籾摺機
【課題】 従来の籾摺機は、脱ぷ能力の大きいロール形態として、多段の揺動選別盤や多段の万石選別網等を用いて、振動、騒音が大きく、大型構成として、据付け場所が制限され易い。
【解決手段】 インペラ式の脱ぷ装置1と、脱ぷ装置1で脱ぷされた穀粒を風選する風選室2と、風選室2底部の流穀板21を流下する穀粒を受けて揚穀しながら粒径選別して仕上玄米を取り出す選別部8を設け、該選別部8は回転外周面に揚穀ラセン4を有して縦軸周りに回転する揚穀胴5と、揚穀胴5の外周部を覆い多数の選別孔を形成する選別網筒6とを備えたことを特徴とする籾摺機の構成。
【解決手段】 インペラ式の脱ぷ装置1と、脱ぷ装置1で脱ぷされた穀粒を風選する風選室2と、風選室2底部の流穀板21を流下する穀粒を受けて揚穀しながら粒径選別して仕上玄米を取り出す選別部8を設け、該選別部8は回転外周面に揚穀ラセン4を有して縦軸周りに回転する揚穀胴5と、揚穀胴5の外周部を覆い多数の選別孔を形成する選別網筒6とを備えたことを特徴とする籾摺機の構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
インペラ式の脱ぷ形態の脱ぷ装置を用いた籾摺機に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴムロールによる摩擦脱ぷ形態の脱ぷ装置と、揺動選別盤による摺出米選別装置、及び縦形回転選別筒による玄米選別装置等を組合せて構成した籾摺機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5ー7843号公報(第2頁、図1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、小形、簡易で、安価な籾摺機を構成するものである。前記特許文献のように、従来の籾摺機は、脱ぷ能力の大きいロール形態として、多段の揺動選別盤や多段の万石選別網等を用いて、振動、騒音が大きく、大型構成として、据付け場所が制限され易いものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、インペラ式の脱ぷ装置1と、脱ぷ装置1で脱ぷされた穀粒を風選する風選室2と、風選室2底部の流穀板21を流下する穀粒を受けて揚穀しながら粒径選別して仕上玄米を取り出す選別部8を設け、該選別部8は回転外周面に揚穀ラセン4を有して縦軸周りに回転する揚穀胴5と、揚穀胴5の外周部を覆い多数の選別孔を形成する選別網筒6とを備えたことを特徴とする籾摺機とする。
【0006】
脱ぷ装置で脱ぷされた穀粒は風選室2へ移送されて選別風を受けて風選される。この風選室2で籾殻や塵埃等を吸引除去されて流穀板21に受けられた穀粒(籾と玄米の混合米)が、前側の選別部8の底部へ流入し、この選別部8内の揚穀胴5の回転によって、揚穀ラセン4により揚穀されながら、選別網筒6による粒径選別作用を受ける。揚穀行程中に屑米が選別された後に玄米が選別される。
【0007】
請求項2に記載の発明は、選別部(8)で選別され選別部(8)の上端口(9)に移送された選別籾を脱ぷ装置1へ戻しする戻し漏斗10を設けたことを特徴とする請求項1記載の籾摺機とする。
【0008】
選別部8による粒径選別作用を受ける。揚穀行程中に屑米が選別された後に玄米が選別される。最上部まで選別されずに移送された籾が選別部8の上端口9から戻し漏斗10へ戻されて、再度脱ぷ装置1へ戻し供給される。
【0009】
請求項3に記載の発明は、選別部8から取出される玄米を受けて計量する計量台11を設け、計量台11による計量によって脱ぷ装置1への籾量を調節する供給シャッタ32の開度を連動調節可能に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の籾摺機とする。
【0010】
計量台11の計量により設定する能率より高い場合には供給シャッタ32の開度を狭くして供給する籾量を減少させる。一方、設定する能率より低い場合には供給シャッタ32の開度を広げて供給する籾量を増加させる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、風選室2と選別部8との接合部には、選別部8内から風選室2へ通風する吸気口12を形成したことを特徴とする請求項1から請求項3いずれか記載の籾摺機とする。
