説明

粉末を抽出するためのデバイス

本発明は、粉末を抽出するためのデバイスに関するものであって、このデバイスは、粉末流通チャネル(1)と、鉛直方向に位置した部材(4)と、を具備している。部材(4)は、スライドによって下降可能なものとされ、これにより、グルーブ(5)が、開口領域(12)内へと進入することができる。フラップ(15)を使用することにより、粉末をグルーブ(5)に向けて案内することができ、これにより、グルーブ(5)を充填することができる。本発明においては、部材(4)もフラップ(15)も、常態において流れを妨害することがなく、残留粉末を保持することもない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末をサンプリングするためのデバイスに関するものである。
【0002】
本発明によるデバイスを使用することにより、特に、工業的プロセス内においてほぼ連続的に流通する粉末を断続的にサンプリングすることができる。これにより、組成や品質をチェックすることができ、容積が一定であることが必要とされ、微粉状となれば危険である場合に、特に有利である。
【背景技術】
【0003】
従来技術によるサンプリングデバイスには、バルブや、栓や、同様のデバイス、がある。しかしながら、これらデバイスは、粉末には、あまり適していない。なぜなら、粉末は、可動部材の内部に容易に侵入してしまい、それら可動部材を固着させてしまうからである。また、危険な材料の漏洩を有効にシールすることを、確実に実施することが困難である。また、そのような手段を使用した場合には、サンプリングすべき容積を調節することが困難である。
【0004】
うまくサンプリングを行うために解決する必要がある他の重要な問題点は、サンプリングデバイスの周辺における流れに関し、先に流れてきた粉末の淀みを避けることである。そのような粉末は、サンプリング対象をなす粉末に対して混合され、測定の信頼性に影響を及ぼす。
【0005】
他の重要な問題点は、サンプリングデバイスによって流れを妨害してしまわないことである。妨害してしまうと、上記問題点がもたらされ、サンプリングデバイスの前方側に、淀んだ粉末からなるポケットが形成される。
【0006】
米国特許第4,024,765号明細書に開示されている粉末サンプリングデバイスは、粉末流通チャネルのうちの、常態においては粉末を収容していないものとされた付属部分と;付属部分の壁に沿って往復移動する引出しと;を具備している。引出しは、引出しに形成されているグルーブが付属部分の中に延在している第1位置と、グルーブが付属部分を超えて延出されている第2位置と、の間にわたってスライド可能とされている。グルーブは、粉末がスライドして落下する複数の面によって、規定されている。サンプリングデバイスは、さらに、流通チャネル内にフラップを具備している。このフラップは、粉末の流れに対して実質的に全く影響しない退避位置と、フラップが付属部分内へと粉末の流れを案内する延出位置と、の間にわたって移動可能とされている。
【0007】
粉末の流れは、通常状態においては、サンプリングデバイスの側方を流れるものと思われる。よって、サンプリングデバイスは、粉末の流れを妨害することがなく、また、淀んだ粉末によって汚染されることもない。サンプリング状態においては、粉末あるいはその一部は、逆に、サンプリングデバイスを収容した付属部分に向けて一時的に案内される。粉末の流れは、引出しのグルーブを充填し、その後、グルーブを、グルーブ内に収容された所定容積の粉末をサンプリングして分析に供するための第2位置に向けて、移動させることができる。この文献においては、引出しが、粉末が充填された時点で、付属部分内へと押し込まれる。粉末試料は、グルーブの中へと進入し、その後、引出しを取り出して、ひっくり返す。これにより、グルーブの内容物は、全体的に落下する。この構成の欠点は、引出しが並進方向にもまた回転方向にも移動することであり、このため、構成が複雑であって、摩擦や固着の発生可能性を増大させることである。また、この構成の欠点は、サンプリングを行うに際し、極めて大量の粉末によって付属部分を充填しなければならないことである。
【0008】
与えられた特定の時点で流れからサンプリングを行うことは、できない。
【特許文献1】米国特許第4,024,765号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、粉末のサンプリングのための構成を完成させたものと考えることができる。引出しが、直立状態(すなわち、鉛直方向を向いた状態)とされていること、および、グルーブが、天井面と傾斜面とによって規定され、さらに、傾斜面が、引出しが第1位置にあるときには、付属部分のベースプレートの延長上に位置していることは、本発明における独自の構成である。
【0010】
