説明

簡易式トイレ

【課題】簡易型トイレの汚物処理槽が使用条件及び状況により、臭い、きたない等の問題があった。
【解決手段】霧尿化により、微生物および微生物担持基材の働きの活性化ができ、霧尿の高湿度の効果によるオゾン消臭・殺菌力が大きくなり、簡易トイレの機能が守れ、臭くなくきれいで清潔なトイレが実現でき、地球温暖化およびCO2削減(燃料電池を併用することでより多く可能になる)および環境衛生上社会に貢献できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易式トイレに関し、詳しくは、尿を微生物により処理する簡易式トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場やイベント会場、行楽地等には汚物をある程度貯蓄しておくまた、設置型バイオトイレで尿を糞に散布するものも提案されている(特許文献2分)
【特許文献1】特開2001−204651号公報
【特許文献2】特開2004−230007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は簡易式トイレの上記のような状況に鑑みてなされたものであり、主に工事現場等で使用されるものであって、使用者が心地よく使用でき、メンテナンス性がよく、清潔で消臭・除菌され管理者が安心できる簡易式トイレを提供することを目的としている。
【0004】
おが屑等に散布された尿水分を蒸発させるには、便槽等を約100度まで加熱し、気化させる。それにはかなりの時間と熱量を要する。また、一度加熱し100度になってもあらたに尿が入れば温度は下がり、再度加熱しなければ蒸発は促進されない。
また自然に蒸発を待つには時間がかかりすぎ使用にはてきさない。そこでいままでは水洗式以外の仮設トイレはヒーター等で尿の水分を処理してきた。例えば約10リットルの尿を8時間かけて蒸発させるには、その必要な電力は約10kwであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、汚物処理槽7に流れ込む尿を、霧発生器3で霧化して噴霧する。
霧化ユニット3b(超音波振動子)で霧化された尿はセミドライフォグ又はドライフォグ(30マイクロメータ以下の微小霧)といわれ、濡れない霧に近い状態の尿霧を生成する。
【0006】
上記尿霧は、便槽内に周波数20Hzから20MHzの強力な超音波を照射された尿の水分子が分解しOH(ラジカル)が生成する、この過程で尿のペーハー(PH)が低下し空気雰囲気化でPH4以下までになり殺菌効果が期待できる。
尚、周波数は任意に変更可能なものとする。約10リットルの尿を8時間かけて霧化させるのに必要な霧化ユニットの電力は約1kwでヒーターの十分の一の電力で済む。又補助の為、ヒーター装置を備えていてもよい。
【0007】
前記噴霧された霧尿は、ファンにより強制対流し、一部は空気中に気化され、一部は微生物担持基材の表面に付着して、微生物と混合し分解能力を促進する。
【0008】
前記霧尿はドライフォグ(濡れない霧)の状態に近いものである。その為、微生物担持基材に対する温度変化はほとんど大気の温度と変わらなく、もしくは少し高い状態で噴霧される。(超音波振動子により尿が温められる為)また汚物処理槽に直接尿を散布・流入する場合と違い汚物処理槽内は温度が下がらないので、霧尿の蒸発速度を速めることができる。
【0009】
前記汚物処理槽は、換気用ファン(図3)をもち、処理槽内の空気を強制対流させ、尿の気化による水分の飽和状態を防ぐ構造とする。換気用ファンは水タンクを負圧にし、その圧力差により臭気・浮遊物等を吸引し、水をフィルターとして使用又はそれに準じた構造を持つフィルターを通し対流による空気を外部に放出することにより、臭気及び不純物等を除去した空気となり周囲環境に考慮したものである。
【0010】
