説明

粒子の表面改質のためのプロセス

官能化粒子の調製方法は、粒子と、該粒子と反応する表面処理剤と、溶媒からなる原料と、を提供する工程を含む。該原料を、マイクロ波放射に曝露し、該原料を加熱して粒子を表面処理剤と反応させ、約60分未満で官能化粒子を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子と表面処理剤との間の反応を開始させるためにマイクロ波反応器を用いる、官能化粒子の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、金属酸化物粒子などの特定の粒子を取り込む複合材料は、粒子が、通常有機ポリマーである周囲のマトリックス材料と相溶する場合、有用であり得る。相溶性を達成する1つの技法は、粒子の表面の化学修飾によるものである。
【0003】
粒子の表面改質を達成するための技術は既知である。例えば、加水分解したアルコキシシランを、粒子の表面上でヒドロキシル基と反応させて、シラン官能化粒子を提供することができる。溶媒溶液(例えば、水とアルコールとの混合物)の沸点以下で動作する回分反応器システムにおいて、これらの反応は、完了するまでにざっと2時間から最長約24時間を要し得る。この表面改質プロセスの非常に長い反応時間により、製造費用が高くなっている。コスト高のため、官能化粒子の経済的使用が制限されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、官能化粒子の製造のための改善されたプロセスを提供する。一態様において、本発明は、官能化粒子の調製方法を提供し、方法は、
第1の温度で原料を提供する工程であって、原料が、
粒子と、
粒子と反応する表面処理剤と、
溶媒と、を含む、工程と、
原料を、マイクロ波放射に曝露し、原料を加熱して粒子を表面処理剤と反応させ、約60分未満で官能化粒子を提供する工程と、を含む。
【0005】
本発明の態様を説明する、本明細書で使用される種々の用語は、当業者に知られている同じ意味を有することが理解されよう。明確にするために、特定の用語は、ここに示される意味を有すると理解されるものとする。
【0006】
「有機マトリックス」とは、ポリマー材料又はポリマー材料への前駆体(例えば、単量体又はオリゴマー)を指す。
【0007】
「マイクロ波」とは、1mm〜1メートルの電磁スペクトル内の波長によって特徴付けられる電磁エネルギーの形態を指し、100〜5,000MHzの周波数に相当する。
【0008】
「実質的に対称性の粒子」とは、長さ、幅、及び高さの測定値が、実質的に同一であり、かかる粒子の平均縦横比は、約1であるという点で、相対的に対称性である粒子を指す。
【0009】
本明細書において使用される、数値の範囲を端点によって列挙したものは、その範囲に包含される全ての数値を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.8、4、及び5を含む)。
【0010】
本明細書に含まれる、不定冠詞「a」又は「an」に付随する名詞の単数形は、文脈に特に明示されない限り、名詞の複数形を包含するとみなされるものとする。
【0011】
特に指示がない限り、明細書及び特許請求の範囲に使用されている量又は成分量、性質の測定値などを表す全ての数は、全ての例において、用語「約」により修飾されていることを理解されたい。したがって、別途指示がない限り、先行の本明細書及び添付の特許請求の範囲に示される数値的パラメータは、本開示の教示を利用して当業者により得ることが求められる所望の性質に応じて変化し得る近似値である。最低でも、各数値的パラメータは、報告された有効数字の数を考慮して、通常の丸め技法の適用によって少なくとも解釈されるべきである。本開示の広範囲で示す数値的範囲及びパラメータは、近似値であるが、具体例に記載の数値は可能な限り正確に報告する。しかし、いずれの数値もそれらの試験測定値それぞれにおいて見られる標準偏差から必然的に生じる誤差を本来含有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の実施形態を説明する際、図が参照されるが、実施形態の構成要素は参照番号で識別され、類似参照番号は類似構成要素を示す。
【図1】本発明の実施形態による、連続マイクロ波反応器システムの概略図。
【0013】
当業者は、発明を実施するための形態、実施例及び添付の特許請求の範囲を含む、本開示の残りの部分で説明される実施形態の更なる考察から、本発明の特性を理解するだろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、未処理粒子の表面上で官能基と反応する1つ以上の表面処理剤を用いる、官能化粒子の調製プロセスを提供する。「反応」によって、表面処理剤は、共有結合、イオン結合、水素結合などのいずれかを通して、未処理粒子の表面上で官能基と相互に作用することを意味する。本発明のプロセスは、表面処理剤と粒子を高速反応させるために、反応物質の高速加工を促進し、それによって、粒子の表面処理の従来の合成法と比較した場合、短縮された時間で、微小粒子及びナノ粒子を含む官能化粒子を提供する。官能化粒子の調製において、本発明のプロセスは、反応構成要素を密閉容器でのマイクロ波加熱を利用して、加速した反応速度を提供する。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、粒子は、実質的に対称性の微小粒子又はナノ粒子である。例として、実質的に対称性の粒子には、実質的に球状、実質的に立体であるもの等が含まれる。他の実施形態では、本発明に有用な粒子は、3つ全ての空間的測定値において対称的ではない。かかる非対称性の粒子は、個々の粒子が、縦軸及び横軸を含み、縦軸は、横軸よりも長いという点で、例えば、針状又は楕円形であり得る。別の言い方をすると、実質的に対称性の粒子は、典型的には、実質的に等しい長さ、幅、及び高さを示し、一方非対称性の粒子は、他の2つの空間的測定値よりも大きい、又は小さい少なくとも1つの空間的測定値を有する。
【0016】
