説明

粉体圧縮成形機

【課題】成形品の密度又は寸法をより精確に所要の値に制御することができる粉体圧縮成形機を提供する。
【解決手段】メインコントローラMCが、杵間が所定範囲内になるように上杵31及び下杵32を制御する成形制御部と、上杵31及び下杵32の相対的な位置が所定範囲に達する以前に圧力センサ35a、35bにより検出された圧力が所定範囲を上回った場合又は、上杵31及び下杵32の相対的な位置が互いに近付いて所定範囲を超えた時点での圧力センサ35a、35bにより検出された圧力が所定範囲に達していない場合に、成形品の排除、及び圧縮成形動作自体の中止といった処理を行う監視制御部として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を圧縮して錠剤、食品、又は電子部品などを成形するための粉体圧縮成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固定のテーブルに穿たれた臼孔の上下に上杵及び下杵を上下摺動移動可能に保持させている態様の粉体圧縮成形機では、近年、個々の成形品の密度及び寸法を精確且つばらつき無く均一なものとすべく、特許文献1に開示されている粉体圧縮成形機のようなものを含め、種々の態様のものが開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示された粉体圧縮成形機は、上杵及び下杵を予め設定した所定位置まで移動・加圧させる第1の加圧制御手段と、前記上杵及び下杵がそれぞれ所定の位置に到達した後に、上杵及び下杵の少なくとも一方を、所定の加圧力に到達するまで移動させる第2の加圧制御手段とを備えたものとなっている。
【0004】
しかしながら特許文献1に記載のものは、第2の加圧制御手段は予め設定した所定位置にある上杵及び下杵を、さらに互いに近接させるものであるため、以下のような不具合が考えられる。
【0005】
つまり、臼孔に所定量よりも多くの粉体が充填されている場合には、第1の加圧制御手段が所定位置まで上杵及び下杵を所定位置としたときに既に所定の加圧力を超えてしまい、所望の密度よりも大きく異なる密度の成形品が成形されて、成形品の密度にばらつきを生じさせてしまう。
【0006】
他方、臼孔に十分に粉体が充填されていないような場合には成形品の寸法が所望の寸法よりも大きく異なる成形品が成形され、成形品の寸法にばらつきを生じさせてしまう。特に臼孔に十分に粉体が充填されていないような場合には、第2の加圧制御手段の作動時に上杵及び下杵が衝突し、互いに損傷させてしまうという事が起こり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−266752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、粉体の特性や充填する量に拘わらず、成形品の密度又は寸法をより精確に所要の値に制御することにより、ばらつき無く精確に成形された成形品を安定して得ることができる粉体圧縮成形機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち本実施形態に係る粉体圧縮成形機は、少なくとも1つの臼孔が設けられた固定のテーブルと、臼孔の上下に上杵及び下杵を上下摺動移動可能に保持させておき、杵先が臼孔内を摺動する上杵及び下杵の少なくとも一対と、臼孔内に充填した粉体を圧縮するように杵先を臼孔内に挿入した上杵及び下杵を相互に近付く方向に付勢する上圧縮器及び下圧縮器と、上圧縮器及び下圧縮器により粉体を臼孔内で圧縮する際の圧力を検出する圧力検出器と、上杵の位置を検出する上位置検出器と、下杵の位置を検出する下位置検出器と、臼孔内に粉体を充填する粉体供給用のフィードシューとを具備し、フィードシューにより臼孔内に充填された粉体を上杵及び下杵により臼孔内で圧縮成形する粉体圧縮成形機であって、下位置検出器によって検出された位置に基づいて粉体充填の際における下杵の位置を制御し、且つ、上位置検出器及び下位置検出器によって検出された位置に基づいて粉体圧縮の際における上杵及び下杵の相対的な位置が所定範囲内になるように上杵及び下杵を制御する成形制御部と、上杵及び下杵の相対的な位置が所定範囲に達する以前に圧力検出器により検出された圧力が所定範囲を上回った場合、又は、上杵及び下杵の相対的な位置が互いに近付き所定範囲を超えた時点での圧力検出器により検出された圧力が所定範囲に達していない場合に、圧縮成形の中止、成形された成形品の排除及び使用者への報知のうちの少なくとも何れか一の処理を行う監視制御部とを具備することを特徴とする。
【0010】
上杵及び下杵の相対的な位置が所定範囲に達する以前に圧力検出器により検出された圧力が所定範囲を上回った場合に、圧縮成形の中止、成形された成形品の排除、及び使用者への報知のうち少なくとも何れか一の処理をする理由の一つとして、臼孔内への粉体の充填が多すぎることが考えられる。この場合、上杵と下杵の相対的な位置が所定範囲内に収まるように、さらに上杵と下杵が近付いていけば、上杵及び下杵に圧縮圧力による負荷がかかりすぎ、上杵及び下杵の寿命を縮めてしまうということがある。
【0011】
