説明

粉粒状お香

【課題】 取扱いが簡単で、使用に際して任意の形状や模様を形成でき、かつ、燃焼時間も任意に設定可能で手軽に使用できる自己燃焼持続型の粉粒状お香を得る。
【解決手段】 粒径が2mm以下の草木粉10〜99重量%を燃焼成分とし、炭粉末10〜90重量%及び助燃剤1〜20重量%の少なくとも一種を含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉粒状お香、特に、香炉の灰の上や香皿の上に任意の形状模様を描くことができ、室内香として使用できる自己燃焼持続型の粉粒状お香に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、直接火を付けてお香自体を燃焼させることによって香りを発生させる直接燃焼型お香は、お香に火を付けてお香自体で燃焼を持続させる自己燃焼持続型と、お香を炭や炭団等の種火の上に載せて焚き種火で燃焼を持続させる外部燃焼持続型とに大別される。
【0003】
前記自己燃焼持続型お香は、線香、渦巻き香及び円錐香が代表的なものとして挙げられるが、これらは、椨樹皮粉を主成分とし、これに香木その他の香料を加えて水又は湯で練った後、細長い棒状、渦巻き状又は円錐状に成形し、乾燥させることにより得られ、その一端に着火するだけで燃焼し続けるため、手軽に香りを楽しむお香としては最も一般的である。
【0004】
また、抹香は、沈香の粉末を主原料とし、これに他の香木の粉末を混ぜ合わせたもので、長時間薫らせる際に香盤の灰の上に筋状に敷くか、所定の模様の溝を備えた型を用いて敷き、香の筋の一端に着火させて燃焼させるもので、寺院で僅かに時香或いは時計香として用いられているのみで、一般には殆ど使用されていないのが現状である。
【0005】
他方、前記外部燃焼持続型お香は、焼香が代表的なものとして挙げられるが、これは各種香木を約1〜5mmに刻んで調合したもので、香炉の灰の上に種火を置き、そこにお香を乗せて焦がすようにして焚くのが一般的である。
【0006】
しかしながら、前記伝統的なお香は、自己燃焼持続型及び外部燃焼持続型を問わず、燃焼の際に多量の煙を発するため、密閉性の向上した現代の住宅では、発生した煙が室内に籠もり、煙や当該煙に含まれる抹香臭さが香りを阻害し、使用者に嫌悪感を与えるなどの問題があった。
【0007】
前記有形香の発煙量を低減したものとして、炭素粉末を主成分とし、これに木質基材15重量%以下、漢薬香料粉末20重量%以下、酸化チタン5〜50重量%、及びバインダ5〜25重量%を添加してなり、前記木質基材と漢薬香料粉末の含有量の合計が2〜30重量%であることを特徴とするお香(例えば、特許文献1参照)がある。このお香は、量産可能で任意の形状を持たせることができると同時に、塗膜により任意の色に着色でき、燃焼後もその形態を維持させ得る利点があるが、製造後は外形が固定されているため、外形が固定された従来の線香、渦巻き状お香或いは円錐状お香などの有形香と同様、使用者が色や形状若しくは模様などの視覚効果を楽しむには限度があった。
【0008】
これに対して、粒子状乃至粉末状のお香は、香炉の灰の上方から一点に落下させると円錐状の形態を付与でき、また、型を利用して直線状、コ字状、千鳥状、円状或いは渦巻き状の模様を形成できるため、使用時に色や形状及び模様などを任意に創れるようにするためには、粒子状乃至粉末状のお香が適しているが、伝統的な焼香は、香炉の灰の上にそのまま積み上げて点火しても着火が困難で、例え、着火しても燃焼が持続しないという問題がある他、温度の調節ができないため種火の上に載せた際に一時に多量の煙や香りが出てしまうという難点がある。
【0009】
前記焼香の発煙量を少なくしたものとして、基材に少なくとも薫香性物質を坦持させた焼香組成物であって、前記基材がシリカゲル、パーライト、火山灰、活性白土、活性アルミナ、石炭灰、およびゼオライトからなる群より選ばれる1種以上からなる無機質基材である焼香組成物(例えば、特許文献2参照)、及び炭粉末を燃焼材とし、燃焼調整材として酸化チタン及び水酸化アルミニウム、香料として香木粉末、及び糊料を含んでなる焼香組成物(例えば、特許文献3参照)がある。
【0010】
