説明

簡易畦畔

【課題】 圃場を簡単に区分できると共に、畦畔部を通して用水が隣りの区画から浸入したり、逆に浸出することのない簡易畦畔を提供する。
【解決手段】 長尺の畦畔ブロックaを圃場の所定箇所に設置し、その下端部を地中に埋設させて順次接続すると共に、プラスチックシートbを畦畔ブロックaに添わせて地中に埋設する。
【効果】 簡単に圃場に設置できると共に、畦畔部を通して用水が隣りの区画から浸入したり、逆に浸出するのを未然に防止できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水田等に設置して圃場を簡単に区分できると共に、畦畔部での用水の漏洩を未然に防止できる簡易畦畔に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から田畑等では、同一の圃場を数年間のインターバルで水田と畑地に転換する田畑輪換が行なわれている。この田畑輪換は連作障害の回避、病虫害・雑草の抑制等に効果があり、土地生産力の向上、減農薬農業の視点から田畑輪換の確立・展開が求められている。そして、圃場を水田として使用する場合には、土盛りをしたり、コンクリート製の畦畔ブロックを敷き並べて圃場を所定区画に区分すると共に、暗渠排水、給水設備などを設置し、畦畔で区分した単位区画毎に用水の一元管理を行なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、水田の用水管理を単位区画毎に行なう場合には、畦畔部を通して隣りの区画から用水が浸入したり、逆に浸出するのを防止しなければならないが、従来の土盛りやコンクリート製の畦畔ブロックを敷き並べただけでは用水の出入りを防止することができなかった。特に、畦畔の地下部分を通しての用水の出入りを防止することは殆ど不可能であった。
【0004】本発明は、かかる課題を解決したものであって、圃場を区分する畦畔を簡単に設置できると共に、該畦畔部を通して用水が隣りの区画から浸入したり、逆に浸出するのを未然に防止できる簡易畦畔を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、圃場を区分する簡易畦畔であって、圃場の地表面に沿って設置されると共にその下端部が地中に埋設される長尺の畦畔ブロックと、帯状のプラスチックシートとからなり、畦畔ブロックを圃場の所定箇所に設置して順次接続すると共に、プラスチックシートを畦畔ブロックに添わせて地中に埋設したことを特徴とする。
【0006】請求項2の発明は、畦畔ブロックがステップ部と、該ステップ部を下方から支持してその沈み込みを防止する脚部とからなることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を示す簡易畦畔を圃場に設置した状態の断面図、図2は本発明の他の実施例を示す簡易畦畔の展開斜視図、図3は図2に示した簡易畦畔を圃場に設置した状態の断面図、図4は更に他の実施例を示す簡易畦畔の展開斜視図、図5は図4に示した簡易畦畔を圃場に設置した状態の断面図、図6は更に他の実施例を示す簡易畦畔の断面図である。
【0008】本発明の簡易畦畔は圃場を所定区画に区分するものであって、圃場の地表面に沿って設置されると共にその下端部が地中に埋設される長尺の畦畔ブロックaと、帯状のプラスチックシートbとで構成されるものである。
【0009】まず、図1に示した簡易畦畔について説明する。畦畔ブロックaは上面が狭幅で、下面が広幅となった断面台形状に形成されており、紙面と直交する方向に所定長さを有する長尺に形成されている。また畦畔ブロックaの下面中央には突起11が設けられており、該突起11には下方に開口したスリット12が設けられている。尚、畦畔ブロックaは塩ビ樹脂、ポリエチレンなどのプラスチック、あるいはこれらの廃プラを射出成形して製造することができる。
【0010】一方、プラスチックシートbは塩ビ樹脂、ポリエチレンなどのプラスチックシート、あるいは比較的肉薄のフイルムが使用できる。この実施例のプラスチックシートbは比較的肉厚のものを使用するのが好ましく、該シートbを前記スリット12に嵌入してから畦畔ブロックaを圃場に設置して順次接続する。
【0011】この時、プラスチックシートbを垂直にして所定深さまで地中に埋設すると共に、畦畔ブロックaの下端部に設けた突起11を地中に埋没させる。畦畔ブロックaの高さH、及びプラスチックシートbの埋め込み深さDは、圃場の土質、施工条件等に応じて適宜設定することができるが、一般には高さHを200〜400mm、深さDを400〜1000mmの範囲で適宜設定すればよい。この様にすると、圃場は畦畔ブロックaとプラスチックシートbによって所定区画に区分され、畦畔やその地下部分を通して隣りの区画から用水が浸入したり、逆に浸出することがない。この実施例の場合、畦畔ブロックaの下面が広幅となっているので、その上面を農作業者が畦道として歩行しても、畦畔ブロックaが沈み込むことはない。
