早く組み立てることができ、収納袋を取り付けたまま折り畳むことができ、排便するために座ることができる便座を備えた携帯用簡易トイレが既に知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−289327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記携帯用簡易トイレは、汎用の収納袋を装着することができ、弁座部と、金属製の脚部と、その脚部を連結するリンク部材とより構成され、それらの部材は何れも簡易トイレ専用に作られており、在来の汎用部材を利用していないので、製作コストが嵩む上に、金属部材を用いているので、重量が重く、交通の不便な被災地などのように、緊急な搬送が要求されるときに、搬送コストが嵩む上に搬送時間が長くなってしまうという問題があり、さらに、使用時に、収納袋が露出状態にあるため、使用者は使用しずらいという問題もある。
【0005】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、ダンボール箱を利用して廉価に作ることができ、しかも組み立てが容易で、軽量であり、コンパクトに折り畳むことできて、前記問題解決できるようにした、新規な簡易トイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、上面開口を開閉可能に閉じる内蓋およびその上に重ね合わされる外蓋とを備えて折り畳み可能なダンボール箱と、そのダンボール箱に着脱可能に収容される補強枠と、前記外蓋および内蓋にそれぞれ開口した、外側貫通孔および内側貫通孔を通してダンボール箱内に装着されて収容袋を形成する可撓性シートとを備え、
前記外蓋の外側貫通孔は、前記外蓋にその外側貫通孔の輪郭に沿って入れたミシン目を裂くことにより形成され、また、前記内蓋の内側貫通孔は、前記内蓋にその内側貫通孔の輪郭に沿って入れたミシン目を裂くことにより形成され、前記内蓋と外蓋とを重ねて合わせて閉じることにより便座部が形成され、また前記外側貫通孔と内側貫通孔によりダンボール箱内の前記収容袋に通じる便座孔が形成されることを特徴としている。
【0007】
上記目的を達成するために、請求項2の発明は、前記請求項1記載のものにおいて、前記外蓋には、その外側貫通孔の輪郭の一部に沿ってミシン目が入れらると共にそのミシン目の端部間をヒンジ線とし、前記ミシン目を裂くすことにより、前記外蓋に前記ヒンジ線に沿って外側貫通孔を開閉し得る開閉蓋が形成されることを特徴としている。
【0008】
上記目的を達成するために、請求項3の発明は、前記請求項2記載のものにおいて、前記開閉蓋の自由端には、撮み片が形成されること特徴としている。
【0009】
上記目的を達成するために、請求項4の発明は、前記請求項1、2または3記載のものにおいて、前記外側貫通孔は、前記内側貫通孔よりも大きく形成され、内側貫通孔の周縁部に、前記開閉蓋を前記外蓋と同一面の閉じ位置に止めるストッパ部が形成されることを特徴としている。
【0010】
上記目的を達成するために、請求項5の発明は、前記請求項1、2、3または4記載のものにおいて、前記補強枠は、ダンボール板を井桁状に組んで形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項各項の発明によれば、在来のダンボール箱を利用して、必要な強度を保有し、しかも組み立てが容易で、軽量であり、コンパクトに折り畳むことできる簡易トイレを提供することがでる。また排泄物を収容する収容袋は、ダンボール箱により覆われて外部から見えないので、外観がよく、使用者は躊躇することなくは、安心して使用することができる。また、トイレ本体をダンボール箱で形成したにも拘らず、補強枠により補強されるので、充分な強度を有し、体重の重い人が使用しても変形したり、潰れたりすることがない。
【0012】
請求項2の発明によれば、便座孔を形成する外側貫通孔には、開閉蓋が開閉可能に設けられるので、非使用時には、便座孔を閉じておくことができて外観上の体裁がよく、また、悪臭の発散を抑えることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、開閉蓋には、撮み片が設けられるので、その開閉操作が容易である。
