説明

粉粒体排出方法およびその装置

【課題】フレキシブルコンテナバッグからその内部の残留粉粒体を飛散することなく、効率よく且つ確実に除去する。
【解決手段】粉粒体排出装置は、フレキシブルコンテナバッグ2の下部に設けられた排出口部2aを、チャッキング装置40によりホッパー10側に接続し、フレキシブルコンテナバッグ内の粉粒体を、ホッパーに排出する。フレキシブルコンテナバッグ内の粉粒体を落下させた後に、フレキシブルコンテナバッグ内に空気を圧送してフレキシブルコンテナバッグを膨張させる工程と、フレキシブルコンテナバッグ内の空気を吸引排出してフレキシブルコンテナバッグを収縮させる工程とを、複数回繰り返した後に、フレキシブルコンテナバッグを収縮させた状態でフレキシブルコンテナバッグをホッパー側から取り外す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋状のフレキシブルコンテナバッグに収容された粉粒体を排出するために使用される粉粒体排出方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉粒体を特定の場所から他の場所に輸送する場合、粉粒体の保管の簡易性等から、フレキシブルコンテナバッグが使用されている。このフレキシブルコンテナバッグは、可撓性を有する素材・生地により袋状に成形されたものであり、その底面には筒状の排出口部が形成されているのが一般的である。
【0003】
フレキシブルコンテナバッグは、排出口部を紐等により閉塞した状態で、粉粒体が充填されてなるものであり、この紐等による排出口部の閉塞状態を解いて開袋することにより、このフレキシブルコンテナバッグ内部に収納された粉粒体の排出が可能となる。
【0004】
かかるフレキシブルコンテナバッグから粉粒体を、他の容器に排出する粉粒体排出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる粉粒体排出装置は、コンテナ本体の上方にフレキシブルコンテナバッグを吊り下げる吊り具を備え、しかも、コンテナ本体の下方には、フレキシブルコンテナバッグの排出口部が、着脱自在に接続されるシュートおよび排出具を備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−296818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載の粉粒体排出装置を利用して、フレキシブルコンテナバッグから粉粒体を排出する場合に、フレキシブルコンテナバッグの下部に粉粒体が残存したり、また、フレキシブルコンテナバッグ内に粉粒体が付着したりするのが現状である。
【0007】
その結果、フレキシブルコンテナバッグをシュートや排出具から外した際に、フレキシブルコンテナバッグに残存していた粉粒体(残留粉粒体)が、飛散し周囲を汚染するおそれがある。
【0008】
また、粉粒体が排出されて空になったフレキシブルコンテナバッグを回収して繰り返し使用している。フレキシブルコンテナバッグの回収に際しては、空になったフレキシブルコンテナバッグを作業者が手作業で折り畳んでおり、フレキシブルコンテナバッグを折り畳む際に、残留粉粒体が、排出口部を介して空気とともにフレキシブルコンテナバッグ外部に出るため、発塵する問題がある。
【0009】
空になったフレキシブルコンテナバッグ内には、先に充填していた粉粒体が付着しているので、次に粉粒体を充填する前にはその内部の残留粉粒体を除去しておくことが望ましい。特に食品工業や医薬品工業などで取り扱われる特定の粉粒体においては、不純物の混入、いわゆるコンタミネーションを嫌うために、更に内部を洗浄液や水によって洗浄する必要がある。
【0010】
従来、このフレキシブルコンテナバッグの残留粉粒体を除去する作業としては、例えば、吊り下げられたフレキシブルコンテナバッグを、作業員がほうきなど、先端がフレキシブルコンテナバッグを傷つける恐れのない叩き具を手に持って、フレキシブルコンテナバッグを叩き、残留粉粒体をフレキシブルコンテナバッグから落下させる作業が行われている。
