説明

粉末状抗菌防カビ剤

【課題】 凝集物を発生させにくく、優れた抗菌防カビ効果を発揮する抗菌防カビ剤を提供する。
【解決手段】 第4級アンモニウム超強酸塩(A)及び無機微粉末(B)を混合して得られる粉末状抗菌防カビ剤であって、(A)が、一般式(1)で表される第4級アンモニウム超強酸塩(A1)であることが好ましい。
【化3】


式中、R1及びR2は、同一の又は異なる、炭素数が1〜22の脂肪族炭化水素基;R3は、炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基、炭素数7〜22のアリールアルキル基又は炭素数8〜22のアリールアルケニル基;R4は、炭素数8〜22の脂肪族炭化水素基;fは1以上の整数、Xf−はf価の超強酸イオンを表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状抗菌防カビ剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塗料、樹脂又は繊維に用いられる抗菌防カビ剤としては、銀系化合物(特許文献−1参照)が知られている。
【特許文献−1】特開平6−116458号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
塗料用、樹脂用又は繊維用抗菌防カビ剤として用いられている銀系化合物は、耐熱性に優れているものの抗菌防カビ性については十分でなく、また塗料の塗膜表面に凝集物が発生したり、樹脂や繊維に練りこんだ時に凝集物が発生するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち、本発明は、第4級アンモニウム超強酸塩(A)及び無機微粉末(B)を混合して得られる粉末状抗菌防カビ剤である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の粉末状抗菌防カビ剤は、耐熱性及び耐水性に優れ、優れた抗菌防カビ効果を発揮し、かつ、塗料の塗膜表面や樹脂及び繊維に凝集物を発生させにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の抗菌防カビ剤に含まれる、第4級アンモニウム超強酸塩(A)[以下において、単に(A)と表記する場合がある]としては、以下の(A1)〜(A3)[以下において、それぞれ単に(A1)、(A2)及び(A3)と表記する場合がある]が挙げられる。
【0007】
(A1):一般式(1)で表される第4級アンモニウム超強酸塩。
【0008】
【化2】

【0009】
式中、R1及びR2は、同一の又は異なる、炭素数が1〜22の脂肪族炭化水素基;R3は、炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基、炭素数7〜22のアリールアルキル基又は炭素数8〜22のアリールアルケニル基;R4は、炭素数8〜22の脂肪族炭化水素基;fは1以上の整数、Xf−はf価の超強酸イオンを表す。
【0010】
(A2):アルキル(若しくはアルケニル)アミドアルキル基及び/又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を有する第4級アンモニウム超強酸塩。
【0011】
(A3):環状アミン型第4級アンモニウム超強酸塩。
【0012】
以下において、(A1)〜(A3)を順に詳しく説明する。
【0013】
(A1)を表す一般式(1)において、R1及びR2で表される炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基としては直鎖若しくは分岐のアルキル基及びアルケニル基等が挙げられる。
直鎖のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基及びヤシ油由来のアルコールから水酸基を除いたn−アルキル基(以下、ヤシ油アルキル基と略記する。)等が挙げられる。直鎖のアルケニル基としてはオレイル基等が挙げられる。分岐のアルキル基としては、イソプロピル基、2−エチルヘキシル基、イソデシル基、イソドデシル基及びイソオクタデシル基等が挙げられる。
これらの内、好ましいのは炭素数1〜14、更に炭素数1〜8、特に炭素数1又は2のものであり、最も好ましいのはメチル基である。
また、R1とR2は同一であっても異なっていてもよいが、同一であるのが好ましい。
【0014】
R3は炭素数が1〜22の脂肪族炭化水素基、炭素数が7〜22のアリールアルキル基又は炭素数8〜22のアリールアルケニル基を表す。脂肪族炭化水素基としては、前記のR1として例示したものが挙げられる。
アリールアルキル基としてはベンジル基及びフェネチル基等、アリールアルケニル基としてはスチリル基及びシンナミル基等が挙げられる。
R3の内好ましいのは、炭素数が1〜18の直鎖若しくは分岐の脂肪族炭化水素基、炭素数が7〜15のアリールアルキル基及び炭素数が8〜22のアリールアルケニル基である。