【0014】
請求項4の発明によれば、開閉蓋を前記外蓋と同一面の閉じ位置に止めることができ、開閉蓋がダンボール箱内に内没することがなく、外観上の良くし、また、開閉蓋を汚損することがない。
【0015】
請求項5の発明によれば、補強枠は、ダンボール板を井桁状に組んで形成されるので、廉価に提供することをができ、また、ダンボール板に解体して、搬送、格納が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ダンボール箱の斜視図
【図2】外蓋および内蓋を開放したダンボールの斜視図
【図3】ダンボール箱に展開平面図
【図4】ダンボール箱の組み立て順序を示す斜視図
【図5】補強枠の斜視図
【図6】ダンボール箱に補強枠を組み込む過程を示す斜視図
【図7】簡易トイレの斜視図
【図8】図7の8−8線に沿う断面図
【図9】図8の9(A)−(A)、9(B)−(B)、9(C)−(C)線に沿う断面図
【図10】ダンボール箱に可撓性シートを装着する手順を示す斜視図
【図11】簡易トイレの使用後の処理を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【0018】
まず、書籍などを収納するダンボール箱Bの構造について説明する。
【0019】
図1〜3において、ダンボール箱Bは、一枚のダンボール板Pにより構成されている。ダンボール板Pの中間部に形成される外側底板1の相対向する前、後辺には、折り線bを介して前側板2、後側板3がそれぞれ接続され、後側板3の後辺には折り線bを介して外蓋4が接続される。また、前側板2の左、右辺には折り線bを介して内側左側板5l、内側右側板5rがそれぞれ接続され、後側板3の左、右辺には折り線bを介して外側左側板6l、外側右側板6rがそれぞれ接続される。外側左側板6lの前、後辺には、内側左底板半体7l、左内蓋半体8lがそれぞれ接続され、また外側右側板6rの前、後辺には、内側右底板半体7r、右内蓋半体8rがそれぞれ接続される。そして、内側左底板半体7lと内側右底板半体7rとで内側底板7が形成され、また左内蓋半体8lと右内蓋半体8rとで内蓋8が形成される。
【0020】
前記ダンボール板Pより、ダンボール箱Bを組み立てるには、図4(A),(B)に示すように、外側底板1に対して後側板3を外蓋4と共に折り線bに沿って直角に折り曲げ、この後、側板3の左右の外側左右側板6l,6rを折り線bに沿って内側に折り曲げると共に内側左、右底板半体7l,7rを折り線に沿って内側に折り曲げる。これにより左、右底板半体7l,7rは外側底板1上に重ね合わされ、それらの外縁に設けたアリaとアリ溝bとを係合させる。また、外側底板1に対して前側板2を折り線に沿って直角に折り曲げると共に内側左右側板5l,5rを折り線bに沿って内側に直角に折り曲げて、それらを外側左右側板6l,6rの内側に重ね合わせる。このとき、内側および外側の左右側板5l,5r,6l,6rにそれぞれ設けた把手孔a同士は互いに一致する。
【0021】
図2に示すように、左、右内蓋半体8l,8rを折り線bに沿って内側に折り曲げて、それらの外縁に設けたアリdとアリ溝gを係合し、外蓋4を折り曲げて左、右内蓋半体8l,8rよりなる内蓋8上に重ね合わせて、図1に示すように、ダンボール箱Bの開口上面が閉じられ、外蓋4の外縁に設けた差込舌片tを、前側板2の外縁に設けた差込孔hに差し込む。これにより、図1に示すようにダンボール箱Bが組み立てられる。
【0022】
本発明に係る簡易トイレは、前記ダンボール箱B、補強枠Fおよび可撓性のシートSより構成される。
【0023】
簡易トイレのトイレ本体は、前記ダンボール箱Bにより作られる。ダンボール箱Bの外蓋4および内蓋8は、使用者が着座する便座部となるもので、図7に示すように、外蓋4には、撮み片11を設けた開閉蓋10により開閉される外側貫通孔12が開口され、また、内蓋8には内側貫通孔13が開口され、外側貫通孔12と内側貫通孔13とで、便座孔が形成される。
【0024】