【0011】
しかしながら、作業員が、叩き具によりフレキシブルコンテナバッグを叩いて、残留粉粒体を飛散しないように落下させるには、限界があり、粉粒体を効率的に除去することができなかった。
【0012】
以上のように、従来において、フレキシブルコンテナバッグからその内部の残留粉粒体を飛散することなく、如何に効率よく且つ確実に除去するかが課題となっていた。
【0013】
本発明は、上述した従来の課題を解決するために提案されたものであって、フレキシブルコンテナバッグに収容された粉粒体を、飛散することなく、効率よく且つ確実に除去することができる粉粒体排出方法およびその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の粉粒体排出方法は、フレキシブルコンテナバッグの下部に設けられた排出口部を、チャッキング装置によりホッパー側に接続し、前記フレキシブルコンテナバッグ内の粉粒体を、前記ホッパーに排出する粉粒体排出方法において、前記フレキシブルコンテナバッグ内の粉粒体を落下させた後に、フレキシブルコンテナバッグ内に空気を圧送してフレキシブルコンテナバッグを膨張させる工程と、フレキシブルコンテナバッグ内の空気を吸引排出してフレキシブルコンテナバッグを収縮させる工程とを、複数回繰り返した後に、前記フレキシブルコンテナバッグを収縮させた状態でフレキシブルコンテナバッグをホッパー側から取り外すことにある。
【0015】
前記本発明は、フレキシブルコンテナバッグを膨張させる工程と、フレキシブルコンテナバッグを収縮させる工程とを、複数回繰り返すことにより、残留粉粒体をフレキシブルコンテナバッグから落下させることができ、飛散することなく効率よく且つ確実に除去することができる。
【0016】
しかも、フレキシブルコンテナバッグを収縮させた状態でフレキシブルコンテナバッグをホッパー側から取り外すので、残留粉粒体が除去されたフレキシブルコンテナバッグを萎ませた状態で容易且つ迅速に折り畳むことができる。しかも、フレキシブルコンテナバッグを強制的に縮ませているために、この縮んだフレキシブルコンテナバッグは復元しようとする。その際に、フレキシブルコンテナバッグ内が若干負圧になり外気を吸うために、内部に付着した粉塵があっても、その粉塵はフレキシブルコンテナバッグ内に封じ込められる。
【0017】
また、フレキシブルコンテナバッグ内部を洗浄する場合であっても、残留粉粒体をフレキシブルコンテナバッグから除去してあるため、フレキシブルコンテナバッグの洗浄を容易且つ迅速に行える利点がある。
【0018】
本発明の粉粒体排出装置は、フレキシブルコンテナバッグから落下する粉粒体を受けるホッパーと、前記フレキシブルコンテナバッグの下部に設けられた排出口部を、ホッパー側に着脱自在に接続するチャッキング装置と、前記フレキシブルコンテナバッグ内に、空気供給手段により空気を圧送して前記フレキシブルコンテナバッグを膨張させるように、前記ホッパー側に接続された空気供給経路と、前記フレキシブルコンテナバッグ内の空気を吸引手段により吸引排出して前記フレキシブルコンテナバッグを収縮させるように、前記ホッパー側に接続された空気吸引経路とを備え、前記フレキシブルコンテナバッグを膨張または収縮すべく、フレキシブルコンテナバッグへの空気の圧送と、フレキシブルコンテナバッグ内の吸引排出とを交互に行う構成である。
【0019】
前記粉粒体排出装置において、前記空気吸引経路には、大気を吸引する吸気調整路が分岐され、前記吸気調整路には吸引される大気量を調整する調整手段が設けられていることにある。
【0020】
フレキシブルコンテナバッグから粉粒体を排出する粉粒体の排出工程においては、調整手段により吸気調整路が吸引する大気量を調整し、フレキシブルコンテナバッグを吸引する吸引力が弱くなるように調整する。この結果、フレキシブルコンテナバッグから粉粒体を落下させながら、ホッパー内で飛散する粉粒体も空気とともに吸引することが可能となる。