【0012】図2及び図3に示した畦畔ブロックaは、ステップ部1と、該ステップ部1を下方から支持する脚部2の2部材から構成されている。ステップ部1は平板13の一側端に下方に垂下する遮蔽板131を設けると共に、その他側端に下方に垂下する一対の垂下片132,132を設けたものであって、遮蔽板131と内側の垂下片132とが長手方向の所定間隔毎に支持板133で固定されている。一方、脚部2は垂直板21と水平板22によって断面L字状に形成されており、垂直板21と水平板22とが長手方向の所定間隔毎にガセット23で固定されている。
【0013】この実施例の簡易畦畔を圃場に設置する場合、ステップ部1の垂下片132,132間に脚部2の垂直板21の上端を嵌入して固定すると共に、肉薄のプラスチックシートbの上端を挟み込む。そこで、図3に示した如く、ステップ部1の遮蔽板131の下端部と脚部2とを地中に埋設すると共にプラスチックシートbを脚部2に沿わせて地中に埋設する。すると、畦畔ブロックaとプラスチックシートbによって圃場が所定区画に区分されると共に用水の出入りが未然に防止される。この実施例の簡易畦畔は圃場の周辺に畦畔を設置する場合に適しており、農作業者がステップ部1の上面を畦道として歩行することができる。
【0014】図4の簡易畦畔は前記実施例の変型例を示したものである。ステップ部1は平板14の両側端に下方に垂下する遮蔽板141,141を設けると共に、その下面中央に一対の垂下片142,142を設けたものであって、それぞれの遮蔽板141と垂下片142とが長手方向の所定間隔毎に支持板143で固定されている。一方、脚部2は前記実施例と同様に垂直板21と水平板22によって断面L字状に形成されており、垂直板21と水平板22とが長手方向の所定間隔毎にガセット23で固定されている。
【0015】この実施例では2個の脚部2,2を準備し、それぞれの脚部2,2の垂直板21,21を背中合せにしてその間にプラスチックシートbを挟み込んでからステップ部1の下面中央に設けた垂下片142,142の間に嵌入する。そこで、図5に示した如く、脚部2,2を地中に埋設すると共にプラスチックシートbを脚部2に沿わせて地中に埋設することにより圃場を所定区画に区分することができる。
【0016】図6は更に本発明の他の実施例を示したものであって、ステップ部1を図4(及び図5)とほぼ同じ構成とすると共に、脚部2を断面逆T字状としたものである。即ち、この実施例の脚部2は水平板25の中央から垂直板24を立ち上げて断面逆T字状に形成したものであって、該脚部2の垂直板24にプラスチックシートbを被せてから該垂直板24の上端をステップ部1の下面中央に設けた垂下片142,142の間に嵌入して地中に埋設する。この実施例の場合も前記実施例と同様の効果が期待できる。
【0017】
【発明の効果】以上詳述した如く、本発明は畦畔ブロックを圃場の所定箇所に設置すると共にその下端部を地中に埋設して順次接続し、またプラスチックシートを畦畔ブロックに添わせて地中に埋設するだけで設置できるので、圃場を簡単に区分できると共に、畦畔が不要となったときにも簡単に撤去することができる。また、本発明の簡易畦畔は畦畔ブロックに添わせてプラスチックシートを地中に埋設するので、区画毎の用水の出入りを完全に遮断することができるため、畦畔で区分した単位区画毎に用水の一元管理を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例を示す簡易畦畔を圃場に設置した状態の断面図である。
【図2】図2は本発明の他の実施例を示す簡易畦畔の展開斜視図である。
【図3】図3は図2に示した簡易畦畔を圃場に設置した状態の断面図である。
【図4】図4は更に他の実施例を示す簡易畦畔の展開斜視図である。
【図5】図5は図4に示した簡易畦畔を圃場に設置した状態の断面図である。
【図6】図6は更に他の実施例を示す簡易畦畔の断面図である。
【符号の説明】
a 畦畔ブロック
b プラスチックシート
1 ステップ部
2 脚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 圃場を区分する簡易畦畔であって、圃場の地表面に沿って設置されると共にその下端部が地中に埋設される長尺の畦畔ブロック(a)と、帯状のプラスチックシート(b)とからなり、畦畔ブロック(a)を圃場の所定箇所に設置して順次接続すると共に、プラスチックシート(b)を畦畔ブロック(a)に添わせて地中に埋設したことを特徴とする簡易畦畔。
【請求項2】 畦畔ブロック(a)はステップ部(1)と、該ステップ部(1)を下方から支持してその沈み込みを防止する脚部(2)とからなることを特徴とする請求項1記載の簡易畦畔。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開平9−209345
【公開日】平成9年(1997)8月12日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−19738
【出願日】平成8年(1996)2月6日
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【出願人】(596029085)株式会社パディ研究所 (28)