【0012】
選別部8内部には、吸気口12を通して風選室2内の吸引風圧が働いているため、この吸引風によって選別部8内の塵埃が風選室2に吸引される。
請求項5に記載の発明は、前記選別籾の戻しされる戻し漏斗10に玄米を漏下させる選別網14を設ける。
【0013】
前記のように選別部8の選別網筒6内を揚穀胴5の回転によって揚送される玄米は、この選別網筒6の外周部に漏斗選別されて外部へ取出される。この選別部8の上端部に残った籾が上端口9から排出されて、後側の戻し漏斗10へ戻しされて、この戻し漏斗10の底部の選別網14を流下する間に、戻し籾内に混入する玄米を漏下選別して風選室2へ戻し、籾だけを脱ぷ装置1へ戻して再脱ぷさせる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明は、インペラ式の脱ぷ装置1と、風選室2と、粒径選別する選別部8により、仕上玄米を取り出すことができ、従来の籾と玄米を選別する揺動選別装置や、穀粒を揚穀するため専用の昇降機を必要とせず、少ない構成要素で仕上玄米を取り出せるコンパクトな籾摺機とすることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、選別部8で籾を選別することができ、仕上玄米に籾が混入することを防止することができる。また、選別した籾を脱ぷ装置1に戻して脱ぷすることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、計量台11を籾漏斗15の供給シャッタ32と連動させる形態とすることで、籾摺作業能率に適した籾供給を行わせることができ作業効率を高めることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、風選室2と、この風選室2の前側に連設する選別部8との間を吸気口12で連通して、この選別部8内部を風選室2内に連通させて、吸引風を流すものであるから、構成を簡単にして、風選室2における吸引風圧を利用して選別部8内部の吸引塵作用を容易に行わせることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、選別部部の上端口9から戻し漏斗10へ戻しされる籾は、この戻し漏斗10内を脱ぷ装置1へ向けて流下供給される間に、選別網14部で混入玄米や、屑米等が選別されて、籾だけが脱ぷ装置1で再脱ぷ作用を受けて、既に脱ぷされている玄米や、屑米等が混入していても、この選別網14から風選室2へ落下選別されるため、玄米の二度摺りを防止し、効率的な脱ぷ作用を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】正面から見た籾摺機を説明する図。
【図2】側面から見た籾摺機の装置各部のレイアウトを説明する図。
【図3】平面から見た籾摺機の装置各部のレイアウトを説明する図。
【図4】正面から見た籾摺機の内部を説明する図。
【図5】籾摺操作制御部のブロック図。
【図6】脱ぷ装置を説明する図 (a)脱ぷ装置の外観図、(b)脱ぷ装置の内部を説明する図、(c)投穀ロータ
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面に基づいて、籾摺機は、箱形の風選装置3の上側に、籾漏斗15、及び戻し漏斗10を設け、風選装置3の前側に脱ぷ装置1を装着している。風選装置3の一側に選別部8、及び計量台11などを配置する。風選装置3の他側に吸引排塵ファン33の排塵筒16を設けて機体側方へ排塵する形態としている。風選装置3は、吸引排塵ファン33を前後方向のファン軸17周りに回転するように軸装し、このファンケース18の吸気口19を風選室2の風選終端部に連通して、風選室2内に吸引風を選別部8側から排塵筒16側へ流すように構成している。そして、ファンケース18の吐出口20を上方に突出する排塵筒16に連通している。