【0021】
また、前記ホッパー側には、前記空気吸引経路が接続される排気用集塵装置が設けられている場合には、ホッパー内で飛散する粉粒体は、排気用集塵装置で空気と分離して集塵される。このため、ホッパー内で飛散した粉粒体の回収が可能となり、粉粒体のロスを少なくできる。
【0022】
前記粉粒体排出装置において、前記空気供給手段および前記吸引手段は、同一の装置から構成されてなることにある。
【0023】
前記粉粒体排出装置において、前記フレキシブルコンテナバッグの内圧を検出する圧力センサと、前記圧力センサの信号に基づいて前記フレキシブルコンテナバッグ内の圧力を制御する制御装置とを設けたことにある。
【0024】
かかる場合には、圧力センサによりフレキシブルコンテナバッグ内の圧力を検出しているため、制御装置により前記フレキシブルコンテナバッグの膨張または収縮制御を確実に且つ安定して行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、フレキシブルコンテナバッグを膨張させる工程と、フレキシブルコンテナバッグを収縮させる工程とを、複数回繰り返した後に、前記フレキシブルコンテナバッグを収縮させた状態でフレキシブルコンテナバッグをホッパー側から取り外すので、フレキシブルコンテナバッグに収容された粉粒体を、飛散することなく、効率よく且つ確実に除去することができる。
【0026】
この結果、フレキシブルコンテナバッグ内部を洗浄する場合であっても、残留粉粒体をフレキシブルコンテナバッグから除去してあるため、フレキシブルコンテナバッグの洗浄を容易且つ迅速に行える利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る粉粒体排出装置の構成図である。
【図2】同粉粒体排出装置の概略を示す一部断面を含む正面図である。
【図3】同粉粒体排出装置の要部を示す断面図である。
【図4】同粉粒体排出装置の一部破断を含む平面図である。
【図5】同粉粒体排出装置のクランプ部の要部を示す断面図である。
【図6】同粉粒体排出装置のフレキシブルコンテナバッグ膨張工程を示す構成図である。
【図7】同粉粒体排出装置のフレキシブルコンテナバッグ収縮工程を示す構成図である。
【図8】同粉粒体排出装置の作業工程を示すフローチャートである。
【図9】本発明の他の実施形態に係る粉粒体排出装置の構成図である。
【図10】フレキシブルコンテナバッグの吊り下げ状態を示し、(a)はフレキシブルコンテナバッグが膨張した状態の斜視図、(b)はフレキシブルコンテナバッグが収縮した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図8は、本発明に係る粉粒体排出装置の一実施形態を示す。
【0029】
粉粒体排出装置1は、図1〜図3に示すように、吊り具としてのホイスト3に吊り下げられたフレキシブルコンテナバッグ2から落下する粉粒体を受けるホッパー10と、このホッパー10を支持する架台20と、ホッパー10にフレキシブルコンテナバッグ2を接続する排出部30とを備えている。
【0030】
前記ホッパー10は、架台20の床部20aに上下方向に固定されたホッパー本体11と、このホッパー本体11の上部中央に設けられ、且つフランジ12を有する連結部13とからなる。なお、ホッパー本体11の下部には、図2に示すように、排出口を開閉する開閉バルブ25が設けられている。この開閉バルブ25は、例えば、電動バタフライバルブやシリンダ式バタフライバルブが採用されている。
【0031】
排出部30は、図3に示すように、下端にフランジ31を有する筒状のシュート32と、シュート32のフランジ31と、前記連結部13のフランジ12との間に取り付けられた排出用バルブ35と、チャッキング装置40とからなる。なお、排出用バルブ35は、例えば、電動バタフライバルブやシリンダ式バタフライバルブが採用されている。
