説明

粉状化粧料容器

【課題】
本発明は粉状化粧料容器に関し、パウダーパフ等で粉状化粧料を取り出す際に粉状化粧料が不用意に噴出することを防止するものである。
【解決手段】
化粧料収容室の底部にドーム状弾性部材を設け、仕切り部の下方押圧に伴う化粧料収容室内の空気圧上昇を、ドーム状弾性材の変形で吸収し空気圧上昇による粉状化粧料の噴出を防止する。また化粧料収容室の側部に空気のみを給排気する微小な通気孔を設け、化粧料収容室内の圧力上昇をより効果的になくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉状化粧料を収容する粉状化粧料容器であって、シリコンシート等の軟弾性材料に切れ込みを成形し粉状化粧料の必要量を任意に取り出せるようにすると共に不用意な漏出や飛散を防止する粉状化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
白粉、パウダーファンデーションなどの粉状化粧料を収納するコンパクト容器は仕切り部を介してパウダーパフに移し取り使用するコンパクト容器等が知られている。従来仕切り部は網状フィルター部材や複数の粉取り出し穴を設けた中栓等が用いられてきたが、近年、仕切り部を伸縮させて切れ込みの開閉を可能にし、必要に応じて粉状化粧料を仕切り部上に取り出し可能にするコンパクト容器が提案されている。
【0003】
シリコンシート等の軟弾性材料を仕切り材に利用した粉状化粧料容器は非使用時にはスリットが閉じ内蔵されるパウダーパフなどのアプリケータと分離されて粉が不用意に被着することがなく携行に適したものとなる。しかし、使用に際しパウダーパフ等のアプリケータでシリコンシートを押下すると容器内の内圧が急に上昇し、化粧料が空気と共に噴出してしまうことがあった。こうした問題を解決する手段として容器にエアー抜きを設け容器内の内圧を上昇させない様にする手段が特許文献1で提案されている。
【0004】
【特許文献1】特願2008−34714号
【0005】
特許文献1は仕切り部に化粧料収容室に達する複数の切れ込みを設けたものである。切れ込みを有する仕切り部はシリコンシート等の軟弾性材料で形成される。軟弾性材料は伸長されることで閉塞されていた切れ込みを開穴し、粉状化粧料を仕切り部上に取り出し可能にする。特許文献1は粉状化粧料を仕切り部上に取り出す際に化粧料収容室内で圧縮された仕切り部内の空気をパウダーパフに塞がれない第2の切れ込みや本体に形成された通気孔を通じ分散して放出可能にする。そのため粉取り出しの際に空気を含む粉状化粧料の仕切り部からの噴出、飛散を防止するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の技術では容器内の空気を容器外へ通気孔を通じ排出するため、粉状化粧料も一緒に排出され、周囲を汚してしまう可能性もあった。本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものでその目的とするところは、パウダーパフ等で粉状化粧料を取り出す際に容器より切れ込みを通じ噴出する空気の勢いを抑え粉状化粧料の噴出、飛散を防止する粉状化粧料容器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明粉状化粧料容器は、上記目的を達成するためシリコン(弾性材)のドーム状弾性材を容器内に配置するものである。
【0008】
即ち、白粉、パウダーファンデーション等の粉状化粧料を収納する有底筒状の化粧料収容室と、化粧料収容室の開口側に配されると共に軟弾性材料に切れ込みを成形し粉状化粧料を取り出せるようにした仕切り部を有する粉状化粧料容器において、化粧料収容室の底部にドーム状弾性部材を設け、仕切り部の下方押圧に伴う化粧料収容室内の空気圧上昇を、ドーム状弾性材の変形で吸収し空気圧上昇による粉状化粧料の噴出を防止するものである。
【0009】
