説明

粉体状セメント分散剤

【課題】べとつきがなく、粉体状として取り扱い易く、高い減水性能を有する、粉体状セメント分散剤を提供する。
【解決手段】本発明の粉体状セメント分散剤は、ポリアルキレンオキシド鎖を有する共重合体(I)と、リグニンスルホン酸塩およびナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸塩化合物(II)を含み、該ポリアルキレンオキシド鎖のオキシアルキレン基の平均付加モル数mが10≦m≦200であり、該共重合体(I)と該スルホン酸塩化合物(II)との合計量を100質量%としたときに、該共重合体(I)の割合が90〜30質量%、該スルホン酸塩化合物(II)の割合が70〜10質量%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体状セメント分散剤に関する。詳細には、粉体状として取り扱い易く、高い減水性能を有する、粉体状セメント分散剤に関する。
【背景技術】
【0002】
セメント分散剤は、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物に広く用いられている。
【0003】
セメント分散剤は、セメント組成物の流動性を高めることが可能となり、セメント組成物を減水させることができる。この減水により、硬化物の強度や耐久性等を向上させることができる。
【0004】
近年、セメント分散剤として、ポリカルボン酸系共重合体を主成分とするセメント分散剤が提案されている。ポリカルボン酸系共重合体を主成分とするセメント分散剤(ポリカルボン酸系セメント分散剤)は、高い減水性能を発揮できる、しかし、ポリカルボン酸系セメント分散剤の多くは水溶液である。このため、セメント、水、砂等からなるセメントモルタルを調製して施工する場合には、ポリカルボン酸系セメント分散剤が水溶液であるために施工直前に混合しなければならず、作業性が悪いという問題がある。
【0005】
上記問題を解決するため、ポリカルボン酸系セメント分散剤の粉体状化が試みられている。しかし、セメント分散剤として有用な分子量領域のポリカルボン酸系共重合体は、分子量が低いため、べたつきがあり、取り扱い性が良好な粉体状にすることは容易ではない。
【0006】
特許文献1には、ポリカルボン酸系共重合体の水溶液と無機粉体のスラリー溶液を噴霧乾燥機に同時に投入して粉体状化する方法が記載されている。しかし、高炉スラグやフライアッシュなどの無機粉体を必須に用いる必要があり、作業性においてもコスト的にも問題がある。また、得られる粉体状セメント分散剤は、ポリカルボン酸系共重合体の種類によっては、べたつきが生じ、十分に取り扱い性が良好な粉体状とすることが困難な場合がある。
【0007】
特許文献2には、ポリカルボン酸系共重合体と無機粉体とを含む粉体状セメント分散剤が記載されている。特許文献1に記載の技術と同様、高炉スラグやフライアッシュなどの無機粉体を必須に用いる必要があり、作業性においてもコスト的にも問題がある。また、得られる粉体状セメント分散剤は、べたつきが生じ、十分に取り扱い性が良好な粉体状とすることが困難である。さらに、高い減水性能を十分に有さない。
【特許文献1】特開平6−239652号公報
【特許文献2】特開2001−294463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、べとつきがなく、粉体状として取り扱い易く、高い減水性能を有する、粉体状セメント分散剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の粉体状セメント分散剤は、
式(0)で表されるポリアルキレンオキシド鎖を有する共重合体(I)と、リグニンスルホン酸塩およびナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸塩化合物(II)を含み、
該ポリアルキレンオキシド鎖のオキシアルキレン基の平均付加モル数mが10≦m≦200であり、
該共重合体(I)と該スルホン酸塩化合物(II)との合計量を100質量%としたときに、該共重合体(I)の割合が90〜30質量%、該スルホン酸塩化合物(II)の割合が70〜10質量%である。
【化1】

(式(0)中、Rは、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、ROで表されるオキシアルキレン基は、それぞれ同一でも異なっていても良く、Rは炭素数2〜5のアルキレン基であり、mはROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、10≦m≦200である。)
【0010】
好ましい実施形態においては、上記共重合体(I)は、式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構造単位と式(2)で表される不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位とを有する。
【化2】

