説明

米の精白

米を精白するための方法であって:玄米を、好ましくは水と、糖または糖アルコールを包含するその誘導体、および塩化ナトリウムのうちの少なくとも1つから選択される添加物とを含む湿潤剤で湿潤させる工程;および前記湿潤させた玄米を、好ましくは前記湿潤させる工程の直後に精白する工程を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に白米の製造における米の精白に関する。
【背景技術】
【0002】
従来型精米を行うと、達成可能な最高の上白米収率は約67%であり、その内約15%は「砕米」と呼ばれる砕米粒であり、残りは約52%の収率の非砕上白米である。図1は、アメリカ長粒米の従来型精米において達成可能な平均収率を示しているサンキーダイアグラムである[1]。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、所定の白度に対して低下した砕米率を提供する米の精白方法を提供することである。理解されるように、全世界で加工される米の量を前提にすると、砕米のパーセンテージの減少は、特に有意義である。
【0004】
当分野においては、高度に精製された米を達成するために水添加を使用することは公知である[2]。
【0005】
精米における酵素の使用もまた開発中である。Arora et al.[3]は、玄米(バスマティ米(Basmati))の精米における酵素による前処理の使用について開示しているが、この場合はセルラーゼが玄米上に噴霧され、引き続いて精米されると、砕米のパーセンテージの減少が生じる。Das et al.[4,5]は、ぬか層を分解させるためにキシラナーゼおよびセルラーゼを使用し、その後にゼラチン化プロセスを完了して残留酵素を不活化するために蒸気洗いを行う、玄米(バスマティ米)の酵素による前処理の使用について開示している。Hay et al.[6]は、ペクトリアーゼY−23を使用するアリューロンおよびサブアリューロン細胞の酵素的浸軟について開示している。
【0006】
しかし酵素は高価であり、それらを様々な種類の米とともに使用することは、酵素の活性が例えば米の種類、酵素濃度、pH、バッファーのイオン強度、温度、接触時間および含水量を包含する多数の因子に依存するという事実によって、複雑化される。
【0007】
そこで本発明の特別な目的は、改良された精白方法、および特に酵素に基づく湿潤剤を必要としない方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様では、本発明は、米を精白するための方法であって:玄米を、好ましくは水と、糖または糖アルコールを包含するその誘導体、および塩化ナトリウムのうちの少なくとも1つから選択される添加物とを含む湿潤剤で湿潤させる工程と;および該湿潤させた玄米を、好ましくは該湿潤させる工程の直後に精白する工程とを含む方法を提供する。
【0009】
1つの実施形態では、湿潤剤は水を含む。
【0010】
1つの実施形態では、湿潤剤は酵素を含有しない。
【0011】
1つの実施形態では、湿潤剤はさらに添加物を含む。
【0012】
1つの実施形態では、湿潤剤は室温で添加物により100%飽和している。
【0013】
1つの実施形態では、湿潤剤は室温で添加物により少なくとも25%飽和しており、好ましくは室温で添加物により少なくとも50%飽和しており、好ましくは室温で添加物により少なくとも75%飽和している。
【0014】
1つの実施形態では、添加物は、湿潤剤の10重量%未満、好ましくは湿潤剤の5重量%未満を含んでいる。
【0015】
1つの実施形態では、添加物は、吸湿性添加物である。
【0016】
1つの実施形態では、添加物は、糖または糖アルコールを包含するその誘導体、および塩化ナトリウムのうちの少なくとも1つを含んでいる。糖類には、グルコース、フルクトースおよびガラクトースを包含する単糖類、ならびにスクロースおよびマルトースを包含する二糖類が包含される。他の糖アルコール類には、グリコール、グリセロール、エリトリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、マンニトール、ズルシトール、イジトール、イオスマルト(iosmalt)、マリトール、ラクチトールおよびポリグリシトールが包含される。
【0017】
1つの実施形態では、添加物は、糖を含む。
【0018】
また別の実施形態では、添加物は、糖アルコール、好ましくはソルビトールを含む。
【0019】
また別の実施形態では、添加物は、塩化ナトリウムを含む。
【0020】
1つの実施形態では、湿潤させる工程は、例えば玄米と湿潤剤を一緒に混合することによって、湿潤剤を玄米に適用する工程を含んでいる。
【0021】
1つの実施形態では、湿潤剤は、例えば1つの容器内で混合することによって、バッチプロセスで玄米に適用される。
【0022】
また別の実施形態では、湿潤剤は、例えば玄米および湿潤剤の連続供給物を混合することによって、連続プロセスで玄米に適用される。