【0032】
シュート32は、ホッパー本体11内に連通するように、上方に突設されている。そして、このシュート32にフレキシブルコンテナバッグ2の排出口部2aが被せられる構成になっている。
【0033】
チャッキング装置40は、図3および図5に示すように、シュート32にフレキシブルコンテナバッグ2の排出口部2aを挟持して固定するクランプ部43と、このクランプ部43をシュート32に対して昇降させる昇降シリンダ44とを備えている。
【0034】
クランプ部43は、図5に示すように、内周面が開口する断面コの字状の環状本体45に、環状のチューブ46が収容され、しかも、環状本体45の上面には、ゴムまたは合成樹脂からなる弾性を有する環状の押さえ板47が固定されている。
【0035】
押さえ板47の内径D1は、シュート32の内径D2よりも小さく設定されている。また、環状本体45の内径D3は、環状本体45をシュート32の上部に上方から外嵌できるように、シュート32の外径よりも大きく設定されている。
【0036】
従って、押さえ板47の内周部46aは、シュート32の内周面32aよりも全周にわたって中心側に突出している。このように、押さえ板47の内周部46aが、シュート32の内周面32aより中心側に突出しているため、環状本体45を下降させてシュート32に嵌合させた際に、フレキシブルコンテナバッグ2の排出口部2aをシュート32の内周面32aよりも中心側に折り曲げて強固に挟持することができる。
【0037】
前記架台20の床部20aで且つチャッキング装置40の上方には、フレキシブルコンテナバッグ2の底面を受けるバッグ受け台21が設けられている。
【0038】
また、架台20の床部20aには、排気用集塵装置48が設けられている。この排気用集塵装置48は、ホッパー10内の空気を通過させ、その空気内に混在する粉粒体を分離するフィルターを備えている。この排気用集塵装置48には、吸気路50の一端が接続され、この吸気路50の他端がブロアー51の吸気部に接続されている。また、吸気路50の途中には、開閉調整バルブ52が介在されている。
【0039】
前記吸気路50における前記開閉調整バルブ52よりも下流位置から吸気調整路53が分岐されており、この吸気調整路53から大気を吸引して吸気路50に流入させることが可能である。なお、吸気調整路53には、大気の吸引量を調整するための大気調整バルブ54が設けられている。
【0040】
前記ブロアー51の排気部には、空気供給路55の一端が接続され、空気供給路55の他端は、前記ホッパー10側のシュート32に接続されている。従って、ブロアー51から排出された高圧の空気を、空気供給路55を介してシュート32内に供給することが可能になっている。
【0041】
本実施形態では、ブロアー51は、フレキシブルコンテナバッグ2内に空気を圧送する空気供給手段と、フレキシブルコンテナバッグ2内の空気を吸引排出する吸引手段を兼用する装置である。
【0042】
空気供給路55には、空気供給路55を流れる空気量を調整するための空気調整バルブ56が介在されている。
【0043】
また、空気供給路55から大気開口する排気調整路57が分岐されている。この排気調整路57には、ブロアー51から排出されて大気開放される空気量を調整するための排気調整バルブ58が設けられている。
【0044】
シュート32には、シュート32に接続されたフレキシブルコンテナバッグ2やシュート32の内圧を検出するための圧力センサ59が接続されている。この圧力センサ59の信号が、架台20に設けられた制御盤60に収容された制御装置62に送信される。制御装置62は、かかる圧力センサ59の信号に基づいて、前記ブロアー51、開閉バルブ25、排出用バルブ35、開閉調整バルブ52、大気調整バルブ54、空気調整バルブ56、排気調整バルブ58およびチャッキング装置40等の構成機器を制御するものである。
【0045】
