説明

粉粒体の混合装置

【課題】複数種類の粉粒体を安定して均一に混合するとともに、混合装置を簡易な構造で安価に製造する。
【解決手段】複数種類の粉粒体が投入される投入口33と混合された粉粒体を排出する排出口34とを有して円筒状に形成され、粉粒体を収容する混合容器32と、混合容器32内の粉粒体を圧縮空気Pにより攪拌混合すべく混合容器32の底部35において圧縮空気Pを噴射する噴射ノズル43を周方向に設置し、圧縮空気Pを混合容器32の内壁面36に沿って螺旋状に噴流させる圧縮空気噴射装置42とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂の射出成形等で使用される合成樹脂ペレットや成形後の粉砕再生材、顔料等の複数種類の粉粒体を混合する粉粒体の混合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂の射出成形では一般にペレット状の合成樹脂材を成形機のホッパーに投入した後、加熱シリンダ内に落下させ、バンドヒータで加熱し、スクリューの回転により溶融可塑化したペースト状の成形材料を成形機のノズルから金型内に射出して成形している。ここで供給される樹脂材としては、新材である合成樹脂ペレットの他、補強材、或いは成形品を着色するための合成樹脂からなる着色材等の粉粒体が添加され使用されることがある。また、成形後のスプルー、ランナーの樹脂材を再生材として細かく粉砕した粉砕再生材が新材の合成樹脂ペレットに加えられて再利用されることも多い。このような複数種類の合成樹脂材の粉粒体は、成形機のホッパーに供給された後、攪拌羽根等を備えた混合装置で混合され、射出成形機の加熱シリンダに送られている。
【0003】
ところで、これらの合成樹脂ペレット、補強材、着色材、粉砕再生材等の各種粉粒体は互いに大きさ、形状、比重等各種性状が異なるため、混合装置において均一に混合することは一般に困難であった。特に、粉砕再生材は粉粒体の形状が一定でなく、尖ったり、屈曲したりしているために粉砕再生材同士或いは他の粉粒体と絡み合い易いことから、粉粒体相互の混合は円滑に行なわれず、不均一になり易かった。このため、成形品の品質がばらつき強度が低下したり、成形品に色むらを生じたりすることがあった。
【0004】
これに対して、特開平7−32363号公報には、混合装置本体内に圧縮気体を噴射させて複数種類の粉粒体を攪拌混合する噴射供給手段を備えた混合装置が提案されている。この混合装置の噴射供給手段は、図7に示すように、射出成形機1の加熱シリンダ2の上部に備えられた混合装置51において混合装置本体52の中間高さにおける内周面53から斜め上向きに圧縮空気Pを噴射すべく複数の噴射ノズル54が設けられており、この圧縮空気Pの噴射位置よりも上方に位置する粉粒体が圧縮空気Pの噴射により攪拌混合されてから混合装置本体52の底部側に貯留されるようになっている。この構成により、前記混合装置51は、粉粒体に圧縮空気Pを噴射させ、強制的に流動させて複数種類の粉粒体を均一な状態に混合するようにしている。
【特許文献1】特開平7−32363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記公報に記載の混合装置51は、噴射供給手段が、混合装置本体52の上下二つの筒状部の相互間に、噴射ノズル54を複数箇所形成したリング体55を介装し、混合装置本体52の内周面53の位置から斜め上方向に向けて圧縮空気Pを噴射するように構成されている。即ち、圧縮空気Pはリング体55を介して混合装置本体52の内周面53に沿って間隔をおいて環状に配置された複数の噴射ノズル54から、図7に示すように、混合装置本体52の中央部に集束するようにして斜め上方向に噴出する構造となっている。
【0006】
このため、各噴射ノズル54から噴射される圧縮空気Pは噴射の初期段階で中央部で互いに衝突して噴射の勢いが減衰し、その後の噴流が不十分となるため、攪拌能力が低下するおそれがある。また、一部の噴射ノズル54に目詰まりを生じたりして各噴射ノズル54からの噴射量が一定でない場合には、混合装置本体52内が全体的に乱流となり、圧縮空気Pの流動が不均一となって攪拌の弱い部分が生じ、同様に攪拌能力が低下して粉粒体の均一な混合が得られ難くなる。更には、噴射ノズル54をリング体55に間隔をおいて複数箇所設置しているから、噴射供給手段の構成が複雑になるとともに、装置もコスト高となる。
