説明

粉体特性測定装置

【課題】 測定室内部で飛散した粉体の測定室内部での停滞や堆積を防止すべく測定室内部で飛散した粉体を速やかに外部に排気し得る粉体特性測定装置を提供する。
【解決手段】 排気ファン88を作動させることにより、外部の空気がエアー吸入開口部57、エアー吸入部51から測定室内部に入り、粉塵排出口53、排気ホース65を通り、排気口65aから外部に排出されるという空気の流れが形成され、この空気の流れとともに測定室内に飛散した粉体が外部に排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業用や薬等に使用される粉体の粉体特性を調べる粉体特性測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、粉末状の薬など粉体は、その安息角、崩潰角、スパチュラ角などのような粉体の種々の特性を測定するが、このような粉体の特性を測定するためには、測定室の上方から粉体を粉体テーブルの上に落下させて、粉体テーブル上に粉体堆積層を形成し、この粉体堆積層の傾斜角を測定したり、更には粉体テーブル上に形成された粉体堆積層に対して衝撃振動を与え、この衝撃振動で崩れた粉体堆積層の傾斜角を測定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−308502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、安息角、崩潰角、スパチュラ角などのような粉体の種々の特性を測定するには、粉体を粉体テーブルの上に上方から落下させて、粉体テーブル上に粉体堆積層を形成したり、この形成された粉体テーブル上の粉体堆積層に対して衝撃振動を与えることが必要であるが、このように粉体を上方から落下させたり、粉体堆積層に衝撃振動を与えると、粉体が測定室内に飛散し、測定を速やかに実施できないという問題があるとともに、飛散した粉体が測定室の底は勿論のこと、測定室内の測定部材などの種々の部分に堆積してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、測定室内部で飛散した粉体の測定室内部での停滞や堆積を防止すべく測定室内部で飛散した粉体を速やかに外部に排気し得る粉体特性測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、請求項1記載の粉体特性測定装置は、測定室内に配置され粉体テーブル上の粉体堆積層に対して少なくとも安息角、崩壊角、スパチュラ角を測定する測定手段を備えた粉体特性測定装置であって、前記測定室は、少なくとも外からの空気が室内上部開放口から室内に入り、室内下部開放口から外へ向かう流れを作る排気ファンと天井部に設けられ前記測定手段の粉体を手で供給する為の粉体投入口とを備えていることを要旨とする。
【0007】
請求項2記載の粉体特性測定装置は、前記粉体投入口が、別途用意された粉体自動供給ユニットの供給口と着脱可能な着脱口となっていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外からの空気が室内上部開放口から測定室内に入り、排気ファンにより室内下部開放口から外へ向かうという空気の流れが形成され、この空気の流れとともに測定室内に飛散した粉体は外部に排出され、粉体が測定室内部に滞り、測定室の底や測定室内の測定部材などの種々の部分に堆積してしまうということがなくなり、粉体堆積層7の測定を速やかに実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係わる粉体特性測定装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す粉体特性測定装置の崩潰角測定時の構成を示す正面図である。
【図3】図1に示す粉体特性測定装置の崩潰角測定時の構成を示す側面図である。
【図4】図1に示す粉体特性測定装置のスパチュラ角測定時の構成を示す正面図である。
【図5】図1に示す粉体特性測定装置のスパチュラ角測定時の構成を示す側面図である。
【図6】図1乃至図5に示した粉体特性測定装置のエアー吸入部の構成を示す図である。