本実施形態にかかる粉粒体排出装置1は、以上の構成からなり、次に、かかる装置1の動作について図8に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、同図において、フレキシブルコンテナバッグ2をバッグと記載する。
【0046】
先ず、粉粒体が収容されているフレキシブルコンテナバッグ2を、ハンガー部材5を介してホイスト3に吊り下げる。すなわち、ハンガー部材5の中央部に設けられた吊下部5aを、ホイスト3に係止する。また、ハンガー部材5の4隅に設けられたフック5bに、フレキシブルコンテナバッグ2の上面に設けられた吊り紐2bを係止する。
【0047】
そして、ホイスト3によって、フレキシブルコンテナバッグ2を、粉粒体排出装置1が待機する排出位置に移動させる(S1)。なお、フレキシブルコンテナバッグ2の下部に設けられた排出口部2aの中途部は、図1に仮想線で示すように、紐、ベルト等の閉塞具22で閉塞されている。
【0048】
さらに、ホイスト3に吊り下げられたフレキシブルコンテナバッグ2の排出口部2aを、バッグ受け台21およびクランプ部43内に挿通し、フレキシブルコンテナバッグ2を投入開始高さまで下降させ、排出口部2aをシュート32に被せる。このとき、図3に仮想線で示すように、クランプ部43がシュート32に対して上昇した待機位置にある。
【0049】
架台20に設けられた操作BOX61のクランプボタンを操作して、待機位置にあるクランプ部43を下降させる。クランプ部43の押さえ板47の内周部46aは、排出口部2aを外側から内側に折り込むようにしてシュート32の上面に押圧し挟持する(図5参照)。
【0050】
さらに、チューブ46に、図示省略のコンプレッサ等から圧縮空気が供給されると、チューブ46は、その内径方向に膨張するため、排出口部2aをシュート32の外周面に押圧し、排出口部2aをシュート32とで挟持する。これにより、フレキシブルコンテナバッグ2のチャッキングが終了し、排出口部2aとシュート32とが密着状態で接続される(S2)。
【0051】
次に、操作BOX61の粉粒体排出開始ボタンを操作する。この操作により、ブロアー51が作動する。また、開閉バルブ25、排出用バルブ35、開閉調整バルブ52、大気調整バルブ54および排気調整バルブ58を開放させるとともに、空気調整バルブ56を閉じる。
【0052】
フレキシブルコンテナバッグ2のチャッキングが完了した後に、出口紐等の閉塞具22を解き、フレキシブルコンテナバッグ2を開袋する。この結果、フレキシブルコンテナバッグ2内の粉粒体がホッパー10に落下する。
【0053】
この粉粒体の排出工程において、開閉調整バルブ52および大気調整バルブ54が開放されているため、ブロアー51は、吸気調整路53および吸気路50を介して大気を吸引するとともに、吸気路50を介して排気用集塵装置48を吸引する。このときの粉粒体の排出工程における空気の流れを、図1に矢印で示す。
【0054】
排気用集塵装置48は、ホッパー10内の空気を吸引することとなるが、排気用集塵装置48の吸引力(吸気量)は、大気の吸引力(吸気量)に比し、小さくなるように設定されている。例えば、大気調整バルブ54を全開し、この大気調整バルブ54の圧力損失分の圧力により、排気用集塵装置48を吸引することができる。この結果、排気用集塵装置48の吸引力は小さいため、フレキシブルコンテナバッグ2から排出された粉粒体の落下の支障となることはなく、ホッパー10内で飛散する粉粒体は、排気用集塵装置48で集塵される。
【0055】
排気用集塵装置48により、粉粒体が分離された空気は、空気用集塵装置47を通過してブロアー51に到達する。そして、ブロアー51から排出された空気は、排気調整路57を介して大気開放される。このように、ホッパー10の空気中に飛散している粉粒体を集塵しながら、粉粒体の排出作業が行われる(S3)。
【0056】
この粉粒体の排出工程において、フレキシブルコンテナバッグ2と排出部30との接続が、チャッキング装置40により完全密閉となり、無発塵で且つ外部からの不純物の混入を防止した状態で、フレキシブルコンテナバッグ2の排出を行うことができる。
