説明

粉末洗剤の製造方法

【課題】溶解性と保存安定性に優れた粉末洗剤が得られる製造方法を提供する。
【解決手段】トリポリリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム及び硫酸ナトリウムから選ばれる1種以上の化合物〔以下、(a)成分という〕の合計100重量部に対して10〜60重量部の水を添加して(a)成分の水和物を得る工程(1)と、該(a)成分の水和物を粉砕する工程(2)を経て、該(a)成分の水和物と、それ以外の洗剤成分とを含有する粉末洗剤を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉末洗剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末洗剤の溶解性を向上することは、従来から当業界における課題の一つとされており、種々の方策が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、粉粒状洗浄剤組成物の表面層を水和固化させて自動洗浄機用カートリッジ洗浄剤を製造することが記載されている。また、特許文献2には、水不溶性微粉体でコーティングされた洗剤成分混合物の解砕物からなる高嵩密度粒状洗剤組成物が記載されており、従来、噴霧乾燥法によらない粒状洗剤の製造方法において、予め結晶水を有する物質をバインダーとして用いる方法があることも記載されている。また、特許文献3には、水溶性無機塩核粒子の表面が塩感応性高分子で被覆された造粒物を、前記塩感応性高分子を感応せしめる塩で処理してなる被覆粒子を洗剤組成物に配合することが記載されている。
【特許文献1】特開平5−255699号
【特許文献2】特開昭62−45696号
【特許文献3】特開2004−238530号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、溶解性と保存安定性に優れた粉末洗剤が得られる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、トリポリリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム及び硫酸ナトリウムから選ばれる1種以上の化合物〔以下、(a)成分という〕の合計100重量部に対して10〜60重量部の水を添加して(a)成分の水和物を得る工程(1)と、該(a)成分の水和物を粉砕する工程(2)とを含む、(a)成分の水和物と、それ以外の洗剤成分とを含有する粉末洗剤の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、溶解性と保存安定性に優れた粉末洗剤が得られる製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
<工程(1)>
工程(1)では、(a)成分100重量部に対して10〜60重量部、好ましくは20〜30重量部の水を添加して(a)成分の水和物を得る。
【0008】
この(a)成分は、工程(2)で粉砕を経るため、比較的粒径の大きいもの、例えば平均粒径が10〜3000μmのものを使用できる。
【0009】
工程(1)を行う装置としては、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。
【0010】
(a)成分を複数用いる場合、それらの水和は、全部を混合して一括して行っても、各成分を別々に行ってもよく、この組み合わせでもよい。
【0011】
<工程(2)>
工程(2)では、工程(1)で得られた(a)成分の水和物を粉砕、又は該(a)成分以外の洗剤成分の存在下で(a)成分の水和物を粉砕する。(a)成分以外の洗剤成分の存在下で(a)成分の水和物を粉砕することは、混合装置を効率的に使用する面で好ましい。
【0012】
工程(2)では、(a)成分の水和物の熟成を行うことが好ましい。熟成は、反応を完結させるために粉砕に先立って行うのが好ましく、一定温度(好ましくは10〜30℃)の環境下に一定時間(好ましくは12〜48時間)おくことで達成される。
【0013】
所望により熟成を経た(a)成分の水和物は、所定の粒径に粉砕される。粉砕には一般的な粉砕機が用いられる。
【0014】
なお、工程(2)では、(a)成分の水和物のみを熟成し、次いで(a)成分の水和物以外の洗剤成分を配合し混合物を得て、これを粉砕することもできる。
【0015】
<工程(3)>
工程(2)で(a)成分の水和物のみを粉砕した場合、その後、(a)成分以外の洗剤成分を配合する工程(3)を行う。
【0016】
粉末洗剤に配合する(a)成分の水和物以外の成分としては、界面活性剤、キレート剤及びアルカリ剤から選ばれる1種以上が好ましい。なお、(a)成分の水和物以外の洗剤成分には、(a)成分(非水和物)を含む。
【0017】
界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、及び陽イオン界面活性剤から選ばれる一種以上が好ましい。
【0018】
非イオン界面活性剤としては、十分な水溶性又は水分散性を示し、洗浄に用いた場合も過剰な泡を生成しない低泡性のものが好ましい。具体的には、以下のものが挙げられる。
【0019】
(1)下記一般式(i)又は(ii)で表されるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー
HO-(PO)x-(EO)y-(PO)z-H (i)
HO-(EO)a-(PO)b-(EO)c-H (ii)
〔式(i)、(ii)中、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示し、x、z及びbはプロピレンオキシドの平均付加モル数を示し、x+z≦60、好ましくは10〜50、b≦60、好ましくは10〜50の数であり、y及びa、cはエチレンオキシドの平均付加モル数を示し、y≦150 、好ましくは2〜50、a+c≦150、好ましくは2〜50の数であり、x、y、z、a、b、cの何れも0を超える数を示す。〕
