説明

粉体貨物船の粉体送り装置

【課題】 製作及び据付等の手間及びその費用を少なくし、船倉内に粉体を搭載する容積を大きくできる粉体貨物船の粉体送り装置を提供する。
【解決手段】 船倉11の底部に複数組み合わせて傾斜配置され、上部に配置された平面状の通気シート12〜14からエアKを吹き出して、その上に積載される粉体Pを斜め下方に移動させるエアスライド部材15〜17を有する粉体貨物船の粉体送り装置Xであって、エアスライド部材15〜17は、複数の通気孔18、31、18が並べて形成された平面板19、32、37と、通気孔18、31、18を覆って、平面板19、32、37の周囲に密着固定されている通気シート12〜14と、複数の通気孔18、31、18に圧縮エアEを供給するダクト20、33、38と、平面板19、32、37を船倉11内に固定する支持部材21、22、34、39とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船倉の底部に搭載された粉体の下側からエアを供給して粉体を移動させて排出するために使用する粉体貨物船の粉体送り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体貨物船の船倉内に搭載された粉体を船倉の底部に排出するために、粉体の下側からエアを供給する粉体送り装置が使用されている。粉体送り装置には、船の幅方向の両側にそれぞれ、複数のエアスライド部材が隣接して設けられており、各エアスライド部材は中央部に傾斜して設けられた中央部スライド部材と、中央部スライド部材の両側に隣接して傾斜して設けられた側部スライド部材とを備えて構成されている。中央部スライド部材及び側部スライド部材は上部が開放された箱体と、箱体の上部に張付けられたキャンバスとを備えており、箱体内の下部に流動用の圧縮エアを導入し、キャンバスから該キャンバスの上に積載される粉体にエアを吐出させることにより、傾斜を利用して粉体を下方に移動するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】実開昭63−104195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の粉体送り装置においては、未だ解決すべき以下のような問題があった。
中央部スライド部材及び側部スライド部材はそれぞれ、上部にキャンバスが張付けられた密封式の箱体を備えているので、この骨組みされた箱体の製作、搬送及び据付の手間を必要とするため、製作、搬送及び据付期間とそれらの費用がかかり、コストアップの要因となった。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、製作及び据付等の手間及びその費用を少なくし、船倉内に粉体を搭載する容積を大きくできる粉体貨物船の粉体送り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う本発明に係る粉体貨物船の粉体送り装置は、船倉の底部に複数組み合わせて傾斜配置され、上部に配置された平面状の通気シートからエアを吹き出して、その上に積載される粉体を斜め下方に移動させるエアスライド部材を有する粉体貨物船の粉体送り装置であって、
前記エアスライド部材は、複数の通気孔が並べて形成された平面板と、前記通気孔を覆って、前記平面板の周囲に密着固定されている前記通気シートと、前記複数の通気孔に圧縮エアを供給するダクトと、前記平面板を前記船倉内に固定する支持部材とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の粉体貨物船の粉体送り装置においては、エアスライド部材は、複数の通気孔が並べて形成された平面板と、通気孔を覆って、平面板の周囲に密着固定されている通気シートと、複数の通気孔に圧縮エアを供給するダクトと、平面板を船倉内に固定する支持部材とを有するので、従来のような箱体の場合に比較して、製作が容易となり、かつ搬送及び据付が不要となるためコストを安価にできる。しかも、通気シートを取付けた平面板を船倉内に支持部材を介して固定するので、平面板の高さを低くでき、この結果、粉体を船倉内に搭載できる容積が大きくできる。
【0008】
平面板に形成されている複数の通気孔を、平面板の中央部に一列に配置し、ダクトを複数の通気孔の直下に設けられた断面コ字状又は断面C字状の溝形部材と平面板の中央側一部を有して形成し、その一方側の端部にエア供給口を設ける場合には、船倉内に固定された平面板に一体的に設けられたダクトの保守及び点検作業が無くなると共に、平面板の高さを更に低くでき、この結果、船倉内に搭載できる粉体の容積を大きくできる。
なお、平面板に形成されている複数の通気孔を、平面板の中央部に二列以上配置することもでき、また、平面板の中央部以外にも配置することができる。
