説明

粉粒体搬送装置

【課題】 運転音が静かで搬送板46に付着する付着物SMを確実に掻き落すことができる粉粒体搬送装置を提供する。
【解決手段】 粉粒体Pの投入位置から排出位置まで延設された筒体41と、この筒体41の内部を進行して粉粒体Pを搬送する搬送板46を備えた粉粒体搬送装置であって、前記筒体41の内部で排出位置近くに、搬送板46と同期して回転し、この搬送板46に付着した付着物SMを掻き落す掻き落し装置5が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば砂、焼却灰、鉱石、粘性土などの粘着性のある粉粒体を搬送するための搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の搬送装置として、搬送チエンにスクレーパなどの搬送板を取り付け、この搬送板を筒体内に沿って案内しながら進行させることにより、粘着性のある粉粒体を所定の排出位置にまで搬送するようにしたものがある(特許文献1)。
【特許文献1】特開平11―240607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、以上の搬送装置では、搬送板に粉粒体の一部やその微粒物質などの付着物が付着しやすい。このように搬送板に付着物が付着すると、搬送効率の低下を招く。
【0004】
そこで、搬送板の付着物を掻き落すために、図6及び図7に示す掻き落し装置が用いられている。図6に示す掻き落し装置は、スプロケットSRに搬送チエンCHを掛回し、このチエンCHに複数の搬送板Cを連結してなる搬送装置において、この搬送装置の排出側近くで搬送板Cの進行方向前方にクリーナ板CBを軸杆Sを中心に前後揺動可能に取り付けるとともに、このクリーナ板CBをコイルスプリングCSにより先端が搬送板Cの進行方向後方を常時指向するように付勢させる。そして、付着物SMが付着した搬送板Cが矢印F方向に進行されながら搬送装置の排出側近くに至ったとき、クリーナ板CBの先端が搬送板Cの進行方向前面で上方位置に当たり、この搬送板Cの進行に伴いクリーナ板CBの先端が搬送板Cの前面に押し当てられた状態で、クリーナ板CBがコイルスプリングCSに抗して軸杆Sを中心に進行方向前方に揺動しながら前面下方側へと移行し、このときにクリーナ板CBの先端により搬送板Cに付着した付着物SMが掻き落される。この後クリーナ板CBは、付着物SMが掻き落とされた搬送板Cを後方側へと乗り越え、コイルスプリングCSの引張力により再度次に移行してくる搬送板Cの進行方向前面で上方位置に対向して前記と同様の作用を繰り返す。
【0005】
また、図7に示す掻き落し装置は、搬送装置の排出側近くに半円弧状に湾曲したクリーナ板CBを軸杆Sを中心に揺動可能に取り付けている。このクリーナ板CBは、その湾曲先端がチエンCHを掛回するスプロケットSRのほぼ真下に至った搬送板Cの進行方向前面側を常時指向するようにコイルスプリングCSを介して支持される。付着物SMが付着した搬送板Cが、前記図6の場合とは逆の矢印R方向に進行しながら搬送装置の排出側近くに至ったとき、クリーナ板CBの先端が搬送板Cの進行方向前面で上方位置に当たり、この搬送板Cの進行に伴いクリーナ板CBの先端が搬送板Cの前面に押し当てられた状態で、クリーナ板CBがコイルスプリングCSに抗して軸杆Sを中心に進行方向前方に揺動しながら前面下方側へと移行し、このときにクリーナ板CBの先端により搬送板Cに付着した付着物SMが掻き落される。この後クリーナ板CBは、付着物SMが掻き落とされた搬送板Cを進行方向後方へと乗り越え、スプリングCSの引張力により再度次に移行してくる搬送板Cの進行方向前面で上方位置に対向して前記と同様の作用を繰り返す。
【0006】
ところが、以上の各装置では、搬送板Cの付着物SMが掻き落された後に、クリーナ板CBは搬送板Cを乗り越え、コイルスプリングCSの引張力により次に移行してくる搬送板Cの進行方向前面に衝突されるため、そのときの衝撃音が大きく、特に搬送板Cに付着する付着物SMが少ないときに衝撃音は非常に大きくなる。
【0007】
そこで、本発明は、運転音が静かで搬送板に付着する付着物を確実に掻き落すことができる粉粒体搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、粉粒体の投入位置から排出位置まで延設された筒体と、この筒体の内部を進行して粉粒体を搬送する搬送板を備えた粉粒体搬送装置であって、前記筒体の内部で排出位置近くに、搬送板と同期して回転し、この搬送板に付着した付着物を掻き落す掻き落し装置が設けられている。
【0009】
搬送板で搬送される粉粒体が排出側近くに至ったとき、この搬送板と同期して回転する掻き落し装置により、搬送板に付着している付着物が確実に掻き落される。このように掻き落し装置の回転によって搬送板の付着物を掻き落すことにより、従来のように衝突音がなくなって、粉粒体の静粛な搬送が行える。
【0010】
