説明

粉体圧縮成形機

【課題】粉体の特性や充填する量に拘わらず、所要量の粉体をより精確に臼孔に充填することができる粉体圧縮成形機を提供する。
【解決手段】本発明の粉体圧縮成形機は、例えば8つの臼孔21を設けたテーブル20を主たる要素とするテーブル体2と、臼孔21の上下に配置した上杵31及び下杵32の対を含む圧縮成形装置3と、臼孔21に原料粉体を充填するフィードシュー41を含む粉体供給装置4と、テーブル体2、圧縮成形装置3、粉体供給装置4等を内部空間に包有する筐体1とを具備し、フィードシュー41の、中心軸61回りの公転速度及び/又は公転方向を変化させることが可能なフィードシュー制御機構Xを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を圧縮して錠剤、食品、又は電子部品などを成形するための粉体圧縮成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、テーブルに臼孔を設け、臼孔の上下に上杵及び下杵を上下摺動移動可能に保持させておき、テーブル上を移動可能に設けられた攪拌フィードシューにより攪拌された粉末を臼孔内に充填し、当該粉末を圧縮成形するようにした粉末圧縮成形機が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。そしてこれら特許文献に記されている粉末圧縮成形機は、臼孔が設けられた固定のテーブルと、杵先が臼孔内を摺動する上杵及び下杵の対と、テーブルの面上を移動して臼孔に粉末を充填する粉末供給用のフィードシューとを具備しているものである。このような態様の粉末圧縮成形機は、一般にテーブルが回転可能に構成されている態様のものよりも、粉末をより精確に充填し得るとされている。
【0003】
しかし、今日では、従前よりもさらに、粉末の特性や臼孔に充填する量に拘わらず精確な量の粉末を充填し、成形された各成形品をより精確且つばらつき無く均一なものとすることが要求されている。
【0004】
特許文献2では、固定臼台上を旋回摺動して臼内に原料粉末を充填するフィードシューを備えるタブレット成形装置が開示されている。また、特許文献1では、位置検出手段を基にフィードシューの位置を検出し、原料粉末を臼内に充填させるため下杵を下降させる開始時間及び下降速度を設定する設定手段を備えるタブレット成形装置が開示されている。ところが、特許文献1では、フィードシュー内の原料粉末の落下位置が固定臼台上の各々臼の真上に来たときにそれらの臼の位置を角度検出器により検出し、その信号により下杵の下降開始時間及び下降速度を設定する。つまり、臼の真上にフィードシューが来てから下杵を下降させるので、臼孔内への粉体の充填時間が十分でなく、臼孔内に粉体を精確に充填することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−118998号公報
【特許文献2】実公平7−47189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような要求に着目したものであり、粉体の特性や充填する量に拘わらず、所要量の粉体をより精確に臼孔に充填することができる粉体圧縮成形機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような目的を達成するため、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち本発明に係る粉体圧縮成形機は、少なくとも1つの臼孔が設けられた固定のテーブルと、臼孔の上下に上杵及び下杵を上下摺動移動可能に保持させておき、杵先が臼孔内を摺動する上杵及び下杵の少なくとも一対と、テーブルの面上を公転面として、テーブル面に対して鉛直方向が軸となる中心軸回りに公転して臼孔に粉体を充填する粉体供給用のフィードシューとを具備し、フィードシューにより臼孔内に充填された粉体を上杵及び下杵により臼孔内で圧縮成形する粉体圧縮成形機であって、フィードシューの中心軸回りの公転速度及び/又は公転方向を変化させることが可能なフィードシュー制御機構を備えることを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、臼孔、上杵及び下杵を公転させるのではなく、これらを固定としてフィードシューを公転させるようにしたため、上杵及び下杵の上下摺動駆動を制御し易くなり、成形品の厚みや密度のばらつきを小さくして、高精度化を図ることができる。さらにフィードシューの公転速度や公転方向を柔軟にコントロールできることから、例えば臼孔近傍でフィードシューの公転速度を落としたり、臼孔周辺でフィードシューを往復動させたりして、臼孔への粉体の充填をいっそう確実なものにできる。また、臼孔、上杵及び下杵を公転させる従来の構成では、臼孔に充填した粉体が公転によりわずかに飛散していたが、フィードシューを公転させる構成では、そのような飛散を減少させることができる。
【0010】