【図7】図1乃至図5に示した粉体特性測定装置の粉塵排出口の構成を示す図である。
【図8】図1乃至図5に示した粉体特性測定装置の粉体自動供給ユニットの構成を示す図である。
【図9】図1乃至図5に示した粉体特性測定装置の粉体自動供給ユニットの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係わる粉体特性測定装置の全体構成を示す斜視図である。図2および図3は、それぞれ図1に示す粉体特性測定装置の正面図および側面図である。
【0012】
図1乃至図3に示すように、本実施形態の粉体特性測定装置100は、下部に所定の厚みを持って張り出したステージ1を有し、このステージ1の後方は上方に立ち上がって後方箱部3を形成している。そして、このステージ1の上面と後方箱部3の前面との間のステージ1と後方箱部3とで挟まれた部分には、粉体堆積層の特性を測定する種々の装置が設けられているが、この部分の全体は、点線で示す観音開き式の透明なアクリルカバー99により覆われ、粉体が測定中などに外部に飛散しないようになっている。なお、ステージ1の下端には、脚部1aが複数取り付けられ、この複数の脚部1aで粉体特性測定装置の全体が支持されている。
【0013】
ステージ1のほぼ中央の少し上方には、矩形の平皿状のバット5が設けられ、このバット5内にはほぼ円錐状の粉体堆積層7が載った粉体テーブル9が設けられている。なお、粉体テーブル9は、図3から分かるように板状部材である安息角バー11の一端上に載置されている。なお、バット5は、ステージ1から上方に伸びた支持部材であるリフタ13で上下動可能に支持されている。
【0014】
バット5の前側のステージ1の上には、太径の円筒部材15の下端が固定的に取り付けられ、この太径の円筒部材15の上端には、周縁部が立ち上がった鍔部材17が取り付けられ、この鍔部材17の上に前記安息角バー11の他端が取り付けられている。この安息角バー11の他端が取り付けられた太径の円筒部材15の上端には、棒状部材である細径の筒状体21の下端が連結され、この筒状体21に対して磁性体からなるリング状の錘19が上下動自在に嵌合され、この錘19は鍔部材17の上に取り付けられた安息角バー11の他端上に載っている。なお、筒状体21の上端には、キャップ23が取り付けられ、このキャップ23の真下にストッパ25が取り付けられている。
【0015】
また、粉体堆積層7の上方には、漏斗31が設けられ、この漏斗31から粉体テーブル9上に粉体が供給され、粉体テーブル9上に粉体堆積層7が形成される。この漏斗31は、後方箱部3の前面に取り付けられた振動板33で支持されるとともに、漏斗31の上には、複数の篩35が設けられている。
【0016】
更に、篩35の上方には、粉体自動供給ユニット37が着脱可能に設けられ、この粉体自動供給ユニット37は、後方箱部3の前面の最上部に取り付けられている。この粉体自動供給ユニット37に粉体を入れると、粉体は、粉体自動供給ユニット37から下方の篩35に供給される。篩35に供給された粉体は、振動板33で振動され、篩35から漏斗31を通って粉体テーブル9上に落下し、粉体テーブル9上に粉体堆積層7として堆積される。
【0017】
また、粉体自動供給ユニット37は、詳しくは、図8(a)に示すようなバスケット状の容器39内に粉体を入れるようになっている。この粉体の入った容器39を図8(b)に示す供給ユニット41内に入れると、シャフト43が容器39のシャッター受け45に当たり、容器39のシャッター47が開き、粉体が下方に落下し、篩35内に供給されるようになっている。なお、図9に示すように、容器39の後部に例えばスクリューなどからなる供給駆動源40を設け、容器内の粉体をかき混ぜながら供給することも可能である。
【0018】
更に、図1および図2に示すように、粉体特性測定装置100の後方箱部3の前面の上部の左右には、エアー吸入部51が2個設けられ、またステージ1と後方箱部3との境界部分には、粉塵排出口53が複数形成されていて、エアー吸入部51から吸入した外部の空気が粉体特性測定装置100の測定室内部を通り、内部の粉塵とともに粉塵排出口53から外部に排出されるようになっている。なお、エアー吸入部51および後述するエアー吸入開口部57は室内上部開放口を構成し、粉塵排出口53は室内下部開放口を構成するものである。