(式(1)中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し、Rは、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、ROで表されるオキシアルキレン基は、それぞれ同一でも異なっていても良く、Rは炭素数2〜5のアルキレン基であり、mはROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、10≦m≦200であり、Xは、炭素数1〜5の2価のアルキレン基を表し、nは0または1である。)
【化3】

(式(2)中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し、Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基、または有機アンモニウム基を表す。)
【0011】
好ましい実施形態においては、上記不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構造単位が式(3)で表される構造単位であり、上記不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位が式(4)で表される構造単位である。
【化4】

(式(3)中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し、Rは、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、ROで表されるオキシアルキレン基は、それぞれ同一でも異なっていても良く、Rは炭素数2〜5のアルキレン基であり、mはROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、10≦m≦200であり、Xは、炭素数1〜5の2価のアルキレン基を表し、nは0または1である。)
【化5】

(式(4)中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し、Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基、または有機アンモニウム基を表す。)
【0012】
好ましい実施形態においては、上記共重合体(I)中、上記式(3)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構造単位と上記式(4)で表される不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位の合計の含有割合が70〜100質量%である。
【0013】
好ましい実施形態においては、上記共重合体(I)中、上記式(3)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構造単位と上記式(4)で表される不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位の合計量を100質量%としたときに、該式(3)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構造単位の割合が60〜96質量%である。
【0014】
好ましい実施形態においては、本発明の粉体状セメント分散剤は、上記共重合体(I)と上記スルホン酸塩化合物(II)を含む水溶液から水を蒸発させて乾燥固化させることにより得られる。
【0015】
好ましい実施形態においては、上記乾燥固化が噴霧乾燥機によって行われる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、べとつきがなく、粉体状として取り扱い易く、高い減水性能を有する、粉体状セメント分散剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
〔共重合体(I)〕
本発明において用いる共重合体(I)は、式(0)で表されるポリアルキレンオキシド鎖を有する。
【化6】

式(0)中、Rは、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
式(0)中、ROで表されるオキシアルキレン基は、それぞれ同一でも異なっていても良い。Rは炭素数2〜5のアルキレン基である。mはROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表す。10≦m≦200であり、好ましくは15≦m≦150、より好ましくは25≦m≦150である。mが上記範囲内にあると、粉体状化したセメント分散剤のべとつきが抑制でき、取り扱い性が向上する。また、収率高く粉体状化できる。さらに、得られる粉体状セメント分散剤のセメント分散性が優れたものとなる。
【0018】
本発明において用いる共重合体(I)は、上記式(0)で表されるポリアルキレンオキシド鎖を有する単量体を含む単量体組成物を共重合して得ることができる。
【0019】
上記式(0)で表されるポリアルキレンオキシド鎖を有する単量体としては、例えば、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド(ランダム))(メタ)アクリレートなどのアルコキシポリアルキレンオキシド(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシド−ポリエチレンオキシドランダム体の(メタ)アクリレートなどのポリアルキレンオキシド(メタ)アクリレート;ビニルアルコール、アリルアルコール、ヒドロキシブチルビニルエーテル、メタリルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のアルケニルアルコールにアルキレンオキシドを10〜200モル(好ましくは15〜150モル、より好ましくは25〜150モル)付加して得られる付加体;アリルクロライドとメトキシポリエチレングリコールのエーテル化反応物など、アルケニル基とハロゲン基を有する化合物と末端アルキルポリアルキレングリコールとのエーテル化反応で得られる化合物;が挙げられる。
【0020】
本発明において用いる共重合体(I)を得るに際し、上記式(0)で表されるポリアルキレンオキシド鎖を有する単量体と共重合させることできる単量体としては、好ましくは、不飽和カルボン酸が挙げられる。
【0021】
上記不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸などの、ラジカル重合性基を有するカルボン酸が挙げられる。
【0022】
上記不飽和カルボン酸を用いる場合、上記式(0)で表されるポリアルキレンオキシド鎖を有する単量体と該不飽和カルボン酸との合計量を100質量%とすると、該式(0)で表されるポリアルキレンオキシド鎖を有する単量体が60〜96質量%であることが好ましい。
【0023】
本発明において用いる共重合体(I)を得るに際し、上記式(0)で表されるポリアルキレンオキシド鎖を有する単量体と共重合させることができる単量体として、上記不飽和カルボン酸以外に、任意の適切な他の単量体を用いても良い。例えば、スチレン、アクリルアミド、メチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、特許第3683176号の段落0015に記載の単量体が挙げられる。これらは、用いる全単量体中、好ましくは0〜30質量%用いることができる。
【0024】
本発明において用いる共重合体(I)は、未中和であっても良いし、中和されていても良い。例えば、カルボン酸部位が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩であっても良い。
【0025】
本発明において用いる共重合体(I)は、式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構造単位と式(2)で表される不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位とを有することが好ましい。さらに効率よく粉体化ができるからである。
【0026】
本発明において、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体は、式(1)で表される。
【化7】