また、焼香が燃焼の途中で消えるという問題を解決するものとして、燃焼材、燃焼調整材、着色料及び糊料からなる焼香組成物の粒子の表面を、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ブチラール樹脂若しくはアクリル酸エステル系樹脂の少なくとも一種類を主成分とする可燃性物質又は当該可燃性物質を主成分とするコーティング剤でコーティングした焼香組成物がある(例えば、特許文献4参照)。
【0011】
【特許文献1】特開平9−136820号公報(第1頁)
【特許文献2】特開平5−310546号公報(第1頁)
【特許文献3】特開2004−83421号公報(第1頁)
【特許文献4】特開2004−83420号公報(第1頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前記焼香組成物は、煙が少なく所望の色に着色できるものもあるが、これを香炉等の灰の上にそのまま積み上げて点火しても着火が困難で、着火できたとしても燃焼を持続させることができず途中で消える場合が多々あることには変わりがなかった。この問題は、焼香組成物の粒子表面をセルロース誘導体等のコーティング剤でコーティングすることにより解決されるが、この焼香組成物では、燃焼時にコーティング剤がお香と異なる匂い、いわゆる異臭を発生するため、室内で焚くと、お香本来の香りが阻害されるという問題がある。
【0013】
他方、伝統的な抹香は、天然香木の油分乃至樹脂成分によって燃焼が持続するが、同じ香木でも部位によって樹脂分の含有量が異なり、また、産地や収穫時期によっても樹脂分の含有量にバラツキがあるため、香筋の幅と厚さをある程度大きくしなければ燃焼が安定せず、場合によっては途中で火が消える場合がある他、沈香などの香木は自然界で偶発的に生成されるため入手が困難で高品位のものほど高価になるため、手軽に楽しむには難点がある。しかも、抹香の燃焼時に煙が多量に発生するため趣味用として一般住宅用で使用するには不向きであった。
【0014】
従って、本発明は、取扱いが簡単で、使用に際して任意の形状や模様を形成でき、かつ、燃焼時間も任意に設定可能で手軽に使用できる自己燃焼持続型の粉粒状お香を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、前記課題を解決する手段として、お香の燃焼成分として草木粉を採用し、当該草木粉を燃焼し易くするため粒径が2mm以下の粉粒状とする一方、自己燃焼持続性を付与するため前記草木粉に炭粉末及び助燃剤の少なくとも一種を添加するようにしたものである。
【0016】
即ち、本発明は、基本的には、粒径が2mm以下の草木粉10〜99重量%を燃焼成分とし、炭粉末10〜90重量%及び助燃剤1〜20重量%の少なくとも一種を含有してなる自己燃焼持続型粉粒状お香を提供するものである。
【0017】
本発明の実施態様によれば、前記自己燃焼持続型粉粒状お香において、炭粉末10〜90重量%又は助燃剤1〜20重量%を含有してなるお香が提供される。
【0018】
他の実施態様によれば、前記自己燃焼持続型粉粒状お香において、炭粉末10〜90重量%及び助燃剤1〜20重量%を含有し、前記炭粉末及び助燃剤の合計が90重量%以下であるお香が提供される。
【0019】
他の実施態様によれば、前記自己燃焼持続型粉粒状お香において、無機質基材粉末を60重量%以下含有してなるお香が提供される。
【0020】
他の実施態様によれば、前記自己燃焼持続型粉粒状お香において、染料20重量%及び液体香料50重量%以下の少なくとも一種を含有してなるお香が提供される。
【0021】
前記草木粉としては、草木の粉末、例えば、草や木の葉、茎、幹或いは樹皮を粉末状にしたものであれば任意のものを使用でき、その粒径は2mm以下、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは250μm以下であるのが好適であり、通常は、粒径が1μm〜2mm、好ましくは30μm〜1mm、より好ましくは50μm〜250μmに設定される。前記草木粉は、従来から線香やお香の原料として使用されている香木、例えば、伽羅、沈香、白檀、丁字、桂皮、大茴香、山奈、甘松、竜脳、ウコンなど他、ハーブなど香りの放出する草本など薫香性植物の粉末など必ずしも薫香性の植物の粉末である必要はなく、白木粉、雑木粉、柳木粉、楠粉などの木粉を使用しても良い。