【0023】
1つの実施形態では、湿潤剤は、スプレーまたはミストとして適用される。
【0024】
1つの実施形態では、湿潤剤は、玄米に2分間未満、好ましくは1.5分間未満、好ましくは1分間未満、または約1分間適用される。
【0025】
1つの実施形態では、湿潤させる工程は、湿潤剤を玄米に適用した後の静止期間を包含する。
【0026】
1つの実施形態では、静止期間は、30分未満、好ましくは10分間未満、好ましくは2分間未満、好ましくは1分間未満、または約1分間である。
【0027】
1つの実施形態では、湿潤剤は、玄米に2重量%未満、好ましくは1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満の量で加えられる。
【0028】
1つの実施形態では、精白する工程は、40ケット(Kett)の白度を達成するために実施される。
【0029】
1つの実施形態では、精白する工程は湿潤させる工程の前に実施されない。
【0030】
1つの実施形態では、湿潤させた玄米を精白する工程は、該湿潤させた玄米を機械的に精白する工程、好ましくは該湿潤させた玄米を研磨する工程を含んでいる。
【0031】
1つの実施形態では、本方法は、剥離されたぬかおよび砕米から上白米を分離する工程をさらに含んでいる。
【0032】
以下では、本発明の好ましい実施形態について例示の目的のためだけに添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】アメリカ長粒米の従来型精米において達成可能な平均収率を例示しているサンキーダイアグラムである(砕米について、2%は上白米の長さの1/4、5%は1/2、および8%は3/4である)。
【図2】実施例1〜4の方法における加工処理工程を例示する図である。
【図3】実施例1の方法について所定の精米重量に対する精米時間の関数としての白度のプロットを示す図である。
【図4】実施例1の方法について所定の精米重量に対する精米時間の関数としての砕米のパーセンテージのプロットを示す図である。
【図5】実施例2の方法について予備精白する工程についての精米時間の関数としての白度および砕米のパーセンテージのプロットを示す図である。
【図6】実施例2の方法について最終精白する工程後の所定の精米重量に対する精米時間の関数としての白度のプロットを示す図である。
【図7】実施例2の方法について最終精白する工程後の所定の精米重量に対する精米時間の関数としての砕米のパーセンテージのプロットを示す図である。
【図8】実施例3の方法について最終精白する工程後の様々なサンプルについての白度の関数としての砕米のパーセンテージのプロットを示す図である。
【図9】図8のプロットにおける区域Aの拡大図である。
【図10】実施例4の方法について最終精白する工程後の様々なサンプルについての白度の関数としての砕米のパーセンテージのプロットを示す図である。
【図11】実施例5の方法における加工処理する工程を例示する図である。
【図12(a)】実施例5の方法にしたがった、10秒間の精米時間に対する湿潤剤中の添加物の飽和率の関数としての白度のプロットを示す図である。
【図12(b)】実施例5の方法にしたがった、20秒間の精米時間に対する湿潤剤中の添加物の飽和率の関数としての白度のプロットを示す図である。
【図12(c)】実施例5の方法にしたがった、30秒間の精米時間に対する湿潤剤中の添加物の飽和率の関数としての白度のプロットを示す図である。
【図12(d)】実施例5の方法にしたがった、1分間の精米時間に対する湿潤剤中の添加物の飽和率の関数としての白度のプロットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、本発明について非限定的な実施例を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0035】
本実施例は、図2(a)に示したように、単一の精白する工程を含んでいる。
【0036】
本実施例では、下記の工程を実施した:
玄米(グラディオ(Gladio)米)500gの1バッチを精米機(McGill No.3精米機(米国Rapsco社))のカバー内に装填した。精米チャンバーをカバーが上部に来るまで回転させ、カバーをぴったり合わせ、精米チャンバーを固定した。
【0037】
加圧キャップ、加圧レバー、おもりかけ、および既定のおもりをカバーに装着し、その後規定時間にわたって精米機を作動させた。この手順をバッチに対して5、7、10、12および15ポンドのおもり、および5、10、15、20および30秒間の精米時間で繰り返した。
【0038】
生じた米および剥離されたぬかを次にサンプルバッグ内に移し、冷却させた。
【0039】
生じた米およびぬかは次に、1.12のメッシュサイズを有するふるいを備え、1分間にわたり350rpmで作動させたシフター(AS400シフター(Retsch社、ドイツ国))を用いて分離した。分離された米は、上白米および砕米を含んでいる。