式(1)中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表す。Rは、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
式(1)中、ROで表されるオキシアルキレン基は、それぞれ同一でも異なっていても良い。Rは炭素数2〜5のアルキレン基である。mはROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表す。10≦m≦200であり、好ましくは15≦m≦150、より好ましくは25≦m≦150である。mが上記範囲内にあると、粉体状化したセメント分散剤のべとつきが抑制でき、取り扱い性が向上する。また、収率高く粉体状化できる。さらに、得られる粉体状セメント分散剤のセメント分散性が優れたものとなる。
式(1)中、Xは、炭素数1〜5の2価のアルキレン基を表す。nは0または1である。
【0027】
上記不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体は、任意の適切な方法で製造し得る。例えば、特開2001−302305号公報、特開2001−302306号公報、特許第3683176号に記載の方法が挙げられる。
【0028】
上記不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、アリルアルコール、ヒドロキシブチルビニルエーテル、メタリルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のアルケニルアルコールにアルキレンオキシド10〜200モルを付加して得られる付加体、あるいは、アルケニル基とハロゲンを有する化合物と末端アルキルポリアルキレングリコールとのエーテル化反応によって得ることもでき、例えば、アリルクロライドとメトキシポリエチレングリコールのエーテル化反応物が挙げられる。
【0029】
本発明において、不飽和モノカルボン酸系単量体は、式(2)で表される。
【化8】

式(2)中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表す。
式(2)中、Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基、または有機アンモニウム基を表す。
【0030】
上記不飽和モノカルボン酸系単量体は、任意の適切な方法で製造し得る。
【0031】
上記不飽和モノカルボン酸系単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、およびこれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩が挙げられる。好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、およびこれらの塩であり、より好ましくは、アクリル酸、およびこの塩である。共重合性に優れるからである。
【0032】
上記共重合体(I)を製造する際に使用する全単量体中、上記不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体と上記不飽和モノカルボン酸系単量体の合計の含有割合は、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%、特に好ましくは95〜100質量%である。上記含有割合が上記範囲内にあると、粉体状化したセメント分散剤のべとつきが抑制でき、取り扱い性が向上する。また、収率高く粉体状化できる。さらに、得られる粉体状セメント分散剤のセメント分散性が優れたものとなる。
【0033】
上記共重合体(I)を製造する際に使用する全単量体中において、上記不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体と上記不飽和モノカルボン酸系単量体の合計量を100質量%としたとき、該不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体の割合が、好ましくは60〜96質量%、より好ましくは70〜95質量%、さらに好ましくは80〜94質量%、特に好ましくは84〜94質量%である。上記含有割合が上記範囲内にあると、粉体状化したセメント分散剤のべとつきが抑制でき、取り扱い性が向上する。また、収率高く粉体状化できる。さらに、得られる粉体状セメント分散剤のセメント分散性が優れたものとなる。
【0034】
本発明において用いる共重合体は、好ましくは、上記不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構造単位と上記不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位とを有する。本発明において用いる共重合体は、さらに、上記他の単量体由来の構造単位を有していても良い。
【0035】
上記不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構造単位は、式(3)で表される。
【化9】