図1,2に示すように、外蓋4には、外側貫通孔12の輪郭に沿ってU字状のミシン目l1 が入れられている。そして、そのミシン目l1 を裂くことにより、外蓋4に、外側貫通孔12が開口されると共にそのミシン目l1 の端部間をヒンジ線lhとする、先端に撮み片11を有する開閉蓋10を形成することができる。また、前記内蓋8を形成する左右内蓋半体8l,8rには、それらの外縁に達するU字状およびコ状のミシン目l2 ,l3 がそれぞれ入れられており、これらのミシン目l2 ,l3 を裂くことにより、左右内蓋半体8l,8rよりなる内蓋8に内側貫通孔13が開口される。この内側貫通孔13は、前記外側貫通孔12よりも若干小さく形成されており(図7参照)、内蓋8上に外蓋4が重ね合わされると、内蓋8の周縁部に開閉蓋10を止めるためのストッパ部8sが形成される。
【0025】
ダンボール箱B、すなわちトイレ本体内に着脱可能に収容される補強枠Fは、図5に示すように、各一対の、ダンボール板よりなる方形状の縦、横補強板20,21を井桁状に組み付けて構成される。縦、横補強板20,21には、幅方向に間隔をあけて互いに平行な一対の差込スリット20s,21sが、その一端縁から中間位置までそれぞれ入れられており、差込スリット20sを上向きにして互いに平行に配置した縦補強板20と、差込スリット21sを下向きにして互いに平行に配置した横補強板21とを、それらの差込スリット20s,21sを相互に差し込むことにより井桁状に組み付けられる。
【0026】
前記可撓性シートSは、市販の不透明なビニールシートよりなる。
【0027】
なお、この可撓性シートSは、予め袋状に形成した市販の収容袋であってもよい。
【0028】
つぎに、ダンボール箱B、補強枠Fおよび可撓性シートSよりなる簡易トイレを組み付ける順序について説明する。
【0029】
(1) 先ず、図6に示すように、前述したように組み付けられたダンボール箱Bの、外蓋4および左右内蓋半体8l,8rよりなる内蓋8を開き、外蓋4のミシン目l1 を裂いて、撮み片11付きの開閉蓋10を形成し、その撮み片11を摘んで引き上げることで、開閉蓋10をヒンジ線lhに沿って開放し、外側貫通孔12を開口する。ついで、左右内蓋半体8l,8rのミシン目l2 ,l3 を裂いて、左右内蓋半体8l,8rにそれぞれU字状およびコ字状の開口131 ,132 を形成する。
【0030】
(2) 次に、既に組み付けた補強枠Fを、ダンボール箱(トイレ本体)B内に装入し、左右内蓋半体8l,8rをそれぞれ閉じ、内側貫通孔13を開口した内蓋8により、ダンボール箱Bの開口上面を閉じる。次いで、外蓋4を、内蓋8上に重ね合わせる。これにより、図7に示すように、簡易トイレの弁座部が形成され、互いに重なり合う内側貫通孔13と外側貫通孔12とで、簡易トイレの便座孔が形成される。開閉蓋10は、内蓋8の周縁部のストッパ部8s上に止められて外蓋4と面一な閉じ位置に保持される。
【0031】
(3) 図10に示すように、開閉蓋10を開放した後、ビニールシートよりなる可撓性シートSを、便座部上に載せ、該シートSの中央部を、便座孔を通してトイレ本体内に押し込めば、そのシートSの中央部は、袋状になってダンボール箱、すなわちトイレ本体内に収容され、排泄物の収容袋とすることができる。また、このシートSの外周部は、トイレ本体の便座部を覆うようにする。
【0032】
なお、可撓性シートSは、予め袋状に形成されたものを用いてもよい。
【0033】
この簡易トイレを使用するときは、使用者は、ダンボール箱B上に座乗するが、トイレ本体を構成するダンボール箱Bは、補強枠Fにより補強されているため、潰れたり、変形したりすることがない。
【0034】
図11に示すように、簡易トイレの使用後は、収容袋内に凝固剤(高分子ポリマー)、脱臭剤などを入れたのち、トイレ本体Bより取り出す。
【0035】
しかして、この簡易トイレは、在来のものから作ることができ、特に、トイレ本体を、書籍などの収容に用いられる在来のダンボール箱Bを利用して作ることができるので、極めて廉価に、迅速に提供することができ、しかもコンパクトに折り畳むことができて搬送に便利であり、緊急を要する地震、火災などで被災した被災地用の簡易トイレとして、極めて有効である。
【0036】
また、この簡易トイレは、補強枠Fにより補強されているので、トイレ本体が、ダンボール箱で作られているにも拘らず、充分な強度があって、長期間使用に耐え得る耐久性があり、また体重の重い使用者でも安心して使用することができる。