【0015】
R4は炭素数8〜22の脂肪族炭化水素基を表す。脂肪族炭化水素基としては、前述のR1として例示したものの内、炭素数8〜22のものが挙げられ、これらの内で好ましいのは炭素数8〜18、更に好ましいのは炭素数10〜16の直鎖若しくは分岐の脂肪族炭化水素基である。
【0016】
(A1)を構成する第4級アンモニウム基の具体例としては以下のものが挙げられる。
R3が脂肪族炭化水素基の場合は:
1つの長鎖アルキル基を有するもの(n−ドデシルトリメチルアンモニウム、n−テトラデシルトリメチルアンモニウム、n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、n−オクタデシルトリメチルアンモニウム、トリメチルヤシ油アルキルアンモニウム、2−エチルヘキシルトリメチルアンモニウム、エチル−n−ドデシルジメチルアンモニウム、エチル−n−テトラデシルジメチルアンモニウム、エチル−n−ヘキサデシルジメチルアンモニウム、エチル−n−オクタデシルジメチルアンモニウム、エチルジメチルヤシ油アルキルアンモニウム、エチル−2−エチルヘキシルジメチルアンモニウム、ジエチル−n−ドデシルメチルアンモニウム、ジエチル−n−テトラデシルメチルアンモニウム、ジエチル−n−ヘキサデシルメチルアンモニウム、ジエチル−n−オクタデシルメチルアンモニウム、ジエチルメチルヤシ油アルキルアンモニウム及びジエチル−2−エチルヘキシルメチルアンモニウム);
2つの長鎖アルキル基(炭素数6〜22)を有するもの(ジ−n−ヘキシルジメチルアンモニウム、ジ−n−オクチルジメチルアンモニウム、ジ−n−デシルジメチルアンモニウム及びジ−n−ドデシルジメチルアンモニウム);及び1つの長鎖アルケニル基(炭素数8〜22)を有するもの(トリメチルオレイルアンモニウム、エチルジメチルオレイルアンモニウム及びジエチルメチルオレイルアンモニウム)が挙げられる。
【0017】
R3がアリールアルキル基の場合は:
ベンジル−n−デシルジメチルアンモニウム、ベンジル−n−ドデシルジメチルアンモニウム、ベンジルジメチル−n−テトラデシルアンモニウム、ベンジル−n−ヘキサデシルジメチルアンモニウム、ベンジルジメチルヤシ油アルキルアンモニウム、ベンジルジメチルオレイルアンモニウム及びベンジル−2−エチルヘキシルジメチルアンモニウムが挙げられる。
【0018】
(A1)を構成する第4級アンモニウム基の内、抗菌性の観点から好ましいのは、n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ジ−n−デシルジメチルアンモニウム、ベンジル−n−ドデシルジメチルアンモニウム及びベンジルジメチル−n−テトラデシルアンモニウムである。
【0019】
(A2)は、分子中にアミド基や水酸基を有する第4級アンモニウム塩であって、対イオンが超強酸イオンである。
アミド基は、アルキル(若しくはアルケニル)アミドアルキル基として分子中に存在し、アルキル(炭素数10〜24)アミドアルキル(炭素数2〜6)基としては、ステアラミドエチル基及びステアラミドプロピル基等が挙げられ、アルケニル(炭素数10〜24)アミドアルキル(炭素数2〜6)基としては、オレアミドエチル基等が挙げられる。
(A2)において分子中に含有することのある炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基及びヒドロキシブチル基等が挙げられる。
【0020】
(A2)を構成する第4級アンモニウム基としては、例えばジエチルメチルオレアミドエチルアンモニウム、ベンジルジエチルステアラミドエチルアンモニウム及びヒドロキシエチルジメチルステアラミドプロピルアンモニウム基等が挙げられる。
【0021】
(A3)は環状アミン型第4級アンモニウム超強酸塩である。
【0022】
(A3)を構成する第4級アンモニウム基としては、アリロキシ(炭素数8〜24)メチルピリジニウム基(例えばステアリロキシメチルピリジニウム基)、アルキル(炭素数8〜24)オキシメチルピリジニウム基(例えば、ヘキサデシルオキシメチルピリジニウム基)、及びアルキル(炭素数10〜24)ピリジニウム基(例えば、テトラデシルピリジニウム基)等が挙げられる。
【0023】
(A)の内、耐熱性、抗菌防カビ性及び凝集物防止の観点から、好ましいのは(A1)である。
【0024】
本発明における(A)を構成する超強酸イオンとなる超強酸は、第一解離段階でのHammettの酸度関数(H0)が−12以下の酸である。
1価の超強酸としては、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、四フッ化硼素酸、六フッ化リン酸、塩化フッ化硼素酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化砒素酸及び四フッ化タウリン等が挙げられる。