【0040】
上白米は、次に砕米から、変速駆動装置(VLT−3003型(Danfoss社、スイス国))を有する選別機(Mini−Petkus選別機(Roeber社、ドイツ国))を使用して分離した。2mmの丸穴および振動ふるいを含む第1分類、ならびに5.5mmのくぼみおよび水平トラフを備える選別機スリーブを含む第2分類を備える単一通路を使用した。供給速度は最低とし、吸引は使用しなかった。
【0041】
含水量および上白米の白度を次に決定した。含水量は、単粒水分検出器(PQ−5101−1型(Kett社、米国))を使用して決定した。白度は、白度計(C−300型(Kett社、米国))を使用して測定した。
【0042】
図3は、所定の精米重量に対する精米時間の関数としての白度のプロットを示している。観察されるように、白度は、精米時間の増加および精米重量の増加に伴って増加する。
【0043】
図4は、所定の精米重量に対する精米時間の関数としての砕米のパーセンテージのプロットを示している。観察されるように、砕米のパーセンテージは、精米重量の関数として増加する。同様に観察されるように、これとは反対に、砕米のパーセンテージは精米時間の増加に伴って減少する。この原因は、小砕米が粉末に粉砕されることにある。
【0044】
約40ケットの白度に対しては、40.5±0.3ケットの白度、12.9±0.5%の砕米パーセンテージおよび8.5±0.3%の取り除かれたぬかのパーセンテージを前提に、最適な設定は10ポンドの精米重量および15秒間の精米時間であると決定された。
【実施例2】
【0045】
本実施例は、図2(b)に示したように、予備精白および最終精白する工程を含んでいる。
【0046】
本実施例では、下記の工程を実施した:
玄米(グラディオ米)700gの1バッチを精米機(McGill No.3精米機)のカバー内に装填した。精米チャンバーをカバーが上部に来るまで回転させ、カバーをぴったり合わせ、精米チャンバーを固定した。
【0047】
加圧キャップ、加圧レバー、おもりかけ、および既定のおもりをカバーに装着し、その後規定時間にわたって精米機を作動させた。本実施例では、この手順を1ポンドの重量および5、10および30秒間の精米時間にわたって実施した。
【0048】
生じた米および剥離されたぬかを次にサンプルバッグ内に移し、冷却させた。
【0049】
生じた米およびぬかは次に、1.12のメッシュサイズを有するふるいを備え、1分間にわたり350rpmで作動させたシフター(AS400シフター)を用いて分離した。分離された米は、上白米および砕米を含んでいる。
【0050】
上白米は、次に砕米から、変速駆動装置(VLT−3003型)を有する選別機(Mini−Petkus選別機)を使用して分離した。2mmの丸穴および振動ふるいを含む第1分類、ならびに5.5mmのくぼみおよび水平トラフを備える選別機スリーブを含む第2分類を備える単一通路を使用した。供給速度は最低とし、吸引は使用しなかった。
【0051】
含水量および上白米の白度を次に決定した。含水量は、単粒水分検出器(PQ−5101−1型)を使用して決定した。白度は、白度計(C−300型)を使用して測定した。
【0052】
図5は、精米時間の関数としての白度および砕米のパーセンテージのプロットを示している。本実施例では予備精米において取り除かれたぬかのパーセンテージを白度の測定値(ケット値)から決定したが、白度と予備精米において取り除かれたぬかのパーセンテージとの間には相関関係があり、これは予備精米において取り除かれたぬかのパーセンテージを白度の測定値から決定することを可能にする。最適精米時間は5秒間と決定され、これは26.7±0.3ケットの白度、10.0±0.1%の砕米パーセンテージおよび4.5±0.1%の取り除かれたぬかのパーセンテージを提供する。
【0053】
サンプルバッチの一部を容器内の水平振とうにかけた。
【0054】
予備精白した玄米500gの1バッチを次に精米機(McGill No.3精米機)のカバー内に装填した。精米チャンバーをカバーが上部に来るまで回転させ、カバーをぴったり合わせ、精米チャンバーを固定した。
【0055】
加圧キャップ、加圧レバー、おもりかけ、および既定のおもりをカバーに装着し、その後規定時間にわたって精米機を作動させた。本実施例では、バッチに対してこの手順を5および10ポンドの重量ならびに10、15、20および30秒間の精米時間にわたって実施した。
【0056】
生じた米および剥離されたぬかを次にサンプルバッグ内に移し、冷却させた。
【0057】
生じた米およびぬかは次に、1.12のメッシュサイズを有するふるいを備え、1分間にわたり350rpmで作動させたシフター(AS400シフター)を用いて分離した。分離された米は、上白米および砕米を含んでいる。
【0058】