式(3)中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表す。Rは、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
式(3)中、ROで表されるオキシアルキレン基は、それぞれ同一でも異なっていても良い。Rは炭素数2〜5のアルキレン基である。mはROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表す。10≦m≦200であり、好ましくは15≦m≦150、より好ましくは25≦m≦150である。mが上記範囲内にあると、粉体状化したセメント分散剤のべとつきが抑制でき、取り扱い性が向上する。また、収率高く粉体状化できる。さらに、得られる粉体状セメント分散剤のセメント分散性が優れたものとなる。
式(3)中、Xは、炭素数1〜5の2価のアルキレン基を表す。nは0または1である。
【0036】
上記不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位は、式(4)で表される。
【化10】

式(4)中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表す。
式(4)中、Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基、または有機アンモニウム基を表す。
【0037】
上記共重合体(I)を構成する全構造単位中、上記不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構造単位と上記不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位の合計の含有割合は、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%、特に好ましくは95〜100質量%である。上記含有割合が上記範囲内にあると、粉体状化したセメント分散剤のべとつきが抑制でき、取り扱い性が向上する。また、収率高く粉体状化できる。さらに、得られる粉体状セメント分散剤のセメント分散性が優れたものとなる。
【0038】
上記共重合体(I)を構成する全構造単位中において、上記不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構造単位と上記不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位の合計量を100質量%としたとき、該不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構造単位の割合が、好ましくは60〜96質量%、より好ましくは70〜95質量%、さらに好ましくは80〜94質量%、特に好ましくは84〜94質量%である。上記含有割合が上記範囲内にあると、粉体状化したセメント分散剤のべとつきが抑制でき、取り扱い性が向上する。また、収率高く粉体状化できる。さらに、得られる粉体状セメント分散剤のセメント分散性が優れたものとなる。
【0039】
上記共重合体(I)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは3000〜100000、より好ましくは5000〜50000、さらに好ましくは7000〜40000である。上記共重合体の重量平均分子量が上記範囲内にあると、粉体状化したセメント分散剤のべとつきが抑制でき、取り扱い性が向上する。また、収率高く粉体状化できる。さらに、得られる粉体状セメント分散剤のセメント分散性が優れたものとなる。
【0040】
上記共重合体(I)は、重合反応によって製造した後に、好ましくはpHを5〜9、より好ましくはpHを6〜8に調整する。pHを調整する方法は、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、マグネシウムやカルシウム等の2価金属を含む化合物、アンモニア、アミンなどの塩基性化合物を用いて中和することができる。pHを調整するために用いる塩基性化合物としては、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムであり、より好ましくは、水酸化ナトリウムである。上記塩基性化合物は、固形や100%純品を用いても良いし、任意の適切な濃度の水溶液を用いても良い。
【0041】
〔粉体状セメント分散剤〕
本発明の粉体状セメント分散剤は、上記共重合体(I)と、リグニンスルホン酸塩およびナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸塩化合物(II)を含む。
【0042】
上記リグニンスルホン酸塩としては、任意の適切なリグニンスルホン酸塩を採用し得る。例えば、リグニンスルホン酸のナトリウム塩、リグニンスルホン酸のカルシウム塩が挙げられる。これらは、例えば、木材パルプ製造時に副生し得る。
【0043】
