説明

粒子を検出するセンサ・デバイス及び方法

試料の粒子(15)を検出するセンサ・デバイス(50)であって、センサ・デバイス(50)は、粒子(15)が存在していることを示す検出信号を検出するよう適合された検出装置(11、20)と、試料の粘性を測定するよう適合された粘性測定装置(11、17、20)と、測定された粘性に基づいて検出信号を補正するよう適合された補正装置(20、30)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンサ・デバイスに関する。
【0002】
本発明は、粒子を検出する方法に更に関する。
【0003】
更に、本発明はプログラム・エレメントに関する。
【0004】
更に、本発明は、コンピュータ読み取り可能な媒体に関する。
【背景技術】
【0005】
バイオセンサは、生物学的構成部分を物理化学又は物理検出器構成部分と結合した、分析物を検出するためのデバイスであり得る。
【0006】
磁気バイオセンサは、磁性/磁化可能であるか、又は磁気ビーズ/磁化可能ビーズでラベリングされた生体分子を検出するために巨大磁気抵抗効果(GMR)を使用することができる。
【0007】
以下では、巨大磁気抵抗効果を利用し得るバイオセンサを説明する。
【0008】
国際公開2005/010542号パンフレットには、集積磁気センサ素子又はオンチップ磁気センサ素子を使用して磁性粒子の存在を検出又は判定する構成が開示されている。前述のデバイスは、マイクロアレイ上又はバイオチップ上の生体分子の結合の量を磁気検出するために使用することができる。特に、国際公開2005/010542号パンフレットには、少なくとも1つの磁性粒子の存在を判定する磁気センサ・デバイスが開示されており、基板上の磁気センサ素子と、AC磁界を発生させる磁界発生器と、少なくとも一磁性粒子の磁気特性を検出する磁気センサ素子とを備え、上記磁気特性はAC磁界に関係し、磁界発生器は、基板上に一体化され、100Hz以上の周波数で動作するよう構成される。
【0009】
特開平8−178823号明細書には、粘性材料の粘性を測定するシステムが開示されている。正確性を維持しながらの測定時間の短縮は、測定手段として軟磁性材料の微粒子を使用し、それに対して外部的に磁界を印加することにより、高速で強力に微粒子を移動させることによって得られる。軟磁性材料の微粒子は、溶解した軟磁性材料を急冷することによって生成することができる。微粒子は球形状を有し得るものであり、粒子サイズは、磁性微粒子の移動中に粘性材料の抵抗を一様にするために、ふるい又は気流分類子によって構成することができる。粘性が測定されると、磁気微粒子は、測定する対象の粘性試料材料で充填された計量器内に配置され、磁界は、外部から計量器に印加され、よって、高速で強力に磁性微粒子を移動させる。移動速度又は移動時間が次いで、粘性を測定するために検出され、移動速度又は移動時間自体は、粘性の指標/尺度である。
【0010】
しかし、測定結果の精度が十分であっても、特定の状況下ではなお問題であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、十分に高い分解能を備えたセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本願の独立請求項による、粒子を検出するセンサ・デバイス、粒子を検出する方法、プログラム・エレメント、及びコンピュータ読み取り可能な媒体を提供する。
【0013】
本発明の例示的な実施例によれば、試料の粒子を検出するセンサ・デバイスが提供され、センサ・デバイスは、粒子の存在を示す検出信号を検出するよう適合された検出装置と、試料の粘性を測定するよう適合された粘性測定装置と、測定された粘性に基づいて検出信号を補正するよう適合された補正装置とを備える。
【0014】
本発明の別の例示的な実施例によれば、試料の粒子を検出する方法が提供され、方法は、粒子の存在を示す検出信号を検出する工程と、試料の粘性を測定する工程と、測定された粘性に基づいて検出信号を補正する工程とを含む。
【0015】
本発明の更に別の例示的な実施例によれば、プロセッサによって実行されると、前述の構成を有する、粒子を検出する方法を制御又は実施するよう適合されたプログラム・エレメントが提供される。
【0016】
本発明の更に別の例示的な実施例によれば、プロセッサによって実行されると、前述の構成を有する、粒子を検出する方法を制御又は実施するよう適合されたコンピュータ・プログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な媒体が提供される。
【0017】
本発明の実施例による電子検出方法は、コンピュータ・プログラム(すなわち、ソフトウェア)か、特殊な1つ又は複数の電子最適化回路(すなわち、ハードウェア)の使用か、又は、混成形態(すなわち、ソフトウェア構成部分及びハードウェア構成部分)によって実現することが可能である。
【0018】
「粘性」という語は、流体媒質の内部摩擦を示す、流体媒質の物理的特性を表し得、媒質を通って移動する粒子に印加される力と、媒質内の粒子の速度との間の比に、層近似で比例するパラメータであり得る。
【0019】
「磁性粒子」の語は、磁性部分(すなわち、超常磁性部分、強磁性部分、又はフェリ磁性部分)を有する何れかの分子を表し得る。前述の磁性部分は、特定の分子に固有であり得るか、又は、分子(例えば、生体分子)に別個のラベル又はビードとして付着し得る。磁性粒子という語は、実際の磁性粒子、又は(外部的に印加された磁界の影響下で磁化される)磁化可能な粒子を表し得る。磁性粒子に言及している場合、これは、磁性粒子又は磁化可能粒子(磁化可能粒子は移動させるために、不均一場を必要とする)を意味し得る。
【0020】
本発明の例示的な実施例によれば、試料内の粒子の存在を検出信号の測定(特に、検出信号の経時的な変動)に基づいて質的又は量的に検出することが可能であり、試料内の粘性修正によって乱される影響は、信号の変動と粘性との間の(例えば、既知の)相関に基づいて検出信号を補正することによってなくすこともできる。すなわち、センサ信号(における変動)は、粒子の濃度に比例することがあり得るのみならず、試料の粘性に依存し得る、試料内の移動速度などのパラメータにも依存し得る。センサ信号の変動と試料の粘性との間の既知の相関が考慮に入れられ、粘性値が測定されると、補正装置は、試料の粘性と本質上無関係であるか、又は感度が低い修正/補正/校正センサ信号を算出することができることがあり得る。したがって、測定精度をかなり向上させることができる。
【0021】
センサ信号(における変動)と粘性との間の相関は、理論的に導き出された式に従うものとし得、経験データに基づいて考察し得、かつ/又はセンサ信号及び対応する粘性値の通常の測定によって取得可能な粘性とセンサ信号(の変動)との間の実験的関係に基づいて考察し得る。対応する補正曲線又は補正関数は次いで、補正装置において(数式として、又はルックアップ・テーブルとして)記憶することができ、補正を行うために使用することができる。
【0022】
本発明の例示的な実施例によれば、試料の一体化された粘性測定は、高分解能磁気バイオセンサについて行うことができる。
【0023】
磁気バイオセンサの便益の1つは、磁気検出の原理による、試料の低干渉が理由で、未処理試料における測定を行うことができるという点である。これは、操作者の動作の数をできる限り少ない数に留めるべきである診断又は医療ポイントオブケア・アプリケーションの場合、有利であり得る。