本発明のプロセスは、官能化粒子、いくつかの実施形態では、官能化ナノ粒子を、周囲気圧で動作する開口反応槽中でよりも、更に迅速に提供する。本発明のプロセスから生じる官能化粒子は、例えば、耐摩耗コーティング、高屈折率コーティング、又は紫外線の影響に耐性を示すコーティングとして使用される、複合材料に組み込まれ得る。更に、本発明のプロセスは、高速の反応速度、改善された反応の制御、及びハイスループットの可能性を促進する。いくつかの実施形態では、本発明による表面改質された粒子の調製は、バッチ合成において、達成され得る。いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、充填した複合体の調製するための連続プロセスに利用され、官能化粒子は初めに、溶媒を除去する、又は官能化粒子を乾燥させる必要もなく、有機マトリックス(例えば、ポリマー)と混合される。本発明に従って調製された官能化ナノ粒子は、例として、ファイバーグラス樹脂複合体及び光学品質フィルムを含む、種々の複合体材料のいずれかで用いるのに適している。
【0017】
本発明のプロセスのための出発材料をまず混合し、未反応粒子、溶媒、及び1つ以上の表面処理剤を含む原料を提供する。水性媒質(例えば、水は主要な溶媒である)において、未反応粒子がヒドロゾルを形成し、これに、表面処理剤を添加する。表面処理剤を水性ゾルと相溶する工程に共溶媒を必要とする場合、任意の共溶媒を、水性原料の製剤に含んでもよい。いくつかの実施形態では、粒子を有機溶媒に分散し、オレガノゾルを提供する。更に他の実施形態では、粒子を混合ゾル(液体媒質が、水及び有機液体の両方を含む場合)に分散する。
【0018】
ゾルの形成では、未反応粒子を溶媒に添加する。本発明の実施形態では、粒子は、ゾル中に含まれる場合、相対的に均一の大きさであり、非凝集性である。有用な粒子は、最終官能化生成物の所望の使用に応じて、種々の大きさのうちのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、粒子は、1マイクロメートル又はそれ以上の平均厚さを有するという点で、微小粒子である。いくつかの実施形態では、粒子は、最大約30マイクロメートルの平均厚さを有する。いくつかの実施形態では、粒子は、平均厚さ(例えば、長さ、幅、又は高さ)が、約1マイクロメートル未満、いくつかの実施形態では約500nm未満、いくつかの実施形態では約100nm、及びいくつかの実施形態では約50nm未満を有するという点で、ナノ粒子である。いくつかの実施形態では、粒子は実質的に対称性である。
【0019】
未反応粒子は、種々の材料のいずれかを含み得る。いくつかの実施形態では、粒子は、有機材料を含み、他の実施形態では、粒子は、無機材料を含む。本発明の実施形態では、粒子としては、限定されないが、例えば、金属、無機酸化物、無機硫化物、無機酸化物、無機硫化物、無機アンチモン化物、無機塩、無機窒化物、金属粒子、金属被覆粒子が挙げられる、無機材料の広義のカテゴリーから選択され得る。好適な有機材料としては、例えば、カーボンブラック及び有機顔料が挙げられる。無機顔料もまた使用してよい。
【0020】
無機粒子を利用する本発明の実施形態では、粒子は、例えば、金、プラチナ、銀、ニッケルの粒子のような金属粒子及び前述のもののうちの2つ以上の組み合わせを含み得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、カーボンブラック及び有機顔料などの有機粒子は、本発明のプロセスに有用である。無機顔料はまた、ベンガラ、黄色763ED(Pbクロム酸塩)、緑色Co(Al、Cr)、スルホケイ酸アルミノナトリウム(sodium alumino sulphosilicate)(群青)、炭酸ストロンチウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム水酸化物、及び前述のもののうちの2つ以上の組み合わせなどを使用してもよい。
【0022】
無機酸化物は、本発明のプロセスで用いるのに好適であり得る。好適な酸化物としては、ジルコニア、酸化アルミニウム、二酸化チタン(シリカ)、酸化鉄、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、酸化ホウ素、亜酸化ホウ素、酸化ビスマス(III)、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化クロム(III)、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、酸化マグネシウム−MgO、酸化マグネシウム(IV)(二酸化マンガン−MnO)が挙げられる。
【0023】
いくつかの実施形態では、好適な粒子としては、無機硫化物の粒子が含まれ、これには、限定されないが、硫化銅(I)−CuS、硫化銅(II)−CuS及び硫化亜−ZnSが含まれ得る。いくつかの実施形態では、好適な粒子としては、リン化インジウム、リン化アルミニウム、黄銅、金属被覆ガラス、炭化ホウ素−BC、窒化ホウ素−BN、炭化カルシウム−CaC、水酸化カルシウム、水酸化銅(II)、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸コバルト(II)、炭酸銅(II)、硝酸銅(II)、硫酸銅(II)、炭酸リチウム、硝酸リチウム−LiNO、硫酸リチウム−LiSO、炭酸マグネシウム−MgCO、リン酸マグネシウム−Mg(PO、硫酸マグネシウム−MgSO、マンガン硫酸塩一水和物(II)−MnSO・HO、リン酸マンガン(II)−Mn(PO、炭酸ニッケル(II)−NiCO、水酸化ニッケル(II)−Ni(OH)、硝酸ニッケル(II)−Ni(NO、二酸化ケイ素−SiO、二酸化チタン(酸化チタン(IV))−TiO、炭酸亜鉛−ZnCO、酸化亜鉛−ZnO、硝酸亜鉛−ZnSOの粒子が含まれる。
【0024】
前述の分散粒子のうちのいずれか2つ以上の組み合わせが、本発明の範囲内で企図される。
【0025】