【0007】
そこで、本発明は、複数種類の粉粒体を安定して均一に混合できるとともに、簡易な構造で安価に製造できる粉粒体の混合装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の粉粒体の混合装置は、複数種類の粉粒体を混合するものであって、前記粉粒体が投入される投入口と混合された粉粒体を排出する排出口とを備えて円筒状に形成され、前記粉粒体を収容する混合容器と、前記混合容器内の粉粒体を圧縮空気により攪拌混合すべく該圧縮空気を該混合容器の底部において周方向に噴射し、前記混合容器の内壁面に沿って上方に螺旋状に噴流させる圧縮空気噴射手段とを備えている。
【0009】
前記混合装置は、具体的には、円筒状に形成された混合容器の底部における周縁部に周方向に圧縮空気の噴射ノズルを設け、このノズル先端から圧縮空気を混合容器の周方向に噴射させることにより混合容器内を内壁面に沿って螺旋状に上昇する噴流を形成し、もって、複数種類の粉粒体を圧縮空気によって均一に攪拌混合するものである。ここで、噴射ノズルは混合容器の底部において周方向に配置されているから、圧縮空気は周方向に噴射することになるが、噴射後は下方側には混合容器の底面が存在し、下方側への流動は妨げられるため、圧縮空気は斜め上方に流動することになる。その結果、圧縮空気は上述のように噴射後、混合容器の内壁面に沿って周方向及び斜め上方向に流動し螺旋状に上昇することとなる。なお、噴射ノズルは混合容器の周方向に加え、僅かに斜め上向きに設置してもよい。
前記圧縮空気の噴流は混合容器内を内壁面に沿って螺旋状に上昇するので、圧縮空気は、従来のように複数の噴射ノズルから噴射し、圧縮空気同士が互いに衝突したり干渉して乱れたりするようなことがなく一定の螺旋状の流路に沿って流動する。
【0010】
これにより、粉砕再生品等の異形で互いに絡み易い粉粒体等が使用される場合においても、圧縮空気の噴出力と回転力によって粉砕再生品の絡み等をほぐし、複数種類の粉粒体同士を均一に混合することができる。
【0011】
ここで、前記混合容器が円筒状に形成されているのは、混合容器の底部の周縁部に設けられた噴射ノズルから噴射した圧縮空気を混合容器の内壁面に沿って導き、円滑に螺旋運動させながら流動させるためためである。その意味で、混合容器の内壁面は同一高さにおける周縁が円形状をなしておればよい。したがって、混合容器の円筒状には、周壁が高さ方向において僅かに傾斜した円錐台形状のものや、高さ方向の中間部が僅かに外側に膨出して湾曲面をなすものなどが含まれる。
また、圧縮空気は混合容器内全体に至って螺旋状に噴流するので、噴射ノズルは通常1個で足りるし、複数のノズルから噴射されると圧縮空気は互いに干渉し、衝突して乱れ易くなるので、一般的には1個設けられるが、2個以上設置することもできる。
【0012】
請求項2の粉粒体の混合装置は、複数種類の粉粒体を混合容器内に交互に繰り返し供給し、前記粉粒体をそれぞれ多層に収容する材料供給手段を備えている。即ち、複数種類の粉粒体の各貯槽からの供給管に切替弁を設置するなどして複数種類の粉粒体の供給を交互に切替えることにより混合容器内に各粉粒体を交互に投入し、多層に収容する。ここで、各粉粒体は交互に繰り返して供給されるから、多層とは複数種類の粉粒体毎に2層以上形成されるものを意味する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の粉粒体の混合装置は、圧縮空気は混合容器内を内壁面に沿って螺旋状に上昇噴流し、一定の螺旋状の流路に沿って流動するので、無駄な噴流を防ぎ、粉粒体を効率良く安定して均一に攪拌混合することができる。また、通常1個の噴射ノズルを設けるのみで圧縮空気を混合容器内全体に至って螺旋状に噴流させることができるので、混合装置を簡易な構造で安価に製造することができる。
【0014】
