説明

簡易建物

【課題】 可動屋根がどの位置にあっても雨水を確実に排水することのできる簡易建物の提供。
【解決手段】 一組の梁1a,1bと、梁の内側間に架設した固定屋根2と、両梁の上面に載置してあり、梁の長手方向に沿って固定屋根の側方位置から固定屋根の上方位置に移動自在な可動屋根3とを備え、固定屋根2は梁1aの長手方向と平行に設けた雨樋12を介して雨水を下方に排出するものであり、梁1aは外側に長手方向に沿って雨樋4を有し、可動屋根3は、梁1aの長手方向と平行に設けた雨樋5と雨樋5の雨水を梁の雨樋4に流す竪樋6とを有し、梁の雨樋4を介して雨水を下方に排出するものであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定屋根と可動屋根を有する簡易建物に関する。
【背景技術】
【0002】
玄関前や庭などに、雨よけのために簡易的な屋根を設置することがあるが、天気の良い日には屋根をずらして開放感を味わいたいときもある。特許文献1には、支柱の上端部に固定枠が設けられ、固定枠に固定屋根と、固定屋根の下方に収納した収納位置とその収納位置から前後に引き出された引出し位置との間で移動可能な可動屋根とを設けた簡易建物が記載されている。屋根を支持する一組の梁(鉄骨14,14)には上面に長手方向に沿って雨樋18が取付けてあり、この雨樋18で固定屋根と可動屋根両方の雨水を受けて外部に排水している。この屋根では、可動屋根を移動させることにより屋根全体の面積が変化するが、雨樋は固定屋根用と可動屋根用で兼用しているので、屋根の面積が大きいときに大雨が降ると雨樋から雨水があふれるおそれがある。
【特許文献1】特開平10−317698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、可動屋根がどの位置にあっても雨水を確実に排水することのできる簡易建物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による簡易建物は、一組の梁と、梁の内側間に架設した固定屋根と、両梁の上面に載置してあり、梁の長手方向に沿って固定屋根の側方位置から固定屋根の上方位置に移動自在な可動屋根とを備え、固定屋根は梁の長手方向と平行に設けた雨樋を介して雨水を下方に排出するものであり、梁は外側に長手方向に沿って雨樋を有し、可動屋根は、梁の長手方向と平行に設けた雨樋と雨樋の雨水を梁の雨樋に流す竪樋とを有し、梁の雨樋を介して雨水を下方に排出するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明による簡易建物は、梁の長手方向に沿って移動自在な可動屋根が固定屋根よりも上方に位置し、固定屋根は梁の長手方向と平行に設けた雨樋を介して雨水を下方に排出するものであり、梁は外側に長手方向に沿って雨樋を有し、可動屋根は、梁の長手方向と平行に設けた雨樋と雨樋の雨水を梁の雨樋に流す竪樋とを有し、梁の雨樋を介して雨水を下方に排出するものであるため、可動屋根がどの位置にあっても雨水を確実に排水することができる。天気の良い日には、可動屋根を固定屋根の上方位置に移動することにより、開放感が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図2は、本発明の簡易建物の一実施形態を示す正面図であり、図3は同簡易建物の平面図であり、図4は同簡易建物の左側面図であり、図1は図3のA−A断面図である。この簡易建物は、玄関の前や庭等に、雨よけのために設置されるものである。
本簡易建物は、4本の柱7が地面から鉛直に起立して設けられ、柱7の上端部に連結して一組の梁1a,1bが前後方向に架設してある。左右の梁1a,1bに支持して屋根が設けてあり、屋根の略後側半分は固定屋根2となっており、屋根の略前側半分は前後方向に移動する可動屋根3となっている。右側の梁1bは、左側の梁1aよりも若干高い位置にあり、固定屋根2と可動屋根3は、左側が低くなるように傾斜して設置されている。
【0007】
固定屋根2は、アルミ製の長尺材を複数組合わせて立体トラス構造の骨組み8を形成し、その上面に透明な樹脂製のパネル9を載置し、パネル押え10でパネル9を骨組み8に固定している。固定屋根2は、図2,3に示すように、外周に枠11が取付けてあり、左側の枠は雨樋12になっている。固定屋根2は、左右端部を梁1a,1bの内側面にそれぞれ固定してある。雨樋12の端部には竪樋13が連結してあり、固定屋根2上に降った雨水は、雨樋12と竪樋13を通して排水される。