【0037】
また、使用後は、便座孔を、開閉蓋10により閉じることができ、外観上の体裁がよく、また悪臭の発散を防止することができる。また、トイレの使用中は、起立している開閉蓋10は、恥部隠しとして利用することもできる。
【0038】
また、開閉蓋10には、撮み片11が設けられるので、その開閉操作が容易である。
【0039】
さらに、開閉蓋10を外蓋4と同一面の閉じ位置に止めることができ、開閉蓋10がダンボール箱B内に内没することがなく、外観上の体裁を良くし、また、開閉蓋10を汚損することがない。
【0040】
補強枠Fは、ダンボール板20,21を井桁状に組んで形成されるので、廉価に提供することをができ、また、ダンボール板20,21に解体して、搬送、格納が容易である。
【0041】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
【0042】
たとえば、トイレ本体を形成するダンボール箱Bは、前記実施例のものに変えて、市販されている、他の在来のものを利用してもよい。
【符号の説明】
【0043】
4・・・・・・・外蓋
8・・・・・・・内蓋
8s・・・・・・ストッパ部
10・・・・・・・開閉蓋
11・・・・・・・撮み片
12・・・・・・・外側貫通孔
13・・・・・・・内側貫通孔
20,21・・・・ダンボール板
B・・・・・・・ダンボール箱
F・・・・・・・補強枠
S・・・・・・・可撓性シート
1 ,l2 ,l3 ・・ミシン目
lh・・・・・・・・ヒンジ線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開口を開閉可能に閉じる内蓋(8)およびその上に重ね合わされる外蓋(4)とを備えて折り畳み可能なダンボール箱(B)と、そのダンボール箱(B)に着脱可能に収容される補強枠(F)と、前記外蓋(4)および内蓋(8)にそれぞれ開口した、外側貫通孔(12)および内側貫通孔(13)を通してダンボール箱(B)内に装着されて収容袋を形成する可撓性シート(S)とを備え、
前記外蓋(4)の外側貫通孔(12)は、前記外蓋(4)にその外側貫通孔(12)の輪郭に沿って入れたミシン目(l1 )を裂くことにより形成され、また、前記内蓋(8)の内側貫通孔(13)は、前記内蓋(8)にその内側貫通孔(13)の輪郭に沿って入れたミシン目(l2 ,l3 )を裂くことにより形成され、前記内蓋(8)と外蓋(4)とを重ねて合わせて閉じることにより便座部が形成され、また前記外側貫通孔(12)と内側貫通孔(13)によりダンボール箱(B)内の前記収容袋に通じる便座孔が形成されることを特徴とする、簡易トイレ。
【請求項2】
前記外蓋(4)には、その外側貫通孔(12)の輪郭の一部に沿ってミシン目(l1 )が入れらると共にそのミシン目(l1 )の端部間をヒンジ線(lh)とし、前記ミシン目(l1 )を裂くすことにより、前記外蓋(4)に前記ヒンジ線(lh)に沿って外側貫通孔(12)を開閉し得る開閉蓋(10)が形成されることを特徴とする、前記請求項1記載の簡易トイレ。
【請求項3】
前記開閉蓋(10)の自由端には、撮み片(11)が形成されること特徴とする、前記請求項2記載の簡易トイレ。
【請求項4】
前記外側貫通孔(12)は、前記内側貫通孔(13)よりも大きく形成され、内側貫通孔(13)の周縁部に、前記開閉蓋(10)を前記外蓋(4)と同一面の閉じ位置に止めるストッパ部(8s)が形成されることを特徴とする、前記請求項1、2または3記載の簡易トイレ。
【請求項5】
前記補強枠(F)は、ダンボール板(20,21)を井桁状に組んで形成されることを特徴とする、前記請求項1、2、3または4記載の簡易トイレ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−232053(P2012−232053A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104218(P2011−104218)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(511112434)
【Fターム(参考)】