本発明のある実施形態では、未反応粒子は、二酸化ケイ素(SiO又は「シリカ」)を含む。好適な二酸化ケイ素粒子は、ナノ粒子として又は微小粒子として提供され得る。いくつかの実施形態では、二酸化ケイ素粒子は、固体粒子(例えば、中空ではない)である。いくつかの実施形態では、二酸化ケイ素粒子は、中空ガラス微小球として提供され得る。他の実施形態では、二酸化ケイ素粒子は、固体(例えば、中空ではない)ガラスビーズとして提供され得る。いくつかの実施形態では、コロイドシリカが好ましい。コロイド状チタニア、コロイド状アルミナ、コロイド状ジルコニア、コロイド状バナジア、コロイド状クロミア、コロイド状酸化鉄、コロイド状酸化アンチモン、コロイド状酸化スズ、及び前述のもののうちの2つ以上の組み合わせのような他のコロイド金属酸化物を利用し得る。好適なコロイド粒子は、本質的に、シリカのような単一の酸化物を含み得るか、又は1つのタイプの酸化物のコアと、その上に別のタイプの酸化物を析出させたものを含み得る。いくつかの実施形態では、好適なコロイド粒子は、金属酸化物以外の材料のコアと、その上に金属酸化物を析出させたものを含む。
【0026】
コロイド微小粒子又はナノ粒子は、好ましくは、大きさが相対的に均一であり、実質的に非凝集性であり、凝集、沈殿、ゲル化、又はゾル粘度の著しい増加を回避する。いくつかの実施形態では、本発明で用いる特に所望の粒子の種類は、無機粒子のゾル(例えば、液体媒質中の無機粒子のコロイド状分散物)、特に、非晶質シリカのゾルを含む。このようなゾルは、種々の技術により調製でき、種々の形態であってもよく、形態としてはヒドロゾル(水が液体媒質として機能する場合)、オルガノゾル(有機液体が用いられる場合)、及び混合ゾル(液体媒質が水及び有機液体の両方を含む場合)が挙げられる。例えば、米国特許第2,801,185号(Iler)及び第4,522,958号(Dasら)を参照のこと。例えば、R.K.Iler、The Chemistry of Silica、John Wiley & Sons、New York(1979)も参照のこと。
【0027】
好適なシリカヒドロゾルは、「ナルコ2329」及び「ナルコ2327」の登録商標で、Ondeo Nalco Chemical Company(Naperville、Illinois)から入手可能なものなど、種々の粒径及び濃度で市販されている。好適なシリカゾルの別の源は、Nissan Chemical America Corporation(Houston、Texas)から登録商標「Nissan MP2040」で市販されている。例えば、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液を酸で約8又は9のpHに部分的に中和することによって(溶液の結果として生じるナトリウム含有量が、酸化ナトリウムに基づいて約1重量パーセント未満であるように)、シリカヒドロゾルを調製することができる。シリカ水性ゾルを調製する他の方法としては、例えば、電解、ケイ酸ナトリウムのイオン交換、シリコン化合物の加水分解及び元素シリコンの溶解が既知である。
【0028】
本発明では、原料は典型的には、ゾル中で、表面処理剤と粒子を組み合わせることによって調製される。本発明のプロセスは、有機ポリマーなどの有機マトリックス材料と相溶する官能化粒子を提供する。好適な表面処理剤としては、限定されないが、オルガノシラン、有機チタン酸塩、有機ジルコン酸塩、有機酸、有機アミン、有機チオール、ホスフィン酸、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0029】
本明細書では、粒子が、コロイド状二酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、二酸化チタンを含む場合、ゾル中の粒子濃度は、典型的には約60重量%〜約20重量%、いくつかの実施形態では55重量%〜30重量%、いくつかの実施形態では約35重量%〜45重量%である。
【0030】
更に、粒径が異なる粒子の混合物を、本発明に従って表面処理することができる。粒径のいくつかの好適な組み合わせの例としては、約20nmの厚さを有する粒子と、約142nmの厚さを有するものなどのより大きい他の粒子との混合物が含まれる。更に、20nm粒子を200nm粒子と、及び20nm粒子を500nm粒子と混合することができる。前述の混合された粒径の好適な重量比は、いくつかの実施形態では、1/20〜20/1の広範囲内であり得る。
【0031】
本発明の実施形態では、粒子の表面上の反応基(例えば、ヒドロキシル基)を利用して、表面処理剤と相互作用させ、官能化粒子を形成する。ある実施形態では、粒子の表面上の反応基(例えば、ヒドロキシル基)は、表面処理剤と共有結合する。いくつかの実施形態では、粒子の表面上の反応基は、表面処理剤とイオン結合する。
【0032】
酸化物粒子(例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウムなど)を利用する本発明の実施形態では、好適な表面処理剤としては、粒子の表面上に沿ってヒドロキシル基と反応するものが含まれる。いくつかの実施形態では、好適な表面処理剤としては、オルガノシランが含まれる。いくつかの実施形態では、好適なオルガノシランとしては、1つの有機置換基及び3つの加水分解性置換基が含まれる。代表的なオルガノシランとしては、[2−(3−シクロヘキセニル)エチル]トリメトキシシラン、トリメトキシ(7−オクテン−1−イル)シラン、イソオクチルトリメトキシ−シラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、−9−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリス−イソブトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ヘプタメチル(2−[トリス(2−メトキシエトキシ)シリル]エチル)トリシロキサン(例えば、米国特許第7,033,975号に記載されるような)ポリジメチルシロキサン、アリールシラン(例えば、置換及び非置換アリールシランを含む)、アルキルシラン(例えば、メトキシ及びヒドロキシ置換アルキルシランを含む)、並びに前述のもののうちの2つ以上の組み合わせが含まれる。