好ましい実施形態においては、付属部分は、チャネルの持ち出し部分を備えて構成され、この持ち出し部分のベースプレートが、チャネルに対して傾斜しており、第2位置が、第1位置よりも下側であり、フラップが、回転可能なものとされ、フラップの退避位置は、フラップが鉛直方向を向いた状態とされ、フラップの延出位置は、フラップがチャネルに対して傾斜した状態とされ、引出しが第1位置とされている状態で、フラップが、グルーブの直下位置においてベースプレートに当接するものとされている。
【0011】
付属部分に向けて案内された所定容積の粉末でありかつ採取試料の一部を構成しない粉末は、傾斜したベースプレート上をスライドすることによって、確実に、元の流れへと戻ることができる。この傾斜したベースプレートと、グルーブの傾斜面とが、連続的に構成されていることにより、流れの規則性に基づいた充填が確保される。グルーブとフラップ端部とが近接していることにより、粉末の流速が遅い場合であってもグルーブが確実に充填されることとなる。また、単純な並進的往復移動であっても、退避状態とされたときにグルーブから粉末を流れ出させるには、十分である。サンプリングを停止することが意図された場合には、フラップを、元の位置に戻すだけでよく、グルーブの内容物は、元の流れへと戻ることができる。
【0012】
さらに望ましいサンプリング動作態様においては、フラップが、内側に曲がった形状の樋の形態とされ、この樋が、チャネルの第2の持ち出し部分内に延在している。フラップは、退避状態においては、流れを一切妨害することがなく、延出状態においては、粉末をグルーブ内に収集することを確保する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明につき、図1および図2を参照して説明する。図1および図2は、本発明によるデバイスの互いに異なる2つの主要状態を示している。
【0014】
図1においては、粉末は、自由に流れる。粉末は、鉛直方向チャネル(1)を通って流れる。チャネル(1)のサンプリング領域には、付属部分が設けられている。この付属部分は、チャネルの周縁回りにおいて互いに反対側に位置した2つの持ち出し部分(2,3)を備えている。第1の持ち出し部分(2)は、引出し(4)を備えている。この引出し(4)は、ある位置と他の位置との間にわたって移動することができ、グルーブ(5)を有してなる鉛直方向ロッドを備えている。グルーブ(5)は、持ち出し部分(2)の内部ベースプレート(6)の直上位置に連接されており、チャネル(1)に向けて傾斜している。グルーブ(5)は、天井面(7)と、傾斜面(8)と、によって形成されている。傾斜面(8)は、図1に示す位置においては、ベースプレート(6)の延長上に位置している。引出し(4)は、持ち出し部分(2)の上方において、レバー(9)に対して関節結合されている。レバー(9)は、回転中心(10)回りに傾斜しており、反対側部分が、図示していないモータによって駆動される偏心シャフト(11)によって駆動される。持ち出し部分(2)の下方においては、開口領域(12)が設けられている。引出し(4)は、フラットなシール(13)によって囲まれている開口領域(12)の一部を占めることができる。フラットなシール(13)の下方には、ビーカー(14)を配置することができ、試料を収集することができる。
【0015】
持ち出し部分(3)は、樋(あるいは、スパウト、spout )の形態とされたフラップ(15)を備えている。フラップ(15)は、内側に曲がった形状のものとされ、フラップの中央部分は、図1に示す構成においては、ほぼ鉛直方向に延在している。図1においては、フラップ(15)は、退避状態とされている。よって、フラップ(15)は、チャネル(1)を通しての粉末の流れを実質的に妨害することがない。フラップ(15)は、上部回転軸(16)に対して取り付けられている。回転軸(16)は、図示していない他のモータによって駆動される。
【0016】
図2を参照して、粉末試料のサンプリングについて説明する。まず最初に、回転軸(16)の回転によってフラップ(15)を回転させ、フラップ(15)を、チャネル(1)の内部に延在していて、フラップの一端が、図1に示すような上昇位置に配置されたグルーブ(5)の直下において、持ち出し部分(2)のベースプレート(6)に当接した状態とする。粉末流の少なくとも一部は、チャネル(1)の付属部分に向けて案内される。すなわち、粉末流の少なくとも一部は、持ち出し部分(2)の内部へと、特に、グルーブ(5)の容積内へと、案内される。これにより、グルーブ(5)は、完全に充填される。フラップ(15)が、内側に曲がった形状の壁を有している場合には、フラップ(15)が妨害した粉末を、より狭い流れへと収束させることができ、その結果、グルーブ(5)を、より容易に充填させ得ることに、注意されたい。