次に、粉体の攪拌度合いを精確に制御することにより臼孔に充填する粉体の状態を望ましいものとするためには、前記フィードシューが、中空構造をなすハウジングと、ハウジングの所定部位に設けられた攪拌軸と、ハウジング内で攪拌軸回りに自転する粉体攪拌用の攪拌部材と、粉体をハウジング内に投入するための粉体投入部と、フィードシューが公転する際に臼孔に対し平面視重なり得る位置に設けられた粉体充填用の開口部とを有するとともに、攪拌軸の所定部位に係合する係合部材をさらに具備し、前記フィードシューにおける前記中心軸回りの公転速度と係合部材における中心軸回りの自転速度との間の、相対的な回転速度差を増減させることにより、攪拌部材の攪拌軸回りの自転速度及び/又は自転方向を変化させることが可能な相対的攪拌部材制御機構を備えるものが好ましい。また、このような構成のフィードシューを用いることにより、圧縮成形機内を粉体でほとんど汚さずに成形品を製造することができる。また、このような構成により、攪拌部材の攪拌軸回りの自転を間接的に制御することができ、用いる粉体の性質により攪拌部材の攪拌軸回りの自転の方向及び回転数を変化させ、最適な充填ができる。
【0011】
そして、フィードシューの動作及び攪拌部材の動作とを併せて望ましい動作に制御するための具体的な構成として、フィードシューを中心軸回りに公転させ、回転速度及び/又は回転方向を可変制御できる第一の回転駆動機構と、前記係合部材を前記中心軸回りに自転させ、回転速度及び/又は回転方向を可変制御できる第二の回転駆動機構とを具備したものが挙げられる。
【0012】
また他方、本発明に係る粉体圧縮成形機は、少なくとも1つの臼孔が設けられた固定のテーブルと、臼孔の上下に上杵及び下杵を上下摺動移動可能に保持させておき、杵先が臼孔内を摺動する上杵及び下杵を少なくとも一対と、
テーブル面に対して鉛直方向が軸となる中心軸と、テーブルの面上を公転面として、中心軸回りに公転して臼孔に粉体を充填する粉体供給用のフィードシューとを具備し、フィードシューが、中空構造をなすハウジングと、ハウジングの所定部位に設けられた攪拌軸と、ハウジング内で攪拌軸回りに自転する粉体攪拌用の攪拌部材と、粉体をハウジング内に投入するための粉体投入部と、フィードシューが公転する際に臼孔に対し平面視重なり得る位置に設けられた粉体充填用の開口部とを有するものである粉体圧縮成形機であって、攪拌部材の攪拌軸回りの自転速度及び/又は自転方向を変化させることが可能な直接的攪拌部材制御機構を備えることを特徴とする。
【0013】
このような構成であれば、フィードシューの公転軌道上の運動に影響されることなく、攪拌部材の自転運動を直接的に制御でき、攪拌部材に対して所要の動作をし得るように容易に設定できる。また、このような構成のフィードシューを用いることにより、粉体圧縮成形機内を粉体でほとんど汚さずに成形品を製造できる。
【0014】
また上記の構成のもと、成形された成形品をむら無く安定して回収するために、テーブルの周縁部で成形品を移送させ、移送速度及び/又は移送方向を可変制御できる成形品取り出し用の成形品移送機構を備えたものが好ましい。
【0015】
フィードシューが、中空構造をなすハウジングと、ハウジングの所定部位に設けられた攪拌軸と、ハウジング内で攪拌軸回りに自転する粉体攪拌用の攪拌部材と、粉体をハウジング内に投入するための粉体投入部と、フィードシューが公転する際に臼孔に対し平面視重なり得る位置に設けられた粉体充填用の開口部とを有する構成であり、そのフィードシューをテーブル面に対してフィードシュー上方から少なくとも一箇所以上で押え付ける押え付け器を備えることも好ましい。このような構成をとることにより、フィードシューとテーブル面の間から漏れる粉体の量をさらに低減できる。
【0016】
また、押え付け器は、後述する天井板とフィードシューの間を弾性体により上下に押え付けるような構成で、押え付け器の天井板側部分には、例えばローラーなどの駆動部を有する構成が好ましい。押え付け器の天井板側部分の駆動部は、天井板を滑るような構成であってもよい。また、押え付け器の一つは、中心軸上にフィードシューを固定する際に用いられ、中心軸上でフィードシューをテーブル面に押え付けるような構成が好ましい。このような構成により、フィードシューがテーブル面に対して押え付けられるような状態で公転することができ、粉体圧縮成形機内での粉体飛散を低減することができる。
【0017】
なお、上記の種々のフィードシューを1個だけでなく、複数個備える粉体圧縮成形機であってもかまわない。
【0018】
ここで、本発明における粉体とは、微小個体の集合体であり、いわゆる顆粒などの粒体の集合体と、粒体より小なる形状の粉末の集合体とを含むものを指すものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、フィードシューの回転速度や回転方向を柔軟にコントロールできることから、例えば臼孔近傍でフィードシューの回転速度を落としたり、臼孔周辺でフィードシューを往復動させたりして、臼孔への粉体の充填をいっそう確実なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る粉体圧縮成形機の正断面図。
【図2】同実施形態に係る平面視における構成説明図。
【図3】同要部の構成を説明するための断面図。
【図4】他の要部を説明するための断面図。
【図5】他の要部を説明するための外観図
【図6】他の要部を説明するための底面図
【図7】同実施形態に係る作用説明図。
【図8】同実施形態に係る要部の正断面図。
【図9】同実施形態の第1変形例に係る要部の正断面図。
【図10】同実施形態の第2変形例に係る平面視における構成説明図。