【0024】
免疫アッセイの反応速度が本質的に低いことが理由で、測定が運動論的レジームにおいて行われることが効果的であり得る。運動論的レジームにおける測定は、より低い検出限度、又はより短い測定時間につながり得る。アプリケーションに応じて、種々の条件を、前述の2つの局面間で考量することが可能である。運動論的レジームでは、センサ信号の観察された変動は、分析物の濃度に比例し得、関係するプロセスの本質的な反応速度又は移動速度に比例し得る。後者は、試料の粘性に依存し得る。よって、粘性測定の利用可能性は、感度がより高いシステム、若しくは測定時間が短いシステム、又は両方につながり得る。
【0025】
測定が、未処理の試料において行われると、試料の特性は完全に制御されることが可能な訳でない。その結果、試料の粘性は、一定の度合いまで変わり得る。このことは、磁気バイオセンサの動作に対する影響を有し得る。粘性は、センサ信号の変動のレートに対して影響を及ぼし得るからである。例えば、センサ表面における磁気ラベルの集中は粘性に直接比例すると考えられている。その結果、ラベル・表面の相互作用の発生は少なくなり、よって、粘性が高いと、結合プロセスは遅くなる。表面近くの磁気ラベルの濃度が同じでも、粘性が高い試料における結合プロセスはより遅くなることが期待される。ラベルのブラウン運動が遅くなるからである。これは、センサ信号のより小さな変動レートにもつながり得る。
【0026】
センサ信号の変動レートは、標的分子の濃度の関数であるに過ぎず、よって、センサ示度に対する試料の粘性の影響は、本発明の例示的な実施例によって削減又は最小にされ得る。
【0027】
本発明の例示的な実施例によれば、磁気バイオセンサにおける試料の粘性を測定し、粘性の影響について結果を補正することが可能である。
【0028】
特に、磁気泳動により、試料の粘性を測定することが可能である。磁気力を磁気ラベルに印加することが可能であり、磁気ラベルの速度を測定することが可能である。磁気ラベルに印加される力Fは、
【0029】
【数1】

として表すことが可能である。
【0030】
ここで、χbeadは磁気ラベルの磁化率であり、Bは磁束密度であり、μは自由空間の透磁率である。磁気ラベルは、液体に対して移動すると、抗力を受ける。この抗力は、球状粒子に対する抗力についてストークスの公式で近似することが可能である。
【0031】
【数2】

ここで、ηは試料の粘性であり、γは磁気ラベルの半径であり、νは磁気ラベルの速度である。磁気力及び抗力の上記式を組み合わせると、磁気ラベルの速度について以下の式が得られる。
【0032】
【数3】

この式から、磁気ラベルの速度は液体の粘性に比例する。速度は、既知の距離にわたって磁気ラベルを移動させることにより、かつ、この距離を移動するために必要な時間を測定することによって求めることが可能である。磁気センサは、磁気バイオセンサに既に存在しているので、この磁気センサを共同作用的に使用して前述の測定を行うことが好ましいことがあり得る。
【0033】
以上、主に磁気ラベル、磁気力、及び磁気検出について説明したが、力場(電気、磁気、重力、遠心力等)、ラベルのタイプ(磁気、非磁気、導体、非導体等)、及び検出技術(光、音響、磁気、電気化学等)の多くの組合せが可能である。
【0034】
しかし、更に、他の検出原理を使用して、表面近くでの磁気ラベルの到着を検出することが可能である。
【0035】
センサは、センサ表面上又はセンサ表面近くの粒子の磁気特性の検出に基づいた何れかの適切なセンサ(例えば、コイル、電線、磁気抵抗センサ、磁気拘束センサ、ホール・センサ、平面型ホール・センサ、フラックス・ゲート・センサ、SQUID(半導体超伝導量子干渉デバイス)、磁気共鳴センサ等)であり得る。
【0036】
デバイス及び方法をいくつかの生化学的試験のタイプ(例えば、結合/解離分析、サンドイッチ分析、競合分析、置換分析、酵素分析等)によって使用することが可能である。
【0037】
分子分析に加えて、より大きな部分(例えば、細胞、ウイルス、細胞やウイルスの一部や、組織の抽出物等)を検出することが可能である。
【0038】
本発明の実施例によるデバイス、方法、及びシステムは、センサ多重化(すなわち、別々のセンサ及びセンサ表面の並列的な使用)、ラベル多重化(すなわち、各種ラベルの並列的な使用)、並びに、チェンバ多重化(すなわち、別々の反応チェンバの並列的な使用)に適している。
【0039】
本明細書及び特許請求の範囲記載のデバイス、方法及びシステムは、試料ボリュームが小さい場合、ポイントオブケア・バイオセンサとしての使用と同様に迅速で、ロバストで、かつ容易に使用することが可能である。反応チェンバは、小型リーダとともに使用する対象の使い捨て品目であり得る。更に、本発明の実施例によるデバイス、方法及びシステムは、自動化された高スループット検査において使用することが可能である。この場合、反応チェンバは例えば、自動化された計測器に収まるウェル・プレート又はキュベットである。
【0040】
本発明の例示的な実施例によれば、磁性粒子は、測定が開始する前に試料チェンバの上部に格納することが可能である。粒子は次いで、磁気センサ素子が配置された、試料チェンバの底部に向けて、磁気力によって引き下げられる。試料チェンバの底表面における磁気ラベルの到着は磁気センサによって検出される。試料チェンバの最上部からその底部までの距離を移動するために磁気ラベルが要する時間は試料の粘性と直接関係し得る。この粘性測定を使用して、粘性の影響についてセンサ信号を補正し、粘性における変動に対してセンサをロバストにすることが可能である。
【0041】
本発明の別の例示的な実施例によれば、磁気ラベルは磁気バイオセンサの表面にわたって引くことができる。1つの選択肢は、磁気センサ素子から既知の距離のラベルを放出し、この磁気センサ素子に向けて/わたって引くというものである。センサまでの距離を移動するために必要な時間は、液体の粘性を算出するよう測定することが可能である。ラベルは、溶解、流体の追加、及び/又は磁気力によって放出され得る。
【0042】
別の選択肢は、センサの表面にわたって磁気ラベルを移動させるというものである。ここで、磁気ラベルは少なくとも2つの磁気センサ素子を通過する。2つの磁気センサ素子間の距離を、2つのセンサ素子間の距離をラベルが移動するために要する時間で除算すると、磁気ラベルの速度が得られる。やはり、粒子速度を使用して液体の粘性を算出することが可能であり、これは、同様に、粘性の影響についてセンサ示度を補償するために使用することが可能である。
【0043】
本発明の別の例示的な実施例によれば、試料の粘性は(例えば、希釈、抽出、及び/濾過により、)制御することが可能である。最終的な精度レベルを達成するために、残りの粘性のばらつきは、上述の実施例において説明した方法のうちの1つを使用することによって補正することができる。
【0044】
上述のような既知の距離にわたってラベルの平均速度を測定するよりも、磁気ラベルの速度を直接測定することも可能である。
【0045】
ラベルの磁気検出に加えて、他の検出原理(例えば、光又は電気)を使用することも考えられる。しかし、磁気センサ素子は磁気バイオセンサにおいて既に利用可能であるので、磁気検出を使用して磁気ラベルの速度を測定することが効果的であり得る。
【0046】
変動する磁界により、粒子を振動させることにより、流体試料の粘性を測定することも考えられる(前述の原理はそういうものとして米国特許公開公報第2005/0155415号に開示されている)。位相及び/又は振幅情報を使用して液体の粘性を測定することができる。この場合、追加情報が測定自体から得られるので、粒子サイズは分からなくてよい。