【0008】
可動屋根3は、固定屋根2と同じように、アルミ製の長尺材で立体トラス構造の骨組み8を形成し、屋根の上面に透明な樹脂製のパネル9を取付け、屋根の周囲に枠11が取付けてある。左側の枠は雨樋5となっている。可動屋根3の下面側の左右両端部には、図2と図4に示すように、前後方向に複数の車輪14が取付けてある。左右の梁1a,1bの上面には、前記車輪14が走行するレール15が前後方向に取付けてあり、可動屋根3は車輪14とレール15を介して、固定屋根2の前方位置から固定屋根2の上方に重なる位置まで移動自在となっている。図中の符号16は、可動屋根3を動かすための駆動装置であり、下方に垂下したハンドル17を回すことで可動屋根3が前後に移動するようになっている。
【0009】
左側の梁1aの外側面には、図3,4に示すように、梁1aの長手方向に沿って雨樋4が取付けてあり、雨樋4の両端部に接続して柱7に沿うように竪樋18が取付けてある。可動屋根3の雨樋5の前後端部には短い竪樋6が接続してあり、図1に示すように、竪樋6の下端部が梁の雨樋4内に位置している。可動屋根3上に降った雨水は、可動屋根の雨樋5と竪樋6、梁の雨樋4、竪樋18を通して排水される。
【0010】
本簡易建物は、以上に述べたように構成され、可動屋根3を前後方向に移動することにより屋根の面積を変更することができ、天気の良い日には可動屋根3を最大限後方に動かして固定屋根2の上方に重ねれば、屋根の面積が略半分になって開放感が得られる。しかも本簡易建物は、固定屋根2の雨水を固定屋根2に梁1aの長手方向と平行に設けた雨樋12を介して下方に排出し、梁1aの外側面に長手方向に沿って雨樋4が取付けてあり、可動屋根3には梁1aの長手方向と平行に雨樋5を有すると共に、該雨樋5の雨水を梁の雨樋4に流す竪樋6を有しており、可動屋根3の雨水を梁の雨樋4を介して下方に排出するようにしたので、可動屋根3がどの位置にあっても雨水を確実に排水することができる。また本簡易建物は、固定屋根2と可動屋根3がアルミ製の立体トラス構造の骨組み8で形成されているので、大型で高強度の屋根を比較的軽量に構成することができ、間口の広い屋根付き空間を戸外に形成できる。
【0011】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。実施形態のものでは、可動屋根が固定屋根の前方位置から固定屋根の上方位置に移動するようになっているが、可動屋根が固定屋根の右側や左側位置、又は後方位置から固定屋根の上方位置に移動するようにすることもできる。固定屋根や可動屋根の形態は、設置場所や用途に応じて適宜変更することができ、例えばアーチ形の屋根とすることもできる。屋根自体の構造は任意である。本発明は、カーポート、テラスの屋根、通路用シェルターなど、あらゆる簡易建物に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図3のA−A断面図である。
【図2】本発明の簡易建物の一実施形態を示す正面図である。
【図3】同簡易建物の平面図である。
【図4】同簡易建物の左側面図である。
【符号の説明】
【0013】
1a,1b 梁
2 固定屋根
3 可動屋根
4 梁の雨樋
5 可動屋根の雨樋
6 竪樋
12 固定屋根の雨樋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一組の梁と、梁の内側間に架設した固定屋根と、両梁の上面に載置してあり、梁の長手方向に沿って固定屋根の側方位置から固定屋根の上方位置に移動自在な可動屋根とを備え、固定屋根は梁の長手方向と平行に設けた雨樋を介して雨水を下方に排出するものであり、梁は外側に長手方向に沿って雨樋を有し、可動屋根は、梁の長手方向と平行に設けた雨樋と雨樋の雨水を梁の雨樋に流す竪樋とを有し、梁の雨樋を介して雨水を下方に排出するものであることを特徴とする簡易建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−240246(P2008−240246A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−77926(P2007−77926)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000175560)三協立山アルミ株式会社 (529)