【図11】同実施形態の第3変形例に係る平面視における構成説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態の粉体圧縮成形機は、図1ないし図5に示すように、例えば8つの臼孔21を設けたテーブル20と、臼孔21の上下に配置した上杵31及び下杵32の対を含む圧縮成形装置3と、臼孔21に原料粉体を充填する動作可能に設けられたフィードシュー41を含む粉体供給装置4と、臼孔21内で圧縮された成形品Sを回収するための成形品回収装置5と、テーブル20を含むテーブル体2と、上杵31及び下杵32、フィードシュー41等を内部空間に包有する筐体1とを具備してなる。
【0022】
ここで、本実施形態に係る粉体圧縮成形機は、フィードシュー41の動作、すなわち後述する中心軸61回りの公転速度及び/又は公転方向を変化させることが可能なフィードシュー制御機構Xを備えることを特徴とする。
【0023】
以下、粉体圧縮成形機の構成について説明する。
【0024】
筐体1は、図1及び図2に示すように、土台となるフレーム11と、フレーム11の上方に存在する内部空間の四方を囲繞する外装体12と、内部空間を上方から閉止する頂板13とを要素とする。そして本実施形態では、この筐体1のフレーム11に本発明に係る第一の回転駆動機構6を取り付けている。併せて、頂板13には本発明に係る第二の回転駆動機構7が取り付けられている。
【0025】
第一の回転駆動機構6は、フレーム11中央に固設された公転用モータ60と、テーブル20の中央から上面側に露出している中心軸61とを有している。公転用モータ60は、回転速度及び回転方向を自由に変化させることができるサーボモータ、又はステッピングモータなどがある。公転用モータ60は、中心軸61の下端部に直結している。中心軸61は、略直立姿勢でフレーム11に支持させてあり、公転用モータ60が出力する回転駆動力によって回転することにより、フィードシュー41を公転させ得る。
【0026】
第二の回転駆動機構7は、頂板13に固着された自転用モータ70と、その下方へ伸長している、自転用モータ70の駆動力を後述する係合部材24に伝達するための駆動軸71とを有している。これら駆動軸71及び自転用モータ70の軸心は、図1及び図3に示すように、中心軸61の軸心から径方向に沿って外方に偏倚して設けられている。自転用モータ70は筐体1内の駆動軸71の上端部に直結している。この自転用モータ70もまた、公転用モータ60と同様、回転速度及び回転方向を自由に変化させることができるサーボモータ、又はステッピングモータなどである。駆動軸71は、その下端部には、係合部材24と噛合する歯車71aを設けたものであり、自転用モータ70によって駆動軸71を回転駆動すると、駆動軸71の回転が係合部材24に伝わって係合部材24が自転するようになっている。
【0027】
テーブル体2は、図1及び図2に示すように、平面視略円盤状をなし、所定の円周に沿って間欠的に複数の臼孔21を設けたテーブル20を主たる要素としている。そして各臼孔21は、テーブル20を上下方向に貫通している。本実施形態では、臼孔21の内周壁を形作る臼部材をテーブル20とは別体としており、この臼部材はテーブル20に対して着脱可能であるが勿論、一体に構成されたものであっても良い。テーブル20は、フレーム11に固定しており、不動となっている。またテーブル体2は、テーブル20の外周縁部に設けた3本の立柱22と、これら立柱22によってテーブル20面から所定寸法上方に離間した位置に支持された天井板23とをさらに有している。次に、天井板23は、中央部位に開いた円形の窓23aを設けた平面視略ドーナツ盤状をなすものであり、この窓23aの周縁には、後述する係合部材24を支持するための複数のジャーナル23bを設けたものである。ジャーナル23bは、その周面にV溝を有しているものであり、係合部材24の外周面から径方向の外方に張り出したフランジ24cが各ジャーナル23bのV溝に差し入る構造としている。なお、立柱22の本数は3本に限られず、複数あってもかまわない。また、テーブル体2は、平面視略円盤状に限られず、どのような形状であってもよい。また、テーブル体2をケースにより全体を取り囲んだり、テーブル20及び天井板23を外装体12に密着させることにより、粉体で汚染される部分を限定する構成であってもよい。
【0028】
そして本実施形態では、この天井板23に対して回転可能に設けられた係合部材24を、立柱22、天井板23とともにテーブル体2の一要素として設けてある。この係合部材24は上下に伸張した概略筒形をなし、自転用モータ70が出力する回転駆動力によって中心軸61と同心軸回りに自転する回転駆動力伝達用の部材である。この係合部材24は、上端部に形成され上述の駆動軸71に係り合う内歯車24aと、下端部に形成されフィードシュー41に設けられた後述する攪拌軸41bに係合する外歯車24bと、外周面から径方向の外方に張り出して天井板23に設けられた各ジャーナル23bのV溝に差し入る構造をなすフランジ24cとを有している。すなわち本実施形態では、係合部材24を天井板23の中央部位に開いた円形の窓23aに挿通した状態で、天井板23の上面、窓23aの周縁に沿って取り付けた複数のジャーナル23b(ベアリング)によって水平旋回可能に支持させている。
【0029】