【0047】
磁気バイオセンサは、未処理試料における測定を行ううえで適切である。しかし、未処理試料の粘性は完全に制御することが可能な訳でない。試料の粘性はセンサ信号に影響を及ぼし、これは測定エラーにつながり得る。本発明の例示的な実施例によれば、磁気泳動又は何れかの他の磁気測定原理により、試料の粘性を測定することが可能である。磁気力が磁気ラベルに印加され、その速度が測定される。速度は、試料の粘性に直接関係し得る。粘性示度を使用して、粘性の影響について測定を補正することが可能である。磁気バイオセンサの磁気センサ素子を使用して磁気ラベルの速度を測定することが魅力的であり得る。
【0048】
バイオセンサでは、粘性のばらつきの影響はよって、電磁界の影響下での既知の距離にわたる磁性粒子の移動のための時間の測定による、粘性の一体化された測定によって抑制することが可能である。
【0049】
次に、センサ・デバイスの更なる例示的な実施例を説明する。しかし、前述の実施例は、方法、プログラム・エレメント、及びコンピュータ読み取り可能な媒体にも適用される。
【0050】
検出装置は、磁性粒子が存在していることを示す検出信号を検出するよう適合させることができる。よって、粘性測定は、試料の磁性粒子の粘性を測定するよう適合させることができる。磁性粒子の検出は、検出信号及び粘性測定信号を1つの材料(すなわち、磁気ビーズなどの磁性粒子)に基づいて獲得することができる。この測定は、試料における粘性及び磁性粒子の存在の量的検出を同じプローブ(すなわち、磁性粒子)によって測定することができるという認識に基づき得る。これは、磁性粒子検出システムにおいて粘性補正を容易に組み入れることを可能にし得る。
【0051】
粘性測定装置は、駆動により、及び検出により、試料の粘性を測定するよう適合され得る。駆動は、磁気駆動、光駆動、及び電気駆動を含む群のうちの少なくとも1つであり得る。検出は、磁気検出、光検出、及び電気検出を含む群のうちの少なくとも1つを含み得る。磁気泳動は、磁気駆動の例である。磁気駆動、光駆動及び電気駆動の何れか1つは、磁気検出、光検出及び電気検出の何れか1つと組合せることができる。磁気バイオセンサの場合、磁気駆動及び磁気検出の組合せは適切な選択である。更に、磁気駆動及び光駆動の組合せは適切な選択である。粘性測定装置は特に、磁気泳動により、試料の粘性を測定するよう適合され得る。粘性の磁気測定は、時間依存性磁界の振動の測定を含み得る。しかし、印加された外部磁気力の影響下で磁性粒子を移動させ、既知の幾何パラメータを有する表面に沿って粒子が移動するために必要な時間を測定することも可能である。光測定の場合、粘性に依存する試料の光特性を検出信号として使用することができる。粘性の電気測定は例えば、電界の印加、及びこの電界における規定の距離に沿って帯電粒子が移動するために必要な時間の測定を含み得る。
【0052】
特に、粘性測定装置は、磁気力を試料に印加することにより、かつ、印加された磁気力に応じて試料の磁性粒子の速度を測定することにより、試料の粘性を測定するよう適合され得る。この場合、粘性測定装置は、磁性粒子が所定の距離に沿って移動するために必要な時間を測定することにより、磁性粒子の測定を測定するよう適合され得る。磁性粒子が存在していることを示す検出信号及び試料の粘性を検出するために同じ磁界検出器及び同じ磁界源を使用することが効果的であり得る。したがって、独立しており、別個に行われる2つの測定は、試料内に存在している磁性粒子の量を正確に検出するよう行うことができる。
【0053】
センサ・デバイスは特に、粘性測定装置によって選択的に能動化させることが可能な、リーチが重なる2つの磁界発生器の対を備え得る。この場合、磁界発生器の「リーチ」は、磁界発生器によって生成される(通常の)磁界が(通常の)磁性粒子に対して観察できる影響(例えば、磁化や、粒子の移動)を有する領域として定義される。リーチが重なる領域における磁性粒子はしたがって、2つの磁界発生器のうちの何れか一方によって駆動させることが可能である。よって、例えば、まず、第1の磁界発生器の能動化により、特定の開始領域に磁性粒子全てを集中させ、次いで、これを能動化させ、第1のものを非能動化することにより、第2の磁界発生器へのその遷移を開始することが可能である。これは、周囲の試料の粘性についての所望の情報を含む、磁界における磁性粒子の移動速度を測定するための明確な条件を確立することを可能にする。
【0054】
上記実施例の更なる展開では、センサ・デバイスは、2つの磁界発生器間の磁性粒子の遷移を検出するために、2つの磁界発生器のうちの少なくとも1つに隣接して配置された磁気センサ装置を備える。能動化が、一方の磁界発生器から他方の磁界発生器に切り換えられ、磁性粒子の対応する遷移移動が開始すると、磁気センサ装置は、粒子がこの遷移(又は遷移の少なくとも特徴的な段階)を移動するために必要な時間を求めることが可能である。このことは例えば、新たに能動化された磁界発生器における磁性粒子の到着を検出することにより、かつ/又は、先行して能動化された磁界発生器からの磁性粒子の消滅を検出することによって達成することが可能である。
【0055】
前述の実施例では、磁気センサ装置は例えば、2つの磁界発生器間に配置することができる。この場合、磁性粒子は、容易に検出することが可能な、第1の磁界発生器と第2の磁界発生器との間の遷移中に磁気センサ装置を移動する。別の実施例によれば、センサ・デバイスは、磁界発生器の対の対向する側に配置された2つの磁気センサ装置を有する。よって、精度が向上した差分測定を行うことが可能である。更に、磁界発生器を互いに非常に近く配置することが可能である。これにより、比較的少ない労力(電流)で、高い磁界勾配を発生させることが可能になる。一方の磁界発生器から他方の磁界発生器への磁性粒子の遷移は、第1の磁界発生器及び第2の磁界発生器に隣接して配置された2つの磁気センサ装置により、このシナリオにおいて検出される。
【0056】
上下左右の語を以下明細書中で使用しているが、(バイオ)センサの向きは、本質的な役割を果たすものでない。よって、上及び下の語は取り替えることができ、左及び右の語は取り替えることができる。
【0057】
粘性測定装置は、センサ・デバイスの上部にある試料の磁性粒子に磁気力を印加することにより、かつ、印加された磁気力に応じて試料の磁性粒子を垂直に移動させて、磁性粒子がセンサ・デバイスの下部に達するまでの時間間隔を測定することにより、試料の粘性を測定するよう適合させることができる。前述の実施例では、粒子は、測定が開始する前に試料チェンバの上に格納/蓄積させることが可能である。(一様な磁界又は一様でない磁界によって発生され得る)磁気力により、試料チェンバの底に向けて粒子を引き下げることにより、底表面において磁気ラベルが到着するまでの時間を検出することが可能になり得る。このことは、粘性の測定の基礎として得ることが可能である。
【0058】
あるいは、粘性測定装置は、試料の磁性粒子に磁気力を印加することにより、かつ、印加された磁気力に応じて試料の磁性粒子を水平方向に移動させて、センサ・デバイスの指定の宛先に磁性粒子が達するまでの時間間隔を測定することにより、試料の粘性を測定するよう適合され得る。特に、前述の実施例では、磁性粒子は磁気センサ・デバイスの水平平面に沿って(、例えば、磁界センサ・アレイの2つの隣接磁界センサ間で)移動し得る。磁気センサ素子からの既知の距離のラベルを放出し、この磁気センサ素子に向けて/この磁気センサ素子にわたって引くことにより、粘性を測定し、磁性粒子の検出を行うことが可能になり得る。少なくとも2つの磁気センサ素子を通過するよう磁性粒子をセンサの表面にわたって移動させることが可能である。