請求項2の粉粒体の混合装置は、複数種類の粉粒体を混合容器内に交互に繰り返して供給する材料供給手段を備えており、圧縮空気の噴射前に、予め複数種類の粉粒体を混合容器内に多層に分離し収容しているので、より効率良くかつ迅速に均一な攪拌混合を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の粉粒体の混合装置を図に基づいて説明する。ここで、図1は混合装置全体の構成を示し、図2は圧縮空気の噴射ノズルの取付位置を示し、図3は制御盤の操作パネルを示す。本実施形態においては射出成形機に新材の合成樹脂ペレットと、成形後のスプルー、ランナー等を粉砕した粉砕再生材との2種類の異なった粉粒体を混合して成形材料として使用する場合を説明する。
【0016】
図1において、射出成形機1の加熱シリンダ2の上部には、前記2種類の粉粒体を供給するための材料供給部11が備えられている。材料供給部11は、材料が投入されるホッパー12と、材料を吸引してホッパー12に輸送、供給する吸引ポンプ22等からなる材料供給装置21と、ホッパー12の底部から落下してきた粉粒体を混合する混合容器32及びこの混合容器32内に圧縮空気Pを噴射する圧縮空気噴射装置42等からなる混合装置31とで構成されている。成形材料の粉粒体である合成樹脂ペレットA及び粉砕再生材Bは、図示しない合成樹脂ペレット槽からの供給管26と粉砕再生材槽からの供給管27とが途中で1本に合流した輸送管28によってホッパー12の上部投入口に供給されるようになっている。2本の供給管が合流する部分には切替弁29が設けられており、この切替弁29は後述する制御盤23からの切替信号を受けて指令された成形材料側の弁体が開放されその成形材料が輸送管28を介してホッパー12に供給されるようになっている。切替弁29を設けたのは、設備費、設置スペース等を考慮して1台の吸引ポンプ22を使用して異なる2種類の粉粒体を供給するようにしたからである。なお、切替弁29は請求項の材料供給手段の一構成要素となるものでもある。
【0017】
まず、ホッパー12は成形材料投入槽であり、成形材料の乾燥装置を付属させたホッパードライヤが使用される場合もある。成形材料を予備乾燥するのは、成形材料は水分とともに加熱されると加水分解して衝撃強度などの物性が低下したり、外観不良が生じたりすることがあるからである。
【0018】
材料供給装置21は、成形材料を吸引して輸送するための吸引ポンプ22と、成形材料の供給を制御する制御盤23と、吸引圧力を一定値に保持し安定化するための保圧タンク25とで構成されており、ホッパー12と保圧タンク25とは吸引管30で連結されている。制御盤23には操作パネル24が取付けられており、成形材料の供給時間、排出時間等を任意に設定し、制御できるようになっている。操作パネル24は、具体的には、図3に示すように、例えば、A種である合成樹脂ペレットAの供給時間、B種である粉砕再生材Bの供給時間、パージ時間、排出時間、ミキシング遅延時間、空確認時間、輸送中及び排出中の繰返し回数を任意に設定することができる。更に、制御盤23には、後述する混合装置31の空確認センサ41及び圧縮空気噴射装置42のソレノイドバルブ48からの信号を受信できるようになっている。
【0019】
一方、前記混合装置31は、ホッパー12の下方に設置されて2種類の粉粒体を収容する混合容器32と、混合容器32内の材料充填状態を確認する空確認センサ41と、混合容器32内に圧縮空気Pを噴射して2種類の粉粒体を攪拌混合するための圧縮空気噴射装置42とで構成されている。圧縮空気噴射装置42は、混合容器32の底部35に内壁面36に沿って取付けられ、圧縮空気Pを混合容器32の内壁面36に沿って周方向にかつ斜め上向きに噴射する噴射ノズル43と、この噴射ノズル43に圧縮空気Pを供給するコンプレッサ45、レギュレータ46、オイルミストセパレータ47、ソレノイドバルブ48及び流量調整器49とで構成されている。なお、これらの機器からなる圧縮空気噴射装置42は請求項の圧縮空気噴射手段に相当する。
【0020】
混合装置31は更に詳細には、混合容器32が円筒体で形成され、混合時に必要な所定量の成形材料を収容し得る大きさに形成されている。混合容器32の上部には投入口33が設けられ、この投入口33はホッパー12の底面開口と連通し、ホッパー12内に供給された材料が自由落下により供給されるようになっている。混合容器32の下部には排出口34が設けられ、攪拌混合された2種類の粉粒体を射出成形機1の加熱シリンダ2に落下、排出できるようになっている。前記空確認センサ41は公知の赤外線センサ等が用いられ、混合容器32内の材料の残量を確認し、空になり或いは残量減となった場合に、材料供給装置21の制御盤23に空の信号を送出する。