また、白粉、パウダーファンデーション等の粉状化粧料を収納する有底筒状の化粧料収容室と、化粧料収容室の開口側に配されると共に軟弾性材料に切れ込みを成形し粉状化粧料を取り出せるようにした仕切り部を有する粉状化粧料容器において、化粧料収容室の底部にドーム状弾性部材と、化粧料収容室の側部に化粧料収容室の内外を通じる微小な通気孔とを設け、仕切り部の下方押圧に伴う化粧料収容室内の空気圧上昇を、ドーム状弾性材の変形と通気孔で通じる給排気とで吸収し空気圧上昇による粉状化粧料の噴出を防止するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明粉状化粧料容器にあっては次に記載する効果を奏する。即ち化粧料収容室の底部に形状自己復元可能のドーム状弾性材を設けることで仕切り部の押圧による化粧料収容室の容積変動を弾性材の変形により小さくできる。したがって仕切り部が押圧されても化粧料収容室内の圧力増大を抑え、切れ込みからの噴出を防ぐことができる。
【0011】
また化粧料収容室の側部開口される微小な通気孔は、粉状化粧料の漏出なしに化粧料収容室内の空気を給排気するもので、圧力増大を抑え切れ込みからの噴出をより確実に防ぐことができる。したがって粉状化粧料を取り出す際の飛散をなくし周囲を汚さなくする効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明粉状化粧料容器の断面説明図である。図において容器本体1は仕切り部7とドーム弾性体9とで上下を閉じられ化粧料収容室21を形成している。化粧料収容室21は粉状化粧料100を収容する。
【0013】
容器本体1の上部開口側110には仕切り部7を密閉できるよう上面を平滑に形成する上縁15および上縁15の外周に縮径部17が設けられている。また容器本体1の上部外周には仕切り部固定部材3を係合する係合爪11が設けられている。また容器本体1の下部開口側130にはドーム弾性体9を嵌合する嵌合穴14が開口され、嵌合穴14の周囲は下面が平滑な下縁19を構成している。さらに下部外周には底部材5を係合する係合爪13が設けられている。
【0014】
仕切り部固定部材3の上端には内面側で容器本体1の上縁15の上部を覆うよう突出すると共に内周側を開口して粉取り出し口33を形成する鍔部31が設けられている。また、仕切り部固定部材3の内側面には容器本体1の係合爪11に係合する係合部35が設けられ容器本体1の係合爪11と係合する。
【0015】
以上の構成により仕切り部7は外縁71を容器本体の縮径部17に外嵌することで容器本体1の上部で密閉され、さらに容器本体1の上縁15と仕切り部固定部材3の鍔部31との間に挟持固定される。
【0016】
仕切り部7はシリコンゴム等伸縮可能な軟弾性材からなるもので、中央部を平面の薄いシート状、外周に厚手の外縁71を成形し、さらにシート状に成形された中央部には伸縮により開閉する複数の切れ込み73を設けている。また仕切り部7は化粧料収容室21から粉状化粧料100を必要に応じ上面75に取り出しアプリケータに移し取れるようにする。
【0017】
切れ込み73は仕切り部7の中央部に向く線即ち仕切り部7の伸長方向に交差して形成される。そのため切れ込み73はパウダーパフ200の押し下げで開口され、化粧料収容室21内の粉状化粧料100は仕切り部7の上面に移動可能にされる。尚、図1の状態では仕切り部7の中央部には張力がかかっていない状態にあり、切れ込み73は仕切り部7の上下を通じるスリットを形成してはいるがシリコンゴム等の弾性材が有する復元力のため閉口されている。閉口した切れ込み73は粉状化粧料100の不用意な漏出を防止する。したがって化粧料収容室7内の粉状化粧料100はパウダーパフ200の押圧操作によって任意に取り出すことが可能となる。
【0018】
他方、ドーム弾性体9は仕切り部7と同様シリコンゴム等の軟弾性材からなるもので、中央部を略半球等に膨らませたドーム形にし、下部外周に厚手の鍔部93を成形している。
【0019】
底部材5は、底部中央をドーム弾性体9の裏面側に形成される凹部91が容器本体1の外部に通じるよう開口する底部51を有する。また、底部材5の内側面には容器本体1の係合爪13と係合する係合部55が設けられ容器本体1の係合爪11と係合する。
【0020】
以上の構成によりドーム弾性体9は側部を容器本体1の嵌合穴14に嵌合されると共に鍔部93で容器本体1の下縁19と底部材5の底部51との間に挟持固定される。容器本体1は仕切り部7とドーム弾性体9とで閉じられ粉状化粧料100を収容する化粧料収容室21を形成し、図1に示されるように粉状化粧料100を充填している。
【0021】