【0059】
本発明が含む別の手法によれば、粘性測定装置は、磁性粒子の連鎖の形成及び/又は分解を監視することにより、試料の粘性を測定するよう適合される。この場合、「監視」の語は、例えば、連続した測定により、又は、起点及び終点における2つのサンプリングのみにより、種々のプロセス段階を検出することができる手順を含む。提案された測定原理は、磁性粒子が、適切な条件(例えば、十分に高い磁化、及び十分に低い熱破壊力又は水力学的破壊力)の下で連鎖状又は柱状に整列する傾向にあり、連鎖形成及び連鎖分解のキネティックスは、周囲の媒質の粘性に関係する。
【0060】
前述の手法の特定の実現形態では、センサ・デバイスは、試料内の「連鎖形成」磁界を選択的に発生させるために、以下で「連鎖形成磁石」と呼ぶ磁石を備え、磁性粒子の連鎖は、この連鎖形成磁界において蓄積し得る。前述の設計は、連鎖形成磁界が、まず、磁化を誘導し、次いで、磁化粒子を連鎖状に整列させる磁化可能粒子の場合に特に有用である。連鎖形成磁石の場合、連鎖が形成される領域、連鎖の向き、及び連鎖形成のタイミングは、粘性測定装置の検出機能に任意的に適合するよう容易に制御することが可能である。
【0061】
連鎖形成磁石は好ましくは、試料内で少なくとも2つの別々の(平行でない)方向に(例えば、センサ・デバイスの高感度表面と平行又は垂直に)連鎖形成磁界を選択的に発生させるよう適合される。その場合、順次、(i)第1の方向の連鎖を形成し、(ii)前述の連鎖を分解し、(iii)第2の方向の連鎖に磁性粒子を再配置することが可能になる。2つの別々の連鎖構成間の前述の遷移は、例えば、連鎖と、「通常の」(すなわち、ランダムな)分布を有する磁性粒子との間の遷移よりも強く、かつクリアな信号をもたらし得る。
【0062】
連鎖形成の原理を適用するセンサ・デバイスの別の実施例では、上記デバイスは、磁性粒子の既存の連鎖を分解する、試料内の「連鎖破壊磁界」を発生させる磁界発生器を備える。この実施例は特に、磁性粒子の連鎖を選択的に蓄積するために連鎖形成磁石を使用するものと組み合わせることが可能である。磁性粒子の既存の安定した連鎖は次いで、磁界発生器を能動化することにより、選択的かつ局所的に破壊し得る。この破壊の速度は、周囲媒質の粘性に依存する。磁界発生器の能動化後、影響を受けた連鎖からの磁性粒子は通常、磁界発生器に集中し、これは、関連付けられたセンサ(例えば、GMRセンサ)によって検出することが可能である。磁界発生器は、同時に、磁性粒子が存在していることを検出する前述の磁気センサ・システムの構成部分としての役目を担い得る。
【0063】
連鎖形成の測定を備えたセンサ装置の更なる展開では、連鎖形成の領域、及び磁性粒子の連鎖が形成されない領域において、磁性粒子の存在に対して異なる感度を有する。次いで、同じ組(同じ数)の磁性粒子は、連鎖状に配置された場合、又は通常に分布している場合、検出装置において別々の検出信号を生成する。したがって、検出装置は、連鎖の形成及び/又は分解を監視するために使用することが可能である。通常の場合、検出装置は、高感度の表面に近い磁性粒子に対する高い感度を有する。これは、上記表面に垂直に(又は平行に)連鎖を配向させ、連鎖形成状態の比較的低い(又は高い)検出信号をもたらすことにより、使用することが可能である。
【0064】
センサ・デバイスは任意的には、磁性粒子の連鎖の形成及び/又は分解を光学的に検出する光センサ・システムを有し得る。この光センサ・システムは検出装置と完全に、若しくは部分的に同一であり得るか、又はそれ自身のシステムであり得る。光センサ・システムは特に、光透過、光反射、及び/又は不完全内部全反射における変動をみることにより、連鎖の形成を検出することができる。前述の方法は、光の(不完全)内部全反射が生じる表面に隣接した小ボリュームにおいて感度が非常に高い。
【0065】
センサ・デバイスは更に、所定の粘性値を得るよう試料の粘性を調節するよう適合された粘性調節装置を更に含み得る。測定された粘性に応じて、所望の粘性値は、希釈、抽出又は濾過のような措置を採って、粘性を所定値に調節することによって調節することができる。したがって、「標準の」条件を生成することが可能であり、それは、測定を、再生可能性が高く、正確なものにすることができる。
【0066】
検出装置は、粘性測定装置が粘性の測定に適合されたセンサ・デバイスの別の部分と異なるセンサ・デバイスの一部分において検出信号を検出するよう適合され得る。したがって、センサ・デバイスの第1のセンサ部分を、検出信号(の変動)を量的に検出するために提供することができ、第2のセンサ部分は粘性を測定するために提供することができる。したがって、2つの測定を切り離して、2つの測定イベント間の望ましくないクロストークを避けることができる。
【0067】
デバイスは、検出表面において結合された磁性粒子に基づいて検出信号を検出するよう適合され、結合されていない磁性粒子を測定するよう適合され得る。実際の量的な粒子検出は、一方で、固定化された捕捉分子と、他方で、検出する対象であり、それに磁気ビーズを付着させた相補的粒子との間のハイブリダイゼーション・イベントの生成に基づき得る。前述のハイブリダイゼーション・イベントは、量的に磁性粒子の検出に使用することができる。ビーズを付着させた、検出する対象の他のビーズ又は粒子は、捕捉分子を有するセンサ表面において結合されていない状態に留まり得、粘性測定を行うよう移動させるために使用することができる。したがって、同じ試料を、粒子濃度の量的推定に、かつ、校正目的のために試料の粘性測定に使用することができる。
【0068】
センサ・デバイスは、粒子が存在していることを検出する工程、及び試料の粘性を測定する工程を含む群のうちの少なくとも1つのために、磁界を生成するよう適合された磁界発生器を備え得る。前述の磁界発生器は、基板にモノリシック集積することができ、電流を印加することが可能な電線であり得る。したがって、(例えば、巨大磁気抵抗効果を使用した)粒子の検出、及び粘性の磁気ベースの測定を可能にし得る磁界を発生させることが可能である。
【0069】
補正装置は、測定粘性と、検出信号の経時的な変動との間の相関について、対象検出信号を補正するよう適合させることができる。検出信号における経時的な変動は、試料内の粒子の数量の特に高感度の尺度である。他方で、検出信号の経時的な変動は、粒子の濃度に依存するのみならず、粘性依存であり得る移動速度にも依存する。したがって、粘性及び検出信号における変動間の既知の相関関数、予め計算された相関関数、又は予め測定された相関関数を使用することにより、測定の精度を向上させる補正を行うことが可能である。前述の情報は、センサ・デバイス内に、ルックアップ・テーブルにおいて、又は数式として、等で記憶することができる。
【0070】
検出装置は、粒子を量的に検出するために適合され得る。すなわち、粒子の有無を検出することができるばかりでなく、試料内に存在している粒子の濃度又は粒子の量も検出することができる。この機能は、粘性の変動が生じるアーチファクトを除去することにより、定められた量を補正することを可能にする補正機能によって更に改善させ得る。
【0071】