【0021】
風選装置3の風選室2の底部には選別部8側に向かって下り傾斜の流穀板21を備えて、下端の流下口22を、選別部8の下端部に構成される揚穀ラセン4の揚穀室23にのぞませる。又、風選室2の上部には、脱ぷ装置1から脱ぷ放出される摺出米を受けて反射拡散させる反射板24を設け、この反射板24の上方に、前記摺出米を放出案内する放出路25の放出口26を設ける。
【0022】
脱ぷ装置1は、いわゆるインペラ式と呼ばれる形態のもので、ロータ軸28周りに回転する投穀ロータ27と、この投穀ロータ27の回転外周部に形成される板状の衝撃盤29とを、ロータケース30に収容させた形態で、風選室2の前側部に配置し、このロータ軸28をファン軸17と同軸として、電動モータM1によって高速駆動回転する構成である。
【0023】
投穀ロータ27は供給筒34による案内によって前記籾漏斗15から投穀ロータ27の回転中心部へ供給される籾を、投穀ロータ27の回転によって跳ね上げながら衝撃盤29へ衝突させて脱ぷする形態である。又、投穀ロータ27の回転によって、脱ぷされた摺出米をロータケース30から前記放出路25へ案内させて風選室2へ投込搬送するものである。
【0024】
脱ぷ装置1の上側部に配置の籾漏斗15は、風選装置3の上側へ広く張り出して籾供給を受け易く形成している。籾漏斗15に隣接して戻し漏斗10を形成して、前記選別部8の上端口9をのぞませている。籾漏斗15下端部の漏斗口31に開口度を調節、乃至開閉する籾供給シャッタ32を設けて、籾供給シャッタ32をモータM3による開閉によって籾供給の開始や停止を行なうことができ、又、開口度を調節することによって籾供給量の調節を行なうことができる構成である。
【0025】
選別部8は、風選装置3を構成する機枠の側方の前後中央部に一体的に支持して取付ける構成で、選別部8は、縦軸芯に回転する揚穀軸35と一体的に回転する揚穀胴5と、揚穀胴5の外周を覆い選別する穀粒を粒径選別するための多数の選別孔を形成する網目状の選別網筒6、及び選別網筒6の外周を覆う外筒7等から構成される。
【0026】
揚穀胴5は回転周面に沿って揚穀ラセン4を形成し、この回転によって外側の選別網筒6との間に形成の揚穀室23内を穀粒を揚穀しながら穀粒を選別する。又、選別網筒6は、底部の適宜高さ位置の間には網目を形成しないで単なる筒状面の揚穀筒部6aを形成する。この揚穀筒部6aの上側に小米を選別する目合の比較的小さい小米選別筒部6bを形成し、更にこの上部に玄米を選別する目合いの比較的大きい玄米選別筒部6cを形成する。この玄米選別筒部6cの上側には開口部36を形成する排出筒部6dとして、前記上端口9に開口連通して、揚穀ラセン4の回転によって揚穀され、小米選別筒部6bや玄米選別筒部6cで選別されなかった籾を戻し漏斗10へ掻出案内するものである。
【0027】
選別部8の底部には、揚穀ラセン4を有する揚穀胴5の揚穀軸35を電動回転するモータM2を設ける。又、選別網筒6の外周面と外筒7の内周面との間には、前記最下段の揚穀筒部6aの下端部に仕切板37aを設け、前記小米選別筒部6bの下端部に仕切板37bを設け、玄米選別筒部6cの下端部に仕切板37cを設け、又、最上位の籾排出筒部6dの下端には仕切板37aを形成して、揚穀室23や、小米選別室38、玄米選別室39、籾選別室40の各底部を構成し、掻出羽根41、42の回転等により小米排出口43や、玄米排出口44、上端口9等へ各々排出することができる。又、前記各掻出羽根41、42を設ける形態では、これら掻出羽根41、42を有する小米選別筒部6bや排出筒部6d等を回転駆動する形態とすることができる。
【0028】
風選室2の流下板21の下端部の流下口22を、選別部8下部の揚穀室23に臨ませる。