前記換気用ファン17は、収集ホース18で臭気及び霧尿を吸引し、水タンク及びフィルター16に空気を送風する。水フィルター16で洗浄された空気は換気用ホース20から外気へ放出される。
【0011】
前記尿の霧化は、霧発生装置3尿受槽6を経由、尿が直接汚物処理槽7に流れ込むことがなく、尿を処理する簡易式トイレを提供するものである。
【0012】
前記霧化する方法の手段として、霧発生器3の中にある超音波振動子3bを用い尿の霧化を行なう。霧化した尿は霧発生器3に付属しているファンによりホース15により汚物処理槽7に噴霧される。
【0013】
前記霧発生器3に使用する霧発生装置は超音波振動子3bをあげたが、その他にそれと同等もしくは同様に霧を発生させるものであってもよい。
【0014】
前記霧発生器3で発生された霧尿は、オゾン発生器4の発生するオゾンと霧発生器3の中で混合され、ファン3aで送風しホース15から汚物処理槽7に噴霧する。
【0015】
前記オゾン発生器4オゾンは湿度が高いほど消臭・殺菌効果が高くなる性質があり、霧発生器3で霧尿化された尿と混合されたオゾンは通常の空気中に放電されたオゾンと比較して数段の消臭・殺菌効果が認められる。
【0016】
前記ホース15で噴霧された霧尿は、消臭・殺菌された状態で汚物処理槽7に入り、微生物の働きを補助し良い環境を維持することができる。
【0017】
前記ホース15から汚物処理槽7に噴霧される霧尿は汚物処理槽7の周囲に円形に取付られたパイプ状のもので噴霧穴が下方または斜め下方に多数あけられ、容易に霧尿が微生物担持基材と接することができる構造のものとし、材質は尿・薬品等の腐食に耐えられるものとする。
【0018】
前記霧発生器3で霧尿を連続して発生させるには、ポンプ5にて尿を霧発生器3尿受槽6と循環させる。
【0019】
前記ポンプ5は霧発生器3の霧発生部品と動きが連動するものとする。尿が霧発生器3のオーバーフローバルブ10aよりこぼれ出て、尿受槽6の一定量に貯蓄されたとき、ポンプ5が動きホース12ポンプ5ホース11霧発生器3と尿を循環させ霧尿をつくる。
【0020】
前記ポンプ5は尿受槽6に尿が一定量に達しなかったり霧発生器3の霧発生が停止した場合、ポンプ5は停止する構造とする。
【0021】
前記尿受槽6は霧発生器3のオーバーフローバルブ10aよりホース10を経由して尿受槽6に尿が流れ込む。
【0022】
前記尿受槽6に流入された尿はポンプ5霧発生器3の間を循環する。
【0023】
前記尿受槽6が一定量以下になったり、霧発生器3が霧を発生しなくなった場合ポンプ5は停止し、霧発生器3のドレーンコック13aを手動で開きホース13尿受槽6へ尿を流すことができる。
【0024】
前記霧発生器3は霧尿発生の効果を高める為、一定量の尿しか入らない構造とする。便器1より発生した尿は、ホース8経由フィルター2、ホース9、霧発生器3オーバーフローバルブ口、ホース10、尿受槽6、ホース12、ポンプ5、ホース11、霧発生器3に入り循環する。
【0025】
前記霧発生器3は尿の量が少量であったり、霧尿化の能力が著しく向上等した場合等は循環等せず、直接汚物処理槽7に噴霧することができる。
【0026】
撤去または移動等する場合、前記霧発生器3に残留された尿は、手動操作でドレーンコック13aを開きホース13にて尿受槽6にいれる。
【0027】
尿受槽6の残留尿はポンプ5でホース14より直接汚物処理槽7に注入される。残留尿は少量であるので、汚物処理槽7の微生物等は通常の状態が維持される。
【0028】
前記霧発生器3オゾン発生器4ポンプ5汚物処理槽7の電源は通常交流電源を使用、燃料電池等地球温暖化に貢献できる直流交流インバータを備えている。
【0029】
霧化発生装置は二つの電極を有し、尿を電気分解し水素及び酸素を発生させ、燃料電池の燃料として供給するものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、尿を霧化することにより汚物処理槽7をより良い環境のもとに保ち、微生物の働きを促進させるものである。