溝形部材の幅が、平面板の幅の1/20〜1/4の範囲にある場合には、適正な流量の圧縮エアを通気シートに供給することができ、これにより、粉体の排出効果が増大する。
【0009】
粉体貨物船の幅方向中心部に向かって下方に傾斜して設けられた中央部スライド部材と、中央部スライド部材の両側にそれぞれ隣接し、中央部スライド部材に向かって下方に傾斜して設けられた側部スライド部材とを備え、側部スライド部材の傾斜角度は8〜20度であって、しかも側部スライド部材の船倉中央部側の頂部高さは船倉の下部壁から150〜400mmの範囲にある場合には、粉体を船倉内に搭載できる容積が更に大きくなる。
【0010】
エアスライド部材を、船倉の底部中央に設けられている粉体排出手段の上部傾斜カバーの上に設ける場合には、船倉内に搭載できる粉体の容積が更に大きくなる。
エアスライド部材を、船倉の側壁に設ける場合には、船倉内に搭載できる粉体の容積が更に大きくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る粉体貨物船の粉体送り装置を適用する粉体貨物船の断面図、図2は同粉体貨物船の粉体送り装置を適用する粉体貨物船の一部を省略した平面図、図3は同粉体貨物船の粉体送り装置の分解図、図4(A)、(B)、(C)はそれぞれ、同粉体貨物船の粉体送り装置の側部スライド部材のキャンバス押え板、キャンバス、平面板及び支持部材の斜視図である。
【0012】
図1〜図3に示すように、本発明の一実施の形態に係る粉体貨物船の粉体送り装置(以降、単に粉体送り装置と呼ぶ)Xは、粉体貨物船Sの船倉11の底部に複数組み合わせて傾斜配置されたエアスライド部材を有して構成された装置である。粉体送り装置Xは、図2に示すように、それぞれ3個のエアスライド部材を備えた9セットの粉体送り機構10(図3参照)及び14セットの粉体送り機構10a〜10nを組み合わせて配置されている。ただし、図2では、左舷側のみを示しているが、図1に示すように、右舷側にも左舷側と勝手違いのものが配置されている。なお、粉体送り機構10a〜10nは、粉体送り機構10と基本的に同じ構造であるため、以下、粉体送り機構10についてのみ詳細に説明し、粉体送り機構10a〜10nについては、特徴部分のみ説明する。
【0013】
図3に示す粉体送り機構10は、図2に示すように、船尾側端部に設けられた粉体送り機構10aに隣接して船首側に配置されている。
図3に示すように、粉体送り機構10は、それぞれ上部に傾斜して配置された平面状の通気シートの一例であるキャンバス12〜14からエアKを吹き出して、その上に積載される粉体の一例であるセメント粉末Pを、傾斜を利用して下方に移動させるエアスライド部材の一例である側部スライド部材15、中央部スライド部材16、側部スライド部材17を有して構成されている。
【0014】
側部スライド部材15、17は中央部スライド部材16を挟んで対向して中央部スライド部材16の船体の長手方向の両側に隣接して配置されている。なお、キャンバス12〜14とは、例えば、濾布のように、縦糸及び横糸に太番手の撚り糸又は引き揃え糸を使用して密に織った厚地の平織物を表している。
【0015】
図3及び図4に示すように、側部スライド部材15は、複数(実施の形態では7個)の通気孔18が中央部に一列に配置されて形成された矩形状で厚みが例えば6〜9mmの平面板19と、通気孔18を覆って、平面板19の周囲に密着固定されている矩形状のキャンバス12と、複数の通気孔18に圧縮エアEを供給するダクト20と、平面板19を船倉11の下部壁Wに固定する立設された支持部材21、22とを有する。なお、支持部材22と平面板19、及び隣接する粉体送り機構の側部スライド部材の平面板と支持部材は一枚の鋼板を曲げ加工して形成することにより、一体的に構成している。下部壁Wは船底に設けられたバラス室Bの天井壁を形成している。
【0016】
平面板19の表面上に載置されたキャンバス12は、外形がキャンバス12と略同じで内側が矩形状に切り抜かれたキャンバス押え板23により多数の皿ネジ24を介して固定されている。キャンバス12の厚みは、例えば、5〜10mm、また、キャンバス押え板23の厚みは、例えば、3〜8mmとしている。キャンバス押え板23の周囲には、多数の逆円錐台状の座グリ孔25が形成されており、座グリ孔25の位置に対応するキャンバス12、平面板19それぞれの位置に取付孔26、27が形成されている。
【0017】
更に、平面板19の取付孔27の位置に対応した裏面の位置にナット28が固定されている。かかる構成により、キャンバス12の表面側から、キャンバス押え板23を介して皿ネジ24によりキャンバス12を平面板19に固定することができる。なお、側部スライド部材15のキャンバス12(平面板19も同じ)の水平に対する傾斜角度αはセメント粉末Pの性状により異なるが、α=8〜20度としている。αが8度未満では、セメント粉末Pの排出効果が低下し、一方、αが20度を超えると、船倉11内に搭載できるセメント粉末Pの容積が小さくなるためである。