脱ぷ装置1で脱ぷされた穀粒(摺出米)が風選室2で籾殻が風選されて、流下口22から揚穀室23へ流入されると、揚穀ラセン4の回転によって、選別網筒6の揚穀筒部6a内側の揚穀室23部を揚穀される。この揚穀によって上側の小米選別筒部6bへ揚穀されると、外周の小米選別筒部6bの目合から外周の小米選別室38へ屑米等の小米が漏出選別され、この小米を小米排出口43へ取出することができる。又、小米選別筒部6b内を揚穀されて上部の玄米選別筒部6c内を揚穀される玄米は、この目合から玄米が外周の玄米選別室39へ漏出選別されて、玄米排出口44へ排出される。又、玄米選別筒6c内を揚穀されて籾排出筒部6dへ至った籾は、開口部36から上端口9を経て、籾選別室40から戻し漏斗10へ排出される。
【0029】
戻し漏斗10の底面に玄米を漏下選別するための目合の選別網14を設ける形態にあっては、この戻し籾に混入する玄米や屑米が、この選別網14から直接下側の風選室2へ漏下されて選別部8で再選別されることとなり、脱ぷ装置1での無要な再脱ぷによる肌ずれを防止することができる。
【0030】
選別部8の玄米排出口44には、玄米ホッパ45を設けて、選別して取出された仕上玄米を収容し、下端部のホッパ口46から排出弁47を開くことによって、計量台11上に支持する玄米袋Fに供給して計量することができる。この玄米袋Fは一定量(例えば、30kg)毎に袋詰処理することができる。計量台11は風選装置3を搭載する籾摺基台48上に、選別部8と共に搭載して、不使用時は、籾摺基台48に対して折畳収納したり、押込収納可能の形態とすることができる。
【0031】
本実施の形態の籾摺機の配置形態では、作業者が脱ぷ装置1や、籾漏斗15、戻し漏斗10、及び選別部8などに最短の作業位置にあって、これら各部の監視や操作を行い易くし、玄米の袋詰計量操作を一人作業で容易に行うことができるものである。
【0032】
又、このような籾摺作業を行うために、コントローラ51の入力側に各部運転スイッチ52や、計量台11の計量センサ(ロードセル)53等を設け、出力側には、投穀ロータ27ヤ吸引排塵ファン33を駆動するモータM1や、揚穀ラセン4の揚穀胴5を駆動するモータM2、及び籾供給シャッタ32等の調節によって決められる作業能率や、玄米袋詰計量の重量等を表示する表示部54を配置している。そして、計量台11と籾供給シャッタ32を連動する形態では、例えば、計量台11における玄米の袋詰め速度に適合する脱ぷ速度、乃至脱ぷ能率となるように自動調節制御するものである。このほか、計量台11上の玄米袋Fが満量になって、一定時間を経ても袋替えが行われないときには、供給シャッタ32を一旦閉鎖するように連動構成することもできる。
【0033】
風選室2と選別部8を仕切る側壁部に吸気口12を形成して、風選室2の吸引風圧を選別部8内に働かせる形態では、小米風選室38の塵埃が吸気口12から風選室2内へ吸引排除されことができる。
【符号の説明】
【0034】
1 脱ぷ装置
2 風選室
3 風選装置
4 揚穀ラセン
5 揚穀胴
6 選別網筒
7 外筒
8 選別部
9 上端口
10 戻し漏斗
11 計量台
12 吸気口
13 送風ファン
14 選別網
15 籾漏斗
21 流穀板
27 投穀ロータ
29 衝撃盤
32 供給シャッタ
33 吸引排塵フアン
48 籾摺基台
【技術分野】
【0001】
インペラ式の脱ぷ形態の脱ぷ装置を用いた籾摺機に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴムロールによる摩擦脱ぷ形態の脱ぷ装置と、揺動選別盤による摺出米選別装置、及び縦形回転選別筒による玄米選別装置等を組合せて構成した籾摺機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5ー7843号公報(第2頁、図1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、小形、簡易で、安価な籾摺機を構成するものである。前記特許文献のように、従来の籾摺機は、脱ぷ能力の大きいロール形態として、多段の揺動選別盤や多段の万石選別網等を用いて、振動、騒音が大きく、大型構成として、据付け場所が制限され易いものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、インペラ式の脱ぷ装置1と、脱ぷ装置1で脱ぷされた穀粒を風選する風選室2と、風選室2底部の流穀板21を流下する穀粒を受けて揚穀しながら粒径選別して仕上玄米を取り出す選別部8を設け、該選別部8は回転外周面に揚穀ラセン4を有して縦軸周りに回転する揚穀胴5と、揚穀胴5の外周部を覆い多数の選別孔を形成する選別網筒6とを備えたことを特徴とする籾摺機とする。