上杵及び下杵の相対的な位置が互いに近付き所定範囲を超えた時点で圧力検出器により検出された圧力が所定範囲に達していない場合に、圧縮成形の中止、成形された成形品の排除、及び使用者へ報知のうち少なくとも何れか一の処理をする理由の一つとして、臼孔内への粉体の充填量が少なすぎることが考えられる。この場合、圧力が所定範囲内に収まるように、さらに上杵と下杵が近付いていけば、上杵と下杵が接触する可能性があることがある。
【0012】
なお、一般的に一定温度であれば、圧力と密度は比例関係にある。そのため、上杵及び下杵の相対的な位置が所定範囲に達する以前であっても、圧縮圧力が所定範囲内になった段階で、成形品が所望の密度とみなし、圧縮成形の中止やその成形品を排除しないようにすることもできる。
【0013】
また、本発明に係る粉体圧縮成形機は、少なくとも1つの臼孔が設けられた固定のテーブルと、臼孔の上下に上杵及び下杵を上下摺動移動可能に保持させておき、杵先が臼孔内を摺動する上杵及び下杵の少なくとも一対と、臼孔内に充填した粉体を圧縮するように杵先を臼孔内に挿入した上杵及び下杵を相互に近付く方向に付勢する上圧縮器及び下圧縮器と、上圧縮器及び下圧縮器により粉体を臼孔内で圧縮する際の圧力を検出する圧力検出器と、上杵の位置を検出する上位置検出器と、下杵の位置を検出する下位置検出器と、臼孔内に粉体を充填する粉体供給用のフィードシューとを具備し、フィードシューにより臼孔内に充填された粉体を上杵及び下杵により臼孔内で圧縮成形する粉体圧縮成形機であって、下位置検出器によって検出された位置に基づいて粉体充填の際における下杵の位置を制御し、且つ、圧力検出器によって検出される粉体圧縮の際における上杵及び下杵に掛かる圧力が所定範囲内になるように上杵及び下杵を制御する成形制御部と、圧力が所定範囲に達する以前に上位置検出器及び下位置検出器によって検出された上杵及び下杵の相対的な位置が所定範囲よりも互いに近付いている場合、又は圧力が所定範囲を超える時点での上杵及び下杵の相対的な位置が所定範囲よりも互いに離れている場合に、圧縮成形の中止、成形された成形品の排除及び使用者への報知のうちの少なくとも何れか一の処理を行う監視制御部とを具備することを特徴とする。
【0014】
圧力が所定範囲に達する以前に上位置検出器及び下位置検出器によって検出された上杵及び下杵の相対的な位置が所定範囲よりも互いに近付いている場合に、圧縮成形の中止、成形された成形品の排除、及び使用者への報知のうち少なくとも何れか一の処理をする理由の一つとして、臼孔内への粉体の充填が少なすぎることが考えられる。この場合、圧力が所定範囲内に収まるように、さらに上杵と下杵が近付いていけば、上杵及び下杵が接触する可能性があるということがある。
【0015】
圧力が所定範囲を超える時点での上杵及び下杵の相対的な位置が所定範囲よりも互いに離れている場合に、圧縮成形の中止、成形された成形品の排除、及び使用者へ報知のうち少なくとも何れか一の処理をする理由の一つとして、臼孔内への粉体の充填量が多すぎることが考えられる。この場合、さらに上杵と下杵が近付いていけば、上杵及び下杵に圧縮圧力による負荷がかかりすぎ、上杵及び下杵の寿命を縮めてしまうということがある。なお、上記と同様に、上杵及び下杵の相対的な位置が所定範囲よりも互いに離れている場合であっても、圧力が所定範囲内にあれば、圧縮成形の中止やその成形品を排除しないようにすることもできる。
【0016】
これら上記のようなものであれば、粉体充填の際に何らかの理由で精確な量の粉体を充填し得なかった場合であっても、その後の粉体圧縮の際に常に精確な量の粉体を充填された成形品のみを得ることができる。特に何らかの理由で十分な量の粉体を充填し得なかった場合であっても、上杵及び下杵が衝突してしまう事を有効に回避することができる。その結果、密度及び/又は寸法を精確な成形品を、ばらつきなく、安定して得ることができる。
【0017】
そして、監視制御部の動作により、より精確に成形品の密度を調整し得るものとするためには、前記処理のうち圧縮成形が中止された場合、圧縮成形された粉体(成形品)の密度が所定範囲内に収まるように粉体圧縮の際における上杵及び下杵の相対的な位置を設定し直すための値の入力を受け付けるとともに当該入力された値を記憶する入力受付部を有するものとし、前記成形制御部を、入力された値に基づいて圧縮成形された粉体すなわち成形品の密度が所定範囲内に収まるように粉体圧縮の際における上杵及び下杵の相対的な位置を制御するものとすることが望ましい。
【0018】
他方、監視制御部の動作により、より精確に粉体の充填量を設定し得るようにするためには、前記処理のうち圧縮成形が中止された場合、圧縮成形された粉体の密度が所定範囲内に収まるように粉体充填の際における下杵の位置を設定し直すための値の入力を受け付けるとともに当該入力された値を記憶する入力受付部を有するものとし、前記成形制御部を、入力された値に基づいて圧縮成形された粉体の密度が所定範囲内に収まるように粉体充填の際における下杵の位置を制御するものとすることが好ましい。
【0019】
そして、臼孔へより精確かつ均一に粉体を供給し得るものとするためには、フィードシューを、テーブルの面上を公転面としてテーブル面に対して鉛直方向が軸となる中心軸回りに公転して臼孔内に粉体を充填する粉体供給用のフィードシューとすることが好ましい。