上記ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物としては、任意の適切なナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物を採用し得る。例えば、ナフタレンをスルホン化し、続いて、ホルマリンで縮合させて得ることができ、ナトリウム塩やカルシウム塩が挙げられる。
【0044】
本発明の粉体状セメント分散剤においては、上記共重合体(I)と上記スルホン酸塩化合物(II)との合計量を100質量%としたときに、該共重合体(I)の割合が90〜30質量%、該スルホン酸塩化合物(II)の割合が70〜10質量%である。好ましくは、該共重合体(I)の割合が80〜50質量%、該スルホン酸塩化合物(II)の割合が50〜20質量%である。上記割合が上記範囲内にあると、粉体状化したセメント分散剤のべとつきが抑制でき、取り扱い性が向上する。また、収率高く粉体状化できる。さらに、得られる粉体状セメント分散剤のセメント分散性が優れたものとなる。
【0045】
本発明の粉体状セメント分散剤は、上記共重合体(I)と上記スルホン酸塩化合物(II)以外に、任意の適切なその他の成分を含んでいても良い。例えば、消泡剤、無機化合物が挙げられる。
【0046】
上記消泡剤としては、任意の適切な消泡剤を採用し得る。例えば、特許第3683176号の段落0041〜0042に記載の消泡剤が挙げられる。消泡剤を用いる場合は、上記共重合体(I)に対して、好ましくは0.1〜5質量%の量を使用する。
【0047】
上記無機化合物としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、珪素化合物が挙げられる。無機化合物を用いることにより、粉体状化したセメント分散剤のべとつきが一層抑制できる可能性がある。
【0048】
本発明の粉体状セメント分散剤は、任意の適切な方法で製造し得る。好ましくは、上記共重合体(I)と上記スルホン酸塩化合物(II)を含む水溶液から水を蒸発させて乾燥固化させることにより製造する。乾燥固化によって最終的に粉体状セメント分散剤とする方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、ニーダーでの乾燥粉砕後にミルにより粉体状化する方法、ドラムドライヤーやディスクドライヤーでの乾燥後にミルで粉体状化する方法、噴霧乾燥機によって乾燥粉体状化する方法が挙げられる。噴霧乾燥機によって乾燥粉体状化する方法が好ましい。
【0049】
上記共重合体(I)と上記スルホン酸塩化合物(II)を含む水溶液に、予め、上記消泡剤を添加して、乾燥粉体状化しても良い。この態様においては、得られる粉体状セメント分散剤を、モルタルやコンクリート等に用いれば、空気含有量が少なくなって強度が向上する。
【0050】
上記共重合体(I)と上記スルホン酸塩化合物(II)を含む水溶液に、予め、上記無機化合物を添加して、噴霧乾燥機に投入しても良い。また、噴霧乾燥機を用いる態様において、1つの投入ノズルから上記共重合体(I)と上記スルホン酸塩化合物(II)を含む水溶液を、別の投入ノズルから上記無機化合物の水溶液や水分散液を、同時に噴霧しても良い。
【0051】
上記噴霧乾燥機の乾燥室入り口温度は、任意の適切な温度を設定し得る。好ましくは100〜250℃、より好ましくは120〜220℃である。上記温度が250℃よりも高いと、上記共重合体(I)が分解してしまうおそれがあり、本発明の効果が発揮できないおそれがある。上記温度が100℃より低いと、乾燥が不十分になるおそれがある。
【0052】
上記噴霧乾燥機に上記共重合体(I)と上記スルホン酸塩化合物(II)を含む水溶液を投入する場合、該水溶液の固形分濃度は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは20〜40質量%である。上記固形分濃度が50質量%より高いと、噴霧性が悪くなるおそれがあり、粉体状化できないおそれがある。上記固形分濃度が5質量%より低いと、粉体状セメント分散剤を効率良く得ることができないおそれがあり、経済性が悪くなるおそれがある。なお、ここでいう固形分濃度とは、上記共重合体(I)の固形分と上記スルホン酸塩化合物(II)の固形分の合計の濃度を意味する。
【0053】
〔セメント組成物〕
本発明の粉体状セメント分散剤は、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物に添加して用いることができる。また、超高強度コンクリートにも添加して用いることができる。
【0054】
上記セメント組成物は、任意の適切なセメント組成物を採用し得る。例えば、セメント、水、骨材、消泡剤を含むものが挙げられる。
【0055】