【0006】
脱ぷ装置で脱ぷされた穀粒は風選室2へ移送されて選別風を受けて風選される。この風選室2で籾殻や塵埃等を吸引除去されて流穀板21に受けられた穀粒(籾と玄米の混合米)が、前側の選別部8の底部へ流入し、この選別部8内の揚穀胴5の回転によって、揚穀ラセン4により揚穀されながら、選別網筒6による粒径選別作用を受ける。揚穀行程中に屑米が選別された後に玄米が選別される。
【0007】
請求項2に記載の発明は、選別部(8)で選別され選別部(8)の上端口(9)に移送された選別籾を脱ぷ装置1へ戻しする戻し漏斗10を設けたことを特徴とする請求項1記載の籾摺機とする。
【0008】
選別部8による粒径選別作用を受ける。揚穀行程中に屑米が選別された後に玄米が選別される。最上部まで選別されずに移送された籾が選別部8の上端口9から戻し漏斗10へ戻されて、再度脱ぷ装置1へ戻し供給される。
【0009】
請求項3に記載の発明は、選別部8から取出される玄米を受けて計量する計量台11を設け、計量台11による計量によって脱ぷ装置1への籾量を調節する供給シャッタ32の開度を連動調節可能に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の籾摺機とする。
【0010】
計量台11の計量により設定する能率より高い場合には供給シャッタ32の開度を狭くして供給する籾量を減少させる。一方、設定する能率より低い場合には供給シャッタ32の開度を広げて供給する籾量を増加させる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、風選室2と選別部8との接合部には、選別部8内から風選室2へ通風する吸気口12を形成したことを特徴とする請求項1から請求項3いずれか記載の籾摺機とする。
【0012】
選別部8内部には、吸気口12を通して風選室2内の吸引風圧が働いているため、この吸引風によって選別部8内の塵埃が風選室2に吸引される。
請求項5に記載の発明は、前記選別籾の戻しされる戻し漏斗10に玄米を漏下させる選別網14を設ける。
【0013】
前記のように選別部8の選別網筒6内を揚穀胴5の回転によって揚送される玄米は、この選別網筒6の外周部に漏斗選別されて外部へ取出される。この選別部8の上端部に残った籾が上端口9から排出されて、後側の戻し漏斗10へ戻しされて、この戻し漏斗10の底部の選別網14を流下する間に、戻し籾内に混入する玄米を漏下選別して風選室2へ戻し、籾だけを脱ぷ装置1へ戻して再脱ぷさせる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明は、インペラ式の脱ぷ装置1と、風選室2と、粒径選別する選別部8により、仕上玄米を取り出すことができ、従来の籾と玄米を選別する揺動選別装置や、穀粒を揚穀するため専用の昇降機を必要とせず、少ない構成要素で仕上玄米を取り出せるコンパクトな籾摺機とすることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、選別部8で籾を選別することができ、仕上玄米に籾が混入することを防止することができる。また、選別した籾を脱ぷ装置1に戻して脱ぷすることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、計量台11を籾漏斗15の供給シャッタ32と連動させる形態とすることで、籾摺作業能率に適した籾供給を行わせることができ作業効率を高めることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、風選室2と、この風選室2の前側に連設する選別部8との間を吸気口12で連通して、この選別部8内部を風選室2内に連通させて、吸引風を流すものであるから、構成を簡単にして、風選室2における吸引風圧を利用して選別部8内部の吸引