ダクト20は、複数の通気孔18(孔径は、例えば、20〜100mm)の直下に設けられた断面コ字状の溝形部材29と平面板19の中央側一部を有して形成され、平面板19の船体の幅方向の長さと略同じ長さに形成されており、その一方側(本実施の形態では、船体中心O側)の端部にエア供給口30が設けられている。
【0018】
図3に示すように、中央部スライド部材16は、平面板19と同様、複数の通気孔31が中央部に一列に配置されて形成された矩形状の平面板32と、キャンバス12と同様、複数の通気孔31を覆って、平面板32の周囲に密着固定されている矩形状のキャンバス13と、ダクト20と同様、複数の通気孔31に圧縮エアEを供給するダクト33と、平面板32を船倉11の下部壁Wに固定する垂直に設けられた支持部材22、34とを有する。従って、支持部材22は側部スライド部材15及び中央部スライド部材16に兼用されている。ダクト33は、複数の通気孔31(孔径は、例えば、20〜100mm)の直下に設けられた断面コ字状の溝形部材33aと平面板32の中央側一部を有して形成され、平面板32の船体の幅方向の長さと略同じ長さに形成されており、その一方側(本実施の形態では、船体中心O側)の端部にエア供給口(図示せず)が設けられている。
【0019】
中央部スライド部材16においても、側部スライド部材15と同様、キャンバス13はキャンバス13の表面側から、キャンバス押え板34aを介して皿ネジ35により平面板32に固定するように構成されている。従って、多数の皿ネジ35を取付ける位置に対応して、平面板32の裏面にはナット36が固定されている。なお、中央部スライド部材16のキャンバス13(平面板32も同じ)は、船体の幅方向に船体中心Oに向かって下方に傾斜角度βで傾斜して設けられており、傾斜角度βはセメント粉末Pの性状により異なるが、β=8〜20度としている(図1参照)。キャンバス13の厚みは、例えば、5〜10mm、また、キャンバス押え板34aの厚みは、例えば、3〜8mmとしている。
【0020】
図3に示すように、側部スライド部材17は、側部スライド部材15と同様、複数(実施の形態では7個)の通気孔18が中央部に一列に配置されて形成された矩形状の平面板37と、通気孔18を覆って、平面板37の周囲に密着固定されている矩形状のキャンバス14と、複数の通気孔18に圧縮エアEを供給するダクト38と、平面板37を船倉11の下部壁Wに固定する立設された支持部材34、39とを有する。なお、支持部材34、平面板37、隣接する粉体送り機構10の平面板19及び支持部材(支持部材22に相当する)は一枚の鋼板を曲げ加工して形成することにより、一体的に構成されている。また、支持部材39(支持部材21も同じ)は、図4(C)に示すように、必要に応じて省略することができる。
【0021】
平面板37の表面上に載置されたキャンバス14は、外形がキャンバス14と略同じで、内側が矩形状に切り抜かれたキャンバス押え板40により多数の皿ネジ24を介して固定されている。キャンバス押え板40の周囲には、多数の円錐台状の座グリ孔25が形成されており、座グリ孔25の位置に対応するキャンバス14、平面板37それぞれの位置に取付孔26、27が形成されている。なお、キャンバス12と14、キャンバス押え板23と40は同一のものを使用することができる。
【0022】
更に、平面板37の取付孔27の位置に対応した裏面の位置にナット28が固定されている。かかる構成により、キャンバス14の表面側から、キャンバス押え板40を介して皿ネジ24によりキャンバス14を平面板37に固定することができる。皿ネジ24の頭部には、六角穴が形成されており、皿ネジ24の着脱が容易にできるようになっている。なお、側部スライド部材15と同様、側部スライド部材17のキャンバス14(平面板37も同じ)の水平に対する傾斜角度αはセメント粉末Pの性状により異なるが、α=8〜20度としている。
【0023】
ダクト38は、複数の通気孔18の直下に設けられた断面コ字状の溝形部材29と平面板37の中央側一部を有して、平面板37の長さと略同じ長さに形成されており、その一方側(本実施の形態では、船体中心O側)の端部にエア供給口(図示せず)が設けられている。なお、溝形部材29の幅Tは、平面板19、37の幅tの1/20〜1/4、更に好ましくは、1/15〜1/10の範囲にしている。幅Tが(1/20)t未満の場合には、ダクトの有効断面積が減って、ダクトの空気抵抗が増し、ダクトの先側の通気孔からの空気噴出量が減る。一方、幅Tが(1/4)tを超える場合には、ダクト形状が大きくなって経済的でない。
【0024】