圧縮成形装置3は、臼孔21に充填された粉体を当該臼孔21内で上下から圧縮して成形品Sの形状に成形する役割を担う。圧縮成形装置3は、各臼孔21に上方から臨む上杵31と、各臼孔21に下方から臨む下杵32と、これら上杵31及び下杵32の各々に付随してそれぞれを個別に上下方向に進退動作させる液圧シリンダとを要素とする。なお本実施形態では、図示した任意の一の臼孔21に対応する圧縮成形装置3以外の圧縮成形装置3の図示を、便宜上省略して示している。また、下杵32の下方には、下杵32の摺動により落ちてきた粉体を吸塵する吸塵器(図示しない)を備えているものが好ましい。
【0030】
粉体供給装置4は、テーブル20の各臼孔21に順次粉体を充填する役割を担う。粉体供給装置4は、図1、図2、図4、図5及び図6に示すように、テーブル20面に対し直交した中心軸61回りに公転して各臼孔21を巡回する粉体充填用の回転式フィードシュー41と、フィードシュー41に連通してフィードシュー41に粉体を投入する投入ダクト42と、投入ダクト42に粉体を絶えず補給するフィーダ43及びホッパ44とを要素とする。
【0031】
フィードシュー41は、中空構造をなすハウジング41aと、ハウジング41aの所定部位に設けた攪拌軸41bと、ハウジング41a内で攪拌軸41b回りに自転する攪拌部材たる攪拌羽根41cと、ハウジング41aから粉体を臼孔21に充填するための開口部41dと、粉体をハウジング41aに投入するための粉体投入口41eと、臼孔21に充填された粉体をすり切るためのすり切り板41gと、フィードシュー41を公転中心である中心軸61側に取り付けるための取付部41hとを主に備える。
【0032】
ハウジング41aは、図5に示すような平面視略円形状の上下に偏平な箱形の部材であり、その下壁がテーブル20面に当接ないし極近接している。このハウジング41aは、中心軸61に対して固着しており、中心軸61と一体となって水平旋回、即ち公転する。フィードシュー41(及び、攪拌羽根41c)の公転中心となる中心軸61の軸心は、テーブル20が有している複数の臼孔21を結ぶ円周の中心と略一致する。
【0033】
攪拌軸41bは、ハウジング41aの上壁から上方に突出したボス状の軸受部に略直立姿勢で支持させてある。攪拌軸41bは、軸受部からさらに上方に延伸しており、その上端部にて上述した係合部材24と係合している。この攪拌軸41bの上端部には、係合部材24の外歯車24bと噛合する歯車41fを設けてある。要するに、これら歯車41f及び外歯車24bを介して、攪拌軸41bと係合部材24とが係合している。
【0034】
攪拌羽根41cは、図2、図4及び図6に示すように攪拌軸41bの下端部に固着しており、攪拌軸41bと一体となって水平旋回、即ち自転する。攪拌羽根41cの自転中心となる攪拌軸41bの軸心は、公転中心となる中心軸61の軸心から径方向に沿って外方に偏倚している。また攪拌羽根41cは、平面視攪拌軸41bを中心として放射方向に延出した例えば複数本(図示例では、六本)のブレードを持つ。各ブレードは、ハウジング41aの下壁の上面に当接ないし極近接しており、またその先端がハウジング41aの外周壁の内面近傍まで達している。攪拌羽根41cをハウジング41a内で自転させることで、粉体投入口41eから投入された粉体をハウジング41a内で攪拌しつつ、開口部41dを介してテーブル20の臼孔21に注入できる。
【0035】
開口部41dは、ハウジング41aの下壁に開設され、テーブル20の臼孔21に平面視重なり合うことができるよう、その位置を設定してある。具体的には図6に示すように、臼孔21に平面視重なり合うことができる円弧状に湾曲した帯状の部位の大部分が開口するよう計3箇所開口させている。また、ハウジング41aの上壁には、粉体投入口41eを開設している。粉体投入口41eは、投入ダクト42の出口42aが接合しており、投入ダクト42を下落した粉体をこの粉体投入口41eを介して受け入れる。すり切り板41gは、開口部41dの端部に設けられた板状の部材であり、臼孔21に充填された粉体を精確にすり切るためのものである。取付部41hは、中心軸61側にフィードシュー41を取り付けるためのものである。本実施形態では取付部41hは、テーブル20の中央でもある公転中心でテーブル20の面に向けて下方に押圧されながら取り付けられる。
【0036】
投入ダクト42は、下方にあってハウジング41aの粉体投入口41eに接続している出口42aと、上方にあって出口42aの内径よりも大きく拡径している入口42bとを管路でつないだものである。投入ダクト42の入口42bは中心軸61の直上に位置する一方、出口42aは中心軸61から見て径方向に沿って外方に偏倚している。それ故、投入ダクト42の管路はやや傾倒している。この投入ダクト42は、フィードシュー41の公転に伴って中心軸61回りに回転するが、入口42bの位置は変動しない。
【0037】
フィーダ43は、径方向に沿った外方から内方に向かって直線的に粉体を搬送し、投入ダクト42の入口42bに落とし入れる。ホッパ44は、筐体1の内外を連絡して、外部から補給される粉体をフィーダ43へと送り込む。フィーダ43及びホッパ44は、既知の粉体圧縮成形機におけるそれをそのまま採用できる。また、本実施形態では、投入ダクト42はテーブル20中央部に位置するが、テーブル20の外周部に備えるものであってもよい。
【0038】