【0021】
圧縮空気噴射装置42の噴射ノズル43は、図2に示すように、ノズル先端44が混合容器32の底部35において円中心から離間した周縁部に周方向に水平状態で設置されている。これにより、圧縮空気Pは噴射ノズル43から噴射された後、混合容器32内を、図4に示すように、内壁面36に沿って斜め上方に螺旋を描くように噴流する。ここで、噴射ノズル43は混合容器32の底部35において周方向に配置されているから、圧縮空気Pは周方向に噴射することになるが、噴射後は下方側には混合容器32の底面が存在し、下方側への流動は妨げられるため、圧縮空気Pは斜め上方に流動することになる。したがって、圧縮空気Pは噴射後、上述のように、混合容器32の内壁面36に沿って周方向及び斜め上方向に流動し螺旋状に上昇することとなる。なお、噴射ノズル43は混合容器32の周方向に水平状態で設置されているが、これに限られず、混合容器32の周方向に加え、僅かに斜め上向きに設置してもよい。但し、上向きの角度が大き過ぎると、噴射ノズル43のノズル先端44近辺の圧縮空気Pによる攪拌が不十分となるおそれもあるので、その角度には注意を要する。
【0022】
圧縮空気噴射装置42において前記噴射ノズル43に供給される圧縮空気Pは、コンプレッサ45によって生成される。この、コンプレッサ45によって生成された圧縮空気Pは、その後、レギュレータ46によって一定の圧力に調整され、オイルミストセパレータ47に送られる。オイルミストセパレータ47は、コンプレッサ45において発生した圧縮空気P中には水分、ごみ、油分などの不純物が混入しており、これらの不純物が混入した圧縮空気Pがそのまま混合容器32内に噴射されると成形材料の品質低下の起因になるとともに、粉粒体同士が付着し易くなって攪拌混合に支障を生ずるため、これらの不純物を予めろ過により分離除去し清浄な空気のみ噴射させるものである。オイルミストセパレータ47の下流側にはソレノイドバルブ48が取付けられており、材料供給装置21の制御盤23からの信号を受けて圧縮空気Pの噴射、停止制御を行なっている。具体的には、圧縮空気Pの噴出時間、噴出待ち時間、噴出遅延時間などの制御を行なっている。ソレノイドバルブ48は公知の電気制御タイプや空気制御タイプを使用することができる。更に、ソレノイドバルブ48には流量調整器49が取付けられており、圧縮空気Pの流量が調整される。調整された圧縮空気Pは噴射ノズル43に送られ、高圧で混合容器32内に噴射される。
【0023】
このようにして混合装置31で攪拌混合された2種類の粉粒体は射出成形機1の加熱シリンダ2に落下、供給された後、スクリュー3によって攪拌されつつ前方に送り出されるとともに加熱シリンダ2の外周壁に配設された複数のバンドヒータ4によって溶融可塑化され、ペースト状となって図示しない先端の成形機のノズルから金型内に射出される。
【0024】
次に、上記のように構成された材料供給装置21による材料の供給及び混合装置31による攪拌混合について説明する。
最初に、空確認センサ41により混合容器32内の材料が空の状態にあることが検出、確認されると、空の信号が材料供給装置21の制御盤23に送出され、切替弁29の制御が行なわれて、先にいずれか一方例えば合成樹脂ペレットAの供給側が開状態となる。同時に、吸引ポンプ22の吸引が開始され、図示しない合成樹脂ペレットA槽内の粉粒体が切替弁29及び輸送管28を通流してホッパー12に供給され、更に、ホッパー12の底部開口及び混合容器32の投入口33から落下し混合容器32内に収容される。次に、吸引開始後所定時間が経過し、一定量の合成樹脂ペレットAが収容されると、制御盤23から切替弁29に切替信号が送出され、切替弁29の合成樹脂ペレットA側が閉状態に、粉砕再生材B側が開状態となる。このとき、吸引ポンプ22は一旦停止した後再起動し、或いは継続して運転される。これにより、合成樹脂ペレットAに替わって図示しない粉砕再生材B槽内の粉砕再生材Bが切替弁29及び輸送管28を通流してホッパー12に供給され、更に、ホッパー12の底部35開口及び混合容器32の投入口33から落下して混合容器32内に収容される。そして、所定時間経過すると、吸引ポンプ22による吸引が停止し、成形材料の供給は停止する。これにより、混合容器32内には下部側に合成樹脂ペレットAが収容され、上部側に粉砕再生材Bが収容された上下2層構造に分離した状態で2種類の粉粒体が貯留されることとなる。