平面板19(37)にダクト20(38)を一体的に設け、しかも、これらを支持部材21、22(34、39)を介して船体に直接取付けた構成とすることにより、側部スライド部材15(17)の船倉中央部側の頂部高さHは船倉11の下部壁Wから150〜400mmの範囲にあり、従来の箱体の場合に比べて低く取ることができるので、より多くのセメント粉末Pを船倉11内に搭載することができる。なお、頂部高さH=150〜400mmは、α=8〜20度を考慮して決定されている。また、前記したように、支持部材21(39)は、平面板19(37)と隣接して一体的に形成される平面板37(19)の強度が十分であれば、省略することもできる。
【0025】
図1及び図2に示すように、エアスライド部材41は、船倉11の底部中央に設けられている粉体排出手段の一例であるチェーンコンベア42(42a)の上部傾斜カバー43の上に設けられている。また、エアスライド部材44は、船倉11の側壁45に傾斜して設けられている。エアスライド部材41(エアスライド部材44も同じ)は、粉体送り機構10の側部スライド部材15(17)又は中央部スライド部材16と同じ構造のもので、船倉11内で所定の長さを構成するよう多数隣接して設けられている。このような通常、狭くて設置が困難な場所にエアスライド部材41、44を設けることによって、セメント粉末Pが船倉11内に残存する量を少なくすることができる。
【0026】
図2に示すように、船尾側に配置された9台の粉体送り機構10においては、船尾側に配置された側部スライド部材15、中央部スライド部材16及び船首側の側部スライド部材17の船体の幅方向の長さは同じであるが、船首側に配置された粉体送り機構10f、10g、10j〜10mにおいては、船尾側の側部スライド部材、中央部スライド部材及び船首側の側部スライド部材の船体の幅方向の長さは、船体の形状に合わせて異なっている。
【0027】
更に、粉体送り機構10a〜10e、10h、10i、10nにおいては、黒色でエアスライド部材を示すように、船尾側の側部スライド部材及び船首側の側部スライド部材のいずれか一方は、船倉11内に設けられた隔壁及び隔壁に固定された補強リブ等を考慮して、傾斜角度αが側部スライド部材15、17より大きく設定されている。これらのうち、船体の長手方向の中央部に配置された粉体送り機構10d、10eは対向して配置されていると共に、一方の側部スライド部材が船体の幅方向で2分割され、かつ、船体の長手方向に位置がずれて配置されており、ずれた長さ分の側部スライド部材が中央部スライド部材へ接続する構成となっている。なお、圧縮エアは各粉体送り機構毎に供給及び供給停止が可能なように、エア配管(本管、枝管)及び開閉弁が設けられている。
【0028】
図1及び図2に示すように、船体の長手方向に沿って2台のチェーンコンベア42、42aが設けられており、チェーンコンベア42は、船尾側の粉体送り機構10aから粉体送り機構10dまでによって排出されたセメント粉末Pを搬送し、一方、チェーンコンベア42aは、船首側の粉体送り機構10eから粉体送り機構10nまでによって排出されたセメント粉末Pを搬送するようになっている。
図2に示すように、すべての粉体送り機構の中央部スライド部材の底部側の端部には、ダンパーからなるゲート部46が接続されており、ゲート部46はチェーンコンベア42、42aに接続されている。チェーンコンベア42、42aで搬送されたセメント粉末Pはそれぞれ、別途、揚荷手段により荷揚げされる。
【0029】
次いで、本発明の一実施の形態に係る粉体貨物船の粉体送り装置Xの使用方法及び作用について説明する。
船体の重心の変動を考慮して、一つ又は二つ以上の対となる左舷側の粉体送り機構10(10a〜10nも同じ)及び右舷側の粉体送り機構の各エアスライド部材(側部スライド部材15、中央部スライド部材16、側部スライド部材17)のダクト20、33、38に圧縮エアEを供給するように開閉弁を操作する。
【0030】
圧縮エアEが供給されたダクト20、33、38に形成された複数の通気孔18、31、18を介して、少し下方に沿って傾斜したキャンバス12〜14上に積載されたセメント粉末PにエアEを噴出させて、最終的に下方の中央部スライド部材16の下流端までセメント粉末Pを移動させ、ゲート部46を介してチェーンコンベア42又は42aに受け渡す。
受け渡されたセメント粉末Pはチェーンコンベア42又は42aにより搬送された後、揚荷手段により荷揚げされる。なお、チェーンコンベア42又は42aは圧縮エアEを供給する前に、運転しておく。
【0031】
本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の粉体貨物船の粉体送り装置を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
粉体としてセメント粉末を使用したが、これに限定されず、必要に応じて、フライアッシュや炭カル等、その他の粉体を使用することもできる。
溝形部材29、33aは断面コ字状としたが、これに限定されず、必要に応じて、断面C字状又はその他の形状とすることもできる。また、溝形部材29、33aは一体物を用いたが、これに限定されず、必要に応じて、3枚の鋼板のピースを溶接して形成することもできる。