上白米は、次に砕米から、変速駆動装置(VLT−3003型)を有する選別機(Mini−Petkus選別機)を使用して分離した。2mmの丸穴および振動ふるいを含む第1分類、ならびに5.5mmのくぼみおよび水平トラフを備える選別機スリーブを含む第2分類を備える単一通路を使用した。供給速度は最低とし、吸引は使用しなかった。
【0059】
含水量および上白米の白度を次に決定した。含水量は、単粒水分検出器(PQ−5101−1型)を使用して決定した。白度は、白度計(C−300型)を使用して測定した。
【0060】
図6および7は各々、所定の精米重量に対する精米時間の関数としての予備精白した米の最終精白後の白度および砕米のパーセンテージのプロットを示している。観察されるように、白度は精米時間の関数として増加するが、これは実施例1についての結果と一致する。40ケットの白度に対しては、最適な精米パラメータは10ポンドの精米重量および15秒間の精米時間と決定され、その結果、39.6±0.1ケットの白度、16±0.6%の砕米パーセンテージおよび8.2±0.1%の取り除かれたぬかのパーセンテージが得られる。
【実施例3】
【0061】
本実施例は、図2(c)に示したように、予備精白する工程、中間湿潤させる工程および最終精白する工程を含んでいる。
【0062】
本実施例では、下記の工程を実施した:
玄米(グラディオ米)700gの1バッチを精米機(McGill No.3精米機)のカバー内に装填した。精米チャンバーをカバーが上部に来るまで回転させ、カバーをぴったり合わせ、精米チャンバーを固定した。
【0063】
加圧キャップ、加圧レバー、おもりかけ、および既定のおもりをカバーに装着し、その後規定時間にわたって精米機を作動させた。本実施例では、予備精米する工程を1ポンドの重量で5秒間の精米時間にわたって実施した。
【0064】
生じた米および剥離されたぬかを次にサンプルバッグ内に移し、冷却させた。
【0065】
生じた米およびぬかは次に、1.12のメッシュサイズを有するふるいを備え、1分間にわたり350rpmで作動させたシフター(AS400シフター)を用いて分離した。分離された米は、上白米および砕米を含んでいる。
【0066】
上白米は、次に砕米から、変速駆動装置(VLT−3003型)を有する選別機(Mini−Petkus選別機)を使用して分離した。2mmの丸穴および振動ふるいを含む第1分類、ならびに5.5mmのくぼみおよび水平トラフを備える選別機スリーブを含む第2分類を備える単一通路を使用した。供給速度は最低とし、吸引は使用しなかった。
【0067】
この予備精白する工程後、分離した上白米500gの1バッチを1Lの容器内に装填し、電子式反復ピペットを使用して規定量の湿潤剤を加え、この容器を次に閉鎖して、既定接触時間にわたってこの場合は水平に振とうした。一部のサンプルバッチは、さらにその後の加工処理前に静止時間にかけた。
【0068】
様々なサンプルバッチを調製した:
(i)湿潤剤としての0.5重量%の水、1分間の接触時間、静止時間なし
(ii)湿潤剤としての1.0重量%の水、1分間の接触時間、静止時間なし
(iii)湿潤剤としての0.5重量%の水、2分間の接触時間、静止時間なし
(iv)湿潤剤としての1.0重量%の水、2分間の接触時間、静止時間なし
(v)湿潤剤としての0.5重量%の水、1分間の接触時間、29分間の静止時間
(vi)湿潤剤としての1.0重量%の水、1分間の接触時間、29分間の静止時間
【0069】
接触時間および任意の静止時間後、湿潤させた予備精白玄米のバッチをその後直ちに最終精白した。
【0070】
湿潤させた予備精白玄米のバッチを精米機(McGill No.3精米機)のカバー内に装填した。精米チャンバーをカバーが上部に来るまで回転させ、カバーをぴったり合わせ、精米チャンバーを固定した。
【0071】
加圧キャップ、加圧レバー、おもりかけ、および既定のおもりをカバーに装着し、その後規定時間にわたって精米機を作動させた。本実施例では、この手順を10ポンドの重量で15秒間の精米時間にわたって実施した。
【0072】
生じた米および剥離されたぬかを次にサンプルバッグ内に移し、冷却させた。
【0073】
生じた米およびぬかは次に、1.12のメッシュサイズを有するふるいを備え、1分間にわたり350rpmで作動させたシフター(AS400シフター)を用いて分離した。分離された米は、上白米および砕米を含んでいた。
【0074】
上白米は、次に砕米から、変速駆動装置(VLT−3003型)を有する選別機(Mini−Petkus選別機)を使用して分離した。2mmの丸穴および振動ふるいを含む第1分類、ならびに5.5mmのくぼみおよび水平トラフを備える選別機スリーブを含む第2分類を備える単一通路を使用した。供給速度は最低とし、吸引は使用しなかった。
【0075】
含水量および上白米の白度を次に決定した。含水量は、単粒水分検出器(PQ−5101−1型)を使用して決定した。白度は、白度計(C−300型)を使用して測定した。
【0076】