2価の超強酸としては、ジフルオロメタンジスルホン酸、テトラフルオロエタンジスルホン酸及びヘキサフルオロプロパンジスルホン酸等が挙げられる。
3価の超強酸としては、トリフルオロエタントリスルホン酸、ペンタフルオロプロパントリスルホン酸及びヘプタフルオロブタントリスルホン酸等が挙げられる。
4価の超強酸としては、ヘキサフルオロブタンテトラスルホン酸、オクタフルオロペンタンテトラスルホン酸、デカフルオロへキサンテトラスルホン酸等が挙げられる。
上記の超強酸の内、抗菌防カビ剤の耐熱性の観点から好ましいのは、1〜3価の超強酸、更に好ましいのはトリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、四フッ化硼素酸、ジフルオロメタンジスルホン酸、テトラフルオロエタンジスルホン酸、ヘキサフルオロプロパンジスルホン酸、トリフルオロエタントリスルホン酸及びペンタフルオロプロパントリスルホン酸であり、特に好ましいのは、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、四フッ化硼素酸、ジフルオロメタンジスルホン酸、テトラフルオロエタンジスルホン酸及びトリフルオロエタントリスルホン酸、とりわけ好ましいのはトリフルオロメタンスルホン酸(H0=−14.1)、ペンタフルオロエタンスルホン酸(H0=−14.0)及び四フッ化硼素酸(H0=−13.9)である。
【0025】
本発明における(A)の好ましい具体例としては、ジ−n−デシルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、ジ−n−デシルジメチルアンモニウムペンタフルオロエタンスルホン酸塩、ジ−n−デシルジメチルアンモニウム四フッ化硼素酸塩、n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウム四フッ化硼素酸塩、ベンジルジメチルヤシ油アルキルアンモニウムペンタフルオロエタンスルホン酸塩及びベンジルジメチルヤシ油アルキルアンモニウム四フッ化硼素酸塩である。
【0026】
本発明における(A)は、通常は常温で固体である。融点は、好ましくは50〜150℃、さらに好ましくは70〜100℃である。融点が50℃以上であれば粉砕、粉末化が行い易く、150℃以下であれば塗料、樹脂又は繊維への練りこみが容易となる。
【0027】
(A)の製造方法としては特に制限はなく、公知の方法でよい。例えば下記の[I]及び[II]の方法が挙げられる。好ましいのは[II]の方法である。
【0028】
[I] 第4級アンモニウム塩〔例えば、クロルアニオンからなる塩〕のエタノールと水の混合溶液(第4級アンモニウム塩20〜70重量%、エタノール20〜50重量%、水10〜30重量%の混合物)に前記超強酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩又はカリウム塩等)を加え(第4級アンモニウム塩/超強酸塩の当量比は通常1/1〜1/1.5、好ましくは1/1.05〜1/1.3)、室温で約2時間撹拌混合して得られる溶液を70〜80℃で約1時間撹拌後、静置して分液した下層(水及びエタノールの層)を除去し、上層中の水及びエタノールを減圧留去(150〜160℃、減圧度0.09〜0.1MPa)して、溶融状態の第4級アンモニウム塩を得た後、バット状の容器に取り出して、室温まで冷却後、ブロック状に破砕する。
【0029】
[II] 第3級アミンと同当量以上(好ましくは1.1〜5.0当量)の炭酸ジアルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜5)を溶媒(例えば、メタノール)の存在下(第3級アミンの重量に基づいて10〜1,000重量%)又は非存在下に、反応温度80〜200℃、好ましくは100〜150℃で反応させて第4級アンモニウム塩を製造し、更に第4級アンモニウムの当量に基づいて1.0〜1.2当量の前記超強酸を添加し、10〜50℃で1時間撹拌して塩交換する。溶媒を減圧留去(150〜160℃、減圧度0.09〜0.1MPa)して、溶融状態の第4級アンモニウム塩を得た後、バット状の容器に取り出して、室温まで冷却後、ブロック状に破砕する。
【0030】
後述の(A)と(B)とを混合して粉末化する方法において、粉砕した(A)を用いる場合は、更に、上記[1]又は[2]の方法で得られた(A)を10〜30℃で粉砕機にかけて粉砕する。
この場合の(A)の平均粒子径(d50)は、凝集物低減の観点から好ましくは1〜500μm、更に好ましくは10〜300μm、特に好ましくは50〜200μm、とりわけ好ましくは70〜150μmである。
尚、平均粒子径(d50)はレーザー回折粒度分布測定装置[例えば、LA−920{堀場制作所(株)製}]、または光散乱粒度分布測定装置[例えば、ELS−8000{大塚電子(株)製}]により測定できる。
【0031】