【0032】
平面板及び支持部材を一枚の鉄板を曲げ加工して一体的に形成したが、これに限定されず、必要に応じて、各ピースを溶接等で一体化することもできる。また、搭載する粉体の性状に応じて、鉄板以外の材質、例えば、ステンレス鋼板等を使用することもできる。
ダクト及びキャンバス押え板の材質についても、平面板及び支持部材と同様、搭載する粉体の性状に応じて、鉄製、ステンレス製又はその他の材質を選定することができる。
複数の通気孔を平面板の中央部に一列に配置して形成したが、これに限定されず、必要に応じて、2列以上に配置することもでき、更に、状況に応じて、ジグザグ又はランダムに配置することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施の形態に係る粉体貨物船の粉体送り装置を適用する粉体貨物船の断面図である。
【図2】同粉体貨物船の粉体送り装置を適用する粉体貨物船の一部を省略した平面図である。
【図3】同粉体貨物船の粉体送り装置の分解図である。
【図4】(A)、(B)、(C)はそれぞれ、同粉体貨物船の粉体送り装置の側部スライド部材のキャンバス押え板、キャンバス、平面板及び支持部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
10、10a〜10n:粉体貨物船の粉体送り機構、11:船倉、12〜14:キャンバス(通気シート)、15:側部スライド部材(エアスライド部材)、16:中央部スライド部材(エアスライド部材)、17:側部スライド部材(エアスライド部材)、18:通気孔、19:平面板、20:ダクト、21:支持部材、22:支持部材、23:キャンバス押え板、24:皿ネジ、25:座グリ孔、26、27:取付孔、28:ナット、29:溝形部材、30:エア供給口、31:通気孔、32:平面板、33:ダクト、33a:溝形部材、34:支持部材、34a:キャンバス押え板、35:皿ネジ、36:ナット、37:平面板、38:ダクト、39:支持部材、40:キャンバス押え板、41:エアスライド部材、42、42a:チェーンコンベア(粉体排出手段)、43:上部傾斜カバー、44:エアスライド部材、45:側壁、46:ゲート部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船倉の底部に複数組み合わせて傾斜配置され、上部に配置された平面状の通気シートからエアを吹き出して、その上に積載される粉体を斜め下方に移動させるエアスライド部材を有する粉体貨物船の粉体送り装置であって、
前記エアスライド部材は、複数の通気孔が並べて形成された平面板と、前記通気孔を覆って、前記平面板の周囲に密着固定されている前記通気シートと、前記複数の通気孔に圧縮エアを供給するダクトと、前記平面板を前記船倉内に固定する支持部材とを有することを特徴とする粉体貨物船の粉体送り装置。
【請求項2】
請求項1記載の粉体貨物船の粉体送り装置において、前記平面板に形成されている前記複数の通気孔は、該平面板の中央部に一列に配置され、前記ダクトは前記複数の通気孔の直下に設けられた断面コ字状又は断面C字状の溝形部材と前記平面板の中央側一部を有して形成され、その一方側の端部にエア供給口が設けられていることを特徴とする粉体貨物船の粉体送り装置。
【請求項3】
請求項2記載の粉体貨物船の粉体送り装置において、前記溝形部材の幅は、前記平面板の幅の1/20〜1/4の範囲にあることを特徴とする粉体貨物船の粉体送り装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉体貨物船の粉体送り装置において、前記粉体貨物船の幅方向中心部に向かって下方に傾斜して設けられた中央部スライド部材と、該中央部スライド部材の両側にそれぞれ隣接し、前記中央部スライド部材に向かって下方に傾斜して設けられた側部スライド部材とを備え、前記側部スライド部材の傾斜角度は8〜20度であって、しかも前記側部スライド部材の船倉中央部側の頂部高さは前記船倉の下部壁から150〜400mmの範囲にあることを特徴とする粉体貨物船の粉体送り装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉体貨物船の粉体送り装置において、前記エアスライド部材は、前記船倉の底部中央に設けられている粉体排出手段の上部傾斜カバーの上に設けられていることを特徴とする粉体貨物船の粉体送り装置。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉体貨物船の粉体送り装置において、前記エアスライド部材は、前記船倉の側壁に設けられていることを特徴とする粉体貨物船の粉体送り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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