【0019】
更に詳しくは、エアー吸入部51は、図6に示すように、網55で覆われてから、後方箱部3の内部を斜め上方に延出し、後方箱部3の天井に形成されたエアー吸入開口部57に連通し、このエアー吸入開口部57から外部の空気を吸入し、エアー吸入部51を介して測定室内部に供給し、粉塵排出口53から外部に排出する。なお、後方箱部3の天井のエアー吸入開口部57の内側には、フィルタ59が取り付けられ、またエアー吸入開口部57の外側には、網またはパンチングメタルなどからなるフィルタ交換用蓋61が取り付けられている。なお、エアー吸入部51を覆っている網55は、パンチングメタルなどでもよい。
【0020】
また、ステージ1と後方箱部3との境界部分に形成されている複数の粉塵排出口53は、図7(a)、(b)、(c)に一部を拡大して図示するように短い矩形の孔53a、ほぼ丸い孔53b、または細長い矩形の孔53cなどで形成されるが、これらの粉塵排出口53は、図3に示すように、全体的に1つの排出ダクト63で覆われてまとめられてから、排気ホース65に連結され、この排気ホース65から外部に排出されるようになっている。この排気ホース65は、図1に示すように、その排気口65aが粉体特性測定装置100の外部に露出し、この排気口65aから測定室内の粉塵などが外部に排出される。
【0021】
また、この排気口65aに連結した排気ホース65の端部には、排気ファン88が設けられ、この排気ファン88で測定室内部の粉塵を外部に排出するようになっている。すなわち、粉体自動供給ユニット37から篩35および漏斗31を介して粉体テーブル9上に粉体を落下させて、粉体テーブル9上に粉体堆積層7を形成したり、更には後述するように、粉体テーブル9上に形成された粉体堆積層7に衝撃振動を与えるなどにより、粉体が測定室内部に飛散したとしても、排気ファン88が作動することにより、外部の空気がエアー吸入開口部57、エアー吸入部51から測定室内部に入り、粉塵排出口53、排気ホース65を通り、排気口65aから外部に排出されるという空気の流れとともに測定室内部に飛散した粉体は外部に排出され、粉体が測定室内部に滞り、測定室の底や測定室内の測定部材などの種々の部分に堆積してしまうということがないのである。
【0022】
なお、前記排気ホース65の排気口65aに例えば掃除機などを接続し、装置内部に舞っている粉塵を掃除機などで吸引してもよい。
【0023】
図1および図2に示すように、粉体堆積層7の左右両側方の後方箱部3の前面には、赤外線カメラ71と赤外線LED光源73とが粉体堆積層7を挟んで対向して取り付けられている。赤外線カメラ71は、赤外線LED光源73からの赤外線に向かって粉体堆積層7を撮像し、この撮像した粉体堆積層7のデータを図示しないコンピュータに供給し、コンピュータで粉体堆積層7の安息角、崩潰角、スパチュラ角などの特性を解析するようになっている。
【0024】
図4および図5に示す粉体特性測定装置は、図1乃至図3に示した粉体特性測定装置100における安息角バー11の代わりに板状部材であるスパチュラバー111を設け、このスパチュラバー111の上にスパチュラ角を測定するための粉体堆積層70を載せた点が異なるのみであり、その他の構成は図1乃至図3に示す粉体特性測定装置と同じであり、同じ構成要素には同じ符号を付して、説明を省略する。なお、図4および図5に示す粉体特性測定装置は、図1乃至図3に示すものと分けて説明する必要がある場合には、符号100aを付し、粉体特性測定装置100aとして記載する。
【0025】
以上のように構成される粉体特性測定装置100または100aにおいて、粉体堆積層の安息角、崩壊角、スパチュラ角などを測定するには、まず粉体テーブル9上に上方から粉体を落下させて、粉体堆積層7を形成する必要がある。
【0026】
この粉体堆積層7を形成するためには、まず粉体自動供給ユニット37のバスケット状の容器39内に粉体を入れ、この粉体の入った容器39を図8(b)に示す供給ユニット41内に入れる。粉体の入った容器39が供給ユニット41内に入れられると、シャフト43が容器39のシャッター受け45に当たり、容器39のシャッター47が開き、容器39内の粉体が下方に落下し、粉体自動供給ユニット37の下方の篩35内に供給される。