上記セメントとしては、任意の適切なセメントを採用し得る。例えば、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩及びそれぞれの低アルカリ形)、各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント)、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント)、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント)、超高強度セメント、セメント系固化材、エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の一種以上を原料として製造されたセメント)が挙げられる。さらに、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体や石膏が添加されていても良い。
【0056】
上記骨材としては、任意の適切な骨材を採用し得る。例えば、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材が挙げられる。また、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材も使用可能である。
【0057】
上記消泡剤としては、任意の適切な消泡剤を採用し得る。例えば、特許第3683176号の段落0041〜0042に記載の消泡剤が挙げられる。
【0058】
上記セメント組成物における、コンクリート1m当たりの配合量および単位水量は、例えば、高耐久性、高強度のコンクリートを製造するためには、好ましくは、単位水量が100〜185kg/m、水/セメント比が10〜70質量%であり、より好ましくは、単位水量が120〜175kg/m、水/セメント比が20〜65質量%である。
【0059】
セメント組成物に本発明の粉体状セメント分散剤を添加する際の添加量としては、セメントの全量を100質量%とした場合、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜8質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。上記添加量が0.01質量%未満であると、セメント組成物としての性能に劣るおそれがある。上記添加量が10質量%を超えると、経済性に劣るおそれがある。
【0060】
上記セメント組成物は、任意の適切なその他の成分を含んでいても良い。例えば、特開2001−302305号公報、特開2001−302306号公報、特許第3683176号に記載の成分が挙げられる。
【0061】
上記セメント組成物は、上記各成分を、任意の適切な方法で配合して調整すれば良い。例えば、ミキサー中で混練する方法が挙げられる。
【実施例】
【0062】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、特に明記しない限り、実施例における部および%は質量基準である。
【0063】
<重量平均分子量>
検出器:日本Waters社製 410 示差屈折検出器
解析ソフト:日本Waters社製 Millenium Ver.3.21
溶離液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合液に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶かし、さらに酢酸でpH=6に調整した溶離液
溶離液流速:0.8ml/min
カラム温度:40℃
カラム:東ソー株式会社製、TSK Guard Column SWXL+TSKgel G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL
標準物質:ポリエチレングリコール、ピークトップ分子量(Mp)=272500、219300、85000、46000、24000、12600、4250、7100、1470
検量線次数:三次式
<噴霧乾燥機の条件>
機器名:FUJISAKI ELECTRIC社製 MDL−050C
乾燥室入り口温度:200℃
乾燥室出口温度:110〜125℃
熱風量:1500L/min
試料供給量:30ml/min
<モルタルフロー値の測定>
粉体状セメント分散剤を添加したセメントモルタルを調製し、分散性能の指標である流動性を評価した。すなわち、水260g、普通ポルトランドセメント800g、ISO標準砂1350gをホバート型ミキサーで混合してセメントモルタルを調製し、JIS5203に規定されているモルタルフロー試験に準じてモルタルフロー値を測定した。ただし、フローテーブルの上下運動は行っていない。なお、試験に用いた粉体状セメント分散剤は、使用する水に予め混合溶解させて添加した。
【0064】
〔製造例1〕:共重合体(1)の製造
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却器を備えた反応器に、蒸留水76.9g、3−メチル−3−ブテン−1−オールのエチレンオキシド50モル付加体149.3gを仕込み、60℃まで昇温した。続いて、過酸化水素0.23gと水11.7gの混合溶液を加え、アクリル酸20.2gと3−メルカプトプロピオン酸1.8gを3時間で滴下した。滴下後さらに1時間撹拌を続け、水酸化ナトリウムを加えて、pH=6、重量平均分子量が37000の共重合体(1)の水溶液を得た。
【0065】
〔製造例2〕:共重合体(2)の製造