【0020】
(2)下記一般式(iii)で表されるポリオキシエチレンジアルキルエーテル
R1-O(EO)n-R2 (iii)
〔式(iii)中、R1は炭素数1〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、EOはオキシエチレン基を示し、nはエチレンオキシドの平均付加モル数を示す8〜30の数、R2は炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す。〕
【0021】
(3)下記一般式(iv)で表されるポリオキシアルキレン(ジ)アルキルエーテル
R3-O-(EO)x-(PO)y-(EO)z-R4 (iv)
〔式(iv)中、R3、R4は同一又は異なって、炭素数1〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基あるいは炭素数3〜12のシクロアルキル基を示し(但しR4は水素原子も含む)、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示す。x及びzはエチレンオキシドの平均付加モル数を示すそれぞれ1以上、好ましくは2〜10の数、yはプロピレンオキシドの平均付加モル数を示す1〜4の数である。(EO)x 、(PO)y 、(EO)z はこの順にブロック結合している。〕
【0022】
(4)下記一般式(v)又は(vi)で表されるポリオキシアルキレン(ジ)アルキルエーテル
R5-O-(EO)x-(PO)y-R6 (v)
R5-O-(EO)x-(BO)z-R6 (vi)
〔式(v)、(vi)中、R5、R6は同一又は異なって、炭素数1〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基あるいは炭素数3〜12のシクロアルキル基を示し(但しR6は水素原子も含む)、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、BOはオキシブチレン基を示す。x、y及びzはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドの平均付加モル数を示すそれぞれ1〜20の数である。〕
【0023】
その他の非イオン界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、樹脂酸エステル、ポリオキシアルキレン樹脂酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、アルキル(ポリ)グリコシド、ポリオキシアルキレンアルキル(ポリ)グリコシド等が挙げられる。
【0024】
陰イオン界面活性剤としては、カルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系及びリン酸エステル系界面活性剤が挙げられるが、カルボン酸系及びリン酸エステル系界面活性剤が好ましい。カルボン酸系界面活性剤としては、例えば炭素数6〜30の脂肪酸又はその塩、多価カルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルアミドエーテルカルボン酸塩、ロジン酸塩、ダイマー酸塩、ポリマー酸塩、トール油脂肪酸塩等が挙げられる。スルホン酸系界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ジフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸の縮合物塩、ナフタレンスルホン酸の縮合物塩等が挙げられる。硫酸エステル系界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、トリスチレン化フェノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンジスチレン化フェノール硫酸エステル塩、アルキルポリグリコシド硫酸塩等が挙げられる。リン酸エステル系界面活性剤として、例えばアルキルリン酸エステル塩、アルキルフェニルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩等が挙げられる。塩としては、例えば金属塩(Na、K、Ca、Mg、Zn等)、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩、脂肪族アミン塩等が挙げられる。
【0025】
両性界面活性剤としては、アミノ酸系、ベタイン系、イミダゾリン系、アミンオキサイド系が挙げられる。アミノ酸系としては、例えばアシルアミノ酸塩、アシルサルコシン酸塩、アシロイルメチルアミノプロピオン酸塩、アルキルアミノプロピオン酸塩、アシルアミドエチルヒドロキシエチルメチルカルボン酸塩等が挙げられる。ベタイン系としては、アルキルジメチルベタイン、アルキルヒドロキシエチルベタイン、アシルアミドプロピルヒドロキシプロピルアンモニアスルホベタイン、アシルアミドプロピルヒドロキシプロピルアンモニアスルホベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルジメチルカルボキシメチルアンモニアベタイン等が挙げられる。イミダゾリン系としては、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルエトキシカルボキシメチルイミダゾリウムベタイン等が挙げられる。アミンオキサイド系としては、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルジエタノールアミンオキサイド、アルキルアミドプロピルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0026】
陽イオン界面活性剤としては、下記一般式(I)で示される化合物及び/又は下記一般式(II)で示される化合物が好ましい。
【0027】
【化1】