【0031】
水フィルターを使用することにより、大気中に粉塵および尿霧を放出することなく常にきれいな空気を排出し消臭等環境に考慮したものです。
【0032】
また、オゾン発生装置4は、霧発生器3の尿の霧化で高湿度になるので、オゾンと霧尿の混合が尿を霧化する前と比較して、空気中の消臭および殺菌の効果があがる。
汚物処理槽7の微生物の働きをより活性化させる。
【0033】
前記9,10項で霧尿の排出方法を提示したが、霧尿噴霧用ホース15にヒーター22(銅線・セラミック等使用)を取付、霧尿をヒーターで加熱する。加熱された霧尿は乾燥空気となり空気中に飽和水蒸気量の範囲内として含有される。この空気は前項14,15項と同様オゾン装置を通過するため、消臭・殺菌効果は継続され、水フィルターを通して外気へ放出することができる、また直接外気へ放出することもできる。
【0034】
道路工事現場、ビル建設現場、キャンプ場、山岳用トイレ等下水施設の整備されない場所での簡易トイレとして役立ちます。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】簡易式トイレの霧尿化のレイアウト図
【符号の説明】
1. 小便器 2. フィルター
3. 霧発生器 4. オゾン発生器
5. ポンプ 6. 尿受槽循環用
7. 汚物処理槽 8. ホース1
9. ホース2 10. ホース3 オーバフロー循環
11. ホース4 吐出用循環 12. ホース5 吸入用循環
13. ホース6 ドレーン用 14. ホース7 残留尿用
15. ホース8 霧尿噴霧用 16) 水タンク及びフィルター
17) 換気用ファン 18) 収集ホース
19) 吸引ホース 20) 排気用ホース
【図2】
霧発生器
【符号の説明】
3a.送風ファン 3b.霧化ユニット 3c.水位センサー 3d.電源コンセント
9a.吸入バルブ 10a.オーバーフローバルブ
11a.吐出バルブ 13a.ドレーンコック 15a.霧用吐出バルブ
21a..電極 21b.電極 22.ヒーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
男子用小便器と微生物の担持基材を内臓した汚物処理槽及びそれらをつなぐ配管を有する仮設型簡易式トイレにおいて、配管途中の側面の一部にオゾン発生装置、霧化ユニット及び発生した霧を送るファンの霧発生装置を有することを特徴とする仮設型簡易式トイレ(以後簡易式トイレという)。
【請求項2】
前記オゾン発生装置は霧発生用霧化ユニットと連動して動き、霧化発生装置から着脱可能な構造の請求項1記載の簡易式トイレ。
【請求項3】
霧発生装置がオーバーフローによりこぼれた尿を溜める受槽及び受槽から霧化ユニットへオーバーフローした尿を循環させるためのポンプおよび配管を有し、汚物処理槽の後部に排気用空気放出路に水フィルターを設けた請求項1.2記載の簡易式トイレ。
【請求項4】
霧化ユニット、オゾン発生装置、尿を循環させるためのポンプを稼動させる電池が燃料電池であり、尿を電気分解をし、燃料電池の燃料となる水素を発生する請求項1.2及び3記載の簡易式トイレ。
【請求項5】
霧発生装置がオーバーフローによりこぼれた尿を溜める受槽及び受槽から霧化ユニットへオーバーフローした尿を循環させるためのポンプおよび配管を有し、その配管の霧尿噴霧用ホース又は汚物処理槽の後部の排気用空気放出路に霧尿乾燥用ヒーターを設けた請求項1.2.3.4記載の簡易式トイレ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−240383(P2010−240383A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286925(P2009−286925)
【出願日】平成21年11月28日(2009.11.28)
【出願人】(503234159)合資会社レールローダサービス (2)
【Fターム(参考)】