【0033】
ポリウレタン環境下で、シリカ粒子包含の好適な表面処理により、好適な二官能性又は三官能性ポリオールを3−トリエトキシシリルプロピルイソシアネートと反応させることによって生成し、ウレタン連結を得ることができる。好適なポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトンポリオール(例えば、Dow Chemical(Midland MI)から入手可能なTone 2221)、水酸基末端ポリブタジエン、及びポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールが含まれる。
【0034】
酸化物粒子とともに用いるのに好適な他の表面処理剤としては、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、ステアリン酸、ドデカン酸、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(MEEAA)、βカルボキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸、メトキシフェニル酢酸、及び前述のもののうちの2つ以上の組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態では、商標名「Silquest A1230」(Momentive Specialties(Wilton、Connecticut)より市販されている)によって識別される専売のシラン表面変性剤を使用してもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、好適な表面処理剤としては、アルキルアミン及び/又はアリールアミンが含まれる。ある実施形態では、C〜C30アルキル及びアリールアミン、特に、ポリエチレングリコール官能アミン(例えば、ジェファミン材料)、ステアリルアミン、ベヘニルアミン、並びにこれらの組み合わせを含む表面処理剤を使用してもよい。他の実施形態では、好適な表面処理剤としては、チオールを含むもの、特に、C〜C30アルキル及びアリールチオールが含まれる。他の実施形態では、カルボン酸を含む表面処理剤は、特に、C〜C30アルキル及びアリールカルボン酸を含むものが所望され得る。更に他の実施形態では、ホスフィン酸を含む表面処理剤としては、特に、C〜C30アルキル及びアリールホスフィン酸を含むものが所望され得る。
【0036】
水が主要溶媒として使用される実施形態では、有機共溶媒を、任意に、ゾルに添加し、表面処理剤並びに官能化粒子の溶解度を促進することができる。好適な共溶媒は、種々の水混和性有機溶媒のうちのいずれかを含む。いくつかの実施形態では、共溶媒は、例えば、1−メトキシ−2−プロパノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、N,N−ジメチルアセトアミド、酢酸エチル、及び/又は1−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルホルムアミド、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、メタノール、メトキシ(エトキシ(エトキシ))エタノール、並びに前述のもののうちの2つ以上の組み合わせを含む群から選択され得る。
【0037】
カーボンブラックなどの炭素質粒子は、トルエン、ベンゼン又はエチルベンゼンなどの溶媒中で表面処理され得る。いくつかの実施形態では、このような炭素質粒子の粒子濃度は、約0.05重量%〜約0.1重量%の表面処理負荷を有する約5重量%〜約25重量%の範囲内である。いくつかの実施形態では、表面処理剤は、ジルコン酸塩、チタン酸塩、及び有機アリール/アルキルアミン、並びにこれらの組み合わせから選択される。
【0038】
原料を、マイクロ波源を用いて、十分な時間加熱し、原料中の未処理粒子及び表面処理剤を表面官能化粒子に変換する。マイクロ波場中の原料の滞留時間は、原料を曝露するマイクロ波場強度、反応槽内の原料量、所望の表面処理の度合いなどを含む周知の要因によって決定される。いくつかの実施形態では、滞留時間は、少なくとも2分間であり、2時間を超えない。
【0039】
マイクロ波加熱を用いて、粒子表面の官能化を促進するためのシステムの一実施形態を、図1に図式的に示す。システム100は、連続モードで作動する。ゾル中に表面処理剤及び未処理粒子(例えば、コロイドシリカナノ粒子)を含む原料を調製し、これを槽115内に設置する。管若しくはパイプ117を用いて、ポンプ(例えば、隔膜ポンプ)120に槽115を連結する。管若しくはパイプ117は、例えば、ポリマー材料又はセラミックス材料などの任意の好適な(例えば、非反応性)材料から構成され得る。ポリエチレン管又はポリプロピレンパイプは、加熱されない及び/又は高圧下ではない、システム100の部分で好適であり得る。ポンプ120は、槽115からマイクロ波空洞130内の反応槽132に原料を送り込むように構成される。マイクロ波空洞130への原料の流量は、ポンプ120によって制御され、一定流速であり得るか、又は非定常若しくはパルス流速であり得る。
【0040】
原料がマイクロ波空洞130内に入ると、未処理粒子を表面官能化粒子に変換するのに十分な既定の時間、原料をマイクロ波放射に曝露する。反応器132には、反応器132内で原料を撹拌/かき混ぜるために、機械的電動機(図示せず)に連動させることができる、任意の撹拌シャフト134を提供してもよく、一方原料はマイクロ波放射に曝露される。表面官能化反応が完了した後、反応生成物は、管117を通って反応器132へ、そして冷却した熱交換器140へと流れ込む。再循環器142は、流線144を通って熱交換器140に冷却液(例えば、冷水)を供給し、戻り線146を通って冷却液に戻る。
【0041】