【0027】
篩35に供給された粉体は、振動板33で振動され、篩35から漏斗31を通って粉体テーブル9上に落下し、粉体テーブル9上に粉体堆積層7として堆積される。
【0028】
上述したように、粉体テーブル9上に粉体堆積層7を形成する過程において、粉体は、粉体自動供給ユニット37から篩35内に投入され、篩35に投入された粉体は、振動板33で振動されながら漏斗31を介して粉体テーブル9に落下させられるが、このような粉体の投入、振動、落下において粉体は、測定室内に飛散し、従来は、測定を速やかに実施できなかったり、飛散した粉体が測定室の底や測定室内の測定部材などの種々の部分に堆積してしまうことがあったが、本実施形態では、測定室の上部に室内上部開放口であるエアー吸入部51がエアー吸入開口部57に連通して設けられているとともに、測定室の下部には粉塵排出口53が設けられ、この粉塵排出口53は排気ホース65および排気ファン88を介して排気口65aから外部に通じているため、排気ファン88を作動させることにより、外部の空気がエアー吸入開口部57、エアー吸入部51から測定室内部に入り、粉塵排出口53、排気ホース65を通り、排気口65aから外部に排出されるという空気の流れが形成され、この空気の流れとともに測定室内に飛散した粉体は外部に排出され、粉体が測定室内部に滞り、測定室の底や測定室内の測定部材などの種々の部分に堆積してしまうということがなくなり、粉体堆積層7の測定を速やかに実施することができる。
【0029】
また、スパチュラ角などを測定するために、粉体テーブル9上の粉体堆積層7に衝撃振動を錘19で与える場合にも、粉体堆積層7の粉体は、この衝撃振動で測定室内に飛散するが、この飛散した粉体は、上述したように、排気ファン88を作動させることにより、外部の空気がエアー吸入開口部57、エアー吸入部51から測定室内部に入り、粉塵排出口53、排気ホース65を通り、排気口65aから外部に排出されるという空気の流れとともに外部に排出され、粉体が測定室内部に滞り、種々の部分に堆積してしまうということがなくなり、粉体堆積層7の測定を速やかに実施することができる。
【0030】
なお、上記実施形態においては、粉体自動供給ユニット37により粉体を自動的に供給させているが、この代わりに手で供給してもよいものである。この場合には、粉体自動供給ユニット37の所に粉体投入口が設けられることになる。なお、この粉体投入口は、粉体自動供給ユニット37の供給口と着脱可能な着脱口である。
【符号の説明】
【0031】
1 ステージ
3 後方箱部
5 バット
7、70 粉体堆積層
9 粉体テーブル
11 安息角バー
15 円筒部材
19 錘
19a 凹所
21 筒状体
25、251 ストッパ
31 漏斗
35 篩
37 粉体自動供給ユニット
51 エアー吸入部
53 粉塵排出口
55 網
57 エアー吸入開口部
59 フィルタ
61 フィルタ交換用蓋
63 排出ダクト
65 排気ホース
71 赤外線カメラ
73 赤外線LED光源
88 排気ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定室内に配置され粉体テーブル上の粉体堆積層に対して少なくとも安息角、崩壊角、スパチュラ角を測定する測定手段を備えた粉体特性測定装置であって、
前記測定室は、少なくとも外からの空気が室内上部開放口から室内に入り、室内下部開放口から外へ向かう流れを作る排気ファンと天井部に設けられ前記測定手段の粉体を手で供給する為の粉体投入口とを備えていることを特徴とする粉体特性測定装置。
【請求項2】
前記粉体投入口は、別途用意された粉体自動供給ユニットの供給口と着脱可能な着脱口となっている事を特徴とする請求項1記載の粉体特性測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−88109(P2012−88109A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233636(P2010−233636)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(591058127)メディカテック株式会社 (17)