【0057】
粉粒体の排出がほとんど終了したら、作業者が操作BOX61を操作して、フレキシブルコンテナバッグクリーニングモードに切り換える。
【0058】
ここで、粉粒体の排出がほとんど終了するとは、粉粒体がフレキシブルコンテナバッグ2から自然落下して排出されたが、フレキシブルコンテナバッグ2内に残留粉粒体が残存する状態をいう。
【0059】
クリーニングモードとは、フレキシブルコンテナバッグ2内に空気を圧送して同バッグ2を膨らませる空気供給工程と、フレキシブルコンテナバッグ2内の空気を吸引排出して同バッグを収縮させる吸引工程とを所定回数行う工程(フレキシブルコンテナバッグ膨張または収縮の排出促進工程)をいう(S4)。
【0060】
先ず、空気供給工程を行う場合において図6を参照しながら説明する。かかる空気供給工程において、開閉バルブ25、排出用バルブ35、開閉調整バルブ52および排気調整バルブ58を閉じる。また、空気調整バルブ56を開放する。
【0061】
これにより、吸気調整路53、吸気路50および空気供給路55により、フレキシブルコンテナバッグ2への空気供給経路が構成される。従って、ブロアー51から排出され排気調整路57を介して大気開放されていた空気は、空気供給路55を流れてシュート32内に圧送される。
【0062】
このシュート32内に圧送された空気は、排出用バルブ35が閉塞されているため、ホッパー10内に流入することはなく、フレキシブルコンテナバッグ2を緊張した状態に膨らませる。なお、開閉バルブ25を開放した状態においても、フレキシブルコンテナバッグ2内に空気を圧送することは可能である。
【0063】
圧送された空気により、フレキシブルコンテナバッグ2内は高圧となるが、圧力センサ59が、フレキシブルコンテナバッグ2の内圧を検出しており、その信号が制御装置62に送信される。制御装置62は、圧力センサ59の信号に基づいてフレキシブルコンテナバッグ2が設定圧となったと判断した場合に、吸引工程に切り換える制御を行う。
【0064】
次に、かかる吸引工程を行う場合において図7を参照しながら説明する。かかる吸引工程において、開閉バルブ25、大気調整バルブ54および空気調整バルブ56を閉じる。また、排出用バルブ35および排気調整バルブ58を開放する。これにより、吸気路50および排気調整路57により、フレキシブルコンテナバッグ2からの空気吸引経路が構成される。
【0065】
従って、ブロアー51は、大気を吸引することなく、吸気路50および排気用集塵装置48を介して、ホッパー10内の空気を吸引することとなる。排出用バルブ35は開放されているため、ホッパー10内とフレキシブルコンテナバッグ2内とは連通する。また、ホッパー10の下部に設けられた開閉バルブ25は閉塞されているため、ホッパー10内とフレキシブルコンテナバッグ2内が、外気に対して気密状態となり、フレキシブルコンテナバッグ2内の空気も吸引される。この吸引力により、フレキシブルコンテナバッグ2が収縮する。
【0066】
制御装置62は、圧力センサ59の検出信号に基づいて、フレキシブルコンテナバッグ2が設定圧まで負圧となったと判断した場合に、再び空気供給工程に切り換える制御を行う。
【0067】
以上のように、空気供給工程と吸引工程とを数回繰り返すことにより、フレキシブルコンテナバッグ2の膨張と収縮とが繰り返される。なお、空気供給工程および吸引工程の各時間や、フレキシブルコンテナバッグ2の膨張と収縮との繰り返し回数は、フレキシブルコンテナバッグ2の大きさおよび粉粒体の種類等の作業条件によって、適宜設定される。
【0068】
このようなフレキシブルコンテナバッグ2の膨張と収縮との繰り返し動作により、フレキシブルコンテナバッグ2の内面に付着していた粉粒体が、ホッパー10に完全に落下し、粉粒体の排出が促進され、フレキシブルコンテナバッグ2内に粉粒体が残留するのを防止できる。
【0069】