特に、フラップ(15)の断面積が、底部に向けて狭くなっている場合には、ほとんどすべての粉末流をグルーブ(5)に向けて一時的に案内することができ、粉末の流速が遅い場合に特に有効である。グルーブが充填され終わった時点で、レバー(9)を傾斜させて、引出し(4)を下げ、これにより、グルーブ(5)を開口領域(12)内に配置する。グルーブ(5)の内容物は、ビーカー(14)等の中へと落下する。ベースプレートの傾斜は、粉末が滞ることなく流れ得るように十分に大きな傾斜角度とされ、さらには、フラップ(15)を移動させて初期状態へと復帰させた直後から、持ち出し部分(2)のベースプレート(6)から完全に粉末を流し得るように十分に大きな傾斜角度とされている。フラップ(15)は、初期状態においては、ほぼ鉛直である。そのため、フラップ(15)上にも粉末が残存することがない。よって、採取された試料は、完全に、その時点で流れている粉末である。同様に、粉末は、天井面(7)の直下位置に集積するかもしれないけれども、試料がグルーブ(5)から流れる際に完全に脱離する。したがって、天井面(7)は、粉末落とし面と称され、傾斜面(8)は、粉末スライド面と称される(ベースプレート(6)も、同様に、粉末スライド面として機能する)。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明によるサンプリングデバイスの1つの主要状態を示す図である。
【図2】本発明によるサンプリングデバイスの他の主要状態を示す図である。
【符号の説明】
【0018】
1 粉末流通チャネル
2 持ち出し部分
3 第2の持ち出し部分
4 引出し
5 グルーブ
6 ベースプレート
7 天井面
8 傾斜面
15 フラップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末サンプリングデバイスであって、
粉末流通チャネル(1)のうちの、常態においては粉末を収容していないものとされた付属部分と;
この付属部分の壁に沿って往復移動する引出し(4)であるとともに、この引出しが、グルーブ(5)を有し、さらに、この引出しが、前記グルーブ(5)が前記付属部分の中に延在している第1位置と前記グルーブが前記付属部分を超えて延出されている第2位置との間にわたってスライド可能とされ、さらに、前記グルーブが、粉末がスライドして落下する複数の面によって規定されているものとされた、引出し(4)と;
前記流通チャネル内に設けられ、粉末の流れに対して実質的に全く影響しない退避位置と前記付属部分内へと粉末の流れを案内する延出位置との間にわたって移動可能とされた、フラップ(15)と;
を具備し、
このような粉末サンプリングデバイスにおいて、
前記引出し(4)が、直立状態(すなわち、鉛直方向を向いた状態)とされ、
前記グルーブが、天井面(7)と傾斜面(8)とによって規定され、
前記傾斜面(8)が、前記引出しが前記第1位置にあるときには、前記付属部分のベースプレートの延長上に位置していることを特徴とする粉末サンプリングデバイス。
【請求項2】
請求項1記載の粉末サンプリングデバイスにおいて、
前記付属部分が、前記チャネル(1)の持ち出し部分(2)を備えて構成され、
この持ち出し部分のベースプレート(6)が、前記チャネルに対して傾斜しており、
前記第2位置が、前記第1位置よりも下側であり、
前記フラップが、回転可能なものとされ、
前記フラップの前記退避位置は、前記フラップが鉛直方向を向いた状態とされ、
前記フラップの前記延出位置は、前記フラップが前記チャネルに対して傾斜した状態とされ、
前記引出し(4)が前記第1位置とされている状態で、前記フラップが、前記グルーブ(5)の直下位置において前記ベースプレートに当接するものとされていることを特徴とする粉末サンプリングデバイス。
【請求項3】
請求項2記載の粉末サンプリングデバイスにおいて、
前記フラップが、内側に曲がった形状の樋の形態とされ、
この樋が、前記チャネルの第2の持ち出し部分内に延在していることを特徴とする粉末サンプリングデバイス。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−528362(P2006−528362A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530436(P2006−530436)
【出願日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050192
【国際公開番号】WO2004/104556
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(591015050)カンパニー・ジェネラル・デ・マティエーレ・ニュークリエーレ (20)
【Fターム(参考)】