図2は本発明粉状化粧料容器の仕切り部を軽く押圧した状態説明図で、仕切り部7の上面をパウダーパフ200等のアプリケータで軽く押した状態を示す。仕切り部7は化粧料収容室21内の粉状化粧料100の上面に近づくよう僅か変形している。そのため化粧料収容室21内の容積を縮小し内部の空気圧を増大させ、内壁およびドーム状弾性体9に対するドーム状弾性体9に対する圧力を増大する。
【0022】
ドーム状弾性体9に対する圧力の増大は化粧料収容室21の容積を増大するようドーム状弾性体9を下部開口側に即ち矢印A方向に変形させ圧力を吸収する。そのため仕切り部7が下方に押圧された場合の化粧料収容室21内の圧力上昇はゼロ若しくは若干の上昇にとどまる。
【0023】
通気孔16は粉状化粧料の漏出なしに化粧料収容室21内の空気を粉状化粧料100の漏出なしに排気することで化粧料収容室21内の圧力上昇を低くし、ドーム状弾性体9の変形による空気圧吸収と共に化粧料収容室21内の圧力増大を抑える。通気孔16とドーム状弾性体9はそれぞれ独立して空気圧吸収機能を有する。従ってドーム状弾性体9に通気孔16が加わることで圧力低減能力がより増大する。従って切れ込みからの噴出をより確実に防ぐことができる。
【0024】
図3は本発明粉状化粧料容器の仕切り部を強く押圧した状態説明図で、仕切り部7の上面からパウダーパフ200等のアプリケータで粉状化粧料100を取り出す状態を示す。図3では仕切り部7は化粧料収容室21内の粉状化粧料100の上面に潜り矢印B方向に大きく伸張している。この状態で仕切り部7の切れ込み73は開口され化粧料収容室21内の粉状化粧料100を仕切り部7の上面に取り出し、パウダーパフ200に移し取ることができる。
【0025】
図3にあっては図2にて説明したとおり化粧料収容室21内の空気圧の上昇はドーム状弾性体9、通気孔16により吸収されているため開口された切れ込み73から粉状化粧料100の噴出はなくなる。
【0026】
以上説明のとおり、本発明粉状化粧料容器にあっては発明の効果の欄に記載する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明粉状化粧料容器の断面説明図である。
【図2】本発明粉状化粧料容器の仕切り部を軽く押圧した状態説明図である。
【図3】本発明粉状化粧料容器の仕切り部を強く押圧した状態説明図である。
【符号の説明】
【0028】
1・・・・容器本体
3・・・・仕切り部固定部材
5・・・・底部材
7・・・・仕切り部
9・・・・ドーム状弾性体
11・・・係合爪
13・・・係合爪
14・・・嵌合穴
15・・・上縁
16・・・通気孔
17・・・縮径部
19・・・下縁
21・・・化粧料収容室
31・・・鍔部
33・・・粉取り出し口
35・・・係合部
51・・・底部
55・・・係合部
71・・・外縁
73・・・切れ込み
75・・・上面
93・・・鍔部
100・・粉状化粧料
110・・上部開口側
130・・下部開口側
200・・パウダーパフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白粉、パウダーファンデーション等の粉状化粧料を収納する有底筒状の化粧料収容室と、化粧料収容室の開口側に配されると共に軟弾性材料に切れ込みを成形し粉状化粧料を取り出せるようにした仕切り部を有する粉状化粧料容器において、
前記した化粧料収容室の底部にドーム状弾性部材を設け、
仕切り部の下方押圧に伴う化粧料収容室内の空気圧上昇を、ドーム状弾性材の変形で吸収し空気圧上昇による粉状化粧料の噴出を防止することを特徴とする粉末化粧料容器。
【請求項2】
白粉、パウダーファンデーション等の粉状化粧料を収納する有底筒状の化粧料収容室と、化粧料収容室の開口側に配されると共に軟弾性材料に切れ込みを成形し粉状化粧料を取り出せるようにした仕切り部を有する粉状化粧料容器において、
前記した化粧料収容室の底部にドーム状弾性部材と、
化粧料収容室の側部に化粧料収容室の内外を通じる微小な通気孔と
を設け、
仕切り部の下方押圧に伴う化粧料収容室内の空気圧上昇を、ドーム状弾性材の変形と通気孔で通じる給排気とで吸収し空気圧上昇による粉状化粧料の噴出を防止することを特徴とする粉末化粧料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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