図8は、分離した上白米の精白度の関数としての砕米のパーセンテージのプロットを示している。観察されるように、湿潤させる工程は、穀粒間の増加した摩擦または研磨された米表面でのより高度の反射性によって説明できるより高い白度を提供する。さらに観察されるように、振とうする工程は、振とうを行う実施例2についての砕米のパーセンテージは、振とうなしの実施例2についての、砕米のパーセンテージについての標準偏差の範囲内にあることから、追加の砕米を誘発するとは思われない。さらに観察されるように、静止時間の提供は、砕米数の増加および白度の低下をもたらす。
【0077】
図9は、図8におけるプロットの区域Aの拡大図である。観察されるように、2分間というより長い接触時間は、湿潤剤の量とは無関係に砕米のより高いパーセンテージを生じさせる。さらに、1分間の接触時間を有するサンプルについては、より高い1重量%の量の湿潤剤は精米装置におけるより高度の固化を生じさせた。
【実施例4】
【0078】
本実施例は、図2(d)に示したように、予備精白する工程を伴う、および伴わない湿潤させる工程および最終精白する工程を含んでいる。
【0079】
本実施例では、下記の工程を実施した:
予備精白されたサンプルについて、玄米(グラディオ米)700gの1バッチを精米機(McGill No.3精米機)のカバー内に装填した。精米チャンバーをカバーが上部に来るまで回転させ、カバーをぴったり合わせ、精米チャンバーを固定した。
【0080】
加圧キャップ、加圧レバー、おもりかけ、および既定のおもりをカバーに装着し、その後規定時間にわたって精米機を作動させた。本実施例では、この手順を1ポンドの重量で5秒間の精米時間にわたって実施した。
【0081】
生じた米および剥離されたぬかを次にサンプルバッグ内に移し、冷却させた。
【0082】
生じた米およびぬかは次に、1.12のメッシュサイズを有するふるいを備え、1分間にわたり350rpmで作動させたシフター(AS400シフター)を用いて分離した。分離された米は、上白米および砕米を含んでいる。
【0083】
上白米は、次に砕米から、変速駆動装置(VLT−3003型)を有する選別機(Mini−Petkus選別機)を使用して分離した。2mmの丸穴および振動ふるいを含む第1分類、ならびに5.5mmのくぼみおよび水平トラフを備える選別機スリーブを含む第2分類を備える単一通路を使用した。供給速度は最低とし、吸引は使用しなかった。
【0084】
予備精白した上白米または予備精白する工程を実施しなかった玄米(グラディオ米)いずれかのバッチを1Lの容器内に装填し、電子式反復ピペットを使用して規定量の湿潤剤を加え、この容器を次に閉鎖して、既定接触時間にわたってこの場合は水平に振とうした。
【0085】
様々なサンプルバッチを調製した:
(i)湿潤剤としての0.5重量%の水、1分間の接触時間
(ii)湿潤剤としての0.5重量%のCelluclast(RTM)溶液(0.3重量%のCelluclast(RTM)および0.2重量%の水)、1分間の接触時間
(iii)湿潤剤としての0.5重量%のViscozyme(RTM)溶液(0.3重量%のViscozyme(RTM)および0.2重量%の水)、1分間の接触時間
(iv)湿潤剤としての0.5重量%のNaCl溶液(5重量%のNaCl水溶液)、1分間の接触時間
(v)湿潤剤としての0.5重量%のNaCl溶液(10重量%のNaCl水溶液)、1分間の接触時間
(vi)湿潤剤としての0.5重量%のソルビトール溶液(5重量%のソルビトール水溶液)、1分間の接触時間
(vii)湿潤剤としての0.5重量%のソルビトール溶液(10重量%のソルビトール水溶液)、1分間の接触時間
【0086】
湿潤させた玄米のバッチを次に精米機(McGill No.3精米機)のカバー内に装填した。精米チャンバーをカバーが上部に来るまで回転させ、カバーをぴったり合わせ、精米チャンバーを固定した。
【0087】
加圧キャップ、加圧レバー、おもりかけ、および既定のおもりをカバーに装着し、その後規定時間にわたって精米機を作動させた。本実施例では、この手順を10ポンドの重量および15秒間の精米時間、ならびに1ポンドの重量および15秒間の精米時間の両方で実施した。
【0088】
生じた米および剥離されたぬかを次にサンプルバッグ内に移し、冷却させた。
【0089】
生じた米およびぬかは次に、1.12のメッシュサイズを有するふるいを備え、1分間にわたり350rpmで作動させたシフター(AS400シフター)を用いて分離した。分離された米は、上白米および砕米を含んでいる。
【0090】
上白米は、次に砕米から、変速駆動装置(VLT−3003型)を有する選別機(Mini−Petkus選別機)を使用して分離した。2mmの丸穴および振動ふるいを含む第1分類、ならびに5.5mmのくぼみおよび水平トラフを備える選別機スリーブを含む第2分類を備える単一通路を使用した。供給速度は最低とし、吸引は使用しなかった。
【0091】
含水量および分離した上白米の白度を次に決定した。含水量は、単粒水分検出器(PQ−5101−1型)を使用して決定した。白度は、白度計(C−300型)を使用して測定した。