本発明で使用する無機微粉末(B)としては、公知の無機化合物の微粉末が使用できる。(B)の内、凝集物低減の観点から好ましいものとしては、二酸化珪素、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ゼオライト、カオリン、タルク及び雲母等が挙げられる。更に好ましいのは二酸化珪素、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、ゼオライト、カオリン及びタルクであり、特に好ましくは、二酸化珪素、炭酸カルシウム及びゼオライト、とりわけ好ましくは二酸化珪素である。
【0032】
(B)の平均粒子径(d50)は、凝集物低減の観点から好ましくは0.01〜50μm、更に好ましくは0.05〜30μm、特に好ましくは0.1〜20μm、とりわけ好ましくは0.5〜10μmである。
【0033】
(B)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0034】
(B)の市販品としては、「サイリシア310P」[平均粒子径(d50)3μm、富士シリシア(株)製]及び「アエロジル200」[平均粒子径(d50)21μm、日本アエロジル(株)製]等の二酸化珪素;「Aluminium Oxide C」[平均粒子径(d50)2μm、日本アエロジル(株)製]及び「普通粒アルミナA12」[平均粒子系(d50)50μm、日本軽金属(株)製]等の酸化アルミニウム;「Titanium(IV)Oxide,80nm」[平均粒子径(d50)80nm、和光純薬(株
)製]及び「タイペークR−680」[平均粒子径(d50)0.2μm、石原産業(株)製]等の酸化チタン;「Calciumu Carbonate,99.9%」[平均粒子径(d50)2μm、和光純薬(株)製]及び「ホワイトンSSB赤」[平均粒子径(d50)1μm、白石カルシウム(株)製]等の炭酸カルシウム;等が挙げられる。
【0035】
(A)と(B)の重量比[(A)/(B)]は、凝集物低減の観点から好ましくは0.1〜500、更に好ましくは0.5〜200、特に好ましくは1〜100である。
【0036】
(A)と(B)とを混合して粉末状抗菌防カビ剤を得る方法としては特に制限はなく、公知の方法でよい。例えば、下記(1)〜(3)の方法が挙げられる。
(1)100〜150℃で溶融させた(A)に(B)を添加し、1〜3時間混合した後、10〜30℃まで冷却して粉砕機で粉砕する方法。
(2)塊状の(A)と、(B)とを10〜30℃で粉砕機にかけて粉砕混合する方法。
(3)粉砕した(A)と、(B)とを10〜30℃で1〜2時間混合する方法。
【0037】
上記方法で得られる本発明の粉末状抗菌防カビ剤の平均粒子径(d50)は、凝集物低減の観点から好ましくは1〜500μm、更に好ましくは10〜300μm、特に好ましくは50〜200μm、とりわけ好ましくは70〜150μmである。
【0038】
本発明の粉末状抗菌防カビ剤は、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、公知の抗菌防カビ剤及び添加剤等が挙げられる。
公知の抗菌防カビ剤としては、銀ゼオライト、イミダゾール系化合物[2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル及び2−メトキシカルボニルアミノベンズイミダゾール等]並びにジデシルジメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウムのハライド塩やカルボン酸塩等が挙げられる。
本発明の粉末状抗菌防カビ剤と公知の抗菌防カビ剤との重量比率は、通常100/0〜60/40、好ましくは100/0〜80/20である。
銀ゼオライトとしては「ノバロン AG300」[東亜合成(株)製]及び「ゼオミックAZ−10N」[シナネンゼオミック(株)製]等が挙げられる。
添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤及び帯電防止剤等が挙げられる。
【0039】
本発明の抗菌防カビ剤は、塗料用、樹脂用又は繊維用の抗菌防カビ剤として使用できる。
塗料用として使用する場合の対象となる塗料は特に限定されず、水系塗料、溶剤系塗料又は粉体塗料のいずれでもよいが、本発明の抗菌防カビ剤の効果発現の観点から好ましいのは、粉体塗料である。
粉体塗料としては、エポキシ粉体塗料、エポキシ−ポリエステル粉体塗料、ポリエスエル粉体塗料、アクリル粉体塗料、ポリエチレン粉体塗料、変性EVA粉体塗料及びナイロン粉体塗料等が挙げられる。これらの内、抗菌防カビ性発現の観点から好ましいものは、エポキシ粉体塗料、エポキシ−ポリエステル粉体塗料、ポリエスエル粉体塗料、アクリル粉体塗料及びポリエチレン粉体塗料であり、更に好ましくは、ポリエスエル粉体塗料、アクリル粉体塗料及びポリエチレン粉体塗料である。
【0040】