成形品回収装置5は、本実施形態では圧縮成形装置3によって成形された成形品Sをテーブル20の中央部分から筐体1外へ移動させ、成形品Sを回収するものである。成形品回収装置5は、上述したフィードシュー41に一体的に設けられてテーブル20上を動作する回収アーム51と、テーブル20の中央付近から成形品Sを下方へ導くための成形品回収口52と、成形品回収口52から筐体1外へ成形品Sを案内する成形品搬出路53とを有している。回収アーム51は、本実施形態ではフィードシュー41と共に公転することによって、下杵32によってテーブル20面上に押し上げられた状態にある成形品Sを順次テーブル20中央に向けて案内するための中央案内面51aを有している。
【0039】
本実施形態における回転式フィードシュー41の動作について解説する。まず、本実施形態では、公転用モータ60の回転速度及び回転方向の制御を通じて、テーブル20に対するフィードシュー41の中心軸61回りの回転速度及び回転方向を自在に制御することができる。つまり、公転用モータ60及び中心軸61が、フィードシュー41の公転速度及び公転方向を可変制御する第一の回転駆動機構6を構成する。すなわち本実施形態では、斯かる第一の回転駆動機構6こそが、フィードシュー41の中心軸61回りの公転速度及び/又は公転方向を変化させることが可能なフィードシュー制御機構Xを構成している。
【0040】
また本実施形態に係る粉体圧縮成形機は、自転用モータ70の回転速度及び回転方向の制御を通じて、テーブル20に対する係合部材24の中心軸61回りの回転速度及び回転方向を自在に制御できる。つまり、自転用モータ70及び駆動軸71が、係合部材24の自転速度及び自転方向を可変制御する、本発明の第二の回転駆動機構7を構成する。
【0041】
そして、フィードシュー41のハウジング41aに軸支させてある攪拌羽根41cの攪拌軸41bは、歯車41fが外歯車24bと噛み合うことにより係合部材24と係合している。このため、ハウジング41a内の攪拌羽根41cの攪拌軸41b回りの回転速度及び回転方向は、フィードシュー41の公転速度と係合部材24の自転速度との相対的な回転速度差に応じて決定されることになる。つまり、上記の第一の回転駆動機構6及び第二の回転駆動機構7が、攪拌部材(攪拌羽根41c)の自転速度及び自転方向を可変制御する相対的攪拌部材制御機構Yを構成している。すなわち、斯かる相対的攪拌部材制御機構Yにより、攪拌羽根41cの回転速度、方向、パターンを、臼孔内へ充填する粉体の粒度分布や流動性などの性質によって適宜調整できるものとなっている。
【0042】
以下、フィードシュー41及び係合部材24を模式的に示した図7を参照しながら、フィードシュー41が中心軸61中心に正方向(平面視反時計回り)に公転し、かつ係合部材24も中心軸61中心に正方向に自転するものと仮定して、具体的な動作例を列挙する。
【0043】
(1)フィードシュー41の公転速度(rad/sまたはrpm)と係合部材24の自転速度(rad/sまたはrpm)とが一致する場合;フィードシュー41の公転速度と係合部材24の自転速度の相対的な回転速度差は生じないため、攪拌羽根41cは、ハウジング41aに対しては回転しない。
【0044】
(2)フィードシュー41の公転速度が、係合部材24の自転速度よりも大きい場合;フィードシュー41の公転速度と係合部材24の自転速度の相対的な回転速度差が生じ、攪拌羽根41cは、ハウジング41aに対して攪拌軸41bを中心に正方向に回転する。係合部材24が静止しておりフィードシュー41だけが公転しているケースもこれに当たる。この場合、フィードシュー41の公転速度の全てが、攪拌羽根41cの攪拌軸41bを中心とする回転に換算される。また、攪拌羽根41cのハウジング41aに対する攪拌軸41b回りの回転速度(rad/sまたはrpm)は、フィードシュー41の公転速度と係合部材24の自転速度との差が大きいほど大きくなる。
【0045】
(3)フィードシュー41の公転速度が、係合部材24の自転速度よりも小さい場合;フィードシュー41の公転速度と係合部材24の自転速度の相対的な回転速度差が生じ、攪拌羽根41cは、ハウジング41aに対して攪拌軸41bを中心に逆方向(平面視時計回り)に回転する。フィードシュー41が静止しており係合部材24だけが自転しているケースもこれに当たる。この場合、係合部材24の自転速度の全てが、攪拌羽根41cの攪拌軸41bを中心とする回転に換算される。また、攪拌羽根41cのハウジング41aに対する攪拌軸41b回りの回転速度は、フィードシュー41の公転速度と係合部材24の自転速度との差が大きいほど大きくなる。
【0046】
なお、攪拌軸41bの半径及び係合部材24の中心軸61からの半径により、攪拌羽根41cの回転速度が変化する。また、攪拌軸41bと係合部材24との間に別のギアを取り付けることにより、攪拌羽根41cの攪拌軸41bを中心とする回転方向を、上記内容とは逆方向にすることもできる。
【0047】
上述の通りフィードシュー41の公転速度と係合部材24の自転速度との相対的な回転速度差を増減させることで、攪拌部材(攪拌羽根41c)の攪拌軸41b回りの自転速度及び自転方向を変化させることができる。また、上記の動作例以外にも、フィードシュー41の公転する方向と係合部材24の自転する方向とを異ならせる動作もできる。
【0048】
続いて、前述したフィードシュー制御機構X及び相対的攪拌部材制御機構Yを機能させながら本実施形態に係る粉体圧縮成形機を動作させて成形品Sを製造する一連の工程について説明する。
