説明

粉粒体定量取り出し器

【課題】粉粒体を1/10グラム単位で計量取り出すことのできる粉粒体定量取り出し器を提供する。
【解決手段】容器本体1内に配置した粉粒体貯留室5の一側に計量室7と排出路6とを上下に配置する。排出路6の基端部を待機室11に形成し、計量室7と待機室11とを細径の連通路8で連通させる。計量室7を粉粒体貯留室5とその上部で連通接続させる。粉粒体貯留室5の計量室形成側の内壁面9を容器本体1の正立姿勢で上拡がり形状に形成し、排出路6は正立姿勢で粉粒体貯留室5の計量室形成側の内壁面9の傾斜角度よりも緩やかな角度で斜め上向きに形成する。計量室7と待機室11とを連通する連通路8の軸芯が容器正立姿勢でほぼ垂直方向に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に収容した粉粒体を予め設定された容量づつ取り出すことのできる粉粒体定量取り出し器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コーヒー、粉ミルク、砂糖、調味料などの粉粒状食料品や粉粒状香料を取り出す際には、計量スプーン等の取り出し具を使用して貯蔵容器から取り出すようにしているが、これでは、いわゆる匙加減が生じていた。特に、粉粒状食料品や粉粒状香料の取り出しを業務として行う場合には、その粉粒体を予め設定された量だけ取り出すことは、風味や品質等をバラツクことなく一定に保つ上で重要な要請となっている。
【0003】
そこで従来、香料、調味料、コーヒー、粉ミルク、砂糖などの粒状あるいは粉状の粉粒体を容器内に収容し、容器を傾倒ないし倒立作動させた後に正立姿勢に戻すことで、容器内に設置した計量部に容器内の粉流体を貯留し、再度容器を傾倒作動させることで、計量室内に貯留させた一定量の粉粒体を取り出すことができる粉粒体定量取り出し器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−123139号公報
【特許文献2】実開昭62−106117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されているものは、容器本体の開口部に開口円筒を装着し、この開口円筒を取り囲む状態のスカート部を天井壁の内面から垂設したキャップを容器本体に嵌着し、キャップと容器本体とを一体の状態で倒立させることで、容器本体内に貯留されてている粉流体をキャップのスカート部の内部に形成されている計量室に移動させ、ついで、容器本体とキャップとを一体のまま正立姿勢に戻すことにより、計量室の粉流体を開口円筒外部でキャップ内に形成されている貯留部に移動させ、この貯留部に貯留された粉粒体を排出口から外部に取り出すように構成してある。
【0006】
ところが、この場合、倒立姿勢から正立姿勢への姿勢変化時に、計量室内に滞留していた粉粒体の一部は容器本体の開口部に開口円筒の開口部から容器本体内に返送されることがあり、取り出された粉粒体容量にばらつきが生じ、取り出し容量の精度が低いという問題があった。
【0007】
一方、引用文献2に示されているものは、容器本体の上隅部を仕切り板で区画することで計量室を構成し、この計量室の上部に排出口を設けた構成になっている。
【0008】
ところが、この場合、容器の上隅部に設けた斜め上向き傾斜姿勢の仕切り板をその上端部分を容器内の貯留室と連通する姿勢に形成するとともに、仕切り板の上端と排出口に連通する排出路を形成している容器の傾斜外壁部の内端部(下端部)とを同一高さに設定していることから、その計量室で計量した取り出し物の排出時に、仕切り板の上端を超えた粉粒体が計量室側に流入したり、計量室に貯留されていた粉流体の一部が、容器内の貯留室との連通路側に逆流したりすることがあり、取り出し容量の精度が低いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このような点に着目ししてなされたもので、粉粒体を1/10グラム単位で計量取り出すことのできる粉粒体定量取り出し器を提供することを目的とする。
【0010】
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の本発明は、容器本体内に配置した粉粒体貯留室の一側に計量室と排出路とを上下に配置し、排出路の基端部を待機室に形成し、計量室と待機室とを細径の連通路で連通させ、粉粒体貯留室の一側上部に形成した計量室を粉粒体貯留室の上部で連通接続させ、粉粒体貯留室の計量室形成側の内壁面を容器本体の正立姿勢で上拡がり形状に形成し、排出路は正立姿勢で粉粒体貯留室の計量室形成側の内壁面の傾斜角度よりも緩やかな角度で斜め上向きに形成してあり、計量室と待機室とを連通する連通路の軸芯が容器正立姿勢でほぼ垂直方向に形成されていることを特徴としている。