センサ・デバイスは、GMR、AMR及びTMRを含む群の効果に基づいて磁性粒子を検出するよう適合させることができる。特に、磁界センサ・デバイスは、交互にくる(強)磁性金属層及び非磁性金属層を含む薄膜構造にみられる量子力学上の効果である巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用することができる。上記効果は、隣接する(強)磁性層の磁化が、層間の弱い反強磁性結合によって逆平行であるゼロ界状態から、隣接する層の磁化が、印加された外部フィールドによって整列する低レベルの抵抗への、抵抗のかなりの減少としてそれ自体が表れる。非磁性金属の電子のスピンは、印加された磁界に、等しい数で平行又は逆平行に整列し、したがって、強磁性層の磁化が平行の場合、受ける磁気散乱は少なくなる。巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用するバイオセンサの例は、国際公開2000/010542号パンフレット、又は国際公開2005/010543号パンフレットを開示している。
【0072】
磁気センサ・デバイスは、生体分子に付着した磁気ビーズを検出するよう適合され得る。前述の生体分子は、タンパク質、DNA、遺伝子、核酸、ポリペプチド、ホルモン類、抗体等であり得る。
【0073】
したがって、センサ・デバイスは、磁気バイオセンサ・デバイス(すなわち、磁気検出原理に基づいて動作するバイオセンサ・デバイス)として適合され得る。
【0074】
磁気センサ・デバイスの少なくとも一部をモノリシック集積回路として実現することができる。したがって、磁気センサ・デバイスの構成部分は、基板(例えば、半導体基板、特にシリコン基板)内にモノリシック集積され得る。しかし、ゲルマニウムや、何れかのIll−V族半導体(ガリウム砒素等など)などの他の半導体基板も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】第1の動作状態における、例示的な実施例による磁気センサ・デバイスを示す図である。
【図2】第2の動作状態における、図1の磁気センサ・デバイスを示す図である。
【図3】本発明の他の例示的な実施例による磁気センサ・デバイスを示す図である。
【図4】本発明の他の例示的な実施例による磁気センサ・デバイスを示す図である。
【図5】本発明の他の例示的な実施例による磁気センサ・デバイスを示す図である。
【図6】本発明の他の例示的な実施例による磁気センサ・デバイスを示す図である。
【図7】本発明の他の例示的な実施例による磁気センサ・デバイスを示す図である。
【図8】図6又は図7のような構成における、試料粘性と平均移動時間との間の相関を略示した図である。
【図9】試料の粘性を求めるために使用される連鎖形成の種々のシナリオを示す図である。
【図10】試料の粘性を求めるために使用される連鎖形成の種々のシナリオを示す図である。
【図11】試料の粘性を求めるために使用される連鎖形成の種々のシナリオを示す図である。
【図12】試料の粘性を求めるために使用される連鎖形成の種々のシナリオを示す図である。
【図13】試料の粘性を求めるために使用される連鎖形成の種々のシナリオを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
本発明の前述及び更なる局面は、後述する実施例の例から明らかであり、前述の実施例の例を参照して説明する。
【実施例】
【0077】
図面中の例証を略示する。別々の図面では、同様又は同一の構成要素には同じ参照符号を付している。
【0078】
本発明の実施例によるデバイス50はバイオセンサであり、図1及び図2を参照して説明する。
【0079】
バイオセンサ50は、流体、液体、気体、粘弾性媒質、ゲル、又は組織試料などの試料において磁性粒子15を検出する。磁性粒子15は小さな寸法を有し得る。ナノ粒子は、1nm以上10000nm以下(好ましくは、10nm以上3000nm、より好ましくは、100nm以上1000nm以下)に及ぶ少なくとも1つの寸法を有する粒子を意味する。磁性粒子15は、印加された磁界による磁気モーメントを取得することが可能である(例えば、常磁性を有し得る)。磁性粒子15は、複合粒子であり得る(例えば、非磁性材料内の、又は非磁性材料に付着した1つ又は複数の小磁性粒子15を含み得る)。粒子15は、変調された磁界に対して非ゼロ応答を生成する限り(すなわち、その磁化率が、周囲媒質の磁化率から逸脱する場合)、使用することが可能である。
【0080】
デバイス50は、基板10、及び回路(例えば、集積回路)を含み得る。
【0081】
デバイスの測定表面は、図1及び図2の点線で表す。本発明の実施例では、「基板」の語は、使用することができるか、又は、回路若しくはエピタキシャル層をその上に形成することができる、下にある何れかの1つ又は複数の材料を含み得る。あるいは、他の実施例では、この「基板」は、半導体基板(例えば、ドーピングされたシリコン、ガリウム砒素(GaAs)、ガリウム砒素・燐(GaAsP)、リン化インジウム(InP)、ゲルマニウム(Ge)や、シリコン・ゲルマニウム(SiGe)の基板など)を含み得る。「基板」は例えば、半導体基板部分に加えて、SiO層又はSi層などの絶縁層を含み得る。よって、基板の語は、ガラス、プラスチック、セラミック、シリコンオンガラス、シリコンオンサファイアの基板も含む。「基板」の語はよって、関心の層又は関心の部分の下にある層の要素を概括的に定義するために使用される。更に、「基板」は、層(例えば、ガラス層や金属層)がその上に形成される何れかの他の基底であり得る。以下では、シリコン半導体が一般的に使用されるのでシリコン処理に言及するが、本発明は他の半導体材料デバイスに基づいて実現することができ、後述する誘電体及び導電材料の均等物である適切な材料を選択することが可能であることを当業者は認識するであろう。
【0082】
回路は、センサ・エレメントとしての磁気抵抗センサ11、及び導体12の形態の磁界発生器を含み得る。磁気抵抗センサ11は例えば、GMR、又はTMRのタイプのセンサであり得る。磁気抵抗センサ11は例えば、細長い幾何学的形状(例えば、長く、狭いストライプ状の幾何学的形状)を有し得るが、この幾何学的形状に限定されない。センサ11及び導体12は、至近距離g以内で互いに隣接して配置され得る。センサ11と導体12との間の距離gは例えば、1nm以上1mm以下(例えば、3μm)であり得る。最小距離はICプロセスによって決まってくる。
【0083】
図1及び図2では、センサ・デバイス50がxy平面に配置された場合、センサ11が主に、磁界のx成分を検出する(すなわち、x方向がセンサ11の高感度方向である)旨を示すよう座標系が導入される。図1及び図2における矢印13は、本発明の一実施例による、磁気抵抗センサ11の高感度のx方向を示す。センサ11は、センサ・デバイス50の平面に対して垂直の方向において感度が非常に低いので、図面の垂直方向又はz方向では、導体12を通って流れる電流によって生じる磁界14は、磁性ナノ粒子15がない状態でセンサ11によって検出される訳でない。電流を磁気ナノ粒子15がない状態で導体12に印加することにより、センサ11の信号を校正することができる。この校正は、何れかの測定の前に行われ得る。
【0084】
磁性材料(これは、例えば、磁気イオン、分子、ナノ粒子15、磁気成分を備えた流体又は固体材料)は、導体12の近傍にあると、図2中、磁力線16で示す磁気モーメントmが発生する。
【0085】