システム100及び反応器132内の圧力を、背圧弁150で少なくとも部分的に制御するが、これは一般的に、熱交換器140の後に配置される。背圧弁150は、システム100の出口で圧力を制御し、反応器132内の圧力を制御するのを補助する。多くの場合、背圧は、少なくとも0.7MPa(100ポンド/平方インチ)、少なくとも1.4MPa(200ポンド/平方インチ)、少なくとも2.1MPa(300ポンド/平方インチ)、少なくとも2.8MPa(400ポンド/平方インチ)、少なくとも3.5MPa(500ポンド/平方インチ)、少なくとも4.2MPa(600ポンド/平方インチ)、少なくとも4.9MPa(700ポンド/平方インチ)である。いくつかの実施形態では、背圧は、約700ポンド/平方インチ(4.9MPa)を超える。典型的には、背圧は、反応器132内で沸騰を防ぐために十分高くなくてはならない。
【0042】
本発明の実施形態では、反応器132内の原料は、表面処理剤の加水分解及び縮合反応温度を超える温度で保持される。マイクロ波加熱は、原料の温度を少なくとも130℃、少なくとも140℃、又は少なくとも150℃まで上昇させることができる。温度が高すぎる場合、反応器の圧力も受け入れ難いほど高くなり得る。温度は、典型的には、230℃を超えない、225℃を超えない、又は220℃を超えない。多くの実施形態において、反応温度は、130℃〜230℃、140℃〜220℃、140℃〜200℃、150℃〜200℃、150℃〜180℃の範囲で選択される。
【0043】
反応器132内の原料の滞留時間は、システム100を通して原料の流量を変化させることによって異なり得る。実施形態では、反応器132内で原料をマイクロ波放射に曝露する滞留時間は、約2分未満である。他の実施形態では、曝露時間は、少なくとも2分間、少なくとも4分間、少なくとも6分間、少なくとも8分間、又は少なくとも10分間である。原料をマイクロ波放射に曝露する滞留時間は、典型的には、2時間を超えない、90分間を超えない、60分間を超えない、又は50分間を超えない。多くの実施形態では、2〜90分間、又は2〜60分間の範囲に及ぶ期間、原料をマイクロ波放射に曝露する。
【0044】
反応生成物又は反応器132からの流出物を、収集槽160内に収集し得る。流出物中の溶媒(例えば、水)の少なくとも一部分を、官能化粒子を更に用いる前に(例えば、粒子を有機マトリックスに添加することによって)、除去し得る。いくつかの実施形態では、流出物を高温で乾燥させ、溶媒の除去を促進し得る。
【0045】
有機マトリックスは、溶媒の除去前あるいは後のいずれかで、表面処理粒子に添加することができる。有機マトリックスを溶媒(例えば、水)の除去前に添加し、有機マトリックスの沸点が、水の沸点を超える場合、蒸留、回転蒸発、又はオーブン乾燥のような方法を用いて、水を除去することができる。
【0046】
有機マトリックスは、典型的には、ポリマー材料又は重合性基を有する単量体若しくはオリゴマーなどのポリマー材料の前駆体を含む。任意の適切な技術が、官能化粒子と有機マトリックスの混合に使用できる。例えば、有機マトリックスがポリマー材料の前駆体の場合、官能化粒子は重合反応に先立って添加できる。ポリマー材料が熱可塑性ポリマーの場合、ポリマー材料及び官能化粒子を、押出成形、ミリング又はブラベンダー混合などの好適な混合プロセスを用いて混合できる。多くの場合、前駆体ポリマー材料を含む複合材料は、重合の前に成形又は被覆される。
【0047】
モノマーの代表的な例としては、(メタ)アクリレート、スチレン、エポキシドなどが挙げられるが、これらに限定されない。反応性オリゴマーの代表的な例としては、(メタ)アクリレート化されたポリエステル、(メタ)アクリレート化されたポリウレタン、又はアクリリックが挙げられるが、これらに限定されない。ポリマー材料の代表的な例としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、及びポリイミドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
複合材料を形成するための1つの例示的なプロセスとしては、熱水反応器から約40パーセントの固体まで流出物を濃縮する工程、又は蒸留若しくは回転蒸発、流下薄膜、拭き取り皮膜蒸発、ギャップ乾燥、スプレー乾燥などの方法を更に用いる工程が含まれる。共溶媒及び表面改質剤が濃縮物に添加され得る。有機マトリックスを添加した後、共溶媒及び水を除去する。溶解されたカルボン酸及び/又はそのアニオンの少なくとも一部分を、濃縮工程中、又は表面改質後、除去することができる。
【0049】
ポリマー材料などの有機マトリックスへの官能化粒子の添加は、有利であり得る。例えば、官能化粒子を添加して、ポリマー材料の引張り強度を増大させ得るか、又は有機マトリックスへの増粘剤として添加し得る。官能化粒子は、可視光線の波長よりも小さい場合があるため、多くの場合、有機マトリックス中の存在は、肉眼で検出することができない。即ち、有機マトリックスの引張り強度又は厚さは、有機マトリックスの出現に影響を及ぼすことなく、増大させることはできない。例えば、高度な光透過性が所望される本明細書では、官能化粒子を、有機マトリックス中で懸濁又は分散することができる。
【実施例】
【0050】
本発明の追加の実施態様は、次の非限定例にて説明される。
【0051】
手順1:連続流量マイクロ波熱水反応器
連続流量マイクロ波反応器システム(Milestone,Inc.(Shelton、Connecticut)から入手され、商標名FLOWSYNTHで市販されている)を使用して、官能化粒子を提供した。FLOWSYNTHシステムは、隔膜ポンプ、0.18リットルの撹拌反応器空洞、及び冷却出口ポートからなり、水再循環器の使用を通して冷却した。原料は、プラスチック槽から隔膜ポンプの入口へ、そして撹拌槽型反応器形状と一致し、マイクロ波空洞内に設置された0.18リットルの空洞からなる、管型反応器へと重力によって送り出された。背圧調節装置(TESCOM Industrial Controls(Elk River、MN))が、圧力制御を提供した。原料を、管型反応器を通して送り出し、反応器中で規定の時間(反応器容量/反応流量から算出)が過ぎた後、反応生成物が、反応器特性の冷却部分を経由した時、外部冷却機を用いて、反応生成物を直ちに冷却した。生成物を、好適な容器中に収集した。