【0011】
本発明では、正立姿勢にある容器本体内の一側上端寄り部に配置した計量室の上端部を粉粒体貯留室の上端部に連通させ、粉粒体貯留室の計量室形成側の内壁面を上広がり形状に形成していることから、容器本体を傾倒させることで、粉粒体貯留室に収容貯留されている粉粒体が傾斜状に形成されている粉粒体貯留室の計量室形成側の内壁面に沿って計量室側に流入することになる。そして、計量室と排出路の基端部に形成した待機室とを小開口断面積に形成されている細径で、かつ容器正立姿勢でほぼ垂直方向となるように形成してある連通路で連通させていることから、容器本体を正立姿勢に戻すと、計量室の容積に見合った量の粉粒体が細径の連通路を流下して、排出路の奥部に形成されている待機室に流下して待機することになる。続いて、容器本体を傾倒させると、待機室内に滞留している粉粒体が排出路から器外に取り出されるとともに、計量室には粉粒体貯留室から粉粒体が新たに流入して、滞留することになる。次の動作で、容器本体を正立姿勢に戻すと、計量室に流入して滞留した粉粒体が待機室に流下して、次の取り出し操作に対して待機することになる。
【発明の効果】
【0012】
このように作用する本発明では、1回の傾倒操作で、所定量の粉粒体を取り出すことができるとともに、次回の取り出し操作に備えて、粉粒体貯留室から計量室に所定量の粉粒体が流入することになり、次回取り出し量を準備することができるから、連続した取出しを円滑に行うことができることになる。また、前述のように計量室で計量された粉粒体が待機室に流下して次の取り出しに備えることから、容器本体の傾倒作動時や復帰作動時に、粉粒体貯留室から直接排出路に流入したり、計量室から粉粒体貯留室へ返送されたりすることがなくなり、取り出し量の精度を高い水準に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態を示す粉粒体定量取り出し器の斜視図である。
【図2】図1に示す粉粒体定量取り出し器の中央縦断面図である。
【図3】図1に示す粉粒体定量取り出し器の平面図である。
【図4】粉粒体の取り出し手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明にかかる粉粒体定量取り出し器の一実施形態を図面を参照して説明する。この粉粒体定量取り出し器は、容器本体(1)と、容器本体(1)の上面を覆う蓋体(2)と、容器本体(1)の側面部分から斜め上向きに導出されている取出管(3)に嵌着したキャップ(4)とからなっている。
【0015】
容器本体(1)は、基本形状を円筒形としており、正立姿勢でその一側下部を楔状に除去した形状をなし、その傾斜下壁部分に前述の取出管(3)が位置している。容器本体(1)の内部には、粉粒体貯留室(5)と、前記取出管(3)の内部に貫設した排出路(6)と、この排出路(6)の上側に配置した計量室(7)と、この計量室(7)と前記排出路(6)とを連通する連通路(8)とが形成してある。そして、計量室(7)は略漏斗状に形成してある。
【0016】
粉粒体貯留室(5)の計量室(7)が形成されている側に位置する壁面(9)は、容器本体(1)が正立姿勢にある状態で上拡がり形状となるように形成してあり、その上端部を前記蓋体(2)の内壁との間に小間隙(10)を持たせるように形成してあり、この小間隙(10)を介して粉粒体貯留室(5)と計量室(7)とを連通させることで小間隙(10)を計量室(7)への粉粒体導入路してある。なお、粉粒体貯留室(5)の計量室(7)が形成されている側に位置する壁面(9)の傾斜角度は、後述する容器本体を傾倒させて粉粒体を排出路から排出する際に、粉粒体が壁面(9)の上を円滑に流動できる角度に形成してある。
【0017】
前記連通路(8)は、計量室(7)の最も排出路(6)側部分と、排出路(6)の最奥部とを連通する状態で容器本体(1)の正立姿勢で略垂直に形成してあり、この連通路(7)の下端寄りの一部と、排出路(6)の奥端部寄りの一部とで待機室(11)を構成している。
【0018】