【0020】
なお、上杵及び下杵の位置を精度良く制御するために、杵先が停止させたい位置に近づくに従い、徐々に杵の速度を落としていくことが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、粉体の特性や充填する量に拘わらず、成形品の密度又は寸法をより精確に所要の値に制御することができる粉体圧縮成形機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る粉体圧縮成形機の正断面図。
【図2】同実施形態に係る平面視における構成説明図。
【図3】同要部の構成を説明するための断面図。
【図4】他の要部を説明するための断面図。
【図5】同実施形態に係る機能説明図。
【図6】同実施形態に係るフローチャート。
【図7】同上。
【図8】同上。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態の粉体圧縮成形機は、図1ないし図5に示すように、例えば8つの臼孔21を設けたテーブル20と、臼孔21の上下に配置した上杵31及び下杵32の対を含む圧縮成形装置3と、臼孔21に原料粉体を充填する動作可能に設けられたフィードシュー41を含む粉体供給装置4と、臼孔21内で圧縮された成形品Sを回収するための成形品回収装置5と、テーブル20を含むテーブル体2と、上杵31及び下杵32、フィードシュー41等を内部空間に包有する筐体1と、圧縮成形装置3、粉体供給装置4及び成形品回収装置5を統括的に制御し得るメインコントローラMCと、使用者によるメインコントローラMCへの操作を受け付ける操作パネルCPとを具備してなる。
【0024】
以下、粉体圧縮成形機の構成について説明する。
【0025】
筐体1は、図1及び図2に示すように、土台となるフレーム11と、フレーム11の上方に存在する内部空間の四方を囲繞する外装体12と、内部空間を上方から閉止する頂板13とを要素とする。そして本実施形態では、この筐体1のフレーム11に第一の回転駆動機構6を取り付けている。併せて、頂板13には第二の回転駆動機構7が取り付けられている。
【0026】
第一の回転駆動機構6は、フレーム11中央に固設された公転用モータ60と、テーブル20の中央から上面側に露出している中心軸61とを有している。公転用モータ60は、回転速度及び回転方向を自由に変化させることができるサーボモータ、又はステッピングモータなどがある。公転用モータ60は、中心軸61の下端部に直結している。中心軸61は、略直立姿勢でフレーム11に支持させてあり、公転用モータ60が出力する回転駆動力によって回転することにより、フィードシュー41を公転させ得る。
【0027】
第二の回転駆動機構7は、頂板13に固着された自転用モータ70と、下方へ垂下して自転用モータ70の駆動力を後述する係合部材24に伝達するための駆動軸71とを有している。
【0028】
テーブル体2は、図1及び図2に示すように、平面視略円盤状をなし、所定の円周に沿って間欠的に複数の臼孔21を設けたテーブル20を主たる要素としている。そして各臼孔21は、テーブル20を上下方向に貫通している。本実施形態では、臼孔21の内周壁を形作る臼部材をテーブル20とは別体としており、この臼部材はテーブル20に対して着脱可能であるが勿論、一体に構成されたものであっても良い。テーブル20は、フレーム11に固定しており、不動となっている。またテーブル体2は、テーブル20の外周縁部に設けた3本の立柱22と、これら立柱22によってテーブル20面から所定寸法上方に離間した位置に支持された天井板23とをさらに有している。次に、天井板23は、中央部位に開いた円形の窓23aを設けた平面視略ドーナツ盤状をなすものであり、この窓23aの周縁には、後述する係合部材24を支持するための複数のジャーナル23bを設けたものである。ジャーナル23bは、その周面にV溝を有しているものであり、係合部材24の外周面から径方向の外方に張り出したフランジ24cが各ジャーナル(ベアリング)23bのV溝に差し入る構造としている。なお、立柱22の本数は3本に限られず、複数あってもかまわない。また、テーブル体2は、平面視略円盤状に限られず、どのような形状であってもよい。また、テーブル体2をケースにより全体を取り囲んだり、テーブル20及び天井板23を外装体12に密着させることにより、粉体で汚染される部分を限定する構成であってもよい。
【0029】
そして本実施形態では、この天井板23に対して回転可能に設けられた係合部材24を、立柱22、天井板23とともにテーブル体2の一要素として設けてある。この係合部材24は上下に伸張した概略筒形をなし、自転用モータ70が出力する回転駆動力によって中心軸61と同心軸回りに自転する回転駆動力伝達用の部材である。この係合部材24は、上端部に形成され上述の駆動軸71に係り合う内歯車24aと、下端部に形成されフィードシュー41に設けられた後述する攪拌軸41bに係合する外歯車24bと、外周面から径方向の外方に張り出して天井板23に設けられた各ジャーナル23bのV溝に差し入る構造をなすフランジ24cとを有している。すなわち本実施形態では、係合部材24を天井板23の中央部位に開いた円形の窓23aに挿通した状態で、天井板23の上面、窓23aの周縁に沿って取り付けた複数のジャーナル23bによって水平旋回可能に支持させている。粉体圧縮成形機の詳細な構成は、特願2010−046492号に示されているものと同様である。