しかも、排出口部2aは、図5に示すように、押さえ板47でシュート32の内周面よりもシュート32の中心側に折り込まれているため、粉粒体が排出口部2aとシュート32との間に入り込むこともない。
【0070】
そして、吸引工程において排出作業を終了する(S5)。このように吸引工程において排出作業を終了することにより、フレキシブルコンテナバッグ2は収縮した状態となっている。
【0071】
粉粒体の排出作業が終了したら、チューブ46の空気を排出し、クランプ部43を上昇させて排出口部2aへのチャッキングを解除する(S6)。
【0072】
さらに、チャッキングを解除後に、フレキシブルコンテナバッグ2を取り外す(S7)。このように、排出作業終了後に、クランプ部43を上昇させて排出口部2aをシュート32から外す際にも、フレキシブルコンテナバッグ2内には、残留粉粒体が残存していなことから、粉粒体が粉塵となって飛散したり、床面を汚染したり、作業環境の悪化を招くことはない。
【0073】
また、フレキシブルコンテナバッグ2は収縮されて萎んでおり、空気の排出がほとんどないとともに、粉粒体が残留していないため、発塵が防止された状態でフレキシブルコンテナバッグ2を容易且つ迅速に折り畳むことができる。しかも、フレキシブルコンテナバッグ2を強制的に縮ませているために、この縮んだフレキシブルコンテナバッグ2は復元しようとする。その際に、フレキシブルコンテナバッグ2内が若干負圧になり外気を吸うために、内部に付着した粉塵があっても、その粉塵はフレキシブルコンテナバッグ2内に封じ込められる。
【0074】
また、粉粒体の排出時に、シュート32およびホッパー10内で飛散した粉粒体は、排気用集塵装置48で集塵された後に、ホッパー10内に回収できるため、粉粒体のロスも少なくできる。なお、長期間にわたって、粉粒体の排出作業を行うことにより、排気用集塵装置48に集塵され粉粒体により、フィルターの目詰まりが発生する場合がある。かかる場合には、逆洗用の圧縮空気を排気用集塵装置48に断続的に供給することにより、フィルターを逆洗して、フィルターに付着していた粉粒体もホッパー10に強制的に落下させることが可能である。
【0075】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態において、フレキシブルコンテナバッグ2の膨張または収縮動作は、粉粒体を略排出した後のクリーニングモードにおいて採用したが、粉粒体の排出工程において、かかるフレキシブルコンテナバッグ2の膨張または収縮を行うことも可能である。すなわち、フレキシブルコンテナバッグ膨張または収縮の排出促進工程は、粉粒体の排出がほとんど終了するまでの粉粒体の排出工程およびクリーニング工程の両工程において採用することも可能である。また、何れかの工程において採用することも可能である。
【0076】
粉粒体の排出工程において、フレキシブルコンテナバッグ2の膨張または収縮を行うことにより、その内部の粉粒体を安定して排出することができ、粉粒体の排出の促進を行える。かかる粉粒体の排出工程とクリーニングモードとにおける、フレキシブルコンテナバッグ2の膨張または収縮時の圧力は、それぞれの工程により、任意に設定することが可能である。
【0077】
また、前記実施形態は、圧力センサ59により検出されたフレキシブルコンテナバッグ2の圧力に基づいて、フレキシブルコンテナバッグ2の膨張または収縮を行ったが、膨張または収縮させる時間を予め設定しておいて、各設定時間に基づいてフレキシブルコンテナバッグ2の膨張または収縮動作を制御することも可能である。
【0078】
本発明は、図9に示すように、空気供給工程用のブロアー51Aと、吸引工程用のブロアー51Bとを、それぞれ別に設けることも可能である。なお、同図において、同一部材は同一符号を付して、各部材の説明は省略する。同実施形態では、空気供給路55が空気供給経路となり、また、吸気路50が空気吸引経路となる。
【0079】