次いで、磁気モーメントmは、センサ11の場所において平面内磁界成分17を有する双極性漂遊磁界を発生させる。よって、ナノ粒子15は、磁界14を、矢印13(図2)で示すセンサ11の高感度のx方向に偏らせる。センサ11の高感度のx方向にある磁界Hxのx成分は、センサ11によって検出され、磁性ナノ粒子15の数、及び導体電流Icに依存する。
【0086】
前述のセンサの一般的な構造の更なる詳細については、国際公開2005/010542号パンフレット及び国際公開2005/010543号パンフレットを参照されたい。
【0087】
図1及び図2の参照番号20は、検出装置11の動作モード及び磁界発生器12の動作モードを連係する制御装置を示す。
【0088】
図1及び図2は、流体試料の粒子15を検出するセンサ・デバイス50を示す。図1及び図2から分かるように、センサ・デバイス50は、粒子15が存在していることを示す検出信号を検出するよう適合された検出装置11、20を備える。検出装置11、20は、実際の検出信号が生成される測定部11を有し、検出信号を評価することができる評価又は判定部20(マイクロプロセッサやCPU等)を有する。
【0089】
更に、試料の粘性を測定するよう適合された粘性測定装置11、17、20が提供される。試料の粘性は、粘性を求めるために使用される信号を生成するためのセンサ表面11と、評価部20と、上記部分11と同様に構成された更なるアクティブ・センサ表面17とを使用して測定される。
【0090】
制御装置20が、粒子15が存在していることを示す検出信号及び粘性値を算出すると、装置20とともに補正装置を形成する算出装置30は、測定された粘性に基づいて検出信号を補正する。
【0091】
本発明の実施例は、試料の別々の粘性値が、種々の磁気検出信号(特に、磁性粒子15が存在している状態での磁気検出信号における種々の変動)をもたらし得るという本発明者の認識に基づく。したがって、装置30は、粘性値、並びに対応する検出信号、及び対応する濃度の相関を反映するルックアップ・テーブルを含み、よって、この相関に基づいて、粒子15の検出を、試料内の現在の粘性値について補正又は校正することが可能である。
【0092】
粘性測定装置11、17、20は、磁気泳動に基づいて試料の粘性を測定するよう適合される。特に、粘性測定装置11、17、20は、磁界発生装置12により、試料に磁気力を印加することにより、かつ、印加された磁気力に応じて試料内の磁性粒子15の速度を測定することにより、試料の粘性を測定する。粒子15の速度は、センサ装置11及びセンサ装置17間の水平方向にける所定の距離に沿って移動する磁性粒子15によって必要な時間を測定することによって求めることができる。したがって、装置11に対する、装置17における検出信号の遅延により、粘性値を得ることが可能になり得る。
【0093】
更に、センサ・デバイス50は、CPU30によって制御され、所定の粘性値を得るよう試料の粘性を調節するよう適合された粘性調節装置80を備える。粘性値が大きすぎるか又は小さすぎると判定された場合、装置30は、入口82を通って、容器83からの流体材料を試料チェンバに供給して、例えば、水等による希釈により、粘性を修正することができるように粘性調節装置80のバルブ81を調節し得る。これは、前述の修正が望まれる旨を装置30が粘性調節装置80に示すと、粘性を所望の値に調節することを可能にし得る。
【0094】
磁界発生器12は、粒子15が存在していることを検出し、試料の粘性を測定するために磁界を生成することができる。
【0095】
補正装置20、30は、測定粘性と、検出信号の経時的な変動との間の相関について、対象検出信号を補正する。検出信号の経時的な勾配は、検出信号自体及び磁性粒子15の量に対して更に高い精度を有し得る。したがって、前述の導関数は、測定し、本願の粘性値によって補正することができる。
【0096】
図3は、本発明の例示的な実施例によるセンサ・デバイス60を示す。
【0097】
図3では、粘性測定装置11、20は、センサ・デバイス60の上部62に配置された試料の磁性粒子15に磁気力を印加することにより、かつ、印加された磁気力に応じて試料の磁性粒子15を垂直移動させて、磁性粒子15がセンサ・デバイス60の下部63に達するまでの時間間隔を測定することにより、試料の粘性を測定するよう適合される。
【0098】
特に、磁性粒子15は、壁64及び旋回可能な底部65を有する格納チェンバ63に格納される。装置20、30の制御下で、底部65は、格納チェンバ63から粒子15を放出するよう開けることができる。粒子15は次いで、磁界発生器12によって発生する磁界の影響下で(、かつ/又は、重力の影響下で)、下方に移動して、検出器11により、特定時間後に検出される。測定の開始は、(バルブとして実現することもできる)底部65が開く時間によってトリガされ得る。時間間隔の最後は、検出器11が磁気信号を検出した時点で規定される。
【0099】
同様に、図4に示すように、本発明の別の例示的な実施例によるセンサ・デバイス70は、試料の磁性粒子15に磁気力を印加することにより、かつ、印加された磁気力に応じて試料の粒子15を水平に移動させて、センサ・デバイス20の所定の行先11に磁性粒子15が到達するまでの時間間隔を測定することにより、試料の粘性を測定するよう適合される粘性測定装置11を有する。したがって、底部65を旋回させることにより、底部65を開けた後、粒子15は、磁界発生器12によって発生する磁界に持ち込まれ得、検出器11により、遅延して検出され得る。この時間差は、試料の粘性を示し、粒子15の量を検出すると、粘性の影響を装置20、30がなくすことが可能になる。
【0100】
図5は、本発明の別の例示的な実施例によるセンサ・デバイス90を示す。
【0101】
図5では、検出する対象の分子は、磁気ラベル15を付着させた生体分子92を含む。生体分子15は、検出器17に近いセンサ表面において固定化された捕捉分子91の選択的ハイブリダイゼーションを行うよう適合される。
【0102】
図5によれば、検出装置17、20は、粘性測定装置11、17、20が粘性の測定に適合されたセンサ・デバイス90の別の部分と異なるセンサ・デバイス90の一部分において検出信号を検出するよう適合される。すなわち、検出装置17は、粒子17の存在を測定するよう適合される。一方、装置11及び装置17における粒子15、92の到着の時間差が、粘性の測定の基礎として採用される。
【0103】
したがって、検出装置17、20は、検出表面91において結合された磁性粒子15に基づいて検出信号を検出するよう適合され、結合されていない磁性粒子15、92に基づいて粘性を測定するよう適合される。
【0104】
既に説明しているが、磁界勾配(磁束密度B)において移動する水力学的半径γ及び磁化率χを備える磁性粒子の速度vは、
【0105】
【数4】

で表すことが可能である。
【0106】
ここで、λは粒子からの距離δにおける表面の影響に対する補正係数である。距離δ/γ<1の場合、補正係数は、
【0107】
【数5】

である。
【0108】
超常磁性粒子の寸法はナノ乃至マイクロメートルであるため、速度測定は粒子のブラウン運動によって乱される。ブラウン運動よりもずっと大きな速度を得るためには、以下の関係が経時的にあてはまり得る(ここで、Dは、熱エネルギkTを含む、粒子の拡散係数である)。
【0109】
【数6】

この関係は、ナノメートル・サイズの粒子の場合、高い勾配磁界が、十分に高い速度を得るために必要であるということを示している。300nm粒子の場合、▽Bの通常の値は、1 T/mよりも高い。前述の高い勾配磁界は好ましくは、チップ上に一体化された磁界発生電線により、生成することが可能である。