【0030】
圧縮成形装置3は、図1及び図5に示すように、臼孔21に充填された粉体を当該臼孔21内で上下から圧縮して成形品Sの形状に成形する役割を担う。圧縮成形装置3は、各臼孔21に上方から臨む上杵31と、各臼孔21に下方から臨む下杵32と、上杵31の各々に付随して上杵31の上下方向に沿った進退動作を惹起する上圧縮器たる液圧シリンダ33aと、下杵32の各々に付随して下杵32の上下方向に沿った進退動作を惹起する下圧縮器たる液圧シリンダ33bと、各上杵31の位置を検出する上位置検出器たるポテンショメータ34aと、各下杵32の位置を検出する下位置検出器たるポテンショメータ34bと、粉体圧縮の際に各上杵31及び下杵32の対に掛かる圧力を検出する圧力検出器たる圧力センサ35a、35bとを主な要素とする。なお、図1では便宜上、一の臼孔21に対応する一の圧縮成形装置3以外の圧縮成形装置3の図示を省略している。また、下杵32の下方には、下杵32の摺動により落ちてきた粉体を吸塵する吸塵器(図示しない)を備えているものが好ましい。なお上杵31及び下杵32は上下方向の摺動による摩擦熱や衝撃熱などにより若干膨張する。そのため、位置検出器たるポテンショメータ34a、34bは杵先の先端部の位置を検出する構成が望ましい。
【0031】
液圧シリンダ33aは、下方に延びるピストンロッドを液圧力を以て突没させるものであり、そのピストンロッドの下端部に上杵31が取り付けられている。各液圧シリンダ33aは図5に示すように、液圧ポンプ36aから液圧の供給を受ける。本実施形態では、単一の液圧ポンプ36aから出力された液圧を複数の液圧シリンダ33aの何れかに選択的に供給するようにしている。そのために、液圧ポンプ36aと複数の液圧シリンダ33aとを接続する管路の途中に、液圧の流れ方向を制御する切替バルブ37が介設されている。なお本実施形態では、液圧ポンプ36aは、ポンプ本体とポンプモータとが一体に構成されたものを採用しているが、勿論、ポンプとポンプモータとを別体に構成しているものを適用しても良い。
【0032】
液圧シリンダ33bもまた、上方に延びるピストンロッドを液圧力を以て突没させるものであって、そのピストンロッドの上端部に下杵32が取り付けられている。各液圧シリンダ33bは、液圧シリンダ33bごとに配された液圧ポンプ36bから個別に液圧の供給を受ける。下杵32は上杵31とは異なり、複数本を同時期に上下動させる必要があるため、液圧シリンダ33bと同数の液圧ポンプ36bが用意されている。なお本実施形態では、液圧ポンプ36bは上記液圧ポンプ36a同様、ポンプ本体とポンプモータとが一体に構成されたものを採用しているが、勿論、ポンプとポンプモータとを別体に構成しているものを適用しても良い。
【0033】
ポテンショメータ34aは、上杵31又は上杵31に付随する液圧シリンダ33aのピストンロッドの上下位置を検出する検出器である。
【0034】
同様に、ポテンショメータ34bは、下杵32又は下杵32に付随する液圧シリンダ33bのピストンロッドの上下位置を検出する検出器である。
【0035】
上側の圧力センサ35aは、上杵が粉体を押圧する圧力として、液圧ポンプ36aが出力する液圧力を検出するものである。そして下側の圧力センサ35bは下杵32が粉体を押圧する圧力として、液圧ポンプ36bが出力する液圧力を検出するものである。
【0036】
さらに本実施形態では、各上杵31の上下進退動作を制御する上杵制御機構たるサーボアンプ38aと、各下杵32の上下進退動作を制御する下杵制御機構たるサーボアンプ38bとが付帯している。
【0037】
サーボアンプ38aは、本実施形態では、液圧ポンプ36aにおけるポンプ本体を駆動するポンプモータの制御を司るものである。このサーボアンプ38aは、ポテンショメータ34aを介して検出される上杵31の位置を参照し、その上杵の位置を所与の目標位置に到達させるべく液圧ポンプ36aを制御する。及び/又は、圧力センサ35aを介して検出される上杵31の圧力を参照し、その上杵31の圧力を所与の目標圧力に到達させるべくポンプモータひいては液圧ポンプ36aを制御する。それらのうち少なくとも一を実行している。
【0038】
サーボアンプ38bは、液圧ポンプ36bにおけるポンプ本体を駆動するポンプモータの制御を司るものである。このサーボアンプ38bは、ポテンショメータ34bを介して検出される下杵32の位置を参照し、その下杵32の位置を所与の目標位置に到達させるべく液圧ポンプ36bを制御する。又は、圧力センサ35bを介して検出される下杵32の圧力を参照し、その下杵34の圧力を所与の目標圧力に到達させるべくポンプモータひいては液圧ポンプ36bを制御する。それらのうち少なくとも一を実行している。
【0039】