粉体塗料に対する本発明の粉末状抗菌防カビ剤の添加量は、粉体塗料の重量に基づいて通常0.01〜10重量%、抗菌効果と粉体塗料物性の観点から好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.3〜3重量%である。
添加の方法としては、粉体塗料の樹脂に直接添加して、溶融混練等により混合する方法や、予め少量の同種の樹脂に混合してから、それをマスターバッチとして樹脂に配合して、混合する方法や、粉体塗料の樹脂と本発明の粉末状抗菌防カビ剤を粉体同士で混合する方法等が挙げられる。
【0041】
樹脂用として使用する場合の対象となる樹脂の内、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂[ポリプロレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)及びエチレン−エチルアクリレート系共重合樹脂等]、ポリアクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル等)、ポリスチレン系樹脂[ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体(AN樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン共重合体(MBS樹脂)及びスチレン/メタクリル酸メチル共重合体(MS樹脂)等]、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリブチレンアジペート及びポリエチレンアジペート等)、ポリアミド系樹脂(ナイロン66、ナイロン69、ナイロン612、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6/66及びナイロン6/12等)、ポリカーボネート系樹脂(ポリカーボネート及びポリカーボネート/ABS樹脂アロイ等)、ポリアセタール樹脂並びに熱可塑性ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
これらの内抗菌防カビ性発現の観点から好ましいものは、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール樹脂及び熱可塑性ポリウレタン樹脂であり、更に好ましくは、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール樹脂及び熱可塑性ポリウレタン樹脂である。
【0042】
熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂(グリコールと、不飽和及び飽和二塩基酸から誘導される不飽和ポリエステルと他のビニルモノマーとの架橋共重合物等)、エポキシ樹脂(ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂のポリアミン又は酸無水物等による硬化樹脂等)、熱硬化性ポリウレタン樹脂(ポリウレタンフォームを含む)並びに高吸水性樹脂(架橋ポリアクリルアミドの部分加水分解物及び架橋されたアクリル酸−アクリルアミド共重合体等)等が挙げられる。
【0043】
樹脂に対する本発明の粉末状抗菌防カビ剤の添加量は、樹脂の重量に基づいて通常0.01〜10重量%、抗菌効果と樹脂物性の観点から好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.3〜3重量%である。
添加の方法としては、樹脂に添加して、溶融混練等により混合する方法や、予め少量の同種の樹脂に混合してから、それをマスターバッチとして樹脂に配合して、混合する方法等が挙げられる。
【0044】
繊維用として使用する場合の対象となる繊維としては、ポリオレフィン系繊維(ポリプロピレン繊維等)、ポリアクリル系樹脂(ポリアクリロニトリル繊維等)、ポリエステル系繊維、ポリウレタン系繊維(スパンデックス等)及びポリアミド系繊維が挙げられる。
【0045】
繊維に対する本発明の粉末状抗菌防カビ剤の添加量は、繊維の重量に基づいて通常0.01〜10重量%、抗菌効果と繊維物性の観点から好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.3〜3重量%である。
添加の方法としては、繊維用の樹脂に添加して、溶融混練等により混合する方法や、予め少量の同種の樹脂に混合してから、それをマスターバッチとして樹脂に配合して混合する方法、また有機溶剤に溶解したものを樹脂成分(溶液状であることが好ましい)と混合して、紡糸後又は同時に有機溶剤を除去する方法等が挙げられる。
【0046】
本発明の抗菌防カビ剤は、塗料、樹脂又は繊維以外の用途でも使用可能である。その他の用途としては、粉末洗剤、柔軟剤、農薬、ペット用防臭剤、不織布及び木材等が挙げられる。
[実施例]