【0110】
図6は、GMRセンサ11の両側にある「電線・センサ・電線」の構成において配置された2つの前述の磁界発生電線12、12’を備えたセンサ・デバイス100の一実施例を示す。前述のGMRバイオセンサ100では、磁性粒子15を、乾燥試薬層におけるチップ表面に施すことが可能である。湿潤の後、粒子15はアクティブな電線(例えば、左磁界発生電線12)によって容易に捕捉される。この電線12を非能動化し、他の磁界発生電線12’を能動化することにより、粒子15はGMRセンサ11にわたって移動させることが可能であり、移動時間を測定することが可能である。
【0111】
GMRセンサ11は、図6の配置では電線12、12’間にあるので、約9μmの電線12、12’間の最小距離が存在する。電線が互いにより近く、ブラウン運動の影響が削減された場合、粘性測定の精度を向上させることが可能である。
【0112】
図7は、よって、磁界発生電線12、12‘を互いに(約1μmまで)近付けることが可能な「センサ・電線・電線・センサ」の構成を備えた別のセンサ・デバイス110を示す。2つのGMRセンサ11、11’が、電線12、12’の対の両側で配置される。第1のGMRセンサ11は、移動時間を測定するために不可欠であり、差分信号を測定することが可能であるため、第2のGMRセンサ11’は有益である。一方のセンサの信号における減少を他方のセンサにおける信号の増加と比較することが可能であり、補正を外部の擾乱について容易に行うことが可能である。よって、精度がより高い差分測定を行うことが可能である。
【0113】
図8は、図6又は図7の構成のような構成における、磁性粒子の平均的な移動時間T(垂直軸)を図に示す。実験は、3μm離間した、3μmの幅の2つの磁界発生電線で行われた。試料溶液は、グリセロールを追加することにより、種々の粘性で作られた。測定点毎に、それぞれが10の交差を有するおおよそ4つの別々の粒子が使用されている。移動時間が粘性に反比例することを図は示している。
【0114】
粘性測定は、よって、流体の粘性に反比例する、電線間の移動時間を測定する1つ又は複数のGMRセンサ、及び2つの電流線を使用することにより、GMRバイオセンサ・チップ上で可能である。
【0115】
磁性粒子が、上記センサ・デバイスのセンサ表面に対して直交して移動すると、移動しなければならない距離は比較的大きい。これは、比較的低い測定周波数につながる。これは、粘性が経時的に(例えば、血液凝固により、)非常にすばやく変動する状況において問題であり得る。更に、表面にわたって平行に粒子を移動させて粘性を測定することは、測定の精度を悪化させ得る粒子・表面相互作用(例えば、ねばついていることや粗いこと)を受け得る。
【0116】
図9乃至図13は、前述の課題の解決に適した別の粘性測定の原理を例証する。前述の原理又は手法は、印加された磁界の影響下での磁性粒子15の連鎖18又は柱の形成、及び印加された磁界の除去後の再度の分解を利用する。連鎖/柱の形成及び分解の速度を使用して流体の粘性を測定することが可能である。次いで、これを更に詳細に説明する。
【0117】
磁界における超常磁性粒子15(ビーズ)は磁性を有することになり、その極表面の1つに向けて他の磁性粒子を引き寄せることができる。粒子の組がしたがって、外部磁界に露呈されると、磁力線と整列した連鎖18を形成する(磁界強度が十分高いので、磁気エネルギは、粒子の熱運動エネルギよりも大きいものとする)。磁界がないか、又は磁界強度が低い(磁気エネルギ<運動エネルギである)場合、形成された連鎖は、不安定であり、粒子のブラウン運動が理由で分解する。
【0118】
連鎖の受動的分解は、自然発生し、制御も加速化もすることが可能でない。この受動的なプロセスに加えて、分解を能動的に実施することが可能である。これは、分解が、ある程度まで制御可能であるということを意味している。能動的なやり方には、例えば、磁気力、電気力、機械力等の印加がある。
【0119】
図9は、センサ・デバイス120における例示的な測定手順として、流体の粘性を求めるために磁性粒子15の連鎖18の構築及び分解の反復を示す。手順は、工程(a)で、「連鎖形成磁石」19によって発生した「連鎖形成磁界」Hの印加による連鎖又は柱18の形成で始まる。この磁界をオフにした後、柱18は次第に、粒子15に作用する熱力の影響下で崩壊し(段階(b))、粒子15に作用する重力Fの影響下で崩壊した(段階(c))後、粒子は最後に、安定分布に達する(段階(d))。(b)から(d)まで進むこの崩壊プロセスの持続時間は粘性に依存する。高感度表面における磁性粒子の存在を検出する、図1乃至図7の構成によって測定することが可能である。
【0120】
図10は、磁性粒子の連鎖18を能動的に分解する例を示す。連鎖18は、連鎖形成磁界Hによって発生し、安定化される。一体化された電線12は次いで、電線に対する重なった磁気力を発生させる円形状の「連鎖破壊磁界」を選択的に発生させることが可能である。粒子が次いで電線において集中する速度は粘性の関数である。より高い粘性の場合、より低い粘性の場合よりも粒子の集中に要する時間はより長くなる。これは、t=1s、t=2s、及びt=3sそれぞれの後に電線において集中する粒子全てを包含する3つの例示的な半円によって示す。前述の線の半径、及び、よって、集中速度は、右図(b)よりも左図(a)でより高い粘性の関数である。
【0121】
図11は、粒子の連鎖18が、段階(a)で、相応に配向された連鎖形成磁界Hにより、センサ表面に平行に形成される実施例を示す。この磁界の除去の後、粒子15は、表面の平面における熱運動(受動的)によって移動し始めるが、ある程度、表面から離れる方向にも移動し始める(段階(b))。熱運動の速度は粘性に依存し、よって、センサ・デバイス120によって測定される信号レートも粘性に依存する。この現象は、表面と近接する粒子のみを測定する検出システム(例えば、小さなボリュームの試料空間に入るエバネッセント波により、センサ表面において光ビームの不完全な内部全反射(FITR)を印加する検出システム)により、量的に観測することが可能である。
【0122】
図12のシナリオでは、段階(a)においてセンサ表面に垂直の連鎖18(又は柱)は、相応に配向された磁界H及びH’間で切り換えることにより、センサ表面に平行の連鎖18’に能動的に変換される。一方の状態から他方の状態に切り換わる速度はやはり、粘性に依存する。
【0123】
磁性粒子は、センサ表面に垂直の連鎖18(又は柱)に形成されると、前述の連鎖18の分解は、図13において示されるように、上部からの光学的な観測によって観測することが可能である。好ましくは、連鎖は、この場合、例えば、チップ表面などの反射表面の上に形成される。粒子15が連鎖18に配置されると(段階(b))、入射光Iのかなりの割合Iがこの表面によって反射する。連鎖は互いに反発する傾向にあるからである。粒子は、連鎖から分離すると(段階(a))、より多くの反射光を阻止し、より少ない量Iの反射光がもたらされる。反射光が減少する速度は、液体の粘性の尺度である。
【0124】
反射を測定する代わりに、透明な基板を使用し、入射光Iの透過を検出することも可能である。
【0125】
別の実施例では、溶液からの磁性粒子は全て、センサ表面に垂直な連鎖に配置されるように、磁界を使用して結合表面に向けて引っ張られる。磁界がオフにされると、表面に粒子が結合するレートも粘性の尺度である。