粉体供給装置4は、テーブル20の各臼孔21に順次粉体を充填する役割を担う。粉体供給装置4は、図1、図2及び図4に示すように、テーブル20面に対し直交した中心軸61回りに公転して各臼孔21を巡回する粉体充填用の回転式フィードシュー41と、フィードシュー41に連通してフィードシュー41に粉体を投入する投入ダクト42と、投入ダクト42に粉体を絶えず補給するフィーダ43及びホッパ44とを要素とする。
【0040】
フィードシュー41は、中空構造をなすハウジング41aと、ハウジング41aの所定部位に設けた攪拌軸41bと、ハウジング41a内で攪拌軸41b回りに自転する攪拌部材たる攪拌羽根41cと、ハウジング41aから粉体を臼孔21に充填するための開口部41dと、粉体をハウジング41aに投入するための粉体投入口41eと、臼孔21に充填された粉体をすり切るためのすり切り板41gと、フィードシュー41を公転中心である中心軸61側に取り付けるための取付部41hとを主に備える。
【0041】
投入ダクト42は、下方にあってハウジング41aの粉体投入口41eに接続している出口42aと、上方にあって出口42aの内径よりも大きく拡径している入口42bとを管路でつないだものである。投入ダクト42の入口42bは中心軸61の直上に位置する一方、出口42aは中心軸61から見て径方向に沿って外方に偏倚している。それ故、投入ダクト42の管路はやや傾倒している。この投入ダクト42は、フィードシュー41の公転に伴って中心軸61回りに回転するが、入口42bの位置は変動しない。
【0042】
フィーダ43は、径方向に沿った外方から内方に向かって直線的に粉体を搬送し、投入ダクト42の入口42bに落とし入れる。ホッパ44は、筐体1の内外を連絡して、外部から補給される粉体をフィーダ43へと送り込む。フィーダ43及びホッパ44は、既知の粉体圧縮成形機におけるそれをそのまま採用できる。
【0043】
成形品回収装置5は、本実施形態では圧縮成形装置3によって成形された成形品Sをテーブル20の中央部分から筐体1外へ移動させ、成形品Sを回収するものである。成形品回収装置5は、上述したフィードシュー41に一体的に設けられてテーブル20上を動作する回収アーム51と、テーブル20の中央付近から成形品Sを下方へ導くための成形品回収口52と、成形品回収口52から筐体1外へ成形品Sを案内する成形品搬出路53と、当該成形品搬出路53と通過する所望の成形品を排除するための排除器54とを有している。回収アーム51は、本実施形態ではフィードシュー41と共に公転することによって、下杵32によってテーブル20面上に押し上げられた状態にある成形品Sを順次テーブル20中央に向けて案内するための中央案内面51aを有している。
【0044】
その上で、本実施形態に係る粉体圧縮成形機は、上述した第一の回転駆動機構6及び第二の回転駆動機構7がメインコントローラMCにより適宜目標指令を与えられることにより、動作するものである。
【0045】
メインコントローラMCは、時々刻々と変化する、中心軸61の目標回転角度、駆動軸71の目標回転速度、各上杵31ごとの目標位置、各下杵32ごとの目標位置の時系列情報を所要の記憶デバイスに記憶保持しており、粉体圧縮成形機の制御の際にその時系列情報を読み出して、第一の回転駆動機構6及び第二の回転駆動機構7のそれぞれに順次目標値を入力するものである。特に本実施形態では、このメインコントローラMCが、成形品の所望の密度及び/又は所望の厚み寸法を実現する成形制御機構の役割を担っているものであるが、この成形制御機構については後に詳述する。
【0046】
本実施形態における回転式フィードシュー41の動作について解説する。まず、本実施形態では、公転用モータ60の回転速度及び回転方向の制御を通じて、テーブル20に対するフィードシュー41の中心軸61回りの回転速度及び回転方向を自在に制御することができる。つまり、公転用モータ60及び中心軸61が、フィードシュー41の公転速度及び公転方向を可変制御する第一の回転駆動機構6を構成する。
【0047】
本実施形態に係る粉体圧縮成形機は、メインコントローラMCが、下位置検出器たるポテンショメータ34bによって検出された位置に基づいて粉体充填の際における下杵32の位置を制御し、且つ、上位置検出器たるポテンショメータ34a及びポテンショメータ34bによって検出された位置に基づいて粉体圧縮の際における上杵31及び下杵32の相対的な位置すなわち杵間が所定範囲内になるように上杵31及び下杵32を制御する成形制御部として機能する。またこの粉体圧縮成形機は、メインコントローラMCと操作パネルCPとが、圧縮成形が中止された際に、圧縮成形された粉体の密度が所定範囲内に収まるように粉体圧縮の際における上杵及び下杵の相対的な位置を設定し直すための値の入力を受け付けるとともに当該入力された値を記憶する入力記憶部として機能する。この成形制御部であり、且つ入力記憶部を構成するメインコントローラMCの働きを以下に述べる。
【0048】
まず、図6に示すように、メインコントローラMCが、杵間が所定範囲内になるように上杵31及び下杵32を制御する成形制御部と、上杵31及び下杵32の相対的な位置が所定範囲に達する以前に圧力センサ35a、35bにより検出された圧力が所定範囲を上回った場合に圧縮成形を中止するとともに、上杵31及び下杵32の相対的な位置が互いに近付き所定範囲を超えた時点での圧力センサ35a、35bにより検出された圧力が所定範囲に達していない場合に、成形品Sの排除及び圧縮成形動作自体の停止といった処理を行う監視制御部として機能する。その態様について述べる。