【0022】
前記草木粉の含有量を10〜99重量%としたのは、草木粉が10重量%未満では、安定して燃焼し続けていかなくなると同時に、炭粉末の量が増えすぎて燃焼が強く成りすぎる恐れがあり、また、草木粉が99重量%を超えると、樹脂分を多く含む香木粉であっても細い香筋にした場合に燃焼が持続しなくなる恐れがあるので前記範囲とした。好ましい実施態様においては、前記草木粉の含有量は40〜80重量%に設定される。
【0023】
前記炭粉末及び助燃剤は、お香の燃焼を持続させるために添加されるが、必ずしも双方を含有する必要はなく、いずれか一方を含有させれば良い。前記炭粉末及び助燃剤の少なくとも一種の含有量は、草木粉の量を10〜99重量%とする関係で、90重量%以下となるが、これらの含有量が90重量%を超えると、必然的に草木粉の量が減少しすぎて、燃焼が安定せず持続し得なくなると同時に所望の色への着色が困難となるからである。また、前記炭粉末及び助燃剤を単独で使用する場合、例えば、炭粉末単独の場合、10〜90重量%、好ましくは20〜70重量%含有させるのが適当であり、前記炭粉末単独使用時の含有量が10重量%未満では、草木粉の種類によっては燃焼を持続させることができなくなる恐れがあり、また、90重量%を超えると、燃焼が強くなり過ぎたり、香りの原料等を十分に配合できなくなる恐れがあるからである。また、炭粉末の量が多くなると、明るい色に着色するのが困難になるため、明るい色を要求される場合、炭粉末の代わりに助燃剤を含有させるのが好ましい。
【0024】
他方、前記助燃剤を単独で添加する場合、その含有量は1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%に設定されるが、これは前記助燃剤粉単独添加時の含有量が1重量%未満では、草木粉の種類によっては燃焼を持続させることができない恐れがあり、また20重量%を超えると、燃焼が激しく成りすぎる恐れがあるからである。
【0025】
前記炭粉末としては、例えば、備長炭、ヤシ殻炭、木炭、竹炭など植物を炭にしたものの粉末を使用すれば良い。前記炭粉末は、通常、粒径2mm以下のものが使用されるが、好ましくは粒径が1〜250μm、より好ましくは50〜150μmの範囲内の粉末を使用するのが適当である。
【0026】
前記助燃剤は、酸化剤であれば任意のものを使用でき、具体的には、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸バリウム、硝酸アンモニウム、硝酸銀など硝酸塩その他の酸化剤が挙げられるが、炭粉末の添加だけで燃焼力が十分にある場合、使用しなくても良い。前記助燃剤は、通常、水に溶かして使用されるが、そのまま粉末として添加しても良く、その場合、粒径が細かいほど燃焼が安定するので粒径150μm以下、好ましくは1〜100μmのものを使用すればよい。
【0027】
前記無機質基材粉末は、燃焼や煙量を安定化させるために添加されるが、その含有量が60重量%を超えると、意図とは逆に燃焼を落とし過ぎるので60重量%以下とした。前記無機質基材としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、二酸化珪素、チタン酸カルシウムなど任意のものを使用できる。
【0028】
前記染料は、自然色以外の色をお香に付けるために必要に応じて添加されるが、その有効成分が20重量%以下になるように添加すれば良い。前記染料の含有量が有効成分として20重量%を超えると、燃焼や香りに影響が出る恐れがあるからである。前記染料としては、食品用染料や染色用染料などを使用すれば良く、前記食品用染料としては、食用色素(例えば、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色40号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用緑色3号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用青色1号、食用青色2号)、無機顔料(三二酸化鉄、二酸化チタン)、合成天然系色素(例えば、β−カロチン、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビン5'−リン酸エステルナトリウム)、及び天然系色素誘導体(銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、鉄クロロフィリンナトリウム、ノルビキシンカリウム、ノルビキシンナトリウム)などが挙げられる。