【0126】
「comprising」の語は他の構成要素又は構成を排除せず、「a」又は「an」は複数形を排除しない。更に、別々の実施例に関連して記載した構成要素を組み合わせることができる。
【0127】
特許請求の範囲における参照符号は、特許請求の範囲記載の範囲を限定するものと解されないものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の粒子を検出するセンサ・デバイスであって、
前記粒子が存在していることを示す検出信号を検出するよう適合された検出装置と、
前記試料の粘性を測定するよう適合された粘性測定装置と、
前記測定された粘性に基づいて前記検出信号を補正するよう適合された補正装置とを備えるセンサ・デバイス。
【請求項2】
請求項1記載のセンサ・デバイスであって、
前記検出装置は、磁性粒子が存在していることを示す検出信号を検出するよう適合されたセンサ・デバイス。
【請求項3】

請求項1記載のセンサ・デバイスであって、
前記粘性測定装置は、磁性粒子を使用して前記試料の前記粘性を測定するよう適合されたセンサ・デバイス。
【請求項4】
請求項1記載のセンサ・デバイスであって、
前記粘性測定装置は、駆動により、かつ、検出により、前記試料の前記粘性を測定するよう適合されたセンサ・デバイス。
【請求項5】
請求項4記載のセンサ・デバイスであって、
前記駆動は、磁気駆動、光駆動、及び電気駆動を含む群のうちの少なくとも1つを含むセンサ・デバイス。
【請求項6】
請求項4記載のセンサ・デバイスであって、
前記検出は、磁気検出、光検出、及び電気検出を含む群のうちの少なくとも1つを含むセンサ・デバイス。
【請求項7】
請求項1記載のセンサ・デバイスであって、
前記粘性測定装置は、前記試料に磁界を印加することにより、かつ、前記印加された磁界に応じて前記試料の磁性粒子の速度を測定することにより、前記試料の前記粘性を測定するよう適合されたセンサ・デバイス。
【請求項8】
請求項7記載のセンサ・デバイスであって、
前記粘性測定装置は、前記印加された磁界における所定の距離に沿って移動するために、前記磁性粒子によって必要な時間を測定することにより、前記磁性粒子の前記速度を測定するよう適合されたセンサ・デバイス。
【請求項9】
請求項7記載のセンサ・デバイスであって、
前記粘性測定装置により、選択的に能動化させることが可能な、リーチが重なった磁界発生器の対を備えるセンサ・デバイス。
【請求項10】
請求項9記載のセンサ・デバイスであって、
一方の磁気発生器から他方の磁気発生器までの磁性粒子の遷移を検出するために、前記磁気発生器のうちの少なくとも1つに隣接して配置された磁気センサ装置を備えたセンサ・デバイス。
【請求項11】
請求項10記載のセンサ・デバイスであって、
前記磁界発生器の対の対向する側に配置された2つの磁気センサ装置を備えるセンサ・デバイス。
【請求項12】
請求項1記載のセンサ・デバイスであって、
前記粘性測定装置は、前記センサ・デバイスの上部に配置された前記試料の磁性粒子に磁気力を印加することにより、かつ、前記印加された磁気力の影響下で前記試料の前記磁性粒子を垂直方向に移動させて、前記センサ・デバイスの下部に前記磁性粒子が達するまでの時間間隔を測定することにより、前記試料の前記粘性を測定するよう適合されたセンサ・デバイス。
【請求項13】
請求項1記載のセンサ・デバイスであって、
前記粘性測定装置は、前記試料の磁性粒子に磁気力を印加することにより、かつ、前記印加された磁気力の影響の下で前記試料の前記磁性粒子を水平方向に移動させて、前記磁性粒子が前記センサ・デバイスの所定の行先に達するまでの時間間隔を測定することにより、前記試料の前記粘性を測定するよう適合されたセンサ・デバイス。
【請求項14】
請求項1記載のセンサ・デバイスであって、
前記粘性測定装置は、磁性粒子の連鎖の形成及び/又は分解を監視することにより、前記試料の前記粘性を測定するよう適合されたセンサ・デバイス。
【請求項15】
請求項14記載のセンサ・デバイスであって、
磁性粒子の連鎖が集積することが可能な、前記試料内の連鎖形成磁界を選択的に発生させる連鎖形成磁石を備えるセンサ・デバイス。
【請求項16】
請求項15記載のセンサ・デバイスであって、
前記連鎖形成磁石は、少なくとも2つの別々の方向において連鎖形成磁界を選択的に発生させるよう適合されたセンサ・デバイス。
【請求項17】
請求項14記載のセンサ・デバイスであって、
磁性粒子の連鎖を分解する、前記試料内の連鎖破壊磁界を発生させる磁界発生器を備えるセンサ・デバイス。
【請求項18】
請求項14記載のセンサ・デバイスであって、
前記検出装置は、連鎖形成領域において他の場所とは異なる感度を磁性粒子の存在に対して有するセンサ・デバイス。
【請求項19】
請求項14記載のセンサ・デバイスであって、
透過、反射、及び/又は不完全内部全反射における変動により、磁性粒子の連鎖の形成を検出する光センサ・システムを備えるセンサ・デバイス。
【請求項20】
請求項1記載のセンサ・デバイスであって、
所定の粘性値に前記試料の前記粘性を調節するよう適合された粘性調節装置を更に備えるセンサ・デバイス。
【請求項21】
請求項1記載のセンサ・デバイスであって、前記検出装置は、前記粘性測定装置が前記粘性の測定に適合される前記センサ・デバイスの第2の部分と異なる前記センサ・デバイスの第1の部分において前記検出信号を検出するよう適合されたセンサ・デバイス。
【請求項22】
請求項1記載のセンサ・デバイスであって、
前記検出装置は検出表面に結合されている磁性粒子に基づいて前記検出信号を検出するよう適合され、
前記粘性測定装置は、結合されていない磁性粒子に基づいて前記試料の前記粘性を測定するよう適合されたセンサ・デバイス。
【請求項23】
請求項1記載のセンサ・デバイスであって、
前記粒子が存在していることの検出、及び前記試料の前記粘性の測定を含む群のうちの少なくとも一方のために磁界を発生させるよう適合された磁界発生装置を備えるセンサ・デバイス。
【請求項24】
請求項1記載のセンサ・デバイスであって、
前記補正装置は、測定粘性と、前記検出信号の経時的な変動との間の相関について、対象検出信号を補正するよう適合されたセンサ・デバイス。
【請求項25】
試料の粒子を検出する方法であって、
前記粒子が存在している旨を示す検出信号を検出する工程と、
前記試料の粘性を測定する工程と、
前記測定された粘性に基づいて前記検出信号を補正する工程とを含む方法。
【請求項26】
プロセッサによって実行されると、請求項16記載の、試料の粒子を検出する方法を制御又は実行するよう適合されたプログラム・エレメント。
【請求項27】
プロセッサによって実行されると、請求項16記載の、試料の粒子を検出する方法を制御又は実行するよう適合されたコンピュータ・プログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公表番号】特表2010−515914(P2010−515914A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545247(P2009−545247)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際出願番号】PCT/IB2007/052967
【国際公開番号】WO2008/084343
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)