【0092】
図10は、分離した上白米の精白度の関数としての砕米のパーセンテージのプロットを示している。
【0093】
観察されるように、最終精白する工程における精米量の減少は白度および砕米のパーセンテージの減少をもたらす(右上のクラウドから左上のクラウドへ、および右下のクラウドから左下のクラウドへ)。
【0094】
さらに観察されるように、所定の精米重量に対する予備精白する工程の排除は、砕米のパーセンテージを有意に、そして白度をほんのわずかにのみ減少させる(右上のクラウドから右下のクラウドへ、および左上のクラウドから左下のクラウド)。
【0095】
さらに観察されるように、塩化ナトリウムおよびソルビトールだけを含有する湿潤剤は、水だけの使用と比較して約1ケットの増加した白度を示し、酵素の使用は、塩化ナトリウムおよびソルビトールだけを含有する湿潤剤を比較して増加した白度または砕米のパーセンテージの減少を提供しない。
【0096】
40ケットの白度を達成するために、塩化ナトリウムまたはソルビトールを含有する湿潤剤の使用は、約3.8%の上白米の収率の増加を達成する。理解されるように、図1のサンキーダイアグラムを参照することによって、上白米収率におけるこの増加は、特に加工処理される米の量を前提にすると、極めて有意である。
【0097】
この結果は、酵素の非存在を前提にすると特に驚くべきことである。湿潤剤中のソルビトールおよび塩化ナトリウム添加物の利点は、最終精白後およびその後の冷却期中の穀粒表面での水利用率の減少にあると仮定されている。
【実施例5】
【0098】
本実施例は、図11に示したように、予備精白する工程、中間湿潤させる工程および最終精白する工程を含んでいる。
【0099】
本実施例では、下記の工程を実施した:
予備洗浄して脱穀した玄米(パーボイルド稲(parboiled paddy)、アンドラ・ポニ(Andhra Poni))100gのサンプルは、20秒間の精米時間にわたって研磨式精米機で精米した。
【0100】
生じた米および剥離されたぬかを次にサンプルバッグ内に移し、冷却させ、および次にシフターを使用して分離した。
【0101】
分離された米は上白米および砕米を含み、上白米はその後に砕米から分離された。
【0102】
この予備精白する工程後、分離した上白米のバッチを容器内に装填し、規定量の湿潤剤をそれにミストまたはスプレーとして適用し、この容器を次に閉鎖して、上白米および湿潤剤を完全に混合した。
【0103】
混合後、サンプルバッチは、次にその後の加工処理前の1分間の静止時間にかけた。
【0104】
様々なサンプルバッチは、水単独(0%)、室温で25%の糖飽和溶液、室温で50%の糖飽和溶液、および室温で100%の糖飽和溶液を含む湿潤剤を用いて調製した。
【0105】
静止時間後、湿潤させた予備精白玄米のバッチをその後直ちに最終精白した。
【0106】
湿潤させた予備精白玄米のバッチは、10秒間、20秒間、30秒間および1分間の精米時間にわたって摩擦式精米機内で精米した。
【0107】
生じた米および剥離されたぬかを次にサンプルバッグ内に移し、冷却させ、および次にシフターを使用して分離した。
【0108】
分離された米は上白米および砕米を含み、上白米はその後で砕米から分離された。
【0109】
上白米の白度は、次に結果として生じるサンプル各々について決定した。
【0110】
本実施例について測定した結果を以下に示した。
【0111】
【表1】

【0112】
図12(a)〜図12(d)は、湿潤剤中の添加物の飽和率の関数としての白度のプロットを示している。観察されるように、水湿潤剤中の糖の飽和度が増加するにつれて白度が有意に増加する。
【0113】
最後に、本発明をその好ましい実施形態で記載してきたが、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱せずに多数の様々な方法で修飾できることを理解されたい。
【0114】
[引用文献]
[1] Kunde, Karl−Heinz, Reis − seine Bedeutung und Bearbeitung, Die Muhle + Mischfuttertechnik, Heft 32/33, 124, Jahrgang, 1987
[2] Champagne, Elaine T, Rice: Chemistry and Technology (Third Edition), American Association of Cereal Chemists, Inc., St Paul, Minnesota, USA, 2004
[3] Arora, Gopika et al, Optimization of Process Parameters for Milling of Enzymatically Pretreated Basmati Rice, Journal of Food Engineering, 82, 2007