【0052】
手順2:レオロジー測定
ナノ複合体のサンプルのレオロジー的分析を、Couvetteモードでの歪制御型粘弾性測定(TA instruments(New Castle、Delaware))レオメーターにおいて実行した。
【0053】
手順3:破壊靭性試験のための一般手順
0.13cm/分(0.050インチ/分)の修正した負荷速度を使用したことを除いて、ASTM D 5045−99によって、破壊靭性を測定した。試料が、3.18cm×3.05cm×0.64cm(1.25インチ×1.20インチ×0.25インチ)の寸法である、小型張力形状を用いた。以下、W=2.54cm(1.00インチ)、a=1.27cm(0.50インチ)、B=0.64cm(0.25インチ)のパラメータを採用した。試験した各樹脂に対して6〜10個のサンプルの測定がなされた。使用したサンプル数及び標準偏差に加えて、K及びKICの両方の平均値を、メートルの平方根にメガパスカルを乗じた単位、即ち、MPa(m1/2)で報告した。ASTM D 5045−99の妥当性要件に合うこれらのサンプルのみを、計算に使用した。
【0054】
手順4:バーコル硬度試験のための一般手順
ASTM D 2583−95(2001年に再認可)によって、バーコル硬度(H)を測定した。バーコル硬度計(モデルGYZJ−934−1、Barber−Colman Company(Leesburg、Virginia)より入手可能)を使用して、0.64cm(0.25インチ)の公称厚さを有する試料の測定を行った。各サンプルに対して、5〜10の測定値を取り、平均値を報告した。
【0055】
手順5:曲げ弾性率(E’)及びガラス転移温度(Tg)測定のための一般手順
二重カンチレバービームモードにおいて、RSA2固体分析器(Rheometrics Scientific,Inc(Piscataway、New Jersey)より入手)を用いて、曲げ貯蔵弾性率であるE’を測定した。試料の寸法は、長さ50ミリメートル×幅6ミリメートル×厚さ1.5ミリメートルの公称測定であった。全長40ミリメートルを採用した。−25℃〜+125℃の温度プロファイルを有する第1の走査と、−25℃〜+150℃の温度プロファイルを有する第2の走査である、2つの走査を起動した。走査は、両方とも、5℃/分の温度ランプ、1ヘルツの周波数、及び0.1%の歪を採用した。20℃/分の適切な速度で冷媒を用いて第1の走査を起動し、その後、第2の走査を直ちに起動して試料を冷却した。第2の走査において、+25℃で測定した曲げ弾性率(MPa)を報告した。第2の走査のタンデルタピークを、ガラス転移温度(Tg)として報告した。
【0056】
表1に列挙される材料を用いて、実施例及び比較例に説明されるように、官能化粒子を調製した。
【0057】
【表1】

【0058】
比較例A(C.Ex.A)及び比較例B(C.Ex.B)
複合体を、従来のバッチ反応システムを用いて、比較例A〜Bの各々のために調製した。シリカゾル、シラン、及びメトキシプロパノールを、標準臨床装置中で、95℃で22時間混合した。比較例Aでは、得られた表面処理シリカゾルを、米国特許第5,648,407号(Goetzら)に記載される方法による溶媒交換及び真空ストリッピングによって樹脂系に混ぜ合わせた。比較例Bでは、得られた表面処理シリカゾルを、係属PCT特許出願第US2007/077130号の表題「Resin Systems Including Reactive Surface−Modified Nanoparticles」(Goennerら)に記載される方法による、溶媒の溶媒交換及び真空ストリッピングによって樹脂系に混ぜ合わせた。まず、回転静的ミキサーを用いて、溶媒に乾燥表面改質SiOを分散させることによって、サンプルを作製した。その後、適切な樹脂を添加し、回転蒸発によって溶媒を除去した。適切なエポキシ又はビニルエステルに粒子を分散させ、相対的に低粘度の液体を得ることによって、高い表面官能度を確認した。比較例A〜Bの複合体のための実際の製剤を、表2に示す。
【0059】
【表2】

【0060】
比較例C(C.Ex.C)
官能化シリカ粒子を、同時係属米国暫定特許出願第61/040338号に記載されるような連続流量熱水反応器で調製した。比較例Cのための原料を、シリカゾルの撹拌した水性分散液を用いて調製した(表3を参照のこと)。表面処理剤(シラン)をゾルに添加して、得られたゾル/シラン混合物を、室温(23℃)で5分間撹拌した。第2の表面処理剤と共溶媒との混合物を、5分間にわたりゾル/シラン混合物に添加して、得られた分散液を、連続反応器に供給する前に、連続的に撹拌した。原料の製剤に使用された反応物質の特性を表3に記述する。分散物を、表3に記載した流速及び反応器温度で、連続流量熱水反応器に供給した。
【0061】
【表3】

【0062】
(実施例1〜5)
手順1に説明されるように、官能化シリカ粒子を、マイクロ波連続流量反応器で調製した。原料を、シリカゾルの撹拌した水性分散液を用いて調製した(表4を参照のこと)。表面処理剤(シラン)をゾルに添加して、得られたゾル/シラン混合物を、室温(23℃)で5分間撹拌した。第2の表面処理剤と共溶媒との混合物を、5分間にわたりゾル/シラン混合物に添加して、得られた分散液を、連続反応器に供給する前に、連続的に撹拌した。分散物を、表4に記載した流速及び反応器温度で、マイクロ波連続流量熱水反応器に供給した。
【0063】
実施例1、及び3〜5の表面処理シリカゾルを、米国特許第5,648,407号(Goetzら)に記載される方法による溶媒交換及び真空ストリッピングによって樹脂系に混ぜ合わせた。実施例2のゾルを、係属PCT特許出願第US2007/077130号の表題「Resin Systems Including Reactive Surface−Modified Nanoparticles」(Goennerら)に概説される方法によって混ぜ合わせた。適切なエポキシ又はビニルエステル樹脂に粒子を分散し、相対的に低粘度の液体を得ることによって、高い表面官能度を確認した。ナノ複合体の組成物を、表4に記述する。