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却器を備えた反応器に、蒸留水75.2g、アリルアルコールのエチレンオキシド50モル付加体140.1gを仕込み、60℃まで昇温した。続いて、過酸化水素0.23gと水11.7gの混合溶液を加え、アクリル酸21.0gと3−メルカプトプロピオン酸1.8gを3時間で滴下した。滴下後さらに1時間撹拌を続け、水酸化ナトリウムを加えて、pH=6、重量平均分子量が32000の共重合体(2)の水溶液を得た。
【0066】
〔製造例3〕:共重合体(3)の製造
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却器を備えた反応器に、蒸留水270gを仕込み、80℃に昇温した。続いて、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの付加モル数は25)365g、メタクリル酸80g、3−メルカプトプロピオン酸3g、水100gを混合した溶液と、10%過硫酸アンモニウム水溶液50gを、4時間で同時に滴下した。滴下後さらに1時間撹拌を続け、水酸化ナトリウムを加えて、pH=6、重量平均分子量が25000の共重合体(3)の水溶液を得た。
【0067】
〔製造例4〕:共重合体(4)の製造
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却器を備えた反応器に、蒸留水140gを仕込み、80℃に昇温した。続いて、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの付加モル数は6)145g、メタクリル酸40g、3−メルカプトプロピオン酸2g、水50gを混合した溶液と、10%過硫酸アンモニウム水溶液20gを、4時間で同時に滴下した。滴下後さらに1時間撹拌を続け、水酸化ナトリウムを加えて、pH=6、重量平均分子量が22000の共重合体(4)の水溶液を得た。
【0068】
〔実施例1〕
表1に示す配合で、製造例1で得られた共重合体(1)とリグニンスルホン酸ナトリウム塩を含む水溶液(固形分濃度30質量%)を調製し、噴霧乾燥機によって乾燥と粉体化を行い、粉体状セメント分散剤(1)を得た。結果を表1に示す。
また、粉体状セメント分散剤(1)を添加したセメントモルタルを調製してモルタルフロー値を測定した。結果を表2に示す。
【0069】
〔実施例2〕
表1に示す配合で、製造例2で得られた共重合体(2)とリグニンスルホン酸ナトリウム塩を含む水溶液(固形分濃度30質量%)を調製し、噴霧乾燥機によって乾燥と粉体化を行い、粉体状セメント分散剤(2)を得た。結果を表1に示す。
また、粉体状セメント分散剤(2)を添加したセメントモルタルを調製してモルタルフロー値を測定した。結果を表2に示す。
【0070】
〔実施例3〕
表1に示す配合で、製造例2で得られた共重合体(2)とナフタレンスルホン酸ナトリウム塩ホルムアルデヒド縮合物を含む水溶液(固形分濃度30質量%)を調製し、噴霧乾燥機によって乾燥と粉体化を行い、粉体状セメント分散剤(3)を得た。結果を表1に示す。
また、粉体状セメント分散剤(3)を添加したセメントモルタルを調製してモルタルフロー値を測定した。結果を表2に示す。
【0071】
〔実施例4〕
表1に示す配合で、製造例1で得られた共重合体(1)とリグニンスルホン酸ナトリウム塩を含む水溶液(固形分濃度30質量%)を調製し、噴霧乾燥機によって乾燥と粉体化を行い、粉体状セメント分散剤(4)を得た。結果を表1に示す。
また、粉体状セメント分散剤(4)を添加したセメントモルタルを調製してモルタルフロー値を測定した。結果を表2に示す。
【0072】
〔実施例5〕
表1に示す配合で、製造例3で得られた共重合体(3)とリグニンスルホン酸ナトリウム塩を含む水溶液(固形分濃度30質量%)を調製し、噴霧乾燥機によって乾燥と粉体化を行い、粉体状セメント分散剤(5)を得た。結果を表1に示す。
また、粉体状セメント分散剤(5)を添加したセメントモルタルを調製してモルタルフロー値を測定した。結果を表2に示す。
【0073】
〔比較例1〕
表1に示す配合で、製造例2で得られた共重合体(2)とリグニンスルホン酸ナトリウム塩を含む水溶液(固形分濃度30質量%)を調製し、噴霧乾燥機によって乾燥と粉体化を行い、粉体状セメント分散剤(C1)を得た。結果を表1に示す。
また、粉体状セメント分散剤(C1)を添加したセメントモルタルを調製してモルタルフロー値を測定した。結果を表2に示す。
【0074】
〔比較例2〕
表1に示す配合で、製造例1で得られた共重合体(1)とリグニンスルホン酸ナトリウム塩を含む水溶液(固形分濃度30質量%)を調製し、噴霧乾燥機によって乾燥と粉体化を行い、粉体状セメント分散剤(C2)を得た。結果を表1に示す。
【0075】
〔比較例3〕
表1に示す配合で、製造例4で得られた共重合体(4)とリグニンスルホン酸ナトリウム塩を含む水溶液(固形分濃度30質量%)を調製し、噴霧乾燥機によって乾燥と粉体化を行い、粉体状セメント分散剤(C3)を得た。結果を表1に示す。
【0076】
【表1】