【0028】
〔式中、R1、R2、R3、R4のうち少なくとも1つとR5は、炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基であり、残余はベンジル基、炭素数1〜5のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又は下記一般式(III)
【0029】
【化2】

【0030】
で表される基であり、X-は、ハロゲンイオン又は下記一般式(IV)
【0031】
【化3】

【0032】
で表される陰イオン(R6、R7の少なくとも一方は炭素数6〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、他方は水素原子、メチル基、エチル基、又は炭素数8〜18のアルキルリン酸残基である)である。〕
【0033】
キレート剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ニトリロトリ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、エチレングリコールビス(2−アミノエチルエーテル)テトラ酢酸、クエン酸、マレイン酸、ポリアクリル酸、イソアミレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、ケイ酸、グルコン酸、ヒドロキシベンジルイミジノ酢酸、イミジノ酢酸、及びこれらの塩から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0034】
アルカリ剤としては、炭酸塩、重炭酸塩、ケイ酸塩、オルトケイ酸塩、メタケイ酸塩、結晶性層状ケイ酸塩等が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。これらのアルカリ剤は1種類でも、2種類以上の混合物としても用いることができる。具体的には、従来から知られているデンス灰や軽灰と総称されている炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、並びにJIS1号、2号、3号等の非晶質アルカリ金属珪酸塩が挙げられる。これら以外にも、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
【0035】
また、下記一般式(A)で表される結晶性珪酸塩も使用できる。
x(M2O)・y(SiO2)・z(Memn)・w(H2O) (A)
〔式中、Mは周期律表のIa族元素(特に好ましくはカリウム及び/又はナトリウム)を表し、Meは周期律表のIIa族元素、IIb族元素、IIIa族元素、IVa族元素及びVIII族元素から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせ(好ましくはマグネシウム及び/又はカルシウム)を示し、y/x=0.5〜2.6、z/x=0.01〜0.9、w=0〜20、n/m=0.5〜2.0である。〕
【0036】
上記一般式(A)で表される結晶性珪酸塩の製造方法については、特開平7−89712号公報を参考にすることができる。
【0037】
また、下記一般式(B)で表される結晶性珪酸塩も使用することができる。
2O・y’(SiO2)・w’(H2O) (B)
〔式中、Mはアルカリ金属(特に好ましくカリウム及び/又はナトリウム)を表し、y’=1.5〜2.6、w’=0〜20(特に好ましくは実質的に0)である。〕
【0038】
上記一般式(B)の結晶性珪酸塩は特開昭60−227号公報及びPhys.Chem.Glasses.7, 127-138(1966)、Z.Kristallogr., 129, p396 −p404(1969)等に記載されている。またヘキスト社より商品名「Na−SKS−6」(δ−Na2Si25)として、粉末状、顆粒状のものが入手できる。
【0039】
界面活性剤、キレート剤、アルカリ剤は、目的とする洗剤の用途、形態等に応じて適宜配合される。
【0040】
本発明の粉末洗剤には上記成分の他に、過硼酸塩、過炭酸塩等の漂白剤;テトラアセチルエチレンジアミン、アセトキシベンゼンスルホン酸塩、特開昭59−22999号公報、特開昭63−258447号公報、特開平6−316700号公報に記載されているような漂白活性化剤(有機過酸前駆体);アクリル酸/マレイン酸コポリマーNa、ポリアクリル酸Na、カルボキシメチルセルロースNa、ポリエチレングリコール等の再汚染防止剤;プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、リパーゼ等の酵素;蛍光染料;消泡剤;芒硝等の増量剤;色素;香料等の常用成分を配合することができる。
【0041】
工程(1)〜(3)において、あるいはこれらとは別に、篩分け等の整粒操作を行っても良い。
【0042】
本発明の製造方法では、工程(1)、(2)を経て洗剤成分を混合することにより洗剤を得ることができるため、噴霧乾燥、造粒等の操作は、本質的は必要ではないが、必要に応じてこれらの操作を行っても良い。
【0043】
本発明により得られた粉末洗剤は、粉立ち防止性、粉末物性、溶解性等の点から、平均粒径が3000μm以下であることが好ましく、50〜3000μmであることがより好ましい。また、粒径300〜2000μmの粒子の割合が5重量%以下であることが更に好ましい。
【0044】
また、本発明により得られた粉末洗剤は、嵩密度が0.6〜1.2g/cm3であることが好ましい。
【0045】
本発明により得られた粉末洗剤は、業務用の繊維製品用洗剤(特に業務用クリーニング用洗剤)、業務用自動食器洗浄機用洗剤、業務用車両洗剤等に用いることができる。各成分の含有量はこれらの用途や形態に応じて適宜選定できる。
【0046】
例えば、業務用の繊維製品用洗剤(特に業務用クリーニング用洗剤)の場合、洗剤中、(a)成分及びその水和物の合計含有量は5〜90重量%が好ましく、界面活性剤の含有量は0〜20重量%、キレート剤の含有量は0〜30重量%、アルカリ剤の含有量は20〜70重量%が好ましい。
【0047】
また、業務用の自動食器洗浄機用洗剤の場合、洗剤中、(a)成分及びその水和物の合計含有量は5〜90重量%が好ましく、界面活性剤の含有量は0〜5重量%、キレート剤の含有量は0〜20重量%、アルカリ剤の含有量は20〜80重量%が好ましい。
【0048】
また、業務用の車両用洗剤の場合、洗剤中、(a)成分及びその水和物の合計含有量は20〜90重量%が好ましく、界面活性剤の含有量は0〜20重量%、キレート剤の含有量は0〜20重量%、アルカリ剤の含有量は10〜70重量%が好ましい。
【実施例】
【0049】
実施例1〜5及び比較例2〜4
表1の(a)成分(STPPはトリポリリン酸ナトリウムの略である)水和物の組成となるように(a)成分を一括して卓状ポータブルミキサーに投入し、撹拌しながら水を少しずつ滴下して、所定量滴下終了後、10分間撹拌を続ける。その後撹拌を継続しながら、洗剤の組成となるように他の成分を添加し、すべての成分を仕込んだ後、さらに10分間撹拌を続ける。得られた混合物を12時間放置し、粉砕機にかけた後、粒径2000μm以下のものだけを篩い分けして粉末洗剤とした。
【0050】
比較例1
表1の洗剤の組成にて、全成分を卓状ポータブルミキサーに撹拌しながら添加し、すべての成分を仕込んだ後、さらに10分間撹拌を続ける。得られた混合物を篩い分けして粒径2000μm以下のものを粉末洗剤とした。
【0051】
実施例6〜9及び比較例6〜8
表2の(a)成分水和物の組成となるように(a)成分を一括して卓状ポータブルミキサーに投入し、撹拌しながら水を少しずつ滴下して、所定量滴下終了後、10分間撹拌を続ける。その後、得られたSTPP水和物を12時間放置する。その後、粉砕機にかけた後、粒径2000μm以下のものだけを篩い分けした。所定量のSTPP水和物を卓状ポータブルミキサーに入れ撹拌しながら、洗剤の組成となるように他の成分を添加し、すべての剤を仕込んだ後、さらに10分間撹拌を続けて粉末洗剤を得た。
【0052】
比較例5
表2の洗剤の組成にて、全成分を卓状ポータブルミキサーに撹拌しながら添加し、すべての成分を仕込んだ後、さらに10分間撹拌を続ける。得られた混合物を篩い分けして粒径2000μm以下のものを粉末洗剤とした。
【0053】
<評価>
(1)溶解性
(1−1)溶解性試験1
実施例1〜9、並びに比較例1〜8で得られた洗剤10gを300mlのビーカーに入れ、さらに20℃のイオン交換水150gを入れ、マグネティックスターターを用いて5分間攪拌した後、ろ過をし、乾燥、不溶成分の重量を測定して、下記式により溶解率(%)を算出した。結果を表1、2に示す。
【0054】
【数1】