[4] Das, Mithu et al, Enzymatic Polishing of Rice − A New Processing Technology, LWT − Food Science and Technology, 41, 2008
[5] Das, Mithu et al, Evaluation of Physiochemical Properties of Enzyme Treated Brown Rice (Part B), LWT − Food Science and Technology, 41, 2007
[6] Hay, Jordan O et al, Mechanical and Enzymatic Separation of Ripening Rice Caryopsis Tissues, Seed Science Research, 16, 2006

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米を精白するための方法であって:
玄米を湿潤剤で湿潤させる工程;および
前記湿潤させた玄米を前記湿潤させる工程後に機械的に精白する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記湿潤剤は、水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記湿潤剤は、酵素を含有しない、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記湿潤剤は、添加物をさらに含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記湿潤剤は、室温で前記添加物により100%飽和している、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記湿潤剤は、室温で前記添加物により少なくとも75%飽和している、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記湿潤剤は、室温で前記添加物により少なくとも50%飽和している、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記湿潤剤は、室温で前記添加物により少なくとも25%飽和している、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記添加物は、10重量%未満の前記湿潤剤を含む、請求項4〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記添加物は、5重量%未満の前記湿潤剤を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記添加物は、吸湿性添加物である、請求項4〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記添加物は、糖または糖アルコールを包含するその誘導体、および塩化ナトリウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項4〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記添加物は、糖を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記添加物は、糖アルコールを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記添加物は、ソルビトールを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記添加物は、塩化ナトリウムを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記湿潤させる工程は、例えば前記玄米と前記湿潤剤を一緒に混合することによって、前記湿潤剤を前記玄米に適用する工程を含む、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記湿潤剤は、例えば1つの容器内で混合することによって、バッチプロセスで前記玄米に適用される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記湿潤剤は、例えば前記玄米および前記湿潤剤の連続供給物を混合することによって、連続プロセスで前記玄米に適用される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記湿潤剤は、スプレーまたはミストとして適用される、請求項17〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記湿潤剤は、前記玄米に2分間未満にわたり適用される、請求項17〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