【0049】
充填前、上杵31はフィードシュー41の上壁の上面よりも高位置に退避して干渉を避けるとともに、下杵32の杵先は適切な充填量を実現する容積を達成する高さ位置に降下した状態としておく。そして粉体が投入されたフィードシュー41を臼孔21上に位置付けることによって臼孔21に粉体を充填する。ここで、下杵32を降下させながら、粉体を臼孔21内に充填してもかまわない。また、このときフィードシュー41の回転すなわち公転速度を低減、後退、又は、フィードシュー41を一時停止させることにより、充填時間を確保することができる。つまり、充填時間を制御できる。加えて、このフィードシュー41は、逆方向に公転させることができるので、さらには適宜往復運動させる等、より確実な充填のための所望の積極的な動作を自由に行える。しかる後、充填したフィードシュー41が臼孔21の上方から退去したら、下杵32の先端を臼孔21内に降下させ、続いて上杵31の杵先を臼孔21内に降下させる。そして、上杵31及び下杵32の各々の杵先を互いに接近させるように臼孔21内で粉体を圧縮し、成形品Sの形状に成形する。また、臼孔21内へ粉体の充填の際には、攪拌羽根41cの自転速度を一時的に上げるなど、攪拌羽根41cを所望の自転速度及び/又は自転方向で動作させるよう、適宜調整できる。
【0050】
成形品Sが完成したら、上杵31をフィードシュー41の上壁の上面よりも上方に退避させ、下杵32を上方に押し上げ、その杵先をテーブル20面近傍まで押し上げて成形品Sを臼孔21からテーブル20面上に押し出す。
【0051】
押し出された成形品Sは回収アーム51で引っ掛けて回収し、この回収アーム51の中央案内面51aの形状に沿って成形品Sをテーブル20中央部に導く。そして、テーブル20の中央部の成形品回収口52から落下した成形品Sは、成形品搬出路53を経由して筐体1外に搬出される。さらに具体的には、図2でAと図示している臼孔21において、上杵31及び下杵32により臼孔21内で粉体を圧縮成形する時間tを定めておき、次の充填箇所であるBと図示している臼孔21において圧縮成形する時間t+αを定めておく。そして、その時間差αの間にフィードシュー41はBにおいて臼孔21に粉体を充填し終え、Bの位置を回避していればよく、その時間αの間においてフィードシュー41は公転速度の低減又は後退など、どのような動きをしてもよいというものである。
【0052】
このように、上述したプロセスを反復することにより、各臼孔21から成形品Sが順次搬出される。
【0053】
また、本実施形態の粉体圧縮成形機は、図1、図4、図5及び図8等に示すように、フィードシュー41をテーブル20へ向けて常に押圧するフィードシュー押圧機構として機能する押し付け器9を具備している。
【0054】
押し付け器9は、フィードシュー41の中心軸61近傍部分を押圧する中央押圧部91と、フィードシュー41の周辺部分、詳細には周縁を押圧する周辺押圧部92とを有している。本実施形態では、周辺押圧部92を複数、具体的には2つ設けている。
【0055】
中央押圧部91は、中心軸61の上端に配された引張コイルバネ91aと、この引張コイルバネ91aの上端に取り付けられ、当該引張コイルバネ91aの引っ張り力によってフィードシュー41の取付部41hを上方から押圧する押圧蓋91bとを有している。
【0056】
周辺押圧部92は、フィードシュー41の所定位置に立設した概略円筒形状の柱状部92aと、この柱状部92aに内蔵された圧縮コイルバネ92bと、この圧縮コイルバネ92bの弾性付勢力によって天井板23を下方から押圧する押圧部92cと、この押圧部92cの上端に取り付けられ天井板23の下面を転がるように設定されたローラー92dとを有している。周辺押圧部92は、フィードシュー41の上面と天井板23の下面との間で突っ張り、フィードシュー41を下向きに押え付ける。
【0057】
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係る、フィードシュー41の中心軸61回りの公転速度及び/又は公転方向を変化させられるフィードシュー制御機構Xを備えているので、フィードシュー41の公転速度や公転方向を柔軟に制御できることから、例えば臼孔21近傍でフィードシュー41の公転速度を落としたり、臼孔21周辺でフィードシュー41を往復動させたりして、臼孔21への粉体の充填をいっそう確実なものとしている。
【0058】
また、粉体の攪拌度合いを精確に制御することにより臼孔21に充填する粉体の状態を望ましいものとするために本実施形態では、フィードシュー41が、中空構造をなすハウジング41aと、ハウジング41aの所定部位に設けられた攪拌軸41bと、ハウジング41a内で攪拌軸41b回りに自転する粉体攪拌用の攪拌部材(攪拌羽根41c)と、粉体をハウジング41a内に投入するための粉体投入口41eと、フィードシュー41が公転する際に臼孔21に対し平面視重なり得る位置に設けられた粉体充填用の開口部41dとを有するとともに、攪拌軸41bの所定部位に係合する係合部材24をさらに具備するものであり、前記フィードシュー41における前記中心軸61回りの公転速度と係合部材24における中心軸61回りの自転速度との間の、相対的な回転速度差を増減させることにより、攪拌部材(攪拌羽根41c)の攪拌軸41b回りの自転速度及び/又は自転方向を変化させることが可能な相対的攪拌部材制御機構Yを備えたものとしている。