【0025】
次に、混合容器32内に材料が収容されると、材料供給装置21の制御盤23からソレノイドバルブ48に噴射指令信号が送出され、ソレノイドバルブ48が開状態となる。すると、コンプレッサ45で生成した圧縮空気Pは噴射ノズル43に送給され、ノズル先端44から混合容器32内に勢いよく噴射される。噴射ノズル43から噴射された圧縮空気Pは、図2等に示すように、噴射ノズル43が混合容器32の底部35において円中心から離間した周縁部から周方向に勢いよく噴射した後、斜め上方にも流動するので、図4の矢印で示すように、竜巻状に旋回しつつ上昇し、混合容器32の内壁面36に沿って螺旋状に噴流する。これにより、混合容器32内に上下2層に収容されていた2種類の粉粒体は混合容器32の内壁面36に沿って回流するとともに上方向にも移動して螺旋状に流動し、攪拌混合される。その結果、2種類の粉粒体は極く短時間の間に均一に混合される。なお、均一に混合された後は、混合容器32内の2種類の粉粒体は全て混合容器32の底部35の排出口34から射出成形機1の加熱シリンダ2内に落下、供給され、混合容器32内は空状態となる。以下、空確認センサ41によって空状態が検出確認され、前記動作が繰り返される。なお、上記では先に混合容器32内に合成樹脂ペレットAが供給された場合を説明したが、先に粉砕再生材Bが供給された場合も同様に動作することは言うまでもない。
【0026】
次に、本実施形態の混合装置31の作用を説明する。
混合装置31は、圧縮空気Pを混合容器32内に周方向に向けて噴射する噴射ノズル43が設けられ、混合容器32の内壁面36に沿って上方に螺旋状に噴流させる圧縮空気噴射装置42を備えているので、噴射ノズル43から噴射した高圧の圧縮空気Pは混合容器32内を内壁面36に沿って螺旋状に噴流し、一定の螺旋状の流路に沿って斜め上方に旋回しながら流動する。このため、圧縮空気Pは互いに衝突したり干渉するのが防止され、また、圧縮空気Pの流れに回転力が加わるので、ほとんど減速することなく勢いよく噴流する。これにより、2種類の粉粒体も極く短時間の間に強く攪拌され、混ざり合う。その結果、1個の噴射ノズル43を設置するだけで、効率良く安定して圧縮空気Pを噴出させ、極く短時間で2種類の粉粒体を均一に混合することができる。また、1個の噴射ノズル43を設けるのみで圧縮空気Pを混合容器32内の全体に至って螺旋状に噴流させることができるので、混合装置31を簡易な構造で安価に製造することができる。
【0027】
ところで、上記実施形態においては、混合容器32での1回のバッチにおける材料供給及び攪拌混合において、切替弁29は1回のみ切り替わり、合成樹脂ペレットA及び粉砕再生材Bは制御盤23からの信号を受けてそれぞれ1回のみ供給され、混合容器32には合成樹脂ペレットA及び粉砕再生材Bが上下にそれぞれ1層収容され全体で計2層の積層状態に収容されているが、1回のバッチにおける材料供給及び攪拌混合において、切替弁29の切替回数、各粉粒体の供給回数を複数に設定することもできる。具体的には、制御盤23からの操作で切替弁29の切替回数を増加させることにより、図5に示すように、粉粒体毎に吸引時間を細かく短めに複数に区切り、交互に繰り返し供給させることもできる。この場合、合成樹脂ペレットA及び粉砕再生材Bは、図6に示すように、混合容器32内への合成樹脂ペレットA及び粉砕再生材Bを少量ずつ交互に多段に積層した多層状態に貯留することができる。したがって、合成樹脂ペレットA及び粉砕再生材Bは圧縮空気Pによる攪拌混合を開始する前に、混合容器32内に上下方向に層状に入り組んだ状態で収容されているから、より均一な混合状態が得られ易く、圧縮空気Pによる攪拌混合をより効率良く迅速に行なうことができる。なお、この実施形態は、請求項2の態様に相当する。
【0028】
次に、上記各実施形態においては、合成樹脂ペレットAと粉砕再生材Bとの2種類の粉粒体を混合する場合を示しているが、混合材料としてはこれらに限られるものではなく、他に、補強材、着色材等の粉粒体も同様にして攪拌混合することができる。また、3種類以上の異なった粉粒体についても同様にして一度に攪拌混合することができる。