【0029】
前記液体香料は、天然香木の香り以外の所望の香りを付与するため必要に応じて添加されるが、その有効成分、即ち、香料が50重量%以下になるように添加すれば良い。前記液体香料の含有量が50重量%を超えると、香りが強くなりすぎたり、油分であるため燃焼が強くなりすぎる恐れがあるので前記範囲とした。
【0030】
前記液体香料としては、一般に香料と呼ばれる物質の単体又はそれらの混合物を使用すればよく、植物などから抽出されるエッセンシャルオイルを使用しても良い。前記エッセンシャルオイルとしては、例えば、アニスシード、アーモンドビター、アミリス、アンジェリカルート、ウインターグリーン、エレミ、オールスパイスベリー、オレンジ、オニオン、オレンジマンダリン、オレンジスウィート、カジェプット、カラマスルート、カンファーホワイト、カルダモンシード、カモマイルジャーマン、カモマイルローマン、カモマイルワイルド、ガルバナム、ガーリック、キャロットシード、クローブバッズ、コリアンダーシード、クミンシード、バジルスウィート、ベンゾインアブソルート、ベルガモット、バーチスウィート、サイプレス、サンダルウッド、シナモンバーク、シダーリーフ、シダーアトラス、シダーウッドレッド、セロリーシード、シナモンバーク、シナモンリーフ、シトロネラ、スペアミント、スプルース、セイジクラリー、セイジダルマティアン、セイバリーサマー、バニラ、バーボン、ユーカリ、ユーカリレモン、フェンネルビター、フェンネルスウィート、ファーニードル、フランキンセンス、ジェラニューム、ジンジャー、グレープフルーツ、タイムレッド、タイムホワイト、トルーバルサム、ヘリクリサム、ホップフラワー、ヒソップ、ジャスミンアブソルート、ジュニパーベリー、ライム、ラバディン、ラベンダー、ラベンダーフラワー、ラベンダースパイク、レモン、レモングラス、ローレルリーフ、ロベジルート、マージョラムスウィート、マージョラムワイルド、マートル、ミラーガム、メリッサ、ネロリ、ナツメグ、パルマロサ、パチョリ、ペッパーブラック、ペパーミント、ペルーバルサム、ペティグレイン、パイン、ローズアブソルート、ローズオットー、ローズマリー、ローズウッド、マリーゴールド、タンジェリン、ティートゥリーなどが挙げられる。
【0031】
本発明に係るお香は、例えば、草木粉、炭粉末、助燃剤、無機質基材粉末を所定の割合で配合し、その混合物に対して必要に応じて染料及び液体香料を水と共に加え、十分に混合した後、これを乾燥させることにより得られる。染料や液体香料などを添加しない場合或いは水を使用しない場合は、液体成分を除去する必要がないので、混合するだけで製造することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係るお香は、燃焼成分の草木粉を粒径の小さな粉粒状となし、これに炭粉末及び助燃剤の少なくとも一種を添加しているため、お香の粒径が小さく粒子相互間の接触面積が増大していることと炭粉末及び/又は助燃剤の作用とが相まって粉粒状のお香であっても容易に着火し、煙を殆ど発生させることなく燃焼を持続させることができる。しかも、お香が粉粒状であるため、香炉の灰の上や香皿の上の一点に上方から落とすことにより円錐状の形態を付与でき、また、型を利用して直線状、コ字状、千鳥状、円状或いは渦巻き状など使用者の好みにより任意の形状を実現でき、相互に色の異なるお香を同時に使用することにより色模様を付すことができる。さらに、セルロース誘導体などのバインダを全く使用していないため、異臭が発生することはなく、また、椨粉を燃焼成分として用いた場合でも、少量であるため、多量の煙が発生するのを防止できる。
【0033】
また、前記お香の成分として無機質基材粉末を所定量添加すると、少煙化を図ると同時燃焼の安定化を図ることができ、黒色の炭粉末の色が白色の無機質基材粉末によって薄められるため、着色が容易となり任意の色を付与でき、また、液体香料を添加することにより所望の香りを付与することができる。