塵作用を容易に行わせることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、選別部部の上端口9から戻し漏斗10へ戻しされる籾は、この戻し漏斗10内を脱ぷ装置1へ向けて流下供給される間に、選別網14部で混入玄米や、屑米等が選別されて、籾だけが脱ぷ装置1で再脱ぷ作用を受けて、既に脱ぷされている玄米や、屑米等が混入していても、この選別網14から風選室2へ落下選別されるため、玄米の二度摺りを防止し、効率的な脱ぷ作用を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】正面から見た籾摺機を説明する図。
【図2】側面から見た籾摺機の装置各部のレイアウトを説明する図。
【図3】平面から見た籾摺機の装置各部のレイアウトを説明する図。
【図4】正面から見た籾摺機の内部を説明する図。
【図5】籾摺操作制御部のブロック図。
【図6】脱ぷ装置を説明する図 (a)脱ぷ装置の外観図、(b)脱ぷ装置の内部を説明する図、(c)投穀ロータ
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面に基づいて、籾摺機は、箱形の風選装置3の上側に、籾漏斗15、及び戻し漏斗10を設け、風選装置3の前側に脱ぷ装置1を装着している。風選装置3の一側に選別部8、及び計量台11などを配置する。風選装置3の他側に吸引排塵ファン33の排塵筒16を設けて機体側方へ排塵する形態としている。風選装置3は、吸引排塵ファン33を前後方向のファン軸17周りに回転するように軸装し、このファンケース18の吸気口19を風選室2の風選終端部に連通して、風選室2内に吸引風を選別部8側から排塵筒16側へ流すように構成している。そして、ファンケース18の吐出口20を上方に突出する排塵筒16に連通している。
【0021】
風選装置3の風選室2の底部には選別部8側に向かって下り傾斜の流穀板21を備えて、下端の流下口22を、選別部8の下端部に構成される揚穀ラセン4の揚穀室23にのぞませる。又、風選室2の上部には、脱ぷ装置1から脱ぷ放出される摺出米を受けて反射拡散させる反射板24を設け、この反射板24の上方に、前記摺出米を放出案内する放出路25の放出口26を設ける。
【0022】
脱ぷ装置1は、いわゆるインペラ式と呼ばれる形態のもので、ロータ軸28周りに回転する投穀ロータ27と、この投穀ロータ27の回転外周部に形成される板状の衝撃盤29とを、ロータケース30に収容させた形態で、風選室2の前側部に配置し、このロータ軸28をファン軸17と同軸として、電動モータM1によって高速駆動回転する構成である。
【0023】
投穀ロータ27は供給筒34による案内によって前記籾漏斗15から投穀ロータ27の回転中心部へ供給される籾を、投穀ロータ27の回転によって跳ね上げながら衝撃盤29へ衝突させて脱ぷする形態である。又、投穀ロータ27の回転によって、脱ぷされた摺出米をロータケース30から前記放出路25へ案内させて風選室2へ投込搬送するものである。
【0024】
脱ぷ装置1の上側部に配置の籾漏斗15は、風選装置3の上側へ広く張り出して籾供給を受け易く形成している。籾漏斗15に隣接して戻し漏斗10を形成して、前記選別部8の上端口9をのぞませている。籾漏斗15下端部の漏斗口31に開口度を調節、乃至開閉する籾供給シャッタ32を設けて、籾供給シャッタ32をモータM3による開閉によって籾供給の開始や停止を行なうことができ、又、開口度を調節することによって籾供給量の調節を行なうことができる構成である。
【0025】
選別部8は、風選装置3を構成する機枠の側方の前後中央部に一体的に支持して取付ける構成で、選別部8は、縦軸芯に回転する揚穀軸35と一体的に回転する揚穀胴5と、揚穀胴5の外周を覆い選別する穀粒を粒径選別するための多数の選別孔を形成する網目状の選別網筒6、及び選別網筒6の外周を覆う外筒7等から構成される。
【0026】