【0049】
メインコントローラMCは、まず、圧縮成形時における圧力センサ35a、35bが検出する圧力の目標値を予め設定する(ステップST101)。次に、臼孔21に充填する原料粉体の量(質量)を設定すべく、下杵32の目標位置をサーボアンプ38bに与える指令を行う(ステップST102)。次に、粉体が臼孔21に充填されると(ステップST103)、上杵31、下杵32を作動させて圧縮成形が開始される(ステップST104)。その後、上杵31及び下杵32が予め設定された所定杵間位置に至るまでに上記の圧力値が目標値に達した場合には(ステップST105)、圧縮成形を中止(ステップST106)し、そのときの実際の圧力値をメインコントローラMCへ送信させる(ステップST108)。他方、所定杵間位置に至るまでに所定圧力に達しなかった場合には(ステップST105)、前記所定杵間位置まで粉体を圧縮し(ステップST107)そのときの圧力の実測値をメインコントローラMCへ送信させる(ステップST108)。続いて圧縮された成形品Sを臼孔21から取り出す(ステップST109)。この成形品Sの圧縮成形時における圧力値が排除されるべき排除範囲内に該当すれば(ステップST110)、当該成形品Sを排除器54によって排除するとともに、圧縮成形装置3の動作自体を停止させる(ステップST112)。併せて、メインコントローラMCは操作パネルCPとともに入力記憶部として機能する。換言すれば、メインコントローラMCは操作パネルCPが上杵31及び下杵32の杵間位置の設定変更を受け付けるようにし(ステップST113)、処理を終了する。なお使用者によって操作パネルCPに入力された修正値はメインコントローラMC内のメモリに格納され、次回以降の動作に供される。一方、圧縮成形時における圧力値が排除範囲内でない場合(ステップST110)で、圧縮成形時の杵間位置の実測値が補正範囲内でない場合(ステップST114)はそのまま処理を終了する。他方、前記杵間位置の実測値が補正範囲内に該当する場合は、上記ステップST107における所定杵間位置を補正し(ステップST115)、処理を終了する。
【0050】
続いて図7に示すような、メインコントローラMCが、ポテンショメータ34bによって検出された位置に基づいて粉体充填の際における下杵32の位置を制御する成形制御部と、圧力が所定範囲に達する以前にポテンショメータ34a及びポテンショメータ34bによって検出された上杵31及び下杵32の相対的な位置が互いに近付き所定範囲を超えた場合に圧縮成形の中止をするとともに、圧力値が所定範囲を超えた時点での上杵31及び下杵32の相対的な位置が所定範囲よりも互いに離れている場合に圧縮成形の中止及び成形品Sの排除といった処理を行う監視制御部としても機能する態様を採ることもできる。
【0051】
つまりメインコントローラMCは、圧縮成形時における圧力センサ35a、35bが検出する圧力の目標値をあらかじめ設定する(ステップST201)。次に、臼孔21に充填する原料粉体の量(質量)を設定すべく、下杵32の目標位置をサーボアンプ38bに与える指令を行う(ステップST202)。そして、粉体が充填されると(ステップST203)、次に、上杵31、下杵32を作動させて圧縮成形が開始される(ステップST204)。その後、上杵31及び下杵32が予め設定された圧力の目標値に至るまでに上記の上杵31及び下杵32が所定杵間位置を超えて近接した所定限度位置に達した場合には(ステップST205)、圧縮成形を中止(ステップST206)し、そのときの実際の圧力をメインコントローラMCへ送信させる(ステップST208)。他方、圧力の目標値に至るまでに所定限度位置に達しなかった場合には(ステップST205)、圧力の目標値まで粉体を圧縮し(ステップST207)そのときの圧力の実測値をメインコントローラMCへ送信させる(ステップST208)。続いて圧縮された成形品Sを臼孔21から取り出し(ステップST209)、この成形品Sの圧縮成形時における上杵31と下杵32との杵間寸法が排除されるべき排除範囲に該当すれば(ステップST210)、当該成形品Sを排除器54によって排除する(ステップST211)とともに、圧縮成形装置3の動作自体を停止させる(ステップST212)。さらにメインコントローラMCは操作パネルCPとともに入力記憶部として機能する。換言すれば、メインコントローラMCは、操作パネルCPがステップST201における下杵32の降下位置の設定変更、すなわち粉体の充填量の変更を受け付けるようにし(ステップST213)、処理を終了する。なお使用者によって操作パネルCPに入力された修正値はメインコントローラMC内のメモリに格納され、次回以降の動作に供される。一方、圧縮成形時における杵間寸法が排除範囲内でない場合(ステップST210)で、圧縮成形時の杵間位置の実測値が補正範囲内でない場合(ステップST214)はそのまま処理を終了する。他方、前記杵間位置の実測値が補正範囲に該当する場合は、上記ステップST202における下杵32の降下位置を補正し(ステップST215)、処理を終了する。