【0055】
(1−2)溶解性試験2
実施例1〜5、並びに比較例1〜6で得られた洗剤10gを300mlのビーカーに入れ、さらに20℃のイオン交換水150gを入れ、攪拌せずに5分静置後3000μmのふるい上に入れ最小量のイオン交換水で洗い流し、不溶成分の重量を測定して、上記(1−1)の式により溶解率(%)を算出した。結果を表1、2に示す。
【0056】
(2)保存安定性
グレードNo.2のろ紙で作った箱(5cm×10cm×5cm)に、実施例1〜5、並びに比較例1〜6で得られた洗剤150gを入れ、温度30℃、相対湿度50%の恒温恒湿器の中に3日間保存した。保存後、5000μmのふるいにかけ、通過しなかった洗剤の重さを量り、下記式により粗大粒子率(粒径5000μm以上の塊状物の比率)(%)を算出した。結果を表1、2に示す。
【0057】
【数2】

【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
*1:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王(株)製、エマルゲン108)
*2:ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンラウリルエーテル(花王(株)製、エマルゲンLS106)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリポリリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム及び硫酸ナトリウムから選ばれる1種以上の化合物〔以下、(a)成分という〕の合計100重量部に対して10〜60重量部の水を添加して(a)成分の水和物を得る工程(1)と、該(a)成分の水和物を粉砕する工程(2)とを含む、(a)成分の水和物と、それ以外の洗剤成分とを含有する粉末洗剤の製造方法。
【請求項2】
工程(2)で、(a)成分の水和物を該(a)成分の水和物以外の洗剤成分の存在下で粉砕する、請求項1記載の粉末洗剤の製造方法。
【請求項3】
工程(2)で、(a)成分の水和物を粉砕し、該工程(2)の後に、(a)成分の水和物以外の洗剤成分を配合する工程(3)を行う、請求項1記載の粉末洗剤の製造方法。
【請求項4】
(a)成分の水和物以外の洗剤成分が、界面活性剤、キレート剤及びアルカリ剤から選ばれる1種以上である請求項1〜3の何れか1項記載の粉末洗剤の製造方法。

【公開番号】特開2007−169387(P2007−169387A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−366722(P2005−366722)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】