揚穀胴5は回転周面に沿って揚穀ラセン4を形成し、この回転によって外側の選別網筒6との間に形成の揚穀室23内を穀粒を揚穀しながら穀粒を選別する。又、選別網筒6は、底部の適宜高さ位置の間には網目を形成しないで単なる筒状面の揚穀筒部6aを形成する。この揚穀筒部6aの上側に小米を選別する目合の比較的小さい小米選別筒部6bを形成し、更にこの上部に玄米を選別する目合いの比較的大きい玄米選別筒部6cを形成する。この玄米選別筒部6cの上側には開口部36を形成する排出筒部6dとして、前記上端口9に開口連通して、揚穀ラセン4の回転によって揚穀され、小米選別筒部6bや玄米選別筒部6cで選別されなかった籾を戻し漏斗10へ掻出案内するものである。
【0027】
選別部8の底部には、揚穀ラセン4を有する揚穀胴5の揚穀軸35を電動回転するモータM2を設ける。又、選別網筒6の外周面と外筒7の内周面との間には、前記最下段の揚穀筒部6aの下端部に仕切板37aを設け、前記小米選別筒部6bの下端部に仕切板37bを設け、玄米選別筒部6cの下端部に仕切板37cを設け、又、最上位の籾排出筒部6dの下端には仕切板37aを形成して、揚穀室23や、小米選別室38、玄米選別室39、籾選別室40の各底部を構成し、掻出羽根41、42の回転等により小米排出口43や、玄米排出口44、上端口9等へ各々排出することができる。又、前記各掻出羽根41、42を設ける形態では、これら掻出羽根41、42を有する小米選別筒部6bや排出筒部6d等を回転駆動する形態とすることができる。
【0028】
風選室2の流下板21の下端部の流下口22を、選別部8下部の揚穀室23に臨ませる。
脱ぷ装置1で脱ぷされた穀粒(摺出米)が風選室2で籾殻が風選されて、流下口22から揚穀室23へ流入されると、揚穀ラセン4の回転によって、選別網筒6の揚穀筒部6a内側の揚穀室23部を揚穀される。この揚穀によって上側の小米選別筒部6bへ揚穀されると、外周の小米選別筒部6bの目合から外周の小米選別室38へ屑米等の小米が漏出選別され、この小米を小米排出口43へ取出することができる。又、小米選別筒部6b内を揚穀されて上部の玄米選別筒部6c内を揚穀される玄米は、この目合から玄米が外周の玄米選別室39へ漏出選別されて、玄米排出口44へ排出される。又、玄米選別筒6c内を揚穀されて籾排出筒部6dへ至った籾は、開口部36から上端口9を経て、籾選別室40から戻し漏斗10へ排出される。
【0029】
戻し漏斗10の底面に玄米を漏下選別するための目合の選別網14を設ける形態にあっては、この戻し籾に混入する玄米や屑米が、この選別網14から直接下側の風選室2へ漏下されて選別部8で再選別されることとなり、脱ぷ装置1での無要な再脱ぷによる肌ずれを防止することができる。
【0030】
選別部8の玄米排出口44には、玄米ホッパ45を設けて、選別して取出された仕上玄米を収容し、下端部のホッパ口46から排出弁47を開くことによって、計量台11上に支持する玄米袋Fに供給して計量することができる。この玄米袋Fは一定量(例えば、30kg)毎に袋詰処理することができる。計量台11は風選装置3を搭載する籾摺基台48上に、選別部8と共に搭載して、不使用時は、籾摺基台48に対して折畳収納したり、押込収納可能の形態とすることができる。
【0031】
本実施の形態の籾摺機の配置形態では、作業者が脱ぷ装置1や、籾漏斗15、戻し漏斗10、及び選別部8などに最短の作業位置にあって、これら各部の監視や操作を行い易くし、玄米の袋詰計量操作を一人作業で容易に行うことができるものである。
【0032】
又、このような籾摺作業を行うために、コントローラ51の入力側に各部運転スイッチ52や、計量台11の計量センサ(ロードセル)53等を設け、出力側には、投穀ロータ27ヤ吸引排塵ファン33を駆動するモータM1や、揚穀ラセン4の揚穀胴5を駆動するモータM2、及び籾供給シャッタ32等の調節によって決められる作業能率や、玄米袋詰計量の重量等を表示する表示部54を配置している。そして、計量台11と籾供給シャッタ32を連動する形態では、例えば、計量台11における玄米の袋詰め速度に適合する脱ぷ速度、乃至脱ぷ能率となるように自動調節制御するものである。このほか、計量台11上の玄米袋Fが満量になって、一定時間を経ても袋替えが行われないときには、供給シャッタ32を一旦閉鎖するように連動構成することもできる。