【実施例1】
【0034】
竹炭粉末(粒径75μm以下)40重量部に、木粉末(粒径150μm以下)20重量部、沈香粉末(粒径150μm以下)10重量部、白檀木粉末(粒径150μm以下)20重量部、酸化アルミニウム粉末(粒径100μm以下)10重量部を加え、十分に混合して粉末状のお香を得る。
【0035】
比較例として沈香粉末のみからなる粒径150μmの抹香を調整し、これを前記実施例で得た粉末状お香と共に燃焼試験を行ったところ、実施例1のものは比較例のものに比べ、煙量が少なく燃焼が安定しており、沈香と白檀の落ち着いた香りを楽しむことができた。なお、比較例のものは燃焼安定性がやや悪く、少し強い沈香の香りを放った。
【実施例2】
【0036】
ヤシ殻炭粉末(平均粒径150μm以下)30重量部に、木粉末(粒径75μm以下)50重量部、炭酸カルシウム粉末(粒径100μm以下)20重量部を加え、その混合物100重量部に対して、2重量%量の助燃剤(硝酸ナトリウム)、1重量%量の染料(青色1号)を20重量%量の水に溶かした水溶液と5重量%量の液体香料(ゼラニウムオイル)を加えて十分に混合し、これを温度30℃、湿度40%の条件下で放置して乾燥させ、青色の粉末状のお香を得る。
【0037】
本実施例で得た粉末状お香の燃焼試験を行ったところ、比較例のものに比べ、煙量が少なく燃焼が安定しており、ゼラニウムの香りを楽しむことができた。また、本実施例のお香は、染料を変えることにより種々の着色が可能であり、液体香料を変えることにより様々な香りの粉末状お香を得ることができる。
【実施例3】
【0038】
木粉末(粒径150μm以下)80重量部に、炭酸カルシウム粉末(粒径100μm以下)20重量部を加え、その混合物100重量部に対して、4重量%量の助燃剤(硝酸カリウム)、1重量%量の染料(黄色4号)を20重量%量の水に溶かした水溶液と10重量%量の液体香料(レモングラスオイル)を加えて十分に混合し、これを温度30℃、湿度40%の条件下で放置して乾燥させ、鮮やかな黄色の粉末状のお香を得る。
【0039】
本実施例で得た粉末状お香は、比較例のものに比べ煙量はさほど変わらないが、燃焼が安定しており、レモングラスの香りを楽しむことができた。また、本実施例のお香は、
着色が可能であった。また、本実施例のお香は、染料を変えることにより様々な鮮やかな着色が可能であり、液体香料を変えることにより様々な香りの粉末状お香を得ることができる。
【実施例4】
【0040】
ヤシ殻炭粉末(粒径100μm以下)60重量部に、沈香粉末(粒径2mm以下)20重量部、白檀木粉末(粒径2mm以下)20重量部を加え、その混合物100重量部に対して2重量%量の助燃剤(硝酸カリウム)を10重量%量の水に溶かした水溶液を加えて十分に混合し、これを温度30℃、湿度40%の条件下で放置して乾燥させ、粒子状のお香を得る。
【0041】
本実施例で得た粉末状お香は、比較例のものに比べ煙量が少なく、燃焼も安定しており、沈香と白檀の落ち着いた香りが楽しめたが、実施例1〜3のものに比べて燃焼の安定性にやや不安があった。これは、原料の粒径が比較的大きく、粒子同士の接触面積が少なくなってしまったことが原因と考えられ、草木粉の粒径は、大きくても2mm以下、好ましくは1mm以下が良いことが判る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒径が2mm以下の草木粉10〜99重量%を燃焼成分とし、炭粉末10〜90重量%及び助燃剤1〜20重量%の少なくとも一種を含有してなる自己燃焼持続型粉粒状お香。
【請求項2】
無機質基材粉末を60重量%以下含有してなる請求項1に記載の自己燃焼持続型粉粒状お香。
【請求項3】
染料20重量%以下及び液体香料50重量%以下の少なくとも一種を含有してなる請求項1又は2に記載の自己燃焼持続型粉粒状お香。


【公開番号】特開2007−22967(P2007−22967A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−208431(P2005−208431)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(594168517)株式会社薫寿堂 (6)