【0052】
さらに図8に示すような、メインコントローラMCがポテンショメータ34bによって検出された位置に基づいて粉体充填の際における下杵32の位置を制御する成形制御部と、上杵31及び下杵32の相対的な位置が所定範囲に達する以前に圧力センサ35a、35bにより検出された圧力値が所定範囲を上回った場合に圧縮成形を中止するとともに、上杵31及び下杵32の相対的な位置が互いに近付き所定範囲を超えた時点での圧力センサ35a、35bにより検出された圧力値が所定範囲に達していない場合に、成形品Sの排除並びに圧縮成形動作自体の停止といった処理を行う監視制御部としても機能する態様について述べる。
【0053】
つまりメインコントローラMCは、圧縮成形時における圧力センサ35a、35bが検出する圧力の目標値を設定する(ステップST301)。次に、臼孔21に充填する原料粉体の量(質量)を設定すべく、下杵32の目標位置をサーボアンプ38bに与える指令を行う(ステップST302)。そして粉体が充填されると(ステップST303)、次に、上杵31、下杵32を作動させて圧縮成形が開始される(ステップST304)。その後、上杵31及び下杵32が予め設定された所定杵間位置に至るまでに上記の圧力値が目標値に達した場合には(ステップST305)、圧縮成形を中止(ステップST306)し、そのときの実際の圧力をメインコントローラMCへ送信させる(ステップST308)。他方、所定杵間位置に至るまでに所定圧力に達しなかった場合には(ステップST305)、前記所定杵間位置まで粉体を圧縮し(ステップST307)そのときの圧力の実測値をメインコントローラMCへ送信させる(ステップST308)。続いて圧縮された成形品Sを臼孔21から取り出し(ステップST309)、この成形品Sの圧縮成形時における圧力値が排除されるべき排除範囲内に該当すれば(ステップST310)、当該成形品Sを排除器54によって排除するとともに、圧縮成形装置3の動作自体を停止させる(ステップST312)。さらにメインコントローラMCは操作パネルCPとともに入力記憶部として機能する。換言すれば、メインコントローラMCは、操作パネルCPがステップST301における下杵32の降下位置の設定変更、すなわち粉体の充填量の変更を受け付けるようにし(ステップST313)、処理を終了する。なお使用者によって操作パネルCPに入力された修正値はメインコントローラMC内のメモリに格納され、次回以降の動作に供される。一方、圧縮成形時における圧力値が排除範囲内でない場合(ステップST310)で、圧縮成形時の杵間位置の実測値が補正範囲内でない場合(ステップST314)はそのまま処理を終了する。他方、前記杵間位置の実測値が補正範囲内に該当する場合は、上記ステップST301における下杵32の降下位置を補正し(ステップST315)、処理を終了する。
【0054】
以上のように、本実施形態に係る粉体圧縮成形機は、粉体充填の際に何らかの理由で精確な量の粉体を充填し得なかった場合であっても、その後の工程において杵間や圧力値が排除範囲内である成形品Sの排除により、常に精確な量の粉体で成形された成形品Sのみを得る構成となっている。つまり、得られた個々の成形品Sの密度及び寸法を精確且つばらつき無く均一にすることができる。
【0055】
そして監視制御部の動作により、より精確に粉体の密度を調整し得るものとするために本実施形態では、前記処理のうち圧縮成形が中止された場合、圧縮成形された粉体の密度が所定範囲内に収まるように粉体圧縮の際における上杵31及び下杵32の相対的な位置を設定し直すための値の入力を受け付けるとともに当該入力された値を記憶するものとし、成形制御部を、入力された値に基づいて圧縮成形された粉体の密度が所定範囲内に収まるように粉体圧縮の際における上杵31及び下杵32の相対的な位置を制御するものとしている。
【0056】
他方、監視制御部の動作により、より精確に粉体充填量を設定し得るようにするために本実施形態では、前記処理のうち圧縮成形が中止された場合、圧縮成形された粉体の密度が所定範囲内に収まるように粉体充填の際における下杵32の位置を設定し直すための値の入力を受け付けるとともに当該入力された値を記憶するものとし、成形制御部を、入力された値に基づいて粉体の密度が所定範囲内に収まるように粉体充填の際における下杵32の位置を制御するものとしている。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0058】
例えば、上記実施形態では処理の際に粉体圧縮を中止する態様並びに成形品を排除する態様を開示したが、勿論、その際に操作パネルにその旨を表示したり、所定の音を発するようにして、使用者に速やかに報知する態様をしてもよい。またフィードシューや搬出経路の具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、粉体を圧縮して錠剤、食品、又は電子部品などを成形するための粉体圧縮成形機として利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1…テーブル