以下実施例及び製造例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例中の部は重量部を示す。
【0047】
製造例1
加熱冷却装置、攪拌機及び滴下ロートを備えたガラス製反応容器に、メタノール56部、ジ−n−デシルメチルアミン163部(0.88モル)及び炭酸ジメチル144部(1.6モル)を仕込み、120℃で20時間反応させた後、メタノールと炭酸ジメチルの一部を留去してジ−n−デシルジメチルアンモニウムメチルカーボネートの83%メタノール溶液250部(0.52モル)を得た。更に、30〜60℃に昇温したのち、その温度に保ちながら42%四フッ化硼素酸水溶液114部(0.55モル)を2時間かけて徐々に加えた。その後、更に、同温度で1時間攪拌した後、静置分液した上層を分取し、メタノールと水を減圧下(減圧度0.06MPa)、80〜100℃で1時間かけて留去して、更に減圧乾燥(減圧度0.09MPa、105℃×3時間)した後、80℃に冷却して析出した塩を200メッシュ金網で濾過して除き、濾液を離型紙で作成したバット状容器に取り出して常温まで冷却し、固化物をミルミキサーででブロック状に破砕し、常温で固体のジ−n−デシルジメチルアンモニウム四フッ化硼素酸塩(A−1)206部を得た。
【0048】
製造例2
製造例1と同様にして得られたジ−n−デシルジメチルアンモニウムメチルカーボネートの83%メタノール溶液250部(0.52モル)に、室温でトリフルオロメタンスルホン酸79.5部(0.53モル)を加え、2時間攪拌した。この反応溶液に粒状苛性カリ0.6部を添加して中和(pH:7.8)し、析出した塩を濾過後、濾液のメタノールを減圧下(減圧度0.06MPa)、60〜100℃で2時間かけて留去し、更に減圧乾燥(減圧度0.09MPa、120℃×1時間)して析出した塩を200メッシュ金網で濾過して除き、120℃で濾液を離型紙で作成したバット状容器に取り出して常温まで冷却し、固化物をミルミキサーでブロック状に破砕し、常温で固体のジ−n−デシルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩(A−2)250部を得た。
【0049】
実施例1
加熱冷却装置及び攪拌機を備えたガラス製反応容器に製造例1で得た(A−1)99部及び二酸化珪素[サイリシア310P:平均粒子径(d50)3μm、富士シリシア(株)製]1部[(A)/(B)=99]を仕込み、100℃で1時間溶融混合し、離型紙で作成したバット状容器に取り出して30℃に冷却してミルミキサーで粉砕し、粉末状抗菌防カビ剤(X−1)100部を得た。(X−1)の平均粒子径(d50)は190μmであった。
【0050】
実施例2
製造例2で得た(A−2)90部及び酸化アルミニウム[Aluminium Oxide C:平均粒子径(d50)2μm、日本アエロジル(株)製]10部[(A)/(B)=9]をミルミキサーに投入し、20℃で粉砕して、粉末状抗菌防カビ剤(X−2)100部を得た。(X−2)の平均粒子径(d50)は140μmであった。
【0051】
実施例3
製造例1で得た(A−1)80部をミルミキサーを用いて20℃で粉砕後、ヘンシェルミキサーに投入し、酸化チタン[Titanium(IV)Oxide,80nm:平均粒
子径(d50)80nm、和光純薬(株)製]20部[(A)/(B)=4]を加えて混合し、粉末状抗菌防カビ剤(X−3)100部を得た。(X−3)の平均粒子径(d50)は15μmであった。
【0052】
実施例4
加熱冷却装置及び攪拌機を備えたガラス製反応容器に製造例2で得た(A−2)50部及び炭酸カルシウム[Calciumu Carbonate,99.9%:平均粒子径(d50)2μm、和光純薬(株)製]50部[(A)/(B)=1]を仕込み、120℃で1時間溶融混合し、取り出した後、30℃に冷却してミルミキサーで粉砕し、粉末状防カビ抗菌剤(X−4)100部を得た。(X−4)の平均粒子径(d50)は5μmであった。
【0053】
比較例
銀ゼオライト[ノバロン AG300: 東亜合成(株)製]を比較の粉末状防カビ剤(Y−1)とした。
【0054】
評価例1〜8、比較評価例1〜2(粉体塗料用抗菌防カビ剤としての評価)
表1に示す部数の抗菌防カビ剤、「エピコ−ト1004」[ダウケミカル(株)製エポキシ樹脂、軟化点97〜103℃、平均分子量約1400]、アジピン酸ジヒドラジド及び「チタン白JR−701」[テイカ(株)製]を2軸エクストルーダーを用いて150℃で溶融混練した後、30℃に冷却し、ミルミキサーを用いて粉砕して得られた平均粒子径(d50)30μmの粉体塗料を用いて下記の評価方法で塗膜性能、抗菌性及び防カビ性を評価した。結果を表1に示す。
【0055】
<塗膜の性能評価>
塗装板の調整:燐酸亜鉛処理した鋼板に乾燥膜厚が約60μmになるように試料を静電粉体塗装し、180℃で30分間焼付けを行ったものを試験片として使用した。
【0056】