【0077】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の粉体状セメント分散剤は、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物に好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(0)で表されるポリアルキレンオキシド鎖を有する共重合体(I)と、リグニンスルホン酸塩およびナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸塩化合物(II)を含み、
該ポリアルキレンオキシド鎖のオキシアルキレン基の平均付加モル数mが10≦m≦200であり、
該共重合体(I)と該スルホン酸塩化合物(II)との合計量を100質量%としたときに、該共重合体(I)の割合が90〜30質量%、該スルホン酸塩化合物(II)の割合が70〜10質量%である、
粉体状セメント分散剤。
【化1】

(式(0)中、Rは、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、ROで表されるオキシアルキレン基は、それぞれ同一でも異なっていても良く、Rは炭素数2〜5のアルキレン基であり、mはROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、10≦m≦200である。)
【請求項2】
前記共重合体(I)は、式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構造単位と式(2)で表される不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位とを有する、請求項1に記載の粉体状セメント分散剤。
【化2】

(式(1)中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し、Rは、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、ROで表されるオキシアルキレン基は、それぞれ同一でも異なっていても良く、Rは炭素数2〜5のアルキレン基であり、mはROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、10≦m≦200であり、Xは、炭素数1〜5の2価のアルキレン基を表し、nは0または1である。)
【化3】

(式(2)中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し、Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基、または有機アンモニウム基を表す。)
【請求項3】
前記不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構造単位が式(3)で表される構造単位であり、前記不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位が式(4)で表される構造単位である、請求項2に記載の粉体状セメント分散剤。
【化4】

(式(3)中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し、Rは、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、ROで表されるオキシアルキレン基は、それぞれ同一でも異なっていても良く、Rは炭素数2〜5のアルキレン基であり、mはROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、10≦m≦200であり、Xは、炭素数1〜5の2価のアルキレン基を表し、nは0または1である。)
【化5】

(式(4)中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し、Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基、または有機アンモニウム基を表す。)
【請求項4】
前記共重合体(I)中、前記式(3)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構造単位と前記式(4)で表される不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位の合計の含有割合が70〜100質量%である、請求項3に記載の粉体状セメント分散剤。
【請求項5】
前記共重合体(I)中、前記式(3)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構造単位と前記式(4)で表される不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構造単位の合計量を100質量%としたときに、該式(3)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構造単位の割合が60〜96質量%である、請求項3または4に記載の粉体状セメント分散剤。
【請求項6】
前記共重合体(I)と前記スルホン酸塩化合物(II)を含む水溶液から水を蒸発させて乾燥固化させることにより得られる、請求項1から5までのいずれかに記載の粉体状セメント分散剤。
【請求項7】
前記乾燥固化が噴霧乾燥機によって行われる、請求項6に記載の粉体状セメント分散剤。


【公開番号】特開2008−208016(P2008−208016A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−49075(P2007−49075)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】