【0029】
更に、上記各実施形態においては、圧縮空気Pを噴射する噴射ノズル43は混合容器32の底部35に1個のみ設置しているが、2個以上設置することもできる。この場合、各噴射ノズル43は混合容器32の底部35の周縁部において同一向きの周方向に設置する必要がある。ノズル先端44が互いに対向する向きなどに噴射ノズル43を設置すると、複数の噴射ノズル43から噴射された圧縮空気P同士が衝突、干渉し、圧縮空気Pを混合容器32の内壁面36に沿って螺旋状に噴流させることができないからである。なお、本発明の混合装置31においては、噴射ノズル43を2個以上設けた場合においても、いずれも同一向きの周方向に設置することにより、いずれかの噴射ノズル43が目詰まり等を生じても、混合容器32内が乱流状態となることはなく、粉粒体の攪拌混合に格別支障をきたすことはない。
【0030】
そして、上記各実施形態の混合容器32は、円筒体で形成され、周壁が垂直壁をなしたものであるが、本発明の混合容器32は、円筒状に形成されていればよく、例えば、周壁が高さ方向において僅かに傾斜した円錐台形状の形態や、高さ方向の中間部が僅かに外側に膨出して湾曲面をなす形態に形成することもできる。
【0031】
加えて、上記各実施形態においては、合成樹脂ペレットAの供給管26と粉砕再生材Bの供給管27とを切替弁29の箇所で合流させ、以後1本の輸送管28により、合成樹脂ペレットAと粉砕再生材Bとを交互にホッパー12に供給するようにしているが、これに限られるものではなく、粉粒体毎に吸引ポンプ22を設け、それぞれ独立して2方向からホッパー12に供給し、両者を同時に或いは時差を設けて供給するようにしてもよい。この場合も、両者を単に同時に或いは時差を設けて供給するのみでは均一に混合されることはないから、本発明の混合装置31を設置して両者を均一に攪拌混合する必要があることは言うまでもない。
【0032】
なお、上記各実施形態では、複数種類の粉粒体を射出成形に使用したものを説明しているが、本発明の混合装置31は、押出成形、シート成形など各種成形における複数種類の粉粒体を混合する場合も同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態の混合装置の全体構成図である。
【図2】図1の噴射ノズルの取付位置を示す平面図である。
【図3】図1の制御盤の操作パネルを示す正面図である。
【図4】図1の混合容器内における圧縮空気の噴流状態を示す説明図である。
【図5】図1の混合容器への材料供給状態を示すタイムチャートである。
【図6】図1の混合容器に2種類の粉粒体を多層に収容した状態を示す説明図である。
【図7】従来の混合装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
21 材料供給装置
23 制御盤
24 操作パネル
29 切替弁
31 混合装置
32 混合容器
33 投入口
34 排出口
35 底部
36 内壁面
42 圧縮空気噴射装置
43 噴射ノズル
A 合成樹脂ペレット
B 粉砕再生材
P 圧縮空気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の粉粒体を混合する粉粒体の混合装置であって、
前記粉粒体が投入される投入口と混合された前記粉粒体を排出する排出口とを備えて円筒状に形成され、前記粉粒体を収容する混合容器と、
前記混合容器内の前記粉粒体を圧縮空気により攪拌混合すべく該圧縮空気を該混合容器の底部において周方向に噴射し、前記混合容器の内壁面に沿って上方に螺旋状に噴流させる圧縮空気噴射手段と
を備えたことを特徴とする粉粒体の混合装置。
【請求項2】
前記複数種類の粉粒体を前記混合容器内に交互に繰り返し供給し、前記粉粒体をそれぞれ多層に収容する材料供給手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の粉粒体の混合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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