記湿潤剤は、前記玄米に1.5分間未満にわたり適用される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記湿潤剤は、前記玄米に1分間未満にわたり適用される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記湿潤剤は、前記玄米に約1分間にわたり適用される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記湿潤させた玄米を精白する工程は、前記湿潤させる工程の直後に実施される、請求項1〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記湿潤させる工程は、前記湿潤剤を前記玄米に適用した後の静止期間を包含する、請求項1〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記静止期間は、30分間未満である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記静止期間は、10分間未満である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記静止期間は、2分間未満である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記静止期間は、1分間未満である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記静止期間は、約1分間である、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記湿潤剤は、前記玄米に2重量%未満の量で加えられる、請求項1〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記湿潤剤は、前記玄米に1重量%未満の量で加えられる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記湿潤剤は、前記玄米に0.5重量%未満の量で加えられる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
機械的に精白する工程は、前記湿潤させる工程の前に実施されない、請求項1〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記湿潤させた玄米を精白する工程は、前記湿潤させた玄米を精米する工程を含む、請求項1〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記上白米を前記剥離されたぬかおよび前記砕米から分離する工程をさらに含む、請求項1〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記精白する工程は、40ケットの白度を達成するために実施される、請求項1〜37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
米を精白するための方法であって:
玄米を湿潤剤で湿潤させる工程;および
好ましくは前記湿潤させた玄米を機械的に精白することによって、前記湿潤させた玄米を前記湿潤させる工程の直後に精白する工程
を含む、方法。
【請求項40】
実質的に、実施例3または実施例4を参照しながら上述した米を精白する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12(a)】
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【図12(b)】
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【図12(c)】
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【図12(d)】
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【公表番号】特表2013−505715(P2013−505715A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530334(P2012−530334)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001809
【国際公開番号】WO2011/036464
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(509174163)ビューラー ソーテックス リミテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】BUHLER SORTEX LTD
【Fターム(参考)】