上記のように構成した粉粒体定量取り出し器では、図4(A)に示すように容器本体(1)の粉粒体貯留室(5)内に、粉粒状食料品や粉粒状香料などの粉粒体(P)を収容貯留して準備する。次いで、図4(B)に示すように、容器本体(1)を取出管(3)の連出部が下がるように傾倒させる。すると、粉粒体貯留室(5)内の粉粒体(P)は、計量室(7)側に位置する傾斜状の壁面(9)に案内されて、粉粒体導入路(10)から計量室(7)に流入する。
【0019】
図4(C)に示すように、一旦傾倒させた容器本体(1)を正立姿勢に戻すと、粉粒体(P)は傾斜状の壁面(9)の上端縁部を境に分離され、計量室(7)に流れ込んだ粉粒体(P)は連通路(8)を通って待機室(11)に流下し、計量室(7)に流入できなかった粉粒体(P)は粉粒体貯留室(5)に返送されることになる。
【0020】
次いで、図4(D)に示すように、待機室(11)に滞留されている粉粒体(P)を排出路(6)から流出させるべく容器本体(1)を傾倒させると、待機室(11)内の粉粒体(P)が排出路(6)から容器本体(1)外に取り出されるとともに、粉粒体貯留室(5)内の粉粒体(P)が粉粒体導入路(10)から計量室(7)に流入することになる。
【0021】
以下、正立姿勢に戻す操作と、待機室(11)に滞留されている粉粒体(P)を取り出すべく傾倒させる操作を繰り返すことで、1回の往復動作だけで連続的に一定量つづ粉粒体を取り出すことができる。
【0022】
上記実施形態では、粉粒体貯留室(5)を横断面円形状に形成したものについて説明したが、粉粒体貯留室(5)の横断面形状は枡型であっても星型であってもよい。なお、この場合は、角部分が傾斜状の壁面(9)に対応するように形成するのが好ましい。また、粉粒体貯留室(5)の計量室(7)側に位置する壁面(9)にその下端から上端方向(長手方向)に沿う溝状凹陥部を形成するようにしてもよい。
【0023】
更に、粉粒体貯留室(5)の計量室(7)側に位置する壁面(9)をその下端から上端方向の曲面に形成してもよい。この場合には、粉粒体貯留室(5)からの粉粒体の流動性を考慮してかまぼこ形状の凸曲面とすることが望ましい。
【0024】
上述構成からなる粉粒体定量取り出し器では、計量室(7)と排出路(6)の奥端部とを連通する連通路(8)が容器本体(1)を正立姿勢に保持した際に略垂直となるように形成してあることから、待機室(11)に滞留している粉粒体を取り出すべく容器本体を(1)を傾倒した際に、該連通路(8)は排出路(6)の奥端部側が高くなる登り傾斜の状態となるから、この排出路(6)を通して計量室(7)の空気が逃げ、計量室(7)に粉粒体がスムースに流れ込むことになって、粉粒体を0.1グラム単位で高精度に計測して取り出すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、粉粒状食料品や粉粒状香料を所定量づつ取り出して使用する場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1…容器本体、7…計量室、6…排出路、5…粉粒体貯留室、11…待機室、8…連通路、9…粉粒体貯留室の計量室形成側の内壁面、P…粉粒体。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体(P)を貯蔵している容器本体(1)の上部に計量室(7)を形成し、容器本体(1)を傾倒乃至倒立させることで計量室(7)に一定量の粉粒体を取り分け、この取り分けた粉粒体(P)を排出路(6)から外部に取り出すようにした粉粒体定量取り出し器において、
容器本体(1)内に配置した粉粒体貯留室(5)の一側に計量室(7)と排出路(6)とを上下に配置し、排出路(6)の基端部を待機室(11)に形成し、計量室(7)と待機室(11)とを細径の連通路(8)で連通させるととともに、計量室(7)を粉粒体貯留室(5)にその上部で連通接続させ、粉粒体貯留室(5)の計量室形成側の内壁面(9)を容器本体(1)の正立姿勢で上拡がり形状に形成し、排出路(6)は正立姿勢で粉粒体貯留室(5)の計量室形成側の内壁面(9)の傾斜角度よりも緩やかな角度で斜め上向きに形成してあり、計量室(7)と待機室(11)とを連通する連通路(8)の軸芯が容器正立姿勢でほぼ垂直方向に形成されていることを特徴とする粉粒体定量取り出し器。
【請求項2】
粉粒体貯留室(5)の計量室側の内壁面(9)が傾斜方向に沿う軸を有する凹曲面で形成してある請求項1に記載の粉粒体定量取り出し器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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