21…臼孔
31…上杵
32…下杵
33a…上圧縮器(液圧シリンダ)
33b…下圧縮器(液圧シリンダ)
34a…上位置検出器(ポテンショメータ)
34b…下位置検出器(ポテンショメータ)
35a、35b…圧力検出器(圧力センサ)
41…フィードシュー
MC…成形制御部、監視制御部(メインコントローラ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの臼孔が設けられた固定のテーブルと、
臼孔の上下に上杵及び下杵を上下摺動移動可能に保持させておき、杵先が臼孔内を摺動する上杵及び下杵の少なくとも一対と、
臼孔内に充填した粉体を圧縮するように杵先を臼孔内に挿入した上杵及び下杵を相互に近付く方向に付勢する上圧縮器及び下圧縮器と、
上圧縮器及び下圧縮器により粉体を臼孔内で圧縮する際の圧力を検出する圧力検出器と、
上杵の位置を検出する上位置検出器と、
下杵の位置を検出する下位置検出器と、
臼孔内に粉体を充填する粉体供給用のフィードシューとを具備し、
フィードシューにより臼孔内に充填された粉体を上杵及び下杵により臼孔内で圧縮成形する粉体圧縮成形機であって、
下位置検出器によって検出された位置に基づいて粉体充填の際における下杵の位置を制御し、且つ、上位置検出器及び下位置検出器によって検出された位置に基づいて粉体圧縮の際における上杵及び下杵の相対的な位置が所定範囲内になるように上杵及び下杵を制御する成形制御部と、
上杵及び下杵の相対的な位置が所定範囲に達する以前に圧力検出器により検出された圧力が所定範囲を上回った場合、又は、上杵及び下杵の相対的な位置が互いに近付き所定範囲を超えた時点での圧力検出器により検出された圧力が所定範囲に達していない場合に、圧縮成形の中止、成形された成形品の排除、及び使用者への報知のうちの少なくとも何れか一の処理を行う監視制御部とを具備することを特徴とする粉体圧縮成形機。
【請求項2】
少なくとも1つの臼孔が設けられた固定のテーブルと、
臼孔の上下に上杵及び下杵を上下摺動移動可能に保持させておき、杵先が臼孔内を摺動する上杵及び下杵の少なくとも一対と、
臼孔内に充填した粉体を圧縮するように杵先を臼孔内に挿入した上杵及び下杵を相互に近付く方向に付勢する上圧縮器及び下圧縮器と、
上圧縮器及び下圧縮器により粉体を臼孔内で圧縮する際の圧力を検出する圧力検出器と、
上杵の位置を検出する上位置検出器と、
下杵の位置を検出する下位置検出器と、
臼孔内に粉体を充填する粉体供給用のフィードシューとを具備し、
フィードシューにより臼孔内に充填された粉体を上杵及び下杵により臼孔内で圧縮成形する粉体圧縮成形機であって、
下位置検出器によって検出された位置に基づいて粉体充填の際における下杵の位置を制御し、且つ、圧力検出器によって検出される粉体圧縮の際における上杵及び下杵に掛かる圧力が所定範囲内になるように上杵及び下杵を制御する成形制御部と、
圧力が所定範囲に達する以前に上位置検出器及び下位置検出器によって検出された上杵及び下杵の相対的な位置が所定範囲よりも互いに近付いている場合、又は、圧力が所定範囲を超える時点での上杵及び下杵の相対的な位置が所定範囲よりも互いに離れている場合に、圧縮成形の中止、成形された成形品の排除、及び使用者への報知のうちの何れか一の処理を行う監視制御部とを具備することを特徴とする粉体圧縮成形機。
【請求項3】
前記処理により圧縮成形が中止された際に、圧縮成形された粉体の密度が所定範囲内に収まるように粉体圧縮の際における上杵及び下杵の相対的な位置を設定し直すための値の入力を受け付けるとともに当該入力された値を記憶する入力受付部を有するものであり、
前記成形制御部が、前記入力受付部に入力された値に基づいて圧縮成形された粉体の密度が所定範囲内に収まるように粉体圧縮の際における上杵及び下杵の相対的な位置を制御するものである請求項1または2記載の粉体圧縮成形機。
【請求項4】
前記処理により圧縮成形が中止された際に、圧縮成形された粉体の密度が所定範囲内に収まるように粉体充填の際における下杵の位置を設定し直すための値の入力を受け付けるとともに当該入力された値を記憶する入力受付部を有するものであり、
前記成形制御部が、前記入力受付部に入力された値に基づいて圧縮成形された粉体の密度が所定範囲内に収まるように粉体充填の際における下杵の位置を制御するものである請求項1、2または3記載の粉体圧縮成形機。
【請求項5】
前記フィードシューが、テーブルの面上を公転面としてテーブル面に対して鉛直方向が軸となる中心軸回りに公転して臼孔内に粉体を充填する粉体供給用のフィードシューであることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の粉体圧縮成形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−35314(P2012−35314A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179745(P2010−179745)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000141543)株式会社菊水製作所 (29)