この発明の好ましい実施形態では、前記掻き落し装置が、複数の回転羽根と、これを駆動する駆動機構とからなり、この駆動機構は、搬送板が粉粒体を排出した後、搬送板の進行方向前面の上方位置に回転羽根の先端が接触して押し当てられ、この押し当てられた状態で搬送板の進行に伴い回転羽根の先端が搬送板の下方側に移行するように、搬送板の進行と回転羽根の回転とを同期して行う。この構成によれば、前記搬送体による粉粒体の排出後に、回転羽根の先端が搬送板の上方位置に接触して押し当てられ、この押し当てられた状態で搬送板の進行に伴い回転羽根の先端が搬送板の下方側へと移行されるため、搬送板に付着した付着物が回転羽根により搬送板の上部から下部までの全面にわたって確実に掻き落される。
【0011】
また、この発明の好ましい実施形態では、前記搬送板の進行方向に対し回転羽根が同方向に回転される。この構成によれば、搬送体に付着した付着物が回転羽根による叩き落とし作用と掻き落し作用との2つの作用で確実に掻き落される。
【0012】
さらに、この発明の好ましい実施形態では、前記掻き落し装置の駆動機構が搬送板を駆動する駆動源に連動されている。この構成によれば、搬送板の駆動源で掻き落し装置の駆動が行えるので、全体構成が簡素化される。
【発明の効果】
【0013】
以上の粉粒体搬送装置によれば、運転音を静粛としながら搬送板に付着する付着物を確実に掻き落すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明にかかる粉粒体搬送装置を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態にかかる搬送装置の一部を切り欠いて示す側面図である。この粉粒体搬送装置Tは、低位置から所定の高さ位置にまで粉粒体をほぼ垂直に搬送するものであって、低位置に粉粒体の投入ホッパ1aを備えた供給部1が、高位置に吐出ホッパ2aを備えた排出部2が設けられ、これら供給部1と排出部2の間に中間搬送部3が形成されている。前記供給部1と排出部2及び中間搬送部3には、供給部1のホッパ1aに投入された粉粒体Pを排出部2まで搬送して吐出ホッパ2aから排出する搬送機構4が設けられている。
【0015】
この搬送機構4は、前記投入ホッパ1aと吐出ホッパ2aとの間に延設された筒体41と、この筒体41の内部で吐出ホッパ2a側に設けられた左右一対の駆動スプロケット42と、筒体41の内部で投入ホッパ1a側に設けられた左右一対の従動スプロケット43及びこれら各スプロケット42,43の間に配置された複数対の中間スプロケット44と、これら各スプロケット42〜44に掛回された平行な2条の搬送チエン45と、このチエン45の間に連結されて一体に進行する多数の搬送板46と、前記筒体41の内部で投入ホッパ1aと吐出ホッパ2aの範囲にわたり搬送板46に沿って配設されたガイド47とにより構成されている。また、前記吐出ホッパ2aの近くの筒体41上には、減速機48aを備えた駆動モータ48が取り付けられ、このモータ48の駆動で前記チエン45を回行させることにより、前記投入ホッパ1aに投入された粉粒体Pを前記チエン45と一体に進行する搬送板46により、前記ガイド47とその周囲の筒体41に沿って排出部2にまで搬送させる。
【0016】
図2は粉粒体搬送装置Tの排出部2を拡大して示す側断面図、図3は図2のX−X線方向から見た正断面図、図4は図2のY−Y線方向から見た正断面図である。前記搬送板46は、図4のように、正面視6角形状に形成され、この搬送板46の左右両側がシャックル49を介して2条の搬送チエン45にそれぞれ連結されている。また、前記吐出ホッパ2aの上方側で筒体41の内部には、前記搬送板46に付着した付着物SMを掻き落す掻き落し装置5が設けられている。
【0017】
この掻き落し装置5は、図2のように、前記搬送チエン45の排出端近くの上部に設けられたれた複数枚の回転羽根51と、これを駆動する駆動機構52とからなり、この駆動機構52は、前記搬送板46が搬送チエン45の排出端近くに至ったとき、この搬送板46の進行方向前面の上方位置に回転羽根51の先端が接触して押し当てられ、この押し当てられた状態で搬送板46の進行に伴い回転羽根51の先端が搬送板46の下方側に移行するように、搬送板46の進行と回転羽根51の回転が同期して行われるように設定されている。
【0018】
具体的に説明すると、前記駆動機構52は、図2,3のように、前記駆動スプロケット42を支持する駆動軸40の一端に設けられた第1伝動スプロケット53と、前記回転羽根51を支持する回転軸50の近くに設けられた支持軸60に、第1伝動スプロケット53と対向状に支持された第2伝動スプロケット54と、これら第1,第2伝動スプロケット53,54の間に掛回される伝動チエン55と、前記第2伝動スプロケット54の支持軸60に支持された第1スパーギヤ56と、前記回転羽根51の回転軸50に支持され、前記第1スパーギヤ56と常時噛合う第2スパーギヤ57とで構成される。そして、前記駆動スプロケット42の回転に伴い第1伝動スプロケット53、伝動チエン55、第2伝動スプロケット54、第1スパーギヤ56、第2スパーギヤ57、回転軸50を介して、前記回転羽根51を搬送板46の進行方向Z1と同一向きのZ2方向に回転させる。