塗膜外観:試験片の塗膜表面を目視で観察し評価した。◎は平滑性、凝集物等の異常がないもの、○は平滑性、凝集物等があるが実用上問題がないもの、△は平滑性、凝集物等の異常が認められるもの、×は平滑性、凝集物等の異常が著しく認められるものである。
【0057】
鏡面反射率:JIS K−5400の方法で、試験片のの60度鏡面光沢度を測定した。
【0058】
<抗菌性評価>
塗膜のモデルとして上記粉体塗料の成型体を作製した。加圧プレス機を用いて、試料を160℃、10MPaで3分間プレスして成型体(50mm×50mm×2mm)を作製して、この成型体を試験片とし、菌として大腸菌を用いて抗菌性をJIS Z 2801(抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果)に従って評価した。
即ち、普通ブイヨン培地を滅菌精製水で500倍希釈した液で菌数を2.5×105〜10×105個/mlとなるように調製した試験菌液を、試験片上に0.4ml滴下して、乾かないように上からフィルムをかぶせ温度35±1℃、相対湿度90%以上で24±1時間培養した。その後、試験片とフィルムを10mlのSCDLP培地で洗いだし、その液を速やかに生菌数測定に供して生菌数を求めた。
【0059】
<防カビ性評価>
塗膜のモデルとして上記粉体塗料の成型体を、抗菌性評価の場合と同様にして作製した。カビとして、Aspergillus nigarを用い、JIS L 1902に準拠して、以下の方法で防カビ性を評価した。
供試菌をPDA寒天培地で培養し、着生した胞子を生理食塩水で集め、ガーゼをつめたチップでろ過して胞子懸濁液を作成した。この胞子懸濁液を、無菌水で20倍に希釈した1/20PDA液体培地を用いて胞子数約105〜106cells/mlに調整し、これを試験菌液とした。
【0060】
試験片上に試験菌液を0.4ml滴下して、乾かないように上からフィルムをかぶせ、温度30±1℃、相対湿度90%以上で24±1時間培養した。その後、試験片とフィルムを10mlの生理食塩水で洗いだし、その液を速やかに生菌数測定に供し以下の方法で胞子数を求めた。
胞子数の求め方:
洗い出し液1mlを採取し、9mlの生理食塩水が入った試験管に入れてよく撹拌した。この試験管から1mlを採取し、9mlの生理食塩水が入った別の試験管に入れて撹拌した。この操作を繰り返して、10倍希釈法による希釈系列を作成した。各希釈系列の試験管から0.05ml採取し、PDA寒天培地に塗布した後、30℃で48時間培養した。30〜300個のコロニーが現れた希釈系列のシャーレの胞子数を以下の計算式で求めた。
胞子数 M=Z×R×20
ここで、Zはコロニー数(2枚のシャーレの平均)、Rは希釈倍率である。
胞子数が少ないほど、防カビ性が高いことを示している。なお胞子数が0は、胞子が全く観察されないことを示しており、非常に高い防カビ性を有していることを示している。
【0061】
【表1】

【0062】
表1に示した通り、本発明の粉末状抗菌防カビ剤は、粉体塗料用抗菌防カビ剤として従来の銀ゼオライトに比較して塗膜表面の平滑性や光沢を低下させることがなく、抗菌防カビ性に優れている。
【0063】
評価例9〜16、比較評価例3〜4(樹脂用抗菌防カビ剤としての評価)
表2に示す部数の抗菌防カビ剤及びポリプロピレン樹脂[ノバテックPP:日本ポリプロ(株)製](以下PPと略記)をヘンシェルミキサーで混合した後、ベント付き2軸押出機にて200℃で溶融混練して得られた樹脂を用いて、加圧プレス機でプレス(160℃、10MPaで3分間)して成型体(50mm×50mm×2mm)を得た。
成型体の表面の外観を前記の塗膜外観と同様に評価し、又、抗菌性及び防カビ性を前記と同様の方法で評価した。結果を表2に示す。
【0064】
【表2】

【0065】
表2に示した通り、本発明の粉末状抗菌防カビ剤は、樹脂用抗菌防カビ剤として従来の銀ゼオライトに比較して樹脂の表面外観及び抗菌防カビ性に優れており、しかも添加量が少なくても抗菌防カビ性を発揮することができる。
【0066】
評価例17〜24、比較評価例5〜6(繊維用抗菌防カビ剤としての評価)
表3に示す部数の抗菌防カビ剤及びポリエステル樹脂[「MA2103」:ユニチカ(株)製]をヘンシェルミキサーで混合した後、ベント付き2軸押出機にて260℃で溶融混練した後、紡糸装置に供給し、紡糸温度270℃、紡糸速度500m/分で紡糸後、伸度が280〜320%になるように120℃で延伸してポリエステル繊維を得た。これらのポリエステル繊維を用いて下記の評価方法で抗菌性及び防カビ性を評価した。結果を表3に示す。
【0067】
<抗菌性評価>
抗菌性ポリエステル繊維を試験片として、黄色ブドウ球菌を用いJIS L 1902に準拠して以下の方法で抗菌性を評価した。
即ち、普通ブイヨン培地を滅菌精製水で500倍希釈した液で菌数を2.5×105〜10×105個/mlとなるように調製した試験菌液を、バイアル瓶に入れた試験片上に0.2ml滴下し、バイアル瓶に栓をして温度37±1℃、18±1時間培養した。その後、試験片を10mlのSCDLP培地で洗いだし、その液を速やかに生菌数測定に供して生菌数を求めた。