【0033】
風選室2と選別部8を仕切る側壁部に吸気口12を形成して、風選室2の吸引風圧を選別部8内に働かせる形態では、小米風選室38の塵埃が吸気口12から風選室2内へ吸引排除されことができる。
【符号の説明】
【0034】
1 脱ぷ装置
2 風選室
3 風選装置
4 揚穀ラセン
5 揚穀胴
6 選別網筒
7 外筒
8 選別部
9 上端口
10 戻し漏斗
11 計量台
12 吸気口
13 送風ファン
14 選別網
15 籾漏斗
21 流穀板
27 投穀ロータ
29 衝撃盤
32 供給シャッタ
33 吸引排塵フアン
48 籾摺基台
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラ式の脱ぷ装置(1)と、脱ぷ装置(1)で脱ぷされた穀粒を風選する風選室(2)を備える風選装置(3)と、風選室(2)底部の流穀板(21)を流下する穀粒を受けて揚穀しながら粒径選別して仕上玄米を取り出す選別部(8)を設け、該選別部(8)は回転外周面に揚穀ラセン(4)を有して縦軸周りに回転する揚穀胴(5)と、揚穀胴(5)の外周部を覆い多数の選別孔を形成する選別網筒(6)とを備えたことを特徴とする籾摺機。
【請求項2】
選別部(8)で選別され選別部(8)の上端口(9)に移送された選別籾を脱ぷ装置(1)へ戻す戻し漏斗(10)を設けたことを特徴とする請求項1記載の籾摺機。
【請求項3】
選別部(8)から取出される玄米を受けて計量する計量台(11)を設け、計量台(11)による計量によって脱ぷ装置(1)への籾量を調節する供給シャッタ(32)の開度を連動調節することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の籾摺機。
【請求項4】
風選室(2)と選別部(8)との接合部には、選別部(8)内から風選室(2)へ通風する吸気口(12)を形成したことを特徴とする請求項1から請求項3いずれか記載の籾摺機。
【請求項5】
前記選別籾の戻しされる戻し漏斗(10)に玄米を漏下させる選別網(14)を設けたことを特徴とする請求項2に記載の籾摺機。
【請求項1】
インペラ式の脱ぷ装置(1)と、脱ぷ装置(1)で脱ぷされた穀粒を風選する風選室(2)を備える風選装置(3)と、風選室(2)底部の流穀板(21)を流下する穀粒を受けて揚穀しながら粒径選別して仕上玄米を取り出す選別部(8)を設け、該選別部(8)は回転外周面に揚穀ラセン(4)を有して縦軸周りに回転する揚穀胴(5)と、揚穀胴(5)の外周部を覆い多数の選別孔を形成する選別網筒(6)とを備えたことを特徴とする籾摺機。
【請求項2】
選別部(8)で選別され選別部(8)の上端口(9)に移送された選別籾を脱ぷ装置(1)へ戻す戻し漏斗(10)を設けたことを特徴とする請求項1記載の籾摺機。
【請求項3】
選別部(8)から取出される玄米を受けて計量する計量台(11)を設け、計量台(11)による計量によって脱ぷ装置(1)への籾量を調節する供給シャッタ(32)の開度を連動調節することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の籾摺機。
【請求項4】
風選室(2)と選別部(8)との接合部には、選別部(8)内から風選室(2)へ通風する吸気口(12)を形成したことを特徴とする請求項1から請求項3いずれか記載の籾摺機。
【請求項5】
前記選別籾の戻しされる戻し漏斗(10)に玄米を漏下させる選別網(14)を設けたことを特徴とする請求項2に記載の籾摺機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2012−148224(P2012−148224A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7892(P2011−7892)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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