【0064】
【表4】

【0065】
比較例B、C及び実施例2
比較例B及びC及び実施例2の硬化サンプルを使用して、物理的特性試験のための試料を調製した。1.25重量%のナフテン酸コバルトを有するナノ粒子含有ゲルコートを、広口プラスチック容器中に入れた。容器を覆い、密閉して、SpeedMixer(商標)二重非対称遠心分離機(モデルDAC 600 FVZ−sp、Flack Tek,Incorporated(Landrum、South Carolina)より入手可能)を用いて、2000rpmで30秒間、内容物を混合した。その後、1.0重量%のメチルエチルケトンペルオキシド(MEKP)溶液(35重量%触媒溶液)を添加した。容器を再度密閉し、二重非対称遠心分離機を用いて、2000rpmで30秒間、内容物を混合した。混合した後、ナノ粒子含有ゲルコートを、VALSPAR MR 225放出材料で処理したフロートガラス金型に移し、ゲルコートを室温で24時間硬化し、次いで70℃で4時間、後硬化した。実施例2及び比較例Bにより作製されたサンプルを、手順3(破壊靭性試験のための一般手順)、手順4(バーコル硬度試験のための一般手順)、及び手順5(曲げ弾性率(E’)及びガラス転移温度(Tg)測定のための一般手順)により、更に評価した。データを表5に記述する。
【0066】
マイクロ波反応器の使用を通して生成した実施例2は、統計的に類似したKIC、及びバッチ製造した比較例B及びHTR製造した比較例Cよりも高い弾性率を有するバーコル硬度を示した。
【0067】
【表5】

【0068】
(実施例6〜10)
約5〜25重量%の固体(表6)で、粒子と表面処理剤との水性混合物として、原料を調製し、室温で撹拌した。表面処理剤の初期濃度を、使用した粒子の大きさに基づいて決定した。図1で図式的に示された及び本明細書に記載されたものと同様のシステムの一部として、原料をマイクロ波反応器に送り出す。隔膜ポンプ(例えば、Lewa EcodosシリーズC80Sモデルポンプ、American LEWA(Holliston Mass))を使用して、表6に記載されるような、種々の流速及び反応器速度で、原料をマイクロ波反応器に移動させる。反応材料を、反応器の出口で収集する。任意に、実施例7の場合には、原料ゾルを好適な圧力定格のキャニスターに装填し、噴射剤として窒素ガスを用いることを含む、圧力供給機構を通して原料を流出することが可能である。
【0069】
【表6】

【0070】
本発明の実施形態を十分詳細に記載したが、当業者には、予測可能及び予測不可能の両方の変更又は修正が、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、記載される実施形態に対してなされ得ることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
官能化粒子の調製方法であって、
第1の温度で原料を提供する工程であって、前記原料が、
粒子と、
前記粒子と反応する表面処理剤と、
溶媒と、を含む、工程と、
前記原料を、マイクロ波放射に曝露し、前記原料を加熱して前記粒子を前記表面処理剤と反応させ、約60分未満で前記官能化粒子を提供する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記原料中の粒子の濃度が、約60重量%〜約20重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粒子は実質的に対称性の粒子であり、前記溶媒は水であり、前記原料は水混和性有機溶媒を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記実質的に対称性の粒子が、約1ナノメートル〜約30マイクロメートルの平均直径を有する、実質的に球状の粒子である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記実質的に球状の粒子が、約1マイクロメートル未満の平均直径を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記球状の粒子が、約100nm未満の平均直径を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記球状の粒子が、異なる平均直径を有する粒子の混合物を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記粒子が、金属、無機酸化物、無機硫化物、無機アンチモン化物、無機塩、無機窒化物、金属被覆粒子、及び前述のもののうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される無機材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記無機酸化物が、ジルコニア、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、三酸化アンチモン、酸化ホウ素、亜酸化ホウ素、酸化ビスマス(III)、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化クロム(III)、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、酸化マグネシウム、酸化マグネシウム(IV)、及び前述のもののうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記無機硫化物が、硫化銅(I)、硫化銅(II)、及び硫化亜鉛、並びに前述のもののうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記粒子が、リン化インジウム、リン化アルミニウム、黄銅、金属被覆ガラス、炭化ホウ素、窒化ホウ素、炭化カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化銅(II)、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸コバルト(II)、炭酸銅(II)、硝酸銅(II)、硫酸銅(II)、炭酸リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、炭酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、マンガン硫酸塩一水和物(II)、リン酸マンガン(II)、炭酸ニッケル(II)、水酸化ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、二酸化ケイ素、二酸化チタン、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、及び前述のもののうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される無機材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記粒子が、ガラスビーズを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記粒子はシリカ粒子を含み、前記表面処理剤は、オルガノシラン、有機チタン酸塩、有機ジルコン酸塩、有機酸、有機アミン、有機チオール、ホスフィン酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記オルガノシランが、[2−(3−シクロヘキセニル)エチル]トリメトキシシラン、トリメトキシ(7−オクテン−1−イル)シラン、イソオクチルトリメトキシ−シラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、−9−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリス−イソブトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、ステアリン酸、ドデカン酸、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(MEEAA)、βカルボキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸、メトキシフェニル酢酸、及び前述のもののうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記表面処理剤が、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、ステアリン酸、ドデカン酸、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、βカルボキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸、メトキシフェニル酢酸、及び前述のもののうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記表面処理剤が、アルキルアミン、アリールアミン、アルキルチオール、アリールチオール、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルホスフィン酸、アリールホスフィン酸、及び前述のもののうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記粒子は無機酸化物であり、前記表面処理剤は、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、ステアリン酸、ドデカン酸、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(MEEAA)、βカルボキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸、メトキシフェニル酢酸、及び前述のもののうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記原料が、1−メトキシ−2−プロパノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、N,N−ジメチルアセトアミド、酢酸エチル、及び/又は1−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルホルムアミド、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、メタノール、メトキシ(エトキシ(エトキシ))エタノール並びに前述のもののうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、有機共溶媒を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記原料をマイクロ波放射に曝露する工程が、約2分〜約60分間で、前記官能化粒子を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記原料をマイクロ波放射に曝露する工程が、前記原料を130℃〜230℃の範囲の温度に加熱する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記原料が、前記曝露する工程中に撹拌される、請求項20に記載の方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2011−518919(P2011−518919A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506371(P2011−506371)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/040947
【国際公開番号】WO2009/131910
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】