【0068】
<防カビ性評価>
抗菌性ポリエステル繊維を試験片として、Aspergillus nigarを用いJIS L 1902に準拠して以下の方法で防カビ性を評価した。
供試菌をPDA寒天培地で培養し、着生した胞子を生理食塩水で集め、ガーゼをつめたチップでろ過して胞子懸濁液を作成した。この胞子懸濁液を、無菌水で20倍に希釈した1/20PDA液体培地を用いて胞子数約105〜106cells/mlに調整し、これを試験菌液とした。
【0069】
バイアル瓶に入れた試験片上に試験菌液を0.2ml滴下し、バイアル瓶に栓をして温度37±1℃、18±1時間培養した。その後、試験片を10mlの生理食塩水で洗いだし、その液を速やかに生菌数測定に供し以下の方法で胞子数を求めた。
胞子数の求め方:
洗い出し液1mlを採取し、9mlの生理食塩水が入った試験管に入れてよく撹拌した。この試験管から1mlを採取し、9mlの生理食塩水が入った別の試験管に入れて撹拌した。この操作を繰り返して、10倍希釈法による希釈系列を作成した。各希釈系列の試験管から0.05ml採取し、PDA寒天培地に塗布した後、30℃で48時間培養した。30〜300個のコロニーが現れた希釈系列のシャーレの胞子数を、以下の計算式で求めた。
胞子数 M=Z×R×20
ここで、Zはコロニー数(2枚のシャーレの平均)、Rは希釈倍率である。
胞子数が少ないほど、防カビ性が高いことを示している。なお胞子数が0は、胞子が全く観察されないことを示しており、非常に高い防カビ性を有していることを示している。
【0070】
【表3】

【0071】
表3に示した通り、本発明の粉末状抗菌防カビ剤は、繊維用抗菌防カビ剤として従来の銀ゼオライトに比較して抗菌防カビ性に優れており、しかも添加量が少なくても抗菌防カビ性を発揮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の粉末状抗菌防カビ剤は、塗料、樹脂又は繊維に練り込まれ、抗菌防カビ性を
有する成型品とされる。これらの成型品は、例えば塗料ではペレット及び粉末等の形状となり、抗菌防カビ性の粉体塗料等に利用できる。樹脂及び繊維では、ペレット、ブロック状物、板状物、シート、フィルム及び糸等の形状にでき、浴槽及び洗面台等のサニタリー用品、冷蔵庫及び洗濯機等の家電用品、食卓及び台所等の家庭用品、塩ビパイプ等の建築用品、ポリエチレンシート等の包装用品並びにポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン及びスパンデックス等の繊維及び繊維製品等に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第4級アンモニウム超強酸塩(A)及び無機微粉末(B)を混合して得られる粉末状抗菌防カビ剤。
【請求項2】
前記第4級アンモニウム超強酸塩(A)の融点が50〜150℃である請求項1記載の粉末状抗菌防カビ剤。
【請求項3】
前記第4級アンモニウム超強酸塩(A)が、一般式(1)で表される第4級アンモニウム超強酸塩(A1)である請求項1又は2記載の粉末状抗菌防カビ剤。
【化1】

[式中、R1及びR2は、同一の又は異なる、炭素数が1〜22の脂肪族炭化水素基;R3は、炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基、炭素数7〜22のアリールアルキル基又は炭素数8〜22のアリールアルケニル基;R4は、炭素数8〜22の脂肪族炭化水素基;fは1以上の整数、Xf−はf価の超強酸イオンを表す。]
【請求項4】
前記無機微粉末(B)の平均粒子径(d50)が0.01〜50μmである請求項1〜3のいずれか記載の粉末状抗菌防カビ剤。
【請求項5】
前記第4級アンモニウム超強酸塩(A)と前記無機微粉末(B)の重量比[(A)/(B)]が0.1〜500である請求項1〜4のいずれか記載の粉末状抗菌防カビ剤。
【請求項6】
平均粒子径(d50)が1〜500μmである請求項1〜5のいずれか記載の粉末状抗菌防カビ剤。
【請求項7】
前記無機微粉末(B)が、二酸化珪素、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ゼオライト、カオリン、タルク及び雲母からなる群から選ばれる1種以上の無機微粉末である請求項1〜6のいずれか記載の粉末抗菌防カビ剤。
【請求項8】
塗料用、樹脂用又は繊維用である請求項1〜7のいずれか記載の粉末抗菌防カビ剤。

【公開番号】特開2009−126807(P2009−126807A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302213(P2007−302213)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】