【0059】
また、このようなフィードシュー41に対し、本実施形態では押し付け器9を設けることにより、フィードシュー41とテーブル20面上の間から粉体が漏れにくくなる。したがって、粉体圧縮成形機内を粉体でほとんど汚さず作動させることができ、また、粉体の無駄を減らせる。加えて、すり切り板41gによる粉体の精確なすり切りを担保できる。さらに本実施形態では、中央押圧部91と2箇所に設けた周辺押圧部92とによって平面視における都合3点でフィードシュー41を押圧しているので、粉体をフィードシュー41のどの方向・どの箇所からも漏らさすに作動させられる。
【0060】
フィードシュー41の動作及び攪拌部材(攪拌羽根41c)の動作とを併せて所望の動作に制御するための具体的な構成として本実施形態では、フィードシュー41を中心軸61回りに公転させ、回転速度及び/又は回転方向を可変制御できる第一の回転駆動機構6と、前記係合部材24を前記中心軸61回りに自転させ、回転速度及び/又は回転方向を可変制御できる第二の回転駆動機構7とを具備した態様を適用している。
【0061】
<第1変形例>
以下、本実施形態の変形例について説明するが、当該変形例において上記実施形態に相当する構成要素については同じ符号を付すとともに、詳細な説明を省略するものとする。
【0062】
本変形例に係る粉体圧縮成形機は、図9に示すような第二の回転駆動機構7が上記実施形態とは異なり、自転用モータ70と、この自転用モータ70の回転駆動力を直接攪拌軸41bに伝達するユニバーサルジョイント72とによって構成される。すなわち、攪拌軸41bがユニバーサルジョイント72を介して自転用モータ70に接続されている。すなわち、この第二の回転駆動機構7が、攪拌部材の攪拌軸41b回りの自転速度及び/又は自転方向を変化させることが可能な直接的攪拌部材制御機構Y1を構成していることを特徴とする。
【0063】
このようなものであれば、フィードシュー41の公転軌道上の運動に影響されることなく、攪拌羽根41cに対して所要の自転速度及び/又は自転方向にて動作をし得るように容易に設定できる。
【0064】
<第2変形例>
上記実施形態ではテーブル20の中央部で成形品Sを回収する構成としたが、勿論、当該変形例のようにテーブル20面の外周側から成形品Sを取り出す態様もとり得る。
【0065】
すなわち本変形例に係る粉体圧縮成形機は、図10に示すような、テーブル20の周縁部で成形品Sを移送させ、取り出し用の搬送通路80を備える。
【0066】
具体的には、当該変形例では移動部材80aを、回収アーム51に設けられた成形品Sをテーブル20の周縁部に案内する周縁案内面51bの先端側に一体に形成された平面視U字状の部材としている。すなわちこの移動部材80aはフィードシュー41及び回収アーム51と一体に搬送経路80上を動作するものとなっている。そして本変形例では搬送経路80の一部に開口を設け、この開口を図示しない成形品搬出路53へと連続する成形品回収口52としている。
【0067】
このようなものであっても、上記実施形態同様に、成形品Sの品質を損なうことなく、成形品Sを筐体1外で回収し得る。
【0068】
<第3変形例>
また、図11に示す粉体圧縮成形機では、上記の変形例とは異なり、回収アーム51の先端に移動部材80a設けず、周縁案内面51bによって搬送経路80上に案内された成形品Sは回収アーム51から離間する構成としている。ここで、搬送経路80は、移送速度及び/又は移送方向を可変制御できる構成が好ましい。また、図8に示すように、搬送経路80を回転動作させるためフィードシュー41と搬送経路80を接続した搬送経路動作部81をさらに設けることにより、本発明に係る成形品移送機構8を設けたものであってもよい。このような構成であれば、フィードシュー41に用いている駆動力を成形品Sの搬送のために有効に利用できる。また、この場合、周縁案内面51bにより搬送通路80に案内された成形品Sは、搬送経路80の同じ場所に案内されてしまうことから、搬送経路80上に、図示しないが例えば、のれん状であったり、又は観音開きしたりすることにより成形品Sを搬送経路80上で一時的に停止させ得る成形品仮止部を備えることが好ましい。さらに同変形例では、成形品回収口52を搬送経路80の外側に設けるとともに、搬送経路80上にて成形品Sを成形品回収口52へと案内する案内壁52aを設けたものとしている。
【0069】
このようなものであっても、上記第二変形例同様に、成形品Sの品質を損なうことなく、成形品Sを筐体1外で回収し得るものとなっている。
【0070】
以上、本発明の実施形態並びに各変形例について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。例えば上記実施形態においては、テーブル外周に粉体が盤面から落下することを防ぐ突条、周壁を設けても良い。また上記実施形態並びに各変形例では密閉攪拌型のフィードシューを一例として専ら開示したが、勿論開放型のフィードシューであっても良い。また上記実施形態で適用したサーボモータは、電動式が好ましいが、電動式に限定されることはなく、油圧式や電動式のモータであっても良い。加えて、上記実施形態並びに各変形例では、主に単層である錠剤すなわち成形品Sを成形する態様を開示したが、本発明に係る粉体圧縮成形機を用いて、二層錠などの複層成形品、または有核錠などの成形品の中に内核を有する有核成形品を成形することも可能である。