【0019】
また、前記回転羽根51の駆動機構52は、前記搬送機構4と連動され、この搬送機構4と同一の駆動源によって駆動される。具体的には、図2,3のように、前記駆動モータ48の減速機48aに取り付けた駆動スプロケット48bと、前記チエン45の駆動スプロケット42を支持する駆動軸40の軸端に前記駆動スプロケット48bと対向状に設けられた従動スプロケット58との間に駆動チエン59を掛回させる。そして、前記駆動モータ48の駆動により前記搬送チエン45に連動して回転羽根51を回転させる。
【0020】
次に、以上の構成とした搬送装置Tを用いて粉粒体Pを搬送するときの動きについて説明する。先ず、粉粒体Pを搬送するときには、供給部1の投入ホッパ1aから粉粒体Pを搬送機構4の筒体41内に投入する。すると、駆動モータ48の駆動に伴い搬送チエン45を介して進行する搬送板46により、筒体41内に投入された粉粒体Pが前記筒体41内のガイド47とその周囲の筒体41に沿って排出部2にまで搬送される。
【0021】
そして、搬送板46により粉粒体Pが排出部2まで搬送されて吐出ホッパ2aから下方に排出される。この粉粒体Pを排出した後、搬送板46に付着した付着物SMは、排出部2の近くに配置された掻き落し装置5により、図5のようにして掻き落される。つまり、図5の(a)のように、前記搬送板46の進行方向前面の上方位置に回転羽根51の先端が接触して押し当てられ、この押し当てられた状態で、図5の(b)、(c)及び(d)のように、搬送板46の進行に伴い回転羽根51の先端が搬送板46の下方側に徐々に移行され、この回転羽根51の先端により付着物SMが搬送板46の上部から下部までの全面にわたって削ぎ取られて確実に掻き落される。
【0022】
以上の回転羽根51による付着物SMの掻き落し時には、従来のような衝突音は発生しないので、粉粒体Pの搬送が静粛に行える。また、回転羽根51により付着物SMを掻き落すとき、この回転羽根51の回転方向Z2と前記搬送板46の進行方向Z1とが同一方向に設定されているので、搬送板46に付着した付着物SMは回転羽根51による叩き落とし作用と掻き落し作用との2つの作用によって確実に掻き落される。さらに、前記掻き落し装置5の駆動機構52は搬送板46を駆動する駆動モータ48に連動されているので、全体構成が簡素化される。このようにして、1つの回転羽根51で1つの搬送板46に付着した付着物SMを掻き落した後には、次に回転してくる回転羽根51が後続する次の搬送板46の前面側に接触して、この搬送板46に付着する付着物SMが同様にして掻き落される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態にかかる粉粒体搬送装置の一部を切り欠いて示す側面図である。
【図2】粉粒体搬送装置の排出部を拡大して示す側断面図である。
【図3】図2のX−X線方向から見た正断面図である。
【図4】図2のY−Y線方向から見た正断面図である。
【図5】搬送板に付着した付着物を掻き落し装置により掻き落すときの状態を説明する側面図である。
【図6】従来用いられている掻き落し装置の一例を示す側面図である。
【図7】同じく従来用いられている掻き落し装置の他の例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0024】
41 筒体
46 搬送板
48 駆動源(駆動モータ)
5 掻き落し装置
51 回転羽根
52 駆動機構
P 粉粒体
SM 付着物
Z1 搬送板の進行方向
Z2 回転羽根の回転方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体の投入位置から排出位置まで延設された筒体と、この筒体の内部を進行して粉粒体を搬送する搬送板を備えた粉粒体搬送装置であって、前記筒体の内部で排出位置近くに、搬送板と同期して回転し、この搬送板に付着した付着物を掻き落す掻き落し装置が設けられている粉粒体搬送装置。
【請求項2】
請求項1において、前記掻き落し装置は、複数の回転羽根と、これを駆動する駆動機構とからなり、この駆動機構は、搬送板が粉粒体を排出した後、搬送板の進行方向前面の上方位置に回転羽根の先端が接触して押し当てられ、この押し当てられた状態で搬送板の進行に伴い回転羽根の先端が搬送板の下方側に移行するように、搬送板の進行と回転羽根の回転とを同期して行う粉粒体搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記搬送板の進行方向に対し回転羽根を同方向に回転させる粉粒体搬送装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記掻き落し装置の駆動機構が搬送板を駆動する駆動源に連動している粉粒体搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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