また、空気供給手段としては、ブロアー51A以外に、コンプレッサを採用することも可能である。
【0080】
本発明は、図10(a)および(b)に示すように、フレキシブルコンテナバッグ2は、ハンガー部材5を使用することなく、吊り紐2bをホイスト3に直接に吊り下げることも可能である。かかる場合は、ハンガー部材5を使用しないため、フレキシブルコンテナバッグ2を上下方向の全長にわたって収縮させることができる。このように、フレキシブルコンテナバッグ2を上下方向の全長にわたって収縮させることにより、さらに、確実に粉粒体を確実に排出することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 粉粒体排出装置
2 フレキシブルコンテナバッグ
2a 排出口部
3 ホイスト
10 ホッパー
11 ホッパー本体
20 架台
25 開閉バルブ25
30 排出部
32 シュート
35 排出用バルブ
40 チャッキング装置
48 排気用集塵装置
50 吸気路
51 ブロアー
52 開閉調整バル
53 吸気調整路
54 大気調整バルブ
55 空気供給路
56 空気調整バルブ
57 排気調整路
58 排気調整バルブ
59 圧力センサ
61 操作BOX
62 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルコンテナバッグの下部に設けられた排出口部を、チャッキング装置によりホッパー側に接続し、前記フレキシブルコンテナバッグ内の粉粒体を、前記ホッパーに排出する粉粒体排出方法において、
前記フレキシブルコンテナバッグ内の粉粒体を落下させた後に、フレキシブルコンテナバッグ内に空気を圧送してフレキシブルコンテナバッグを膨張させる工程と、フレキシブルコンテナバッグ内の空気を吸引排出してフレキシブルコンテナバッグを収縮させる工程とを、複数回繰り返した後に、前記フレキシブルコンテナバッグを収縮させた状態でフレキシブルコンテナバッグをホッパー側から取り外すことを特徴とする粉粒体排出方法。
【請求項2】
フレキシブルコンテナバッグから落下する粉粒体を受けるホッパーと、
前記フレキシブルコンテナバッグの下部に設けられた排出口部を、ホッパー側に着脱自在に接続するチャッキング装置と、
前記フレキシブルコンテナバッグ内に、空気供給手段により空気を圧送して前記フレキシブルコンテナバッグを膨張させるように、前記ホッパー側に接続された空気供給経路と、
前記フレキシブルコンテナバッグ内の空気を吸引手段により吸引排出して前記フレキシブルコンテナバッグを収縮させるように、前記ホッパー側に接続された空気吸引経路とを備え、
前記フレキシブルコンテナバッグを膨張または収縮すべく、フレキシブルコンテナバッグへの空気の圧送と、フレキシブルコンテナバッグ内の吸引排出とを交互に行う構成であることを特徴とする粉粒体排出装置。
【請求項3】
前記請求項2に記載の粉粒体排出装置において、前記空気吸引路には、大気を吸引する吸気調整路が分岐され、前記吸気調整路には吸引される大気量を調整する調整手段が設けられていることを特徴とする粉粒体排出装置。
【請求項4】
前記請求項3に記載の粉粒体排出装置において、前記ホッパー側には、前記空気吸引経路が接続される排気用集塵装置が設けられていることを特徴とする粉粒体排出装置。
【請求項5】
前記請求項2〜4の何れか一つに記載の粉粒体排出装置において、前記空気供給手段および前記吸引手段は、同一の装置から構成されてなることを特徴とする粉粒体排出装置。
【請求項6】
前記請求項2〜5の何れか一つに記載の粉粒体排出装置において、前記フレキシブルコンテナバッグの内圧を検出する圧力センサと、前記圧力センサの信号に基づいて前記フレキシブルコンテナバッグ内の圧力を制御する制御装置とを設けたことを特徴とする粉粒体排出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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