【0071】
複層成形品を成形する場合、複数個の上記種々のフィードシューを用いることにより、容易に成形することができる。例えば、二層成形品を成形する場合、上記フィードシューを2個取り付け、それぞれのフィードシューに別々の粉体を入れ、第一粉体投入→仮圧縮→第二粉体投入→本圧縮とすることにより、容易に二層成形品を成形できる。有核成形品に関しても、同様の方法を用いて、2個のフィードシューの間に、核となる錠剤や粉体などを投入する核材投入器を取り付けることにより、第一粉体投入→仮圧縮→核投入→第二粉体投入→本圧縮とすることにより、容易に有核成形品を成形できる。なお上記実施形態ではフィードシュー押圧機構として、フィードシューを弾性付勢する押し付け器を開示したが、フィードシュー押圧機構は、バネによる弾性付勢に限られることはなく、フィードシューの全体又は一部に荷重を掛けるものであったり、例えば公転時にフィードシューに掛かる遠心力を利用してフィードシューを押圧するものであっても良い。
【0072】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は粉体を圧縮して錠剤、食品、又は電子部品などを成形するための粉体圧縮成形機として利用できる。
【符号の説明】
【0074】
20…テーブル
21…臼孔
24…係合部材
31…上杵
32…下杵
41…フィードシュー
41a…ハウジング
41b…攪拌軸
41c…攪拌部材(攪拌羽根)
41d…開口部
6…第一の回転駆動機構
61中心軸
7…第二の回転駆動機構
8…成形品移送機構
X…フィードシュー制御機構
Y…相対的攪拌部材制御機構
Y1…直接的攪拌部材制御機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの臼孔が設けられた固定のテーブルと、
臼孔の上下に上杵及び下杵を上下摺動移動可能に保持させておき、杵先が臼孔内を摺動する上杵及び下杵の少なくとも一対と、
テーブルの面上を公転面として、テーブル面に対して鉛直方向が軸となる中心軸回りに公転して臼孔に粉体を充填する粉体供給用のフィードシューとを具備し、フィードシューにより臼孔内に充填された粉体を上杵及び下杵により臼孔内で圧縮成形する粉体圧縮成形機であって、
フィードシューの中心軸回りの公転速度及び/又は公転方向を変化させることが可能なフィードシュー制御機構を備えることを特徴とする粉体圧縮成形機。
【請求項2】
前記フィードシューが、中空構造をなすハウジングと、ハウジングの所定部位に設けられた攪拌軸と、ハウジング内で攪拌軸回りに自転する粉体攪拌用の攪拌部材と、粉体をハウジング内に投入するための粉体投入部と、フィードシューが公転する際に臼孔に対し平面視重なり得る位置に設けられた粉体充填用の開口部とを有するとともに、
攪拌軸の所定部位に係合する係合部材をさらに具備するものであり、
前記フィードシューにおける前記中心軸回りの公転速度と係合部材における中心軸回りの自転速度との間の、相対的な回転速度差を増減させることにより、攪拌部材の攪拌軸回りの自転速度及び/又は自転方向を変化させることが可能な相対的攪拌部材制御機構を備えることを特徴とする請求項1記載の粉体圧縮成形機。
【請求項3】
前記フィードシューを中心軸回りに公転させ、回転速度及び/又は回転方向を可変制御できる第一の回転駆動機構と、
前記係合部材を前記中心軸回りに自転させ、回転速度及び/又は回転方向を可変制御できる第二の回転駆動機構とを具備することを特徴とする請求項2記載の粉体圧縮成形機。
【請求項4】
少なくとも1つの臼孔が設けられた固定のテーブルと、
臼孔の上下に上杵及び下杵を上下摺動移動可能に保持させておき、杵先が臼孔内を摺動する上杵及び下杵を少なくとも一対と、
テーブルの面上を公転面として、テーブル面に対して鉛直方向が軸となる中心軸回りに公転して臼孔に粉体を充填する粉体供給用のフィードシューとを具備し、
フィードシューが、中空構造をなすハウジングと、ハウジングの所定部位に設けられた攪拌軸と、ハウジング内で攪拌軸回りに自転する粉体攪拌用の攪拌部材と、粉体をハウジング内に投入するための粉体投入部と、フィードシューが公転する際に臼孔に対し平面視重なり得る位置に設けられた粉体充填用の開口部とを有するものである粉体圧縮成形機であって、
攪拌部材の攪拌軸回りの自転速度及び/又は自転方向を変化させることが可能な直接的攪拌部材制御機構を備えることを特徴とする粉体圧縮成形機。
【請求項5】
前記テーブルの周縁部で成形品を移送させ、移送速度及び/又は移送方向を可変制御できる成形品取り出し用の成形品移送機構を備えることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の粉体圧縮成形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−177772(P2011−177772A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46492(P2010−46492)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000141543)株式会社菊水製作所 (29)